JP2000256605A - 油性ボールペンインキ - Google Patents

油性ボールペンインキ

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JP2000256605A JP5737299A JP5737299A JP2000256605A JP 2000256605 A JP2000256605 A JP 2000256605A JP 5737299 A JP5737299 A JP 5737299A JP 5737299 A JP5737299 A JP 5737299A JP 2000256605 A JP2000256605 A JP 2000256605A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボールペンで筆記を行う際に、方向性による
描線濃度のムラを生じ難い油性ボールペンインキを提供
する。 【解決手段】 有機溶剤、着色剤、樹脂、及び水を含有
し、水分量が油性ボールペンインキ全量に対して、0.
3重量%以上、3.0重量%未満であることを特徴とす
る油性ボールペンインキ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、方向性による描線
濃度のムラを生じ難い油性ボールペンインキに関する。
【0002】
【従来の技術】従来において、油性ボールペンは、耐水
性を始め筆跡の堅牢性に優れ、また、キャップオフ状態
にあってもインキの乾燥性が遅いのですぐに書き出すこ
とができ、更に、少ないインキ量で長時間筆記ができ、
且つ高筆圧で筆記できる等の特徴を有するものである。
このような油性ボールペンに用いられるインキは、25
℃における粘度が7000〜15000mPa・s程度
のものが極めて一般的である。一方、油性ボールペンの
軽い書き味を実現するには、前記したようなインキの粘
度が7000mPa・s以下のものが好ましい。しかし
ながら、従来のボールペンインキが7000〜1500
0mPa・sの粘度範囲に調整されるのは、インキの粘
度が高すぎるとインキ切れが起こりやすくなり、書き出
しが悪くなり、更に書き味がより重くなるためであり、
また、低すぎると、インキのボタ落ちが多くなり、筆記
描線がにじみ、裏抜けが多くなるためである。更に、イ
ンキの粘度が7000mPa・s以下になった場台、こ
のようなインキを用いたボールペンで筆記を行うと、ボ
ールペンチップのボールと受け座に局部的な摩耗が起こ
り、螺旋筆記をした際に、描線濃度にムラが生じるよう
になる方向性の発生という課題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題に鑑みなされたものであり、ボールペンで筆記を行
う際に、方向性による描線濃度のムラを生じ難い油性ボ
ールペンインキを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、油性ボールペン
インキに水を含有させることにより、ボールペンで筆記
を行う際に、方向性による描線濃度のムラを生じ難い油
性ボールペンインキが得られることを見い出し、本発明
を完成するに至ったのである。
【0005】即ち、本発明の油性ボールペンインキは、
次の(1)〜(3)に存する。 (1)有機溶剤、着色剤、樹脂、及び水を含有し、水分
量が油性ボールペンインキ全量に対して、0.3重量%
以上、3.0重量%未満であることを特徴とする油性ボ
ールペンインキ。
【0006】(2)樹脂が、ベンジルアルコールとフェ
ノキシエタノールとの1:4混合溶剤に、該混合溶剤と
該樹脂とを7:3で溶解し、その得られた溶液の粘度が
剪断速度5/s、25℃で300mPa・s以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の油性ボールペンイン
キ。
【0007】(3)剪断速度5/s、25℃における油
性ボールペンインキの粘度が、1000〜7000mP
a・sであることを特徴とする(1)又は(2)に記載
の油性ボールペンインキ。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。本発明の油性ボールペンインキは、有機溶
剤、着色剤、樹脂、及び水を含有し、水分量が油性ボー
ルペンインキ全量に対して、0.3重量%以上、3.0
重量%未満であることを特徴とする。
【0009】本発明の油性ボールペンインキ中の水分量
は、本発明の油性ボールペンインキ全量に対して、0.
3重量%以上、3.0重量%未満、好ましくは0.4〜
2.0重量%、より好ましくは0.4重量%以上、2.
0重量%未満、更に好ましくは0.7重量%以上、1.
9重量%未満の範囲から適宜選択される。水分量が0.
3重量%未満であると、本発明の油性ボールペンインキ
に方向性による描線濃度のムラが生じてしまい、また、
水分量が3.0重量%以上であると、本発明の油性ボー
ルペンインキを充填したボールペンリフィールを放置し
たときに、チップの腐食等が発生し、筆記不能となる。
また、水分量の測定方法は、一般に使用されている方法
ならいかなるものでも良く、本発明では、カールフィッ
シャー水分計により水分量の測定を行った。尚、本発明
の油性ボールペンインキ中の水分量は、水の添加量と必
ずしも一致するものではない。
【0010】本発明で用いられる有機溶剤としては、通
常の油性ボールペンインキに用いられる溶剤であれば特
に限定されないが、例えばエチレングリコールモノフェ
ニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエー
テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレ
ングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリ
コールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、
例えば、ベンジルアルコール、2-フェノキシエタノール
等の芳香族アルコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、トリメチレングリコール、1,3-ブチレングリ
コール、ヘキシレングリコール、グリセリン等の多価ア
ルコール等のアルコール類、例えばプロピレングリコー
ルメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルア
セテート類、テトラリン、N-メチル-2-ピロリドン等が
挙げられる。これら有機溶剤は、夫々単独で用いても二
種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0011】有機溶剤の使用量は特に限定されないが、
油性ボールペンインキ全量に対して、30〜80重量
%、好ましくは35〜70重量%、より好ましくは40
〜60重量%の範囲から適宜選択される。尚、有機溶剤
の使用量が30重量%未満であると、本発明の油性ボー
ルペンインキの粘度が所望の範囲とならず、好ましい粘
度範囲の7000mPa・sを越えてしまい、また、使
用量が80重量%を越えると、本発明の油性ボールペン
インキの粘度が所望の範囲とならず、好ましい粘度範囲
の1000mPa・s未満となる。
【0012】本発明で用いられる着色剤は、従来よりボ
ールペンインキに用いられている染料及び/又は顔料の
すべてが使用可能である。染料としては、可溶化やマイ
クロカプセル化等をしたものでも良く、例えばバリファ
ーストカラー〔オリエント化学工業(株)製商品名〕、ア
イゼンスピロン染料、アイゼンSOT染料〔以上、保土
谷化学工業(株)製商品名〕等が挙げられる。顔料として
は、樹脂や界面活性剤等で表面改質した加工顔料や分散
トナーでも良く、例えば酸化チタン、カーボンブラッ
ク、金属粉等の無機系顔料、例えばアゾレーキ、不溶性
アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペ
リレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、
染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料等の有機系顔料
等が挙げられる。これら着色剤は、夫々単独で用いても
二種以上適宜組み合わせて用いても良い。
【0013】着色剤の使用量は特に限定されないが、3
〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲から
適宜選択される。尚、使用量が3重量%未満であると、
筆記描線に所望の色相が得られず、また、使用量が50
重量%を越えると、所望の粘度範囲のインキを得るため
の配合の自由度がなくなってしまい、好ましい粘度範囲
の1000〜7000mPa・sのインキを得るための
配合の自由度がなくなってしまう。
【0014】本発明で用いられる樹脂は、一般に油性ボ
ールペンインキに用いられるものであれば特に限定され
ず何れも使用可能であるが、該インキの粘度を調整する
ための粘度調整剤や、着色剤の固着性、耐水性や分散安
定性を向上させる等のために用いられるものである。該
樹脂の具体例としては、例えばケトン樹脂、フェノール
樹脂、マレイン樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレンオキ
サイド、ロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、クロ
マン−インデン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合
体、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸−ポリ
メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、
夫々単独で用いても二種以上適宜組み合わせて用いても
良い。
【0015】上記樹脂の中でも、特に、ベンジルアルコ
ールとフェノキシエタノールとの1:4混合溶剤に、該
混合溶剤と該樹脂とを重量比7:3で溶解し、その得ら
れた溶液の粘度が剪断速度5/s、25℃で300mP
a・s以下、好ましくは200mPa・s以下、より好
ましくは150mPa・s以下、更に好ましくは15〜
150mPa・sになる樹脂を用いると、本発明の油性
ボールペンインキの方向性による描線濃度のムラがより
生じ難くなる。
【0016】樹脂の使用量は特に限定されないが、0.
1〜50重量%、好ましくは0.3〜40重量%の範囲
から適宜選択される。尚、樹脂の使用量が0.1重量%
未満であると、筆記描線の堅牢性及び紙面への固着性が
悪くなり、また、使用量が50重量%を越えると、所望
の粘度範囲のインキを得るための配合の自由度がなくな
ってしまい、好ましい粘度範囲の1000〜7000m
Pa・sのインキを得るための配合の自由度がなくなっ
てしまう。
【0017】本発明の油性ボールペンインキには、必要
に応じて該インキの性質を損なわない範囲で上記以外の
成分を含有させても良い。含有可能な成分としては、油
性インキに用いられる添加剤であれば良く、例えば界面
活性剤、防菌剤、潤滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、分
散剤等が挙げられる。
【0018】本発明の油性ボールペンインキを製造する
には、従来から行われている公知の種々の方法により行
えば良い。
【0019】また、水の添加方法は特に限定されない
が、水以外の成分を適宜混合したインキの調製液中に水
をそのままの状態で添加しても、氷の状態で添加して
も、或いは、水蒸気の状態で前記インキの調製液に吸湿
させることにより添加しても良い。更に、水の添加方法
として、染料等の着色剤や樹脂などの本発明の油性ボー
ルペンインキに用いる成分に予め水分を吸湿や吸水させ
ておき、インキの調製時に前記したような水を含んだ成
分を添加することにより、水がインキ中に添加されるよ
うにしておいても良い。更にまた、本発明の油性ボール
ペンインキ中に含有させる水は、該インキの調製時のい
かなる段階で添加しても良い。
【0020】本発明の油性ボールペンインキの粘度は特
に限定されないが、剪断速度5/s、25℃における粘
度が、好ましくは1000〜7000mPa・s、より
好ましくは2000〜5000mPa・sの範囲で使用
可能である。尚、粘度が1000mPa・s未満である
と、筆記描線に悪影響をおよぼし、また、粘度が700
0mPa・sを越えると、書き味が重くなる。
【0021】本発明の油性ボールペンインキは、有機溶
剤と着色剤と樹脂とを少なくとも含む油性ボールペンイ
ンキに、水を含有させることが特徴である。該水は、本
発明の油性ボールペンインキ中に溶解している。それに
より、インキの方向性による描線濃度のムラが生じ難く
なる等の効果を奏するものである。このようなインキが
得られる理由は、例えば以下に示す2つの現象が夫々方
向性を抑制する効果を与えていると考えられる。
【0022】・現象1 本発明の油性ボールペンインキ中に含有されている水の
分子が、該ボールペンインキを充填したボールペンのチ
ップの受け座の金属の表面に強く吸着し、この金属表面
上に水が分子層を形成することにより、金属同士の接触
が起こらなくさせる作用を示す。そのため、局部的な摩
耗が起こり難くなるため、インキの方向性の発生が抑制
されると考えられる。
【0023】・現象2 水は、一般に油性ボールペンインキに使用される溶剤よ
り粘度が低い。そのため、油性ボールペンインキに水が
含有されているものと水が含有されてないものとを調製
する際に、同じ樹脂を使用した場合、水が含有されてい
るインキは、水が含有されていないインキに比べて、夫
々のインキを同じ粘度に調整するための前記樹脂の添加
量が増加する。つまり、インキ中の固形分の量が必然的
に増加することとなる。そのため、固形分の増加が方向
性にどう作用するのかは定かではないが、本発明の油性
ボールペンインキは、該インキを充填したボールペンの
チップと該チップの受け座間にインキ膜を形成し、その
該チップと該受け座間に存在するインキ膜が強い剪断を
うけても切れにくくなるのではないかと考えられる。
【0024】また、本発明の油性ボールペンインキは、
樹脂として、ベンジルアルコールとフェノキシエタノー
ルとの1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該樹脂とを重量
比7:3で溶解し、その得られた溶液の粘度が、剪断速
度5/s、25℃で300mPa・s以下になるものを
特に使用した場合には、本発明の油性ボールペンインキ
の方向性による描線濃度のムラが更に生じ難くなる。こ
の理由は以下のように考えられる。即ち、上記したよう
な樹脂を使用した油性ボールペンインキは、ベンジルア
ルコールとフェノキシエタノールとの1:4混合溶剤
と、樹脂とを重量比7:3で溶解した際の溶液の粘度
が、剪断速度5/s、25℃で300mPa・sを越え
る樹脂を使用した油性ボールペンインキよりも、300
mPa・sを越える樹脂を使用した油性ボールペンイン
キと同じ粘度に調整するための樹脂の添加量が増加す
る。つまり、インキ中の固形分の量が必然的に増如する
こととなる。そのため、上記現象2でも述べたように、
固形分の増加が方向性にどう作用するのかは定かではな
いが、本発明の油性ボールペンインキは、該インキを充
填したボールペンのチップと該チップの受け座間にイン
キ膜を形成し、その該チップと該受け座間に存在するイ
ンキ膜が強い剪断をうけても切れにくくなるのではない
かと考えられる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例、比較例及び試験例等を挙げ
て本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例によ
って何ら限定されるものではない。尚、実施例及び比較
例で得られた油性ボールペンインキ中の水分量の測定
は、カールフィッシャー水分計により行った。
【0026】 実施例1. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K15(ISP社製。粘度調整剤。) 5.0重量% 水 1.5重量% フェノキシエタノール 41.6重量% ベンジルアルコール 10.4重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。更に、粘度調整剤として使用した樹脂PVP K
15は、ベンジルアルコールとフェノキシエタノールと
の1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該PVP K15と
を7:3で溶解し、その得られた溶液の粘度が剪断速度
5/s、25℃で690mPa・sであった。
【0027】 実施例2. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% SMA−1440A 6.5重量% (ARCOケミカルアジアパシフィックリミテッド製。粘度調整剤。) 水 1.5重量% フェノキシエタノール 40.4重量% ベンジルアルコール 10.1重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。更に、粘度調整剤として使用した樹脂SMA−1
440Aは、ベンジルアルコールとフェノキシエタノー
ルとの1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該SMA−14
40Aとを7:3で溶解し、その得られた溶液の粘度が
剪断速度5/s、25℃で360mPa・sであった。
【0028】 実施例3. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% ハイラック#110H〔日立化成工業(株)製。粘度調整剤。〕 9.0重量% 水 1.5重量% フェノキシエタノール 38.4重量% ベンジルアルコール 9.6重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。更に、粘度調整剤として使用した樹脂ハイラック
#110Hは、ベンジルアルコールとフェノキシエタノ
ールとの1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該ハイラック
#110Hとを7:3で溶解し、その得られた溶液の粘
度が剪断速度5/s、25℃で260mPa・aであっ
た。
【0029】 実施例4. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% トラフィックス4102〔荒川化学工業(株)製。粘度調整剤。) 11.0重量% 水 1.5重量% フェノキシエタノール 36.8重量% ベンジルアルコール 9.2重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。更に、粘度調整剤として使用した樹脂トラフィッ
クス4102は、ベンジルアルコールとフェノキシエタ
ノールとの1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該トラフィ
ックス4102とを7:3で溶解し、その得られた溶液
の粘度が剪断速度5/s、25℃で100mPa・sで
あった。
【0030】 実施例5. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% アビトール(HERCULES POWDER社製。粘度調整剤。) 17.0重量% 水 1.5重量% フェノキシエタノール 32.0重量% ベンジルアルコール 8.0重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。更に、粘度調整剤として使用したアビトールは、
ベンジルアルコールとフエノキシエタノールとの1:4
混合溶剤に、該混合溶剤と該アビトールとを7:3で溶
解し、その得られた溶液の粘度が剪断速度5/s、25
℃で35mPa・sであった。
【0031】 実施例6. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% トラフィックス4102〔荒川化学工業(株)製。粘度調整剤。) 8.1重量% 水 0.4重量% フェノキシエタノール 40.0重量% ベンジルアルコール 10.0重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。
【0032】 実施例7. スピロンブラックGMH〔保土谷化学工業(株)製〕 13.0重量% バリファーストバイオレット#1701〔オリエント化学工業(株)製〕 17.0重量% スピロンイエローC−GNH〔保土谷化学工業(株)製〕 7.0重量% ポリビニルピロリドン:PVP K90(ISP社製) 0.5重量% オレイン酸 4.0重量% トラフィックス4102〔荒川化学工業(株)製。粘度調整剤。) 13.7重量% 水 2.8重量% フェノキシエタノール 33.6重量% ベンジルアルコール 8.4重量% 上記成分のうち水を除いた各成分を上記割合で混合し、
60℃で5時間加熱撹拌した。次いで、得られた混合物
に上記割合の水を添加した後、60℃で15分間加熱撹
拌して、目的の油性ボールペン黒色インキを得た。得ら
れた油性ボールペン黒色インキは剪断速度5/s、25
℃での粘度が1000〜7000mPa・sの範囲のも
のであった。また、得られた油性ボールペン黒色インキ
中の水分量は、油性ボールペン黒色インキ全量に対し
て、0.3重量%以上、3.0重量%未満の範囲内であ
った。
【0033】比較例1〜7.実施例1〜7において、水
の代わりに、粘度調整剤及びベンジルアルコールとフェ
ノキシエタノールとの1:4混合溶剤とを夫々の実施例
で得られた油性ボールペンインキと同様の粘度となる量
を夫々加え、実施例1〜7で得られた油性ボールペンイ
ンキと同様の粘度の油性ボールペン黒色インキを夫々得
た。得られた夫々の油性ボールペン黒色インキの水分量
は、何れも油性ボールペン黒色インキ全量に対して、
0.3重量%未満であった。
【0034】比較例8〜12.実施例1〜5において、
水の量を4.0重量%とし、また、粘度調整剤及びベン
ジルアルコールとフェノキシエタノールとの1:4混合
溶剤とを夫々の実施例で得られた油性ボールペンインキ
と同様の粘度となる量を夫々加え、実施例1〜5で得ら
れた油性ボールペンインキと同様の粘度の油性ボールペ
ン黒色インキを夫々得た。得られた夫々の油性ボールペ
ン黒色インキの水分量は、何れも油性ボールペン黒色イ
ンキ全量に対して、3.0重量%以上であった。
【0035】下記表1に、実施例1〜7及び比較例1〜
12で得られた油性ボールペンインキ中の水分量を、カ
ールフィッシャー水分計により測定した結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】試験例1.実施例1〜7及び比較例1〜7
で得られた油性ボールペン黒色インキをボール径0.5
mmのステンレスチップを用いたボールペンリフィールに
夫々充填し、方向性確認試験を下記方法により行った。
これらの評価結果を下記表2及び表3に示す。
【0038】・方向性確認試験 上記のようにして作製したボールペンリフィールをボー
ルペンの軸に入れ、室温25℃、湿度60%の恒温恒湿
室において、荷重200g、角度60°、4.5m/m
in.で連続螺旋機械筆記を500m行った。また、こ
の連続螺旋機械筆記は、筆記中、軸本体も10mで一回
自転する条件で行った。得られた描線の0〜30m(初
期)と470〜500m(末期)とを比較し、下記評価
基準で判定した。尚、データは試料数10本中の最頻値
である。
【0039】・方向性確認試験評価基準 ◎:初期は描線状態に全くムラがなく、末期でも描線状
態が変化しない。 〇:初期は描線状態に全くムラがなく、末期ではわずか
ではあるが描線濃度にムラが生じる。 △:初期は描線状態に全くムラがなく、末期では描線濃
度にムラが多少生じる。 △△:初期は描線状態に全くムラがなく、末期では描線
濃度のムラが著しく生じる。 ×:初期は描線状態に全くムラがなく、末期では全体の
描線濃度が著しく薄くなる。 ××:初期は描線状態に全くムラがなく、末期では筆記
不能となってしまう。
【0040】
【表2】
【0041】(表2の考察)表2は、樹脂として、ベン
ジルアルコールとフェノキシエタノールとの1:4混合
溶剤と、該樹脂とを7:3で溶解した際の溶液の粘度
が、剪断速度5/s、25℃で300mPa・sを越え
るものを用いた結果である。表2の結果から明らかなよ
うに、実施例1及び2で得られた本発明の油性ボールペ
ンインキは、比較例1及び2で得られた水分量が0.3
重量%未満である油性ボールペンインキに比べ、同粘度
において、方向性による描線濃度のムラが生じ難いイン
キであることが判る。このことからも本発明の油性ボー
ルペンインキが明らかに優れたものであることが判る。
【0042】
【表3】
【0043】(表3の考察)表3は、樹脂として、ベン
ジルアルコールとフェノキシエタノールとの1:4混合
溶剤と、該樹脂とを7:3で溶解した際の溶液の粘度
が、剪断速度5/s、25℃で300mPa・s以下の
ものを用いた結果である。表3の結果から明らかなよう
に、実施例3〜7で得られた本発明の油性ボールペンイ
ンキは、比較例3〜7で得られた水分量が0.3重量%
未満である油性ボールペンインキに比べ、同粘度におい
て、方向性による描線濃度のムラが生じ難いインキであ
ることが判る。このことからも本発明の油性ボールペン
インキが明らかに優れたものであることが判る。また、
ベンジルアルコールとフェノキシエタノールとの1:4
混合溶剤に、該混合溶剤と樹脂とを7:3で溶解した溶
液の粘度が、剪断速度5/s、25℃で300mPa・
s以下である樹脂を用いた実施例3〜7で得られた本発
明の油性ボールペンインキは、その粘度を越える樹脂を
用いた実施例1及び2よりも、より描線濃度のムラが生
じ難いものとなった。
【0044】試験例2.実施例1〜5及び比較例8〜1
2で得られた油性ボールペン黒色インキをボール径0.
5mmのステンレスチップを用いたボールペンリフィール
に夫々充填し、チップ腐食試験を下記方法により行っ
た。これらの評価結果を下記表4に示す。
【0045】・チップ腐食試験 上記のようにして作製したボールペンリフィールを50
℃、80%の恒温槽中に放置した。3ヶ月後、恒温槽か
らボールペンリフィールを取り出し、室温で1日放置し
た。次いで、この室温で1日放置したボールペンリフィ
ールについて、手書き螺旋筆記を行い、その筆記性を下
記評価基準で評価した。尚、前記評価は、試料数を夫々
10本で行った。
【0046】・チップ腐食試験評価基準 〇:すべてが問題なく筆記できる。 △:50%未満のカスレ及び筆記不能が生じる。 ×:50%以上のカスレ及び筆記不能が生じる。
【0047】
【表4】
【0048】(表4の考察)表4の結果から明らかなよ
うに、実施例1〜5で得られた本発明の油性ボールペン
インキは、比較例8〜12で得られた水分量が3.0重
量%以上の油性ボールペンインキに比べ、螺旋筆記を行
った際に、描線のカスレや筆記不能が生じにくく、筆記
性が良好なものであった。また、カスレや筆記不能が生
じた比較例8〜12で得られた油性ボールペンインキを
充填したボールペンリフィールについて、そのボールペ
ンリフィールのチップ及び該チップ先端部付近のインキ
とを顕微鏡で観察した。その結果、チップには、そのチ
ップのボール受け座に腐食孔らしきものが見受けられ、
また、チップ先端部付近のインキには、腐食生成物らし
き異物の存在が見受けられた。以上のことからも、本発
明の油性ボールペンインキが優れたものであることが判
る。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の油性ボール
ペンインキは、水を該インキ中に含有させることによ
り、該インキの方向性による描線濃度のムラを生じ難
い、という効果を奏するものである。また、樹脂とし
て、特に、ベンジルアルコールとフェノキシエタノール
との1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該樹脂とを重量比
7:3で溶解した溶液の粘度が、剪断速度5/s、25
℃で300mPa・s以下になるものを使用した場合に
は、インキの方向性による描線濃度のムラが更に生じ難
くなる、という効果も奏するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J039 AB08 AD07 AD08 AD09 AD10 AD14 AD19 AD23 AE01 AE02 AE07 BA04 BA06 BA13 BA35 BC02 BC07 BC09 BC12 BC13 BC17 BC20 BC36 BC39 BC47 BC50 BC60 BE01 BE12 CA04 CA07 GA27

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤、着色剤、樹脂、及び水を含有
    し、水分量が油性ボールペンインキ全量に対して、0.
    3重量%以上、3.0重量%未満であることを特徴とす
    る油性ボールペンインキ。
  2. 【請求項2】 樹脂が、ベンジルアルコールとフェノキ
    シエタノールとの1:4混合溶剤に、該混合溶剤と該樹
    脂とを7:3で溶解し、その得られた溶液の粘度が剪断
    速度5/s、25℃で300mPa・s以下であること
    を特徴とする請求項1に記載の油性ボールペンインキ。
  3. 【請求項3】 剪断速度5/s、25℃における油性ボ
    ールペンインキの粘度が、1000〜7000mPa・
    sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の油性
    ボールペンインキ。
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