JP2000254754A - アルミニウム合金製ローター素材の製造方法およびアルミニウム合金製ローター素材 - Google Patents

アルミニウム合金製ローター素材の製造方法およびアルミニウム合金製ローター素材

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JP2000254754A
JP2000254754A JP11060183A JP6018399A JP2000254754A JP 2000254754 A JP2000254754 A JP 2000254754A JP 11060183 A JP11060183 A JP 11060183A JP 6018399 A JP6018399 A JP 6018399A JP 2000254754 A JP2000254754 A JP 2000254754A
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die
rotor
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Shin Miura
伸 三浦
Iwao Hashimoto
巌 橋本
Hidemi Yamada
英実 山田
Yoshiyuki Anazawa
良幸 穴沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金製ローター素材を熱間鍛造
法により製造するにあたり、ベーン収納溝の寸法精度を
向上させるために、本来必要な寸法よりも長い鍛造品を
得、その後ベーン収納溝の幅拡がりが生じている端面付
近を切削除去する場合において、切削加工代を少なくし
て歩留りの向上、切削加工時間の短縮を図る。 【解決手段】 ベーン収納溝を形成するダイス羽根部の
下側に位置するアンビルの上面に、ローター素材外径よ
り小さい径の隆起部を形成しておき、ローター素材の鍛
造時にその隆起部の外周側の部位まで素材が入り込むよ
うに鍛造成形することにより、外周部が中央部よりも長
く突出するように成形された鍛造品を得、その後、前記
外周部における中央部よりも長く突出する部分を切削加
工により除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車に搭載さ
れるロータリー式コンプレッサーやブレーキ制御用のロ
ータリー式真空ポンプ等のローターとして使用されるア
ルミニウム合金製ローター素材の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】自動車に搭載されるロータリー式コンプ
レッサーやブレーキ制御用のロータリー式真空ポンプな
どのローターとしては、主として軽量化の観点からアル
ミニウム合金製のものを用いることが多くなっている。
一方、このようなローターの製作に用いられるローター
素材1は、一般には例えば図12、図13に示すよう
に、全体として短円柱状をなし、かつ外周面から内側に
向ってベーン収納のための複数の溝(ベーン収納溝)2
が切り込まれた形状となっている。なお各ベーン収納溝
2は、その切込方向中心線2aが、ローター素材1の外
径直径線1aに対して所定の距離dだけ偏位(オフセッ
ト)した位置に形成されている。したがって各ベーン収
納溝2は、短円柱状のローター素材の外周面から、その
切込位置におけるローター素材の半径方向線に対して所
定角度傾いた方向に切込まれていることになる。このよ
うなローター素材1を実際にローターとするためには、
ローター素材1の中心部に機械加工によってシャフト挿
入用の孔を形成し、そのほか寸法出しのための機械加工
や熱処理を施してローターとするのが通常である。
【0003】ところで前述のようなローター素材の製造
方法としては、従来は熱間押出法が主流であった。すな
わち、各ベーン収納溝に対応するようにダイス内側へ突
出する羽根部を有する押出しダイスを用い、熱間で棒材
を押出してベーン収納溝を有する長尺な押出材を得、そ
の長尺な押出材を輪切りにしてローター素材を得る方法
である。このような熱間押出法を適用した場合、1本の
押出材から多数のローター素材が得られるため、ロータ
ー素材を高能率で製造できるという利点はあるが、その
反面、特に長尺の押出材ではねじれや曲がりが大きく発
生するため、押出材を輪切りにして得られた各ローター
素材におけるベーン収納溝の寸法精度、位置精度が悪く
ならざるを得ないという問題がある。
【0004】すなわち、ベーン収納溝を形成すべき押出
ダイスの羽根部は、ダイス内周面から半径方向に対し傾
斜した状態で突出しているため、押出時の材料の塑性流
動(フロー)がダイス羽根部の両側でアンバランスとな
り、そのため押出材に不均一な残留応力が生じて、その
残留応力により押出材にねじれや曲がりが生じやすくな
る傾向を示し、特にその影響は長尺の押出材の場合に大
きくなる。そしてこのような大きなねじれや曲がりが生
じた押出材を輪切りにしてローター素材とすれば、その
ベーン収納溝の寸法精度、位置精度が低いローター素材
しか得られないのである。またこのような熱間押出で
は、ダイスと材料との間を潤滑することが困難であるた
め、製品の表面性状が悪くなり易く、表面にクラックが
生じ易いという問題もある。
【0005】一方、最近ではローター素材を型鍛造によ
る熱間鍛造で製造する方法も開発されている。これは、
図14の(A)〜(C)に段階的に示すように、アンビ
ル(定盤)3上に鍛造用ダイス4およびケース5を配置
し、予め熱間鍛造温度に加熱された鍛造用材料(ブラン
ク)6を上方からケース5内に挿入して、そのブランク
6を加圧パンチ7により加圧し、ダイス4内で鍛造成形
して、鍛造品12とした後、ノックアウトピン8によっ
て鍛造品12を突き出すものである。ここでダイス4
は、内周面からベーン収納溝に対応する複数の羽根部9
が突出する形状とされており、その羽根部9によって鍛
造品にベーン収納溝2が形成されることになる。
【0006】上述のような熱間鍛造によってローター素
材を製造する場合も、熱間押出と同様に鍛造時における
ダイス羽根部の両側での塑性流動にアンバランスが生じ
ることは避け得ないが、1回の鍛造で1個分の長さの短
いローター素材を鍛造するため、長尺な棒材を押出す場
合と比較すれば、塑性流動のアンバランスによる残留応
力の影響は少なくなり、そのため寸法精度の高いロータ
ー素材を得ることが可能となり、また潤滑も容易である
ため、表面性状が良好でクラックの発生するおそれが少
ないローター素材を得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにローター
素材を熱間鍛造によって製造する場合は、熱間押出によ
る場合の問題をある程度解消することができるが、その
反面、新たに別の問題が発生している。
【0008】すなわち、熱間鍛造による場合、アンビル
の上面とダイス下端部の表面とが直角状をなす隅部、特
にダイス羽根部の基端部両側の隅部では、鍛造時にその
隅部の奥まで充分に材料を充填させることが困難であ
り、そのため上述の隅部に対応するベーン収納溝の縁部
にいわゆる“ダレ”が生じて、ベーン収納溝の溝幅が製
品端面の特に周辺部で拡大し、ベーン収納溝の寸法精度
が悪くなってしまうという問題がある。
【0009】もちろん原理的には、鍛造荷重を充分に高
くすれば、前述のような隅部まで充分に材料を充填する
ことが可能となってベーン収納溝の溝幅の拡大の問題の
発生を防止することは可能と考えられるが、その場合は
ダイスに加わる荷重が過大となり、ダイス寿命が短くな
ってしまうという問題が生じるほか、ダイスに加わる大
きな荷重によってダイス羽根部が変形し、逆にベーン収
納溝の寸法精度が低下してしまうという問題も生じてし
まう。また一方、鍛造速度を遅くすることによって鍛造
時における材料の塑性流動速度を遅くすれば、ある程度
前述の問題を解決することも可能であるが、その場合は
生産性が低下してしまうという問題が生じる。
【0010】さらに、鍛造時に材料の先端面に鍛造方向
と逆向きの荷重を加えながら材料を圧下させる背圧鍛造
法を適用することも考えられ、この背圧鍛造法によれば
荷重が伝わりにくい材料先端部も高精度で成形すること
が可能となり、したがってローター素材の鍛造に適用す
れば前述のような隅部にも材料を充分に充填して、寸法
精度が高いローター素材を得ることができると考えられ
る。しかしながら背圧鍛造法を適用するためには、高価
かつ特殊な鍛造プレス機が必要となってしまうという設
備的な制約がある。
【0011】そこで現実的な解決策として、鍛造品を、
本来必要な寸法(すなわち製品寸法に仕上げ加工代を加
えた寸法)よりも長尺となるように鍛造し、その後に鍛
造品における溝幅が広がっている端面付近を切削除去す
る方法を適用しているのが実情であるが、この場合は材
料投入量および切削加工代の大幅な増大を招いて、歩留
りが大幅に低下するとともに切削加工に要する時間が長
くなり、その結果ローター素材のコストを大幅に押上げ
ざるを得なかったのが実情である。
【0012】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、ローター素材を熱間鍛造法によって製造する
にあたり、鍛造直後の鍛造品におけるベーン収納溝の溝
幅の広がりが生じている端面付近の部分を切削除去する
ことによって寸法精度の高いローター素材を得る場合に
おいて、鍛造品に対する切削加工代を可及的に少なくし
て、歩留りの向上を図るとともに仕上切削加工時間の短
縮を図り、これによりローター素材製造コストの低減を
図ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、この発明のローター素材の製造方法では、基
本的には、外周面から切込まれた形状の複数のベーン収
納溝を有するアルミニウム合金製ローター素材を熱間鍛
造法により製造するにあたり、ベーン収納溝を形成する
ためのダイス羽根部の下側に位置するアンビルの上面
に、得るべきローター素材の外径より小さい径の隆起部
を形成しておき、鍛造時に前記隆起部の外周側の部位ま
で鍛造材料が入り込むように鍛造成形することにより、
外周部が中央部よりも長く突出するように成形された鍛
造品を得、その後、鍛造品の外周部における中央部より
も長く突出する部分を切削加工により除去することを特
徴としている。
【0014】ここで、前記アンビルの隆起部の面積は、
ローター素材の端面の面積の30%以上90%以下の範
囲内とすることが好ましく、また隆起部の高さは0.3
mm以上10mm以下の範囲内とすることが好ましい。
【0015】さらにこの発明では、前述のような製造方
法によって得られたローター素材を規定している。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態について、
図1〜図9を参照して具体的に説明する。
【0017】図1および図2は、この発明の実施に用い
られる鍛造用金型におけるアンビルの一例、すなわちこ
の発明で特徴的な隆起部10を形成したアンビル3の一
例を示す図である。ここで、アンビル3は、従来の一般
的なローター素材鍛造用の金型におけるアンビルと同様
な全体として平板な円盤状をなすアンビル基体3Aの上
面に、上方へ突出する隆起部10を形成した構成とさ
れ、かつそのアンビル3の中央には従来のものと同様に
厚さ方向の上下に貫通するノックアウトピン挿通用の貫
通孔11が形成されている。
【0018】前記隆起部10は、後述するダイスの内径
(したがって得るべきローター素材の外径)よりも小さ
い径で全体的に円盤状に上方へ隆起するように形成され
ている。そしてこの隆起部10の外周側からは、後述す
るようにローター素材にベーン収納溝を形成するための
ダイス羽根部の先端下部が挿入される複数の切込部10
Aが形成されている。なおこの例では、隆起部10はそ
の上面10Bが平坦な水平面とされており、その上面1
0Bの周縁はほぼ垂直に切落されて、外周面10Cがほ
ぼ垂直な円筒面とされ、その外周面10Cの下端と前記
アンビル基体3Aの上面とのなす隅部11もほぼ直角状
となっている。
【0019】次に図1、図2に示されるような隆起部1
0を有するアンビル3を組込んだ鍛造用金型を用いてロ
ーター素材を鍛造する過程について図3の(A)〜
(C)を参照して段階的に説明する。
【0020】予め鍛造材料となるビレット状(円柱状)
のアルミニウム合金材料を所定の長さに切断するととも
に、所定の鍛造温度に加熱して、図3の(A)に示すよ
うにブランク6としてケース5内に投入する。ここで、
ブランク6の体積は、後述するように必要とされるロー
ター素材の体積に対し、鍛造品の外周部における中央部
より突出する部分の体積と押し残し余長部分の体積との
合計体積分だけ大きい体積としておく。またケース5の
内径は、鍛造後の素材のノックアウトを円滑に行なうた
め、ダイス4の内径と同じかまたはダイスの内径より若
干大径としておく。
【0021】上述のようにブランク6を投入した後、上
方から加圧パンチ7を下降させ、ブランク6をダイス4
内へ押し込んで圧縮鍛造する。加圧パンチ7をそのスト
ロークの最下端まで下降させた状態を図3の(B)に示
す。このようにブランク6をダイス4内へ押込む過程
で、ブランク6の材料には、ダイス羽根部9によりベー
ン収納溝2が形成されていく。そしてブランク6の下面
中央部はアンビル3上の隆起部10に当接するが、さら
にブランク6は下方へ押込まれて、隆起部10の外周側
の空間へも材料が入り込む。したがってブランク6を圧
縮鍛造してなる鍛造品12は、中央部(アンビル3上の
隆起部10に対応する部分)よりも外周部(隆起部10
の外周側に相当する部分)が下方へ長く突出した形状と
なる。
【0022】その後、図3の(C)に示すようにノック
アウトピン8を上昇させて鍛造品12を突上げ、ダイス
4およびケース5から排出させる。
【0023】このようにして得られた鍛造品12の形状
を図4、図5に示す。これらの図に示すように、鍛造品
12の全長Lは、従来の通常のローター素材用鍛造品で
も必然的に存在する押し残し余長部分12Aの長さLa
と、最終的に得るべきローター素材の部分12Bの長さ
Lbと、鍛造時におけるアンビル3上の隆起部10の外
側に相当する外周部突出部分12Cの長さLcとの合計
長さとなっている。すなわち、得られた鍛造品は、その
中央部よりも外周部が長さLc分だけ突出していること
になる。なおベーン収納溝2は、最終的に得るべきロー
ター素材の部分12B(長さLbの部分)から外周部突
出部分12C(長さLcの部分)の端面にわたって形成
されている。ここで長さLcの外周部突出部分12Cの
端面付近においては、既に述べた従来技術の場合と同様
に、ベーン収納溝2の溝幅が特にその周辺部で拡大して
しまう傾向を示すが、この外周部突出部分12Cは、次
に述べる切削加工によって除去されて最終製品には残ら
ないため、溝幅の拡大は特に問題とならない。
【0024】上述のようにして得られた鍛造品12につ
いては、その後、切削加工等の機械加工を施して長さL
cの外周部突出部分12Cを除去するとともに、同じく
切削加工によって長さLaの押し残し余長部分12Aを
除去する。これによって図13、図14に示したと同様
なローター素材が得られる。
【0025】さらに上述のようなローター素材を用いて
ローターを製造するにあたっては、通常は溶体化処理−
人工時効硬化処理、すなわちいわゆるT6処理を施す。
このT6処理の条件は特に限定されるものではなく、使
用するアルミニウム合金の成分組成によって異なるが、
一般には500〜540℃程度で溶体化処理して焼入れ
た後、165〜205℃程度で10時間程度以上の人工
時効処理を施す。その後、機械加工によって中央部にロ
ーター軸挿通用の貫通孔を形成し、さらに外周切削を行
なってからベーン収納溝の内面を研磨し、その後必要に
応じて表面にフッ化加工を施す。
【0026】以上の過程において、鍛造品12の段階で
は前述の如く端面付近においてベーン収納溝に幅拡がり
が生じていることが多いが、その部分は外周部突出部分
(余長部分)12Cとして切削加工により除去されるか
ら、その切削加工後のローター素材の段階ではベーン収
納溝の端部として幅拡がりが生じていない部分が露呈す
ることになる。すなわち、ローター素材としてはその寸
法精度が高いものが得られることになる。またここで、
切削加工により除去する長さLcの部分12Cは、外周
部のみが下方へ突出した部分であって、下面側からアン
ビルの隆起部に対応する凹部が形成されているため、切
削加工により除去すべき部分の体積は、上述のような凹
部が存在しない従来技術の場合と比較して、格段に少な
くて済む。したがって鍛造のための材料投入量および切
削除去量が少なくて済むとともに、切削加工に要する時
間が短くて済む。
【0027】以上のところにおいて、アンビル上の隆起
部については、その面積(ダイス側から見た面積)がロ
ーター素材の端面よりも小さ過ぎる場合は、鍛造用材料
投入量および切削除去量を低減させる効果が充分ではな
く、一方逆に隆起部の面積が大き過ぎる場合は、鍛造時
において隆起部の周囲の空間に材料を充分に張り出させ
ることが困難となるから、隆起部10の面積は適切な範
囲内とする必要がある。本発明者等の実験によれば、隆
起部10の面積は、ローター素材端面の面積の30%以
上90%以下とする必要があり、またその範囲内でも特
に65%以上85%以下が好ましいことが判明してい
る。
【0028】またアンビル3上の隆起部10の高さが低
過ぎれば、鍛造後に除去される外周部突出部分12Cの
長さが短くなり、そのためベーン収納溝2の幅拡がりが
生じた部分を充分に除去できなくなり、一方隆起部10
の高さが高過ぎる場合は、隆起部10の周囲の空間に材
料を充分に張出させることが困難となるから、隆起部1
0の高さも適切な範囲内とする必要がある。本発明者等
の実験によれば、隆起部10の高さは0.3mm〜10
mmの範囲内が適当であり、特に0.5mm〜7mmの
範囲内が最適であることが判明している。
【0029】さらに、隆起部10の形状は、前述の図
1、図2の例では平面的に見て円形(円盤状)となるよ
うに定めているが、必ずしも円形に限られるものではな
い。但し、円形であれば、鍛造時における材料のフロー
の対称性が良好であってかつ隆起部10の加工も容易で
あり、しかも隆起部10の周囲に形成される鍛造品の外
周部突出部分を切削除去するにあたって切削加工が断続
切削とならないために隆起部10の切削除去も容易とな
るから、隆起部10の形状は円形が最適である。また図
1、図2に示す例では隆起部10はその上面10Bが平
坦な水平面とされかつ外周面10Cはほぼ垂直な円筒面
とされているが、鍛造時において材料が隆起部10の周
囲へ張り出しやすくなるように、図6に示すように隆起
部10の上面に周囲へ向かって下降する傾斜面10Dを
形成したり、あるいは図7に示すように隆起部10の上
面から外周部にかけて湾曲するR部10Eを形成しても
良い。さらに、図1、図2の例では、隆起部10の上面
10Bと外周面10Cとがほぼ直角な角部をなすように
作られかつ隆起部10の外周面10Cとアンビル基体3
Aの上面とのなす隅部11もほぼ直角とされているが、
これらの角部、隅部をR状の湾曲面状としたり傾斜面を
形成したりしても良いことはもちろんである。
【0030】さらに、図1、図2の例においては、ダイ
ス羽根部の先端下部に対応して隆起部10に複数の切込
部10Aが形成されており、ダイス羽根部9の先端下部
がこれらの切込部10Aに嵌入されるようになっている
が、これらの切込部10Aは、ダイス羽根部9を固定す
るためのものではない。すなわち、例えば特開平3−1
38043号公報においては、ダイス羽根部の倒れ変形
を防止することを目的として、ダイス羽根部の下部を固
定(バックアップ)する方法が提案されているが、本発
明者等の研究によれば、ダイス羽根部の下部を固定して
しまった場合、ダイス羽根部の固定されていない上部と
の間で大きなねじれが生じ、逆にベーン収納溝の寸法精
度を低下させることが判明した。したがってこの発明の
方法を実施する場合、ダイス羽根部の下部を隆起部に固
定しないことが望ましく、そのためには隆起部とダイス
羽根部との間にクリアランスを設けて、鍛造中における
ダイス羽根部の動きを許容することが好ましい。ここ
で、鍛造中におけるダイス羽根部の動き量は、羽根形状
や寸法、材質、鍛造圧力等によって異なるが、一般には
0.1mm以上のクリアランスを設けておけば、ダイス
羽根部のねじれ変形の発生を防止することができる。す
なわち、図1、図2の例の場合、ダイス羽根部9の下端
部側面と隆起部10の切込部10Aの内面との間に0.
1mm以上のクリアランスを設けておくことが望まし
い。なおクリアランスの上限は特に規定しないが、鍛造
中に材料がクリアランス内に可及的に侵入しないように
0.5mm程度以下とすることが好ましい。
【0031】また、隆起部10に切込部10Aを形成し
ておいてダイス羽根部9の下部を嵌め込む構造とする必
要は必ずしもなく、場合によっては隆起部10に前述の
ような切込部を形成せずに、図8に示すようにダイス羽
根部9の下部に隆起部10に対応する切込部13を形成
したり、あるいはこのような切込部13を形成せずに図
9に示す如くダイス羽根部9の下端がアンビル基体3A
の上面から浮上がった状態となるように構成しても良
い。
【0032】さらに、隆起部10は、アンビル基体3A
と一体に形成する必要はなく、隆起部形状の部材をアン
ビル基体3Aとは別体に作成して、その部材をアンビル
基体3A上にボルト等の適宜の固定手段によって固定し
ても良い。
【0033】
【実施例】この発明の実施例として、次のようにしてロ
ーター素材を作成した。
【0034】鍛造用のダイス4としては、図10、図1
1に示すような形状、寸法のものを用いた。すなわちこ
のダイス4は内径Rが62.5mm、羽根9の数が5
枚、ダイス内径の直径線に対する羽根部9の中心線の偏
奇距離(オフセット距離)dが4.8mm、羽根部9の
ダイス内側への突出長さlが18mm、羽根部9の幅t
が3.2mm、羽根部9の高さhが51mmのものであ
る。一方アンビル3としては、図1、図2に示すように
隆起部10が円盤状をなすものを用いた。ここで、隆起
部10の外径は44mm、高さは5mmであり、隆起部
10の面積は得るべきローター素材の端面の面積の約5
2%である。
【0035】鍛造用素材(ブランク)としてA390規
格組成のアルミニウム合金の外径61.3mmの円柱状
ブランクを用い、そのブランクを300〜460℃に予
熱するとともに、ダイス及び加圧パンチを100〜35
0℃に予熱して、荷重20〜100トンで熱間鍛造を行
なった。得られた鍛造品についてその端面(外周部突出
部分の側)から5mmの位置まで切削除去して、ロータ
ー素材とした。
【0036】一方、比較例として、隆起部3Aを持たな
いアンビルを用いた点以外は前記と同様にして熱間鍛造
して鍛造品を得、さらにその端面から5mmの位置まで
切削除去して、ローター素材とした。
【0037】これらの実施例および比較例により得られ
たローター素材は、鍛造品に対する切削によってベーン
収納溝の幅拡がりが生じた部分が除去され、寸法精度が
高いものとなった。ここで、実施例および比較例におい
て、鍛造用材量の投入量について比較すれば、実施例の
場合は、比較例の場合と比較して投入量を約17g削除
することができ、材料コストを低減することができた。
また、鍛造品の切削に要する時間については、比較例の
場合は約30秒であったのに対し、実施例の場合は約1
5秒であり、したがって切削作業に要する時間も短縮す
ることができた。
【0038】
【発明の効果】この発明の方法によれば、熱間鍛造法に
よってローター素材を製造する方法として、鍛造品を本
来必要な寸法よりも長尺となるように鍛造し、その後に
鍛造品におけるベーン収納溝の溝幅が拡大している端面
付近を切削除去することによって、ベーン収納溝の寸法
精度が高いローター素材を得る場合において、アンビル
の上面にローター素材外径よりも小径の隆起部を形成し
ておき、ローター素材鍛造時に隆起部の外周側の部位ま
で鍛造材側が入り込むように鍛造成形することによっ
て、外周部が中央部よりも長く突出する鍛造品を得、そ
の後に外周部突出部分を切削除去することによって、ベ
ーン収納溝の溝幅が拡大している部分を除去できるた
め、鍛造材料投入量、切削加工代を少なくすることがで
き、そのため材料歩留りの向上を図ることができるとと
もに、切削加工時間の短縮を図ることができ、したがっ
て従来よりも大幅な材料コスト、製造コストの削減を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法で使用される隆起部を有するア
ンビルの第1の例を示す平面図である。
【図2】図1に示されるアンビルの縦断正面図である。
【図3】この発明の方法を実施している状況の一例を段
階的に示す略解的な縦断面図で、(A)は鍛造開始直前
のブランク投入時の状況を示す縦断面図、(B)は鍛造
直後の状況を示す縦断面図、(C)は鍛造品排出時の状
況を示す縦断面図である。
【図4】この発明の方法において得られた鍛造品の一例
を、切削加工前の状態で示す底面図である。
【図5】図4に示される鍛造品のV−V線における断面
図である。
【図6】この発明の方法に使用されるアンビルの第2の
例を示す縦断正面図である。
【図7】この発明の方法に使用されるアンビルの第3の
例を示す縦断正面図である。
【図8】この発明の方法に使用される鍛造用金型の他の
例を示す縦断正面図である。
【図9】この発明の方法に使用される鍛造用金型のさら
に他の例を示す縦断正面図である。
【図10】この発明の実施例で用いたアンビルの平面図
である。
【図11】図10のXI−XI線における縦断正面図で
ある。
【図12】この発明の方法で製造対象となるローター素
材の一例を示す平面図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII線での縦
断正面図である。
【図14】熱間鍛造法によりローター素材を製造する従
来の方法の一例を段階的に示す略解的な縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ローター素材 2 ベーン収納溝 3 アンビル 3A アンビル基体 4 ダイス 6 ブランク(鍛造用材料) 9 ダイス羽根部 10 隆起部 12 鍛造品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 英実 福島県喜多方市字長内7840 株式会社ショ ウティック内 (72)発明者 穴沢 良幸 福島県喜多方市字長内7840 株式会社ショ ウティック内 Fターム(参考) 4E087 AA08 BA04 CA13 CB01 EC13 EE02 EF01 HA37

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面から切込まれた形状の複数のベー
    ン収納溝を有するアルミニウム合金製ローター素材を熱
    間鍛造法により製造するにあたり、 ベーン収納溝を形成するためのダイス羽根部の下側に位
    置するアンビルの上面に、得るべきローター素材の外径
    より小さい径の隆起部を形成しておき、鍛造時に前記隆
    起部の外周側の部位まで鍛造材料が入り込むように鍛造
    成形することにより、外周部が中央部よりも長く突出す
    るように成形された鍛造品を得、その後、鍛造品の外周
    部における中央部よりも長く突出する部分を切削加工に
    より除去することを特徴とする、アルミニウム合金製ロ
    ーター素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記アンビルとして、隆起部の面積がロ
    ーター素材の端面の面積の30%以上90%以下の範囲
    内ものを用いる、請求項1に記載のアルミニウム合金製
    ローター素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アンビルとして、隆起部の高さが
    0.3mm以上10mm以下の範囲内のものを用いる、
    請求項1に記載のアルミニウム合金製ローター素材の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    製造方法によって得られたアルミニウム合金製ローター
    素材。
JP11060183A 1999-03-08 1999-03-08 アルミニウム合金製ローター素材の製造方法およびアルミニウム合金製ローター素材 Pending JP2000254754A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1402975A1 (en) * 2002-09-06 2004-03-31 VARIAN S.p.A. Method of manufacturing vacuum pump rotors, and rotors obtained thereby
KR101813564B1 (ko) 2016-10-28 2017-12-29 금오공과대학교 산학협력단 알루미늄 합금의 열간 단조 방법

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