JP2000254150A - 歯科用快削チタン合金 - Google Patents
歯科用快削チタン合金Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】研削や切削等の機械加工性に優れ且つ歯科治療
する上で実用的な歯科用快削チタン合金を提供する。 【解決手段】Ｃｕを２wt％〜１５wt％、望ましくは５wt
％〜１０wt％含み、残部がＴｉ及び不可避的不純物から
なり、機械加工性に優れた、ことを特徴とする歯科用快
削チタン合金。このチタン合金は、その凝固過程におい
て共析反応によりラメラ状にＴｉ2Ｃｕが析出したαＴ
ｉ＋Ｔｉ2Ｃｕの組織となり、このＴｉ2Ｃｕは脆い特性
を有するため、研削や切削時等における切屑の破砕特性
が向上するので、研削時におけるＳｉＣホイール等の目
詰まりも低減できると共に、切削時の形状・寸法精度を
向上させることが可能となる。
する上で実用的な歯科用快削チタン合金を提供する。 【解決手段】Ｃｕを２wt％〜１５wt％、望ましくは５wt
％〜１０wt％含み、残部がＴｉ及び不可避的不純物から
なり、機械加工性に優れた、ことを特徴とする歯科用快
削チタン合金。このチタン合金は、その凝固過程におい
て共析反応によりラメラ状にＴｉ2Ｃｕが析出したαＴ
ｉ＋Ｔｉ2Ｃｕの組織となり、このＴｉ2Ｃｕは脆い特性
を有するため、研削や切削時等における切屑の破砕特性
が向上するので、研削時におけるＳｉＣホイール等の目
詰まりも低減できると共に、切削時の形状・寸法精度を
向上させることが可能となる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科治療に用いら
れるチタン(Ｔｉ)合金に関し、特に研削や切削等の機械
加工性に優れたチタン合金に関する。
れるチタン(Ｔｉ)合金に関し、特に研削や切削等の機械
加工性に優れたチタン合金に関する。
【０００２】
【従来の技術】近年、歯科治療材料としてチタンが活用
され始めている。即ち、図３(Ａ)に示すように、歯茎１
上における虫歯２の欠如部分３内に例えば純チタンの鋳
込み片４を埋め込むことが行われている。この鋳込み片
４は、純チタンの鋳込片の表面を歯本来の表面に倣うよ
う研削されている。また、従来の総入れ歯方式に替えて
生体の歯茎１を活用するインプラント方式も活用されて
いる。これは図３(Ｂ)に示すように、例えば歯茎１内に
人工歯根５を埋設し、その上部に固着した純チタン製の
筒材７と、人工歯１０に固着した純チタン製のシャフト
８とをネジ部６，９で結合するものである。上記筒材７
及びシャフト８も純チタンの鋳込片を切削加工した後、
所定の表面に雄・雌ネジ部分を形成している。更に、ク
ラウン、インレー、クラスプ、義歯床、人工歯根等の鋳
込片の加工に限らず、最近では純チタンのブロック材か
らＣＡＤ−ＣＡＭを使用して設計し、直接削り出すこと
も試みられている。
され始めている。即ち、図３(Ａ)に示すように、歯茎１
上における虫歯２の欠如部分３内に例えば純チタンの鋳
込み片４を埋め込むことが行われている。この鋳込み片
４は、純チタンの鋳込片の表面を歯本来の表面に倣うよ
う研削されている。また、従来の総入れ歯方式に替えて
生体の歯茎１を活用するインプラント方式も活用されて
いる。これは図３(Ｂ)に示すように、例えば歯茎１内に
人工歯根５を埋設し、その上部に固着した純チタン製の
筒材７と、人工歯１０に固着した純チタン製のシャフト
８とをネジ部６，９で結合するものである。上記筒材７
及びシャフト８も純チタンの鋳込片を切削加工した後、
所定の表面に雄・雌ネジ部分を形成している。更に、ク
ラウン、インレー、クラスプ、義歯床、人工歯根等の鋳
込片の加工に限らず、最近では純チタンのブロック材か
らＣＡＤ−ＣＡＭを使用して設計し、直接削り出すこと
も試みられている。
【０００３】しかしながら、上記純チタンの鋳込み片４
等に用いられる市販の純チタンは、機械加工性が低く実
用的でないという問題がある。例えば、鋳込み片４の表
面を歯科用ＳｉＣホイールで研削すると、純チタンの軟
質性によって上記ホイールの表面が目詰まりする。この
ため、一度研削するとホイール表面に付着したチタンの
切屑粉を除去する必要があり、歯科治療の現場では工数
が掛かり過ぎ実用が困難となっている。また、純チタン
の鋳込片を切削加工する場合もその軟質性によって、形
状及び寸法精度がバラツキ易く、安定した切削加工が行
いにくい。このため、前記インプラント材７，８等の製
作に工数と熟練を要するという問題点もある。しかも、
純チタンは研削や切削加工性が低いため、これらに用い
る工具の寿命が短く、加工作業の自動化が困難であると
いう問題点も有している。
等に用いられる市販の純チタンは、機械加工性が低く実
用的でないという問題がある。例えば、鋳込み片４の表
面を歯科用ＳｉＣホイールで研削すると、純チタンの軟
質性によって上記ホイールの表面が目詰まりする。この
ため、一度研削するとホイール表面に付着したチタンの
切屑粉を除去する必要があり、歯科治療の現場では工数
が掛かり過ぎ実用が困難となっている。また、純チタン
の鋳込片を切削加工する場合もその軟質性によって、形
状及び寸法精度がバラツキ易く、安定した切削加工が行
いにくい。このため、前記インプラント材７，８等の製
作に工数と熟練を要するという問題点もある。しかも、
純チタンは研削や切削加工性が低いため、これらに用い
る工具の寿命が短く、加工作業の自動化が困難であると
いう問題点も有している。
【０００４】
【発明が解決すべき課題】本発明は、以上において説明
した従来の技術における問題点を解決し、研削や切削等
の機械加工性に優れ且つ歯科治療する上で実用的な歯科
用快削チタン合金を提供することを課題とする。
した従来の技術における問題点を解決し、研削や切削等
の機械加工性に優れ且つ歯科治療する上で実用的な歯科
用快削チタン合金を提供することを課題とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、発明者らが鋭意研究した結果、チタン
(Ｔｉ)に所定量の銅(Ｃｕ)、又は、ニオビウム(Ｎｂ)を含
有させたＴｉ−Ｃｕ系合金、或いは、Ｔｉ−Ｎｂ系合金を
見出したことにより成されたものである。即ち、本発明
の一つの歯科用快削チタン合金は、Ｃｕを２wt％〜１５
wt％含み、残部がＴｉ及び不可避的不純物からなり、も
う一つの歯科用快削チタン合金は、Ｎｂを２wt％〜１０
wt％含み、残部がＴｉ及び不可避的不純物からなり、機
械加工性に優れたことを特徴とする。
決するために、発明者らが鋭意研究した結果、チタン
(Ｔｉ)に所定量の銅(Ｃｕ)、又は、ニオビウム(Ｎｂ)を含
有させたＴｉ−Ｃｕ系合金、或いは、Ｔｉ−Ｎｂ系合金を
見出したことにより成されたものである。即ち、本発明
の一つの歯科用快削チタン合金は、Ｃｕを２wt％〜１５
wt％含み、残部がＴｉ及び不可避的不純物からなり、も
う一つの歯科用快削チタン合金は、Ｎｂを２wt％〜１０
wt％含み、残部がＴｉ及び不可避的不純物からなり、機
械加工性に優れたことを特徴とする。
【０００６】上記一つのチタン合金によれば、当該チタ
ン合金はその凝固過程において共析反応によりラメラ状
にＴｉ2Ｃｕが析出するため、αＴｉ＋Ｔｉ2Ｃｕの組織
となる。金属間化合物である上記Ｔｉ2Ｃｕは脆い特性
を有するため、研削や切削時等における切屑の破砕特性
が向上する。このため、研削時に歯科用ホイール(砥石)
の目詰まりも低減でき、且つ切削時の形状・寸法精度も
向上可能となる。従って、歯科治療する上で実用的なチ
タン合金の鋳造材料を提供することができる。尚、Ｃｕ
の含有量が２wt％未満では、Ｔｉ2Ｃｕが安定して析出し
にくいため研削や切削時における切屑の破砕特性が低下
する。一方、Ｃｕの含有量が１５wt％を超えると延性が
低下し始め脆化が生じ得る。従って、これらを回避すべ
く、本発明の前記チタン合金は、Ｃｕの含有量を２wt％
〜１５wt％としたものである。
ン合金はその凝固過程において共析反応によりラメラ状
にＴｉ2Ｃｕが析出するため、αＴｉ＋Ｔｉ2Ｃｕの組織
となる。金属間化合物である上記Ｔｉ2Ｃｕは脆い特性
を有するため、研削や切削時等における切屑の破砕特性
が向上する。このため、研削時に歯科用ホイール(砥石)
の目詰まりも低減でき、且つ切削時の形状・寸法精度も
向上可能となる。従って、歯科治療する上で実用的なチ
タン合金の鋳造材料を提供することができる。尚、Ｃｕ
の含有量が２wt％未満では、Ｔｉ2Ｃｕが安定して析出し
にくいため研削や切削時における切屑の破砕特性が低下
する。一方、Ｃｕの含有量が１５wt％を超えると延性が
低下し始め脆化が生じ得る。従って、これらを回避すべ
く、本発明の前記チタン合金は、Ｃｕの含有量を２wt％
〜１５wt％としたものである。
【０００７】また、前記歯科用快削チタン合金の好まし
い形態は、Ｃｕの含有量が５wt％〜１０wt％のものであ
る。これによれば、Ｔｉ−Ｃｕ系合金において亜共析組
織又は過共析組織になり、素地のαＴｉ相中にＴｉ2Ｃｕ
を程良いバランスで且つ略均一に分布させることができ
る。この結果、前記切屑の破砕特性が一層確実に得られ
ると共に、延性及び引張り強度も優れたものにできる。
従って、研削や切削速度を上げると研削速度等もこれに
応じて速くすることができ、加工効率を一層向上させる
ことが可能となる。尚、Ｃｕ含有量を５wt％〜１０wt％
としたのは、この範囲内では引張り強度及び延性が比較
的高く、１０wt％を超えると脆くなり延性が低下し始
め、５wt％未満では引張り強度が低下し始めることも、
上記Ｃｕ含有量の範囲を限定した理由である。
い形態は、Ｃｕの含有量が５wt％〜１０wt％のものであ
る。これによれば、Ｔｉ−Ｃｕ系合金において亜共析組
織又は過共析組織になり、素地のαＴｉ相中にＴｉ2Ｃｕ
を程良いバランスで且つ略均一に分布させることができ
る。この結果、前記切屑の破砕特性が一層確実に得られ
ると共に、延性及び引張り強度も優れたものにできる。
従って、研削や切削速度を上げると研削速度等もこれに
応じて速くすることができ、加工効率を一層向上させる
ことが可能となる。尚、Ｃｕ含有量を５wt％〜１０wt％
としたのは、この範囲内では引張り強度及び延性が比較
的高く、１０wt％を超えると脆くなり延性が低下し始
め、５wt％未満では引張り強度が低下し始めることも、
上記Ｃｕ含有量の範囲を限定した理由である。
【０００８】本発明のもう一つの歯科用快削チタン合金
は、Ｎｂを２wt％〜１０wt％含有することによって、優
れた快削性・被削性を得たものである。係るＮｂ添加に
よる被削性の向上は、当該チタン合金の硬度を上昇させ
て、その被削特性を改善するものと推定される。尚、Ｎ
ｂの含有量が２wt％未満では機械加工性の度合いが小さ
くなり、一方１０wt％を超えると当該チタン合金の融点
が上昇し、溶解・鋳造が行いにくくなるので、これらを
除外した範囲としたものである。
は、Ｎｂを２wt％〜１０wt％含有することによって、優
れた快削性・被削性を得たものである。係るＮｂ添加に
よる被削性の向上は、当該チタン合金の硬度を上昇させ
て、その被削特性を改善するものと推定される。尚、Ｎ
ｂの含有量が２wt％未満では機械加工性の度合いが小さ
くなり、一方１０wt％を超えると当該チタン合金の融点
が上昇し、溶解・鋳造が行いにくくなるので、これらを
除外した範囲としたものである。
【０００９】
【実施例】以下において本発明の具体的な実施例を比較
例と共に説明する。スポンジＴｉと純Ｃｕとを用意し、
Ｃｕを個別に０.５wt％,１wt％,２wt％,５wt％，１０wt
％の割合でＴｉとそれぞれ配合し、図示しないアーク溶
解炉中で溶解して約３０ｇのＴｉ−Ｃｕ系合金のボタン
インゴットを５種類形成した。Ｃｕ含有量が０.５wt％,
１wt％のものを比較例１,２とし、Ｃｕ含有量が２wt％,
５wt％，１０wt％のものを実施例１,２,３とした。ま
た、Ｎｂを７wt％添加したＴｉ−Ｎｂ系合金のボタンイ
ンゴットを同様にして１種類用意し、実施例４とした。
一方、スポンジＴｉのみを同様に溶解した純Ｔｉのボタ
ンインゴットを形成して比較例３とし、一般的なＴｉ合
金であるＴｉ−６wt％Ａｌ−４wt％Ｖも同様に溶解し、
得られたボタンインゴットを比較例４とした。
例と共に説明する。スポンジＴｉと純Ｃｕとを用意し、
Ｃｕを個別に０.５wt％,１wt％,２wt％,５wt％，１０wt
％の割合でＴｉとそれぞれ配合し、図示しないアーク溶
解炉中で溶解して約３０ｇのＴｉ−Ｃｕ系合金のボタン
インゴットを５種類形成した。Ｃｕ含有量が０.５wt％,
１wt％のものを比較例１,２とし、Ｃｕ含有量が２wt％,
５wt％，１０wt％のものを実施例１,２,３とした。ま
た、Ｎｂを７wt％添加したＴｉ−Ｎｂ系合金のボタンイ
ンゴットを同様にして１種類用意し、実施例４とした。
一方、スポンジＴｉのみを同様に溶解した純Ｔｉのボタ
ンインゴットを形成して比較例３とし、一般的なＴｉ合
金であるＴｉ−６wt％Ａｌ−４wt％Ｖも同様に溶解し、
得られたボタンインゴットを比較例４とした。
【００１０】次に、各例のインゴットを遠心鋳造機(図
示せず)のマグネシア系鋳型内に装入し、遠心鋳造する
ことにより、長さ３０.５ｍｍ、幅８.５ｍｍ、及び厚さ
３.５ｍｍの板材をそれぞれ製作した。更に、各例の板
材の表層における酸化汚染(硬化)層を研削により除去し
て、長さ３０ｍｍ、幅８.０ｍｍ、及び厚さ３.０ｍｍの
試験片を得た。係る試験片を各例ごとに１６個ずつ用意
した。そして、各実施例及び比較例の試験片に対し、歯
科用のＳｉＣ製ホイール(直径１３ｍｍ)を用いて研削テ
ストを行った。このテストは、各例で１６個の試験片を
４個ずつに分けて、上記ホイールの回転速度:５００Ｍ
(メートル)／分、７５０Ｍ／分、１０００Ｍ／分、１２５０Ｍ
／分の別にそれぞれ１分間研削した。この際、上記ホイ
ールの押圧荷重は１００ｇｆと一定にした。そして、各
研削テストにおいて除去された切屑の体積(ｍｍ3)を測
定した。各例における同じ回転速度の４個の試験片から
出た切屑の除去量(ｍｍ3)は、その平均値を算出した。そ
れらの結果を図１及び図２のグラフに示す。
示せず)のマグネシア系鋳型内に装入し、遠心鋳造する
ことにより、長さ３０.５ｍｍ、幅８.５ｍｍ、及び厚さ
３.５ｍｍの板材をそれぞれ製作した。更に、各例の板
材の表層における酸化汚染(硬化)層を研削により除去し
て、長さ３０ｍｍ、幅８.０ｍｍ、及び厚さ３.０ｍｍの
試験片を得た。係る試験片を各例ごとに１６個ずつ用意
した。そして、各実施例及び比較例の試験片に対し、歯
科用のＳｉＣ製ホイール(直径１３ｍｍ)を用いて研削テ
ストを行った。このテストは、各例で１６個の試験片を
４個ずつに分けて、上記ホイールの回転速度:５００Ｍ
(メートル)／分、７５０Ｍ／分、１０００Ｍ／分、１２５０Ｍ
／分の別にそれぞれ１分間研削した。この際、上記ホイ
ールの押圧荷重は１００ｇｆと一定にした。そして、各
研削テストにおいて除去された切屑の体積(ｍｍ3)を測
定した。各例における同じ回転速度の４個の試験片から
出た切屑の除去量(ｍｍ3)は、その平均値を算出した。そ
れらの結果を図１及び図２のグラフに示す。
【００１１】図１のグラフによれば、実施例１〜３は比
較例１〜３に比べて概ね除去量が多く、特に実施例２，
３では前記ホイールの回転速度が上昇するに連れて除去
量が著しく多くなる傾向が判る。また、実施例２,３は、
Ｔｉ−６wt％Ａｌ−４wt％Ｖ合金の比較例４に対しても
除去量が多く、且つホイールの回転(研削)速度の上昇と
共にその傾向が顕著であった。この結果から、Ｃｕを２
wt％〜１５wt％、望ましくは５wt％〜１０wt％含有した
本発明の実施例１〜３では、前述した合金組織中の脆い
Ｔｉ2Ｃｕが適度に存在していたため、上記研削テスト
において切屑の破砕特性が向上し、前記ホイールの目詰
まりも低減できたことが容易に理解される。特に、実施
例２，３ではホイールの回転速度が上昇しても目詰まり
することなく、一層確実に研削できた結果は本発明のＴ
ｉ−Ｃｕ系合金の優れた効果を裏付けるものである。
較例１〜３に比べて概ね除去量が多く、特に実施例２，
３では前記ホイールの回転速度が上昇するに連れて除去
量が著しく多くなる傾向が判る。また、実施例２,３は、
Ｔｉ−６wt％Ａｌ−４wt％Ｖ合金の比較例４に対しても
除去量が多く、且つホイールの回転(研削)速度の上昇と
共にその傾向が顕著であった。この結果から、Ｃｕを２
wt％〜１５wt％、望ましくは５wt％〜１０wt％含有した
本発明の実施例１〜３では、前述した合金組織中の脆い
Ｔｉ2Ｃｕが適度に存在していたため、上記研削テスト
において切屑の破砕特性が向上し、前記ホイールの目詰
まりも低減できたことが容易に理解される。特に、実施
例２，３ではホイールの回転速度が上昇しても目詰まり
することなく、一層確実に研削できた結果は本発明のＴ
ｉ−Ｃｕ系合金の優れた効果を裏付けるものである。
【００１２】一方、比較例１,２は、Ｃｕが０.５wt％,１
wt％と低いため、各合金組織中におけるＴｉ2Ｃｕが少
なく、軟質なαＴｉ相が大半又は殆んどであることによ
り、前記ホイールが目詰まりし易くなり、各々の除去量
が少なくなった。特に、純Ｔｉからなる比較例３では、
組織がαＴｉ相のみであるため、前記ホイールの回転速
度を上げても直ちにホイールが目詰まりし、その後での
研削が困難となった。このため、比較例３は切屑の除去
量が最も少なくなった。これら比較例１〜３の結果から
も、実施例１〜３に存在するＴｉ2Ｃｕの有効性が容易
に理解される。
wt％と低いため、各合金組織中におけるＴｉ2Ｃｕが少
なく、軟質なαＴｉ相が大半又は殆んどであることによ
り、前記ホイールが目詰まりし易くなり、各々の除去量
が少なくなった。特に、純Ｔｉからなる比較例３では、
組織がαＴｉ相のみであるため、前記ホイールの回転速
度を上げても直ちにホイールが目詰まりし、その後での
研削が困難となった。このため、比較例３は切屑の除去
量が最も少なくなった。これら比較例１〜３の結果から
も、実施例１〜３に存在するＴｉ2Ｃｕの有効性が容易
に理解される。
【００１３】また、図２のグラフに示すように、Ｎｂを
７wt％添加した実施例４は、純Ｔｉの比較例３に比べ全
ての回転速度において被削性に優れ、比較例４と比較し
ても高速研削(1250メートル／分)ではやや劣るものの、中速
研削(750〜1000メートル／分)では被削性で優れていること
が明らかであった。この結果から本発明のＴｉ−Ｎｂ系
合金の効果が裏付られたことが容易に理解される。尚、
比較例４はＴｉ−６wt％Ａｌ−４wt％Ｖ合金であるた
め、強度も高く実施例１よりも切屑の除去量が多くなっ
たが、コストも高く且つ歯科用として高強度過ぎると共
に、上記合金中のＡｌやＶが安全性の面から未だ不十分
で歯科用として適用が困難である。以上の結果から、本
発明による２つの歯科用快削チタン合金の効果が、それ
ぞれ十分に裏付けられたことが容易に理解されよう。
７wt％添加した実施例４は、純Ｔｉの比較例３に比べ全
ての回転速度において被削性に優れ、比較例４と比較し
ても高速研削(1250メートル／分)ではやや劣るものの、中速
研削(750〜1000メートル／分)では被削性で優れていること
が明らかであった。この結果から本発明のＴｉ−Ｎｂ系
合金の効果が裏付られたことが容易に理解される。尚、
比較例４はＴｉ−６wt％Ａｌ−４wt％Ｖ合金であるた
め、強度も高く実施例１よりも切屑の除去量が多くなっ
たが、コストも高く且つ歯科用として高強度過ぎると共
に、上記合金中のＡｌやＶが安全性の面から未だ不十分
で歯科用として適用が困難である。以上の結果から、本
発明による２つの歯科用快削チタン合金の効果が、それ
ぞれ十分に裏付けられたことが容易に理解されよう。
【００１４】本発明は以上に説明した実施例等に限定さ
れるものではない。本発明の歯科用快削チタン合金は、
前述した他に、歯科治療用の金属床(義歯床)、又は、ク
ラウン、ブリッジ、インレー等の補綴物、或いは、人工
歯根等に適用することも可能である。また、上記各用途
を含めて、本発明のチタン合金は、溶解・鋳造した鋳込
片を直ちに、切削及び／又は研削する他、上記鋳込片を
熱間又は温間鍛造することによって予め所定の形状に成
形した後、切削又は研削することもできる。これによ
り、例えばインプラント材のような複雑な形状の歯科治
療製品を精度良く製作することが可能となる。更に、人
工歯等のＣＡＤ−ＣＡＭを使用した種々の加工における
自動化を容易にすることも可能である。
れるものではない。本発明の歯科用快削チタン合金は、
前述した他に、歯科治療用の金属床(義歯床)、又は、ク
ラウン、ブリッジ、インレー等の補綴物、或いは、人工
歯根等に適用することも可能である。また、上記各用途
を含めて、本発明のチタン合金は、溶解・鋳造した鋳込
片を直ちに、切削及び／又は研削する他、上記鋳込片を
熱間又は温間鍛造することによって予め所定の形状に成
形した後、切削又は研削することもできる。これによ
り、例えばインプラント材のような複雑な形状の歯科治
療製品を精度良く製作することが可能となる。更に、人
工歯等のＣＡＤ−ＣＡＭを使用した種々の加工における
自動化を容易にすることも可能である。
【００１５】
【発明の効果】以上に説明した本発明の一つの歯科用快
削チタン合金によれば、凝固過程において共析反応によ
りラメラ状にＴｉ2Ｃｕが析出するため、αＴｉ＋Ｔｉ2
Ｃｕの組織となり、上記Ｔｉ2Ｃｕは脆いため、研削や切
削時等における切屑の破砕特性を向上させることができ
る。これにより、研削時の歯科用ホイールの目詰まりも
低減できその研削効率を上げ、且つ切削時の形状・寸法
精度も向上可能となる。従って、歯科治療する上で実用
的なチタン合金材料を提供することができる。
削チタン合金によれば、凝固過程において共析反応によ
りラメラ状にＴｉ2Ｃｕが析出するため、αＴｉ＋Ｔｉ2
Ｃｕの組織となり、上記Ｔｉ2Ｃｕは脆いため、研削や切
削時等における切屑の破砕特性を向上させることができ
る。これにより、研削時の歯科用ホイールの目詰まりも
低減できその研削効率を上げ、且つ切削時の形状・寸法
精度も向上可能となる。従って、歯科治療する上で実用
的なチタン合金材料を提供することができる。
【００１６】また、請求項２に記載の歯科用快削チタン
合金によれば、上記に加えて、得られる亜共析組織又は
過共析組織における素地のαＴｉ相中にＴｉ2Ｃｕを、程
良いバランスで且つ略均一に分布させることができる。
これにより、前記切屑の破砕特性が一層確実に得られる
と共に、延性及び引張り強度も優れたものにできる。従
って、研削や切削速度を上げると研削速度等もこれに応
じて速くすることができ、加工効率を一層向上させるこ
とが可能となる。更に、本発明のもう一つの歯科用快削
チタン合金も、優れた研削性や切削性を有し、歯科用ホ
イールの目詰まりも低減して研削効率を高め、且つ切削
時等における形状・寸法精度も向上可能となる。従っ
て、歯科治療する上で実用的なチタン合金材料を提供す
ることが可能となる。
合金によれば、上記に加えて、得られる亜共析組織又は
過共析組織における素地のαＴｉ相中にＴｉ2Ｃｕを、程
良いバランスで且つ略均一に分布させることができる。
これにより、前記切屑の破砕特性が一層確実に得られる
と共に、延性及び引張り強度も優れたものにできる。従
って、研削や切削速度を上げると研削速度等もこれに応
じて速くすることができ、加工効率を一層向上させるこ
とが可能となる。更に、本発明のもう一つの歯科用快削
チタン合金も、優れた研削性や切削性を有し、歯科用ホ
イールの目詰まりも低減して研削効率を高め、且つ切削
時等における形状・寸法精度も向上可能となる。従っ
て、歯科治療する上で実用的なチタン合金材料を提供す
ることが可能となる。
【図１】実施例１〜３と比較例１〜４の各試験片の研削
テストの結果を示すグラフ。
テストの結果を示すグラフ。
【図２】実施例４と比較例３,４の各試験片の研削テス
トの結果を示すグラフ。
トの結果を示すグラフ。
【図３】(Ａ)は一般的な治療済みの歯付近を示す断面
図、(Ｂ)はインプラントを用いた歯付近の状態を示す断
面図。
図、(Ｂ)はインプラントを用いた歯付近の状態を示す断
面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スターリング ジュンコ アメリカ合衆国 92672 カリフォルニア 州サンクレメンテ サウス オラ ビスタ 805 (72)発明者 高田 雄京 宮城県仙台市太白区長町８−２−31−204 (72)発明者 菊池 聖史 宮城県仙台市泉区館４−３−２ Ｆターム(参考） 4C059 AA01 AA08 AA12 RR06 SS03 4C089 AA02 AA06 BB02 BB05 BB07
Claims (3)
- 【請求項１】Ｃｕを２wt％〜１５wt％含み、残部がＴｉ
及び不可避的不純物からなり、機械加工性に優れたこと
を特徴とする歯科用快削チタン合金。 - 【請求項２】前記Ｃｕの含有量が５wt％〜１０wt％であ
る、 ことを特徴とする請求項１に記載の歯科用快削チタン合
金。 - 【請求項３】Ｎｂを２wt％〜１０wt％含み、残部がＴｉ
及び不可避的不純物からなり、機械加工性に優れたこと
を特徴とする歯科用快削チタン合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5951899A JP2000254150A (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 歯科用快削チタン合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5951899A JP2000254150A (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 歯科用快削チタン合金 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000254150A true JP2000254150A (ja) | 2000-09-19 |
Family
ID=13115577
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5951899A Withdrawn JP2000254150A (ja) | 1999-03-05 | 1999-03-05 | 歯科用快削チタン合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000254150A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2008033603A2 (en) * | 2006-09-15 | 2008-03-20 | Boston Scientific Limited | Medical devices having alloy compositions |
| JP2009030140A (ja) * | 2007-07-30 | 2009-02-12 | Nippon Steel Corp | 冷間加工性に優れる排気装置部材用耐熱チタン合金およびその製造方法ならびに該合金を用いた排気装置部材 |
| JP2009068025A (ja) * | 2007-09-10 | 2009-04-02 | Nippon Steel Corp | 冷間加工部品の製造に適した機械部品用または装飾部品用チタン合金棒線およびその製造方法 |
| CN102212717A (zh) * | 2011-05-24 | 2011-10-12 | 佳木斯大学 | 一种含铜抗菌钛合金及其制备方法 |
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-
1999
- 1999-03-05 JP JP5951899A patent/JP2000254150A/ja not_active Withdrawn
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| US9402936B2 (en) | 2006-09-15 | 2016-08-02 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Medical devices having alloy compositions |
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