JP2000256624A - 粘着部材 - Google Patents

粘着部材

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JP2000256624A
JP2000256624A JP11059943A JP5994399A JP2000256624A JP 2000256624 A JP2000256624 A JP 2000256624A JP 11059943 A JP11059943 A JP 11059943A JP 5994399 A JP5994399 A JP 5994399A JP 2000256624 A JP2000256624 A JP 2000256624A
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adhesive
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Masayoshi Kawabe
雅義 河辺
Kunihiro Inagaki
訓宏 稲垣
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘着剤組成に基づく全体的なバルク特性は維
持しつつ、従って粘着剤組成による全体的な粘着特性の
設計を可能としつつ、粘着特性の一部を改質して多様な
粘着特性を効率よく創出し、接着力に優れる粘着層を得
ること。 【解決手段】 A1700cm−1/A1732cm−1吸光度
比が内部の1.3倍以上である酸素プラズマ処理の表面
層(11)を有するアクリル系粘着層(1)、又はCO
/CH吸光度面積比が内部の2倍以上である酸素プラズ
マ処理の表面層(11)を有するポリイソブチレン系粘
着層(1)を基材(2)の片面又は両面に有して、酸素
プラズマ処理していないアクリル系粘着層の2倍以上、
又は酸素プラズマ処理していないポリイソブチレン系粘
着層の1.3倍以上の接着力を示す粘着部材。 【効果】 粘着層の表面にカルボニル基等の官能基を優
先的に導入して、粘着層の全体に初期設定したバルク特
性を良好に維持しつつ接着力を向上させうる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、酸素プラズマ処理により
接着特性を改善した表面層を有する粘着部材に関する。
【0002】
【従来の技術】商業用や産業用、事務用や家庭用等のラ
ベルやステッカー、シールやワッペン、伝票や掲示板等
を粘着層を介し接着処理することなどの、各種分野への
粘着層の普及に伴いその用途に応じた新たな粘着特性の
創出、特に粘着剤組成に基づく全体的なバルク特性は維
持しつつ、接着力の向上等の一部の特性を用途に応じて
部分的に改質することが課題となっている。
【0003】従来の粘着剤組成の変更による粘着特性の
多様化も重要であるが、粘着剤組成の変更ではバルク全
体の特性が変化しやすくて一部の特性のみを変更しにく
く、目的の粘着特性を創出するまでに多時間多労力を要
する難点がある。プラズマ処理で粘着特性を改質した粘
着層も提案されているが(特公昭57−15627号公
報、特開平7−173441号公報)、従来のプラズマ
処理でもバルク全体の粘着特性が大きく変化する問題点
があった。
【0004】すなわち従来のプラズマ処理では、例えば
粘着層全体で架橋密度が増大し柔軟性の欠落で接着力が
低下したり、粘着層全体の分子鎖切断で接着力が向上し
ても軟質化も進行して保持力が著しく低下したりするな
どの、粘着層の全体が変質してバルク特性も変化し粘着
特性の一部を変化させることが困難な問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】本発明は、粘着剤組成に基づく全
体的なバルク特性は維持しつつ、従って粘着剤組成によ
る全体的な粘着特性の設計を可能としつつ、粘着特性の
一部を改質して多様な粘着特性を効率よく創出し、接着
力に優れる粘着層を得ることを課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は、A1700cm−1/A
1732cm−1吸光度比が内部の1.3倍以上である
酸素プラズマ処理の表面層を有するアクリル系粘着層を
基材の片面又は両面に有して、酸素プラズマ処理してい
ないアクリル系粘着層の2倍以上の接着力を示すことを
特徴とする粘着部材を提供するものである。
【0007】また本発明は、CO/CH吸光度面積比が
内部の2倍以上である酸素プラズマ処理の表面層を有す
るポリイソブチレン系粘着層を基材の片面又は両面に有
して、酸素プラズマ処理していないポリイソブチレン系
粘着層の1.3倍以上の接着力を示すことを特徴とする
粘着部材も提供する。
【0008】
【発明の効果】酸素プラズマ処理により粘着層の表面に
カルボニル基等の官能基を優先的に導入して、粘着層の
全体に初期設定した粘着剤組成に基づく全体的なバルク
特性を内部層を介し良好に維持しつつ粘着層の表層を効
率よく改質して、接着力を向上させることができる。従
って粘着剤組成による全体的な保持力等の粘着特性の設
計を可能としつつ、粘着特性の一部を改質して多様な粘
着特性、特に接着力特性を効率よく創出することができ
る。
【0009】
【発明の実施形態】本発明による粘着部材は、A170
0cm−1/A1732cm−1吸光度比が内部の1.
3倍以上である酸素プラズマ処理の表面層を有するアク
リル系粘着層を基材の片面又は両面に有して、酸素プラ
ズマ処理していないアクリル系粘着層の2倍以上の接着
力を示すものである。
【0010】また本発明による他の粘着部材は、CO/
CH吸光度面積比が内部の2倍以上である酸素プラズマ
処理の表面層を有するポリイソブチレン系粘着層を基材
の片面又は両面に有して、酸素プラズマ処理していない
ポリイソブチレン系粘着層の1.3倍以上の接着力を示
すものである。前記した粘着部材の例を図1、図2に示
した。1、3が粘着層で、11,31がその表面層、2
が基材である。
【0011】粘着部材は、基材の片面又は両面にアクリ
ル系又はポリイソブチレン系の粘着層を有するものとす
ることができ、基材と粘着層を容易に剥離できるタイプ
や、基材と粘着層が強接着した固着タイプなどの適宜な
タイプのものとすることができる。なお基材の両面に粘
着層を有するものの場合、例えば片面に表面改質の粘着
層を有し、他面に普通の接着層を有する粘着部材などの
如く、基材の両面における粘着層ないし接着層は異なる
ものであってもよいし、同じものであってもよい。
【0012】粘着層の支持を目的とする基材としては、
各種のプラスチックからなるフィルムやシート、紙や
布、不織布や金属箔、ネットや発泡体、それらのラミネ
ート体などの適宜な薄葉体を用いることができ、従来の
粘着部材おける基材のいずれも用いうる。また基材は、
導電体層や磁性体層を有して、又は/及び導電粉や磁性
粉を含有して高周波を介し誘導加熱できるものなどであ
ってもよい。基材の厚さは、適宜に決定しうるが、一般
には500μm以下、就中1〜300μm、特に5〜25
0μmとされる。
【0013】なお上記した剥離タイプの粘着部材は、例
えば低接着性の基材を用いて形成することができる。低
接着性の基材は例えば、シリコーン系やフッ素系や長鎖
アルキル系等で代表される剥離剤をコーティングする方
式、ポリエチレンやポリプロピレンの如き無極性ポリマ
ーからなる接着力の弱い基材を用いる方式などの公知の
方式により得ることができる。
【0014】一方、固着タイプの粘着部材は、例えば強
接着性の基材を用いて形成することができる。強接着性
の基材は例えば、クロム酸処理やオゾン暴露、火炎暴露
や高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等により表面を酸
化させる化学的又は物理的処理による方式、ポリエステ
ルの如き極性の高いポリマー等からなる接着力の強い基
材を用いる方式などの公知の方式により得ることができ
る。
【0015】粘着層の形成には、少なくともアクリル系
粘着剤又はポリイソブチレン系粘着剤が用いられ、必要
に応じてその他の粘着剤が用いられる。粘着層を形成す
るその他の粘着剤については特に限定はなく、例えばゴ
ム系やビニルアルキルエーテル系、シリコーン系やポリ
エステル系、ポリアミド系やウレタン系などの適宜なも
のを1種又は2種以上を用いうる。従ってホットメルト
型や熱時感圧型等の各種の粘着剤を用いることができ、
紫外線硬化型の粘着剤なども用いうる。
【0016】前記のアクリル系粘着剤を形成するアクリ
ル系ポリマーは、適宜なものであってよい。一般にはメ
チル基やエチル基、プロピル基やブチル基、アミル基や
ヘキシル基、ヘプチル基やシクロヘキシル基、2−エチ
ルヘキシル基やイソオクチル基、イソデシル基やドデシ
ル基、ラウリル基やトリデシル基、ペンタデシル基やヘ
キサデシル基、ヘプタデシル基やオクタデシル基、ノナ
デシル基やエイコシル基の如き炭素数が20以下のアル
キル基を有するアクリル酸やメタクリル酸等のエステル
からなる(メタ)アクリル酸系アルキルエステルの1種
又は2種以上を用いたアクリル系ポリマーなどが用いら
れる。
【0017】前記のアクリル系ポリマーは、必要に応じ
凝集力や耐熱性や架橋性等のバルク特性の調節などを目
的に、適宜なモノマーの1種又は2種以上を共重合させ
たものであってもよい。ちなみにその共重合用モノマー
の例としては、アクリル酸やメタクリル酸、カルボキシ
エチルアクリレートやカルボキシペンチルアクリレー
ト、イタコン酸やマレイン酸、フマール酸やクロトン酸
の如きカルボキシル基含有モノマーがあげられる。
【0018】また無水マレイン酸や無水イタコン酸の如
き酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエ
チルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸
ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオ
クチルや(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシ
メチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートの如きヒ
ドロキシル基含有モノマーも共重合用モノマーの例とし
てあげられる。
【0019】さらにスチレンスルホン酸やアリルスルホ
ン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸や(メタ)アクリルアミドプロパンスルホ
ン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートや(メタ)
アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸の如きスルホ
ン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイ
ルホスフェートの如き燐酸基含有モノマー、(メタ)ア
クリルアミドやN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン
(メタ)アクリルアミドの如き(N−置換)アミド系モ
ノマーも上記した共重合用モノマーの例としてあげられ
る。
【0020】加えて(メタ)アクリル酸アミノエチルや
(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、
(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルの如き(メ
タ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー、
(メタ)アクリル酸メトキシエチルや(メタ)アクリル
酸エトキシエチルの如き(メタ)アクリル酸アルコキシ
アルキル系モノマー、N−シクロヘキシルマレイミドや
N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド
やN−フェニルマレイミドの如きマレイミド系モノマー
も上記した共重合用モノマーの例としてあげられる。
【0021】またさらにN−メチルイタコンイミドやN
−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミドや
N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシル
イタコンイミドやN−シクロヘキシルイタコンイミド、
N−ラウリルイタコンイミドの如きイタコンイミド系モ
ノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスク
シンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘ
キサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイ
ル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミドの如きス
クシンイミド系モノマーも上記した共重合用モノマーの
例としてあげられる。
【0022】さらに加えて酢酸ビニルやプロピオン酸ビ
ニル、N−ビニルピロリドンやメチルビニルピロリド
ン、ビニルピリジンやビニルピペリドン、ビニルピリミ
ジンやビニルピペラジン、ビニルピラジンやビニルピロ
ール、ビニルイミダゾールやビニルオキサゾール、ビニ
ルモルホリンやN−ビニルカルボン酸アミド類、スチレ
ンやα−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムの
如きビニル系モノマー、アクリロニトリルやメタクリロ
ニトリルの如きシアノアクリレート系モノマーも上記し
た共重合用モノマーの例としてあげられる。
【0023】またさらに(メタ)アクリル酸グリシジル
の如きエポキシ基含有アクリル系モノマー、(メタ)ア
クリル酸ポリエチレングリコールや(メタ)アクリル酸
ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキ
シエチレングリコールや(メタ)アクリル酸メトキシポ
リプロピレングリコールの如きグリコール系アクリルエ
ステルモノマー、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフル
フリルやフッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メ
タ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートの
如きアクリル酸エステル系モノマーも上記した共重合用
モノマーの例としてあげられる。
【0024】上記に加えてヘキサンジオールジ(メタ)
アクリレートや(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレートやネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリ
レートやトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート
やジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、エポキシアクリレートやポリエステルアクリレー
ト、ウレタンアクリレートの如き多官能モノマー、イソ
プレンやブタジエン、ポリイソブチレンやビニルエーテ
ルなども上記した共重合用モノマーの例としてあげられ
る。
【0025】用いるアクリル系やポリイソブチレン系等
の上記した粘着剤は、1種又は2種以上のベースポリマ
ーに、必要に応じ架橋剤や粘着性付与剤、可塑剤や充填
剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を配合したものなど
であってもよい。
【0026】粘着層の形成は、例えばドクターブレード
法やグラビア印刷法などの適宜な方式にて基材上に粘着
剤を塗布する方式や、それに準じてセパレータ上に形成
した粘着層を基材上に移着する方式などの適宜な方式に
て行うことができる。粘着層の厚さは、使用目的などに
応じて適宜に決定しうるが、一般には500μm以下、
就中1〜300μm、特に5〜100μmとされる。なお
粘着層は、バルク特性の調節などを目的に電子線照射に
よる架橋処理などの適宜な処理が施されたものであって
もよい。
【0027】本発明による粘着部材は、粘着層を酸素プ
ラズマ処理してその表面に官能基を導入することによ
り、図例の如く粘着層1,3の表面に内部とは異なる粘
着特性を示す酸素プラズマ処理の表面層11,31を形
成したものである。酸素プラズマ処理は、キャリアガス
に酸素ガスを用いてそれにより形成されるプラズマ雰囲
気に粘着層をおくものであり、それにより粘着層の表層
に形成導入される官能基は、粘着層の形成成分に基づい
て例えば水酸基やカルボニル基、カルボキシル基やパー
オキシドなどの各種のものである。
【0028】前記において本発明によるアクリル系粘着
層は、A1700cm−1/A1732cm−1吸光度
比に基づいてその値が内部の1.3倍以上となるように
酸素プラズマ処理した表面層を有するものからなる。こ
れにより酸素プラズマ処理していないものと比べて2倍
以上の接着力を示すものとすることができる。当該吸光
度比が1.3倍未満では接着力の向上効果に乏しい。
【0029】前記したアクリル系粘着層の接着力の向上
の点より好ましい当該吸光度比は、1.4倍以上、就中
1.5〜10倍、特に1.6〜8倍である。なお前記の
吸光度比は、アクリル系粘着層の場合、それに導入され
る官能基がカルボニル領域のショルダー部の変化として
現れることにより、吸光度比が大きいほど官能基の導入
割合が多いことを意味する。
【0030】一方、本発明によるポリイソブチレン系粘
着層は、CO/CH吸光度面積比が内部の2倍以上とな
るように酸素プラズマ処理した表面層を有するものから
なる。これにより酸素プラズマ処理していないものと比
べて1.3倍以上の接着力を示すものとすることができ
る。当該吸光度面積比が2倍未満では接着力の向上効果
に乏しい。
【0031】前記したポリイソブチレン系粘着層の接着
力の向上の点より好ましい当該吸光度面積比は、2.1
倍以上、就中2.2〜10倍、特に2.5〜8倍であ
る。なお前記の吸光度面積比は、ポリイソブチレン系粘
着層の場合、それに導入された官能基に基づいて幅広い
吸収バンド特性を示すことにより、この場合にも吸光度
面積比が大きいほど官能基の導入割合が多いことを意味
する。
【0032】上記において酸素プラズマ処理による表面
層の厚さについては、適宜に決定しうるが、一般には粘
着層に初期設定したバルク特性の維持などの点より10
0nm以下、就中5〜70nm、特に10〜50nmが好まし
い。表面層の厚さは、処理時間やプラズマ発生源からの
距離等のプラズマ処理の程度にて制御しうるが、厚すぎ
ると表面層の物性が粘着層全体の物性に大きく影響し
て、粘着層全体のバルク特性が変化しやすくなる。
【0033】また厚い表面層の形成には強いプラズマ処
理ないし長時間のプラズマ処理を要して粘着層内部にま
で改質処理の影響が大きく及ぶこととなり粘着層全体の
バルク特性が変質しやすくなる。この点が、上記した吸
光度比や吸光度面積比に好ましい上限があることの理由
でもある。
【0034】前記した極薄の表面層厚の容易な達成性や
粘着特性の高度な制御性などの点より好ましい粘着部材
の製造方法は、粘着層をリモートプラズマ領域に配置し
て酸素プラズマ処理する方法である。かかるリモートプ
ラズマ処理方法によれば、表面層のみにおける官能基導
入処理を制御性よく行うことができる。
【0035】すなわち図3に例示のプラズマ発生装置4
等において、ガスタンク47より流量制御系46を介し
て減圧管41内に供給された酸素ガス(キャリアガ)
は、電極42の近傍でラジカルや電子、イオンや紫外線
等の活性種からなるプラズマ状態となり、減圧系44を
介して減圧管内を順次移動しつつ排気される。
【0036】前記の移動過程において、活性種は再結合
等で失活するがその場合、電子やイオンはラジカルより
も速く失活し、その失活速度は電子やイオンで10−7
cm/秒程度、ラジカルで10−33cm/秒程度とさ
れている。従ってラジカルがより長時間活性を維持し
て、電極42近くのプラズマ発生領域5から離れた領域
6,7,8にラジカルがリッチに存在する領域が形成さ
れやすく、この領域がリモートプラズマ領域である。
【0037】前記の如くリモートプラズマ領域では、電
極近傍よりもラジカルをリッチに含み、電子やイオン等
の存在量が少ないためにラジカルによる官能基が導入さ
れやすい。また電子やイオン等による分子鎖の切断(エ
ッチング現象)や架橋が生じにくく、移動等による活性
種のエネルギー減衰なども生じてプラズマを介した改質
処理が電極近傍のプラズマ発生領域よりも緩やかに進行
する。
【0038】その結果、リモートプラズマ領域にて処理
することにより、粘着層表層の極く薄い部分を制御性よ
く改質処理できるものと思われる。なお図3において、
43は処理対象の支持板、45は減圧計、48は電源、
49は整合系である。リモートプラズマ処理において、
キャリアガスとしてはプラズマの発生源となる酸素ガス
が少なくとも用いられるが、必要に応じてヘリウムやア
ルゴン等の不活性ガスなどを併用することができる。
【0039】前記においてリモートプラズマ処理の条件
は、改質の程度などに応じて適宜に決定しうるが、一般
には形成される改質表面層の厚さ制御などの点より、キ
ャリアガスの流量100ml/分以下、就中50ml/分以
下、特に1〜20ml/分、処理出力(電極電圧)10〜
300W、就中20〜200W、特に30〜100W、
処理時間1秒間〜30分間、就中10秒間〜15分間、
特に30秒間〜5分間とされる。粘着層の配置位置は、
処理効率などにより適宜に決定でき電極直下(電極から
の距離0cm)とすることもできる。
【0040】処理出力は高いほど、処理時間は長いほど
官能基の導入量は多くなる。また粘着層を配置する位置
を電極から遠くするほど、上記したようにラジカルがリ
ッチな雰囲気で処理しうる。効率的な処理に必要なラジ
カル濃度の点よりは、300cm以下、就中200cm以
下、特に150cm以下の電極からの距離内で処理するこ
とが好ましい。
【0041】なお上記においてポリイソブチン系粘着層
では、酸素プラズマ処理で分子鎖が切断し、それによる
低分量体の発生で接着力が向上することもある。その場
合、粘着層内部のバルク特性の維持等の上記した官能基
の導入の場合と同じ理由で、表面層における分子鎖切断
による低分量体の含有量は、10重量%以下、就中8重
量%以下、特に5重量%以下で有ることが好ましい。
【0042】本発明にては基材の両面に粘着層を有する
粘着部材の表裏に異なる酸素プラズマ処理を施して、粘
着部材の表裏で粘着特性等が異なるものとすることもで
きる。なお本発明においては、表面層への官能基の導入
でその官能基に基づく親水性や被着体に対する化学的密
着性などの化学的特性、導電性や屈折率などの電気的特
性や光学的特性の改質なども接着力の向上に併せて行う
こともできる。
【0043】本発明による粘着部材は、その特性に応じ
て例えばラベルやステッカー、シールやワッペン、伝票
や掲示板、包装テープや表面保護材、接着シートなどの
各種の目的で、商業用途や工業用途、農業用途や医療用
途、光学用途や事務用途、家庭用途などの種々の分野で
用いることができ、従来に準じたいずれの目的にも用い
うる。なお粘着部材は、巻回体等として実用に供しうる
ほか、その粘着層を実用に供するまでの間、セパレータ
にて仮着保護する形態などの適宜な形態で実用に供する
ことができる。
【0044】
【実施例】実施例1 厚さ30μmのPETフィルム(東レ社製、ルミラーS
−10)の片面に、溶液重合による重量平均分子量51
万(重量平均分子量/数平均分子量=7.2)のポリブ
チルアクリレート(PBA)の溶液を塗布し、乾燥させ
て厚さ30μmの粘着層を形成し、それをセパレータに
て仮着カバーしてゲル分率50%を目的に電子線を12
Mrad照射して架橋処理を施した。
【0045】次に、前記架橋処理物よりセパレータを剥
離してそれを図3のプラズマ発生装置4における減圧管
41内のガラス製支持板43上の電極42より80cm離
れた位置8(リモートプラズマ領域)に配置し、キャリ
アガスに酸素ガスを用いて100Wの処理出力にて電極
近傍にプラズマを発生させて30秒間処理し、粘着部材
を得た。
【0046】実施例2 酸素プラズマによる処理時間を60秒間としたほかは実
施例1に準じて粘着部材を得た。
【0047】実施例3 配置位置を電極位置5(0cm)とし、酸素プラズマによ
る処理時間を90秒間としたほかは実施例1に準じて粘
着部材を得た。
【0048】実施例4 酸素プラズマによる処理時間を90秒間としたほかは実
施例1に準じて粘着部材を得た。
【0049】比較例1 酸素プラズマによる処理を施さないほかは実施例1に準
じて粘着部材を得た。
【0050】実施例5 厚さ50μmのポリプロピレンフィルム(東レ社製、ト
レファンBO#40−T2745)の片面に、重量平均
分子量65万のポリイソブチレン(PIB:エクソンケ
ミカル社製、ビスタネックスMML−80)のへプタン
溶液を塗布し、80℃で3分間乾燥させて厚さ30μm
の粘着層を形成し、それをセパレータにて仮着カバーし
て放置した。
【0051】次に、前記粘着層よりセパレータを剥離し
てそれを実施例1に準じ電極より30cm離れた位置6
(リモートプラズマ領域)に配置し、キャリアガスに酸
素ガスを用いて100Wの処理出力にて電極近傍にプラ
ズマを発生させて120秒間処理し、粘着部材を得た。
【0052】実施例6 配置位置を電極より60cm離れた位置7としたほかは実
施例5に準じて粘着部材を得た。
【0053】実施例7 配置位置を電極より80cm離れた位置8としたほかは実
施例5に準じて粘着部材を得た。
【0054】比較例2 酸素プラズマによる処理を施さないほかは実施例5に準
じて粘着部材を得た。
【0055】評価試験1 実施例1〜4、比較例1で得たPBA系の粘着部材又は
その粘着層について下記の特性を調べた。
【0056】吸光度比(官能基導入量) IR(パーキンエルマー社製、2000FT−IR)と
角度可変型MIR(パーキンエルマー社製)に内部反射
エレメントとして角度45度の台形Geプリズムを用
い、TGS検出器にて分解能4cm−1、積算16回に
てFTIR−ATRスペクトルを得、そのスペクトルと
ATR法にて得たスペクトルを対比して、導入官能基に
相当する吸収バンドの強度からA1700cm−1/A
1732cm−1の吸光度比を求めた。
【0057】接着力 粘着部材をその粘着層を介してステンレス板(430B
A)に対し2kgローラを一往復させて圧着し、48時
間放置後、引張圧縮試験機(ミネベア社製、TCM−1
kNB型)にて300mm/分の剥離速度による180度
ピールを測定した。
【0058】前記の結果を次表に示した。 処理位置 処理時間 吸光度比 接 着 力 (cm) (秒) N/20mm 実施例1 80 30 0.081 13.7 実施例2 80 60 0.083 12.4 実施例3 0 90 0.144 12.5 実施例4 80 90 0.099 10.9 比較例1 未 処 理 0.051 3.9
【0059】評価試験2 実施例5〜7、比較例2で得たPIB系の粘着部材又は
その粘着層について下記の特性を調べた。
【0060】低分子量体生成量(分子鎖切断) 粘着部材に準じてセパレータ上に粘着層を形成し、その
粘着層をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させて
0.3重量%の溶液濃度に調製したのち0.45μmメ
ンブランフィルタにて濾過し、ゲルパーミエーションク
ロマトグラフイー(GPC:東ソー社製、HLC812
0型)により分析して、得られたGPCクロマトグラム
より相対面積比を算出した。なおカラムには、TSKge
l super HM-H/H4000/H3000/H2000カラムを用い、カ
ラム温度40℃にて測定した。
【0061】吸光度面積比 上記のPBA系の場合と同様にスペクトルを対比して、
導入官能基に相当する吸収バンドの強度から下記の範囲
で吸光度面積比を求めた。 CO/CH面積比:A(1789〜1515cm−1)/A(15
13〜1409cm−1
【0062】接着力 上記のPBA系の場合と同様に、180度ピール値を調
べた。
【0063】前記の結果を次表に示した。 処理位置 低分子量 吸 光 度 接 着 力 (cm) 体生成量 面 積 比 N/20mm 実施例5 30 2重量% 0.96 6.1 実施例6 60 2重量% 0.68 8.7 実施例7 80 1重量% 0.49 6.5 比較例2 未 処 理 なし 0.18 3.3
【0064】粘着層をRuO等の重金属系酸化剤にて
染色後ミクロトームにて超薄切片を作製し、透過電子顕
微鏡(日立製作所社製、H−7100FA型)にて加速
電圧100kVで観察し、そのTEMによる断面写真よ
り表面改質層の厚さを調べたところ、比較例1,2の未
処理物では表面層の形成は認められなかったが、実施例
においてはいずれの場合も内部とは異質の表面層の形成
が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の断面図
【図2】他の実施例の断面図
【図3】リモートプラズマ処理の説明図
【符号の説明】 1、3:粘着層(11,31:表面層) 2:基材
4:プラズマ発生装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A1700cm−1/A1732cm
    −1吸光度比が内部の1.3倍以上である酸素プラズマ
    処理の表面層を有するアクリル系粘着層を基材の片面又
    は両面に有して、酸素プラズマ処理していないアクリル
    系粘着層の2倍以上の接着力を示すことを特徴とする粘
    着部材。
  2. 【請求項2】 CO/CH吸光度面積比が内部の2倍以
    上である酸素プラズマ処理の表面層を有するポリイソブ
    チレン系粘着層を基材の片面又は両面に有して、酸素プ
    ラズマ処理していないポリイソブチレン系粘着層の1.
    3倍以上の接着力を示すことを特徴とする粘着部材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014518910A (ja) * 2011-05-06 2014-08-07 テーザ・ソシエタス・ヨーロピア プラズマ処理により下地への感圧接着剤の付着特性を高める方法
JP2014522421A (ja) * 2011-05-06 2014-09-04 テーザ・ソシエタス・ヨーロピア 上面及び下面を有する感圧接着剤層の接着力を高める方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014518910A (ja) * 2011-05-06 2014-08-07 テーザ・ソシエタス・ヨーロピア プラズマ処理により下地への感圧接着剤の付着特性を高める方法
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