JP2016148764A - 近赤外線カットフィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた下地層と、前記下地層の上方に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターであって、前記下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成され、前記樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂及びオキソカーボン系化合物を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
X及びYはそれぞれ独立して有機基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(5)中の4員環との結合部位を表す。]
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板上に下地層及び樹脂層が形成されたものである。基板をガラスとすることで、ガラス基板と下地層との密着性が優れたものとなり、下地層及び樹脂層(以下、積層体という)のクラックやチッピング、反りの発生をより抑制でき、かつ、耐熱性にも優れた近赤外線カットフィルターとなる。
下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物(以下、下地層用組成物という)から形成されたものであり、下地層は、ガラス基板の片面のみに有していてもよいし、両面に有していてもよい。また、下地層は、単層構造又は多層構造のいずれであってもよい。
本発明で用いるシランカップリング剤は反応性基としてアミノ基を有する。このようなアミノ基含有シランカップリング剤を、下地層用組成物に含有させることで、ガラス基板との密着性を向上させる効果や撥水作用により下地層中への水分の浸入を抑制する効果があり、その結果、耐熱性や耐湿熱性に優れる近赤外線カットフィルターを得ることができる。具体的には、半田リフロー工程、湿熱環境における使用において、剥がれ等を抑制することが可能となる。
また、アミノ基以外の反応性基として、例えば、アルコキシ基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、オキシラン基(オキシラン環)、メルカプト基、イソシアナート基等を有するカップリング剤を有することが好ましく、中でもアルコキシ基を有することがより好ましい。
下地層用組成物の調製方法は特に限定されず、アミノ基含有シランカップリング剤に液媒体及び触媒を加えて、通常の方法で混合することにより得ることができる。液媒体は、水、アルコール等であればよく、1種又は2種以上を使用することができるが、好ましくは、水及び/又はエタノールである。液媒体を加えることによって、アミノ基含有シランカップリング剤においてアルコキシ基が加水分解してシラノール基が生成し、このシラノール基がガラス基板表面にある水酸基との水素結合を介してガラス基板表面に移行する。そして、シラノール基の脱水縮合反応を経てガラス基板表面と強固な共有結合を生成することによって、ガラス基板と下地層との密着性が向上する。下地層用組成物における液媒体の含有量は、下地層用組成物(溶媒を含む全量)100質量%に対して、97〜99.9質量%が好ましく、98〜99.5質量%がより好ましい。
下地層の形成方法としては、公知の方法を用いることができるが、下地層用組成物(アンダーコート液)をガラス基板上に塗布して加熱乾燥することにより形成する方法が好適である。具体的には、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の通常使用される方法が挙げられる。これらの中では、スピンコート法が、基板上のコート層の偏差を小さくする観点で好ましい。スピンコート法により塗膜を形成する場合、室温(25℃)付近で、下地層用組成物を塗布した基材を500〜4000rpmで10〜60秒間程度回転させながら、溶媒を乾燥させることが好ましい。また、下地層用組成物を塗布した基材(ガラス基板)を加熱することにより、溶媒を乾燥除去し、及び、シランカップリング剤と基材とを化学反応させておくことが好ましい。
樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂及びオキソカーボン系化合物を含有する。すなわち、樹脂層形成用組成物(以下、樹脂層用組成物という)には、シクロオレフィン系樹脂及びオキソカーボン系化合物が含有されている。
本発明で用いるシクロオレフィン系樹脂は、溶媒可溶性であるシクロオレフィン系樹脂(以下、可溶シクロオレフィン系樹脂という)であることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂の構造などについては後述する。本明細書において、溶媒可溶性樹脂とは、樹脂であって溶媒可溶性であるものをいう。なお、可溶シクロオレフィン系樹脂には、樹脂の前駆体が含まれるものとする。また、樹脂層自体は溶媒可溶性であっても不溶性であってもよい。
樹脂層用組成物は近赤外線吸収色素としてオキソカーボン系化合物(好ましくはスクアリリウム系化合物)を含んでいる。耐熱性、透過性、及び本発明で用いられるシクロオレフィン系樹脂との相溶性の観点から、オキソカーボン系化合物を必須とする。オキソカーボン系化合物の詳細については後述する。
前記オキソカーボン系化合物は、スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。
芳香族複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環等が挙げられる。
また、脂環式複素環としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性脂環式複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性脂環式複素環等が挙げられ、より具体的にはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環等が挙げられる。
芳香族環としては、炭素数5〜14のものが挙げられ、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が挙げられる。
複素環または芳香族環の置換基としては、同一または異なって1〜5個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アミド基、スルホンアミド基、アルキル基、アリール基−Ar、アラルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、−R=R’−Ar(RおよびR’は同一であって、NまたはCHを表し、Arは、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、ハロゲン基で置換されていてもよいアルキル基、シアノ基およびハロゲン原子からなる群から選択される置換基で置換されていてもよいアリール基を表す)等が挙げられる。アルキル基またはアルコキシ基の置換基としては、同一または異なって1〜3個の置換基、例えば、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子等が挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよい5員あるいは6員の複素環または置換基を有していてもよい5員あるいは6員の芳香族環が好ましい。
スクアリリウム系化合物としては、式(5)中のRa1、Ra2はそれぞれ独立して、下記式(6)で示される特定の構造単位であることが特に好ましい。Ra1及びRa2は同じであってもよいし異なっていてもよい。
前記nが2以上であり、Yが複数存在する場合には、各Yは同じであってもよいし異なっていてもよい。また前記nが2以上である場合、複数のYは各々別の炭素原子に結合していてもよいし、2個のYが1個の炭素原子に結合していてもよい。
SAJJADIFAR ET AL: 'New 3H-Indole Synthesis by Fischer’s Method. Part I.' Molecules 2010, no. 15, April 2010, pages 2491-2498
COLLINS ET AL: 'A convenient synthesis of highly substituted 2-pyridones', Tetrahedron Letters, Volume 40, Issue 21, May 1999, pages 4069-4072
クロコニウム系化合物としては、特に構造は限定されないが、例えば、下記式(8)で表される化合物が挙げられる。
環Aは4〜9員の不飽和炭化水素環である。
X及びYはそれぞれ独立して有機基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(8)中の5員環との結合部位を表す。]
以上のような式(6)で示される特定の構造単位が、式(5)で示されるスクアリリウム骨格又は式(8)で示されるクロコニウム骨格に結合してなるオキソカーボン系化合物は、互変異体が存在する。詳しくは、式(5)で示されるスクアリリウム骨格に結合した場合には、下記式(5)で示される化合物のほか、式(5a)又は式(5b)で示される互変異体が存在する。一方、式(9)で示されるクロコニウム骨格に結合した場合には、下記式(8)で示される化合物のほか、式(8a)、(8b)又は(8c)で示される互変異体が存在する。本発明で用いられるオキソカーボン系化合物は、式(5)又は(8)で示される化合物のみならず、それぞれに対応する互変異体をも包含するものとする。
樹脂層用組成物は、塗工性を高める観点から溶媒を含んでいるのが好ましい。溶媒は特に限定されないが、モノアルコール類;グリコール類;環状エーテル類;グリコールモノエーテル類;グリコールエーテル類;グリコールモノエーテルのエステル類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等);アルキルエステル類;ケトン類;芳香族炭化水素類;ハロゲン化芳香族炭化水素類;脂肪族炭化水素類;アミド類;等が好ましい。上述した中でも、o−ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルシクロヘキサンが特に好ましい。これらの溶媒は1種で使用されてもよく、2種以上の混合溶媒として使用されてもよい。また、溶媒中の水分含有量は3質量%以下であることが好ましい。
樹脂層用組成物の調製方法は特に限定されず、前記含有成分を通常の方法で混合することにより得ることができる。含有成分を混合する際には、必要に応じて、各成分又は混合物を加熱して、均一組成になるように混合することもできる。加熱温度としては、好ましくは20〜140℃、より好ましくは40〜120℃である。
樹脂層の形成方法としては、樹脂層用組成物を下地層が形成されたガラス基板上に塗布して加熱乾燥することにより形成する方法が好適である。樹脂層はコーティングにより形成されることが好ましく、具体的には、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の方法が挙げられ、基板上のコート層の偏差を小さくする観点からはスピンコート法がより好ましい。スピンコート法により塗膜を形成する場合、室温(25℃)付近で、樹脂層用組成物を塗布した基材を500〜4000rpmで10〜60秒間程度回転させながら、溶媒を(半)乾燥させることが好ましいが、溶媒の(半)乾燥は回転時以外に行われていてもよい。ここでの(半)乾燥とは、完全に溶媒が除去されていてもよく、残留溶媒が微量含まれていてもよい。
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板、下地層、及び樹脂層以外に、外気側に蛍光灯等の映り込みを低減する反射防止性及び/又は防眩性を有する層や傷付き防止性能を有する層、その他の機能を有する透明基材、ガラス、フィルター等を積層してもよい。また、本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板、下地層、及び樹脂層以外に、シクロオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有する層(以下、一般層という)を単層又は複数層備えてもよく、一般層は、下地層より上方であればいずれの位置に設けられていてもよい。例えば、一般層は、下地層と樹脂層との間に設けられていてもよく、樹脂層の上に設けられていてもよく、樹脂層が多層構造である場合には一般層が樹脂層に挟まれるように設けられていてもよいが、一般層が樹脂層の上に設けられているのが好ましい。
下地層用組成物及び樹脂層用組成物は、目的に応じて、適切な添加剤を含有してもよい。例えば、前記各組成物の総量(固形分)100質量%に対して、0.00001質量%以上、10質量%以下の範囲で含有してもよい。添加剤の具体例としては、硬化剤、レベリング剤、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強材、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱型剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、すべり付与剤、密着性付与剤、防汚剤、界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、光増感剤、表面改良剤、(近)赤外線カット剤、シランカップリング剤以外の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤等が挙げられる。
樹脂層の高屈折率化や導電性付与に有用な微粒子の具体例として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。樹脂層の低屈折率化に有用な微粒子の具体例として、フッ化マグネシウム、シリカ、中空シリカ等が挙げられる。防眩性付与に有用な微粒子の具体例としては、前記の微粒子に加え、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等の無機粒子;シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアミン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びこれらの共重合樹脂等の有機微粒子;等が挙げられる。これらの微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上が組み合わされてもよい。
以下では、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を示すものとする。
供試材(樹脂層積層基板)について、供試材の樹脂層にカッター(エヌティー社製A−300)で切り込みを入れ、縦列、横列にそれぞれ2mm間隔で10本のクロスカット線を設けることによって4mm2の四角を81マス作製し、評価用サンプル基板を作製した。次に、この評価用サンプル基板を、120℃、2気圧、湿度100%の高圧高温高湿槽(パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−E(平山製作所社製)、動作モード1)に、15時間または50時間入れた。続いて、室温にて、空気が入らないようにテープ(3M(スリーエム)社製スコッチ(登録商標)透明粘着テープ透明美色(登録商標))を貼り付け、5秒間放置した。その後、基板からのテープの剥離を1秒以内に行い、下記基準で評価した。なお、いずれのマスにおいても剥離力が一定となるようにテープの剥離を行った。
○:作製した81マスのうち、1マスも剥がれが発生しなかった。
△:作製した81マスのうち、1〜9マスに剥がれが発生した。
×:作製した81マスのうち、10〜81マスに剥がれが発生した。
1)中間原料Dの作製工程
1000mlの四つ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル54g(0.27mol)、フッ化カリウム34.5g(0.59mol)、及びアセトン126gを仕込み、更に滴下ロートに3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル127g(0.55mol)及びアセトン216gを仕込んだ。具体的には、反応容器を氷冷下、攪拌しながら、滴下ロートより3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸メトキシエチルエステル溶液を約2時間かけて滴下した後、更に2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温までゆっくりと上昇させながら一晩攪拌した。反応液をろ過し、ロータリーエバポレーターでろ液からアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、中間原料Dを108.7g(収率64.8%)を得た。この中間原料Dの作製工程の反応を、下記化学式(10)に簡略化して示す。
200mlの四つ口フラスコに、前記中間原料D20.0g(0.032mol)、ヨウ化亜鉛(II)2.57g(0.0081mol)、及びベンゾニトリル30.0gを仕込み、160℃で撹拌しながら24時間反応させた後、メチルセロソルブ52.7gを加えて反応液を作製した。この反応液をメタノールと水の混合溶液に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウェットケーキを得た。得られたケーキを再度、メタノールと水との混合溶液で撹拌洗浄し、吸引ろ過し、その後、真空乾燥機を用いて90℃で24時間乾燥し、目的物であるフタロシアニン系化合物Eを17.78g(収率86.7%)得た。このフタロシアニン系化合物Eの作製工程の反応を、下記化学式(11)に簡略化して示す。
<アンダーコート液の作製>
表2に記載の組成割合で、シランカップリング剤、エタノール、水、及びギ酸を所定量混合、溶解した混合液P〜Sを作製した。次に混合液P〜S1部をそれぞれ99部のエタノールで希釈溶解してアンダーコート液No.1〜4を作製した。アンダーコート液No.1〜4は表3のとおりである。なお、シランカップリング剤としては、以下の4種類を用いた。
信越シリコーン社製KBM−903(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6011(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6020(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン)
東レ・ダウコーニング社製Z−6040(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
<アンダーコート液の塗布>
ガラス基板(SCHOTT社製D263Teco、60mm×60mm×0.3mm)上に前記アンダーコート液を1cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、3秒間かけて2200回転(rpm)にし、20秒間その回転数で保持し、その後3秒間かけて0回転(rpm)になるようにして下地層を成膜した。下地層成膜後のガラス基板を精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で10分間乾燥し、下地層を備えたガラス基板(以下、下地層積層基板という)を得た。
JSR社製ARTON(登録商標)樹脂(変性ノルボルネン系樹脂)10部をo−ジクロロベンゼン90部に溶解させた溶液に、スクアリリウム系化合物01を0.6部混合、溶解して樹脂層用組成物溶液を作製した。この樹脂層用組成物溶液をろ過して不溶分等を取り除いた後、下地層積層基板の下地層上(下地層側)に0.6cc垂らした後、スピンコーター(ミカサ株式会社製1H−D7)を用い、0.2秒間かけて2000回転(rpm)にし、10秒間その回転数で保持し、その後0.2秒間かけて0回転(rpm)になるようにして樹脂層を成膜した。樹脂層を成膜したガラス基板を、精密恒温器(ヤマト科学社製DH611)を用いて、100℃で3分間初期乾燥した後に、イナートオーブン(ヤマト科学社製DN610I)を用いて50℃で30分間窒素置換した後、15分程度で200℃に昇温し、200℃で30分間追加乾燥(窒素雰囲気下)し、下地層及び樹脂層を備えたガラス基板(以下、樹脂層積層基板という)を得た。乾燥後の樹脂層の膜厚は1μmであった。なお、乾燥後の樹脂層の膜厚は、樹脂層積層基板の厚さ及び下地層積層ガラス基板の厚さをマイクロメーターを用いて測定し、両者の差を乾燥後の樹脂層の膜厚とした。
実施例1において、アンダーコート液の種類、樹脂の種類・量、色素の種類・量、樹脂層の塗布条件を表4に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂層積層基板を得た。なお、樹脂として、ARTON(登録商標)樹脂以外に三井化学社製アペル(登録商標)APL6015T(環状オレフィン系共重合樹脂)、帝人社製パンライト(登録商標)L−1225Y(ポリカーボネート)も用いている。
得られた樹脂層積層基板を用いて、PCT試験を行った。樹脂層積層基板の構成、PCT試験の結果を以下の表4にまとめた。また、分光光度計(島津製作所社製UV−3100)を用いて、樹脂層積層基板の吸収スペクトル(透過スペクトル)を測定し、吸収極大となる波長を最大吸収波長とした。
Claims (6)
- ガラス基板と、前記ガラス基板上に設けられた下地層と、前記下地層の上方に設けられた樹脂層とを備えた近赤外線カットフィルターであって、
前記下地層は、アミノ基を有するシランカップリング剤を含有する組成物から形成され、
前記樹脂層は、シクロオレフィン系樹脂及びオキソカーボン系化合物を含有することを特徴とする近赤外線カットフィルター。 - 前記オキソカーボン系化合物は、下記式(5)の構造を有するスクアリリウム系化合物を含む近赤外線カットフィルター。
X及びYはそれぞれ独立して有機基である。
nは0〜6の整数であり、かつm以下(ただし、mは環Aの構成員数から3を引いた値である)であり、nが2以上である場合、複数のYは同じであってもよいし異なっていてもよい。
環Bは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、芳香族複素環又はこれら環構造を含む縮合環である。
なお*は式(5)中の4員環との結合部位を表す。] - 前記シランカップリング剤が、第一級アミノ基を含有するアルコキシシランである請求項1又は2に記載の近赤外線カットフィルター。
- 前記シランカップリング剤の分子量が230以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
- 前記シクロオレフィン系樹脂は、ノルボルネン系樹脂、変性ノルボルネン系樹脂、及び環状オレフィン系共重合樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルター。
- 請求項1〜5に記載のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルターを含むことを特徴とする撮像素子。
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