JP2000252482A - 受光センサ及び該センサを用いた装置 - Google Patents

受光センサ及び該センサを用いた装置

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JP2000252482A
JP2000252482A JP11048918A JP4891899A JP2000252482A JP 2000252482 A JP2000252482 A JP 2000252482A JP 11048918 A JP11048918 A JP 11048918A JP 4891899 A JP4891899 A JP 4891899A JP 2000252482 A JP2000252482 A JP 2000252482A
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light
component
copper
optical filter
phosphate
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JP11048918A
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English (en)
Inventor
Tomoyoshi Koizumi
智義 小泉
Hiroki Katono
浩樹 上遠野
Masuhiro Shoji
益宏 庄司
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】近赤外光による誤動作を防止でき、且つ分光感
度特性を従来よりも視感度に一致させることが可能な受
光センサを提供することを目的とする。 【解決手段】本発明の受光センサ1は、受光面12aへ
の入射光に応じた電流を出力する光電変換素子としての
フォトダイオード12、受光面12a上に配置され、入
射光の成分のうち近赤外領域の光成分を吸収すると共に
可視領域の光成分を透過させる光学フィルタ11とを具
備する。そして、入射光に可視光以外の光成分として近
赤外光が含まれていても、その近赤外光は光学フィルタ
11に吸収され、受光面12aへ近赤外光が入射するこ
とが防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受光センサ及び該
センサを用いた装置に関し、詳しくは、可視光に対して
感度を有する受光センサ、該受光センサを備える発光装
置、該発光装置を備える表示装置、並びに該表示装置を
備える通信装置及び情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、入射光の強度を検知する受光セン
サとしては、光電変換素子を利用したものがある。光電
変換素子は、機能によって光導電素子、光起電力素子、
光電子放出素子といった種類に大別され、波長感度特性
や応答特性といった素子材料に特有の特性に応じて各種
用途に用いられている。なかでも、電灯、照明器具又は
発光表示装置等の点灯制御又は調光用、撮影機器及び撮
像機器等の露出調整用といった用途には、可視光に感度
を有する光電変換素子としてフォトダイオードやCdS
セルを備えた受光センサが広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、人間が感じ
る明暗に応じて点灯制御又は調光を行う場合には、受光
センサが人間の眼の波長感度(視感度)と一致する分光
感度特性を有することが望ましい。しかし、上記フォト
ダイオードやCdSセルは、感度を有する波長範囲が一
般に視感度よりも広く、分光感度特性が視感度とは一致
しない。そのため、フォトダイオードやCdSセルを含
む受光センサを用いると、人間の感じる明暗の感覚から
かけ離れた点灯制御や調光が行われることがあった。例
えば、このような受光センサを備え、周囲が暗いと点灯
され、周囲が明るいと消灯される電灯の周囲に熱源があ
ると、受光センサが熱源から輻射される近赤外光を感受
し、周囲が明るいにもかかわらず電灯が点灯されてしま
うといった誤動作が起こる虞がある。このように、従来
の受光センサは、近赤外光により誤動作する虞があり、
また分光感度特性の視感度への一致性が必ずしも十分で
はないという課題があった。
【0004】そこで、本発明は、このような課題に鑑み
て、近赤外光による誤動作を防止でき、且つ分光感度特
性を従来よりも視感度に一致させることが可能な受光セ
ンサを提供することを目的とする。また、本発明は、こ
のような受光センサを用いることにより、人間の明暗感
覚に応じて最適な点灯制御又は調光を実施することが可
能な装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明の受光センサは、受光面への入射光に応じた電流
を出力する光電変換素子と、光電変換素子の受光面上に
配置され、入射光の成分のうち近赤外領域の光成分を吸
収すると共に可視領域の光成分を透過させる光学フィル
タとを具備することを特徴とする。このように構成され
た本発明の光学フィルタによれば、入射光に可視光以外
の光成分として近赤外光が含まれていても、その近赤外
光は光学フィルタに吸収されてしまい、光電変換素子の
受光面へ近赤外光が入射することが防止される。よっ
て、受光センサの周囲に熱源等の近赤外光を発するもの
が存在するような場合でも、近赤外光による受光センサ
の誤動作が防止される。また、光電変換素子が可視領域
から近赤外領域に感度を有するものであっても、光電変
換素子と光学フィルタとを適宜選択することにより、分
光感度特性が視感度特性と一致し得る受光センサが得ら
れる。
【0006】また、上記光学フィルタは、下記(A)成
分、下記(B)成分、下記(C)成分及び下記(D)成
分のうち少なくとも一成分を含有することを特徴とする
と好適である。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分
【0007】
【化4】
【0008】(C)成分:銅イオン及び下記式(6)で
表されるリン酸エステル化合物より成る成分 (D)成分:下記式(7)又は下記式(8)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分
【0009】
【化5】
【0010】このような本発明の光学フィルタによれ
ば、リン酸エステル化合物のリン酸基が配位結合及び/
又はイオン結合により銅イオンに結合し、銅イオンは、
リン酸エステルに囲まれた状態で近赤外光吸収層中に溶
解又は分散されている。近赤外光の選択吸収は、この銅
イオンのd軌道の電子遷移によって起こるものであり、
良好な近赤外光吸収性が得られる。また、上記(A)成
分及び上記(C)成分のリン酸エステル化合物並びに上
記(B)成分及び上記(D)成分のリン酸エステル銅化
合物は、分子構造中に不飽和二重結合を有さず、紫外線
や熱によって硬化し難いので、例えば、それら成分を溶
媒に溶解又は分散させたものを平面に塗布して乾燥させ
ることにより、光学フィルタを近赤外光吸収性の薄膜と
することが可能である。また、成形品が熱可塑性を有す
るので、成形品を熱によって再成形することが可能であ
る。
【0011】さらに、光学フィルタが下記(E)成分を
含有することを特徴とすると好適である。 (E)成分:銅イオン及び下記式(11)で表されるリ
ン酸エステル化合物より成る成分
【0012】
【化6】
【0013】このような光学フィルタにおいても、リン
酸エステル化合物のリン酸基が配位結合及び/又はイオ
ン結合により銅イオンに結合し、銅イオンは、リン酸エ
ステルに囲まれた状態で近赤外光吸収層中に溶解又は分
散されている。近赤外光の選択吸収は、この銅イオンの
d軌道の電子遷移によって起こるものであり、良好な近
赤外光吸収性が呈される。このような(E)成分として
は、特開平6−118228号公報に開示されているリ
ン酸基含有化合物と銅イオンを主成分とする金属イオン
成分とを含有するものを好ましく用いることができる。
【0014】また、上記光学フィルタは、(A)成分、
(B)成分、(C)成分及び(D)成分のうち少なくと
も一つの成分がアクリル系樹脂中に含有されて成るアク
リル系樹脂組成物を含み、このアクリル系樹脂組成物中
の銅イオンの含有割合が、アクリル系組成物全体の0.
1〜20重量%であるとより一層好適である。このよう
にすると、アクリル系樹脂が他の樹脂に比して可視光透
過性、耐候性、成形加工性等の観点で優れているため、
光電変換素子へ入射する可視光量が減ることによる受光
センサの感度低下が防止され、また耐久性に優れると共
に、加工形状の制約が少ない光学フィルタが得られる。
また、銅イオンの割合が0.1重量%未満であると、近
赤外光を高い効率で吸収する性能が得られない傾向にあ
る一方、この割合が20重量%を超えるときには、銅イ
オンをアクリル系樹脂中に分散させることが困難とな
り、可視光透過性に優れた光学フィルタが得難い傾向に
ある。したがって、銅イオンの含有割合がアクリル系樹
脂組成物全体の0.1〜20重量%とすることにより、
近赤外光吸収性及び可視光透過性に優れた光学フィルタ
を備えた受光センサを確実に得ることができる。
【0015】またさらに、光学フィルタは、波長800
nm〜1000nmの波長領域の光の透過率が20%以
下、好ましくは10%以下であることが望ましい。この
ようにすれば、近赤外光が十分に低減されるので、受光
センサの周囲に熱源があっても、受光センサがそれら熱
源から輻射される近赤外光を感じて誤動作する虞がな
い。
【0016】また、本発明の発光装置は、上述の本発明
の受光センサと、受光センサに接続された光源と、受光
センサに接続され、この受光センサに備わる光電変換素
子から出力される電流量に応じた電気信号を出力し、光
電変換素子に入射した光の強度が所定の強度以下のとき
に光源を点灯させ、入射光の強度が所定の強度を超える
ときに光源を消灯させる信号処理回路と、受光センサ及
び光源に電力を供給する電源とを備えることを特徴とす
る。このような発光装置によれば、近赤外光を吸収する
光学フィルタを備える受光センサを用いるので、近赤外
光による誤動作を起こすことなく、入射光の成分のうち
可視光成分の強度に応じた点灯制御が行われる。また、
受光センサの分光感度特性が視感度特性と一致している
ため、人間の眼が感じる明暗の程度に応じた光源の点灯
制御が行われる。
【0017】さらに、上記信号処理回路が、入射した光
成分の強度に応じて光源から発せられる光の強度を変化
させるものであると更に一層好適である。このようにす
れば、受光センサの分光感度特性が視感度特性と一致し
ているため、人間の眼が感じる明暗の程度に応じた光源
の調光が行われる。
【0018】また、本発明の表示装置は、上記発光装置
と、この発光装置から発せられる光の出射方向の前方に
配設された表示部とを有することを特徴とする。この表
示装置によれば、発光装置に備わる光源の点灯制御や調
光が、人間の眼で感じる明暗の程度に応じて行われるた
め、表示部の輝度の調整が同様に行われて表示部に表示
された文字や映像等の視認性が高められる。
【0019】また、本発明の通信装置は、上記表示装置
を備えて成ることを特徴とする。このような通信装置に
よれば、表示装置の表示部の輝度調整が、人間の眼で感
じる明暗の程度に応じて行われて表示部に表示された文
字や映像等の視認性が高められるので、通信装置が使用
される場所の明るさが種々変化しても、表示された文字
又は映像等の情報を明瞭に認識することができる。
【0020】また、本発明の情報処理装置は、上記表示
装置を備えて成ることを特徴とする。このような情報処
理装置によれば、表示装置の表示部の輝度調整が、人間
の眼で感じる明暗の程度に応じて行われて表示部に表示
された文字や映像等の視認性が高められるので、情報処
理装置が使用される場所の明るさが種々変化しても、通
信装置に表示された文字又は映像等の情報を明瞭に認識
できる。また、受光センサの感度が高いことにより、周
囲の明るさに応じて表示部の輝度が微妙に調整されて最
適化され得るので、このような情報処理装置の表示部を
長時間見る作業を行うときにも、そのような作業におい
て眼にかかる負担を最小限に抑えることができ、眼の疲
労が軽減され得る。
【0021】なお、本発明における「入射光」とは、主
に可視領域及び近赤外領域の波長成分を含む光であり、
紫外領域又は赤外領域の波長成分を更に含んでいてもよ
いが、主に太陽光等の自然光及び灯火、電灯、ランプ等
から発せられる人工光を対象とする。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、添付図を参照して本発明の
実施形態を説明する。なお、同一の要素には同一の符号
を付し、重複する説明を省略する。
【0023】図1は、本発明の受光センサに係る好適な
一実施形態を示す斜視図である。図1に示すように、受
光センサ1は、光電変換素子としてのフォトダイオード
12の受光面12aが形成された面に、光学的に透明な
光学フィルタ11が受光面12aを覆うように配置され
て成っている。また、フォトダイオード12には、フォ
トダイオード12の半導体層に電圧を印加するためのリ
ード線12bが接続されている。
【0024】光学フィルタ11としては、近赤外光吸収
特性を有する成分が樹脂層に全体的に分散されて成るも
の、又は、樹脂層の表面に塗布若しくは積層されて成る
ものを使用することができる。また、近赤外光吸収特性
を有する成分がフォトダイオード12の受光面12aに
直接塗布又は積層されてもよい。そして、この近赤外光
吸収特性を有する成分としては、下記(A)成分、下記
(B)成分、下記(C)成分及び下記(D)成分のうち
少なくとも一つの成分を用いることが好ましい。 (A)成分:銅イオン及び上記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:上記式(2)又は上記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分 (C)成分:銅イオン及び上記式(6)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (D)成分:上記式(7)又は上記式(8)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分 また、この近赤外光吸収特性を有する他の成分として
は、下記(E)成分を用いることが好ましい。 (E)成分:銅イオン及び上記式(11)で表されるリ
ン酸エステル化合物より成る成分 そして、光学フィルタ11においては、波長800nm
〜1000nmの近赤外光の透過率が20%以下、好ま
しくは10%以下となるように、上記(A)成分、上記
(B)成分、上記(C)成分、上記(D)成分及び/又
は上記(E)成分の種類、濃度、層厚(塗布又は積層さ
れる場合はその層の厚さ、樹脂層に分散される場合は樹
脂層の厚さ)が調整されている。また、上記樹脂は、光
学的に透明であれば特に限定されるものではないが、可
視光の透過性及び上記各成分との相溶性に優れるアクリ
ル系樹脂を用いると好適である。
【0025】このように構成された受光センサによれ
ば、入射光に可視光以外の光成分として近赤外光が含ま
れていても、その近赤外光は光学フィルタ11に吸収さ
れてしまい、フォトダイオード12の受光面12aへ近
赤外光が入射することが防止される。よって、受光セン
サ1の周囲に熱源等の近赤外光を発するものが存在する
ような場合でも、近赤外光による受光センサ1の誤動作
を防止できる。また、フォトダイオード12が可視領域
から近赤外領域に感度を有するものであっても、フォト
ダイオード12と光学フィルタ11とを適宜選択するこ
とにより、分光感度特性が視感度特性と一致し得る受光
センサを得ることができる。よって、受光センサ1を人
間の眼の代用として用いることが可能となる。
【0026】また、光学フィルタ11に含有される銅イ
オンは、近赤外光を選択的に吸収するという銅イオンに
特徴的な特性を発現する一方、上記化合物は可視領域の
光(可視光)の波長に相当するエネルギー準位をもたな
いので、可視光は吸収されない。したがって、光学フィ
ルタは優れた近赤外光吸収特性を有し、近赤外光による
受光センサ1の誤動作を一層防止することができる。
【0027】さらに、このように良好な近赤外光吸収特
性を有する光学フィルタ11と、多様な分光感度特性を
有するものが利用できるフォトダイオード12との組み
合わせによって、分光感度特性が視感度特性と一致する
受光センサを簡易に実現することが可能である。
【0028】またさらに、上記(A)成分及び上記
(C)成分のリン酸エステル化合物並びに上記(B)成
分及び上記(D)成分のリン酸エステル銅化合物は、分
子構造中に不飽和二重結合を有さず、紫外線や熱によっ
て硬化し難いので、例えば、それら成分を溶媒に分散又
は溶解させたものを平面に塗布して乾燥させることによ
り、光学フィルタを近赤外光吸収性の薄膜とすることが
可能である。したがって、透明な基板等の部材であれ
ば、その部材に上記のような成分を塗布等によって付着
させるのみで、良好な近赤外光吸収特性を有する光学フ
ィルタ11を簡易に製造することができる。
【0029】さらにまた、これら成分に含まれるリン酸
エステル化合物又はリン酸エステル銅化合物は、分子構
造中に不飽和二重結合を有しないため、それら成分を含
む樹脂を型中で重合固化させて光学フィルタを製造する
際に、成形品が容易に離型される。よって、上記成分を
樹脂組成物として用いて光学フィルタ11全体が近赤外
線吸収特性を有する光学フィルタ11を一層簡易に製造
できる。
【0030】また、樹脂組成物の成形品は熱可塑性を有
するので、成形品を熱によって再成形することが可能で
ある。よって、フォトダイオード12の多種多様な形
状、並びに受光センサ1の使途に応じた形状の光学フィ
ルタ11を形成することが可能となる。
【0031】しかも、アクリル系樹脂は他の樹脂に比べ
て可視光透過性フォトダイオードへ入射する可視光量が
減ることによる受光センサ1の感度低下が防止される。
よって、他の樹脂を用いた受光センサに比して可視光感
受性に優れた受光センサ1を得ることができ、加えて、
フォトダイオード12が入射光に対する光応答特性を有
するので、受光センサ1の周囲の微妙な明るさの変化を
瞬時に的確に判別できる受光センサ1を得ることが可能
である。
【0032】また、アクリル系樹脂は他の樹脂に比して
耐候性、成形加工性等の観点で優れているため、耐久性
に優れると共に、加工形状の制約が少ない光学フィルタ
1が得られる。したがって、受光センサ1の使途やフォ
トダイオード12の形状への対応性を向上することがで
きる。
【0033】さらに、受光センサ1における波長800
nm〜1000nmの近赤外光の透過率が20%以下、
好ましくは10%以下とされることにより、近赤外光が
十分に低減されるので、受光センサの周囲に熱源があっ
ても、受光センサがそれら熱源から輻射される近赤外光
を感じて誤動作することを一層防止できる。
【0034】なお、上記(A)成分、上記(B)成分、
上記(C)成分及び上記(D)成分、並びにそれら成分
の組成物に関しては後述する。
【0035】ここで、図2は、本発明の受光センサに係
る他の実施形態を示す斜視図であり、この図2に示すよ
うに、受光センサ1の光学フィルタ11は、フォトダイ
オード12と結合されていなくとも、フォトダイオード
12の受光面12aが臨む視野を覆うように配設されて
いればよい。また、図2に示すように、フォトダイオー
ド12に光学的に透明な、例えばアクリル系樹脂のコー
ティング12cが施されていると好適である。さらに、
図3は、本発明の受光センサに係る更に他の実施形態を
示す斜視図であり、この図3に示すように、フォトダイ
オード12全体を、アクリル系樹脂組成物から成る光学
フィルタ11で被覆してもよい。
【0036】また、フォトダイオード12としては、シ
リコンフォトダイオード、シリコンPINフォトダイオ
ード、シリコンアバランシェフォトダイオード、拡散型
又はショットキ型のガリウム・砒素・リンフォトダイオ
ード等が用いられ、またフォトトランジスタを使用して
もよい。
【0037】図4は、本発明の通信装置に係る好適な一
実施形態を示す模式図であって、図4(a)は正面図で
あり、図4(b)は側面図である。図4(a)に示す如
く、通信装置としての携帯電話端末2は、筐体7の内部
に、電波を送信及び/又は受信するための送受信手段2
1と、この送受信手段21で受信された電波に応じた電
気信号を処理して音声に変換する電気信号・音声変換手
段22と、話者が発した音声を電気信号に変換して送受
信手段21へ出力する音声・電気信号変換手段23とを
有している。また、筐体7の表面には、電波の送受信
や、受話時又は送話時に必要な入力操作を行うための操
作部24が設けられており、この操作部24からの入力
に応じた操作内容や各種情報データを記憶するための記
憶手段25が筐体7内に設けられている。また、筐体7
内には、送受信手段21によって電波が受信された際
に、受信したことを伝えるための受信伝達手段26が配
設されている。
【0038】さらに、携帯電話端末2は、外部から視認
可能なように筐体7の表面に設けられた表示部としての
液晶表示画面6と、その液晶表示画面6の近傍の筐体7
表面に外部を臨むように設けられた受光センサ1を有し
ている。受光サンサ1は、先に説明した図1に示すよう
な形状を成しており、図4(b)に示すように、光学フ
ィルタ11を外方に向けて、筐体7の内部に設置されて
いる。この受光センサ1を構成するフォトダイオード1
2には、フォトダイオード12から出力される光強度に
促した電流量に応じた電気信号を処理する信号処理回路
としての点灯制御回路3aが接続されている。点灯制御
回路3aは、フォトダイオードに入射した光、すなわち
視感度と略同等の分光成分を有する可視光成分の強度が
所定の強度以下のとき(人間が暗いと感じるとき)に、
点灯制御回路に接続された光源としてのバックライト4
を点灯させる。これに対し、フォトダイオードに入射し
た光、すなわち視感度と略同等の分光成分を有する可視
光成分の強度が所定の強度を超えるとき(人間が明るい
と感じるとき)に、点灯制御回路に接続された光源とし
てのバックライト4を消灯させる。
【0039】そして、バックライト4から発せられる光
は、このバックライト4の図示前方に設置された液晶表
示画面6を照らし出す。そして、例えば、夜間屋外でこ
の携帯電話端末2を使用する時には、周囲の暗さが受光
センサ1で感受され、液晶表示画面6が照らし出されて
視認が容易になる。なお、受光センサ1及びバックライ
ト4を含めた電力供給の必要な手段及び部位には、電源
5から電力が供給されている。また、携帯電話端末2に
は、例えば所定時間操作されない時には、周囲が暗くて
もバックライト4を消灯又は減光する省電力機能等が付
加されていることが好ましい。
【0040】図5は、図4に示す携帯電話端末2内部の
表示装置の一構成例を示すブロック図である。図5に示
すように、図示左方からの光学フィルタ11の表面11
aに照射される入射光Lの成分のうち、近赤外光La成
分は光学フィルタ11で殆ど吸収され、一方可視光Lb
成分は高効率で光学フィルタ11を透過してフォトダイ
オード12の受光面に入射する。そして、可視光Lb成
分の強度に応じた信号が点灯制御回路3aへ入力されて
処理され、この信号強度が所定の強度以下のときにはバ
ックライト4が点灯されて液晶表示画面が照らし出され
る。また、この信号強度が所定の強度を超えるときに
は、バックライト4は点灯されない。ここで、受光セン
サ1、点灯制御回路3a、バックライト4及び電源5
は、発光装置20を構成し、この発光装置20と液晶表
示画面6とで表示装置30が構成されている。
【0041】図6は、携帯電話端末2内部の点灯制御回
路部分の一例を示す展開接続図である。フォトダイオー
ド12に入射する可視光Lbの強度が、所定の強度より
大きくなる(例えば、受光センサ1の周囲が明るくな
る)と、電源5とフォトダイオード12と抵抗31を結
ぶ経路内の抵抗値が減少し、この経路に流れる電流が多
くなってバックライト4は点灯されない。一方、フォト
ダイオード12に入射する可視光Lbの強度が上記所定
の強度以下となる(例えば、受光センサ1の周囲が暗く
なる)と、電源5とフォトダイオード12と抵抗31を
結ぶ経路内の抵抗値は増大し、電源5と抵抗31とトラ
ンジスタ32のエミッタを結ぶ経路に流れる電流が多く
なり、したがって、バックライト4に印加される電圧が
高まり、電源5からバックライト4を経てトランジスタ
32のコレクタへ流れ込む電流量が増加してバックライ
ト4が点灯される。
【0042】なお、上記所定の強度は、例えば、点灯制
御回路3aの構成で決定される回路定数に基づいて設定
され得る。また、抵抗31は、補償抵抗の役目を果たし
ており、点灯制御回路3aに所謂ミラー回路やオペアン
プ等をさらに付加してもよい。また、点灯制御回路3a
としては、上記のような点灯制御機能を有する他のアナ
ログ回路でもよいし、点灯制御機能を有するLSI等を
用いてもよい。
【0043】図7は、本発明の通信装置に係る他の実施
形態を示す模式図であって、図7(a)は正面図であ
り、図7(b)は側面図である。図7に示す通信装置と
しての携帯電話端末2は、操作時以外は、操作文字ボタ
ン類が折り畳み構造部に収納される構成であり、受光セ
ンサ1は、表示部としての液晶表示画面6近傍の筐体7
内に配置されている。そして、この携帯電話端末2は、
操作時に折り畳み部をあけた瞬間に、周囲が暗ければ、
液晶表示画面6の背面にあるバックライト4が点灯さ
れ、液晶表示画面6の輝度を大きくする作用を呈する。
また、折り畳み部が閉じられている場合は、バックライ
トが点灯されない機能を有することが好ましい。このよ
うに構成された携帯電話端末2によれば、液晶表示画面
6の輝度調整が、人間の眼で感じる明暗の程度に応じて
行われて液晶表示画面6に表示された文字や映像等の視
認性が高められるので、携帯電話端末2が使用される場
所の明るさが種々変化しても、表示された文字又は映像
等の情報を明瞭に認めることができる。
【0044】なお、以上の通信装置に係る実施形態にお
いては、通信装置として携帯電話端末2について説明し
たが、通信装置は表示部を有するものであれば特に限定
されるものではなく、例えば液晶表示画面を備えたポケ
ットベル等としてもよい。
【0045】図8は、本発明の情報処理装置に係る好適
な一実施形態を示す斜視図である。図8に示すように、
情報処理装置としてのコンピューター8は、筐体81が
2分割されて折り畳むことが可能な構造を成しており、
一方の分割体には表示部としてのディスプレイ画面9が
設けられており、他方の分割体の表面には入力手段82
(例えば、キーボードやマウス等)が設けられている。
また、この入力手段82より入力された情報等を処理す
るための演算処理手段83(例えば、CPU等)と、入
力手段82からの入力情報や演算処理手段83による処
理結果やこのような処理を行うためのプログラム等を記
憶するための記憶手段84(例えばハードディスク、C
D−ROM等)が、筐体81の内部に格納されている。
さらに、このコンピューター8には、ディスプレイ画面
9と同じ面に受光センサ1を2つ備えており、ディスプ
レイ画面9上の照度に応じて、ディスプレイ画面9の背
部にあるバックライト(図示せず)が調光され、ディス
プレイ画面9の輝度が調節されるようになっている。か
かる作用を図9により説明する。
【0046】図9は、コンピューター8内部の調光回路
3b部分の一例を示す展開接続図である。図9に示すコ
ンピューター8においては、フォトダイオード12に入
射する可視光Lbの強度が所定の強度以下となると、コ
ンデンサ35の充電時間が早まり、ダイアック34がブ
レーク・ダウン電圧に達する時間が早くなる。そして、
ダイアック34のブレーク・ダウンによって流れるパル
ス電流でスイッチングされるトライアック33の電圧交
流波形における導通角が大きくなり、この導通角が大き
くなるとディスプレイ画面9のバックライトに流れる交
流電流の実効値が増大し、バックライトの光度が大きく
されてディスプレイ画面9の輝度が高められる。
【0047】一方、フォトダイオード12に入射する可
視光Lbの強度が所定の強度より大きくなると、コンデ
ンサ35の充電時間が長くなり、ダイアック34がブレ
ーク・ダウン電圧に達する時間が長くなる。そして、ダ
イアック34のブレーク・ダウンによって流れるパルス
電流でスイッチングされるトライアック33の電圧交流
波形における導通角が小さくなり、ディスプレイ画面9
のバックライトに流れる交流電流の実効値が減少し、バ
ックライトの光度が小さくされてディスプレイ画面9の
輝度が低減される。なお、調光回路3aとしては、一般
に交流電源を用いるものに採用される他の調光用回路を
用いることができる。
【0048】このように構成されたコンピューター8に
よれば、ディスプレイ画面9の表示部の輝度調整が、人
間の眼で感じる明暗の程度に応じて行われてディスプレ
イ画面9に表示された文字や映像等の視認性が高められ
るため、コンピューター8が使用される場所の明るさ
(光度や照度)が種々変化しても、表示された文字又は
映像等の情報を明瞭に認めることができる。また、受光
センサ1の感度が高く、周囲の明るさに応じてディスプ
レイ画面9の輝度を微妙に調整して最適化し得るので、
ディスプレイ画面9を長時間見る作業を行っても、その
ような作業において眼にかかる負担を最小限に抑えるこ
とができ、眼の疲労を軽減できる。さらに受光センサ1
がディスプレイ画面9の近傍に離れて設置されているの
で、ディスプレイ画面9全体の照度を平均的に感受する
ことができ、また、いずれか一方を他方の補償用(バッ
クアップ)として使用することもできる。なお、受光セ
ンサ1が配置される位置と数量は図8に限定されるもの
ではない。
【0049】以下に、上記(A)成分、上記(B)成
分、上記(C)成分、上記(D)成分、上記(E)成分
及びそれら成分を含む組成物等について説明する。
【0050】〈(A)成分〉(A)成分は、銅イオン及
び上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物より成
るものである。銅イオンを供給するための銅塩の具体例
としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸
銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸
銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物、或い
は水酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等
の無機酸の銅塩の無水物や水和物が挙げられるが、有機
酸塩を用いることが好ましく、特に好ましくは酢酸銅、
安息香酸銅である。なお、上記(A)成分には、銅イオ
ン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」と云
う。)が含有されていてもよい。かかる他の金属イオン
の具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、鉄、マンガン、マグネシウム、ニッケル等の金属に
よるイオンが挙げられる。
【0051】また、上記の特定のリン酸エステル化合物
は、例えば以下の第1の方法、第2の方法及び第3の方
法のいずれかによって製造される。
【0052】〔第1の方法〕:この第1の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、下記式(13)又は下記式
(14)で表されるアルコールと、五酸化リンとを反応
させる方法である。
【0053】
【化7】
【0054】ここで、特定のアルコールと五酸化リンと
の反応に用いられる有機溶剤としては、五酸化リンと反
応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられ、
これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。ま
た、特定のアルコールと五酸化リンとの反応条件は、反
応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃であ
り、反応時間が1〜24時間、好ましくは4〜9時間で
ある。
【0055】この第1の方法においては、例えば特定の
アルコール及び五酸化リンをモル比で3:1となる割合
で用いることにより、式(1)において水酸基の数nが
2であるリン酸エステル化合物(以下、「モノエステ
ル」とも云う。)と、式(1)において水酸基の数nが
1であるリン酸エステル化合物(以下、「ジエステル」
とも云う。)との割合が略1:1の混合物が得られる。
また、特定のアルコールと五酸化リンとの割合及び反応
条件を適宜選択することにより、モノエステルとジエス
テルとの割合をモル比で99:1〜40:60となる範
囲内で調整し得る。
【0056】〔第2の方法〕:この第2の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシ
ハロゲン化リンとを反応させ、得られる生成物に水を添
加して加水分解する方法である。オキシハロゲン化リン
としては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンを用いるこ
とが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化リンである。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反
応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化リ
ンと反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエ
ーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、
キシレンが好ましい。そして、特定のアルコールとオキ
シハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜11
0℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜
20時間、好ましくは2〜8時間である。また、この第
2の方法においては、例えば特定のアルコール及びオキ
シハロゲン化リンをモル比で1:1となる割合で用いる
ことにより、モノエステルを得ることができる。
【0057】さらに、上記式(14)で表される特定の
アルコールを用いる場合には、この特定のアルコールと
オキシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択する
と共に、反応触媒としては、四塩化チタン(TiC
4)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化アルミニ
ウム(AlCl3)等のルイス酸触媒、副生する塩酸の
キャッチ剤としては、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン等のアミン類や、ピリジン等が好ましく用いられ
る。これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用いることに
より、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、
このとき、その割合はモル比が99:1〜1:99とな
る範囲で調整される。
【0058】また、上記式(13)で表される特定のア
ルコールを用いる場合には、この特定のアルコールとオ
キシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択すると
共に、ルイス酸触媒及び塩酸キャッチ剤を併用すること
により、モノエステルとジエステルとの混合物が得ら
れ、このとき、その割合はモル比が99:1〜1:99
となる範囲で調整される。但し、特定のアルコールとし
てアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mが小さい
ものを用いる場合には、得られるリン酸エステル化合物
が水溶性のものとなるため、アミン類等の塩酸キャッチ
剤を用いると、生成されるアミン塩酸塩を水による洗浄
によって除去することが困難となる傾向にある。以上に
おいて、反応触媒の使用量としては、オキシハロゲン化
リン1モルに対して0.005〜0.2モル、好ましく
は0.01〜0.05モルである。
【0059】〔第3の方法〕:この第3の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロ
ゲン化リンとを反応させることにより、ホスホン酸エス
テル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エス
テル化合物を酸化する方法である。三ハロゲン化リンと
しては、三塩化リン、三臭化リンを用いることが好まし
く、特に好ましくは三塩化リンである。また、特定のア
ルコールと三ハロゲン化リンとの反応に用いられる有機
溶剤としては、三ハロゲン化リンと反応しない有機溶剤
であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ス
ピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げら
れ、これらの中では、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。
そして、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの反応
条件は、反応温度が0〜90℃、好ましくは40〜75
℃であり、反応時間が1〜10時間、好ましくは2〜5
時間である。
【0060】上記ホスホン酸エステル化合物を酸化する
手段としては、ホスホン酸エステル化合物に例えば塩素
ガス等のハロゲンを反応させることにより、ホスホロハ
ロリデート化合物を合成し、このホスホロハロリデート
化合物を加水分解する手段を利用することができる。こ
こで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンとの反応温
度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5〜25℃
である。また、ホスホン酸エステル化合物を酸化する前
に、このホスホン酸エステル化合物を蒸留して精製して
もよい。
【0061】この第3の方法においては、例えば特定の
アルコール及び三ハロゲン化リンをモル比で3:1とな
る割合で用いることにより、ジエステルが高い純度で得
られる。また、特定のアルコールと三ハロゲン化リンと
の割合及び反応条件を選択することにより、モノエステ
ルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割
合はモル比が99:1〜1:99となる範囲で調整され
る。
【0062】以上の第1〜第3の方法等で製造された特
定のリン酸エステル化合物の好ましい具体例としては、
下記式(15)−a〜下記式(15)−xで表される化
合物が列挙される。これらの化合物は、単独で用いられ
るか又は2成分以上組み合わせて使用される。
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】ところで、(A)成分を構成する特定のリ
ン酸エステル化合物は、上記式(1)で表されるよう
に、その分子構造中に、ある程度の極性を有するアルコ
キシ基が存在するため、溶媒や樹脂等の媒体に対する溶
解性又は分散性が良好である。例えば、アクリル系樹
脂、特に(メタ)アクリル酸エステル系樹脂への分散性
が良好であり、それら樹脂への相溶性が高いものであ
る。この特定のリン酸エステル化合物との相溶性が高い
他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネイト、さらにはスチレン、α−メチル
スチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキ
シスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレ
ン等の芳香族ビニル化合物等の重合体が挙げられる。以
下、上記(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一
つの成分を含有する樹脂組成物として、アクリル系樹脂
組成物を例にとって説明するが、アクリル系樹脂組成物
中の「アクリル系樹脂」を上述のアクリル系樹脂組成物
以外の樹脂として読み替えてもよい。なお、上記( )
で囲まれた「メタ」の意味は、アクリル酸若しくはその
誘導体、及びメタクリル酸若しくはその誘導体の両方を
記載する必要があるときに、記載を簡潔にするため便宜
上使用されている記載方法であり、本明細書においても
採用したものである。
【0067】〈(B)成分〉(B)成分は、上記式
(2)又は上記式(3)で表されるリン酸エステル銅化
合物より成るものである。このような特定のリン酸エス
テル銅化合物は、前述した(A)成分に係るリン酸エス
テル化合物と、前述の銅塩とを反応させることにより得
られる。特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応
は、適宜の条件下で両者を接触させることにより行われ
る。具体的には、(イ)特定のリン酸エステル化合物と
銅塩とを混合して両者を反応させる方法、(ロ)適宜の
有機溶剤中において特定のリン酸エステル化合物と銅塩
とを反応させる方法、(ハ)特定のリン酸エステル化合
物が有機溶剤中に含有されて成る有機溶剤層と、銅塩が
溶解又は分散されて成る水層とを接触させることによ
り、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させる
方法、等が挙げられる。この特定のリン酸エステル化合
物と銅塩との反応条件は、反応温度が0〜150℃、好
ましくは40〜100℃であり、反応時間が0.5〜1
0時間、好ましくは1〜7時間である。
【0068】上記(ロ)の方法において用いられる有機
溶剤としては、用いられる特定のリン酸エステル化合物
を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されず、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合
物、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等
のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシ
ン、石油エーテル等が挙げられる。また、(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重
合性を有する有機溶剤も用いられる。
【0069】一方、上記(ハ)の方法において用いられ
る有機溶剤としては、水に不溶又は難溶であって、用い
られる特定のリン酸エステル化合物を溶解又は分散し得
るものであれば、特に限定されず、例えば(ロ)の方法
において用いられる有機溶剤として例示したもののう
ち、芳香族化合物、エーテル類、エステル類、ヘキサ
ン、ケロシン、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族
ビニル化合物等が挙げられる。
【0070】また、特定のリン酸エステル化合物と銅塩
との反応においては、銅塩から陰イオンである酸成分が
遊離される。このような酸成分は、アクリル系樹脂組成
物の耐湿性及び熱安定性を低下させる原因となり得るた
め、必要に応じて除去することが好ましい。上記(イ)
又は(ロ)の方法によりリン酸エステル銅化合物を製造
する場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを
反応させた後、生成された酸成分((ロ)の方法におい
ては生成された酸成分及び有機溶剤)を蒸留によって除
去することができる。さらに、上記(ハ)の方法により
リン酸エステル銅化合物を製造する場合には、酸成分を
除去する好ましい方法として、水に不溶又は難溶の有機
溶剤に特定のリン酸エステル化合物が含有されて成る有
機溶剤層に、アルカリを添加することによって中和した
後、この有機溶剤層と銅塩が溶解又は分散された水層と
を接触させることより、特定のリン酸エステル化合物と
銅塩とを反応させ、その後、有機溶剤層と水層とを分離
する方法がある。ここで、アルカリとしては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。この方法によれ
ば、銅塩から遊離される酸成分とアルカリとによって水
溶性の塩が形成され、この塩が水層に移行すると共に、
生成される特定のリン酸エステル銅化合物は、有機溶剤
層に移行するため、この水層と有機溶剤層とを分離する
ことにより、酸成分が除去される。
【0071】ここで、上記式(1)で表されるリン酸エ
ステル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で表
されるリン酸エステル銅化合物において、基Rは、上記
式(4)又は上記式(5)で表されるように、アルキレ
ンオキサイド基が結合されたアルキル基である。また、
上記特定のリン酸エステル化合物及び上記特定のリン酸
エステル銅化合物におけるアルキレンオキサイド基の繰
り返し単位数mは、1〜6、好ましくは1〜3の整数で
ある。このmの値が6を超えると、樹脂組成物としたと
きの硬度が大幅に低下する。一方、mの値が0すなわち
アルキレンオキサイド基が結合されていない場合には、
樹脂中に銅イオンを分散させる性能が著しく低下する。
【0072】また、リン酸エステル化合物及びリン酸エ
ステル銅化合物の熱的安定性の観点から、このアルキレ
ンオキサイド基の繰り返し単位数mが1であると特に好
適である。このmが1であるアルキレンオキサイド基を
有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル
銅化合物は、mが2以上の整数であるアルキレンオキサ
イド基を有するそれらに比して、高い熱分解温度を持つ
ので、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリ
ン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物
を含む組成物を熱成形する際に、その成形温度を高める
ことができる。よって、成形が容易となり、成形加工性
をより向上することが可能となる。
【0073】さらに、上述したように、特定のリン酸エ
ステル化合物は、上記式(1)において水酸基の数nが
2であるモノエステル及び水酸基の数nが1であるジエ
ステルのいずれであってもよいが、nの値が0のトリエ
ステルである場合には、銅イオンと配位結合及び/又は
イオン結合が可能な水酸基を有しないため、樹脂組成物
としたときに、銅イオンを樹脂中に分散させ難い。
【0074】またさらに、上記式(4)又は上記式
(5)において、R1は、炭素数が1〜20、好ましく
は1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキル基であ
る。このアルキル基R1の炭素数が20を超える場合に
は、アクリル系樹脂との相溶性が低下するため、アクリ
ル系樹脂中に銅イオンを含む金属イオンを分散させ難
い。また、R2は、炭素数が1〜4のアルキル基であ
る。すなわち、アルキレンオキサイド基としては、プロ
ピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等が挙げら
れ、特にプロピレンオキサイド基が好ましい。このアル
キル基R2の炭素数が4を超える場合には、樹脂中に高
い割合で分散させることが困難である。
【0075】また、上記(A)成分及び上記(B)成分
におけるリン酸エステル化合物と銅イオンとの割合は、
銅イオン1モルに対してリン酸エステル化合物における
水酸基又は水酸基由来の酸素原子が0.5〜10モル、
特に1.5〜5モルであることが好ましい。この割合が
0.5モル未満である場合には、銅イオンをアクリル系
樹脂等の樹脂中に分散させることが困難となる傾向にあ
る。この割合が10モルを超える場合には、銅イオンと
の配位結合及び/又はイオン結合に関与しない水酸基の
割合が過大となるため、このような組成割合の組成物
は、吸湿性が比較的大きくなる傾向にある。
【0076】そして、(A)成分及び(B)成分のうち
少なくとも一つの成分を、特にアクリル系樹脂に含有さ
せてアクリル系樹脂組成物とする場合には、銅イオンの
含有割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20重
量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1
5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。こ
の割合が0.1重量%未満であるときには、近赤外光を
高い効率で吸収する性能が得られない傾向にあり、一
方、この割合が20重量%を超えるときには、銅イオン
をアクリル系樹脂中に分散させることが困難となり、可
視光透過性に優れた近赤外光吸収層を備える光学フィル
タ1が得られない傾向にある。よって、銅イオンの含有
割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20重量%
とすることにより、可視光透過性に優れた近赤外光吸収
層を備える光学フィルタ1を確実に得ることができる。
【0077】さらに、前述の金属イオンの使用割合は、
銅イオンを含む全金属イオンにおける50重量%以下で
あることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、
更に好ましくは20重量%以下である。この割合が50
重量%を超える場合には、銅イオンとリン酸エステル化
合物との結合配位が他の金属イオンの影響を受けるた
め、近赤外光吸収率が十分大きい近赤外光吸収層を有す
る光学フィルタを得ることが困難となる。
【0078】〈(C)成分〉(C)成分は、銅イオン及
び上記式(6)で表されるリン酸エステル化合物より成
るものである。銅イオンを供給するための銅塩の具体例
としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸
銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸
銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物、或い
は水酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等
の無機酸の銅塩の無水物や水和物が挙げられるが、有機
酸塩を用いることが好ましく、特に好ましくは酢酸銅、
安息香酸銅である。なお、上記(C)成分には、銅イオ
ン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」と云
う。)が含有されていてもよい。かかる他の金属イオン
の具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、鉄、マンガン、マグネシウム、ニッケル等の金属に
よるイオンが挙げられる。
【0079】また、上記の特定のリン酸エステル化合物
は、例えば以下の第4の方法、第5の方法及び第6の方
法のいずれかによって製造される。
【0080】〔第4の方法〕:この第4の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、下記式(16)又は下記式
(17)で表されるアルコールと、五酸化リンとを反応
させる方法である。
【0081】
【化11】
【0082】ここで、特定のアルコールと五酸化リンと
の反応に用いられる有機溶剤としては、五酸化リンと反
応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられ、
これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。ま
た、特定のアルコールと五酸化リンとの反応条件は、反
応温度が−20〜120℃、好ましくは20〜80℃で
あり、反応時間が1〜48時間、好ましくは4〜16時
間である。
【0083】この第4の方法においては、例えば特定の
アルコール及び五酸化リンをモル比で3:1となる割合
で用いることにより、式(6)において水酸基の数nが
2であるリン酸エステル化合物(モノエステル)と、式
(6)において水酸基の数nが1であるリン酸エステル
化合物(ジエステル)との割合が略1:1の混合物が得
られる。また、特定のアルコールと五酸化リンとの割合
及び反応条件を適宜選択することにより、モノエステル
とジエステルとの割合をモル比で99:1〜40:60
となる範囲内で調整し得る。
【0084】〔第5の方法〕:この第5の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシ
ハロゲン化リンとを反応させ、得られる生成物に水を添
加して加水分解する方法である。オキシハロゲン化リン
としては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンを用いるこ
とが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化リンである。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反
応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化リ
ンと反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエ
ーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、
キシレンが好ましい。そして、特定のアルコールとオキ
シハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜11
0℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜
20時間、好ましくは2〜8時間である。また、この第
5の方法においては、例えば特定のアルコール及びオキ
シハロゲン化リンをモル比で1:1となる割合で用いる
ことにより、モノエステルを得ることができる。
【0085】さらに、上記式(16)で表される特定の
アルコールを用いる場合には、この特定のアルコールと
オキシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択する
と共に、反応触媒としては、四塩化チタン(TiC
4)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化アルミニ
ウム(AlCl3)等のルイス酸触媒、副生する塩酸の
キャッチ剤としては、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン等のアミン類や、ピリジン等が好ましく用いられ
る。これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用いることに
より、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、
このとき、その割合はモル比が99:1〜1:99とな
る範囲で調整される。
【0086】また、上記式(17)で表される特定のア
ルコールを用いる場合には、この特定のアルコールとオ
キシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択すると
共に、ルイス酸触媒及び塩酸キャッチ剤を併用すること
により、モノエステルとジエステルとの混合物が得ら
れ、このとき、その割合はモル比が99:1〜1:99
となる範囲で調整される。但し、特定のアルコールとし
てアルキレンオキシ基の繰り返し単位m又はkが小さい
ものを用いる場合には、得られるリン酸エステル化合物
が水溶性のものとなるため、アミン類等の塩酸キャッチ
剤を用いると、生成されるアミン塩酸塩を水による洗浄
によって除去することが困難となる傾向にある。以上に
おいて、反応触媒の使用量としては、オキシハロゲン化
リン1モルに対して0.005〜0.2モル、好ましく
は0.01〜0.05モルである。
【0087】〔第6の方法〕:この第6の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロ
ゲン化リンとを反応させることにより、ホスホン酸エス
テル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エス
テル化合物を酸化する方法である。三ハロゲン化リンと
しては、三塩化リン、三臭化リンを用いることが好まし
く、特に好ましくは三塩化リンである。また、特定のア
ルコールと三ハロゲン化リンとの反応に用いられる有機
溶剤としては、三ハロゲン化リンと反応しない有機溶剤
であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ス
ピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げら
れ、これらの中では、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。
そして、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの反応
条件は、反応温度が0〜90℃、好ましくは40〜75
℃であり、反応時間が1〜10時間、好ましくは2〜5
時間である。
【0088】上記ホスホン酸エステル化合物を酸化する
手段としては、ホスホン酸エステル化合物に例えば塩素
ガス等のハロゲンを反応させることにより、ホスホロハ
ロリデート化合物を合成し、このホスホロハロリデート
化合物を加水分解する手段を利用することができる。こ
こで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンとの反応温
度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5〜25℃
である。また、ホスホン酸エステル化合物を酸化する前
に、このホスホン酸エステル化合物を蒸留して精製して
もよい。
【0089】この第6の方法においては、例えば特定の
アルコール及び三ハロゲン化リンをモル比で3:1とな
る割合で用いることにより、ジエステルが高い純度で得
られる。また、特定のアルコールと三ハロゲン化リンと
の割合及び反応条件を選択することにより、モノエステ
ルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割
合はモル比が99:1〜1:99となる範囲で調整され
る。
【0090】ところで、(C)成分を構成する特定のリ
ン酸エステル化合物は、上記式(6)で表されるよう
に、その分子構造中に、ある程度の極性を有するオキシ
カルボニル基が存在するため、溶媒や樹脂等の媒体に対
する溶解性又は分散性が良好である。例えば、アクリル
系樹脂、特に(メタ)アクリル酸エステル系樹脂への分
散性が良好であり、それら樹脂への相溶性が高いもので
ある。この特定のリン酸エステル化合物との相溶性が高
い他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカーボネイト、さらにはスチレン、α−メチル
スチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキ
シスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレ
ン等の芳香族ビニル化合物等の重合体が挙げられる。以
下、上記(C)成分及び(D)成分のうち少なくとも一
つの成分を含有する樹脂組成物としても、アクリル系樹
脂組成物を例にとって説明するが、アクリル系樹脂組成
物中の「アクリル系樹脂」を上述のアクリル系樹脂組成
物以外の樹脂として読み替えてもよい。
【0091】〈(D)成分〉(D)成分は、上記式
(7)又は上記式(8)で表されるリン酸エステル銅化
合物より成るものである。このような特定のリン酸エス
テル銅化合物は、前述した特定のリン酸エステル化合物
と、前述の銅塩とを反応させることにより得られる。特
定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応は、適宜の条
件下で両者を接触させることにより行われる。具体的に
は、(ニ)特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを混合
して両者を反応させる方法、(ホ)適宜の有機溶剤中に
おいて特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させ
る方法、(ヘ)特定のリン酸エステル化合物が有機溶剤
中に含有されて成る有機溶剤層と、銅塩が溶解又は分散
されて成る水層とを接触させることにより、特定のリン
酸エステル化合物と銅塩とを反応させる方法、等が挙げ
られる。この特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反
応条件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは40〜
120℃であり、反応時間が0.5〜15時間、好まし
くは1〜10時間である。
【0092】上記(ホ)の方法において用いられる有機
溶剤としては、用いられる特定のリン酸エステル化合物
を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されず、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合
物、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等
のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシ
ン、石油エーテル等が挙げられる。また、(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重
合性を有する有機溶剤も用いられる。
【0093】一方、上記(ヘ)の方法において用いられ
る有機溶剤としては、水に不溶又は難溶であって、用い
られる特定のリン酸エステル化合物を溶解又は分散し得
るものであれば、特に限定されず、例えば(ホ)の方法
において用いられる有機溶剤として例示したもののう
ち、芳香族化合物、エーテル類、エステル類、ヘキサ
ン、ケロシン、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族
ビニル化合物等が挙げられる。
【0094】また、特定のリン酸エステル化合物と銅塩
との反応においては、銅塩から陰イオンである酸成分が
遊離される。このような酸成分は、アクリル系樹脂組成
物の耐湿性及び熱安定性を低下させる原因となり得るた
め、必要に応じて除去することが好ましい。上記(ニ)
又は(ホ)の方法によりリン酸エステル銅化合物を製造
する場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを
反応させた後、生成された酸成分((ホ)の方法におい
ては生成された酸成分及び有機溶剤)を蒸留によって除
去することができる。さらに、上記(ヘ)の方法により
リン酸エステル化合物を製造する場合には、酸成分を除
去する好ましい方法として、水に不溶又は難溶の有機溶
剤に特定のリン酸エステル化合物が含有されて成る有機
溶剤層に、アルカリを添加することによって中和した
後、この有機溶剤層と銅塩が溶解された水層とを接触さ
せることより、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを
反応させ、その後、有機溶剤層と水層とを分離する方法
がある。ここで、アルカリとしては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられるが、こ
れらに限定されるものではない。この方法によれば、銅
塩から遊離される酸成分とアルカリとによって水溶性の
塩が形成され、この塩が水層に移行すると共に、生成さ
れる特定のリン酸エステル銅化合物は、有機溶剤層に移
行するため、この水層と有機溶剤層とを分離することに
より、酸成分が除去される。
【0095】ここで、上記式(6)で表されるリン酸エ
ステル化合物並びに上記式(7)及び上記式(8)で表
されるリン酸エステル銅化合物において、「−(O
R)」は、上記式(9)及び上記式(10)に示すよう
に、アルキレンオキシ基〔−(OR2m−〕と、オキシ
カルボニル基(−COO−)と、アルキル基(−R1
とが連結されて成る有機基である。また、上記式(9)
において、アルキレンオキシ基の繰り返し単位数mは、
1〜6、好ましくは1〜3の整数である。このmの値が
6を超える場合には、樹脂組成物としたときの硬度が大
幅に低下する。一方、mの値が0すなわちアルキレンオ
キシ基が結合されていない場合には、溶媒や樹脂中に銅
イオンを分散させる性能が著しく低下する。また、上記
式(10)におけるアルキレンオキシ基の繰り返し単位
数kは、0〜5、好ましくは0〜2の整数である。この
kの値が5を超える場合にも、樹脂組成物としたときの
硬度が大幅に低下する虞がある。
【0096】さらに、リン酸エステル化合物及びリン酸
エステル銅化合物の熱的安定性の観点から、このアルキ
レンオキシ基の繰り返し単位数mが1であると特に好適
である。このmが1であるアルキレンオキシ基を有する
リン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合
物は、mが2以上の整数であるアルキレンオキシ基を有
するそれらに比して、高い熱分解温度を持つので、mが
1であるアルキレンオキシ基を有するリン酸エステル化
合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物を含む組成物を
熱成形する際に、その成形温度を高めることができる。
よって、成形が容易となり、成形加工性をより向上する
ことが可能となる。
【0097】さらに、上述したように、特定のリン酸エ
ステル化合物は、上記式(6)において水酸基の数nが
2であるモノエステル及び水酸基の数nが1であるジエ
ステルのいずれであってもよいが、nの値が0のトリエ
ステルである場合には、銅イオンと配位結合及び/又は
イオン結合が可能な水酸基を有しないため、樹脂組成物
としたときに、銅イオンを樹脂中に分散させ難い。
【0098】またさらに、上記式(9)又は上記式(1
0)において、Rlは、炭素数が1〜20、好ましくは
1〜10、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜
2のアルキル基である。このアルキル基R1の炭素数が
20を超えるリン酸エステル化合物は、アクリル系樹脂
との相溶性が低下するため、アクリル系樹脂中に銅イオ
ンを含む金属イオンを分散させ難い。また、R2は、炭
素数が1〜6、好ましくは1〜4、更に好ましくは3〜
4、特に好ましくは3のアルキレン基である。すなわ
ち、アルキレンオキシ基(OR2)としては、メチレン
オキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブ
チレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、ヘキシレンオキ
シ基などが挙げられ、特にプロピレンオキシ基及びブチ
レンオキシ基が好ましい。このアルキル基R2の炭素数
が6を超える場合には、溶媒や樹脂中に高い割合で分散
させることが困難である。また、さらに上記式(10)
におけるR3は、炭素数が1〜10、好ましくは3〜
6、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは3のアルキ
レン基である。
【0099】ここで、上記式(9)で表される基のうち
好ましいものとしては、下記式(18)で表される基を
挙げることができ、また上記式(10)で表される基の
うち好ましいものとしては、下記式(19)で表される
基を挙げることができる。
【0100】
【化12】
【0101】そして、上記式(18)で表される基を有
するものの具体例としては、下記式(20)〜下記式
(51)で表される化合物が列挙される。
【0102】
【化13】
【0103】
【化14】
【0104】
【化15】
【0105】
【化16】
【0106】
【化17】
【0107】また、上記式(19)で表される基を有す
るものの具体例としては、下記式(52)〜下記式(5
9)で表される化合物が挙げられる。
【0108】
【化18】
【0109】また、上記(C)成分及び上記(D)成分
におけるリン酸エステル化合物と銅イオンとの割合は、
銅イオン1モルに対してリン酸エステル化合物における
水酸基又は水酸基由来の酸素原子が0.5〜10モル、
特に1.5〜5モルであることが好ましい。この割合が
0.5モル未満である場合には、銅イオンをアクリル系
樹脂等の樹脂中に分散させることが困難となる傾向にあ
る。この割合が10モルを超える場合には、銅イオンと
の配位結合及び/又はイオン結合に関与しない水酸基の
割合が過大となるため、このような組成割合の組成物
は、吸湿性が比較的大きくなる傾向にある。
【0110】そして、(C)成分及び(D)成分のうち
少なくとも一つの成分を、特にアクリル系樹脂に含有さ
せてアクリル系樹脂組成物とする場合には、銅イオンの
含有割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20重
量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1
5重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。こ
の割合が0.1重量%未満であるときには、近赤外光を
高い効率で吸収する性能が得られない傾向にあり、一
方、この割合が20重量%を超えるときには、銅イオン
をアクリル系樹脂中に分散させることが困難となり、可
視光透過性に優れた近赤外光吸収層を備える光学フィル
タ1が得られない傾向にある。よって、銅イオンの含有
割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20重量%
とすることにより、可視光透過性に優れた近赤外光吸収
層を備える光学フィルタ1を確実に得ることができる。
【0111】さらに、前述の金属イオンの使用割合は、
銅イオンを含む全金属イオンにおける50重量%以下で
あることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、
更に好ましくは20重量%以下である。この割合が50
重量%を超える場合には、銅イオンとリン酸エステル化
合物との結合配位が他の金属イオンの影響を受けるた
め、近赤外光吸収率が十分大きい近赤外光吸収層を有す
る光学フィルタ1を得ることが困難となる。
【0112】〈E成分〉上述の如く、(E)成分として
は、特開平6−118228号公報に開示されているリ
ン酸基含有化合物と銅イオンを主成分とする金属イオン
成分とを含有するものを好ましく用いることができる。
【0113】〈アクリル系樹脂〉上述の如く、アクリル
系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体
から得られる重合体が好ましく用いられる。かかる(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、n−ヘ
キシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)ア
クリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリ
シジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロシキプロピル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポ
リエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)
アクリレート等の変性(メタ)アクリレート類、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メ
タ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリ
ロキシエトキシフェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−
1−(メタ)アクリロキシ−3−(メタ)アクリロキシ
プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等
の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これ
らの単量体は、単独で又は2種類以上組み合わせて用い
られ得る。
【0114】また、別のアクリル系樹脂としては、上記
の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、この(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体との共重合が可能な他
の共重合性単量体との共重合体も用いられる。かかる共
重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和
カルボン酸、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアク
リルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、クロル
スチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニ
ル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニ
ル化合物等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又
は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0115】以上において、単量体として単官能性のも
ののみを用いる場合には、熱可塑性のアクリル系樹脂が
得られ、単量体の一部又は全部として多官能性のものを
用いる場合には、熱硬化性のアクリル系樹脂が得られる
ので、これらアクリル系樹脂組成物を適宜選択すること
により、使用目的、用途及び加工成形方法等に応じた光
学フィルタ1を得ることが可能であり、既に述べたよう
に、熱可塑性のものを用いれば、硬化後の再成形が容易
となって成形加工性が向上する。
【0116】〈液状の組成物〉本発明において用いられ
る液状の組成物は、上記(A)成分、上記(B)成分、
上記(C)成分、上記(D)成分及び上記(E)成分の
うち少なくとも一つの成分を、適宜の溶媒中に溶解又は
分散させたものであり、溶媒を蒸発させて生成される薄
膜が光学的に透明であれば、液状の組成物自体は、透明
なもの、半透明なもの又は不透明なものであってもよ
い。ここに、溶媒としては、水又は有機溶媒を用いるこ
とができ、有機溶媒としては、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコ
ール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセル
ソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピ
ル、酢酸ブチル、酢酸ブチルセルソルブ等のエステル
類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、
ヘキサン、ケロシン、石油エーテル等が用いられる。ま
た、(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニ
ル化合物等の重合性を有する有機溶媒も用いられ得る。
【0117】〈単量体組成物〉本発明に用いられる単量
体組成物を構成する単量体としては、上記〈アクリル系
樹脂〉の説明において述べたアクリル酸エステル系単量
体、又は上記〈アクリル系樹脂〉の説明において述べた
他の共重合性単量体が好適である。
【0118】〈アクリル系樹脂組成物〉ここでは、上記
(A)成分、上記(B)成分、上記(C)成分、上記
(D)成分及び上記(E)成分のうち少なくとも一つの
成分を含有する樹脂組成物の例として、アクリル系樹脂
組成物について説明するが、アクリル系樹脂組成物以外
の樹脂組成物についても同様である。このアクリル系樹
脂組成物は、上記(A)成分、上記(B)成分、上記
(C)成分、上記(D)成分及び上記(E)成分のうち
少なくとも一つの成分を前述のアクリル系樹脂中に含有
させることにより調製され、その具体的な方法は、特に
限定されるものではないが、好適な方法として、以下の
2つの方法が挙げられる。
【0119】[第1の方法]:この第1の方法は、アク
リル系樹脂を得るための単量体中に、(A)成分、
(C)成分及び(E)成分(ここでは、リン酸エステル
化合物と銅塩化合物を混合したもの)、並びに(B)成
分及び(D)成分のうち少なくとも一つの成分が含有さ
れて成る単量体組成物を調製し、この単量体組成物をラ
ジカル重合処理する方法である。この方法において、単
量体組成物のラジカル重合処理の具体的な方法として
は、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合
開始剤を用いるラジカル重合法、例えば塊状(キャス
ト)重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の
公知の方法を利用し得る。
【0120】[第2の方法]:この第2の方法は、アク
リル系樹脂中に、(A)成分、(B)成分、(C)成
分、(D)成分及び(E)成分のうち少なくとも一つの
成分を添加して混合する方法である。この方法は、アク
リル系樹脂として熱可塑性樹脂を用いるときに利用され
る。具体的には、溶融させたアクリル系樹脂中に、
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び
(E)成分のうち少なくとも一つの成分を添加して混練
する方法、アクリル系樹脂を適宜の有機溶剤に溶解、
分散又は膨潤させ、この溶液に(A)成分、(B)成
分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分のうち少な
くとも一つの成分を添加して混合した後、この溶液から
有機溶剤を除去する方法がある。
【0121】上記の方法において、アクリル系樹脂と
(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び
(E)成分のうち少なくとも一つの成分とを混練する手
段としては、熱可塑性樹脂の溶融混練法として一般に用
いられている手段、例えばミキシングロールによって溶
融混練する手段、ヘンシェルミキサー等によって予備混
合した後、押出機によって溶融混練する手段が挙げられ
る。一方、上記の方法で用いられる有機溶剤として
は、上記アクリル系樹脂を溶解、分散又は膨潤し得るも
のであれば、特に限定されるものではなく、その具体例
としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等の塩素系
炭化水素類、ジメチルアクリルアミド、ジメチルフォル
ムアミド等のアミド化合物等が挙げられる。
【0122】以上のアクリル系樹脂組成物の調製におい
て、(A)成分、(C)成分及び/又は(E)成分を用
いる場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とが
反応する結果、銅塩から陰イオンである酸成分が遊離さ
れる。このような酸成分は、前述と同様の理由により、
必要に応じて除去することが好ましい。そのための方法
としては、(a)アクリル樹脂組成物を適宜の有機溶剤
に浸漬させることにより、酸成分を抽出する方法、
(b)単量体組成物の重合処理を行う前に、この単量体
組成物を冷却処理することにより、酸成分を析出させて
分離するといった方法が例示される。
【0123】上記(a)の方法において用いられる有機
溶剤としては、遊離される酸成分を溶解することがで
き、用いられるアクリル系樹脂に対して適度な親和性
(アクリル系樹脂を溶解しないが、このアクリル系樹脂
中に浸透する程度の親和性)を有するものであれば、特
に限定されるものではない。このような溶剤の具体例と
しては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級脂
肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
石油エーテル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライ
ド、四塩化炭素等の脂肪族系炭化水素類及びそのハロゲ
ン化物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭
化水素類等が挙げられる。一方、上記(b)の方法にお
いては、(A)成分、(C)成分及び/又は(E)成分
を構成する銅塩として、遊離される酸成分が単量体に溶
解しにくいものを用いることが好ましく、具体的には、
安息香酸等の芳香環を有するカルボン酸の銅塩が挙げら
れる。
【0124】なお、上記リン酸エステル銅化合物として
特に好ましいものは、上記式(2)、上記式(3)、上
記式(7)又は上記式(8)で表される化合物である
が、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応させて
得られるものであれば、これらに限定されるものではな
く、例えば、モノエステルにおける2つの水酸基に互い
に異なる銅イオンに結合した構造のもの、モノエステル
における2つの水酸基の一方のみに銅イオンが結合した
構造のもの、銅イオンが1つのジエステルの水酸基に結
合したもの、分子中に2以上の銅イオンを含有する多量
体又はこれらの配位化合物であってもよい。
【0125】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。また、以下の実施例1から実施例21までの説明に
おいては、特定のリン酸エステル化合物として上記式
(15)−a〜式(15)−rで表される化合物を、
「エステル(a)」〜「エステル(r)」と随時記載し
た。また、実施例22以降においては、特定のリン酸エ
ステル銅化合物を例えば「エステル銅(a)」等と云う
といった旨を各実施例の説明中に明記した。
【0126】〈実施例1〉特定のリン酸エステル化合物
としてエステル(a)0.14g及びエステル(b)
0.80gをメチルメタクリレート20gに添加して混
合した。この混合溶液に、無水安息香酸銅1.17gを
添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、単量
体組成物を調製した。調製した単量体組成物に、t−ブ
チルパーオキシピバレート0.2gを添加し、45℃で
16時間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異な
る温度で加熱して単量体組成物の重合処理を行うことに
より、アクリル系樹脂組成物を調製した。このアクリル
系樹脂組成物を200℃でプレス成形することにより、
厚みが4mmの青色透明の平板状の光学フィルタを製作
した。そして、得られた光学フィルタについて、波長5
50nm、波長800nm及び波長900nmにおける
光線透過率を測定した。また、得られた光学フィルタに
ついて、サンシャインウエザメーター(ブラックパネル
温度63℃、降水有り)により、500時間の耐候性試
験を行い、試験後における光学フィルタの光線透過率を
測定し、その変化の有無を調べた。以上の結果を表1に
示す。
【0127】〈実施例2〜実施例12〉下記表1に示す
配合処方に従って単量体組成物を調製したこと以外は、
上記実施例1と同様にしてアクリル系樹脂組成物から成
る光学フィルタを製作し、その評価を行った。実施例2
〜実施例12に対する結果をまとめて表1に示す。
【0128】
【表1】
【0129】〈実施例13〉下記式(60)で表される
リン酸エステル銅化合物1gと、エステル(n)1.0
3gとを、メチルメタクリレート20gに添加し、60
℃で1時間攪拌混合することにより、青色透明な単量体
組成物を調製した。この単量体組成物に、t−ブチルパ
ーオキシピバレート0.3gを添加し、45℃で16時
間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異なる温度
で加熱して単量体組成物の重合処理を行うことにより、
アクリル系樹脂組成物から成る平板状の光学フィルタを
製作した。上記実施例1と同様に評価した結果を表2に
示す。
【0130】
【化19】
【0131】
【表2】
【0132】〈実施例14〉上記式(60)で表される
リン酸エステル銅化合物の代わりに、下記式(61)で
表されるリン酸エステル銅化合物1gを用い、エステル
(n)の代わりにエステル(p)1.08gを用いたこ
と以外は、上記実施例13と同様にしてアクリル系樹脂
組成物から成る平板状の光学フィルタを製作し、その評
価を行った。結果を上記表2に示す。
【0133】
【化20】
【0134】〈実施例15〉上記式(60)で表される
リン酸エステル銅化合物の代わりに、下記式(62)で
表されるリン酸エステル銅化合物1gを用い、エステル
(n)の代わりにエステル(r)1.18gを用いたこ
と以外は、上記実施例13と同様にしてアクリル系樹脂
組成物から成る平板状の光学フィルタを製作し、その評
価を行った。結果を上記表2に示す。
【0135】
【化21】
【0136】〈実施例16〉特定のリン酸エステル化合
物としてエステル(c)0.4g及びエステル(d)
1.6gと、無水安息香酸銅1.3gとをトルエン20
g中に混合し、60℃で1時間攪拌混合することによ
り、青色透明な混合溶液を得た。この混合溶液の全量
を、ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズ(住友化学工
業(株)製,「MHGA」)40gに添加して攪拌混合
し、その後、60℃で24時間真空乾燥することにより
トルエンの除去処理を行い、塊状物を得た。この塊状物
を粉砕した後、180℃の加熱ロールにより5分間混練
することにより、青色透明なアクリル系樹脂組成物を調
製した。このアクリル系樹脂組成物を、200℃でプレ
ス成形することにより、青色透明の平板状の光学フィル
タを製作し、上記実施例1と同様にしてその評価を行っ
た。結果を上記表2に示す。
【0137】以上の表1及び表2に示した結果から明ら
かなように、実施例1〜実施例16で製作した光学フィ
ルタは、可視光透過性に優れ、近赤外光を高い効率で吸
収する性能を有し、しかも、紫外線による近赤外光吸収
性の低下(劣化)が少ないものであることが確認され
た。
【0138】〈実施例17〉また、上記実施例13で使
用した上記式エステル(n)1.089gと無水安息香
酸銅0.612gとをメチルメタクリレート10gに添
加して樹脂単量体を調製し、この樹脂単量体に重合開始
剤0.2gを添加し、幅1mmの間隔で平行に配置され
た2枚のガラス平板から成る型に注入し、上記比較例1
と同じ重合条件で注型重合して平板状の光学フィルタを
得た。
【0139】〈実施例18〉トルエン180mlに1−
メトキシ−2−プロパノール90.1mg(1モル)を
溶解し、5℃以下で五酸化二リン47.4g(1/3モ
ル)を少量ずつ加え、終夜攪拌した。次いで、60℃で
8時間攪拌後、水7mlを加えて100℃で3時間攪拌
した。溶媒等を減圧下で留去し、微黄色の粘調なオイル
状のリン酸エステル化合物124gを得た。そして、ト
ルエン200mlにこのリン酸エステル120gと酢酸
銅1水和物100gを入れて混合し、溶解させた後、6
時間脱水還流させた。脱酢酸及び脱水後、溶媒を留去
し、上記式(4)又は上記式(5)におけるmが1であ
る基Rを有するリン酸エステル銅化合物としての緑青色
の固体粉末141.3gを得た。
【0140】〈実施例19〉ジメトキシエタン200m
lにジプロピレングリコールモノメチルエーテル(東京
化成製)150g(1モル)を溶解し、5〜10℃で五
酸化二リン47.4g(1/3モル)を少量ずつ加え、
終夜攪拌した。次いで、60℃で2時間攪拌後、水15
mlを加えて80℃で2時間攪拌した後、溶媒等を減圧
下で留去し、微黄色の粘調なオイル状のリン酸エステル
化合物205gを得た。そして、トルエン150mlに
このリン酸エステル50gと酢酸銅1水和物26gを入
れて混合し、溶解させた後、6時間脱水還流させた。脱
酢酸及び脱水後、溶媒を留去し、上記式(4)又は上記
式(5)におけるmが2である基Rを有するリン酸エス
テル銅化合物としての緑青色の粘調なオイル47.6g
を得た。
【0141】〈比較試験1〉上記実施例18及び上記実
施例19で得られたリン酸エステル銅化合物の熱分解特
性を、以下の装置及び条件で測定して比較した。 a)測定装置:メトラー製TA4000熱分析システム b)測定条件 ・昇温速度:10℃/分 ・温度範囲:30〜300℃ ・雰囲気 :窒素雰囲気 ・ 測定試料重量 :m=1(実施例17) 9.878mg :m=2(実施例18) 17.206mg 図10は、実施例18に係るmが1である基Rを有する
リン酸エステル銅化合物の熱分解チャート、図11は、
実施例19に係るmが2である基Rを有するリン酸エス
テル銅化合物の熱分解チャートである。図10及び図1
1に示すように、mが1である基Rを有するリン酸エス
テル銅化合物の熱分解温度が220.7℃であるのに対
し、mが2である基Rを有するリン酸エステル銅化合物
の熱分解温度は193.2℃である。なお、図中には分
解温度の小数点以下を四捨五入した値を示した。このよ
うに、mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合
物の方が、mが2である基Rを有するリン酸エステル銅
化合物よりも27.5℃高い温度で分解しており、熱的
に安定であることが判明した。両化合物は製造における
出発物質のアルコールの種類が異なるのみであり、両者
は共にアルコール1モルに対して五酸化二リン1/3モ
ルが反応するという同じ化学量論条件で製造されたもの
である。よって、上記の熱的安定性の差異は、原料アル
コールの種類の相違に因るものと推定され得る。
【0142】〈実施例20〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物5g
を、メチルメタクリレート95gに添加して完全に溶解
させた。これに重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデ
カネートを1g添加し、幅3mmの間隔で配置された2
枚のガラス基板から成る型に注入し、40℃で8時間、
40℃から65℃まで2時間、65℃から100℃まで
1時間、100℃を1時間、100℃から70℃まで1
時間の重合プログラムで重合した。重合後、離型して青
色透明な平板状の光学フィルタを得た。分光光度計を用
いてこの光学フィルタ1の分光透過率曲線を測定した結
果を図12に示す。図12に示すように、この光学フィ
ルタ1は、可視光を最大60%程度透過するのに対し、
波長800nm〜1000nmの波長範囲にある近赤外
光は略5%以下しか透過しないことがわかった。
【0143】〈実施例21〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物80
gをエタノール20gに完全に溶解して溶液とした。次
に、厚さ50μmのPETフィルムに、この溶液を滴下
した後、溶媒のエタノールのみを蒸発させた。このよう
な滴下と蒸発を繰り返して厚さが190μmの銅塩層を
形成させた。そして、この銅塩層が形成されたフィルム
面に、厚さ50μmのPETフィルムを貼合し、多層フ
ィルム状の光学フィルタ(合計厚さ0.29mm)を製
作した。分光光度計を用いてこの光学フィルタの分光透
過率曲線を測定した結果を図13に示す。図13に示す
ように、この光学フィルタは、可視光を最大60%程度
透過するのに対し、波長800nm〜1000nmの波
長範囲にある近赤外光を略5%以下しか透過しないこと
がわかった。そして、この光学フィルタをアクリル樹脂
板に貼付し、同様に分光透過率曲線を測定したところ、
図13に示す結果と略同等であった。
【0144】〈実施例22〉 (1)アセチルオキシアルキル(炭素数3)アルコール
の調製:酢酸120g及び無水酢酸ナトリウム8.2g
の混合物を850℃に加熱して保持し、この混合物にプ
ロピレンオキサイド118gを3.5時間かけて滴下し
た。その後、85℃の温度で7時間保持することによ
り、酢酸及び無水酢酸ナトリウムとプロピレンオキサイ
ドとを反応させた。得られた反応生成液を冷却した後、
析出した酢酸ナトリウムを濾別し、得られた濾液を滅圧
蒸留して、5mmHg、68〜70℃における留分19
5gを得た。この留分をガスクロマトグラフィーにより
分析したところ、下記式(63)で表される2−(アセ
チルオキシ)プロピルアルコールと、下記式(64)で
表される1−(アセチルオキシメチル)エチルアルコー
ルとの混合物(重量組成比34:66)であった。
【0145】
【化22】
【0146】(2)リン酸アセチルオキシアルキル(炭
素数3)エステルの調製:上記(1)で得られたアセチ
ルオキシアルキル(炭素数3)アルコールの混合物14
0gをジメトキシエタン250mlに溶解した溶液に五
酸化リン52.2gを1時間かけて添加した。次いで、
この溶液を60℃で5時間攪拌することにより、アセチ
ルオキシアルキル(炭素数3)アルコールと五酸化リン
とを反応させた。その後、得られた反応生成液中のジメ
トキシエタンを滅圧留去することにより、反応生成物で
ある無色の粘調な液体173gを得た。上記反応の結
果、式(18)で表されるモノ〔1−(アセチルオキシ
メチル)エチル〕ホスフェート、式(19)で表される
ビス〔1−(アセチルオキシメチル)エチル〕ホスフェ
ート、式(20)で表されるモノ〔2−(アセチルオキ
シ)プロピル〕ホスフェート、式(21)で表されるビ
ス〔2−(アセチルオキシ)プロピル〕ホスフェート及
び式(22)で表される〔1−(アセチルオキシメチ
ル)エチル〕〔2−(アセチルオキシ)プロピル〕ホス
フェートの混合物が得られた。
【0147】リン酸エステル化合物の混合物のガスクロ
マトグラフィーによる分析:上記リン酸エステル化合物
の混合物15mgを10mlのネジ蓋付試験管に採取
し、BSA(N−O−ビストリメチルシリルアセトアミ
ド)2.5ml、TMSC(トリメチルクロロシラン)
10ml、及びピリジン10mlの混合液0.5mlを
加え、十分に振り混ぜ、その上澄み液1〜2μlを下記
のガスクロマトグラフィーに注入してクロマトグラムを
得た。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、リン
酸モノエステルに対応するピークが2個及びリン酸ジエ
ステルに対応するピークが3個得られた。これらピーク
のリテンション時間は、2種類のリン酸モノエステルに
ついてはそれぞれ6.26分及び6.38分であり、3
種類のリン酸ジエステルについてはそれぞれ11.26
分、11.46分及び11.56分であった。 ガスクロマトグラフィーの条件: ・装置:日立製作所製ガスクロマトグラフィーG300
0 ・カラム:TC−17 0.25×30m ・キャリヤー:ヘリウム 0.66ml/分,スプリッ
ト比1:75 ・インジェクション:290℃ ・検出器:FID 3000c ・カラム温度:170℃−3.5分間保持、10℃/分
−昇温、220℃−10分間保持 (3)リン酸アセチルオキシアルキル(炭素数3)エス
テル銅化合物の調製:上記リン酸エステル化合物の混合
物10gと、酢酸銅一水和物6.15gとをトルエン8
0mlに懸濁させ、ディーン−シュタルク(Dean-Star
k)の水分離器を用いて還流しながら、リン酸エステル
化合物と酢酸銅一水和物とを反応させた。水及び酢酸の
生成が停止した後、得られた反応生成液中のトルエンの
1/2量を留去し、室温に冷却した。次いで、反応生成
液にヘキサン40mlを添加し、析出した結晶を濾過し
て乾燥することにより、淡青色の粉末状のリン酸エステ
ル銅化合物9.9gを得た。以下、このリン酸エステル
銅化合物(混合物)を「エステル銅(a)」と云う。
【0148】〈実施例23〉 (1)プロパノイルオキシアルキル(炭素数3)アルコ
ールの調製:プロビオン酸296.3g、無水プロビオ
ン酸ナトリウム19.2g及びプロピレンオキサイド2
32.3gを用い、実施例22と同様の操作を行うこと
により、下記式(65)で表される2−(プロパノイル
オキシ)プロピルアルコールと、下記式(66)で表さ
れる1−(プロパノイルオキシメチル)エチルアルコー
ルとの混合物(重量組成比32:68)469.6gを
得た。
【0149】
【化23】
【0150】(2)リン酸プロパノイルオキシアルキル
(炭素数3)エステルの調製:上記プロパノイルオキシ
アルキル(炭素数3)アルコールの混合物150gと五
酸化リン47.7gとを用い、実施例22と同様の操作
を行うことにより、無色の粘調な液体の反応生成物19
5.4gを得た。この反応の結果、式(25)で表され
るモノ〔1−(プロパノイルオキシメチル)エチル〕ホ
スフェート、式(26)で表されるビス〔1−(プロパ
ノイルオキシメチル)エチル〕ホスフェート、式(2
7)で表されるモノ〔2−(プロパノイルオキシ)プロ
ピル〕ホスフェート、式(28)で表されるビス〔2−
(プロパノイルオキシ)プロピル〕ホスフェート及び式
(29)で表される〔2−(プロパノイルオキシ)プロ
ピル〕〔1−(プロパノイルオキシメチル)エチル〕ホ
スフェートの混合物が得られた。このリン酸エステル化
合物の混合物を、実施例22と同様にしてガスクロマト
グラフィーにより分析した結果、2種類のリン酸モノエ
ステルのリテンション時間は、それぞれ7.20分及び
7.26分であり、3種類のリン酸ジエステルのリテン
ション時間は、それぞれ14.37分及び14.54分
であった(ピークが重なったため、見かけ上2個のリテ
ンション時間となった)。 (3)リン酸プロパノイルオキシアルキル(炭素数3)
エステル銅化合物の調製:上記リン酸エステル化合物の
混合物100gと、酢酸銅一水和物49.6gとを用
い、実施例22と同様の操作を行うことにより、淡青色
の粉末状のリン酸エステル銅化合物64.9gを得た。
以下、このリン酸エステル銅化合物(混合物)を「エス
テル銅(b)」と云う。
【0151】〈実施例24〉 (1)アセチルオキシアルキル(炭素数4)アルコール
の調製:酢酸240.2g、無水酢酸ナトリウム16.
4g及び1,2−ブチレンオキサイド288.4gを用
い、実施例22と同様の操作を行うことにより、下記式
(67)で表される2−(アセチルオキシ)ブチルアル
コールと、下記式(68)で表される1−(アセチルオ
キシメチル)プロピルアルコールとの混合物(重量組成
比28:72)432.2gを得た。
【0152】
【化24】
【0153】(2)リン酸アセチルオキシアルキル(炭
素数4)エステルの調製:上記アセチルオキシアルキル
(炭素数4)アルコールの混和物150gと五酸化リン
48.7gとを用い、実施例22と同様の操作を行うこ
とにより、無色の粘調な液体の反応生成物195.8g
を得た。上記反応の結果、式(30)で表されるモノ
〔1−(アセチルオキシメチル)プロピル〕ホスフェー
ト〕、式(31)で表されるビス〔1−(アセチルオキ
シメチル)プロピル〕ホスフェート〕、式(32)で表
されるモノ〔2−(アセチルオキシ)ブチル〕ホスフェ
ート〕、式(33)で表されるビス〔2−(アセチルオ
キシ)ブチル〕ホスフェート、及び式(34)で表され
る〔2−(アセチルオルオキシ)ブチル〕〔1−(アセ
チルオキシメチル)プロピル〕ホスフェートの混合物が
得られた。このリン酸エステル化合物の混合物を、実施
例22と同様にしてガスクロマトグラフィーにより分析
した。但し、カラム温度を、150℃(4分間保持)−
10℃/分昇温−160℃(6分間保持)−20℃/分
昇温−200℃(8分間保持)−30℃/分昇温−27
0℃(8分間保持)とした。分析の結果、2種類のリン
酸モノエステルのリテンション時間は、それぞれ12.
85分及び13.03分であり、3種類のリン酸ジエス
テルのリテンション時間は、それぞれ23.16分及び
23.24分であった(ピークが重なったため、見かけ
上2個のリテンション時間となった。)。 (3)リン酸アセチルオキシアルキル(炭素数4)エス
テル銅化合物の調製:得られたリン酸エステル化合物の
混合物120gと、酢酸銅一水和物60.8gとを用
い、実施例22と同様の操作を行うことにより、淡青色
の粉末状のリン酸エステル銅化合物87.0gを得た。
以下、このリン酸エステル銅化合物を「エステル銅
(c)」と云う。
【0154】〈実施例25〉 (1)プロパノイルオキシアルキル(炭素数4)アルコ
ールの調製:プロピオン酸185.2g、無水プロピオ
ン酸ナトリウム12.0g及び1,2−ブチレンオキサ
イド180.2gを用い、実施例22と同様の操作を行
うことにより、下記式(69)で表される2−(プロパ
ノイルオキシ)ブチルアルコールと、下記式(70)で
表される1−(プロパノイルオキシメチル)プロピルア
ルコールとの混合物(重量組成比30:70)305.
9gを得た。
【0155】
【化25】
【0156】(2)リン酸プロパノイルオキシアルキル
(炭素数4)エステルの調製:上記プロパノイルオキシ
アルキル(炭素数4)アルコールの混合物150.0g
と五酸化リン44.0gとを用い、実施例22と同様の
操作を行うことにより、無色の粘調な液体の反応生成物
を得た。上記反応の結果、式(35)で表されるモノ
〔1−(プロパノイルオキシメチル)プロピル〕ホスフ
ェート、式(36)で表されるビス〔1−(プロパノイ
ルオキシ)プロピル〕ホスフェート、式(37)で表さ
れるモノ〔2−(プロパノイルオキシ)ブチル〕ホスフ
ェート、式(38)で表されるビス〔2−(プロパノイ
ルオキシ)ブチル〕ホスフェート及び式(39)で表さ
れる〔2−(プロパノイルオキシ)ブチル〕〔1−(プ
ロパノイルオキシメチル)プロピル〕ホスフェートの混
合物が得られた。 (3)リン酸プロパノイルオキシアルキル(炭素数4)
エステル銅化合物の調製:後記リン酸エステル化合物の
混合物20.0gと、酢酸銅一水和物8.8gとを用
い、実施例22と同様の操作を行い、溶媒を留去するこ
とにより、淡青色の粘調なグリース状のリン酸エステル
銅化合物22.4gを得た。以下、このリン酸エステル
銅化合物(混合物)を「エステル銅(d)」と云う。
【0157】〈実施例26〉 (1)〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕アルキル
(炭素数3)アルコールの調製:イソ酪酸264.3
g、無水イソ酪酸ナトリウム16.5g及びプロピレン
オキサイド174.2gを用い、実施例22と同様の操
作を行うことにより、下記式(71)で表される2−
〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕プロピルアルコ
ールと、下記式(72)で表される1−〔(2−メチル
プロパノイル)オキシメチル〕エチルアルコールとの混
合物(重量組成比32:68)262.5gを得た。
【0158】
【化26】
【0159】(2)リン酸〔(2−メチルプロパノイ
ル)オキシ〕アルキル(炭素数3)エステルの調製:上
記〔(2−メチルプロパノイル)オキシアルキル(炭素
数3)アルコールの混合物150.0gと五酸化リン4
3.5gとを用い、実施例22と同様の操作を行うこと
により、無色の粘調な液体の反応生成物191.4gを
得た。上記反応の結果、式(40)で表されるモノ[1
−〔(2−メチルプロパノイル)オキシメチル〕エチ
ル]ホスフェート、式(41)で表されるビス[1−
〔(2−メチルプロパノイル)オキシメチル〕エチル]
ホスフェート、式(42)で表されるモノ[2−〔(2
−メチルプロパノイル)オキシ〕プロピル]ホスフェー
ト、式(43)で表されるビス[2−〔(2−メチルプ
ロパノイル)オキシ〕プロピル]ホスフェート及び式
(44)で表される[1−〔(2−メチルプロパノイ
ル)オキシメチル〕エチル][2−〔(2−メチルプロ
パノイル)オキシ〕プロピル]ホスフェートの混合物が
得られた。 (3)リン酸〔(2−メチルプロパノイル)オキシアル
キル(炭素数3)エステル銅化合物の調製:上記リン酸
エステル化合物の混合物20.0gと、酢酸銅一水和物
8.6g(リン酸エステル化合物1モルに対して0.5
モルとなる量)とを用い、実施例22と同様の操作を行
い、溶媒を留去することにより、淡青色の粘調なグリー
ス状のリン酸エステル銅化合物22.2gを得た。以
下、このリン酸エステル銅化合物(混合物)を「エステ
ル銅(e)」と云う。
【0160】〈実施例27〉 (1)〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕アルキル
(炭素数4)アルコールの調製:イソ酪酸211.4
g、無水イソ酪酸ナトリウム16.5g及び1,2−ブ
チレンオキサイド173.0gを用い、実施例22と同
様の操作を行うことにより、下記式(73)で表される
2−〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕ブチルアル
コールと、下記式(74)で表される1−〔(2−メチ
ルプロパノイル)オキシメチル)プロピルアルコールと
の混合物(重量組成比33:67)295.2gを得
た。
【0161】
【化27】
【0162】(2)リン酸〔(2−メチルプロパノイ
ル)オキシ〕アルキル(炭素数4)エステルの調製:上
記〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕アルキル(炭
素数4)アルコールの混合物150.0gと五酸化リン
39.9gとを用い、実施例22と同様の操作を行うこ
とにより、無色の粘調な液体の反応生成物188.2g
を得た。上記反応の結果、式(45)で表されるモノ
[1−〔(2−メチルプロパノイル)オキシメチル〕プ
ロピル]ホスフェート、式(46)で表されるビス[1
−〔(2−メチルプロパノイル)オキシメチル〕プロピ
ル]ホスフェート、式(47)で表されるモノ[2−
〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕ブチル]ホスフ
ェート、式(48)で表されるビス[2−〔(2−メチ
ルプロパノイル)オキシ〕ブチル]ホスフェート及び式
(49)で表される[2−〔(2−メチルプロパノイ
ル)オキシ〕ブチル][1−〔(2−メチルプロパノイ
ル)オキシメチル〕プロピル]ホスフェートの混合物が
得られた。 (3)リン酸〔(2−メチルプロパノイル)オキシ〕ア
ルキル(炭素数4)エステル銅化合物の調製:上記リン
酸エステル化合物の混合物20.0gと、酢酸銅一水和
物7.9gとを用い、実施例22と同様の操作を行い、
溶媒を留去することにより、淡青色の粘調なグリース状
のリン酸エステル銅化合物22.2gを得た。以下、こ
のリン酸エステル銅化合物(混合物)を「エステル銅
(f)」と云う。
【0163】〈実施例28〉 (1)リン酸(メトキシカルボニル)アルキル(炭素数
4)エステルの調製:2,2−ジメチル−3−ヒドロキ
シプロピオン酸メチル100gを、ジメトキシエタン1
50mlに溶解し、得られた溶液に五酸化リン36gを
少量ずつ添加した。次いで、この溶液を室温で終夜(約
16時間)攪拌することにより、2,2−ジメチル−3
−ヒドロキシプロピオン酸メチルと五酸化リンとを反応
させた。その後、得られた反応生成液中のジメトキシエ
タンを減圧留去することにより、反応生成物136gを
得た。この反応生成物は、無色の粘調な液体であった。
上記反応の結果、式(58)で表されるモノ〔(2−メ
トキシカルボニル−2−メチル)プロピル〕ホスフェー
ト及び式(59)で表されるビス〔(2−メトキシカル
ボニル−2−メチル)プロピル〕ホスフェートの混合物
が得られた。このリン酸エステル化合物の混合物10m
gをメタノ−ル0.5mlに溶解し、水冷下で、トリメ
チルシリルジアゾメタンの10%ヘキサン溶液0.5m
lを加え、十分に振り混ぜ、その上澄み液1〜2μlを
ガスクロマトグラフィーに注入してクロマトグラフィー
による分析を、実施例22と同様にして行った。但し、
カラム温度を、200℃(2分間保持)−5℃/分昇温
−270℃(一定温度保持)とした。分析の結果、リン
酸モノエステルに対応するピーク(リテンション時間
3.95分)と、リン酸ジエステルに対応するピーク
(リテンション時間8.94分)の2個のピークが得ら
れた。 (2)リン酸(メトキシカルボニル)アルキル(炭素数
4)エステル銅化合物の調製:上記リン酸エステル化合
物の混合物50gと、酢酸銅一水和物30gとをトルエ
ン150mlに懸濁させ、ディーン−シュタルク(Dean
-Stark)の水分離器を用いて還流しながら、リン酸エス
テル化合物と酢酸銅一水和物とを反応させた。そして、
水及び酢酸の生成が停止した後、得られた反応生成液中
のトルエンの1/2量を留去し、室温に冷却した。次い
で、反応生成液にヘキサン40mlを添加し、析出した
結晶を濾過して乾燥することにより、淡青色の粉末状の
リン酸エステル銅化合物51gを得た。以下、このリン
酸エステル銅化合物(混合物)を「エステル銅(g)」
と云う。
【0164】〈実施例29〉 エステル銅(a)を含有する樹脂製光学フィルタの製
造:メチルメタクリレート95gに、実施例22で調製
したエステル銅(a)5gを添加して混合し、更にα−
メチルスチレン0.2g及び重合開始剤としてt−ブチ
ルパーオキシネオデカネート1.0gを添加して調製し
た単量体組成物をガラス平板から成る型に注入し、40
℃で5時間、60℃で3時間、90℃で1時間と順次異
なる温度で加熱してその単量体組成物の注型重合を行う
ことにより、樹脂組成物より成る厚みが3mmの平板状
の光学フィルタを製造した。この光学フィルタについ
て、分光光度計「U−4000」〔(株)日立製作所
製〕により、波長250〜1200nmにおける分光透
過率を測定した。
【0165】〈実施例30〜34〉 エステル銅(b)〜(f)を含有する樹脂組成物より成
る光学フィルタの製造:後記表3に示す配合処方に従っ
て単量体組成物を調製したこと以外は実施例29と同様
にして、樹脂組成物より成る平板状の光学フィルタを製
造し、波長250〜1200nmにおける分光透過率を
測定した。
【0166】〈実施例35〉 リン酸エステル銅化合物の調製及びこれを含有する樹脂
組成物より成る光学フィルタの製造:実施例24の
(2)において調製したリン酸アセチルオキシアルキル
(炭素数4)エステル化合物の混合物20.0gをトル
エン100mlに溶解し、この溶液に水酸化銅4.7g
(リン酸エステル化合物1モルに対して0.5モルとな
る量)を添加して反応させることにより、淡青色の粉末
状のリン酸エステル銅化合物24.2gを得た。以下、
このリン酸エステル銅化合物(混合物)を「エステル銅
(h)」と云う。そして、エステル銅(a)の代わりに
エステル銅(h)を用いたこと以外は実施例25と同様
にして、樹脂組成物より成る平板状の光学フィルタを製
造した。
【0167】〈実施例36〉 リン酸エステル銅化合物の調製及びこれを含有する樹脂
組成物より成る光学フィルタの製造:実施例22の
(2)において調製したリン酸アセチルオキシアルキル
(炭素数3)エステルの混合物10.0gと、実施例2
4の(2)において調製したリン酸アセチルオキシアル
キル(炭素数4)エステルの混合物10.0gとを混合
し、この混合物と、酢酸銅一水和物10.3g(リン酸
エステル化合物1モルに対して0.5モルとなる量)と
を用い、実施例22の(3)と同様の操作を行うことに
より、淡青色の粉末状のリン酸エステル銅化合物22.
4gを得た。以下、このリン酸エステル銅化合物(混合
物)を「エステル銅(i)」と云う。そして、エステル
銅(a)の代わりにエステル銅(i)を用いたこと以外
は実施例29と同様にして、樹脂組成物より成る平板状
の光学フィルタを製造した。
【0168】〈実施例37〉 単量体組成物の調製とその重合による樹脂組成物より成
る光学フィルタの製造:後記表4に示す配合処方に従っ
て、メチルメタクリレート100gに、式(23)で表
されるビス〔2−(アセチルオキシ)プロピル〕ホスフ
ェート2.77gと、式(22)で表されるモノ〔2−
(アセチルオキシ)プロピル〕ホスフェート1.85g
とを添加して十分に混合し、これに無水安息香酸銅5.
77g(銅イオン1.2g)を添加し、90℃で1時間
攪拌混合することにより、無水安息香酸銅を溶解させて
単量体組成物を調製した。このようにして調製された単
量体組成物に、t−ブチルパーオキシネオデカネート
1.0gを添加した後、この組成物をガラス平板から成
る型に注入し、40℃で5時間、60℃で3時間、90
℃で1時間と順次異なる温度で加熱して単量体組成物の
注型重合を行い、樹脂組成物より成る平板状の光学フィ
ルタを製造した。この光学フィルタについて、分光光度
計「U−4000」〔(株)日立製作所製〕により、波
長250〜1200nmにおける分光透過率を測定し
た。
【0169】〈実施例38〜43〉 単量体組成物の調製とその重合による樹脂組成物より成
る光学フィルタの製造:後記表4に示す配合処方に従っ
て単量体組成物を調製したこと以外は実施例37と同様
にして、樹脂組成物より成る平板状の光学フィルタを製
造した。
【0170】〈実施例44〉 実施例22で得られたリン酸エステル化合物を用いた単
量体組成物の調製とその重合による樹脂組成物より成る
光学フィルタの製造:メチルメタクリレート75.2g
と、N,N−ジメチルアクリルアミド20gとより成る
単量体混合物に、実施例22の(2)において調製した
リン酸アセチルオキシアルキル(炭素数3)エステルの
混合物4.8gを添加して混合し、これに無水安息香酸
銅6g(銅イオン1.25g)を添加し、60℃で1時
間攪拌混合することにより、無水安息香酸銅を溶解させ
て単量体組成物を調製した。このようにして調製された
単量体組成物に、t−ブチルパーオキシネオデカネート
2.0gを添加した後、この組成物を厚み3.7mmの
型に注入し、40℃で5時間、60℃で3時間、90℃
で1時間と順次異なる温度で加熱して単量体組成物の注
型重合を行うことにより、樹脂組成物から成る厚み3.
7mmの平板状の光学フィルタを製造した。この光学フ
ィルタについて、分光光度計「U−4000」〔(株)
日立製作所製〕により、波長250〜1200nmにお
ける分光透過率を測定した。
【0171】〈実施例45〉 実施例22で得られたリン酸エステル化合物を用いた単
量体組成物の調製とその重合による樹脂組成物より成る
光学フィルタの製造:メチルメタクリレート10gと、
実施例22の(2)において調製したリン酸アセチルオ
キシアルキル(炭素数3)エステルの混合物4.3g
と、無水安息香酸銅4.8g(銅イオン1.0g)とを
混合し、60℃で1時間攪拌混合することにより、無水
安息香酸銅を溶解させ、更にメチルメタクリレート7
5.7g及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート10
gを添加して混合することにより、単量体組成物を調製
した。この単量体組成物に、t−ブチルパーオキシネオ
デカネート1.0gを添加した後、この組成物を厚み
3.0mmの型に注入し、40℃で5時間、60℃で3
時間、90℃で1時間と順次異なる温度で加熱して単量
体組成物の注型重合を行うことにより、樹脂組成物から
成る厚みが3.0mmの平板状の光学フィルタを製造し
た。この光学フィルタについて、分光光度計「U−40
00」〔(株)日立製作所製〕により、波長250〜1
200nmにおける分光透過率を測定した。
【0172】〈実施例46〉 実施例24で得られたリン酸エステル化合物を用いた単
量体組歳物の調製とその重合による樹脂組成物より成る
光学フィルタの製造:メチルメタクリレート94.2g
に、実施例24の(2)において調製したリン酸アセチ
ルオキシアルキル(炭素数4)エステルの混合物5.8
gを添加して混合し、これに酢酸銅一水和物3.0g
(銅イオン0.95g)を添加し、60℃で1時間攪拌
混合することにより、酢酸銅一水和物を溶解させて単量
体組成物を調製した。この単量体組成物に、t−ブチル
パーオキシネオデカネート1.0gを添加した後、この
組成物を厚み3.0mmの型に注入し、40℃で5時
間、60℃で3時間、90℃で1時間と順次異なる温度
で加熱して単量体組成物の注型重合を行うことにより、
樹脂組成物から成る厚みが3.0mmの平板状の光学フ
ィルタを製造した。この光学フィルタについて、分光光
度計「U−4000」〔(株)日立製作所製〕により、
波長250〜1200nmにおける分光透過率を測定し
た。
【0173】〈光学フィルタの近赤外光吸収性の評価〉
上記実施例29〜46によって得られた樹脂組成物より
成る光学フィルタの各々について、分光光度計「U−4
000」〔(株)日立製作所製〕を用いて近赤外光領域
(波長800nm,900nm,1000nm)におけ
る分光透過率(T 800,T900,T1000)を測定した。結
果を後記表3、表4及び表5に併せて示す。表3、表4
及び表5に示すように、実施例29〜46で得られた光
学フィルタは、近赤外領域(800〜1000nm)の
近赤外光を高い効率で吸収することが明白である。ま
た、実施例29〜46により得られたこれら光学フィル
タ(厚さ:2〜20mm)は、1000nmにおける光
透過率と800nmにおける半透過率との差(T1000
800)が4.0〜9.9と小さく、この波長領域の近
赤外光を均等に吸収できることが理解される。
【0174】
【表3】
【0175】
【表4】
【0176】
【表5】
【0177】〈実施例47〉実施例22で得られたエス
テル銅(a)の粉末を2枚のスライドガラスの間に挟
み、スライドガラスの表面に均一に分布させた状態で固
定することにより近赤外光吸収特性を有する部材を製作
した。このような部材は、窓材としてのガラスに近赤外
光吸収性の薄層が形成された光学フィルタとして使用し
得る。この光学フィルタについて、分光反射率曲線を測
定した結果を図14に示す。この図から明らかなよう
に、このような粉体状の組成物をそのまま使用した部材
によっても、近赤外光を高い効率で吸収できることが判
明した。
【0178】〈実施例48〉エタノ−ル95g中に、実
施例22で得られたエステル銅(a)5gを溶解するこ
とにより、液状の組成物を調製した。そして、この液状
の組成物が、内壁面の間隔が3mmのガラス製のセル内
に収容されて成る近赤外光吸収性の部材を製作した。こ
のような部材も、光学フィルタとして使用され得る。こ
の部材の分光透過率曲線を測定した結果を図15に示
す。この図から明らかなように、このような液状の組成
物をそのまま使用した部材によっても、近赤外光を高い
効率で吸収できることが判明した。
【0179】〈実施例49〉市販のアクリル系コート剤
「LR−2515」(三菱レーヨン社製,固形成分が約
50質量%)100gに、実施例22で得られたエステ
ル銅(a)5gを混合して溶解させた。このエステル銅
(a)が含有されて成るコー卜剤をガラス基板の表面に
塗布し、コート剤中の溶媒を蒸発させることにより、こ
のガラス基板の表面に厚みが約0.5mmの膜を形成さ
せて、厚さの薄い光学フィルタを製作した。この光学フ
ィルタの分光透過率曲線を測定した結果を図16に示
す。この図から明らかなように、この光学フィルタは、
可視光よりも近赤外光を高い効率で吸収する。
【0180】〈実施例50〉メチルメタクリレート95
g中に、実施例22で得られたエステル銅(a)を溶解
させることにより、液状の組成物を調製した。この液状
の組成物を内壁面の間隔が3mmのガラス製のセル内に
収容することにより、近赤外光吸収性の部材を製作し
た。このような部材も、光学フィルタとして使用され得
る。この部材の分光透過率曲線を測定した結果を図17
に示す。この図から明らかなように、このような部材で
も、近赤外光を高い効率で吸収できることが判明した。
【0181】〈実施例51〉市販のエステル系コート剤
「プラスコートRY−103」(互応化学工業社製,固
形成分が約30質量%)150gに、実施例22で得ら
れたエステル銅(a)5gを混合して溶解させた。この
エステル銅(a)が含有されて成るコート剤をガラス基
板の表面に塗布し、コート剤中の溶媒を蒸発させること
により、このガラス基板の表面に厚さが0.3mmのコ
ー卜膜を形成させ、平板状の光学フィルタを製作した。
この光学フィルタの分光透過率曲線を測定した結果を図
18に示す。この図から明らかなように、この光学フィ
ルタは、近赤外光吸収特性を有している。
【0182】〈実施例52〉トルエン95g中に、実施
例28で得られたエステル銅(g)5gを溶解すること
により、液状の組成物を調製した。そして、この液状組
成物が、内壁面の間隔が3mmのガラス製のセル内に収
容されて成る部材を製作した。このような部材も、光学
フィルタとして使用され得る。この部材の分光透過率曲
線を測定した結果を図19に示す。この図から明らかな
ように、この近赤外光吸収部材は、近赤外光を高い効率
で吸収する。
【0183】〈実施例53〉トルエン100g中に、ポ
リビニルブチラール10gを添加して溶解させた。この
溶液に、実施例28で得られたエステル銅(g)5gを
添加することにより、粘着性を有する部材を調製した。
次いで、2枚のガラス板を用意し、得られた粘着剤を一
方のガラス板の表面に塗布した後、50℃で24時間放
置してトルエンを蒸発させることにより、粘着性を有す
る塗膜を形成させた。そして、この塗膜上に他方のガラ
ス基板を配置して接着することにより、厚さ1mmの中
間層を介して2枚のガラス基板が積層されて成る光学フ
ィルタを製作した。この光学フィルタの分光透過率曲線
を測定した結果を図20に示す。この図から明らかなよ
うに、この光学フィルタは、近赤外光吸収特性を有す
る。
【0184】〈実施例54〉実施例29で得られた樹脂
組成物より成る光学フィルタ平板をペレタイザーによっ
て裁断することにより、粒状の樹脂組成物(ペレット)
を調製した。このペレットを、190〜220℃の条件
でプレス成形することにより、厚みが3mmの光学フィ
ルタを再製造した。この光学フィルタについて、分光透
過率曲線を測定したところ、実施例29で得られた光学
フィルタと略同様の結果が得られた。また、実施例30
〜46で得られた樹脂組成物より成る光学フィルタを用
い、上記と同様の操作を行うことにより平板状の光学フ
ィルタを製作し、その分光透過率曲線を測定したとこ
ろ、対応する各実施例と略同様の結果が得られた。
【0185】〈実施例55〉下記式(75)〜下記式
(78)で表されるリン酸エステル化合物の混合物を調
製し、この混合物1.333gと無水安息香酸銅0.6
12gとをメチルメタクリレート10gに添加して樹脂
単量体を調製し、この樹脂単量体に重合開始剤0.2g
を添加し、幅1mmの間隔で平行に配置された2枚のガ
ラス平板から成る型に注入して重合硬化させ、平板状の
光学フィルタを得た。
【0186】
【化28】
【0187】〈実施例56〉上記式(9)及び上記式
(10)で表されるmが1である基Rを有するリン酸エ
ステル化合物、上記mが2である基Rを有するリン酸エ
ステル化合物、及びそれらの銅化合物を種々調製し、熱
分解特性を、以下の測定装置及び測定条件で測定した。
その結果、同じ化学量論条件(原材料のモル比)で製造
されたものであれば、mが1のものの方が、mが2のも
のより高い温度で分解すること、すなわち熱的に安定で
あることが確認された。このとき、mが1のものとmが
2のものとの相違は、製造における出発物質のアルコー
ルの種類が異なるのみであり、上記の熱的安定性の差異
は、原料アルコールの種類の相違に因るものと推定され
得る。 a)測定装置:メトラー製TA4000熱分析システム b)測定条件 ・昇温速度:10℃/分 ・温度範囲:30〜300℃ ・雰囲気 :窒素雰囲気 〈実施例57〉上記実施例22と同様の方法でエステル
銅(a)99gを調製し、このうち80gをエタノール
20gに完全に溶解して溶液とした。次に、厚さ50μ
mのPETフィルムに、この溶液を滴下した後、溶媒の
エタノールのみを蒸発させた。このような滴下と蒸発を
繰り返し、近赤外光吸収性膜としての厚さを190μm
の銅塩層を形成させた。そして、この銅塩層が形成され
たフィルム面に、厚さ50μmのPETフィルムを貼合
し、多層フィルム状の光学フィルタ(合計厚さ0.29
mm)を製作した。また、分光光度計を用いてこの光学
フィルタの分光透過率曲線を測定した結果を図21に示
す。図21に示すように、この光学フィルタは、可視光
線を最大60%程度透過するのに対し、波長800nm
〜1000nmの波長範囲にある近赤外光を略5%以下
しか透過しないことがわかった。そして、この多層フィ
ルム状の光学フィルタをアクリル樹脂板に貼付して、同
様に分光透過率曲線を測定したところ、図21に示す結
果と略同等であった。
【0188】〈実施例58〉上記実施例20で製造した
厚さ3mm弱の青色透明な平板状の光学フィルタ(分光
透過率曲線の測定結果は図12に示されている)を母材
とし、図1に示す光学フィルタ11のような円柱形状に
加工した。そして、フォトダイオード12としてシリコ
ンフォトダイオードを用い、加工された上記光学フィル
タを図1に示すようにシリコンフォトダイオードの受光
面上に接着固定し、受光センサを得た。図22は、光学
フィルタを有しないシリコンフォトダイオード単体の分
光感度特性(曲線G2)を示すグラフであり、図23は
光学フィルタを備えた本発明の受光センサの分光感度特
性(曲線G3)を示すグラフである。また、図23に
は、曲線G1で表される視感度特性を併せて示す。な
お、図23においては、曲線G1の感度ピーク値を曲線
G3の感度ピーク値に規格化して示した。図23より明
らかなように、この受光センサの分光感度特性は、視感
度特性と略一致すると共に、この受光センサは、近赤外
光の波長領域である800nm〜1000nmにおい
て、実効的な感度を有しない。また、光源に標準タング
ステン電球を使用し、受光センサの受光面上における照
度を変化させて上記受光センサの時間応答特性を調べた
結果、光照射後、飽和電流の所定値に達するまでの立ち
上がり時間、及び出力電流値が飽和した状態で光を遮断
後、飽和電流の所定値に達する減衰時間は、共に約10
0ns〜10μsのオーダーであり、上記シリコンフォ
トダイオード単体での時間応答特性と同等であった。さ
らに、種々の照度において、受光センサの環境温度を変
化させて感度(出力電流値)の変動率を測定したとこ
ろ、マイナス約20℃〜プラス約60℃での変動率は数
%であり、誤差の範囲内であった。また、明暗の照射を
繰り返したときの感度(出力電流値)の変動率(所謂前
歴誤差)を調べた結果、これも誤差の範囲内であった。
このような特性値は、上記の時間応答特性同様、シリコ
ンフォトダイオード単体での特性値と同等であった。
【0189】〈実施例59〉下記式(79)−a及び下
記式(79)−bで表され、分子構造中に重合性の不飽
和二重結合を有するリン酸エステル化合物の混合物0.
726gと無水安息香酸銅0.612gとをメチルメタ
クリレート10gに添加して樹脂単量体を調製し、この
樹脂単量体に重合開始剤0.2gを添加し、幅1mmの
間隔で平行に配置された2枚のガラス平板から成る型に
注入し適当な重合条件で注型重合して平板状の光学フィ
ルタを得た。
【0190】
【化29】
【0191】〈実施例60〉下記式(80)で表される
リン酸エステル化合物18.8g及び下記式(81)で
表されるリン酸エステル化合物11.2gの混合物と、
メチルメタクリレート69gと、α−メチルスチレン1
gとを混合し、得られた混合物に安息香酸銅20gを添
加して完全に溶解させ、次いで、重合開始剤としてt−
ブチルパーオキシネオデカネート1.0gを添加するこ
とにより、単量体組成物を調製した。この単量体組成物
を実施例29と同様にして注型重合を行うことにより、
樹脂組成物より成る厚みが3mmの平板を得た。
【0192】
【化30】
【0193】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
近赤外光による誤動作を防止でき、且つ分光感度特性を
従来よりも視感度に一致させることができる受光センサ
を提供することが可能である。また、本発明によれば、
このような受光センサを用いることにより、人間の明暗
感覚に応じて最適な点灯制御又は調光を実施することが
可能な装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受光センサに係る好適な一実施形態を
示す斜視図である。
【図2】本発明の受光センサに係る他の実施形態を示す
斜視図である。
【図3】本発明の受光センサに係る更に他の実施形態を
示す斜視図である。
【図4】本発明の通信装置に係る好適な一実施形態を示
す模式図であって、図4(a)は正面図であり、図4
(b)は側面図である。
【図5】図4に示す通信装置としての携帯電話端末内部
の表示装置の一構成を示すブロック図である。
【図6】図4に示す通信装置としての携帯電話端末内部
の点灯制御回路部分の一例を示す展開接続図である。
【図7】本発明の通信装置としての携帯端末装置に係る
他の実施形態を示す模式図であって、図7(a)は正面
図であり、図7(b)は側面図である。
【図8】本発明の情報処理装置に係る好適な一実施形態
を示す斜視図である。
【図9】本発明の情報処理装置としてのコンピューター
内部の調光回路部分の一例を示す展開接続図である。
【図10】実施例18に係るmが1である基Rを有する
リン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを示すグラフ
である。
【図11】実施例19に係るmが2である基Rを有する
リン酸エステル銅化合物の熱分解チャートを示すグラフ
である。
【図12】実施例20に係る光学フィルタの分光透過率
曲線を示すグラフである。
【図13】実施例21に係る光学フィルタの分光透過率
曲線を示すグラフである。
【図14】実施例47に係る光学フィルタの分光反射率
曲線を示すグラフである。
【図15】実施例48に係る部材の分光透過率曲線を示
すグラフである。
【図16】実施例49に係る光学フィルタの分光透過率
曲線を示すグラフである。
【図17】実施例50に係る部材の分光透過率曲線を示
すグラフである。
【図18】実施例51に係る光学フィルタの分光透過率
曲線を示すグラフである。
【図19】実施例52に係る部材の分光透過率曲線を示
すグラフである。
【図20】実施例53に係る光学フィルタの分光透過率
曲線を示すグラフである。
【図21】実施例57に係る光学フィルタの分光透過率
曲線を示すグラフである。
【図22】実施例58に係る光学フィルタを有しないシ
リコンフォトダイオード単体の分光感度特性を示すグラ
フである。
【図23】実施例58に係る受光センサの分光感度特性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1…受光センサ、2…携帯電話端末(通信装置)、3a
…点灯制御回路(信号処理回路)、3b…調光回路(信
号処理回路)、4…バックライト(光源)、5…電源、
6…液晶表示画面(表示部)、8…コンピュータ(情報
処理装置)、9…ディスプレイ画面(表示部)、11…
光学フィルタ、12…フォトダイオード(光電変換素
子)、12a…受光面、20…発光装置、30…表示装
置、L…入射光、La…近赤外光、Lb…可視光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 庄司 益宏 福島県いわき市錦町落合16 呉羽化学工業 株式会社錦工場内 Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA19 CA24 4J002 BB031 BB121 BC031 BC091 BC111 BC121 BG031 CF061 CG011 EW046 GP00 5F088 AA01 AA11 AB02 BA03 BB10 JA13 LA03

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受光面への入射光に応じた電流を出力す
    る光電変換素子と、 前記光電変換素子の受光面上に配置され、前記入射光の
    成分のうち近赤外領域の光成分を吸収すると共に可視領
    域の光成分を透過させる光学フィルタと、 を具備することを特徴とする受光センサ。
  2. 【請求項2】 前記光学フィルタは、下記(A)成分、
    下記(B)成分、下記(C)成分及び下記(D)成分の
    うち少なくとも一つの成分を含有することを特徴とする
    請求項1記載の受光センサ。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
    酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化1】 (C)成分:銅イオン及び下記式(6)で表されるリン
    酸エステル化合物より成る成分 (D)成分:下記式(7)又は下記式(8)で表される
    リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化2】
  3. 【請求項3】 前記光学フィルタは、下記(E)成分を
    含有することを特徴とする請求項1又は2記載の受光セ
    ンサ。 (E)成分:銅イオン及び下記式(11)で表されるリ
    ン酸エステル化合物より成る成分 【化3】
  4. 【請求項4】 前記光学フィルタは、前記(A)成分、
    前記(B)成分、前記(C)成分及び前記(D)成分の
    うち少なくとも一つの成分がアクリル系樹脂中に含有さ
    れて成るアクリル系樹脂組成物を含み、該アクリル系樹
    脂組成物中の銅イオンの含有割合が、該アクリル系樹脂
    組成物全体の0.1〜20重量%であることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の受光センサ。
  5. 【請求項5】 前記光学フィルタは、波長800nm〜
    1000nmの波長領域における光の透過率が20%以
    下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項
    に記載の受光センサ。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の受
    光センサと、 該受光センサに接続された光源と、 該受光センサに接続され、該受光センサに備わる光電変
    換素子から出力される電流量に応じた電気信号を出力
    し、該光電変換素子に入射した光成分の強度が所定の強
    度以下のときに前記光源を点灯させ、該光成分の強度が
    所定の強度を超えるときに前記光源を消灯させる信号処
    理回路と、 前記受光センサ及び前記光源に電力を供給する電源と、 を備えることを特徴とする発光装置。
  7. 【請求項7】 前記信号処理回路は、前記光成分の強度
    に応じて前記光源から発せられる光の強度を変化させる
    ものであることを特徴とする請求項6記載の発光装置。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7記載の発光装置と、 該発光装置から発せられる光の出射方向の前方に配設さ
    れた表示部と、 を有することを特徴とする表示装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の表示装置を備えて成るこ
    とを特徴とする通信装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の表示装置を備えて成る
    ことを特徴とする情報処理装置。
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