JP2000248210A - 熱線吸収性コーティング剤及び熱線吸収性複合体並びに熱線吸収性粘着剤 - Google Patents

熱線吸収性コーティング剤及び熱線吸収性複合体並びに熱線吸収性粘着剤

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JP2000248210A
JP2000248210A JP11049015A JP4901599A JP2000248210A JP 2000248210 A JP2000248210 A JP 2000248210A JP 11049015 A JP11049015 A JP 11049015A JP 4901599 A JP4901599 A JP 4901599A JP 2000248210 A JP2000248210 A JP 2000248210A
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phosphate
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JP11049015A
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English (en)
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Masuhiro Shoji
益宏 庄司
Naoki Hayashi
直樹 林
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Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 近赤外光吸収性能(熱線吸収性能)を維持し
つつ、熱的安定性、化学的安定性、相溶性及び可視光透
過性に優れると共に、成形加工性を向上することが可能
な熱線吸収性コーティング剤及び熱線吸収性複合体並び
に熱線吸収性粘着剤を提供する 【解決手段】 本発明の熱線吸収性複合体1は、透光性
を有する基材11a,11bと、下記(A)成分及び下
記(B)成分のうち少なくとも一つの成分を含有し、且
つ前記基材11a,11b上に配置された近赤外光吸収
層12を備えることを特徴とする。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱線吸収性コーティ
ング剤及び熱線吸収性複合体並びに熱線吸収性粘着剤に
関し、詳しくは近赤外領域の光に対して吸収特性を有す
る熱線吸収性コーティング剤及び熱線吸収性複合体並び
に熱線吸収性粘着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物、自動車、車両等の窓材や
植物栽培を行うための温室施設の被覆材として、熱線吸
収性や熱線反射性を有するガラス材料やプラスチック材
料を用いた透光性材料が使用されている。従来、このよ
うな用途に用いられる熱線吸収剤等としては、分子内に
不飽和二重結合を有するリン酸基含有化合物等と近赤外
光吸収性の物質とを含有する熱線吸収性コーティング組
成物が特開平9−208863号公報に開示されてい
る。また、特開平9−208918号公報には、同様の
リン酸基含有化合物と近赤外光吸収性物質を含有して成
るアクリル系樹脂組成物が記載されている。さらに、特
開平9−211220号公報には、同様のリン酸基含有
化合物と近赤外光吸収性物質を含有して成る熱線吸収性
複合体が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、かかる従来
の熱線吸収性の組成物や複合体は、リン酸基含有化合物
が分子中に不飽和二重結合を有しているため紫外線や熱
に対して不安定であり、樹脂組成物として型中で重合固
化されて形成されていた。しかし、リン酸基含有化合物
自体の熱的安定性が必ずしも十分ではなく、熱成形にお
いて光学特性が若干劣化してしまう虞があった。また、
重合固化される際の離型性も十分ではなく、成形品の熱
による再成形が困難であるという課題があった。さら
に、上記のような不安定性だけでなく、溶媒や樹脂等へ
溶解又は分散させたときの相溶性並びに得られる熱線吸
収性部材の透明性(可視光透過性)についても更なる改
善が望まれていた。
【0004】そこで、本発明はこのような課題に鑑み
て、近赤外光吸収性能(熱線吸収性能)を維持しつつ、
熱的安定性、化学的安定性、相溶性及び可視光透過性に
優れると共に、成形加工性を向上することが可能な熱線
吸収性コーティング剤及び熱線吸収性複合体並びに熱線
吸収性粘着剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為
に、本発明者らは、種々のリン酸エステル化合物と金属
イオン成分とを含有する物質の分光特性及び物性につい
て鋭意研究を重ね、近赤外光吸収性、熱的及び化学的安
定性等に優れた成分を見出し、本発明に到達した。すな
わち、本発明の熱線吸収性コーティング剤は、下記
(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも一つの
成分が液状媒体に溶解及び/又は分散して成ることを特
徴とする。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分
【0006】
【化4】
【0007】このような本発明の熱線吸収性コーティン
グ剤によれば、リン酸エステル化合物のリン酸基が配位
結合及び/又はイオン結合により銅イオンに結合し、こ
の銅イオンはリン酸エステルに囲まれた状態で、熱線吸
収性コーティング剤中に溶解又は分散されており、この
銅イオンのd軌道間の電子遷移によって近赤外光が選択
吸収される。また、上記(A)成分のリン酸エステル化
合物及び上記(B)成分のリン酸エステル銅化合物は、
分子構造中に不飽和二重結合を有さないので、樹脂に含
有させて重合固化して安定化させなくとも、上記(A)
成分又は上記(B)成分を溶媒等の液状媒体に溶解又は
分散させたものを、例えば、基材に塗布して乾燥させる
ことにより、紫外線や熱に対して安定であって分光特性
が劣化し難い近赤外光吸収性(熱線吸収性)の薄膜を簡
易に得ることが可能である。さらに、上記(A)成分の
リン酸エステル化合物及び上記(B)成分のリン酸エス
テル銅化合物は、従来に比して液状媒体としての溶媒へ
の相溶性に優れ、得られる熱線吸収性コーティング剤が
より透明性(可視光透過性)に優れたものとなる。
【0008】また、上記式(1)で表されるリン酸エス
テル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で表さ
れるリン酸エステル銅化合物が、上記式(4)又は上記
式(5)におけるmが1である基Rを有すると好適であ
る。mが1である基Rを有するリン酸エステル化合物及
びリン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数である
基Rを有するリン酸エステル化合物及びリン酸エステル
銅化合物に比して、熱的安定性及び耐湿性といった耐環
境性に優れるので、熱線吸収性コーティング剤の熱的安
定性及び耐環境性を向上することが可能となる。
【0009】さらに、本発明の熱線吸収性複合体は、透
光性を有する基材と、この基材に積層されて成り、下記
(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも一つの
成分を含有する近赤外光吸収層を備えることを特徴とす
る。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分
【0010】
【化5】
【0011】このような本発明の熱線吸収性複合体によ
れば、従来の窓材や被覆材を構成するガラス材又はプラ
スチック材及びそれらの複合体から成る基材上に、上記
(A)成分及び/又は上記(B)成分を含む近赤外光吸
収層を形成させることにより、近赤外光吸収性に優れる
熱線吸収性複合体が得られる。例えば、上記(A)成分
及び/又は上記(B)成分を含む液状媒体を、基材上に
塗布して媒体のみを乾燥させるだけで、極めて厚さが薄
い近赤外光吸収層が簡易に形成される。また、樹脂に上
記(A)成分及び/又は上記(B)成分が含有されて成
る近赤外光吸収層を上記基材上に貼付することによって
も熱線吸収性複合体を簡易に得ることが可能である。こ
の場合、樹脂組成物を型を用いて重合固化せしめても、
上記(A)成分及び上記(B)成分が重合性を有さない
ため、成形品の離形成が格段に向上される。また、これ
ら成分は、樹脂組成物として熱成形する前後において、
分光特性の劣化が殆どない。さらに、上記(A)成分の
リン酸エステル化合物及び上記(B)成分のリン酸エス
テル銅化合物は、従来に比して溶媒や樹脂への相溶性に
優れ、得られる熱線吸収性複合体がより透明性(可視光
透過性)に優れたものとなる。
【0012】ここで、上記基材がガラスより成ると好適
である。基材の材料は、熱線吸収性複合体の用途に応じ
て適宜選択されるが、なかでもガラスは、硬度、耐熱
性、耐薬品性、耐久性の観点から好ましく用いられる。
また、このような基材で、近赤外光吸収層を挟み込むよ
うに熱線吸収性複合体を構成するとことにより、近赤外
光吸収層の保護性能に優れた熱線吸収性複合体が形成さ
れ得る。
【0013】また、上記式(1)で表されるリン酸エス
テル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で表さ
れるリン酸エステル銅化合物が、上記式(4)又は上記
式(5)におけるmが1である基Rを有すると好適であ
る。mが1である基Rを有するリン酸エステル化合物及
びリン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数である
基Rを有するリン酸エステル化合物及びリン酸エステル
銅化合物に比して、熱的安定性及び耐湿性といった耐環
境性に優れるので、熱線吸収性複合体の熱的安定性及び
耐環境性を向上することが可能となる。
【0014】さらに、本発明の熱線吸収性複合体の近赤
外光吸収層は、上記(A)成分及び上記(B)成分のう
ち少なとも一つの成分がアクリル系樹脂、ポリビニルブ
チラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又は該
共重合体の部分鹸化物である樹脂中に含有されて成る樹
脂組成物で形成されると一層好適である。このようにす
れば、アクリル系樹脂は、可視光透過性や成型加工性等
に優れているため、透光性や成型加工性等に優れた熱線
吸収複合体が得られる。また、ポリビニルブチラール系
樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又は該共重合体の
部分鹸化物は、ガラス材又はプラスチック材から成る基
材に対する接着性が優れており、且つそれ自体が柔軟性
を有し、さらに温度依存性が小さいため、接着剤を用い
なくとも基材への接着が確実であり、よって成形加工性
に優れた熱線吸収性複合体を簡易に得ることができると
共に、温度変化に対する耐性を向上できる熱線吸収性複
合体が得られる。
【0015】さらにまた、本発明の熱線吸収性粘着剤
は、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくと
も一つの成分と該成分を溶解及び/又は分散させること
が可能であり且つ粘着性を有する樹脂とを含有して成る
ことを特徴とする。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
リン酸エステル銅化合物より成る成分
【0016】
【化6】
【0017】このような本発明の熱線吸収性粘着剤によ
れば、熱線吸収成分自体が粘着性を有するので、接着剤
を用いることなく、窓材や被覆材の基材への接着性が高
められ、よって、熱線吸収性を有する部材を簡易に得る
ことができる。また、近赤外光吸収性(熱線吸収性)を
有する上記(A)成分及び上記(B)成分が熱的及び化
学的に安定なので、熱や紫外線に曝されても劣化し難い
熱線吸収性粘着剤が確実に得られる。さらに、接着剤を
用いた場合のような接着剤成分による可視光の吸収が無
いので、接着剤を用いる場合に比して、可視光の透過性
能に優れた熱線吸収性の部材が形成され得る。さらに、
基材に付与された熱線吸収性粘着剤を保護するために、
その上にフィルムや板等を更に貼付する際にも、接着剤
を必要としないので、熱線吸収層の保護性能に優れた部
材を簡易に得ることができ、接着剤による可視光の吸収
が無いので、可視光透過性能が一層高められる。またさ
らに、上記(A)成分のリン酸エステル化合物及び上記
(B)成分のリン酸エステル銅化合物は、従来に比して
樹脂への相溶性に優れ、得られる熱線吸収性粘着剤がよ
り透明性(可視光透過性)に優れたものとなる。
【0018】そして、上記式(1)で表されるリン酸エ
ステル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で表
されるリン酸エステル銅化合物が、上記式(4)又は上
記式(5)におけるmが1である基Rを有すると好適で
ある。mが1である基Rを有するリン酸エステル化合物
及びリン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数であ
る基Rを有するリン酸エステル化合物及びリン酸エステ
ル銅化合物に比して、熱的安定性及び耐湿性といった耐
環境性に優れるので、熱線吸収性粘着材の熱的安定性及
び耐環境性を向上することが可能となる。
【0019】なお、本発明の熱線吸収性粘着剤における
「粘着性」とは、僅かな力で物体同士を瞬時に接着する
性質、すなわち感圧接着性を意味する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に関し、
上記(A)成分、上記(B)成分、これら成分のうち少
なくとも一つの成分を液状媒体に溶解及び/又は分散さ
せた熱線吸収性コーティング剤、透光性を有する基材上
に近赤外光吸収層が配置されて成る熱線吸収性複合体、
粘着性を有する樹脂を含有する熱線吸収性粘着剤につい
て説明する。
【0021】〈(A)成分〉(A)成分は、銅イオン及
び上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物(以
下、「特定のリン酸エステル化合物」と云う。)より成
るものである。銅イオンを供給するための銅塩の具体例
としては、酢酸銅、蟻酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸
銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸
銅、クエン酸銅等の有機酸の銅塩無水物や水和物、或い
は水酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩基性炭酸銅等
の無機酸の銅塩の無水物や水和物が挙げられるが、有機
酸塩を用いることが好ましく、特に好ましくは酢酸銅、
安息香酸銅である。なお、上記(A)成分には、銅イオ
ン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」とい
う。)が含有されていてもよい。かかる他の金属イオン
の具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウ
ム、鉄、マンガン、マグネシウム、ニッケル等の金属に
よるイオンが挙げられる。
【0022】また、上記の特定のリン酸エステル化合物
は、例えば以下の第1の方法、第2の方法及び第3の方
法のいずれかによって製造される。
【0023】〔第1の方法〕:この第1の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、下記式(6)又は下記式
(7)で表されるアルコール(以下、「特定のアルコー
ル」という。)と、五酸化リンとを反応させる方法であ
る。
【0024】
【化7】
【0025】ここで、特定のアルコールと五酸化リンと
の反応に用いられる有機溶剤としては、五酸化リンと反
応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホ
ルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイ
ソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケ
トン、ジブチルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられ、
これらの中では、トルエン、キシレンが好ましい。ま
た、特定のアルコールと五酸化リンとの反応条件は、反
応温度が0〜100℃、好ましくは40〜80℃であ
り、反応時間が1〜24時間、好ましくは4〜9時間で
ある。
【0026】この第1の方法においては、例えば特定の
アルコール及び五酸化リンをモル比で3:1となる割合
で用いることにより、式(1)において水酸基の数nが
2であるリン酸エステル化合物(以下、「モノエステ
ル」ともいう。)と、式(1)において水酸基の数nが
1であるリン酸エステル化合物(以下、「ジエステル」
ともいう。)との割合が略1:1の混合物が得られる。
また、特定のアルコールと五酸化リンとの割合及び反応
条件を適宜選択することにより、モノエステルとジエス
テルとの割合をモル比で40:60〜99:1、好まし
くは63:37〜99:1、より好ましくは63:37
〜85:15、更に好ましくは63:37〜80:20
となる範囲内で調整される。
【0027】〔第2の方法〕:この第2の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールとオキシ
ハロゲン化リンとを反応させ、得られる生成物に水を添
加して加水分解する方法である。オキシハロゲン化リン
としては、オキシ塩化リン、オキシ臭化リンを用いるこ
とが好ましく、特に好ましくはオキシ塩化リンである。
また、特定のアルコールとオキシハロゲン化リンとの反
応に用いられる有機溶剤としては、オキシハロゲン化リ
ンと反応しない有機溶剤であって、例えばヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、石油スピリット等の炭化水素系溶剤、ク
ロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエ
ーテル系溶剤が挙げられ、これらの中では、トルエン、
キシレンが好ましい。そして、特定のアルコールとオキ
シハロゲン化リンとの反応条件は、反応温度が0〜11
0℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間が1〜
20時間、好ましくは2〜8時間である。また、この第
2の方法においては、例えば特定のアルコール及びオキ
シハロゲン化リンをモル比で1:1となる割合で用いる
ことにより、モノエステルを得ることができる。
【0028】さらに、上記式(7)で表される特定のア
ルコールを用いる場合には、この特定のアルコールとオ
キシハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択すると
共に、反応触媒としては、四塩化チタン(TiC
4)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化アルミニ
ウム(AlCl3)等のルイス酸触媒、副生する塩酸の
キャッチ剤としては、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン等のアミン類や、ピリジン等が好ましく用いられ
る。これらの反応触媒や塩酸キャッチ剤を用いることに
より、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、
このとき、その割合はモル比が1:99〜99:1、好
ましくは63:37〜99:1、より好ましくは63:
37〜85:15、更に好ましくは63:37〜80:
20となる範囲で調整される。
【0029】また、上記式(6)で表される特定のアル
コールを用いる場合には、この特定のアルコールとオキ
シハロゲン化リンとの割合及び反応条件を選択すると共
に、ルイス酸触媒及び塩酸キャッチ剤を併用することに
より、モノエステルとジエステルとの混合物が得られ、
このとき、その割合はモル比が1:99〜99:1、好
ましくは63:37〜99:1、より好ましくは63:
37〜85:15、更に好ましくは63:37〜80:
20となる範囲で調整される。但し、特定のアルコール
としてアルキレンオキサイド基の繰り返し単位mが小さ
いものを用いる場合には、得られるリン酸エステル化合
物が水溶性のものとなるため、アミン類等の塩酸キャッ
チ剤を用いると、生成されるアミン塩酸塩を水による洗
浄によって除去することが困難となる傾向にある。以上
において、反応触媒の使用量としては、オキシハロゲン
化リン1モルに対して0.005〜0.2モル、好まし
くは0.01〜0.05モルである。
【0030】〔第3の方法〕:この第3の方法は、無溶
媒又は適宜の有機溶剤中で、特定のアルコールと三ハロ
ゲン化リンとを反応させることにより、ホスホン酸エス
テル化合物を合成し、その後、得られたホスホン酸エス
テル化合物を酸化する方法である。三ハロゲン化リンと
しては、三塩化リン、三臭化リンを用いることが好まし
く、特に好ましくは三塩化リンである。また、特定のア
ルコールと三ハロゲン化リンとの反応に用いられる有機
溶剤としては、三ハロゲン化リンと反応しない有機溶剤
であって、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油ス
ピリット等の炭化水素系溶剤、クロロホルム、四塩化炭
素、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素系溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤が挙げら
れ、これらの中では、ヘキサン、ヘプタンが好ましい。
そして、特定のアルコールと三ハロゲン化リンとの反応
条件は、反応温度が0〜90℃、好ましくは40〜75
℃であり、反応時間が1〜10時間、好ましくは2〜5
時間である。
【0031】上記ホスホン酸エステル化合物を酸化する
手段としては、ホスホン酸エステル化合物に例えば塩素
ガス等のハロゲンを反応させることにより、ホスホロハ
ロリデート化合物を合成し、このホスホロハロリデート
化合物を加水分解する手段を利用することができる。こ
こで、ホスホン酸エステル化合物とハロゲンとの反応温
度は0〜40℃が好ましく、特に好ましくは5〜25℃
である。また、ホスホン酸エステル化合物を酸化する前
に、このホスホン酸エステル化合物を蒸留して精製して
もよい。
【0032】この第3の方法においては、例えば特定の
アルコール及び三ハロゲン化リンをモル比で3:1とな
る割合で用いることにより、ジエステルが高い純度で得
られる。また、特定のアルコールと三ハロゲン化リンと
の割合及び反応条件を選択することにより、モノエステ
ルとジエステルとの混合物が得られ、このとき、その割
合はモル比が1:99〜99:1、好ましくは63:3
7〜99:1、より好ましくは63:37〜85:1
5、更に好ましくは63:37〜80:20となる範囲
で調整される。
【0033】以上の第1〜第3の方法等で製造された特
定のリン酸エステル化合物の好ましい具体例としては、
下記式(8)−a〜下記式(8)−xで表される化合物
が列挙される。これらの化合物は、単独で用いられるか
又は2成分以上組み合わせて使用される。
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】ところで、(A)成分を構成する特定のリ
ン酸エステル化合物は、上記式(1)で表されるよう
に、その分子構造中に、ある程度の極性を有するアルコ
キシ基が存在するため、溶媒や樹脂等の媒体に対する溶
解性又は分散性が良好である。例えば、アクリル系樹
脂、特に(メタ)アクリル酸エステル系樹脂への分散性
が良好である。このようなアクリル系樹脂としては、
(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる重合
体が好ましく用いられる。かかる(メタ)アクリル酸エ
ステル系単量体の具体例としては、メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブ
チル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アク
リレート、n−オクチル(メタ)アクリレート等のアル
キル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロシキエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メタ)
アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等の変
性(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリレート、
2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロキシエトキシフェ
ニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−(メタ)アクリ
ロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパン、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
トリットトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリッ
トテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アク
リレート類等が挙げられる。これらの単量体は、単独で
又は2種類以上組み合わせて用いられ得る。
【0038】また、別のアクリル系樹脂としては、上記
の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、この(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体との共重合が可能な他
の共重合性単量体との共重合体も用いられる。かかる共
重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−
(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和
カルボン酸、N,N−ジメチルアクリルアミド等のアク
リルアミド類、スチレン、α−メチルスチレン、クロル
スチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニ
ル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニ
ル化合物等が挙げられる。これらの単量体は、単独で又
は2種以上を組み合わせて用いられる。なお、上記
( )で囲まれた「メタ」の意味は、アクリル酸若しく
はその誘導体、及びメタクリル酸若しくはその誘導体の
両方を記載する必要があるときに、記載を簡潔にするた
め便宜上使用されている記載方法であり、本明細書にお
いても採用したものである。
【0039】また、特定のリン酸エステル化合物との相
溶性が高い他の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
塩化ビニル、ポリカーボネイト、さらにはスチレン、α
−メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレ
ン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメ
チルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重合体が挙げ
られる。
【0040】〈(B)成分〉(B)成分は、上記式
(2)又は上記式(3)で表されるリン酸エステル銅化
合物(以下、「特定のリン酸エステル銅化合物」とい
う。)より成るものである。このような特定のリン酸エ
ステル銅化合物は、前述した特定のリン酸エステル化合
物と、前述の銅塩とを反応させることにより得られる。
特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応は、適宜の
条件下で両者を接触させることにより行われる。具体的
には、(イ)特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを混
合して両者を反応させる方法、(ロ)適宜の有機溶剤中
において特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを反応さ
せる方法、(ハ)特定のリン酸エステル化合物が有機溶
剤中に含有されて成る有機溶剤層と、銅塩が溶解されて
成る水層とを接触させることにより、特定のリン酸エス
テル化合物と銅塩とを反応させる方法、等が挙げられ
る。この特定のリン酸エステル化合物と銅塩との反応条
件は、反応温度が0〜150℃、好ましくは40〜10
0℃であり、反応時間が0.5〜10時間、好ましくは
1〜7時間である。
【0041】上記(ロ)の方法において用いられる有機
溶剤としては、用いられる特定のリン酸エステル化合物
を溶解又は分散し得るものであれば、特に限定されず、
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合
物、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エ
チルセロソルブ等のグリコールエーテル類、ジエチルエ
ーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等
のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケト
ン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン、ケロシ
ン、石油エーテル等が挙げられる。また、(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重
合性を有する有機溶剤も用いられる。
【0042】一方、上記(ハ)の方法において用いられ
る有機溶剤としては、水に不溶又は難溶であって、用い
られる特定のリン酸エステル化合物を溶解又は分散し得
るものであれば、特に限定されず、例えば(ロ)の方法
において用いられる有機溶剤として例示したもののう
ち、芳香族化合物、エーテル類、エステル類、ヘキサ
ン、ケロシン、(メタ)アクリル酸エステル類、芳香族
ビニル化合物等が挙げられる。
【0043】また、特定のリン酸エステル化合物と銅塩
との反応においては、銅塩から陰イオンである酸成分が
遊離される。このような酸成分は、アクリル系樹脂組成
物の耐湿性及び熱安定性を低下させる原因となり得るた
め、必要に応じて除去することが好ましい。上記(イ)
又は(ロ)の方法によりリン酸エステル銅化合物を製造
する場合には、特定のリン酸エステル化合物と銅塩とを
反応させた後、生成された酸成分((ロ)の方法におい
ては生成された酸成分及び有機溶剤)を蒸留によって除
去することができる。さらに、上記(ハ)の方法により
リン酸エステル銅化合物を製造する場合には、酸成分を
除去する好ましい方法として、水に不溶又は難溶の有機
溶剤に特定のリン酸エステル化合物が含有されて成る有
機溶剤層に、アルカリを添加することによって中和した
後、この有機溶剤層と銅塩が溶解又は分散された水層と
を接触させることより、特定のリン酸エステル化合物と
銅塩とを反応させ、その後、有機溶剤層と水層とを分離
する方法がある。ここで、アルカリとしては、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。この方法によれ
ば、銅塩から遊離される酸成分とアルカリとによって水
溶性の塩が形成され、この塩が水層に移行すると共に、
生成される特定のリン酸エステル銅化合物は、有機溶剤
層に移行するため、この水層と有機溶剤層とを分離する
ことにより、酸成分が除去される。
【0044】ここで、上記式(1)で表されるリン酸エ
ステル化合物並びに上記式(2)及び上記式(3)で表
されるリン酸エステル銅化合物において、基Rは、上記
式(4)又は上記式(5)で表されるように、アルキレ
ンオキサイド基が結合されたアルキル基である。また、
上記の特定のリン酸エステル化合物及び上記の特定のリ
ン酸エステル銅化合物におけるアルキレンオキサイド基
の繰り返し単位数mは、1〜6、好ましくは1〜3の整
数である。このmの値が6を超えると、樹脂組成物とし
たときの硬度が大幅に低下する。一方、mの値が0すな
わちアルキレンオキサイド基が結合されていない場合に
は、樹脂中に銅イオンを分散させる性能が著しく低下す
る。
【0045】また、リン酸エステル化合物及びリン酸エ
ステル銅化合物の熱的安定性及び耐環境性の観点から、
このアルキレンオキサイド基の繰り返し単位数mが1で
あると特に好適である。このmが1であるアルキレンオ
キサイド基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリ
ン酸エステル銅化合物は、mが2以上の整数であるアル
キレンオキサイド基を有するそれらに比して、高い熱分
解温度を持つので、mが1であるアルキレンオキサイド
基を有するリン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エス
テル銅化合物を含む組成物を熱成形する際に、その成形
温度を高めることができる。よって、成形が容易とな
り、成形加工性をより向上することが可能となる。ま
た、mが1であるアルキレンオキサイド基を有するリン
酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合物
は、mが2以上の整数であるアルキレンオキサイド基を
有するそれらに比して、優れた耐環境性を有する。具体
的には、mが1であるアルキレンオキサイド基を有する
リン酸エステル化合物の銅塩及びリン酸エステル銅化合
物は、高温高湿環境下における可視領域の光線透過率の
経時的な劣化が殆ど無いのに対し、mが2以上の整数で
あるアルキレンオキサイド基を有するそれらは、経時的
な劣化が起こる傾向にある。
【0046】さらに、上述したように、特定のリン酸エ
ステル化合物は、上記式(1)において水酸基の数nが
2であるモノエステル及び水酸基の数nが1であるジエ
ステルのいずれであってもよいが、nの値が0のトリエ
ステルである場合には、銅イオンと配位結合及び/又は
イオン結合が可能な水酸基を有しないため、樹脂組成物
としたときに、銅イオンを樹脂中に分散させ難い。
【0047】またさらに、上記式(4)又は上記式
(5)において、R1は、炭素数が1〜20、好ましく
は1〜10、更に好ましくは1〜3のアルキル基であ
る。このアルキル基R1の炭素数が20を超える場合に
は、アクリル系樹脂との相溶性が低下するため、アクリ
ル系樹脂中に銅イオンを含む金属イオンを分散させ難
い。また、R2は、炭素数が1〜4のアルキル基であ
る。すなわち、アルキレンオキサイド基としては、プロ
ピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基等が挙げら
れ、特にプロピレンオキサイド基が好ましい。このアル
キル基R2の炭素数が4を超える場合には、樹脂中に高
い割合で分散させることが困難である。
【0048】また、上記(A)成分及び上記(B)成分
におけるリン酸エステル化合物と銅イオンとの割合は、
銅イオン1モルに対してリン酸エステル化合物における
水酸基又は水酸基由来の酸素原子が0.5〜10モル、
特に1.5〜5モルであることが好ましい。この割合が
0.5モル未満である場合には、銅イオンをアクリル系
樹脂等の樹脂中に分散させることが困難となる傾向にあ
る。この割合が10モルを超える場合には、銅イオンと
の配位結合及び/又はイオン結合に関与しない水酸基の
割合が過大となるため、このような組成割合の組成物
は、吸湿性が比較的大きくなる傾向にある。よって、こ
の割合を0.5〜10モルとすることにより、銅イオン
が樹脂中に良好に分散されて近赤外光吸収特性に優れ、
すなわち熱線吸収性に優れ、且つ吸湿性を有しない樹脂
組成物とすることが可能となる。
【0049】そして、(A)成分及び(B)成分のうち
少なくとも一つの成分を、例えばアクリル系樹脂に含有
させてアクリル系樹脂組成物とする場合には、銅イオン
の含有割合がアクリル系樹脂組成物全体の0.1〜20
重量%であることが好ましく、より好ましくは0.3〜
15重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%である。
この割合が0.1重量%未満であるときには、近赤外光
を高い効率で吸収する性能が得られない傾向にあり、一
方、この割合が20重量%を超えるときには、銅イオン
をアクリル系樹脂中に分散させることが困難となり、可
視光透過性に優れた樹脂組成物が得られない傾向にあ
る。よって、銅イオンの含有割合がアクリル系樹脂組成
物全体の0.1〜20重量%とすることにより、可視光
透過性に優れた樹脂組成物を確実に得ることができる。
【0050】さらに、前述の金属イオンの使用割合は、
銅イオンを含む全金属イオンにおける50重量%以下で
あることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、
更に好ましくは20重量%以下である。この割合が50
重量%を超える場合には、銅イオンとリン酸エステル化
合物との結合配位が他の金属イオンの影響を受けるた
め、近赤外光吸収率が十分大きく熱線吸収性に優れたも
のを得ることが困難となる。
【0051】〈熱線吸収性コーティング剤〉本発明の熱
線吸収性コーティング剤は、前記(A)成分及び前記
(B)成分のうち少なくとも一つの成分を適宜の液状媒
体に溶解及び/又は分散させたものであり、液状溶媒を
蒸発させて生成される薄膜が光学的に透明であれば、熱
線吸収性コーティング剤自体は、透明なもの、半透明な
もの又は不透明なものであってもよい。ここに、液状媒
体としては、水又は有機溶媒を用いることができ、有機
溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコ
ール類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のグリ
コールエーテル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピル
エーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、
酢酸ブチルセルソルブ等のエステル類、ベンゼン、トル
エン、キシレン等の芳香族化合物、ヘキサン、ケロシ
ン、石油エーテル等が用いられる。また、(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレ
ン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等の重
合性を有する有機溶媒も好ましく用いられる。
【0052】また、上記(A)成分又は上記(B)成分
の液状媒体への溶解性、分散性又は本発明の熱線吸収性
コーティング剤によってコーティングした面の平坦性等
を高めるための溶解補助剤等を添加剤として加えてもよ
い。このような添加剤としては、例えば、レベリング
剤、消泡剤としての各種の界面活性剤が好ましく用いら
れる。さらに、液状であれば、上記(A)成分の説明に
おいて述べたような樹脂を加えてもよい。本発明の熱線
吸収性コーティング剤における上記(A)成分及び/又
は上記(B)成分の含有割合は、使用される液状媒体の
種類や、熱線吸収性コーティング剤の用途又は使用目的
によって異なるが、調合後の粘度の観点から、通常、液
状媒体100質量部に対して、0.1〜1900質量
部、好ましくは、1〜900質量部、特に好ましくは、
5〜400質量部となる範囲で調整される。
【0053】このように構成された本発明の熱線吸収性
コーティング剤によれば、リン酸エステル化合物のリン
酸基が配位結合及び/又はイオン結合により銅イオンに
結合し、この銅イオンはリン酸エステルに囲まれた状態
で、熱線吸収性コーティング剤中に溶解又は分散されて
おり、この銅イオンのd軌道間の電子遷移により近赤外
光が吸収される。よって、従来に比して同等以上の熱線
吸収性を達成できる。また、上記(A)成分のリン酸エ
ステル化合物及び上記(B)成分のリン酸エステル銅化
合物は、分子構造中に不飽和二重結合を有さないので、
樹脂に含有させて重合固化して安定化させなくとも、上
記(A)成分又は上記(B)成分を溶媒等の液状媒体に
溶解又は分散させたものを、例えば、基材に塗布して乾
燥させることにより、紫外線や熱に対して安定であって
分光特性が劣化し難い近赤外光吸収性(熱線吸収性)の
薄膜を簡易に得ることが可能である。また、上記(A)
成分のリン酸エステル化合物及び上記(B)成分のリン
酸エステル銅化合物は、従来に比して液状媒体への相溶
性に優れ、得られる熱線吸収性コーティング剤の可視光
透過性を向上することが可能となる。
【0054】〈熱線吸収性複合体〉図1は、本発明の熱
線吸収性複合体に係る好適な一実施形態の積層構造を示
す斜視図である。図1に示すように、熱線吸収性複合体
1は、透光性を有する基材11aの一方の面に、近赤外
光吸収層12が貼付され、この近赤外光吸収層12の一
方の面に透光性を有するもうひとつの基材11bが貼合
されて成っている。基材11a,11bを構成する材料
としては、可視光透過性を有するものであれば、特に限
定されるものではなく、熱線吸収性複合体1の用途に応
じて適宜選択されるが、硬度、耐熱性、耐薬品性、耐久
性等の観点から、無機ガラス若しくは有機ガラス等のガ
ラス材、又は、例えばポリカーボネイト、アクリロニト
リル−スチレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、
塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等のプ
ラスチック材料を用いると好適である。また、基材11
a,11bは、それぞれ同じ種類の材料で構成されてい
てもよく、或いは互いに異なる材料で構成されていても
よい。さらに、基材11a,11bの近赤外光吸収層1
2と接していない面が硬化処理されていると、その面の
損傷防止及び耐久性の観点から好ましい。また、基材1
1a,11bの各々の外側表面の一方又は両方に、更に
他の透光性材料より成る層が設けられていてもよい。
【0055】近赤外光吸収層12としては、透光性を有
するフィルム状或いはシート状材料又は透光性を有する
板材の一方又は両方の面に、前述した液状の熱線吸収性
コーティング剤を塗布して液状媒体(溶媒)を蒸発させ
たものが好ましく用いられる。ここで、用いられる透光
性を有するフィルム状或いはシート状材料又は透光性を
有する板材としては、上記基材11a,11bを形成す
るようなガラス材やプラスチック材より成るものを用い
ることができる。
【0056】また、近赤外光吸収層12としては、上記
(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分
を含有する樹脂組成物を用いても好適である。このよう
な樹脂成分としては、優れた透光性を有するものが好ま
しく用いられ、具体的には、塩化ビニル系樹脂、アクリ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹
脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体及びその部分鹸化
物等が挙げられる。これら樹脂は、単独で又は2種以上
を組み合わせて用いられる。これらの中では、特にガラ
ス材やプラスチック材への接着性の観点から、ポリビニ
ルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体又は該共
重合体の部分鹸化物が好ましく用いられる。また、可視
光透過性や成型加工性の観点等から、アクリル系樹脂も
好ましく用いられる。
【0057】これら樹脂を含有する樹脂組成物から成る
近赤外光吸収層12には、他の成分として樹脂成分と相
溶性を有する種々の可塑剤を含有させることができ、こ
れにより、近赤外光吸収成分として用いられる銅イオン
の樹脂成分中への分散性を高めることができる。このよ
うな可塑剤の具体例としては、リン酸トリクレジル、リ
ン酸トリフェニル等のリン酸エステル系可塑剤、ジオク
チルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸系可
塑剤、ジブチルセバケート、ブチルリシノレート、メチ
ルアセチルリシノレート、ブチルサクシネート等の脂肪
酸系可塑剤、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリ
エチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコ
ールジ−2−エチルブチラート、ポリエチレングリコー
ル等のグリコール系可塑剤等が挙げられる。また、近赤
外光吸収層12には、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフ
ェノン系又はサリチル酸系の紫外線吸収剤、その他の抗
酸化剤、安定剤等を含有させることができる。
【0058】樹脂組成物から成る近赤外光吸収層12を
基材11a,11b上に形成して熱線吸収性複合体1を
得る為には、例えば、次のような方法を用いることがで
きる。但し、近赤外光吸収層12を形成して熱線吸収性
複合体を得る方法は、これに限定されるものではない。
上記(A)成分及び/又は上記(B)成分と、上記樹脂
成分と、必要に応じて用いられる上記他の成分とを混合
することにより、近赤外光吸収層12の形成材料を調製
し、この材料をフィルム状又はシート状に成形すること
により、近赤外光吸収層12を形成する。近赤外光吸収
層12を、予め用意された基材11a,11bに接着さ
せる。
【0059】以上において、各成分を混合して近赤外光
吸収層12を形成する為の材料を調製する手段として
は、ヘンシェルミキサー等の混合機により混合する手
段、ロール混練機、或いは混練押出機等により混練混合
する手段を用いることができる。また、各成分を適宜の
有機溶剤に分散させ、この分散液から有機溶剤を除去す
る手段を用いることができる。また、近赤外光吸収層用
成形体を製造する手段としては、熱可塑性樹脂の成形加
工法である溶融押出成形法、カレンダー成形法、プレス
成形法などを用いることができる。近赤外光吸収層12
を基材11a,11bに接着させる手段としては、プレ
ス法、マルチロール法、減圧法などの加圧又は減圧によ
り接着する手段、オートクレーブ等を用いて加熱するこ
とにより接着させる手段又はこれらの組み合わせによる
手段を用いることができる。そして、樹脂成分として、
ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体
又はその部分鹸化物を用いる場合には、近赤外光吸収層
12と基材11a,11bとが十分な強度で接着された
熱線吸収性複合体1が得られる。
【0060】このようにして形成される近赤外光吸収層
12は、その厚さが0.1〜10mm、特に0.3〜5
mmであることが好ましい。近赤外光吸収層12の厚さ
が0.1mm未満の場合には、近赤外光吸収性が十分に
高い近赤外光吸収層12を得ることが困難な傾向にあ
り、得られる熱線吸収性複合体1の熱線吸収性が不十分
なものとなる傾向にある。一方、近赤外光吸収層12の
厚さが10mmを超える場合には、可視光の透過率が高
い近赤外光吸収層12を得ることが困難な傾向にあり、
得られる熱線吸収性複合体1の可視光透過性が低いもの
となる傾向にある。
【0061】次に、樹脂としてアクリル系樹脂を例にし
て、樹脂を含んで成る組成物について説明する。なお、
アクリル系樹脂を上述した他の樹脂と読み替えても同様
である。アクリル系樹脂組成物は、上記(A)成分及び
上記(B)成分のうち少なくとも一つの成分を上記
(A)成分の説明において述べたアクリル系樹脂中に含
有させることにより調製され、その具体的な方法は、特
に限定されるものではないが、好適な方法として、以下
の2つの方法が挙げられる。なお、本発明の熱線吸収性
複合体に用いられる樹脂組成物における上記(A)成分
及び/又は上記(B)成分の含有割合は、熱線吸収性複
合体の用途又は使用目的によって異なるが、成形性(又
は成型性)の観点から、通常、樹脂100質量部に対し
て、0.1〜400質量部、好ましくは、0.3〜20
0質量部、特に好ましくは、1〜100質量部となる範
囲で調整される。また、前述したように、可視光透過性
に優れた樹脂組成物を確実に得るためには、樹脂組成物
における銅イオンの割合が、例えばアクリル系樹脂組成
物全体の0.1〜20重量%であることが望ましい。
【0062】[第1の方法]:この第1の方法は、アク
リル系樹脂を得るための単量体中に、(A)成分(ここ
では、リン酸エステル化合物と銅塩化合物を混合したも
の)及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分が含有
されて成る単量体組成物を調製し、この単量体組成物を
ラジカル重合処理する方法である。この方法において、
単量体組成物のラジカル重合処理の具体的な方法として
は、特に限定されるものではなく、通常のラジカル重合
開始剤を用いるラジカル重合法、例えば塊状(キャス
ト)重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の
公知の方法を利用し得る。
【0063】[第2の方法]:この第2の方法は、アク
リル系樹脂中に、(A)成分及び(B)成分のうち少な
くとも一つの成分を添加して混合する方法である。この
方法は、アクリル系樹脂として熱可塑性樹脂を用いると
きに利用される。具体的には、溶融させたアクリル系
樹脂中に、(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも
一つの成分を添加して混練する方法、アクリル系樹脂
を適宜の有機溶剤に溶解、分散又は膨潤させ、この溶液
に(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成
分を添加して混合した後、この溶液から有機溶剤を除去
する方法がある。
【0064】上記の方法において、アクリル系樹脂と
(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも一つの成分
とを混練する手段としては、熱可塑性樹脂の溶融混練法
として一般に用いられている手段、例えばミキシングロ
ールによって溶融混練する手段、ヘンシェルミキサー等
によって予備混合した後、押出機によって溶融混練する
手段が挙げられる。一方、上記の方法で用いられる有
機溶剤としては、上記アクリル系樹脂を溶解、分散又は
膨潤し得るものであれば、特に限定されるものではな
く、その具体例としては、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メ
チレン等の塩素系炭化水素類、ジメチルアクリルアミ
ド、ジメチルフォルムアミド等のアミド化合物等が挙げ
られる。
【0065】以上のアクリル系樹脂組成物の調製におい
て、(A)成分を用いる場合には、特定のリン酸エステ
ル化合物と銅塩とが反応する結果、銅塩から陰イオンで
ある酸成分が遊離される。このような酸成分は、前述と
同様の理由により、必要に応じて除去することが好まし
い。そのための方法としては、(a)アクリル樹脂組成
物を適宜の有機溶剤に浸漬させることにより、酸成分を
抽出する方法、(b)単量体組成物の重合処理を行う前
に、この単量体組成物を冷却処理することにより、酸成
分を析出させて分離するといった方法が例示される。
【0066】上記(a)の方法において用いられる有機
溶剤としては、遊離される酸成分を溶解することがで
き、用いられるアクリル系樹脂に対して適度な親和性
(アクリル系樹脂を溶解しないが、このアクリル系樹脂
中に浸透する程度の親和性)を有するものであれば、特
に限定されるものではない。このような溶剤の具体例と
しては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級脂
肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、
石油エーテル等のエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキ
サン、n−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライ
ド、四塩化炭素等の脂肪族系炭化水素類及びそのハロゲ
ン化物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭
化水素類等が挙げられる。一方、上記(b)の方法にお
いては、(A)成分を構成する銅塩として、遊離される
酸成分が単量体に溶解しにくいものを用いることが好ま
しく、具体的には、安息香酸等の芳香環を有するカルボ
ン酸の銅塩が挙げられる。
【0067】以上の各形態を有する本発明の熱線吸収性
複合体1によれば、ガラス材又はプラスチック材及びそ
れらの複合体から成る基材11a,11b上に、上記
(A)成分及び/又は上記(B)成分を含む近赤外光吸
収層12を形成させることにより、近赤外光吸収性(熱
線吸収性)に優れる熱線吸収性複合体1が簡易に得られ
る。また、上述の如く、上記(A)成分及び/又は上記
(B)成分を含む液状媒体を、基材11a,11b上に
塗布して媒体のみを乾燥させるだけで極めて厚さが薄
く、熱的及び化学的に安定で且つ耐環境性にも優れて劣
化し難い近赤外光吸収層12を簡易に形成することが可
能である。さらに、樹脂に上記(A)成分及び/又は上
記(B)成分が含有されて成る近赤外光吸収層12を上
記基材11a,11b上に貼付することによっても熱線
吸収性複合体1を簡易に得ることが可能である。このよ
うに本発明の熱線吸収性複合体1は、熱や紫外線に対し
て安定で且つ耐環境性に優れて劣化し難く、また、製造
が簡易であり成形加工性を向上することができる。また
さらに、上記(A)成分のリン酸エステル化合物及び上
記(B)成分のリン酸エステル銅化合物は、従来に比し
て溶媒や樹脂への相溶性に優れ、得られる熱線吸収性複
合体1の可視光透過性を向上することができる。
【0068】また、近赤外光吸収層12として、上記
(A)成分及び/又は上記(B)成分を含有する樹脂組
成物を型中で重合固化せしめたものを用いたときには、
上記(A)成分及び上記(B)成分が重合性を有さない
ため、成形品の離形成が格段に向上される。さらに、こ
れら成分は、樹脂組成物として熱成形する前後におい
て、分光特性の劣化が殆どないので、極めて熱成形に適
しており、よって成形加工性を向上することが可能な近
赤外光吸収層12を有する熱線吸収性複合体1を得るこ
とが可能となる。またさらに、基材11a,11bがガ
ラスより成り、これら基材11a,11bによって近赤
外光吸収層12が挟み込まれるように熱線吸収性複合体
1が構成されており、ガラスが硬度、耐熱性、耐薬品
性、耐久性の観点において優れているので、近赤外光吸
収層12の保護性能が高められる。
【0069】なお、図1に示す熱線吸収性複合体1の基
材11a,11b及び近赤外光吸収層12の少なくとも
一つの面には、反射低減層又は反射防止層が設けられて
いてもよい。この反射低減層又は反射防止層としては、
無機酸化物、無機ハロゲン化物等より成る公知の材料を
用いて、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリ
ングといった種々公知の方法によって形成させることが
できる。また、必要に応じて、特定波長の可視光を吸収
する可視光吸収剤、例えば波長500nm〜600nm
を選択的に吸収するコバルトイオンを含む金属イオン含
有成分等やその他の添加剤を、樹脂組成物中に混合して
もよい。
【0070】〈熱線吸収性粘着剤〉本発明の熱線吸収性
粘着剤は、粘着性を有する樹脂と上記(A)成分及び上
記(B)成分のうち少なくとも一つの成分とを含有して
成る。このような粘着性を有する樹脂としては、粘着性
を有するアクリル系樹脂を好ましく用いることができ
る。このような、粘着性を有するアクリル系樹脂は、粘
着成分を構成するアクリル系樹脂単量体を含有する単量
体組成物を重合処理することにより得られる。この粘着
成分として用いられるアクリル系樹脂単量体としては、
アルキル基の炭素数が4〜12であって、ホモポリマー
のガラス転移点が−70℃〜−30℃であるアクリル酸
アルキルエステルを好適に用いることができ、具体的に
は、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート
等が挙げられる。
【0071】また、粘着性を有するアクリル系樹脂を得
るための単量体組成物には、上記の粘着成分として用い
られるアクリル系樹脂単量体の他に、凝集成分を構成す
る単量体及び改質成分を構成する単量体を含有させるこ
とが望ましい。この凝集成分を有する単量体としては、
粘着成分として用いられるアクリル系樹脂単量体と共重
合可能なものであって、得られる共重合体のガラス転移
点を高める作用を有するものが用いられ、具体的には、
炭素数が1〜3の低級アルキル基を有するアクリル酸ア
ルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、酢酸
ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、スチレン
等が挙げられる。
【0072】また、上記改質成分として用いられる単量
体としては、上記粘着成分として用いられるアクリル系
樹脂単量体と共重合可能であって、官能基を有するもの
が用いられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、
マレイン酸、マレイン酸モノエステル等のカルボキシル
基含有化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有化合
物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−tert
−ブチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド
等の酸アミド化合物、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙
げられる。
【0073】上記単量体組成物における各単量体の使用
割合は、用いられる単量体の種類、得られるアクリル系
樹脂組成物の使用目的等によって異なるが、通常、粘着
成分として用いられるアクリル系樹脂単量体が30〜9
5質量%、凝集成分として用いられる単量体が5〜50
質量%、改質成分として用いられる単量体が0.1〜1
0質量%である。
【0074】この単量体組成物を重合処理する方法とし
ては、溶液重合法及び乳化重合法を用いることができ
る。これら重合処理に用いられる触媒としては、例えば
ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリ
ル、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過酸化物
が挙げられる。溶液重合法により単量体樹脂組成物の重
合処理を行う場合には、重合溶媒として種々の有機溶媒
を用いることができ、例えば酢酸エチル等のエステル
類、芳香族炭化水素類、ケトン類等が挙げられる。ま
た、乳化重合法により単量体組成物の重合処理を行う場
合には、乳化剤として、通常の乳化重合に使用されてい
る公知の種々のものを用いることができる。
【0075】上記のように単量体組成物を重合処理する
ことにより、粘着性を有するアクリル系樹脂がポリマー
溶液又はラテックスの状態で得られる。本発明の熱線吸
収性粘着剤は、このようにして得られたポリマー溶液又
はラテックスに、上記(A)成分及び/又は上記(B)
成分を混合することにより得ることができ、必要に応じ
て、特定波長の可視光を吸収する可視光吸収剤、例えば
波長500nm〜600nmを選択的に吸収するコバル
トイオンを含む金属イオン含有成分等や、その他の添加
剤を混合してもよい。本発明の熱線吸収性粘着剤におけ
る上記(A)成分及び/又は上記(B)成分の含有割合
は、粘着性を有するアクリル系樹脂の透光性や粘着性を
損なわない範囲でできるだけ多い方が望ましいが、粘着
性を有するアクリル系樹脂100質量部に対して、0.
1〜400質量部、好ましくは0.3〜200質量部、
より好ましくは1〜100質量部の範囲で調整される。
【0076】このように構成された本発明の熱線吸収性
粘着剤によれば、熱線吸収成分自体が粘着性を有するの
で、接着剤を用いることなく、窓材や被覆材の基材への
接着性が高められる。したがって、熱線吸収性を有する
部材を簡易に得ることができる。また、近赤外光吸収性
(熱線吸収性)を有する上記(A)成分及び上記(B)
成分が熱的及び化学的に安定なので、熱や紫外線に曝さ
れても劣化し難い熱線吸収性を有する部材を確実に得る
ことが可能となる。さらに、接着剤を用いた場合のよう
な接着剤成分による可視光の吸収が無いので、接着剤を
用いる場合に比して、可視光透過性に優れた熱線吸収性
の部材が形成され得る。さらに、基材に付与された熱線
吸収性粘着剤を保護するために、その上にフィルムや板
等を更に貼付する際にも、接着剤を必要としないので、
熱線吸収層の保護性能に優れた部材を簡易に得ることが
でき、接着剤による可視光の吸収が無いので、可視光透
過性が一層高められる。また、粘着性を有する樹脂がア
クリル系樹脂であり、アクリル系樹脂は他の樹脂に比し
て可視光透過性が優れているため、熱線吸収性の部材の
可視光透過性をより一層向上し得る。さらにまた、上記
(A)成分のリン酸エステル化合物及び上記(B)成分
のリン酸エステル銅化合物は、従来に比して樹脂への相
溶性に優れ、得られる熱線吸収性粘着剤の可視光透過性
を更に一層向上することが可能となる。
【0077】以上説明した熱線吸収性コーティング剤、
熱線吸収性複合体及び熱線吸収性粘着剤は、熱線の遮蔽
が要求される透光性部材等へ好ましく適用されるもので
あり、具体例としては、住宅その他の建造物の窓材、自
動車や電車等の車両の窓材、航空機や船舶等の車両の窓
材といった採光と眺望を得るための部材へ適用すると好
適である。本発明の熱線吸収性コーティング剤、熱線吸
収性複合体及び熱線吸収性粘着剤を適用した窓材は、熱
線遮蔽性を得るために可視光を吸収するような遮光部材
を用いる場合に比して、同等以上の熱線吸収性を有しつ
つ、可視光透過性に優れているので、窓の外部の風景の
視認性に優れており、開放感を得易い傾向にある。ま
た、熱的及び化学的安定性や耐環境性に優れて劣化し難
い透光性光部材を得ることができる。
【0078】また、他の用途としては、植物栽培雰囲気
を覆う温室施設を構築するための農業用被覆材が挙げら
れる。温室施設は内部の保温を目的としているが、夏季
には外部からの熱線によって内部の温度が必要以上に上
昇してしまう虞がある。本発明の熱線吸収性コーティン
グ剤、熱線吸収性複合体及び熱線吸収性粘着剤を適用し
た被覆材によれば、そのような過剰な温度上昇を有効に
抑制して、温室施設の利用期間を延長でき、稼働率を向
上することが可能となる。また、可視光透過性に優れて
いるので、温室外部からの内部の視認性も向上される。
また、熱的及び化学的安定性や耐環境性に優れて劣化し
難い被覆材を得ることが可能である。
【0079】
【実施例】以下、本発明に係る具体的な実施例について
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、以下の実施例の説明において、「エステル
(a)」〜「エステル(r)」で示す化合物は、上記式
(8)−a〜式(8)−rで表される特定のリン酸エス
テル化合物を云う。また、以下の実施例の説明において
用いられる「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0080】〈実施例1〉特定のリン酸エステル化合物
としてエステル(a)0.14g及びエステル(b)
0.80gをメチルメタクリレート20gに添加して混
合した。この混合溶液に、無水安息香酸銅1.17gを
添加し、60℃で1時間攪拌混合することにより、単量
体組成物を調製した。調製した単量体組成物に、t−ブ
チルパーオキシピバレート0.2gを添加し、45℃で
16時間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異な
る温度で加熱して単量体組成物の重合処理を行うことに
より、アクリル系樹脂組成物を調製した。このアクリル
系樹脂組成物を200℃でプレス成形することにより、
熱線吸収性複合体の近赤外光吸収層としての厚さが4m
mの青色透明の板状体を製作した。そして、得られた板
状体について、波長550nm、波長800nm及び波
長900nmにおける光線透過率を測定した。また、得
られた板状体について、サンシャインウエザメーター
(ブラックパネル温度63℃、降水有り)により、50
0時間の耐候性試験を行い、試験後における板状体の光
線透過率を測定し、その変化の有無を調べた。以上の結
果を後記表1に示す。
【0081】〈実施例2〜実施例12〉下記表1に示す
配合処方に従って単量体組成物を調製したこと以外は、
上記実施例1と同様にして熱線吸収性複合体の近赤外光
吸収層としてのアクリル系樹脂組成物から成る板状体を
製作し、その評価を行った。実施例2〜実施例12に対
する結果をまとめて表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】〈実施例13〉下記式(9)で表されるリ
ン酸エステル銅化合物1gと、エステル(n)1.03
gとを、メチルメタクリレート20gに添加し、60℃
で1時間攪拌混合することにより、青色透明な単量体組
成物を調製した。この単量体組成物に、t−ブチルパー
オキシピバレート0.3gを添加し、45℃で16時
間、60℃で8時間、90℃で3時間と順次異なる温度
で加熱して単量体組成物の重合処理を行うことにより、
熱線吸収性複合体の近赤外光吸収層としてのアクリル系
樹脂組成物から成る板状体を製作した。上記実施例1と
同様に評価した結果を表2に示す。
【0084】
【化11】
【0085】
【表2】
【0086】〈実施例14〉式(9)で表されるリン酸
エステル銅化合物の代わりに、下記式(10)で表され
るリン酸エステル銅化合物1gを用い、エステル(n)
の代わりにエステル(p)1.08gを用いたこと以外
は、上記実施例13と同様にして熱線吸収性複合体の近
赤外光吸収層としてのアクリル系樹脂組成物から成る板
状体を製作し、その評価を行った。結果を上記表2に併
せて示す。
【0087】
【化12】
【0088】〈実施例15〉式(9)で表されるリン酸
エステル銅化合物の代わりに、下記式(11)で表され
るリン酸エステル銅化合物1gを用い、エステル(n)
の代わりにエステル(r)1.18gを用いたこと以外
は、上記実施例13と同様にして熱線吸収性複合体の近
赤外光吸収層としてのアクリル系樹脂組成物から成る板
状体を製作し、その評価を行った。結果を上記表2に併
せて示す。
【0089】
【化13】
【0090】〈実施例16〉特定のリン酸エステル化合
物としてエステル(c)0.4g及びエステル(d)
1.6gと、無水安息香酸銅1.3gとをトルエン20
g中に混合し、60℃で1時間攪拌混合することによ
り、青色透明な混合溶液を得た。この混合溶液の全量
を、ポリメチルメタクリレート樹脂ビーズ(住友化学工
業(株)製,「MHGA」)40gに添加して攪拌混合
し、その後、60℃で24時間真空乾燥することにより
トルエンの除去処理を行い、塊状物を得た。この塊状物
を粉砕した後、180℃の加熱ロールにより5分間混練
することにより、青色透明なアクリル系樹脂組成物を調
製した。このアクリル系樹脂組成物を、200℃でプレ
ス成形することにより、熱線吸収性複合体の近赤外光吸
収層としての厚さが2mmの青色透明の板状体を製作
し、上記実施例1と同様にしてその評価を行った。結果
を上記表2に併せて示す。
【0091】以上の表1及び表2に示した結果から明ら
かなように、実施例1〜実施例16で製作した透明部材
11としてのアクリル系樹脂組成物から成る板状体は、
可視光透過性に優れ、近赤外光を高い効率で吸収する性
能を有し、しかも、紫外線による近赤外光吸収性の低下
(劣化)が少ないものであることが確認された。そし
て、これら近赤外光吸収層としての板状体をガラス基材
に貼付して熱線吸収性複合体を製作し、分光特性を評価
したところ、板状体単体の分光特性と略同等であった。
【0092】〈比較例1〉下記式(12)−a及び下記
式(12)−bで表され、分子構造中に重合性の不飽和
二重結合を有するリン酸エステル化合物の混合物と、無
水安息香酸銅とをメチルメタクリレートに添加して樹脂
単量体を調製し、この樹脂単量体を、幅1mmの間隔で
平行に配置された2枚のガラス平板から成る型に注入し
適当な重合条件で注型重合して板状体を得た。成分割合
を後記表3の「重合性リン酸エステル」の欄に示す。
【0093】
【化14】
【0094】〈実施例17〉また、上記実施例13で使
用した成分を後記表3の「非重合性リン酸エステル」の
欄に示す割合で使用して、実施例13と同様の製造方法
と上記比較例1と同じ型を用いて熱線吸収性複合体の近
赤外光吸収層としての板状体を製作した。
【0095】〈比較試験1〉上記比較例1及び上記実施
例17で製作した2種類の板状体の離型性について比較
した。その結果を、下記表3に示す。本発明で用いる特
定のリン酸エステル化合物としての非重合性リン酸エス
テル化合物を用いた樹脂組成物は、従来の重合性を有す
るリン酸エステル化合物を用いたものよりも、離型性の
点で非常に優れていることが判明した。
【0096】
【表3】
【0097】〈実施例18〉トルエン180mlに1−
メトキシ−2−プロパノール90.1mg(1モル)を
溶解し、5℃以下で五酸化二リン47.4g(1/3モ
ル)を少量ずつ加え、終夜攪拌した。次いで、60℃で
8時間攪拌後、水7mlを加えて100℃で3時間攪拌
した。溶媒等を減圧下で留去し、微黄色の粘調なオイル
状のリン酸エステル化合物124gを得た。そして、ト
ルエン200mlにこのリン酸エステル120gと酢酸
銅1水和物100gを入れて混合し、溶解させた後、6
時間脱水還流させた。脱酢酸及び脱水後、溶媒を留去
し、上記式(4)又は上記式(5)におけるmが1であ
る基Rを有するリン酸エステル銅化合物としての緑青色
の固体粉末141.3gを得た。
【0098】〈実施例19〉ジメトキシエタン200m
lにジプロピレングリコールモノメチルエーテル(東京
化成製)150g(1モル)を溶解し、5〜10℃で五
酸化二リン47.4g(1/3モル)を少量ずつ加え、
終夜攪拌した。次いで、60℃で2時間攪拌後、水15
mlを加えて80℃で2時間攪拌した後、溶媒等を減圧
下で留去し、微黄色の粘調なオイル状のリン酸エステル
化合物205gを得た。そして、トルエン150mlに
このリン酸エステル50gと酢酸銅1水和物26gを入
れて混合し、溶解させた後、6時間脱水還流させた。脱
酢酸及び脱水後、溶媒を留去し、上記式(4)又は上記
式(5)におけるmが2である基Rを有するリン酸エス
テル銅化合物としての緑青色の粘調なオイル47.6g
を得た。
【0099】〈比較試験2〉上記実施例18及び19で
得られたリン酸エステル銅化合物の熱分解特性を、以下
の測定装置及び測定条件で測定し、比較した。 a)測定装置:メトラー製TA4000熱分析システム b)測定条件 ・昇温速度:10℃/分 ・温度範囲:30〜300℃ ・雰囲気 :窒素雰囲気 ・ 測定試料重量 :m=1(実施例18) 9.878mg :m=2(実施例19) 17.206mg 図2は、実施例18に係るmが1である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解チャート、図3は、実施
例19に係るmが2である基Rを有するリン酸エステル
銅化合物の熱分解チャートである。図2及び図3に示す
ように、mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化
合物の熱分解温度が220.7℃であるのに対し、mが
2である基Rを有するリン酸エステル銅化合物の熱分解
温度は193.2℃である。なお、図中には分解温度の
小数点以下を四捨五入した値を示した。このように、m
が1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物の方
が、mが2である基Rを有するリン酸エステル銅化合物
よりも27.5℃高い温度で分解しており、熱的に安定
であることが判明した。両化合物は製造における出発物
質のアルコールの種類が異なるのみであり、両者は共に
アルコール1モルに対して五酸化二リン1/3モルが反
応するという同じ化学量論条件で製造されたものであ
る。よって、上記の熱的安定性の差異は、原料アルコー
ルの種類の相違に因るものと推定され得る。
【0100】〈実施例20〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物5g
を、メチルメタクリレート95gに添加して完全に溶解
させた。これに重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデ
カネートを1g添加し、幅3mmの間隔で配置された2
枚のガラス基板から成る型に注入し、40℃で8時間、
40℃から65℃まで2時間、65℃から100℃まで
1時間、100℃を1時間、100℃から70℃まで1
時間の重合プログラムで重合した。重合後離型して、熱
線吸収性複合体の近赤外光吸収層としての青色透明な板
状体を得た。分光光度計を用いてこの板状体の分光透過
率曲線を測定した結果を図4に示す。図4に示すよう
に、この板状体は、可視光を最大60%程度透過するの
に対し、波長800nm〜1000nmの波長範囲にあ
る近赤外光は略5%以下しか透過しないことがわかっ
た。そして、この板状体をガラス基材に貼付し、さらに
反射低減膜と反射防止膜とを蒸着して、同様に分光透過
率曲線を測定したところ、図4に示す結果と略同等であ
った。
【0101】〈実施例21〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物80
gをエタノール20gに完全に溶解し、熱線吸収性コー
ティング剤としての溶液を得た。次に、厚さ50μmの
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、上
記溶液を塗布した後、溶媒のエタノールのみを蒸発させ
た。このような塗布と蒸発を繰り返し、厚さが190μ
mの銅塩層を形成させた。そして、この銅塩層が形成さ
れたフィルム面に、厚さ50μmのPETフィルムを貼
合して熱線吸収性の多層フィルム(合計厚さ0.29m
m)を製作した(ハードコート層17は設けず)。分光
光度計を用いてこの多層フィルムの分光透過率曲線を測
定した結果を図5に示す。図5に示すように、この多層
フィルムは、可視光を最大60%程度透過するのに対
し、波長800nm〜1000nmの波長範囲にある近
赤外光を略5%以下しか透過しないことが判明した。そ
して、この多層フィルムをアクリル樹脂板に貼付して熱
線吸収性複合体とし、さらに外表面を硬化処理して、同
様に分光透過率曲線を測定したところ、図5に示す結果
と略同等であった。
【0102】〈実施例22〉上記実施例18で製造した
mが1である基Rを有するリン酸エステル銅化合物1g
を、メチルメタクリレート19.0gに添加して完全に
溶解させた。これにα−メチルスチレン0.04gと、
重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデカネートを0.
2g添加し、幅3mmの間隔で配置された2枚のガラス
基板から成る型に注入し、40℃で8時間、40℃から
65℃まで2時間、65℃から100℃まで1時間、1
00℃を1時間、100℃から70℃まで1時間の重合
プログラムで重合した。重合後離型して、熱線吸収性複
合体の近赤外光吸収層としての青色透明な板状体を得
た。この板状体を、温度60℃、湿度90%RHの高温
高湿環境下におき、0時間、500時間、1000時間
経過後の分光透過率曲線を測定した結果を図6に示す。
図6に示すように、この板状体は、1000時間経過し
た後でも可視領域における透過率の変化がなかった。目
視により板状体を観察したところ、色の変化もなかっ
た。
【0103】〈実施例23〉上記実施例19で製造した
mが2である基Rを有するリン酸エステル銅化合物1.
5gを、メチルメタクリレート18.5gに添加して完
全に溶解させた。これにα−メチルスチレン0.04g
と、重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデカネートを
0.2g添加し、幅3mmの間隔で配置された2枚のガ
ラス基板から成る型に注入し、40℃で8時間、40℃
から65℃まで2時間、65℃から100℃まで1時
間、100℃を1時間、100℃から70℃まで1時間
の重合プログラムで重合した。重合後離型して、熱線吸
収性複合体の近赤外光吸収層としての青色透明な板状体
を得た。この板状体を、温度60℃、湿度90%RHの
高温高湿環境下におき、0時間、500時間、1000
時間経過後の分光透過率曲線を測定した結果を図7に示
す。図7に示すように、この板状体は、0時間〜100
0時間経過するにつれて、経時的に可視領域における透
過率が低下することが判明した。目視により板状体を観
察したところ、経時的に色が黄ばんでいく様子が認めら
れた。上記実施例22との比較から、mが1である基R
を有するリン酸エステル銅化合物の方が、mが2である
基Rを有するリン酸エステル化合物よりも耐環境性に優
れていることが確認された。
【0104】〈参考例1〉グリシジルフェニルエーテル
201g、メタノール200ml、28%ソジウムメト
キサイド10gを混合し、室温で2日間攪拌した後、5
0℃で5時間攪拌した。メタノールを減圧留去し、トル
エン抽出、水洗、トルエン留去を実施した後、残査を1
〜2mmHg、96〜100℃で減圧蒸留し、1−メト
キシ−3−フェノキシ−2−プロパノール172gを得
た。このアルコール164g(0.9モル)をトルエン
180mlに溶解させ、約5℃で五酸化リン42.5g
を少量ずつ加えた。室温で3日間攪拌した後、60℃で
3時間、水15mlを加えて80℃で3時間攪拌した。
トルエンを減圧留去し、下記式(13)−aで表される
リン酸エステル化合物と下記式(13)−bで表される
リン酸エステル化合物との混合物209.5gの粘調な
オイルを得た。
【0105】
【化15】
【0106】このリン酸エステル銅化合物47.8gを
トルエン150mlに溶解させ、酢酸銅23.5gを加
え、脱水還流させた。脱水、脱酢酸後、溶媒を留去して
緑青色の半固体状のリン酸エステル銅化合物56.2g
を得た。次いで、このリン酸エステル銅化合物5.0g
を、メチルメタクリレート95.0gに添加して完全に
溶解させた。これにα−メチルスチレン0.20gと、
重合開始剤t−ブチルパーオキシネオデカネートを1.
0g添加し、2枚のガラス基板から成る型に注入し、4
0℃で8時間、65℃で2時間、100℃で1時間の重
合プログラムで重合した。重合後離型して、得られた板
状体の分光透過率曲線を測定した。それから、150
℃、40kgf/cm2の圧力で10分間加熱プレス
し、再度板状体の分光透過率曲線を測定した。加熱プレ
ス前後のそれら分光透過率曲線の測定結果を図8に示
す。図8に示すように、この板状体は、上記条件の加熱
プレス前後において、分光特性の変化が殆ど見られなか
った。
【0107】〈比較例2〉上記式(12)−a及び上記
式(12)−bで表され、分子構造中に重合性の不飽和
二重結合を有するリン酸エステル化合物の混合物8.6
6gと酢酸銅3.80gを混合し、メチルメタクリレー
ト91.34gに添加して溶解させた。これにα−メチ
ルスチレン0.30gと、重合開始剤t−ブチルパーオ
キシネオデカネート1.0gと、離型剤アルキルリン酸
エステル塩0.10gとを添加し、2枚のガラス基板か
ら成る型に注入し、40℃で8時間、65℃で2時間、
100℃で1時間の重合プログラムで重合した。重合後
離型して、得られた板状体の分光透過率曲線を測定し
た。それから、150℃、40kgf/cm2の圧力で
10分間加熱プレスし、再度板状体の分光透過率曲線を
測定した。加熱プレス前後のそれら分光透過率曲線の測
定結果を図9に示す。図9に示すように、この板状体の
上記条件における加熱プレス後の分光透過率は、広い波
長領域において加熱プレス前よりも低下してることが確
認された。
【0108】〈実施例24〉ブチルアクリレート60部
と、2−エチルヘキシルアクリレート26部と、メチル
メタクリレート10部と、アクリル酸3部と、トルエン
200部とを混合し、さらに重合開始剤としてベンゾイ
ルパーオキサイド0.1部を添加して混合することによ
り、単量体組成物を調製した。この単量体組成物を、6
0℃で10時間の重合処理を行うことにより、粘着性ア
クリル樹脂を含有して成るポリマー溶液を得た。このポ
リマー溶液に上記エステル(n)100部と酢酸銅28
部とを十分に攪拌混合することにより、本発明の熱線吸
収性粘着剤を得た。
【0109】〈参考例2〉ポリビニルブチラール樹脂
「エスレックスBMB−1」(積水化学(株)製)70
部と、赤外光吸収性を有する酸化スズと酸化アンチモン
との複合酸化物(AntimonyTinOxide;
以下、単にATOと云う。)超微粒子粉体(住友セメン
ト(株)製)0.1部と、可塑剤トリクレジルホスファ
イト10部とを、ロール表面の温度が150℃となるよ
う加熱された混練ロールにより十分に混練混合し、近赤
外光吸収層の形成用材料を調製した。この材料をテフロ
ン製の一対のプレス板に挟み、加圧面の温度が150℃
となるよう加熱されたプレス機により、加圧力0.1M
Paの条件でプレスすることにより、厚さが1mmのシ
ート状の近赤外光吸収層を得た。この近赤外光吸収層を
厚さが1mmの2枚のスライドガラスの間に挟み、加圧
面の温度が130℃となるよう加熱されたプレス機によ
り、加圧力0.1MPaの条件でプレスすることによ
り、それぞれガラスより成る基材の間に、近赤外光吸収
層が形成された積層体より成る本発明の熱線吸収性複合
体を製造した。この熱線吸収性複合体における近赤外光
吸収層の厚さは0.7mmであった。得られた熱線吸収
性複合体の可視領域及び近赤外領域における分光光線透
過率を測定した。結果を後記表4に示す。
【0110】〈実施例25〉無水酢酸銅28部と、ジ−
2−エチルヘキシルフォスフェート100部とを60℃
で加熱混合することにより、ジ−2−エチルヘキシルフ
ォスフェート中に酢酸銅を十分に分散させ、次いで、こ
の混合物10部に、ポリビニルブチラール樹脂「エスレ
ックスBMB−1」20部と、メチルエチルケトン80
部とを添加して攪拌混合することにより、2価の銅イオ
ンとリン酸エステル化合物とポリビニルブチラール樹脂
とを含有して成る分散液を得た。この分散液において、
ポリビニルブチラール樹脂100部に対する2価の銅イ
オンの割合は3.8部である。この分散液をテフロン製
平底容器に流延し、60℃で減圧処理することにより、
溶剤を除去して近赤外光吸収層12の形成用材料を調製
した。この材料を用いて、参考例2と同様にして厚さが
1mmのシート状の近赤外光吸収層を得て、本発明の熱
線吸収性複合体を製造した。この熱線吸収性複合体にお
ける近赤外光吸収層の厚さは0.4mmであった。得ら
れた熱線吸収性複合体の可視領域及び近赤外領域におけ
る分光光線透過率を測定した。結果を後記表4に示す。
【0111】〈実施例26〉ポリビニルブチラール樹脂
20部の代わりに、酢酸ビニル−エチレン共重合体「ス
ミテートRB−11」(住友化学製)20部を用い、メ
チルエチルケトン80部の代わりに、トルエンとメチル
エチルケトンとを質量比で1:1の割合で混合した混合
有機溶剤を用いたこと以外は、実施例25と同様にして
熱線吸収性複合体を製造した。この熱線吸収性複合体に
おける近赤外光吸収層の厚さは0.4mmであった。得
られた熱線吸収性複合体の可視領域及び近赤外領域にお
ける分光光線透過率を測定した。結果を後記表4に示
す。〈実施例27〉ジ−2−エチルヘキシルフォスフェ
ート100部の代わりに、モノ(2−エチルヘキシル)
2−エチルヘキシルフォスホネート100部を用いたこ
と以外は、実施例25と同様にして熱線吸収性複合体を
得た。この熱線吸収性複合体における近赤外光吸収層の
厚さは0.5mmであった。得られた熱線吸収性複合体
の可視領域及び近赤外領域における分光光線透過率を測
定した。結果を後記表4に示す。
【0112】〈実施例28〉無水安息香酸銅14.5部
と、2−メタクリロイルオキシエチル−アッシドフォス
フェート及びビス(2−メタクリロイルオキシエチル−
アッシドフォスフェート)が質量比で1:1の割合で混
合された混合物14.7部と、メチルエチルケトン8
5.3部とを混合して反応させ、これを一晩静置して副
生成物を除去した。次いで、得られた混合液40部と、
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックスBMB−1」
20部と、メチルエチルケトン40部とを混合して、ポ
リビニルブチラール樹脂と2価の銅イオンとリン酸エス
テル化合物とを含有して成る分散液を調製した。この分
散液において、ポリビニルブチラール樹脂100部に対
する2価の銅イオンの割合は6.0部である。この分散
液を用いて実施例25と同様にして熱線吸収性複合体を
製造した。この熱線吸収性複合体における近赤外光吸収
層の厚さは0.4mmであった。得られた熱線吸収性複
合体の可視領域及び近赤外領域における分光光線透過率
を測定した。結果を後記表4に示す。
【0113】〈実施例29〉モノ(2−エチルヘキシ
ル)2−エチルヘキシルフォスホネート100部に無水
安息香酸銅30部を溶解して成る溶液20部と、ATO
超微粒子粉体(住友セメント製)0.1部と、ポリビニ
ルブチラール樹脂「エスレックスBMB−1」70部と
を用いて、実施例25と同様にして近赤外光吸収層の形
成用材料を調製した。この材料において、ポリビニルブ
チラール樹脂100部に対する2価の銅イオンの割合は
1.4部である。この材料を用いて参考例2と同様にし
て熱線吸収性複合体を製造した。この熱線吸収性複合体
における近赤外光吸収層の厚さは1.0mmであった。
得られた熱線吸収性複合体の可視領域及び近赤外領域に
おける分光光線透過率を測定した。結果を後記表4に示
す。
【0114】〈参考例3〉ATO超微粒子粉体0.1部
の代わりに、近赤外光吸収性を有する酸化インジウムと
酸化スズとの複合酸化物(IndiumTinOxid
e;ITOとも云う。)超微粒子粉体(三菱マテリアル
製)0.1部を用いたこと以外は、参考例2と同様にし
て熱線吸収性複合体を製造した。この熱線吸収性複合体
における近赤外光吸収層の厚さは0.7mmであった。
得られた熱線吸収性複合体の可視領域及び近赤外領域に
おける分光光線透過率を測定した。結果を後記表4に示
す。
【0115】〈実施例30〉モノ(2−エチルヘキシ
ル)2−エチルヘキシルフォスホネート100部の代わ
りに、ジ−2−エチルヘキシルフォスフェート100部
を用いたこと以外は、実施例29と同様にして熱線吸収
性複合体を製造した。この熱線吸収性複合体における近
赤外光吸収層の厚さは0.4mmであった。得られた熱
線吸収性複合体の可視領域及び近赤外領域における分光
光線透過率を測定した。結果を後記表4に示す。
【0116】〈実施例31〉実施例26と同様にして近
赤外光吸収層を成形し、この近赤外光吸収層の成形体を
厚さ1mmの2枚のポリカーボネート板の間に挟み、加
圧面の温度が90℃となるよう加熱されたプレス機によ
り、加圧力0.1MPaの条件でプレスすることによ
り、それぞれポリカーボネートより成る基層及び上層の
間に、中間層が形成された積層体より成る熱線吸収性複
合体を製造した。この熱線吸収性複合体における近赤外
光吸収層の厚さは0.4mmであった。得られた熱線吸
収性複合体の可視光線領域及び近赤外領域における分光
光線透過率を測定した。結果を後記表4に示す。
【0117】〈参考例4〉ポリビニルブチラール樹脂
「エスレックスBMB−1」70部と、ATO超微粒子
粉体0.1部と、可塑剤トリクレジルホスファイト10
部とを、ロール表面の温度が120℃となるよう加熱さ
れた混練ロールにより十分に混練混合し、近赤外光吸収
層の形成用材料を調製した。この材料を用い、プレス機
の加圧面の温度を120℃に変更したこと以外は参考例
2と同様にして近赤外光吸収層を得た。この近赤外光吸
収層の成形体を用い、参考例2と同様にして熱線吸収性
複合体を製造した。この熱線吸収性複合体における近赤
外光吸収層の厚さは0.7mmであった。得られた熱線
吸収性複合体の可視領域及び近赤外領域における分光光
線透過率を測定した。結果を下記表4に示す。
【0118】
【表4】
【0119】表4より、本発明に係る熱線吸収性複合体
は、波長700〜1000nmにおける光線透過率が低
い(近赤外光の吸収率が高い)ものであることが確認さ
れた。
【0120】〈実施例32〉前記エステル(n)と酢酸
銅とから得られるリン酸エステル銅化合物を用いた以外
は、参考例1と同様にして板状体を得て、さらに参考例
1と同様にして加熱プレス前後での分光透過率曲線を測
定した。その結果、分光透過率曲線は、図8に示す参考
例2の曲線と略同様であり、加熱プレス前後において、
分光特性の変化が殆どないことを確認した。
【0121】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、近
赤外光吸収性能(熱線吸収性能)を維持しつつ、熱的安
定性、化学的安定性、相溶性及び可視光透過性に優れる
と共に、成形加工性を向上することが可能な熱線吸収性
コーティング剤及び熱線吸収性複合体並びに熱線吸収性
粘着剤を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱線吸収性複合体に係る好適な一実施
形態の積層構造を示す斜視図である。
【図2】実施例18に係るmが1である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解温度特性を示すグラフで
ある。
【図3】実施例19に係るmが2である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物の熱分解温度特性を示すグラフで
ある。
【図4】実施例20に係る板状体の分光透過率曲線を示
すグラフである。
【図5】実施例21に係る板状体の分光透過率曲線を示
すグラフである。
【図6】実施例22に係るmが1である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物を含有して成る板状体の高温高湿
環境下における分光透過率曲線の経時変化を示すグラフ
である。
【図7】実施例23に係るmが2である基Rを有するリ
ン酸エステル銅化合物を含有して成る板状体の高温高湿
環境下における分光透過率曲線の経時変化を示すグラフ
である。
【図8】参考例1に係る板状体の加熱プレス前後におけ
る分光透過率曲線を示すグラフである。
【図9】比較例2に係る板状体の加熱プレス前後におけ
る分光透過率曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1…熱線吸収性複合体、11a,11b…基材、12…
近赤外光吸収層。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分及び下記(B)成分のう
    ち少なくとも一つの成分が液状媒体に溶解及び/又は分
    散して成ることを特徴とする熱線吸収性コーティング
    剤。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
    酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化1】
  2. 【請求項2】 前記式(1)で表されるリン酸エステル
    化合物並びに前記式(2)及び前記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物は、前記式(4)又は前記式
    (5)におけるmが1である基Rを有することを特徴と
    する請求項1記載の熱線吸収性コーティング剤。
  3. 【請求項3】 透光性を有する基材と、 下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも一
    つの成分を含有し且つ前記基材上に配置された近赤外光
    吸収層を備えることを特徴とする熱線吸収性複合体。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
    酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化2】
  4. 【請求項4】 前記基材がガラスより成ることを特徴と
    する請求項3記載の熱線吸収性複合体。
  5. 【請求項5】 前記式(1)で表されるリン酸エステル
    化合物並びに前記式(2)及び前記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物は、前記式(4)又は前記式
    (5)におけるmが1である基Rを有することを特徴と
    する請求項3又は4記載の熱線吸収性複合体。
  6. 【請求項6】 前記近赤外光吸収層は、前記(A)成分
    及び前記(B)成分のうち少なくとも一つの成分がアク
    リル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−
    酢酸ビニル共重合体又は該共重合体の部分鹸化物である
    樹脂中に含有されて成る樹脂組成物で形成されることを
    特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の熱線吸
    収性複合体。
  7. 【請求項7】 下記(A)成分及び下記(B)成分のう
    ち少なくとも一つの成分と該成分を溶解及び/又は分散
    させることが可能であり且つ粘着性を有する樹脂とを含
    有して成ることを特徴とする熱線吸収性粘着剤。 (A)成分:銅イオン及び下記式(1)で表されるリン
    酸エステル化合物より成る成分 (B)成分:下記式(2)又は下記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物より成る成分 【化3】
  8. 【請求項8】 前記式(1)で表されるリン酸エステル
    化合物並びに前記式(2)及び前記式(3)で表される
    リン酸エステル銅化合物は、前記式(4)又は前記式
    (5)におけるmが1である基Rを有することを特徴と
    する請求項7記載の熱線吸収性粘着剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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