JP2000260434A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池

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JP2000260434A
JP2000260434A JP11058138A JP5813899A JP2000260434A JP 2000260434 A JP2000260434 A JP 2000260434A JP 11058138 A JP11058138 A JP 11058138A JP 5813899 A JP5813899 A JP 5813899A JP 2000260434 A JP2000260434 A JP 2000260434A
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Naruaki Okuda
匠昭 奥田
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Takahiko Honma
隆彦 本間
Tatsuo Noritake
達夫 則竹
Yoji Takeuchi
要二 竹内
Hideyuki Nakano
秀之 中野
Tetsuo Kobayashi
哲郎 小林
Itsuki Sasaki
厳 佐々木
Kazuhiko Mukai
和彦 向
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Toyota Central R&D Labs Inc
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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイクル特性、パワー特性及びレート特性等
に優れ、電気自動車等の大型電源としても十分な電池性
能を有するリチウムイオン二次電池を提供すること。 【解決手段】 層状岩塩型ニッケル酸リチウム或いは層
状岩塩型マンガン酸リチウムを正極活物質として用い、
正極に含まれるバインダの重量を正極活物質に対する重
量比で0.026以上0.081以下の範囲内に、正極
に含まれるバインダの体積を正極活物質に対する体積比
で0.05以上0.21以下の範囲内に、或いは正極活
物質表面を被覆するバインダの膜厚を0.02μm以上
0.085μm以下の範囲内となるように調節してリチ
ウムイオン二次電池を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池に関し、更に詳しくは、層状岩塩型ニッケル酸リ
チウム或いは層状岩塩型マンガン酸リチウムを正極活物
質として用いたリチウムイオン二次電池に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン二次電池は、高エネルギ
ー密度を有し、小型・軽量化が図れるということで、パ
ソコンや携帯電話等の通信事務機器等としての用途で用
いられている。これら現在市販されているリチウムイオ
ン二次電池の正極活物質としては、LiCoO、Li
Mn等が用いられている。また、市販されるまで
には至っていないものの、LiNiO或いはLiMn
等を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電
池の開発も進められている。
【0003】このリチウムイオン二次電池は、一般に正
極にリチウム(Li)と遷移金属(M)との複合酸化物
を用い、負極に金属リチウム、或いはリチウム原子を炭
素に含有させたものを用いている。そして、非水系の有
機電解液中でのリチウムイオンの正極への移動により放
電が、また負極への移動により充電が行われ、このよう
な充放電を繰り返すことにより二次電池としての特性を
発揮するものである。
【0004】リチウムイオン二次電池は、サイクル特性
に代表される寿命が十分に長いことが求められることは
勿論、パワー特性やレート特性が高いことが求められる
ことから、元素の一部置換、結晶性の向上等による正極
活物質の改良、或いは表面修飾等による負極活物質の改
良等を施すことで、これらの問題を解決しようとする試
みが電池業界で精力的に進められている。
【0005】また、二次電池の電池性能は、正・負極電
極中に含まれる導電助材、バインダ等、或いは電解液、
セパレータ等にも大きく影響されるため、これらを含め
た改良がなされ、近年では電池性能がかなり向上しつつ
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た電池の改良は主に、小型民生用電池として使用される
ものを対象に行われているものであり、例えば電気自動
車(PEV及びHEV)用等の大型の電池を対象とする
ものではない。電気自動車等の大型電源として用いるた
めには、更に高度な電池性能が要求されるが、これらの
要求に応えられる性能を有する電池は未だに提案されて
いない。
【0007】ここで、その用途を電気自動車等と想定し
てみると、埋蔵量が少なく高価であるCoを主成分とす
るLiCoOを正極活物質として用いることは、資源
量及びコスト面から考えて極めて困難である。更に、L
iMnは、埋蔵量が豊富で安価なMnを主成分と
していることからコスト面での問題はないが、このLi
Mnを正極活物質として用いた電池は、特に高温
下での劣化が激しいことから電池寿命が短くなってしま
い、やはり電気自動車用の電池には適していない。
【0008】したがって、電気自動車等に用いる電池の
正極活物質としては、埋蔵量が豊富で比較的安価なNi
を主成分とするLiNiOを用いるか、或いは埋蔵量
が豊富で安価なMnを主成分とし、LiMnより
も高温での劣化が少ないLiMnOを用いることが最
も適切であると考えられる。
【0009】しかし、これらの正極活物質を用いたリチ
ウムイオン二次電池は未だ市販できるほどの性能を有し
ておらず、活物質単体の材料性能だけでなく、電気自動
車用としての最適な電池構成も研究段階にある。
【0010】本発明の解決しようとする課題は、正極活
物質としてLiNiO或いはLiMnOを用いたリ
チウムイオン二次電池であって、正極シート電極中のバ
インダ量と正極活物質量を調節することにより、電気自
動車等の大型電源として十分な電池性能を有するリチウ
ムイオン二次電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明のリチウムイオン二次電池は、請求項1に記載
のように、層状岩塩型ニッケル酸リチウム或いは層状岩
塩型マンガン酸リチウムを正極活物質として用い、該正
極活物質と導電材とをバインダを介して結着させた電極
を正極として用いたリチウムイオン二次電池であって、
前記正極に含まれるバインダの重量が、前記正極活物質
に対する重量比で0.026以上0.081以下の範囲
にあることを要旨とするものである。
【0012】このように、正極中に含まれるバインダ量
と正極活物質量を調節することにより、電極合材と集電
体との結着力を維持しつつ、しかも活物質の電子電導性
が良好な状態を保つことができることから、リチウムイ
オン二次電池のサイクル特性、パワー特性及びレート特
性を向上させることができる。
【0013】本発明に用いる正極活物質の層状岩塩型ニ
ッケル酸リチウムは、その基本構造をLiNiOとし
ているが、LiNi1−x(0≦x<1、Yは
Co、Al等より選ばれる1種又は2種以上のもの)等
の置換型であっても良い。
【0014】また、本発明に用いる正極活物質の層状岩
塩型マンガン酸リチウムは、その基本構造をLiMnO
としているが、LiMn1−x(0≦x<
1、YはCo、Al等より選ばれる1種又は2種以上の
もの)等の置換型であっても良い。
【0015】この場合に、前記正極に含まれるバインダ
の重量が、前記正極活物質に対する重量比で0.026
より小さい場合には、バインダの結着力が小さくなりす
ぎて、電極合材部と集電体との密着性がサイクル特性の
進行に伴って低下し、電子電導性が損なわれてしまう。
また、この重量比が0.081より大きい場合には、絶
縁体であるバインダが過剰であることから、電子電導性
が損なわれてしまう。
【0016】また、前記正極に含まれるバインダの体積
は、請求項2に記載のように、前記正極活物質に対する
体積比で0.05以上0.21以下の範囲にあることが
望ましい。この体積比が0.05より小さい場合には、
バインダの結着力が小さくなりすぎて、電子電導性が損
なわれてしまう。また、この体積比が0.021より大
きい場合には、絶縁体であるバインダが過剰であること
から、電子電導性が損なわれてしまう。
【0017】更に、前記正極の表面を被覆するバインダ
の膜厚は、請求項3に記載のように、0.02μm以上
0.085μmの範囲であることが望ましい。このバイ
ンダの膜厚は、正極中に含まれるバインダの体積をBE
T比表面積から求められる正極活物質の表面積で除する
ことによって求められるものであるが、このバインダの
膜厚が0.02μmより小さい場合にも、バインダの結
着力が小さくなりすぎて、電子電導性が損なわれてしま
う。また、この膜厚が0.085μmより大きい場合に
は、絶縁体であるバインダが正極活物質を過剰に覆いす
ぎてしまい、電子電導性が損なわれてしまう。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施例を
詳細に説明する。まず最初に、正極活物質としてニッケ
ル酸リチウムを、負極活物質として人造黒鉛を用いたリ
チウムイオン二次電池として、実施例1〜実施例5を作
製した。
【0019】これら実施例1〜実施例5の正極合材の作
製には、正極活物質としてLiNiOの置換体である
LiNi0.8Co0.15Al0.05を用いた
が、この正極活物質は、その真密度が4.75g/cm
、BET比表面積が0.52m/g、平均粒径D
10=6.7μm、D50=14.7μm、D90=2
6.8μmとしている。
【0020】また、バインダとしてはポリふっ化ビニリ
デン(商品名「KFポリマー」:呉羽化学工業製)を用
いたが、このバインダの真密度は1.825g/cm
としている。そして、導電助材にはアセチレンブラック
(商品名「HS−100」:電気化学工業製)を用い
た。
【0021】表1は、これらの配合量を示したものであ
るが、正極活物質とバインダの重量比が、実施例1が9
8.5wt%:1.5wt%、実施例2が97.5wt
%:2.5wt%、実施例3が95.0wt%:5.0
wt%、実施例4が92.5wt%:7.5wt%、実
施例5が90.0wt%:10.0wt%となるように
配合している。
【0022】
【表1】
【0023】この正極に含まれるバインダの重量を、正
極活物質に対する重量比で表すと、表1に示すように、
実施例1が0.015、実施例2が0.026、実施例
3が0.053、実施例4が0.081、実施例5が
0.111となっている。
【0024】また、この場合の正極に含まれるバインダ
の体積を、正極活物質に対する体積比で表すと、表1に
示すように、実施例1が0.040、実施例2が0.0
67、実施例3が0.137、実施例4が0.211、
実施例5が0.289となっている。
【0025】同様に、正極活物質表面を被覆するバイン
ダの膜厚は、表1に示すように、実施例1が0.016
μm、実施例2が0.027μm、実施例3が0.05
5μm、実施例4が0.085μm、実施例5が0.1
17μmとなっている。
【0026】また、導電助材の配合量としては、いずれ
の場合においても、正極活物質とバインダの合計重量を
100としたときに5となるような割合で配合されてい
る。
【0027】このように配合された正極合材をN−メチ
ル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてペーストに
し、厚さ20μmのアルミ箔の両面に塗工乾燥させ、ロ
ールプレスし、シート状の正極電極を作製した。尚、こ
の正極電極は54mm×450mmで、塗工されている
正極合材の膜厚は片側40μmである。
【0028】また、負極活物質として人造黒鉛(商品名
「MCMB25−28」:大阪ガスケミカル製)を95
wt%、バインダとしてポリふっ化ビニリデン(商品名
「KFポリマー」:呉羽化学工業製)5wt%の割合で
混合して負極合材を作製した。次いで、これをNMPに
分散させてペーストとし、厚さ10μmの銅箔の両面に
塗工乾燥させ、ロールプレスし、シート状の負極電極を
作製した。尚、この負極電極は56mm×500mm
で、塗工されている負極合材の膜厚は片側50μmであ
る。
【0029】そして、電池を作製するに際しては、上述
の正極・負極のシート電極をセパレータ(ポリエチレン
製25μ厚、幅58mm品:東燃タルピス製)を介して
ロール上に捲回し、電池缶に挿入する。そして、電解液
としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを
体積比1:1で混合した溶媒に、LiPFを1mol
/lになるように溶解したもの(富山薬品工業製)を電
池缶に注入し、封口キャップにより密閉した。
【0030】上述の実施例品を評価するための比較品と
して、比較品(比較例1〜比較例5)を作製した。表2
に示すように、これら比較品は、正極活物質として市販
電池等にも用いられているスピネル型マンガン酸リチウ
ムLi1.03Mn1.97を用いたものであり、
この正極活物質の平均粒径、比表面積は、実施例品で用
いられるニッケル酸リチウムとほぼ同等としている。こ
の比較品の電池(比較例1〜比較例5)は、正極活物質
にLi1.03Mn1.97を用いたこと以外は、
実施例品と同様の工程で作製している。
【0031】
【表2】
【0032】これら実施例品(実施例1〜実施例5)と
比較品(比較例1〜比較例5)を評価するために、それ
ぞれについてサイクル特性、パワー特性、レート特性の
評価試験を行った。尚、これらの評価試験は、電解液を
注入した後、室温で1週間エージングした後に行った。
【0033】まず、サイクル特性について説明する。こ
のサイクル特性評価試験の手順としては、実施例品及び
比較品の各電池を60℃の恒温槽に保持し、充電電圧を
4.1V、放電電圧を3.0Vに、充電電流密度を1.
0mA/cm、放電電流密度を1.0mA/cm
に、充電/放電方法を定電流充放電(CC充電/CC
放電)に設定して、500サイクル充放電を繰り返し、
その放電容量の変化を調べた。
【0034】図1は、実施例品(実施例1〜実施例5)
と比較品(比較例1〜5)の60℃サイクル特性評価試
験の結果を示したものである。このグラフは、横軸にサ
イクル数(回)を採り、縦軸に正極活物質放電容量(m
Ah/g)を採っている。
【0035】まず、正極活物質にニッケル酸リチウムを
用いた実施例品についてみてみると、実施例1(重量比
0.015)は、サイクルの進行に伴って容量が劣化を
してしまうものの、実施例2〜実施例5(重量比0.0
26〜0.111)は、500サイクル後の容量維持
率、すなわち1サイクル目の放電容量を100%とした
場合の容量残存率が約80%程度としており、極めて良
好な結果が得られた。
【0036】ここで、実施例1のサイクル特性が劣化す
る原因としては、バインダの結着力が不足していること
によって、電極合材部と集電対(Al箔)との密着性が
サイクルの進行に伴って低下し、電子電導性が損なわれ
ることに起因すると思われる。このことから、サイクル
特性の向上には、バインダの正極活物質に対する重量比
が0.026以上であると良いことが解る。
【0037】また、初期放電容量については、バインダ
の正極活物質に対する重量比が増加するに伴って若干減
少する傾向にあるものの、いずれの実施例も120mA
h/g以上を示しており、実用化に十分対応できるレベ
ルであった。
【0038】これに対して、比較品は、いずれの場合も
サイクルの進行に伴う容量劣化が激しいだけでなく、初
期放電容量も低いままであまり変化しなかった。つま
り、サイクル特性がバインダの正極活物質に対する重量
比によって大きく変化するのは、正極活物質にニッケル
酸リチウムを用いた実施例品にのみに見られる現象であ
るといえる。
【0039】次に、パワー特性について説明する。この
パワー特性評価試験としては、20℃の恒温槽に実施例
品及び比較品の各電池を保持し、SOC(測定時の電池
容量/充電終止電圧4.1V、定電流定電圧充電で満充
電した場合の電池容量×100)が30%の放電パワー
密度、及び80%の充電パワー密度を求めた。
【0040】この放電パワー密度は、SOCを30%に
調整し、電流を変化させて放電を行ったときの10秒後
の電圧Vを測定し、このVが3.0Vになるであろ
う電流値Aを外挿することによって数1より求めたも
のである。
【0041】
【数1】放電パワー密度=A×3.0/電池重量
【0042】また、充電パワー密度は、SOCを80%
に調整し、電流を変化させて充電を行ったときの10秒
後の電圧Vを測定し、このVが4.1Vになるであ
ろう電流値Aを外挿することによって数2より求めた
ものである。
【0043】
【数2】充電パワー密度=A×4.1/電池重量
【0044】ちなみに、この放電パワー密度が高いほど
10秒程度を上限とした高電流密度の放電性能に優れた
ものであり、この充電パワー密度が高いほど10秒程度
を上限とした高電流密度の充電性能に優れたものである
といえる。これを電気自動車(EV及びHEV)の性能
に当てはめて考えると、放電パワー密度が高いほど加速
性能が良好となり、充電パワー密度が高いほど減速時の
回生効率が良好となり、燃費が向上するものである。
【0045】図2は、実施例品(実施例1〜実施例5)
及び比較品(比較例1〜比較例5)のパワー特性評価試
験の結果を示したものである。このグラフは、横軸にバ
インダの正極活物質に対する重量比を採り、縦軸にパワ
ー密度(W/kg)を採っている。
【0046】この図2から、バインダの正極活物質に対
する重量比が0.026〜0.081の範囲にある実施
例2、実施例3及び実施例4は、実用に十分応える程度
の出力パワー密度及び回生パワー密度を示しており、極
めて良好な結果を示している。
【0047】また、この重量比が0.015の実施例1
と0.111の実施例5は、実用領域を下回るものとな
った。この実施例1のパワー密度が低下する原因として
は、電極合材部と集電対との密着性が低いことに起因す
ると考えられ、実施例5のパワー密度が低下する原因と
しては、絶縁体であるバインダが増加しすぎて電子電導
性が損なわれたことに起因するものと考えられる。
【0048】また、比較品は、バインダの正極活物質に
対する重量比が変化しても、出力パワー密度及び回生パ
ワー密度ともあまり大きな変化が見られなかった。この
ことから、バインダの正極活物質に対する重量比を変化
させることで、パワー特性を向上させられることは、正
極にニッケル酸リチウムを用いた実施例品にのみ見られ
る現象であることが確認できた。
【0049】また、比較品の回生パワー密度が出力パワ
ー密度に比べて小さいのは、正極活物質として用いられ
ているマンガン酸リチウム(Li1.03Mn1.97
)が幅広いSOC領域において、放電終止電圧より
も充電終止電圧に近い電圧にプラトー領域を有する充放
電特性を有することに起因していると考えられる。
【0050】次に、レート特性について説明する。この
レート特性評価試験としては、20℃の恒温槽に実施例
品及び比較品の各電池を保持し、電流密度を8.0mA
/cmに設定して、放電或いは充電したときの放電容
量及び充電容量を求めた。そして、この放電容量を求め
る場合には、充電終止電圧を4.1Vに、充電電流密度
を1.0mA/cmに設定し、CC充電した電池を用
いた。また、充電容量を求める場合には、放電終止電圧
を3.0Vに、放電電流密度を1.0mA/cmに設
定し、CC充電した電池を求めた。
【0051】ちなみに、この放電容量が高いほど、容量
を全て使い切るような長時間における高電流密度の放電
特性に優れたものであり、また、充電容量が高いほど、
満充電するような長時間における高電流密度の充電性能
に優れたものであるといえる。これを電気自動車(EV
及びHEV)の性能に当てはめて考えると、放電容量が
大きいほど、山岳路の登坂時のような長時間の登坂能力
が良好となり、充電容量が大きいほど、電気スタンド
(ガソリンスタンドの代替スタンド)等での急速充電が
可能になる。
【0052】図3は、実施例品(実施例1〜実施例5)
及び比較品(比較例1〜比較例5)のレート特性評価試
験の結果を示したものである。このグラフは、横軸にバ
インダの正極活物質に対する重量比を採り、縦軸に正極
活物質充放電容量(mAh/g)を採っている。
【0053】この図3から、バインダの正極活物質に対
する重量比が0.026〜0.081の範囲にある実施
例2、実施例3及び実施例4は、実用に十分応える程度
の充電容量及び放電容量を示しており、極めて良好な結
果を示している。
【0054】また、この重量比が0.015の実施例1
と0.111の実施例5は、実用領域を下回るものとな
った。このような結果となったのは、上述の評価試験同
様、実施例1では電極合材部と集電対との密着性が低い
ことに起因すると考えられ、実施例5では絶縁体である
バインダが増加しすぎて電子電導性が損なわれたことに
起因するものと考えられる。
【0055】また、比較品は、バインダの正極活物質に
対する重量比が変化しても、充電容量及び放電容量とも
に大きな変化が見られなかった。このことから、バイン
ダの正極活物質に対する重量比を変化させることで、パ
ワー特性を向上させられることは、正極にニッケル酸リ
チウムを用いた実施例品にのみ見られる現象であること
が確認できた。
【0056】また、比較品の充電容量が放電容量に比べ
て小さいのは、正極活物質として用いられているマンガ
ン酸リチウム(Li1.03Mn1.97)が幅広
いSOC領域において、放電終止電圧よりも充電終止電
圧に近い電圧にプラトー領域を有する充放電特性を有す
ることに起因していると考えられる。
【0057】以上のことから、正極活物質としてニッケ
ル酸リチウム(基本構造:LiNiO)を用いたリチ
ウムイオン二次電池は、バインダの正極活物質に対する
重量比を調節することで、60℃サイクル特性、パワー
特性及びレート特性を向上させられることが確認でき
た。そして、これを電気自動車等に適用するためには、
このバインダの正極活物質に対する重量比を0.026
〜0.081の範囲で調節することが好ましい。
【0058】本発明は、上記した実施例に何等限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々
の改変が可能である。例えば、上記実施例では正極活物
質にニッケル酸リチウム(基本構造:LiNiO)を
用いたが、これと非常に近い構造を有する層状岩塩型マ
ンガン酸リチウム(基本構造:LiMnO)を用いて
も同様の効果が期待できる。
【0059】また、上記実施例では、バインダの配合量
を正極活物質に対する重量比で調節することを中心に説
明したが、バインダの正極活物質に対する体積比、或い
は正極表面を被覆するバインダの膜厚で調節するように
しても良い。
【0060】また、負極中含まれるバインダの負極活物
質に対する重量比については、サイクル特性、パワー特
性及びレート特性のいずれにも大きな影響を与えるもの
でないことから、その配合量を適宜調節して負極を作製
すれば良い。
【0061】更に、本発明のリチウムイオン二次電池の
セパレータの材料や電解質の液組成等も、上記実施例に
限定されるものではなく、電池構成も、角形、ペーパー
形、積層型、円筒型等、種々のものを適用することがで
きる。
【0062】
【発明の効果】本発明に係るリチウムイオン二次電池に
よれば、層状岩塩型ニッケル酸リチウム或いは層状岩塩
型マンガン酸リチウムを正極活物質として用い、その正
極活物質と導電材とをバインダを介して結着させた電極
を正極として用いたリチウムイオン二次電池であって、
正極に含まれるバインダの重量を正極活物質に対する重
量比で0.026以上0.081以下の範囲内に、正極
に含まれるバインダの体積を正極活物質に対する体積比
で0.05以上0.21以下の範囲内に、或いは正極活
物質表面を被覆するバインダの膜厚を0.02μm以上
0.085μm以下の範囲内となるように調節すること
により、サイクル特性、パワー特性、レート特性等の電
池性能を向上させることができる。
【0063】そして、このリチウムイオン二次電池によ
れば、正極活物質そのものの組成や結晶構造を改良しな
くても、配合するバインダ量を調節することで効果が得
られるものであり、その経済効果は大きい。パソコンや
携帯電話等は勿論、電気自動車等の大容量の電源等にも
適用できることから産業上極めて有用性の高い発明であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】異なる正極活物質を用いて構成されたリチウム
イオン二次電池の充放電サイクル回数−正極活物質1g
当たりの放電容量の関係を示した図である。
【図2】異なる正極活物質を用いて構成されたリチウム
イオン二次電池のバインダの正極活物質に対する重量比
−パワー密度の関係を示した図である。
【図3】異なる正極活物質を用いて構成されたリチウム
イオン二次電池のバインダの正極活物質に対する重量比
−正極活物質1g当たりの充放電容量の関係を示した図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 隆彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 則竹 達夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 竹内 要二 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 中野 秀之 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小林 哲郎 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐々木 厳 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 向 和彦 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 5H003 AA01 AA04 BB05 BB11 BC01 BD00 BD03 BD04 5H014 AA02 AA06 EE10 HH01 HH06 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AK03 AL07 AM03 AM04 AM06 AM07 DJ08 EJ12 HJ01 HJ04 HJ07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層状岩塩型ニッケル酸リチウム或いは層
    状岩塩型マンガン酸リチウムを正極活物質として用い、
    該正極活物質と導電材とをバインダを介して結着させた
    電極を正極として用いたリチウムイオン二次電池であっ
    て、前記正極に含まれるバインダの重量が、前記正極活
    物質に対する重量比で0.026以上0.081以下の
    範囲にあることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 【請求項2】 前記正極に含まれるバインダの体積が、
    前記正極活物質に対する体積比で0.05以上0.21
    以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載され
    るリチウムイオン二次電池。
  3. 【請求項3】 前記正極の表面を被覆するバインダの膜
    厚が0.02μm以上0.085μm以下の範囲である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載されるリチウム
    イオン二次電池。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005032712A (ja) * 2003-06-16 2005-02-03 Toyota Central Res & Dev Lab Inc リチウムイオン二次電池
JP2014149989A (ja) * 2013-02-01 2014-08-21 Toyota Industries Corp リチウムイオン二次電池用活物質、それを有するリチウムイオン二次電池用電極及びリチウムイオン二次電池

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