JPWO2017047215A1 - 近赤外線吸収組成物、膜、近赤外線カットフィルタおよび固体撮像素子 - Google Patents

近赤外線吸収組成物、膜、近赤外線カットフィルタおよび固体撮像素子 Download PDF

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Abstract

優れた赤外線遮蔽性および可視透明性を有し、かつ、耐熱性に優れた膜を製造可能な近赤外線吸収組成物、膜、近赤外線カットフィルタおよび固体撮像素子を提供する。近赤外線吸収組成物は、銅化合物と、ラジカルトラップ剤と、180℃以上でラジカルを発生する樹脂と、を含む。

Description

本発明は、近赤外線吸収組成物、膜、近赤外線カットフィルタおよび固体撮像素子に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子である、電荷結合素子(CCD)や、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などが用いられている。これら固体撮像素子はその受光部において、近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタを用いることが多い。
特許文献1、2には、銅化合物を含む近赤外線吸収組成物を用いて近赤外線カットフィルタを製造することが記載されている。
特開2014−32380号公報 国際公開2014/168221号
本発明者らの検討によれば、加熱によりラジカルを発生する樹脂は、銅化合物との相溶性が比較的良好であることを見出した。しかしながら、銅化合物と、加熱によりラジカルを発生する樹脂とを含む近赤外線吸収組成物を用いて製造した近赤外線カットフィルタは、加熱により着色が生じることがあり、耐熱性が不十分な場合があることが分かった。近赤外線カットフィルタは、耐熱性が低いと、加熱により着色が生じて、可視透明性や赤外線遮蔽性が低下することがあるため、近年においては、耐熱性のさらなる向上が求められている。
よって、本発明は、耐熱性に優れた膜を製造可能な近赤外線吸収組成物、膜、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、カメラモジュールおよび画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、近赤外線吸収組成物にラジカルトラップ剤を含有させることで、耐熱性に優れた膜を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下を提供する。
<1> 銅化合物と、ラジカルトラップ剤と、180℃以上でラジカルを発生する樹脂と、を含む近赤外線吸収組成物。
<2> 銅化合物は、水素原子が結合した炭素原子を有する化合物を配位子として有する銅錯体である、<1>に記載の近赤外線吸収組成物。
<3> 銅化合物は、非共有電子対で配位する配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体である、<1>または<2>に記載の近赤外線吸収組成物。
<4> 銅化合物は、少なくとも2つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体である、<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<5> ラジカルトラップ剤が、オキシム化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、硫黄系過酸化物分解物、リン系過酸物分解剤、N−オキシル化合物、アルキルフェノン化合物、アルデヒド化合物およびヒドロキシルアミン化合物から選ばれる少なくとも1種である、<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<6> ラジカルトラップ剤が、下式(I)で表される化合物である、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物;

式中、Ar100は、アリール基またはヘテロ環基を表し、R100およびR101は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
<7> ラジカルトラップ剤は、アミド型構造を有するオキシム化合物である、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<8> ラジカルトラップ剤は、一分子中に、下式(OX)で表される部分構造を2以上有するオキシム化合物である、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物;

式中、ROXは、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、波線は、オキシム化合物を構成する原子団との連結位置を表す。
<9> ラジカルトラップ剤を、近赤外線吸収組成物の全固形分中に、0.1〜30質量%含有する、<1>〜<8>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<10> 銅化合物を、近赤外線吸収組成物の全固形分中に、25〜75質量%含有する、<1>〜<9>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<11> 180℃以上でラジカルを発生する樹脂が、繰り返し単位の主鎖または側鎖に、下記(a)または(b)で表される部分構造を有する、<1>〜<10>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物;式中、波線は、樹脂の繰り返し単位を構成する原子団との連結位置を表す。

<12> 180℃以上でラジカルを発生する樹脂が、下記式(A)で表される繰り返し単位を有する、<1>〜<10>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物;

式中R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L1〜L3は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、または、芳香族基を表す;
2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子またはR3と結合して環を形成してもよい;
2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成してもよい;ただし、L2が、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合は、R2は存在しない。
<13> 180℃以上でラジカルを発生する樹脂が、架橋性基を有する繰り返し単位を含む、<1>〜<12>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<14> 180℃以上でラジカルを発生する樹脂以外の成分として、更に、架橋性基を有する化合物を含む、<1>〜<13>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物。
<15> <1>〜<14>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる膜。
<16> <1>〜<14>のいずれかに記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる近赤外線カットフィルタ。
<17> <16>に記載の近赤外線カットフィルタを有する、固体撮像素子。
本発明によれば、耐熱性に優れた膜を製造可能な近赤外線吸収組成物、膜、近赤外線カットフィルタおよび固体撮像素子を提供することが可能となった。
本発明の実施形態に係る、近赤外線カットフィルタを有するカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アリル」は、アリルおよびメタリルを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含するものである。
本明細書において、化学式中のMeはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、Phはフェニル基をそれぞれ示す。
本明細書において、近赤外線とは、波長領域が700〜2500nmの光(電磁波)をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、固形分とは、25℃における固形分をいう。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。
<近赤外線吸収組成物>
本発明の近赤外線吸収組成物は、銅化合物と、ラジカルトラップ剤と、180℃以上でラジカルを発生する樹脂とを含む。本発明の近赤外線吸収組成物を用いることにより、優れた赤外線遮蔽性および可視透明性を有し、かつ、耐熱性に優れた膜(近赤外線カットフィルタ)を製造できる。このような効果が得られるメカニズムとしては、以下によるものであると推定される。銅化合物を用いた膜において、加熱による着色が発生する原因は、膜の製造時や、膜の製造後等における加熱によって樹脂などから発生したラジカルが、銅化合物と作用して、銅化合物が変色するためであると推定される。本発明の近赤外線吸収組成物は、ラジカルトラップ剤を含むので、樹脂などから発生したラジカルをラジカルトラップ剤で捕捉して、ラジカルと銅化合物との作用を抑制できるため、加熱による着色が抑制された、耐熱性に優れた膜を製造できると推定する。
以下、本発明の近赤外線吸収組成物の各成分について説明する。
<<ラジカルトラップ剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、ラジカルトラップ剤を含む。本発明の近赤外線吸収組成物がラジカルトラップ剤を含むことで、膜の製造時または膜の製造後などにおける加熱により、樹脂などが熱分解してラジカルが発生しても、組成物中で発生したラジカルをラジカルトラップ剤にて捕捉できる。このため、銅化合物とラジカルとの反応を抑制でき、加熱による着色が抑制された、耐熱性に優れた膜を製造できる。すなわち、本発明の近赤外線吸収組成物において、ラジカルトラップ剤は、加熱によって樹脂などから発生したラジカルを捕捉して、ラジカルが銅化合物と反応することを抑制するものである。
本発明において、ラジカルトラップ剤は、オキシム化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、硫黄系過酸化物分解物、リン系過酸物分解剤、N−オキシル化合物、アルキルフェノン化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシルアミン化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アミノアルキルフェノン化合物、チオ化合物などが挙げられる。なかでも、オキシム化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、硫黄系過酸化物分解物、リン系過酸物分解剤、N−オキシル化合物、アルキルフェノン化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシルアミン化合物が好ましく、オキシム化合物、アルキルフェノン化合物およびアルデヒド化合物がより好ましく、オキシム化合物が特に好ましい。オキシム化合物の分子量は、300以上が好ましく、500以上がより好ましい。上限は、例えば2000以下とすることができる。分子量を高めることで、加熱時に揮発しにくい。このため、優れたラジカルトラップ能が得られやすい。また、非共役系の置換基を有するオキシム化合物や、後述する式(OX)で表される部分構造を一分子中に2以上有する化合物は、分子量を高めつつ優れたラジカルトラップ能が得られるので好ましい。
オキシム化合物は、オキシムエーテル化合物、および、オキシムエステル化合物が好ましく、オキシムエステル化合物が更に好ましい。特に、オキシムエステル化合物を用いることで、耐熱性に優れた膜が得られ易い。また、オキシムエステル化合物は、ケトオキシムエステル化合物が好ましい。オキシム化合物は、下式(I)で表される化合物が好ましい。

式中、Ar100は、アリール基またはヘテロ環基を表し、R100およびR101は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
Ar100は、アリール基またはヘテロ環基を表し、アリール基が好ましい。
アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。
ヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。縮合数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜5が更に好ましく、3〜4が特に好ましい。ヘテロ環基を構成する炭素原子の数は3〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、3〜20がより好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。
Ar100が表す、アリール基およびヘテロ環基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、−ORX1、−SRX1、−CORX1、−COORX1、−OCORX1、−NRX1X2、−NHCORX1、−CONRX1X2、−NHCONRX1X2、−NHCOORX1、−SO2X1、−SO2ORX1、−NHSO2X1などが挙げられる。RX1およびRX2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。置換基は、例えば、−SRX1、−NHCORX1が好ましい。また、置換基は、アミド構造を有する基も好ましく、−NHCORX1がより好ましい。
ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
置換基としてのアルキル基、ならびに、RX1およびRX2が表すアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。アルキル基は、水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されていてもよい。また、アルキル基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。
置換基としてのアリール基、ならびに、RX1およびRX2が表すアリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。アリール基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。また、アリール基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。
置換基としてのヘテロ環基、ならびに、RX1およびRX2が表すヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。ヘテロ環基を構成する炭素原子の数は3〜30が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜12がより好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。また、ヘテロ基は、水素原子の一部または全部が、上記置換基で置換されていてもよい。
100およびR101は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、アルキル基またはアリール基が好ましい。なかでも、R100およびR101の一方がアルキル基で、他方がアリール基である組み合わせが好ましく、R100がアルキル基で、R101がアリール基である組み合わせが好ましい。
アルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。
アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。
ヘテロ環基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ環基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。縮合数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜5が更に好ましく、3〜4が特に好ましい。ヘテロ環基を構成する炭素原子の数は3〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、3〜20がより好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロ環基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。
100およびR101が表す上述した基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、Ar100で説明した置換基が挙げられる。
オキシム化合物の市販品としては、IRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司社製)、アデカアークルズNCI−930(ADEKA社製)等を用いることができる。また、オキシム化合物は、以下の化合物を用いることもできる。
本発明において、オキシム化合物は、S原子を含有しない化合物であることも好ましい。
本発明において、オキシム化合物は、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることも可能である。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載されている化合物、特表2014−500852号公報の0345段落に記載されている化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報の0101段落に記載されている化合物(C−3)が挙げられる。また、特表2010−527339号公報、国際公開WO2015/004565号公報などに記載されているオキシム多量体も用いることができる。
本発明において、オキシム化合物は、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることも可能である。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013−114249号公報の段落0031〜0047、特開2014−137466号公報の段落0008〜0012、0070〜0079に記載されている化合物や、アデカアークルズNCI−831(ADEKA社製)が挙げられる。
本発明において、オキシム化合物は、アルコキシシリル基を有するオキシム化合物を用いることもラジカルトラップ能を高める観点で好ましい。アルコキシシリル基を有するオキシム化合物の具体例としては、下記に示すものが挙げられる。
本発明において、オキシム化合物は、アミド型構造、エステル型構造、エーテル型構造、ウレア型構造、スルホニルアミド型構造、イミド型構造を有するオキシム化合物を用いることもできる。特に、アミド型構造を有するオキシム化合物を用いることがラジカルトラップ能を高める観点で好ましい。アミド型構造、エステル型構造、エーテル型構造、ウレア型構造、スルホニルアミド型構造、イミド型構造を有するオキシム化合物の具体例としては、下記に示すものが挙げられる。

本発明において、オキシム化合物は、一分子中に、下式(OX)で表される部分構造を2以上有するオキシム化合物も好ましい。このオキシム化合物は、ラジカルトラップ能を高める観点で好ましい。

式中、ROXは、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、波線は、オキシム化合物を構成する原子団との連結位置を表す。
OXが表す、アルキル基、アリール基およびヘテロ環基は、式(I)のR100およびR101で説明した基が挙げられ。好ましい範囲も同様である。
一分子中に式(OX)で表される部分構造を2以上有するオキシム化合物としては、下記式(I−1)で表される化合物が挙げられる。
式(I−1)
nは、2以上の整数を表し、2〜10が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。
Lは、n価の基を表す。n価の基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、および0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれる。具体的には、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)を挙げることができる。
Lは、−CH2−、−CH2−を2以上組み合わせてなる基、または、−CH2−と、−O−、−CO−および−COO−から選ばれる少なくとも一種とを組み合わせてなる基が好ましい。
Ar200は、アリール基またはヘテロ環基を表し、R200およびR201は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。Ar200、R200およびR201が表す基は、式(I)のAr100、R100およびR101で説明した基が挙げられる。
式(I−1)で表される化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
ヒンダードアミン化合物としては、TINUVIN123、TINUVIN144、TINUVIN292(BASF社製)や、アデカスタブLA−52(ADEKA製)などが挙げられる。
ヒンダードフェノール化合物としては、Sumilizer BHT、BBM−S(住友化学製)、IRGANOX 245、1010(BASF製)、アデカスタブAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−80(ADEKA製)などが挙げられる。
硫黄系過酸化物分解物としては、Sumilizer MB(住友化学製)、アデカスタブAO−412S(ADEKA製)などが挙げられる。
リン系過酸物分解剤としては、アデカスタブ2112、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、PEP−45、HP−10(ADEKA製)、IRGAFOS38、168、P−EPQ(BASF製)などが挙げられる。
N−オキシル化合物としては、N−オキシル基を有する化合物であれば特に制限はなく、公知の化合物を用いることができる。例えば、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類などが挙げられる。ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類としては、例えばピペリジン1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルからなる群より選択される化合物などが挙げられる。ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類としては、例えば3−カルボキシプロキシルフリーラジカル(3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン1−オキシルフリーラジカル)などが挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。
アルデヒド化合物としては、脂肪族アルデヒド化合物、芳香族アルデヒドが挙げられ、芳香族アルデヒド化合物が好ましい。また、アルデヒド化合物は、水素原子の少なくとも1つがハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)またはハロゲン原子を含む置換基(好ましくは、フッ素原子を含む置換基、さらに好ましくは炭素数1〜5のフルオロアルキル基)で置換された化合物であることも好ましい。アルデヒド化合物の具体例としては、2−メチルベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、2−ニトロベンズアルデヒド、2−エトキシベンズアルデヒド、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジスルフォベンザルデヒドナトリウム、o−スルフォベンザルデヒド2ナトリウム、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2,6−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジメトキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド)、2,4,6−トリエチルベンズアルデヒド、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒドなどが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、ラジカルトラップ剤を、近赤外線吸収組成物の全固形分中に、0.1〜30質量%含有することが好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上が更に好ましく、3質量%以上が特に好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が更に好ましく、9質量以下が特に好ましい。ラジカルトラップ剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<180℃以上でラジカルを発生する樹脂>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、180℃以上でラジカルを発生する樹脂(以下、樹脂Aともいう)を含む。本発明において、樹脂のラジカル発生温度は、電子スピン共鳴法(ESR)の方法で測定した値である。具体的には、後述する実施例に示す方法で測定した値である。なお、樹脂Aは、後述する銅化合物とは異なる成分である。樹脂Aは、銅を含まない樹脂である。
樹脂Aが発生するラジカルの種類としては、樹脂の種類により異なる。例えば、アルキルラジカル、アリールラジカル、アルキルオキシラジカル、アリールオキシラジカル、アルキルカルボニルラジカル、アリールカルボニルラジカル、アミンラジカル、水素ラジカル、ヒドロキシラジカルなどが挙げられる。
樹脂Aのラジカル発生温度は、180℃以上であり、190℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。上限は、例えば、400℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましい。ラジカル発生温度が180℃以上であれば、加熱時における樹脂からのラジカル発生が小さく、また、樹脂からラジカルが発生してもこのラジカルをラジカルトラップ剤で捕捉できるので、耐熱性に優れた膜が得られ易い。
本発明において、樹脂Aは、ラジカル重合性基を有さないことが好ましい。ラジカル重合性基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。樹脂Aがラジカル重合性基を有すると、ラジカル発生温度が低下する傾向にある。さらには、ラジカル重合性基がラジカルトラップ剤と反応して消費されることがあり、所望の効果を得るためにはラジカルトラップ剤の配合量を多くする必要がある。
本発明において、樹脂Aは、アクリルエステル樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリルイミド樹脂、マレイミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ−N−ビニルアセトアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、フルオレンポリカーボネート樹脂、フルオレンポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリパラフェニレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、フッ素化芳香族ポリマー樹脂、エポキシ樹脂、アリルエステル樹脂およびシルセスキオキサン樹脂などが挙げられる。上記樹脂については、特開2014−218597号公報の段落0056〜0060の記載、特開2013−218312の段落0074〜0156の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれることとする。なかでも、樹脂Aは、アクリルエステル樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリルイミド樹脂、マレイミド樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ−N−ビニルアセトアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂が好ましい。
本発明において、樹脂Aは、繰り返し単位の主鎖または側鎖に、下記(a)または(b)で表される部分構造を有することも好ましい。式中、波線は、樹脂の繰り返し単位を構成する原子団との連結位置を表す。このような部分構造を有する樹脂としては、例えば、アクリルエステル樹脂、アクリルアミド樹脂、アクリルイミド樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。
本発明において、樹脂Aは、下記式(A)で表される繰り返し単位、および、下記式(B)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を有する樹脂が好ましく、下記式(A)で表される繰り返し単位を有する樹脂がより好ましい。

式(A)において、R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L1〜L3は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、または、芳香族基を表す。R2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子またはR3と結合して環を形成してもよい。L2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成してもよい。ただし、L2が、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合は、R2は存在しない。
式(B)において、R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L1aおよびL2aは、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R2aは、脂肪族炭化水素基、芳香族基、ラクトン環基またはカーボネート基を表す。
式(A)において、R1は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐のいずれも好ましいく、直鎖がより好ましい。アルキル基は、R1は、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(A)において、L1〜L3は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表す)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15より好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
1は、単結合が好ましい。L2およびL3は、それぞれ独立に、単結合、または、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10A−(R10Aはアルキル基を表す)、および、これらの組み合わせからなる基が好ましく、単結合、−CO−、または、−SO2−がより好ましい。
2およびR3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基または芳香族基を表す。脂肪族炭化水素基および芳香族基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基、ラクトン環基、カーボネート基などが挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルケニル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよい。アルケニル基の炭素数は、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜10がさらに好ましい。
芳香族基としては、アリール基、ヘテロアリール基が挙げられる。アリール基の炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜12が特に好ましい。ヘテロアリール基を構成する炭素原子の数は、1〜30が好ましく、1〜12がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の種類としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子を挙げることができる。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数としては、1〜3が好ましく、1〜2がより好ましい。ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。R2はアルキル基が好ましい。R3はアルキル基またはアリール基が好ましい。
式(A)において、R2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子またはR3と結合して環を形成してもよい。また、L2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成してもよい。形成する環としては、脂環(非芳香性の炭化水素環)、芳香環、複素環などが挙げられる。環は単環であってもよく、複環であってもよい。
ただし、L2が、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合は、R2は存在しない。L2と、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合、L2は、−CO−であることが好ましい。また、L2と、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合、式(A)は後述する(A1−2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
式(A)において、L2およびL3が単結合で、かつ、R2およびR3がそれぞれ独立にアルキル基である繰り返し単位を有する樹脂は、銅化合物との相溶性が特に良好であり、好ましく用いることができる。また、このような繰り返し単位を有する樹脂は、製造時や製造後の加熱によりラジカルが発生しやすい傾向があるが、本発明によれば、このようなラジカルが発生しやすい樹脂であっても、ラジカルトラップ剤を配合することにより、銅化合物の変色を抑制でき、耐熱性に優れた膜を製造できる。
式(B)において、R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L1aおよびL2aは、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R2aは、脂肪族炭化水素基、芳香族基、ラクトン環基またはカーボネート基を表す。
式(B)のR1は、式(A)のR1で説明した基が挙げられる。R1は、水素原子又はメチル基が好ましい。
式(B)のL1aにおける2価の連結基は、式(A)のL1で説明した2価の連結基が挙げられる。L1aは、単結合が好ましい。
式(B)のL2aにおける2価の連結基は、式(A)のL2、L3で説明した2価の連結基が挙げられる。L2aは、単結合、または、アルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表す)、もしくは、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
式(B)のR2aにおける脂肪族炭化水素基および芳香族基は、式(A)のR2、R3で説明した脂肪族炭化水素基および芳香族基が挙げられる。R2aが表すラクトン環基としては、例えば、アセトラクトン環基、プロピオンラクトン環基、ブチロラクトン環基などが挙げられる。
本発明において、樹脂Aは、下記式(A1−1)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。

式中R1は、水素原子またはアルキル基を表し、R11およびR12は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、または、芳香族基を表し、L11は、単結合、−CO−または−SO2−を表し、L12は、単結合または2価の連結基を表す。R11は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子、またはR12と結合して環を形成してもよい。L11は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成してもよい。ただし、L11が、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合は、R11は存在しない。
式(A1−1)のR1、R11、R12、L12は、式(A)のR1、R2、R3、L3と同義である。
11は、単結合、−CO−または−SO2−を表す。L11は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成してもよい。L11と、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合、L11は、−CO−であることが好ましい。ただし、L11が、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合は、R11は存在しない。
樹脂Aは、下記式(A1−2)〜(A1−4)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。
式(A1−2)において、L21は、単結合または2価の連結基を表し、R21は、脂肪族炭化水素基、または、芳香族基を表す。式(A1−2)のL21およびR21は、式(A)のL3およびR3と同義であり、好まし範囲も同様である。式(A1−2)において、L21は、単結合が好ましい。R21は、アルキル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。
式(A1−3)において、R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L22は、単結合、または、−CO−を表し、L23は、単結合または2価の連結基を表し、R22は、脂肪族炭化水素基を表す。式(A1−3)のR1およびL23は、式(A)のR1およびL3と同義であり、好まし範囲も同様である。R1は、水素原子またはメチル基が好ましい。L22は、−CO−が好ましい。L23は、単結合、−CO−、または、−SO2−が好ましく、単結合がより好ましい。R22が表す炭化水素基は、アルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、直鎖または分岐が好ましい。
式(A1−4)において、R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L24は、単結合、−CO−または−SO2−を表し、L25は、単結合または2価の連結基を表し、R24およびR25は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、または、芳香族基を表す。式(A1−4)のR1、L25、R24およびR25は、式(A)のR1、L3、R2およびR3と同義であり、好まし範囲も同様である。R1は、水素原子またはメチル基が好ましい。L24は、単結合が好ましい。L25は、単結合、−CO−、または、−SO2−が好ましく、単結合がより好ましい。R24およびR25は、それぞれ独立して、アルキル基またはアリール基が好ましい。
樹脂Aは、式(A)で表される繰り返し単位を、樹脂Aの全繰り返し単中25〜95モル%含有することが好ましく、30〜70モル%がより好ましい。この態様によれば、耐熱性および耐溶剤性に優れた膜が得られ易い。式(A)で表される繰り返し単位の具体例としては以下に示す構造が挙げられる。
本発明において、樹脂Aは、架橋性基を有する繰り返し単位をさらに含むことが好ましい。この態様によれば、耐熱性および耐溶剤性がより優れた膜を製造しやすい。架橋性基は、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基等が挙げられ、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基が好ましく、環状エーテル基またはアルコキシシリル基がより好まく、アルコキシシリル基が特に好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。環状エーテル基としては、エポキシ基やオキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられ、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリアルコキシシリル基がより好ましい。
架橋性基を有する繰り返し単位は、例えば、下記(A2−1)〜(A2−4)等が挙げられる。
1は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。R1は、水素原子またはメチル基が好ましい。
51は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(A)のL1〜L3で説明した2価の連結基が挙げられる。L51は、アルキレン基が好ましい。
1は、架橋性基を表す。架橋性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基等が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。環状エーテル基としては、エポキシ基やオキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられ、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリアルコキシシリル基がより好ましい。アルコキシシリル基におけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が特に好ましい。架橋性基は、アルコキシシリル基であることが好ましい。
樹脂Aが、架橋性基を有する繰り返し単位を含む場合、樹脂Aは、架橋性基を有する繰り返し単位を、樹脂Aの全繰り返し単中5〜75モル%含有することが好ましく、30〜70モル%がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた膜が得られ易い。架橋性基を有する繰り返し単位の具体例としては、以下に示す構造が挙げられる。以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
樹脂Aは、式(A)で表される繰り返し単位および架橋性基を有する繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位を構成する成分としては、特開2010−106268号公報の段落番号0068〜0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0112]〜[0118])に開示の共重合成分の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
好ましい他の繰り返し単位としては、下記式(A3−1)で表される繰り返し単位が挙げられる。
1は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がさらに好ましく、1が特に好ましい。R1は、水素原子またはメチル基が好ましい。
52は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、上記式(A)のL1〜L3で説明した2価の連結基が挙げられる。L52は、アルキレン基が好ましい。
52は、アルキル基またはアリール基を表す。アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜10がより好ましい。
樹脂Aが、他の繰り返し単位(好ましくは、式(A3−1)で表される繰り返し単位)を含む場合、樹脂Aは、他の繰り返し単位(好ましくは、式(A3−1)で表される繰り返し単位)を、樹脂Aの全繰り返し単位中0〜20モル%含有することが好ましく、0〜10モル%がより好ましい。
また、樹脂Aは、他の繰り返し単位を実質的に含まない態様とすることもできる。樹脂Aが、他の繰り返し単位を実質的に含有しないとは、他の繰り返し単位が、樹脂Aの全繰り返し単中1モル%以下が好ましく、0.1モル%以下がより好ましく、含有しないことが更に好ましい。
本発明において、樹脂Aの好ましい態様としては、以下が挙げられる。なかでも、以下の(4)〜(7)が好ましく、(5)〜(7)がより好ましく、(6)または(7)が更に好ましく、(7)が特に好ましい。この態様によれば、本発明の効果がより顕著に得られ易い。すなわち、ラジカルトラップ剤を配合したことによる耐熱性の向上がより顕著である。
(1)樹脂Aが、上述した式(A)で表される繰り返し単位を有する態様。
(2)樹脂Aが、式(A1−1)で表される繰り返し単位を有する態様。
(3)樹脂Aが、式(A1−2)〜(A1−4)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する態様。
(4)樹脂Aが、架橋性基を有する繰り返し単位を有する態様。
(5)樹脂Aが、上述した式(A)で表される繰り返し単位と、架橋性基を有する繰り返し単位を有する態様。
(6)樹脂Aが、式(A1−1)で表される繰り返し単位と、架橋性基を有する繰り返し単位を有する態様。
(7)樹脂Aが、式(A1−2)〜(A1−4)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位と、架橋性基を有する繰り返し単位を有する態様。
(8)樹脂Aが、ラジカル重合性基を有さない態様。
(9)上記(1)〜(7)の態様において、更にラジカル重合性基を有さない態様。
本発明において、樹脂Aの重量平均分子量は、500〜300,000が好ましい。下限は、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましい。上限は、50,000以下がより好ましく、30,000以下がさらに好ましい。樹脂Aの数平均分子量は、300〜200,000が好ましい。下限は、1,000以上がより好ましく、2,500以上がさらに好ましい。上限は、25,000以下がより好ましく、15,000以下がさらに好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物において、樹脂Aの含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、30〜80質量%が好ましい。下限は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。樹脂Aは、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<銅化合物>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、銅化合物を含有する。本発明の近赤外線吸収組成物は、赤外線吸収剤を、近赤外線吸収組成物の全固形分に対し、25〜75質量%含有することが好ましい。上限は、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましい。下限は、30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましい。銅化合物の含有量が上記範囲であれば、赤外線遮蔽性に優れた膜を形成しやすい。
本発明において、銅化合物は、銅錯体が好ましい。銅錯体としては、銅と、銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)との錯体が好ましい。銅に対する配位部位としては、アニオンで配位する配位部位、非共有電子対で配位する配位原子が挙げられる。銅錯体は、配位子を2つ以上有していてもよい。配位子を2つ以上有する場合は、それぞれの配位子は同一であってもよく、異なっていてもよい。銅錯体は、4配位、5配位および6配位が例示され、4配位および5配位がより好ましく、5配位がさらに好ましい。また、銅錯体は、銅と配位子によって、5員環および/または6員環が形成されていることが好ましい。このような銅錯体は、形状が安定であり、錯体安定性に優れる。
本発明において、銅錯体は、フタロシアニン銅錯体以外の銅錯体であることも好ましい。ここで、フタロシアニン銅錯体とは、フタロシアニン骨格を有する化合物を配位子とする銅錯体である。フタロシアニン骨格を有する化合物は、分子全体にπ電子共役系が広がり、平面構造を取る。フタロシアニン銅錯体は、π−π*遷移で光を吸収する。π−π*遷移で赤外領域の光を吸収するには、配位子をなす化合物が長い共役構造をとる必要がある。しかしながら、配位子の共役構造を長くすると、可視光透過性が低下する傾向にある。このため、フタロシアニン銅錯体は、可視光透過性が不十分な場合がある。
また、銅錯体は、400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有さない化合物を配位子とする銅錯体であることも好ましい。400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物を配位子とする銅錯体は、可視領域(例えば、400〜600nmの波長領域)に吸収を有するため、可視光透過性が不十分な場合がある。400〜600nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物としては、長い共役構造を有し、π−π*遷移の光の吸収の大きい化合物が挙げられる。具体的には、フタロシアニン骨格を有する化合物が挙げられる。
銅錯体は、水素原子が結合した炭素原子を有する化合物を配位子として有することが好ましい。この態様によれば、耐湿性に優れた膜が得られ易い。
また、銅錯体は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物を配位子として有することも好ましい。
また、銅錯体は、少なくとも2つの配位部位を有する化合物(以下、多座配位子ともいう)を配位子として有することも好ましい。多座配位子は、配位部位を少なくとも3つ有することがより好ましく、3〜5個有することが更に好ましい。多座配位子は、銅成分に対し、キレート配位子として働く。すなわち、多座配位子が有する少なくとも2つの配位原子が、銅とキレート配位することにより、銅錯体の構造が歪んで、可視光領域の高い透過性が得られ、赤外線の吸光能力を向上でき、色価も向上すると考えられる。これにより、近赤外線カットフィルタを長期間使用しても、その特性が損なわれず、またカメラモジュールを安定的に製造することも可能となる。
銅錯体は、例えば銅成分(銅または銅を含む化合物)に対して、銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)を混合・反応等させて得ることができる。銅に対する配位部位を有する化合物(配位子)は、低分子化合物であってもよく、ポリマーであってもよい。両者を併用することもできる。
銅成分は、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。銅成分としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、例えば、カルボン酸銅(例えば、酢酸銅、エチルアセト酢酸銅、ギ酸銅、安息香酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅など)、スルホン酸銅(例えば、メタンスルホン酸銅など)、リン酸銅、リン酸エステル銅、ホスホン酸銅、ホスホン酸エステル銅、ホスフィン酸銅、アミド銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、メチド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅、過塩素酸銅、フッ化銅、塩化銅、臭化銅が好ましく、カルボン酸銅、スルホン酸銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、フッ化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅がより好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、フェノキシ銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅が更に好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、塩化銅、硫酸銅が特に好ましい。
本発明において、銅錯体は、700〜1200nmの波長領域に極大吸収波長を有する化合物が好ましい。銅錯体の極大吸収波長は、720〜1200nmの波長領域にあることがより好ましく、800〜1100nmの波長領域にあることがさらに好ましい。極大吸収波長は、例えば、Cary 5000 UV−Vis−NIR(分光光度計 アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて測定することができる。
銅錯体の上述した波長領域における極大吸収波長でのモル吸光係数は、120(L/mol・cm)以上が好ましく、150(L/mol・cm)以上がより好ましく、200(L/mol・cm)以上がさらに好ましく、300(L/mol・cm)以上がよりさらに好ましく、400(L/mol・cm)以上が特に好ましい。上限は、特に限定はないが、例えば、30000(L/mol・cm)以下とすることができる。銅錯体の上記モル吸光係数が、100(L/mol・cm)以上であれば、薄膜であっても、赤外線遮蔽性に優れた膜を形成することができる。
銅錯体の800nmでのグラム吸光係数は、0.11(L/g・cm)以上が好ましく、0.15(L/g・cm)以上がより好ましく、0.24(L/g・cm)以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、銅錯体のモル吸光係数およびグラム吸光係数は、銅錯体を溶媒に溶解させて1g/Lの濃度の溶液を調製し、銅錯体を溶解させた溶液の吸収スペクトルを測定して求めることができる。測定装置としては、島津製作所製UV−1800(波長領域200〜1100nm)、Agilent製Cary 5000(波長領域200〜1300nm)などを用いることができる。測定溶媒としては、水、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,2,4−トリクロロベンゼン、アセトンが挙げられる。本発明では、上述した測定溶媒のうち、測定対象の銅錯体を溶解できるものを選択して用いる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテルで溶解する銅錯体の場合は、測定溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルを用いることが好ましい。なお、溶解するとは、25℃の溶媒に対する、銅錯体の溶解度が0.01g/100gSolventを超える状態を意味する。
本発明において、銅錯体のモル吸光係数およびグラム吸光係数は、上述した測定溶媒のいずれか1つを用いて測定した値であることが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルでの値であることがより好ましい。
<<<低分子タイプの銅化合物>>>
本発明において、銅化合物としては、例えば、下式(Cu−1)で表される銅錯体を用いることができる。この銅錯体は、中心金属の銅に配位子Lが配位した銅化合物であり、銅は、通常2価の銅である。例えば銅成分に対して、配位子Lとなる化合物またはその塩を混合・反応等させて得ることができる。
Cu(L)n1・(X)n2 式(Cu−1)
上記式中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、対イオンを表す。n1は、1〜4の整数を表す。n2は、0〜4の整数を表す。
Xは、対イオンを表す。銅化合物は、電荷を持たない中性錯体のほか、カチオン錯体、アニオン錯体になることもある。この場合、銅化合物の電荷を中和するよう、必要に応じて対イオンが存在する。
対イオンが負の対イオンの場合、例えば、無機陰イオンでも有機陰イオンでもよい。具体例としては、水酸化物イオン、ハロゲン陰イオン(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換または無置換のアルキルカルボン酸イオン(酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等)、置換または無置換のアリールカルボン酸イオン(安息香酸イオン等)、置換もしくは無置換のアルキルスルホン酸イオン(メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等)、置換もしくは無置換のアリールスルホン酸イオン(例えばパラ−トルエンスルホン酸イオン、パラ−クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラアリールホウ酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン(B-(C654)、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が挙げられ、ハロゲン陰イオン、置換もしくは無置換のアルキルカルボン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラアリールホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、アミドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、メチドイオン(アシル基やスルホニル基で置換されたメチドを含む)が好ましい。
対イオンが正の対イオンの場合、例えば、無機もしくは有機のアンモニウムイオン(例えば、テトラブチルアンモニウムイオンなどのテトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルベンジルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)、ホスホニウムイオン(例えば、テトラブチルホスホニウムイオンなどのテトラアルキルホスホニウムイオン、アルキルトリフェニルホスホニウムイオン、トリエチルフェニルホスホニウムイオン等)、アルカリ金属イオンまたはプロトンが挙げられる。
また、対イオンは金属錯体イオンであってもよく、特に対イオンが銅錯体、すなわち、カチオン性銅錯体とアニオン性銅錯体の塩であっても良い。
配位子Lは、銅に対する配位部位を有する化合物であり、銅に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する化合物が挙げられる。アニオンで配位する配位部位は、解離していてもよく、非解離でも良い。配位子Lは、銅に対する配位部位を2個以上有する化合物(多座配位子)が好ましい。また、配位子Lは、可視透明性を向上させるために、芳香族などのπ共役系が連続して複数結合していないことが好ましい。配位子Lは、銅に対する配位部位を1個有する化合物(単座配位子)と、銅に対する配位部位を2個以上有する化合物(多座配位子)
とを併用することもできる。単座配位子としては、アニオンまたは非共有電子対で配位する単座配位子が挙げられる。アニオンで配位する配位子としては、ハライドアニオン、ヒドロキシドアニオン、アルコキシドアニオン、フェノキシドアニオン、アミドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアミドを含む)、イミドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたイミドを含む)、アニリドアニオン(アシル基やスルホニル基で置換されたアニリドを含む)、チオラートアニオン、炭酸水素アニオン、カルボン酸アニオン、チオカルボン酸アニオン、ジチオカルボン酸アニオン、硫酸水素アニオン、スルホン酸アニオン、リン酸二水素アニオン、リン酸ジエステルアニオン、ホスホン酸モノエステルアニオン、ホスホン酸水素アニオン、ホスフィン酸アニオン、含窒素へテロ環アニオン、硝酸アニオン、次亜塩素酸アニオン、シアニドアニオン、シアナートアニオン、イソシアナートアニオン、チオシアナートアニオン、イソチオシアナートアニオン、アジドアニオンなどが挙げられる。非共有電子対で配位する単座配位子としては、水、アルコール、フェノール、エーテル、アミン、アニリン、アミド、イミド、イミン、ニトリル、イソニトリル、チオール、チオエーテル、カルボニル化合物、チオカルボニル化合物、スルホキシド、へテロ環、あるいは、炭酸、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、硝酸、または、そのエステルが挙げられる。
上記配位子が有するアニオンは、銅成分中の銅原子に配位可能なものであればよく、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンが好ましい。アニオンで配位する配位部位は、以下の1価の官能基群(AN−1)、または、2価の官能基群(AN−2)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、配位子を構成する原子団との結合位置である。
群(AN−1)
群(AN−2)
上記式中、Xは、NまたはCRを表し、Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
Rが表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基の例としては、メチル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、カルボキシル基、ヘテロ基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく、1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。アルキル基が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
Rが表すアルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルケニル基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
Rが表すアルキニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。アルキニル基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
Rが表すアリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。アリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
Rが表すヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。ヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述したものが挙げられる。
アニオンで配位する配位部位の例として、モノアニオン性配位部位も挙げられる。モノアニオン性配位部位は、1つの負電荷を有する官能基を介して銅原子と配位する部位を表す。例えば、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられる。具体的には、リン原子を含有する酸基(リン酸ジエステル基、ホスホン酸モノエステル基、ホスフィン酸基等)、スルホ基、カルボキシル基、イミド酸基等が挙げられ、スルホ基、カルボキシル基が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子が好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子がより好ましく、酸素原子、窒素原子がさらに好ましく、窒素原子が特に好ましい。非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子である場合、窒素原子に隣接する原子が炭素原子、または、窒素原子であることが好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれること、または、以下の1価の官能基群(UE−1)、2価の官能基群(UE−2)、3価の官能基群(UE−3)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれることが好ましい。なお、以下の構造式における波線は、配位子を構成する原子団との結合位置である。
群(UE−1)
群(UE−2)
群(UE−3)
群(UE−1)〜(UE−3)中、R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれていてもよい。非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、5〜12員環が好ましく、5〜7員環がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、ケイ素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、カルボキシル基等が挙げられる。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよく、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE−1)〜(UE−3)から選択される少なくとも1種の部分構造を含む基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアシル基、ヒドロキシ基が挙げられる。
非共有電子対で配位する配位原子が群(UE−1)〜(UE−3)で表される部分構造に含まれる場合、R1は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、およびヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アルコキシ基の炭素数は、1〜12が好ましく、3〜9がより好ましい。
アリールオキシ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリールオキシ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールオキシ基を構成するヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アルキルチオ基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜9がより好ましい。
アリールチオ基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
ヘテロアリールチオ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールチオ基を構成するヘテロアリール基は、上記アニオンで配位する配位部位で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
アシル基の炭素数は、2〜12が好ましく、2〜9がより好ましい。
配位子が、1分子内に、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する場合、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを連結する原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができ、可視光透過性を高めつつ、モル吸光係数を大きくし易い。アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを連結する原子の種類は、1種または2種以上であってもよい。炭素原子、または、窒素原子が好ましい。
配位子が1分子内に、非共有電子対で配位する配位原子を2以上有する場合、非共有電子対で配位する配位原子は3つ以上有していてもよく、2〜5つ有していることが好ましく、4つ有していることがより好ましい。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、2〜3が更に好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子は、1種または2種以上であってもよい。非共有電子対で配位する配位原子同士を連結する原子は、炭素原子が好ましい。
本発明において、配位子は、少なくとも2つの配位部位を有する化合物(多座配位子)が好ましい。配位子は、配位部位を少なくとも3つ有することがより好ましく、3〜5個有することが更に好ましく、4〜5個有することが特に好ましい。
多座配位子は、アニオンで配位する配位部位を1つ以上と非共有電子対で配位する配位原子を1つ以上とを含む化合物、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物、アニオンで配位する配位部位を2つ含む化合物等が挙げられる。これらの化合物は、それぞれ独立に、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、配位子となる化合物は、配位部位を1つのみ有する化合物を用いることもできる。
多座配位子は、下記一般式(IV−1)〜(IV−14)で表される化合物であることが好ましい。例えば、配位子が4つの配位部位を有する化合物である場合は、下記式(IV−3)、(IV−6)、(IV−7)、(IV−12)で表される化合物が好ましく、金属中心により強固に配位し、耐熱性の高い安定な4配位錯体を形成しやすいという理由から、(IV−12)で表される化合物がより好ましい。また、例えば、配位子が5つの配位部位を有する化合物である場合は、下記式(IV−4)、(IV−8)〜(IV−11)、(IV−13)、(IV−14)で表される化合物が好ましく、金属中心により強固に配位し、耐熱性の高い安定な5配位錯体を形成しやすいという理由から、(IV−9)〜(IV−10)、(IV−13)、(IV−14)で表される化合物がより好ましく、(IV−13)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(IV−1)〜(IV−14)中、X1〜X59はそれぞれ独立して、配位部位を表し、L1〜L25はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表し、L26〜L32はそれぞれ独立して3価の連結基を表し、L33〜L34はそれぞれ独立して4価の連結基を表す。
1〜X42はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(AN−1)、または、群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
43〜X56はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(AN−2)、または、群(UE−2)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
57〜X59はそれぞれ独立して、上述した群(UE−3)から選択される少なくとも1種を表すことが好ましい。
1〜L25はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、−SO2−または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、−SO2−またはこれらの組み合わせからなる基がより好ましい。
26〜L32はそれぞれ独立して3価の連結基を表す。3価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
33〜L34はそれぞれ独立して4価の連結基を表す。4価の連結基としては、上述した2価の連結基から水素原子を2つ除いた基が挙げられる。
ここで、群(AN−1)〜(AN−2)中のR、および、群(UE−1)〜(UE−3)中のR1は、R同士、R1同士、あるいは、RとR1間で連結して環を形成しても良い。
たとえば、一般式(IV−2)の具体例として、下の化合物(IV−2A)が挙げられる。なお、X3、X4、X43は以下に示した基であり、L2、L3はメチレン基、R1はメチル基であるが、このR1同士が連結して環を形成し、(IV−2B)や(IV−2C)のようになっても良い。
配位子をなす化合物の具体例としては、以下に示す化合物およびその塩が挙げられる。塩を構成する原子としては、金属原子、テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。金属原子としては、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子がより好ましい。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。また、特開2014−41318号公報の段落0022〜0042の記載、特開2015−43063号公報の段落0021〜0039の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。



本発明で用いる銅錯体は、例えば、以下の(1)〜(5)の態様が好ましい一例として挙げられ、(2)〜(5)がより好ましく、(3)〜(5)が更に好ましく、(4)が一層好ましい。
(1)2つの配位部位を有する化合物の1つまたは2つを配位子として有する銅錯体
(2)3つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体
(3)3つの配位部位を有する化合物と2つの配位部位を有する化合物とを配位子として有する銅錯体
(4)4つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体
(5)5つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体
上記(1)の態様において、2つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物、または、アニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物が好ましい。また、2つの配位部位を有する化合物の2つを配位子として有する場合、配位子の化合物は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、(1)の態様において、銅錯体は、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1〜3個とすることもできる。単座配位子の種類としては、アニオンで配位する単座配位子、非共有電子対で配位する単座配位子のいずれも好ましく、2つの配位部位を有する化合物が非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物の場合は配位力が強いという理由からアニオンで配位する単座配位子がより好ましく、2つの配位部位を有する化合物がアニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物の場合には錯体全体が電荷を持たないという理由から非共有電子対で配位する単座配位子がより好ましい。
上記(2)の態様において、3つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を3つ有する化合物が更に好ましい。
また、(2)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもできる。また、1個以上とすることもでき、1〜3個以上がより好ましく、1〜2個がさらに好ましく、2個が一層好ましい。単座配位子の種類としては、アニオンで配位する単座配位子、非共有電子対で配位する単座配位子のいずれも好ましく、上述した理由によりアニオンで配位する単座配位子がより好ましい。
上記(3)の態様において、3つの配位部位を有する化合物は、アニオンで配位する配位部位と、非共有電子対で配位する配位原子とを有する化合物が好ましく、アニオンで配位する配位部位を2つ、および、非共有電子対で配位する配位原子を1つ有する化合物が更に好ましい。さらに、この2つのアニオンで配位する配位部位が異なっていることが特に好ましい。また、2つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物が更に好ましい。なかでも、3つの配位部位を有する化合物が、アニオンで配位する配位部位を2つ、および、非共有電子対で配位する配位原子を1つ有する化合物であり、2つの配位部位を有する化合物が、非共有電子対で配位する配位原子を2つ有する化合物である組み合わせが、特に好ましい。
また、(3)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1個以上とすることもできる。0個がより好ましい。
上記(4)の態様において、4つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を2以上有する化合物がより好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を4つ有する化合物が更に好ましい。
また、(4)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1個以上とすることもでき、2個以上とすることもできる。1個が好ましい。単座配位子の種類としては、アニオンで配位する単座配位子、非共有電子対で配位する単座配位子のいずれも好ましい。
上記(5)の態様において、5つの配位部位を有する化合物は、非共有電子対で配位する配位原子を有する化合物が好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を2以上有する化合物がより好ましく、非共有電子対で配位する配位原子を5つ有する化合物が更に好ましい。
また、(5)の態様において、銅錯体は、更に、単座配位子を更に有することもできる。単座配位子の数は、0個とすることもでき、1個以上とすることもできる。単座配位子の数は0個が好ましい。
[リン酸エステル銅錯体]
本発明において、銅化合物として、リン酸エステル銅錯体を用いることもできる。リン酸エステル銅錯体は、銅を中心金属としリン酸エステル化合物を配位子とするものである。リン酸エステル銅錯体の配位子をなすリン酸エステル化合物は、下記式(L−100)で表される化合物またはその塩が好ましい。
(HO)n−P(=O)−(OR13-n 式(L−100)
式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜18のアラルキル基、または炭素数1〜18のアルケニル基を表すか、−OR1が、炭素数4〜100のポリオキシアルキル基、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、または、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基を表し、nは1または2を表す。nが1のとき、R2はそれぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。
上記式において、−OR1の少なくとも1つが、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、または、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基を表すことが好ましく、炭素数4〜100の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を表すことがより好ましい。ポリオキシアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、および(メタ)アクリロイルポリオキシアルキル基の炭素数は、それぞれ、4〜20であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
リン酸エステル化合物の分子量は、300〜1500であることが好ましく、320〜900であることがより好ましい。
リン酸エステル化合物の具体例としては、上述した配位子が挙げられる。また、特開2014−41318号公報の段落0022〜0042の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
[スルホン酸銅錯体]
本発明において、銅化合物として、スルホン酸銅錯体を用いることもできる。スルホン酸銅錯体は、銅を中心金属としスルホン酸化合物を配位子とするものである。スルホン酸銅錯体の配位子をなすスルホン酸化合物は、下記式(L−200)で表される化合物またはその塩が好ましい。
2−SO2−OH 式(L−200)
式中、R2は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などを挙げることができる。
アルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10がさらに好ましい。
アリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜25が好ましく、6〜10がより好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、重合性基(好ましくは、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基)、(メタ)アクリロイル基などのエチレン性不飽和結合を有する基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、カルボン酸エステル基(例えば−CO2CH3)、ハロゲン化アルキル基()、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン原子を含有する酸基、アミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基等が挙げられる。
上記のハロゲン化アルキル基としては、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。特に、フッ素原子を2つ以上有する炭素数が1〜10のアルキル基が好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよいが、直鎖または分岐が好ましい。ハロゲン化アルキル基における炭素数は、1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3がより好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基は、末端の構造が(−CF3)であることが好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基は、フッ素原子の置換率が、50〜100%であることが好ましく、80〜100%であることがさらに好ましい。ここで、フッ素原子の置換率とは、フッ素原子で置換されたアルキル基において、水素原子がフッ素原子に置換されている比率(%)のことをいう。特に、ハロゲン化アルキル基としては、ペルフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基がさらに好ましく、トリフルオロエチル基及びトリフルオロメチル基がさらに好ましい。
上述したアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基は、二価の連結基を有していてもよい。二価の連結基としては、−(CH2m−(mは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数)、炭素数5〜10の環状のアルキレン基、または、これらの基と、−O−、−COO−、−S−、−NH−および−CO−の少なくとも1つの組み合わせからなる基が好ましい。
式(L−200)中、R2は、式量が300以下の有機基であることが好ましく、式量が50〜200の有機基がより好ましく、式量60〜100の有機基がさらに好ましい。
式(L−200)で表されるスルホン酸化合物の分子量は、80〜750が好ましく、80〜600がより好ましく、80〜450がさらに好ましい。
スルホン酸銅錯体は、下記式(L−201)で表される構造を有することが好ましい。
2A−SO2−O−* (L−201)
式中、R2Aは、式(L−200)におけるR2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
スルホン酸化合物の具体例としては、上述した配位子が挙げられる。また、特開2015−43063号公報の段落0021〜0039の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<<<ポリマータイプの銅化合物>>>
本発明において、銅化合物として、ポリマー側鎖に銅錯体部位を有する銅含有ポリマーを用いることができる。銅含有ポリマーは、ポリマー側鎖に銅錯体部位を有するので、銅を起点として、ポリマーの側鎖間に架橋構造が形成されると考えられ、耐熱性に優れた膜が得られると考えられる。
銅錯体部位としては、銅と、銅に対して配位する部位(配位部位)とを有するものが挙げられる。銅に対して配位する部位としては、アニオンまたは非共有電子対で配位する部位が挙げられる。また、銅錯体部位は、銅に対して4座配位または5座配位する部位を有することが好ましい。配位部位の詳細については、上述した低分子タイプの銅化合物で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
銅含有ポリマーは、配位部位を含むポリマー(ポリマー(B1)ともいう)と、銅成分との反応で得られるポリマーや、ポリマー側鎖に反応性部位を有するポリマー(以下ポリマー(B2)ともいう)と、ポリマー(B2)が有する反応性部位と反応可能な官能基を有する銅錯体とを反応させて得られるポリマーが挙げられる。
(ポリマー(B1))
配位部位を含むポリマー(B1)は、下記式(1)で表される基を側鎖に含むことが好ましい。
*−L1−Y1 ・・・(1)
一般式(1)において、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表し、*は、ポリマーとの連結手を表す。
一般式(1)において、Y1は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表し、アニオンで配位する配位部位を2個以上有する基、非共有電子対で配位する配位原子を2個以上有する基、または、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基が好ましい。
一般式(1)において、L1が連結基を表す場合、2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
アルキレン基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15より好ましく、1〜10がさらに好ましい。アルキレン基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。
アリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、特に限定されないが、5員環または6員環が好ましい。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられる。ヘテロ原子の数は、1〜3が好ましい。ヘテロアリーレン基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
1が3価以上の連結基を表す場合は、上述した2価の連結基の例として挙げた基のうち、1個以上の水素原子を取り除いた基が挙げられる。
ポリマー(B1)は、下記式(B1−1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。

式(B1−1)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L1は単結合または連結基を表し、Y1は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表す。
式(B1−1)において、R1は、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状の脂肪族炭化水素基や、芳香族炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。炭化水素基はメチル基が好ましい。R1は水素原子またはメチル基が好ましい。
式(B1−1)のL1およびY1は、上述した式(1)のL1およびY1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(B1−1)で表される繰り返し単位としては、例えば、以下の(B1−1−1)〜(B1−1−4)で表される繰り返し単位が挙げられる。以下の(B1−1−1)、(B1−1−2)が好ましい。
式(B1−1−1)〜(B1−1−4)中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L2は単結合または連結基を表し、Y1は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表す。
式(B1−1−1)〜(B1−1−4)のR1は、式(B1−1)のR1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(B1−1−1)〜(B1−1−4)のY1は、式(B1−1)のY1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(B1−1−2)〜(B1−1−4)のL2は、式(B1−1)のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリマー(B1)は、式(B1−1)で表される繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位を構成する成分としては、特開2010−106268号公報の段落番号0068〜0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0112]〜[0118])に開示の共重合成分の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、ポリマー(B1)は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を有し、かつ、主鎖に芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基を有する重合体(以下、芳香族基含有重合体という。)を用いてもよい。芳香族基含有重合体は、主鎖に、芳香族炭化水素基および芳香族ヘテロ環基のうち少なくとも1種を有していればよく、2種以上有していてもよい。
芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。特に、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基が好ましい。芳香族炭化水素基は単環又は多環であってもよいが、単環が好ましい。
芳香族ヘテロ環基の炭素数は、2〜30が好ましい。芳香族ヘテロ環基は、5員環又は6員環が好ましい。芳香族ヘテロ環基は、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。芳香族ヘテロ環基に含まれるヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示され、窒素原子または酸素原子が好ましい。
芳香族基含有重合体は、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルケトン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体、ポリイミド系重合体、ポリベンズイミダゾール系重合体、ポリフェニレン系重合体、フェノール樹脂系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアミド系重合体及びポリエステル系重合体から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。以下に各重合体の例を示す。
ポリエーテルスルホン系重合体:(−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造(Phはフェニレン基を示す、以下同じ)を有する重合体
ポリスルホン系重合体:(−O−Ph−Ph−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルケトン系重合体:(−O−Ph−O−Ph−C(=O)−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレンエーテル系重合体:(−Ph−O−、−Ph−S−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレン系重合体:(−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
フェノール樹脂系重合体:(−Ph(OH)−CH2−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリカーボネート系重合体:(−Ph−O−C(=O)−O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリアミド系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)−NH−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエステル系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体及びポリエーテルケトン系重合体としては、例えば、特開2006−310068号公報の段落0022及び特開2008−27890号公報の段落0028に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。ポリイミド系重合体としては、特開2002−367627号公報の段落0047〜0058の記載及び特開2004−35891号公報の段落0018〜0019に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
芳香族基含有重合体の好ましい一例は、下記式(B10−1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。

(式(B10−1)中、Ar1は芳香族炭化水素基および/または芳香族ヘテロ環基を表し、L10は単結合または2価の連結基を表し、Y10は銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表す。)
式(B10−1)中、Ar1が芳香族炭化水素基を表す場合、上述した芳香族炭化水素基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Ar1が芳香族ヘテロ環基を表す場合、上述した芳香族ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Ar1は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、重合性基(好ましくは、炭素−炭素二重結合を含む重合性基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アラルキル基などが例示され、アルキル基(特に炭素数1〜3のアルキル基)が好ましい。
式(B10−1)のL10は、単結合であることが好ましい。L10が2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、式(B1−1)のL1で説明した連結基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
式(B10−1)のY10は、式(B1−1)のY1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリマー(B1)の重量平均分子量は、2000以上が好ましく、2000〜200万がより好ましく、6000〜200,000がさらに好ましい。ポリマー(B1)の重量平均分子量をこのような範囲とすることにより、得られる膜の耐熱性がより向上する傾向にある。
(ポリマ(B2))
ポリマー(B2)は、銅錯体が有する官能基と反応性を有する反応性部位を有するものであればいずれも好ましく用いることができる。反応性部位は、ポリマーの側鎖に有することが好ましい。ポリマー(B2)が有する反応性部位と、銅錯体が有する上記官能基との好ましい組み合わせ、および反応によって形成される結合は、以下の(1)〜(12)が挙げられ、(1)〜(6)が好ましい。以下において、左辺に、ポリマーが有する反応性部位と、銅錯体が有する上記官能基とを示し、右辺に、両者を反応させて得られる結合を示す。Rは、水素原子またはアルキル基を表すか、ポリマー主鎖に結合してもよい。Xはハロゲン原子を表す。
上記(7)〜(9)において、Rが、ポリマー主鎖に結合している場合とは、以下の構造が挙げられる。
ポリマー(B2)は、下式(B2−1)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。

式中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L200は、単結合または連結基を表し、Z200は、反応性部位を表す。
1は、水素原子または炭化水素基を表す。炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状の脂肪族炭化水素基や、芳香族炭化水素基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換が好ましい。炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。炭化水素基はメチル基が好ましい。R1は水素原子またはメチル基が好ましい。
200は、単結合または連結基を表す。連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−SO2−および−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)から選ばれる少なくとも1種以上とを組み合わせてなる連結基が挙げられる。
200は、反応性部位を表す。反応性部位は、銅錯体が有する官能基と反応性を有するものであればよい。例えば、−NCO、−NCS、−C(=O)OC(=O)−R、ハロゲン原子などが挙げられる。Rは、水素原子またはアルキル基を表すか、ポリマー主鎖に結合してもよい。
式(B2−1)で表される繰り返し単位としては、例えば、以下の(B2−1−1)〜(B2−1−3)で表される繰り返し単位が挙げられる。以下の(B2−1−1)が好ましい。
式中、R1は水素原子または炭化水素基を表し、L201は、単結合または連結基を表し、Z200は、反応性部位を表す。
式中のR1およびZ200、式(B2−1)のR1およびZ200と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式中のL201は、単結合または連結基を表す。連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−SO2−および−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)から選ばれる少なくとも1種以上とを組み合わせてなる連結基が挙げられる。アルキレン基が好ましい。
ポリマー(B2)は、他の繰り返し単位を含有していてもよい。他の繰り返し単位としては、上述したポリマー(B1)で説明した他の繰り返し単位などが挙げられる。
ポリマー(B2)の重量平均分子量は、2000以上が好ましく、2000〜200万がより好ましく、6000〜200,000がさらに好ましい。重合体(B2)の重量平均分子量をこのような範囲とすることにより、得られる膜の耐熱性がより向上する傾向にある。
<<他の赤外線吸収剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、銅化合物以外の赤外線吸収剤(以下、他の赤外線吸収剤ともいう)を含有することができる。なお、本発明において、赤外線吸収剤は、赤外領域の波長領域(好ましくは、波長700〜1200mnの範囲)に吸収を有し、可視領域(好ましくは、波長400〜650mnの範囲)の波長の光を透過する化合物を意味する。赤外線吸収剤は、極大吸収波長を700〜1200nmの範囲に有する化合物が好ましく、700〜1000nmの範囲に有する化合物がより好ましい。
赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ジインモニウム化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、クオタリレン系化合物、クロコニウム系化合物等が挙げられる。なかでも、赤外線遮蔽性と可視透明性の両立に優れた膜を形成しやすいという理由から、シアニン化合物、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびジインモニウム化合物が好ましい。
ピロロピロール化合物としては、例えば、特開2009−263614号公報の段落番号0016〜0058に記載のピロロピロール化合物などが挙げられる。シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジインモニウム化合物、スクアリリウム系化合物及びクロコニウム系化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に記載の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。また、シアニン系化合物は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。また、フタロシアニン系化合物は、特開2013−195480号公報の段落0013〜0029の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の近赤外線吸収組成物が、他の赤外線吸収剤を含有する場合、他の赤外線吸収剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対し、0.1〜40質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。
<<無機微粒子>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、無機微粒子を含んでいてもよい。無機微粒子は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
無機微粒子は、主に、赤外線を遮光(吸収)する役割を果たす粒子である。無機微粒子は、赤外線遮蔽性がより優れる点で、金属酸化物微粒子または金属微粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)粒子、酸化アンチモンスズ(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、Alドープ酸化亜鉛(AlドープZnO)粒子、フッ素ドープ二酸化スズ(FドープSnO2)粒子、ニオブドープ二酸化チタン(NbドープTiO2)粒子などが挙げられる。
金属微粒子としては、例えば、銀(Ag)粒子、金(Au)粒子、銅(Cu)粒子、ニッケル(Ni)粒子など挙げられる。なお、赤外線遮蔽性とフォトリソ性とを両立するためには、露光波長(365−405nm)の透過率が高い方が望ましく、酸化インジウムスズ(ITO)粒子または酸化アンチモンスズ(ATO)粒子が好ましい。
無機微粒子の形状は特に制限されず、球状、非球状を問わず、シート状、ワイヤー状、チューブ状であってもよい。
また、無機微粒子としては酸化タングステン系化合物が使用できる、具体的には、下記一般式(組成式)(I)で表される酸化タングステン系化合物であることがより好ましい。
xyz・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
Mが表す金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられ、アルカリ金属が好ましく、RbまたはCsがより好ましく、Csが特に好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、酸化タングステン系化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができ、Cs0.33WO3又はRb0.33WO3であることが好ましく、Cs0.33WO3であることが更に好ましい。
酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物として入手可能である。
無機微粒子の平均粒子径は、800nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましい。無機微粒子の平均粒子径がこのような範囲であることによって、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、無機微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
無機微粒子の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.01〜30質量%が好ましい。下限は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
<<溶剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤は、特に制限はなく、各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水、有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、およびジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類の具体例としては、特開2012−194534号公報段落0136等に記載のものが挙げられ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
エステル類、ケトン類、エーテル類の具体例としては、特開2012−208494号公報段落0497(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0609])に記載のものが挙げられる。さらに、酢酸−n−アミル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、硫酸メチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
溶剤としては、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸ブチル、乳酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルから選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
本発明において、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10ppb以下であることが好ましい。必要に応じてpptレベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している。
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルターを用いた濾過を挙げることができる。フィルターを用いたろ過におけるフィルター孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルターの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルターが好ましい。
溶剤は、異性体(同じ原子数で異なる構造の化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
溶剤の含有量は、本発明の近赤外線吸収組成物の全固形分が5〜60質量%となる量が好ましい。下限は、10質量%以上がより好ましい。上限は、40質量%以下がより好ましい。溶剤は1種類のみでも、2種類以上でもよく、2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<架橋性基を有する化合物(架橋性化合物)>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、上述した樹脂以外の成分として、架橋性基を有する化合物(以下、架橋性化合物ともいう)を含有してもよい。本発明の近赤外線吸収組成物が、架橋性化合物を含有することにより、耐熱性および耐溶剤性に優れた膜を製造することができる。架橋性化合物としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。架橋性化合物は、熱により架橋可能な化合物が好ましい。
架橋性化合物は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する基、環状エーテル基、メチロール基、アルコキシシリル基等を有する化合物が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられ、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基が好ましい。環状エーテル基としては、エポキシ基やオキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。アルコキシシリル基としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が挙げられ、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が好ましく、トリアルコキシシリル基がより好ましい。架橋性化合物は、環状エーテル基を有する化合物、またはアルコキシシリル基を有する化合物が好ましく、アルコキシシリル基を有する化合物がより好ましい。
架橋性化合物は、モノマー、ポリマーのいずれの形態であってもよいがモノマーが好ましい。
(エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物)
本発明において、架橋性化合物として、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物を用いることができる。エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物は、モノマーであることが好ましい。上記化合物の分子量は、100〜3000が好ましい。上限は、2000以下が好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上が好ましく、250以上が更に好ましい。上記化合物は、3〜15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3〜6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物の例としては、特開2013−253224号公報の段落0033〜0034の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物としては、エチレンオキシ変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、NKエステルATM−35E;新中村化学社製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては、KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては、KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製、A−DPH−12E;新中村化学工業社製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。またこれらのオリゴマータイプも使用できる。また、特開2013−253224号公報の段落0034〜0038の重合性化合物の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、特開2012−208494号公報段落0477(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0585])に記載の重合性モノマー等が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては M−460;東亜合成製)が好ましい。ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学製、A−TMMT)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD HDDA)も好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。例えば、RP−1040(日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物は、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。酸基を有する化合物としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルなどが挙げられる。脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に、非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた化合物が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトールおよび/またはジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM−305、M−510、M−520などが挙げられる。酸基を有する化合物の酸価は、0.1〜40mgKOH/gが好ましい。下限は5mgKOH/g以上が好ましい。上限は、30mgKOH/g以下が好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物は、カプロラクトン構造を有する化合物も好ましい態様である。カプロラクトン構造を有する化合物としては、分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸及びε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。カプロラクトン構造を有する化合物としては、特開2013−253224号公報の段落0042〜0045の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。カプロラクトン構造を有する化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されている、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120等、サートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。また、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた着色硬化性組成物を得ることができる。
市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200(新中村化学社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
本発明において、エチレン性不飽和結合を有する基を有する化合物は、エチレン性不飽和結合を有する基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。側鎖にエチレン性不飽和結合を有する基を有する繰り返し単位の含有量は、上記ポリマーを構成する全繰り返し単位の5〜100質量%であることが好ましい。下限は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましい。上限は、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が特に好ましい。
上記ポリマーは、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する基を有する繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位は、酸基等の官能基を含んでいてもよい。官能基を含んでいなくてもよい。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基が例示される。酸基は1種類のみ含まれていても良いし、2種類以上含まれていても良い。酸基を有する繰り返し単位の割合は、上記ポリマーを構成する全繰り返し単位の0〜50質量%であることが好ましい。下限は、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。上限は、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
上記ポリマーの具体例としては、例えば、(メタ)アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体などが挙げられる。上記ポリマーの市販品としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer.Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ(例えば、ACA230AA)、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)、アクリキュア−RD−F8(日本触媒社製)などが挙げられる。
(環状エーテル基を有する化合物)
本発明では、架橋性化合物として、環状エーテル基を有する化合物を用いることもできる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられ、エポキシ基が好ましい。
環状エーテル基を有する化合物は、側鎖に環状エーテル基を有するポリマー、分子内に2個以上の環状エーテル基を有するモノマーまたはオリゴマーなどが挙げられる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。また単官能または多官能グリシジルエーテル化合物も挙げられ、多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が好ましい。
環状エーテル基を有する化合物の重量平均分子量は、500〜5000000が好ましく、1000〜500000がより好ましい。これらの化合物は、市販品を用いてもよいし、ポリマーの側鎖へエポキシ基を導入することによっても得られるものを用いてもよい。
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、特開2012−155288号公報段落0191等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、デナコール EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等の多官能脂肪族グリシジルエーテル化合物が挙げられる。これらは、低塩素品であるが、低塩素品ではない、EX−212、EX−214、EX−216、EX−321、EX−850なども同様に使用できる。
その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER1031S、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、サイクロマーP ACA 200M、同ACA 230AA、同ACA Z250、同ACA Z251、同ACA Z300、同ACA Z320(以上、ダイセル化学工業(株)製)等も挙げられる。
さらに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品として、JER−157S65、JER−152、JER−154、JER−157S70(以上、三菱化学(株)製)等が挙げられる。
また、側鎖にオキセタニル基を有するポリマー、分子内に2個以上のオキセタニル基を有する重合性モノマーまたはオリゴマーの具体例としては、アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基としてグリシジル基を有するものも使用可能であるが、好ましいものは脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物である。このようなものとしては例えば特開2009−265518号公報段落0045等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基またはオキセタニル基を繰り返し単位として有する重合体を含んでいてもよい。
(アルコキシシリル基を有する化合物)
本発明では、架橋性化合物として、アルコキシシリル基を有する化合物を用いることもできる。アルコキシシリル基におけるアルコキシ基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1または2が特に好ましい。アルコキシシリル基は、一分子中に2個以上有することが好ましく、2〜3個有することがさらに好ましい。アルコキシシリル基を有する化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。また、下記化合物を用いることもできる。

市販品としては、信越シリコーン社製の KBM−13、KBM−22、KBM−103、KBE−13、KBE−22、KBE−103、KBM−3033、KBE−3033、KBM−3063、KBM−3066、KBM−3086、KBE−3063、KBE−3083、KBM−3103、KBM−3066、KBM−7103、SZ−31、KPN−3504、KBM−1003、KBE−1003、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−602、KBM−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−9659、KBE−585、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007、X−40−1053、X−41−1059A、X−41−1056、X−41−1805、X−41−1818、X−41−1810、X−40−2651、X−40−2655A、KR−513,KC−89S,KR−500、X−40−9225、X−40−9246、X−40−9250、KR−401N、X−40−9227、X−40−9247、KR−510、KR−9218、KR−213、X−40−2308、X−40−9238などが挙げられる。
また、アルコキシシリル基を有する化合物は、アルコキシシリル基やクロロシリル基を側鎖に有するポリマーを用いることもできる。
本発明の近赤外線吸収組成物が架橋性化合物を含有する場合、架橋性化合物の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、1〜90質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましい。上限は、80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましい。架橋性化合物は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物は、架橋性化合物を実質的に含有しないこともできる。「架橋性化合物を実質的に含有しない」とは、例えば、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことが一層好ましい。
<<触媒>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、触媒を含んでもよい。触媒を含有することで、耐溶剤性や耐熱性に優れた膜が得られ易い。また、例えば、アルコキシシリル基を有する繰り返し単位を含む樹脂を用いた場合や、架橋性化合物として、アルコキシシリル基を有する化合物を用いた場合、近赤外線吸収組成物が触媒を含有することで、アルコキシシリル基の架橋を促進して、耐溶剤性や耐熱性がより優れた膜が得られ易い。
触媒としては、有機金属系触媒、酸系触媒、アミン系触媒などが挙げられ、有機金属系触媒が好ましい。有機金属系触媒は、Na、K、Ca、Mg、Ti、Zr、Al、Zn、Sn、及びBiからなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、炭酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、アルコキシド、水酸化物、及び置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。なかでも、上記金属の、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、及び置換基を有していてもよいアセチルアセトナート錯体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アセチルアセトナート錯体が更に好ましい。特に、Alのアセチルアセトナート錯体が好ましい。有機金属系触媒の具体例としては、例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウムなどが挙げられる。
本発明の近赤外線吸収組成物が、触媒を含有する場合、触媒の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して0.01〜5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下が更に好ましい。下限は、0.05質量%以上が好ましい。
<<他の樹脂>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、上記樹脂A、上記銅化合物、および、上記架橋性化合物以外の樹脂(以下、他の樹脂ともいう)を含んでもよい。他の樹脂としては、酸基を有する樹脂などが挙げられる。酸基を有する樹脂としては、特開2012−208494号公報段落0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の近赤外線吸収組成物が、他の樹脂を含有する場合、他の樹脂の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、1〜80質量%が好ましい。下限は5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましい。上限は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の近赤外線吸収組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。界面活性剤の含有量は、近赤外線吸収組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%が好ましい。下限は、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。上限は、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。近赤外線吸収組成物は、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。被塗布面と塗布液との界面張力が低下して、被塗布面への濡れ性が改善される。このため、組成物の液特性(特に、流動性)が向上し、塗布厚の均一性や省液性がより改善する。その結果、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成を行える。
フッ素系界面活性剤のフッ素含有率は、3〜40質量%が好ましい。下限は、5質量%以上が好ましく、7質量%以上が更に好ましい。上限は、30質量以下%が好ましく、25質量%以下が更に好ましい。フッ素含有率が上述した範囲内である場合は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤として具体的には、特開2014−41318号公報の段落0060〜0064(対応する国際公開WO2014/17669号パンフレットの段落0060〜0064)等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック F−171、同F−172、同F−173、同F−176、同F−177、同F−141、同F−142、同F−143、同F−144、同R30、同F−437、同F−475、同F−479、同F−482、同F−554、同F−780(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、特開2015−117327号公報の段落0015〜0158に記載の化合物を用いることもできる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができ、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。

上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜50,000であり、例えば、14,000である。
また、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体をフッ素系界面活性剤として用いることもできる。具体例としては、特開2010−164965号公報0050〜0090段落および0289〜0295段落に記載された化合物、例えばDIC社製のメガファックRS−101、RS−102、RS−718K、RS−72K等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0679])等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0680])に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報段落0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0682])等に記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<<その他の成分>>
本発明の近赤外線吸収組成物で併用可能なその他の成分としては、例えば、分散剤、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、重合開始剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線カットフィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]以降)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0104、0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。分子量500以上のフェノール化合物、分子量500以上の亜リン酸エステル化合物又は分子量500以上のチオエーテル化合物がより好ましい。これらは2種以上を混合して使用してもよい。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。特に、フェノール性水酸基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1〜22の置換又は無置換のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基がより好ましい。また、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物(酸化防止剤)も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、および亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらは、市販品として容易に入手可能であり、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−50F、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−60G、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−330((株)ADEKA)などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<近赤外線吸収組成物の好ましい態様>
本発明の近赤外線吸収組成物の好ましい態様として、例えば以下に示す態様が挙げられる。
(1)銅化合物が、銅化合物は、水素原子が結合した炭素原子を有する化合物を配位子として有する銅錯体であり、樹脂Aが、上述した式(A)で表される繰り返し単位(好ましくは、式(A1−1)で表される繰り返し単位、さらに好ましくは、式(A1−2)〜(A1−4)から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位)を有する樹脂であり、ラジカルトラップ剤が、オキシム化合物(好ましくは、オキシムエステル化合物)である態様。
(2)上記(1)の態様において、樹脂Aが、架橋性基(好ましくは、アルコキシシリル基)を有する繰り返し単位を有する態様。
(3)上記(1)の態様において、樹脂Aが、上述した式(A)で表される繰り返し単位と、架橋性基(好ましくは、アルコキシシリル基)を有する繰り返し単位を有する態様。
(4)上記(1)の態様において、樹脂A以外の成分として、更に、架橋性基(好ましくは、アルコキシシリル基)を有する化合物(架橋性化合物)を含む態様。
(5)上記(1)〜(4)の態様において、ラジカルトラップ剤が上述した(I)で表される化合物である態様。
(6)上記(1)〜(5)の態様において、銅化合物が、銅化合物が、少なくとも2つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体である態様。
<近赤外線吸収組成物の調製、用途>
本発明の近赤外線吸収組成物は、上記各成分を混合して調製できる。
組成物の調製に際しては、組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解および/または分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。
本発明においては、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン−6、ナイロン−6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜3.0μm程度、さらに好ましくは0.05〜0.5μm程度である。この範囲とすることにより、微細な異物を確実に除去することが可能となる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましく、ろ材としては例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられ、具体的にはロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジを用いることができる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μmが好ましく、0.2〜7.0μmがより好ましく、0.3〜6.0μmが更に好ましい。この範囲とすることにより、組成物に含有されている成分粒子を残存させたまま、異物を除去することができる。
本発明の近赤外線吸収組成物は、液状とすることができるため、例えば、本発明の近赤外線吸収組成物を基材などに適用し、乾燥させることにより近赤外線カットフィルタを容易に製造できる。
本発明の近赤外線吸収組成物の粘度は、塗布により近赤外線カットフィルタを形成する場合は、1〜3000mPa・sであることが好ましい。下限は、10mPa・s以上が好ましく、100mPa・s以上が更に好ましい。上限は、2000mPa・s以下が好ましく、1500mPa・s以下が更に好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物の全固形分は、塗布方法により変更されるが、例えば、1〜50質量%であることが好ましい。下限は10質量%以上がより好ましい。上限は30質量%以下がより好ましい。
本発明の近赤外線吸収組成物の用途は、特に限定されないが、近赤外線カットフィルタ等の形成に好ましく用いることができる。例えば、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタ(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線カットフィルタ用など)、固体撮像素子の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線カットフィルタなどに好ましく用いることができる。特に、固体撮像素子の受光側における近赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。
また、本発明の近赤外線吸収組成物によれば、耐熱性が高く、可視領域では高い透過率を維持しつつ、高い赤外線遮蔽性を実現できる近赤外線カットフィルタが得られる。さらには、近赤外線カットフィルタの膜厚を薄くでき、カメラモジュールや画像表示装置の低背化に寄与できる。
<膜、近赤外線カットフィルタ>
次に、本発明の膜について説明する。本発明の膜は、上述した本発明の近赤外線吸収組成物を用いてなるものである。本発明の膜は、近赤外線カットフィルタとして好ましく用いることができる。
また、本発明の近赤外線カットフィルタは、上述した本発明の近赤外線吸収組成物を用いてなるものである。
近赤外線カットフィルタは、光透過率が以下の(1)〜(9)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、以下の(1)〜(9)のすべての条件を満たすことがより好ましく、(1)〜(9)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。
(1)波長400nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(2)波長450nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長500nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長550nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(5)波長700nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(6)波長750nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(7)波長800nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(8)波長850nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(9)波長900nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
本発明の膜及び近赤外線カットフィルタは、波長400〜550nmの全ての範囲での光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましい。可視領域での透過率は高いほど好ましく、波長400〜550nmで高透過率となることが好ましい。また、波長700〜800nmの範囲の少なくとも1点での光透過率が20%以下であることが好ましく、波長700〜800nmの全ての範囲での光透過率が20%以下であることがさらに好ましい。
近赤外線カットフィルタの膜厚は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましく、200μm以下が特に好ましい。膜厚の下限は、例えば、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
本発明の膜及び近赤外線カットフィルタは、200℃で5分間加熱した前後における、下式で表される波長400nmにおける吸光度の変化率が6%以下であることが好ましく、3%以下であることが特に好ましい。また、200℃で5分間加熱した前後における、下式で表される波長800nmにおける吸光度の変化率が6%以下であることが好ましく、3%以下であることが特に好ましい。吸光度の変化率が上記範囲であれば、耐熱性に優れ、加熱による着色が抑制された近赤外線カットフィルタとすることができる。
波長400nmにおける吸光度の変化率(%)=|(試験前における波長400nmの吸光度−試験後における波長400nmの吸光度)/試験前における波長400nmの吸光度|×100(%)
波長800nmにおける吸光度の変化率(%)=|(試験前における波長800nmの吸光度−試験後における波長800nmの吸光度)/試験前における波長800nmの吸光度|×100(%)
近赤外線カットフィルタは、本発明の膜の他に、更に、紫外・赤外光反射膜や、紫外線吸収層を有していてもよい。紫外・赤外光反射膜を有することで、入射角依存性を改良する効果が得られる。紫外・赤外光反射膜としては、例えば、特開2013−68688号公報の段落0033〜0039、WO2015/099060号の段落0110〜0114に記載の反射層を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。紫外線吸収層を有することで、紫外線遮蔽性に優れた近赤外線カットフィルタとすることができる。紫外線吸収層としては、例えば、WO2015/099060号の段落0040〜0070、0119〜0145に記載の吸収層を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれることとする。
本発明の膜及び近赤外線カットフィルタは、近赤外線を吸収・カットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルタ、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用や写真用近赤外線フィルタ、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルタとしても有用である。
<近赤外線カットフィルタの製造方法>
本発明の近赤外線カットフィルタは、本発明の近赤外線吸収組成物を用いて製造できる。具体的には、本発明の近赤外線吸収組成物を支持体などに適用して近赤外線吸収組成物層を形成する工程、近赤外線吸収組成物層を乾燥する工程を経て製造できる。膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。また、更にパターンを形成する工程を行ってもよい。
近赤外線吸収組成物層を形成する工程において、近赤外線吸収組成物の適用方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009−145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットによる適用方法としては、近赤外線吸収組成物を吐出可能であれば特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット−特許に見る無限の可能性−、2005年2月発行、住べテクノリサーチ」に示された特許公報に記載の方法(特に115ページ〜133ページ)や、特開2003−262716、特開2003−185831、特開2003−261827、特開2012−126830、特開2006−169325などにおいて、吐出する組成物を本発明の近赤外線吸収組成物に置き換える方法が挙げられる。滴下法(ドロップキャスト)の場合、所定の膜厚で、均一な膜が得られるように、支持体上にフォトレジストを隔壁とする近赤外線吸収組成物の滴下領域を形成することが好ましい。近赤外線吸収組成物の滴下量および固形分濃度、滴下領域の面積を調整することで、所望の膜厚が得られる。乾燥後の膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
支持体は、ガラスなどの透明基板であってもよい。また、固体撮像素子であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板であってもよい。また、固体撮像素子の受光側に設けられた平坦化層等の層であっても良い。
近赤外線吸収組成物層を乾燥する工程において、乾燥条件としては、各成分、溶剤の種類、使用割合等によっても異なる。例えば、60〜150℃の温度で、30秒間〜15分間が好ましい。
パターンを形成工程としては、例えば、本発明の近赤外線吸収組成物を支持体上に適用して膜状の組成物層(近赤外線吸収組成物層)を形成する工程と、組成物層をパターン状に露光する工程と、未露光部を現像除去してパターンを形成する工程とを含む方法などが挙げられる。パターンを形成する工程としては、フォトリソグラフィ法でパターン形成してもよいし、ドライエッチング法でパターンを形成してもよい。
近赤外線カットフィルタの製造方法において、その他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
<<前加熱工程・後加熱工程>>
前加熱工程および後加熱工程における加熱温度は、80〜200℃が好ましい。上限は150℃以下が好ましい。下限は90℃以上が好ましい。また、前加熱工程および後加熱工程における加熱時間は、30〜240秒が好ましい。上限は180秒以下が好ましい。下限は60秒以上が好ましい。
<<硬化処理工程>>
硬化処理工程を行うことにより、近赤外線カットフィルタの機械的強度が向上する。硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、露光処理、加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。露光量は5〜3000mJ/cm2が好ましい。上限は、2000mJ/cm2以下が好ましく、1000mJ/cm2以下がより好ましい。下限は、10mJ/cm2以上が好ましく、50mJ/cm2以上がより好ましい。露光処理の方法としては、例えば、形成された膜の全面を露光する方法が挙げられる。全面露光により架橋性分の架橋反応が促進され、膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。露光装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などの紫外線露光機が好適に挙げられる。
加熱処理の方法としては、形成された上記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。加熱処理により、パターンの膜強度が高められる。加熱温度は、100〜260℃が好ましい。下限は120℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。上限は240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。加熱温度が上記範囲であれば、強度に優れた膜が得られやすい。加熱時間は、1〜180分が好ましい。下限は3分以上が好ましい。上限は120分以下が好ましい。加熱装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
<固体撮像素子、カメラモジュール>
本発明の固体撮像素子は、本発明の膜又は近赤外線カットフィルタを含む。また、本発明のカメラモジュールは、本発明の膜又は近赤外線カットフィルタを含む。
図1は、本発明の実施形態に係る近赤外線カットフィルタを有するカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
図1に示すカメラモジュール10は、固体撮像素子11と、固体撮像素子11の主面側(受光側)に設けられた平坦化層12と、近赤外線カットフィルタ13と、近赤外線カットフィルタ13の上方に配置され内部空間に撮像レンズ14を有するレンズホルダー15と、を備える。カメラモジュール10は、外部からの入射光hνが、撮像レンズ14、近赤外線カットフィルタ13、平坦化層12を順次透過した後、固体撮像素子11の撮像素子部に到達するようになっている。
固体撮像素子11は、例えば、基板16の主面(図1において上側)に、フォトダイオード(図示せず)、層間絶縁膜(図示せず)、ベース層(図示せず)、カラーフィルタ17、オーバーコート(図示せず)、マイクロレンズ18をこの順に備えている。カラーフィルタ17(赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、青色のカラーフィルタ)やマイクロレンズ18は、固体撮像素子11に対応するように、それぞれ配置されている。なお、平坦化層12の表面に近赤外線カットフィルタ13が設けられる代わりに、マイクロレンズ18の表面、ベース層とカラーフィルタ17との間、または、カラーフィルタ17とオーバーコートとの間に、近赤外線カットフィルタ13が設けられる形態であってもよい。例えば、近赤外線カットフィルタ13は、マイクロレンズ18表面から2mm以内(より好ましくは1mm以内)の位置に設けられていてもよい。この位置に設けると、近赤外線カットフィルタ13を形成する工程が簡略化でき、マイクロレンズ18への不要な近赤外線を十分にカットすることができるので、赤外線遮蔽性をより高めることができる。
本発明の膜及び近赤外線カットフィルタは、耐熱性に優れるため、半田リフロー工程に供することができる。半田リフロー工程によりカメラモジュールを製造することによって、半田付けを行うことが必要な電子部品実装基板等の自動実装化が可能となり、半田リフロー工程を用いない場合と比較して、生産性を格段に向上することができる。更に、自動で行うことができるため、低コスト化を図ることもできる。半田リフロー工程に供される場合、250〜270℃程度の温度にさらされることとなるため、近赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に耐え得る耐熱性(以下、「耐半田リフロー性」ともいう。)を有することが好ましい。本明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、180℃で1分間の加熱を行う前後で近赤外線カットフィルタとしての特性を保持することをいう。より好ましくは、230℃で10分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。更に好ましくは、250℃で3分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、近赤外線カットフィルタの赤外線遮蔽性が低下したり、膜としての機能が不十分となる場合がある。
カメラモジュールは、更に、紫外線吸収層を有することもできる。この態様によれば、紫外線遮蔽性を高めることができる。紫外線吸収層は、例えば、WO2015/099060号の段落0040〜0070、0119〜0145の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれることする。また、後述する紫外・赤外光反射膜を更に有することもできる。紫外線吸収層と紫外・赤外光反射膜は、両者を併用してもよく、いずれか一方のみであってもよい。
図2〜4は、カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、平坦化層12と、紫外・赤外光反射膜19と、透明基材20と、近赤外線吸収層(近赤外線カットフィルタ)21と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。紫外・赤外光反射膜19は、近赤外線カットフィルタの機能を付与または高める効果を有し、例えば、特開2013−68688号公報の段落0033〜0039、WO2015/099060号の段落0110〜0114を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。透明基材20は、可視領域の波長の光を透過するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0026〜0032を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。近赤外線吸収層21は、上述した本発明の近赤外線吸収組成物を塗布することにより形成することができる。反射防止層22は、近赤外線カットフィルタに入射する光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率よく入射光を利用する機能を有するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0040を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
図3に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線吸収層(近赤外線カットフィルタ)21と、反射防止層22と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、紫外・赤外光反射膜19とをこの順に有していてもよい。
図4に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子11と、近赤外線吸収層(近赤外線カットフィルタ)21と、紫外・赤外光反射膜19と、平坦化層12と、反射防止層22と、透明基材20と、反射防止層22とをこの順に有していてもよい。
<画像表示装置>
画像表示装置は、本発明の膜又は近赤外線カットフィルタを有する。本発明の膜及び近赤外線カットフィルタは、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置などの画像表示装置に用いることもできる。例えば、各着色画素(例えば赤色、緑色、青色)とともに用いることにより、表示装置のバックライト(例えば白色発光ダイオード(白色LED))に含まれる赤外光を遮断し、周辺機器の誤作動を防止する目的や、各着色表示画素に加えて赤外の画素を形成する目的で用いることが可能である。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
画像表示装置は、白色有機EL素子を有するものであってもよい。白色有機EL素子としては、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、特開2003−45676号公報、三上明義監修、「有機EL技術開発の最前線−高輝度・高精度・長寿命化・ノウハウ集−」、技術情報協会、326−328ページ、2008年などに記載されている。有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)及び黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、以下の方法で測定した。
カラムの種類:TSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mm(内径)×15.0cm)
展開溶媒:10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液カラム温度:40℃流量(サンプル注入量):10μL装置名:HLC−8220(東ソー(株)製)
検量線ベース樹脂:ポリスチレン
<樹脂のラジカル発生温度の測定>
樹脂のラジカル発生温度は、電子スピン共鳴法(ESR)の方法で測定した。
ESR測定には、BrukerBiospin社製EMXを用い、X−band (9.4 GHz) のマイクロ波で測定した。加熱測定には同社製温度可変ユニットER4131VTを用いた。
<近赤外線吸収組成物の調製>
下記に示す材料を下記表に示す配合量で混合して、近赤外線吸収組成物を調製した。なお、表中に示す各成分の割合は、固形分中の割合(質量%)である。
(銅化合物)
Cu1:下記構造

メタノール中で下記化合物(A2−14)と塩化銅(II)二水和物(和光純薬製)とを1:1のモル比で混合し、10分間撹拌した。この反応液を減圧乾固させて固形物を得た。得られた固形物を水に溶解させ、撹拌しながら、この溶解液に過剰量のテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム(東京化成製)水溶液を加えた。析出した固体を濾過により回収し、銅錯体Cu1を得た。

Cu2:下記構造

フラスコに、下記化合物A3−23を38mg、メタノールを1mL加え、室温で撹拌しながら、この溶液に塩化銅(II)二水和物(和光純薬製)34mgを導入し、10分間撹拌した。得られた青色溶液を減圧乾固することにより、銅錯体Cu2を緑色固体として得た。「rt」は、室温を示す。

Cu3:下記構造

フラスコに、酢酸銅(II)一水和物(和光純薬製)(Cu(OAc)2・H20)1.99gと、下記化合物A3−59(和光純薬製)1.67gと、メタノール(MeOH)20mLとを導入し、10分間加熱還流した。ここに下記化合物A2−15(東京化成製)1.84gを加え、更に10分間加熱還流した。溶媒を5mL程度まで減圧濃縮した後、水を20mL加えた。これによって析出した固体を濾過により回収し、銅錯体Cu3を青色固体として得た。

Cu4:下記化合物を配位子として有する銅錯体。

Cu5:下記化合物を配位子として有する銅錯体。

Cu6:下記構造

リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの代わりにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(三菱マテリアル電子化成製)を用い、銅錯体Cu1と同様の方法で銅錯体Cu6を合成した。なお、反応後に水を滴下しただけでは固体が十分析出しなかったため、70℃で減圧濃縮した後、0℃に冷却することで、銅錯体Cu6の結晶を得た。

Cu7:下記構造

リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの代わりにカリウム1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド(三菱マテリアル電子化成製)を用い、銅錯体Cu1と同様の方法で銅錯体Cu7を合成した。なお、反応後に水を滴下しただけでは固体が十分析出しなかったため、70℃で減圧濃縮した後、0℃に冷却することで、銅錯体Cu7の結晶を得た。

Cu8:下記構造

リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの代わりにカリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(セントラル硝子製)を用い、銅錯体Cu1と同様の方法で銅錯体Cu8を合成した。

Cu9:下記構造

200mL三ツ口フラスコに、塩基性炭酸銅(銅含率56.2%、関東化学製)0.60g、水15mLを導入し、室温で撹拌しながらトリフルオロ酢酸1.24gを滴下し、メタノール5mLを導入し、60℃で30分間撹拌した。ここにトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(Me6tren)(東京化成製)1.34gを滴下し、メタノール5mLを導入し、0℃で30分間撹拌した後、さらにメタノール50mLを導入した。リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(水分8.0重量%含有、東ソーファインケム製)3.56gをメタノール10mLに溶解させ、この溶液を反応液に滴下し、60℃で30分間撹拌した。水35mLを滴下し、析出した固体を濾過により回収することで、銅錯体Cu9を青色固体として得た。
(樹脂)
P1:DMSMA:DMAAm=43:57(mol%)(Mw=7,000、ラジカル検出温度=180℃)
P2:ポリDMAAm(Mw=8,000、ラジカル検出温度=190℃)
P3:ポリDEAAm(Mw=7,000、ラジカル検出温度=190℃)
P4:VDMS:DMAAm=43:57(mol%)(Mw=5,000、ラジカル検出温度=180℃)
P5:DMSMA:PhMI=43:57(mol%)(Mw=12,000、ラジカル検出温度=180℃)
P6:DMSMA:cHMI=43:57(mol%)(Mw=10,000、ラジカル検出温度=180℃)
P7:DMSMA:MMI=43:57(mol%)(Mw=7,000、ラジカル検出温度=180℃)
P8:DMSMA:AN=43:57(mol%)(Mw=14,000、ラジカル検出温度=180℃)
P9:DMSMA:NVP=43:57(mol%)(Mw=7,000、ラジカル検出温度=180℃)
P10:DMSMA:NVAAm=43:57(mol%)(Mw=6,000、ラジカル検出温度=180℃)
P11:DMSMA:β−BLMA=43:57(mol%)(Mw=8,000、ラジカル検出温度=180℃)
P12:DMSMA:PCMA=43:57(mol%)(Mw=10,000、ラジカル検出温度=180℃)
P13:下記構造(n:m=43:57(モル比)、Mw=8,000、ラジカル検出温度=180℃)

DMSMA:メタクリル酸3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル
VDMS:ジメトキシメチルビニルシラン
DMAAm:N,N−ジメチルアクリルアミド
DEAAm:N,N−ジエチルアクリルアミド
PhMI:N−フェニルマレイミド
cHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
MMI:N−メチルマレイミド
AN:アクリロニトリル
NVP:N−ビニルピロリドン
NVAAm:N−ビニルアセトアミド
β−BLMA:メタクリル酸β−ラクトン
PCMA:メタクリル酸プロピレンカーボネート
(ラジカルトラップ剤)
R1〜R11:下記構造
(ラジカルトラップ剤R8の合成方法)
300mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物R8−a(東京化成製)5.07gと、トリエチルアミン3.21gと、テトラヒドロフラン(脱水)100mLとを導入し、0℃で攪拌しながら、シクロヘキサンカルボニルクロリド(東京化成製)4.27gを滴下し、室温に昇温して1時間攪拌した。ここに水を150mL加えることで固体を析出させ、析出した固体を濾過により回収し、R8−bを白色固体として7.8g得た。

200mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物R8−bを3.01gと、テトラヒドロフランとを60mL導入し、0℃で攪拌しながら、濃塩酸(37wt%)を1.66mL滴下し、0℃で30分間攪拌した。ここに亜硝酸ヘキシル(東京化成製)1.44gと、テトラヒドロフラン4mLとを導入し、室温で8時間攪拌した。この反応液に水を加え、酢酸エチルで3回分液抽出することにより有機相を得た。得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥した後に減圧濃縮し、茶色オイルを得た。得られた茶色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン混合液)により精製して、化合物R8−cを1.07g得た。

100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物R8−cを0.33gと、トリエチルアミンを0.20gと、テトラヒドロフラン(脱水)を10mLとを導入し、0℃で攪拌しながら、塩化ベンジルを0.16g滴下し、室温に昇温し、4時間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を導入し、酢酸エチルで3回分液抽出して有機相を得た。得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥した後、減圧濃縮し、茶色オイルを得た。得られた茶色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン混合液)により精製して、化合物R8を得た。
(ラジカルトラップ剤R9の合成方法)

300mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、4’−ヒドロキシプロピオフェノン(東京化成製)7.5gと、テトラヒドロフラン(脱水)150mLと、トリエチルアミン8.0gとを導入し、0℃で撹拌しながらアジポイルクロリド(東京化成製)6.07gを滴下し、室温で4時間撹拌した。水100mLを加えることで固体を析出させ、析出した固体を濾過により回収し、R9−aを白色固体として9.16g得た。
200mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、R9−aを4.1gと、テトラヒドロフラン40mLとを導入した。0℃で撹拌しながら濃塩酸3.33mLを滴下し、0℃で30分間撹拌した。ここに亜硝酸ヘキシル2.88gを滴下し、室温で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで3回分液抽出して有機相を得た。得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥し、減圧濃縮することで黄色オイルを得た。得られた黄色オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン混合液)により精製して、化合物R9−bを0.6g得た。
100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、R9−bを0.13gと、テトラヒドロフラン(THF)(脱水)20mLと、トリエチルアミン(MEt3)0.27gとを導入した。0℃で撹拌しながら2−エチルヘキサノイルクロリド(東京化成製)0.20gを滴下し、室温で5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで3回分液抽出して有機相を得た。得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥し、減圧濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン混合液)により精製して、化合物R9を0.12g得た。
(ラジカルトラップ剤R10の合成方法)

300mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、4’−ヒドロキシプロピオフェノン7.5gと、N,N−ジメチルホルムアミド100mLと、炭酸カリウム14.0gと、ヨウ化カリウム10.0gとを導入し、撹拌した。ここに、1,6−ジクロロヘキサン(東京化成製)3.78gを加え、80℃で7時間撹拌した。500mL三ツ口フラスコに、水100mLを導入し、撹拌しながら前述の反応液を滴下した。析出した固体を濾過により回収することで、R10−aを白色固体として得た。
200mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、R10−aを3.8gと、テトラヒドロフラン40mLとを導入した。0℃で撹拌しながら濃塩酸3.33mLを滴下し、0℃で30分間撹拌した。ここに亜硝酸ヘキシル2.88gを滴下し、室温で7時間撹拌した。反応液に水100mLを加え、析出した固体を濾過により回収した。この粗生成物を、テトラヒドロフランで再結晶することにより精製し、化合物R10−bを1.1g得た。
100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、R10−bを0.66gと、テトラヒドロフラン(脱水)50mLと、トリエチルアミン0.67gとを導入した。0℃で撹拌しながら2−エチルヘキサノイルクロリド0.65gを滴下し、室温で5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで3回分液抽出して有機相を得た。得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥し、減圧濃縮して粗生成物。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン混合液)により精製して、化合物R10を0.66g得た。
(ラジカルトラップ剤R11の合成方法)

100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物R11−a(東京化成製)5.00gと、クロロベンゼン14.40gとを加え、撹拌した。氷冷して10℃以下に保ち、塩化アルミニウム8.05gを加え、塩化プロピオニル(和光純薬工業製)5.58gを加え、室温で5時間撹拌した。反応液に10%希塩酸27.4gを加え、酢酸エチルで3回分液抽出して有機相を得た。得られた有機相を、無水硫酸マグネシウムで予備乾燥した後に、減圧濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)により精製することで、化合物R11−bを得た。
100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物R11−bを4.50gと、テトラヒドロフランを16.01gと加え、0℃にて撹拌した。濃塩酸(37wt%)を6.37g滴下し、0℃で30分間攪拌した。ここに亜硝酸ヘキシル4.41g、テトラヒドロフラン1.6gを導入し、室温で2時間半攪拌した。この反応液に水を加え、析出した固体を濾過により回収し、化合物R11−cを得た。
100mL三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、化合物R11−cを1.00gと、テトラヒドロフラン(脱水)11.25mLと、トリエチルアミンを0.69gとを加え、氷冷した。5℃以下で撹拌しながら塩化ベンジル0.96gを滴下し、室温で1時間撹拌した。ここに、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLと、酢酸エチル10mLとを加え、析出物を濾過により回収した。この固体に酢酸エチル150mLを加えて還流温度まで加熱し、不溶な成分を濾別した。その後、濾液を濃縮し、0℃に冷却することで結晶が析出し、R11を0.75g得た。
(溶剤)
XAN:シクロヘキサノン
(触媒)
Al(acac)3:トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム
(架橋性化合物)
S1:メチルトリメトキシシラン
S2:KBM−3066(1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、信越シリコーン(株)製)
S3:KBM−9659(トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、信越シリコーン(株)製)
<近赤外線カットフィルタの作製>
上記近赤外線吸収組成物を用いて、近赤外線カットフィルタを作製した。
具体的には、得られた近赤外線吸収組成物を、ガラスウェハ上に乾燥後の膜厚が100μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、150℃のホットプレートを用いて3時間加熱処理を行って、近赤外線カットフィルタを製造した。
<<赤外遮蔽性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタにおける波長800nmの透過率を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。赤外遮蔽性を以下の基準で評価した。結果を以下の表に示す。
A:800nmの透過率≦5%
B:5%<800nmの透過率≦7%
C:7%<800nmの透過率≦10%
D:10%<800nmの透過率
<<可視透明性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタにおける波長400〜550nmの透過率を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。可視透明性を以下の基準で評価した。結果を以下の表に示す。
A:97%≦波長400〜550nmの透過率の最小値
B:95%≦波長400〜550nmの透過率の最小値<97%
C:85%≦波長400〜550nmの透過率の最小値<95%
D:波長400〜550nmの透過率の最小値<85%
<<耐熱性(高温短時間)評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタを200℃で5分間放置した(耐熱性試験)。耐熱性試験前と耐熱性試験後とのそれぞれにおいて、400nmにおける吸光度を測定し、((耐熱性試験後における吸光度−耐熱性試験前における吸光度)/耐熱性試験前における吸光度)×100(%)で表される400nmの吸光度の変化率を求めた。耐熱性を以下の基準で評価した。吸光度の測定には、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
A:吸光度の変化率≦3%
B:3%<吸光度の変化率≦6%
C:6%<吸光度の変化率≦10%
D:10%<吸光度の変化率
<<耐熱性(低温長時間)評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタを150℃で20時間放置した(耐熱性試験)。耐熱性試験前と耐熱性試験後とのそれぞれにおいて、400nmにおける吸光度を測定し、((耐熱性試験後における吸光度−耐熱性試験前における吸光度)/耐熱性試験前における吸光度)×100(%)で表される400nmの吸光度の変化率を求めた。耐熱性を以下の基準で評価した。吸光度の測定には、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
A:吸光度の変化率≦3%
B:3%<吸光度の変化率≦6%
C:6%<吸光度の変化率≦10%
D:10%<吸光度の変化率
<<耐湿性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタを85℃/相対湿度85%の高温高湿下で1時間放置した(耐湿性試験)。耐湿性試験前と耐湿性試験後とのそれぞれにおいて、近赤外線カットフィルタの波長700〜1400nmにおける最大吸光度(Absλmax)と、波長400〜700nmにおける最小吸光度(Absλmin)とを、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定し、「Absλmax/Absλmin」で表される吸光度比を求めた。|(耐湿性試験前における吸光度比−耐湿性試験後における吸光度比)/耐湿性試験前における吸光度比×100|(%)で表される吸光度比変化率を以下の基準で評価した。
A:吸光度比変化率≦2%
B:2%<吸光度比変化率≦4%
C:4%<吸光度比変化率≦7%
D:7%<吸光度比変化率
<<耐溶剤性評価>>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタを、25℃のメチルプロピレングリコール(MFG)中に、2分間浸漬した(耐溶剤性試験)。耐溶剤性試験前と耐溶剤性試験後とのそれぞれにおいて、近赤外線カットフィルタの波長800nmにおける吸光度を測定し、波長800nmにおける吸光度の変化率を、下式より求めた。吸光度の測定には、分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
波長800nmにおける吸光度の変化率(%)=|(耐溶剤性試験前における波長800nmの吸光度−耐溶剤性試験後における波長800nmの吸光度)/耐溶剤性試験前における波長800nmの吸光度|×100(%)
耐溶剤性を以下の基準で評価した。
A:吸光度比変化率≦2%
B:2%<吸光度比変化率≦4%
C:4%<吸光度比変化率≦7%
D:7%<吸光度比変化率

上記結果より、実施例は、加熱による着色が少なく、耐熱性に優れていた。これに対し、比較例は、加熱による着色があり、耐熱性が劣っていた。
実施例1〜37の近赤外線カットフィルタの作製において、ガラスウェハ上にWO2015/099060号の段落0119〜0140に記載の紫外線吸収体を含む層を形成した。この紫外線吸収体を含む層の表面に、実施例1〜37の近赤外線吸収組成物を、乾燥後の膜厚が100μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、150℃のホットプレートを用いて3時間加熱処理を行って、近赤外線カットフィルタを作製した。このように作製した近赤外線カットフィルタも、耐熱性に優れていた。
10 カメラモジュール、11 固体撮像素子、12 平坦化層、13 近赤外線カットフィルタ、14 撮像レンズ、15 レンズホルダー、16 基板、17 カラーフィルタ、18 マイクロレンズ、19 紫外・赤外光反射膜、20 透明基材、21
近赤外線吸収層、22 反射防止層

Claims (17)

  1. 銅化合物と、ラジカルトラップ剤と、180℃以上でラジカルを発生する樹脂と、を含む近赤外線吸収組成物。
  2. 前記銅化合物は、水素原子が結合した炭素原子を有する化合物を配位子として有する銅錯体である、請求項1に記載の近赤外線吸収組成物。
  3. 前記銅化合物は、非共有電子対で配位する配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体である、請求項1または2に記載の近赤外線吸収組成物。
  4. 前記銅化合物は、少なくとも2つの配位部位を有する化合物を配位子として有する銅錯体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  5. 前記ラジカルトラップ剤が、オキシム化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードフェノール化合物、硫黄系過酸化物分解物、リン系過酸物分解剤、N−オキシル化合物、アルキルフェノン化合物、アルデヒド化合物およびヒドロキシルアミン化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  6. 前記ラジカルトラップ剤が、下式(I)で表される化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物;

    式中、Ar100は、アリール基またはヘテロ環基を表し、R100およびR101は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。
  7. 前記ラジカルトラップ剤は、アミド型構造を有するオキシム化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  8. 前記ラジカルトラップ剤は、一分子中に、下式(OX)で表される部分構造を2以上有するオキシム化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物;

    式中、ROXは、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、波線は、オキシム化合物を構成する原子団との連結位置を表す。
  9. 前記ラジカルトラップ剤を、前記近赤外線吸収組成物の全固形分中に、0.1〜30質量%含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  10. 前記銅化合物を、前記近赤外線吸収組成物の全固形分中に、25〜75質量%含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  11. 前記180℃以上でラジカルを発生する樹脂が、繰り返し単位の主鎖または側鎖に、下記(a)または(b)で表される部分構造を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物;

    式中、波線は、樹脂の繰り返し単位を構成する原子団との連結位置を表す。
  12. 前記180℃以上でラジカルを発生する樹脂が、下記式(A)で表される繰り返し単位を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物;

    式中R1は、水素原子またはアルキル基を表し、L1〜L3は、それぞれ独立に、単結合または2価の連結基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基、または、芳香族基を表す;
    2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子またはR3と結合して環を形成してもよい;
    2は、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成してもよい;ただし、L2が、繰り返し単位の主鎖の炭素原子と結合して環を形成する場合は、R2は存在しない。
  13. 前記180℃以上でラジカルを発生する樹脂が、架橋性基を有する繰り返し単位を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  14. 前記180℃以上でラジカルを発生する樹脂以外の成分として、更に、架橋性基を有する化合物を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる膜。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の近赤外線吸収組成物を用いてなる近赤外線カットフィルタ。
  17. 請求項16に記載の近赤外線カットフィルタを有する、固体撮像素子。
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