JP2000251737A - 画像形成装置及びその製造方法 - Google Patents

画像形成装置及びその製造方法

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JP2000251737A
JP2000251737A JP5122299A JP5122299A JP2000251737A JP 2000251737 A JP2000251737 A JP 2000251737A JP 5122299 A JP5122299 A JP 5122299A JP 5122299 A JP5122299 A JP 5122299A JP 2000251737 A JP2000251737 A JP 2000251737A
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Yoichi Ando
洋一 安藤
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像表示時の放電を防止し、良好な表示画像
を得る為の画像形成装置の製造方法を提供する。 【解決手段】 電子ビーム源を形成したリアプレート
と、電子ビームの照射により発光する蛍光体を形成した
フェースプレートと、前記リアプレートと前記フェース
プレートとに挟まれたスペーサを備えた画像形成装置の
製造方法において、電極の間に前記スペーサを配置して
該電極間に高電圧を印加する工程(S103)、または
導電部が露出している前記スペーサと他の電極との間に
高電圧を印加する工程(S103)、を有することを特
徴とする画像形成装置の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線装置および
その応用である形成装置等の画像形成装置の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、たとえば表面伝導型放出素子や、電界放出
型素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型
放出素子(以下MIM型と記す)、などが知られてい
る。
【0003】表面伝導型放出素子としては、たとえば、
M.I.Elinson,Radio Eng.Ele
ctron Phys.,10,1290,(196
5)や、後述する他の例が知られている。
【0004】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fil
ms”,9,317(1972)]や、In23/Sn
2薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:”IEEE Trans.E
D Conf.”,519(1975)]や、カ−ボン
薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22(1983)]等が報告されている。
【0005】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図12に前述のM.Hartwel
l らによる素子の平面図を示す。同図において、30
01は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸
化物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は
図示のようにH字形の平面形状に形成されている。該導
電性薄膜3004に後述の通電フォ−ミングと呼ばれる
通電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成
される。図中の間隔Lは、0.5〜1[mm],Wは、
0.1[mm]で設定されている。尚、図示の便宜か
ら、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に
矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実
際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけ
ではない。M.Hartwellらによる素子をはじめ
として上述の表面伝導型放出素子においては、電子放出
を行う前に導電性薄膜3004に通電フォ−ミングと呼
ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005を
形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォ−ミ
ングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直流
電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっくり
としたレ−トで昇圧する直流電圧を印加して通電し、導
電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしくは
変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部300
5を形成することである。尚、局所的に破壊もしくは変
形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部には、亀
裂が発生する。前記通電フォ−ミング後に導電性薄膜3
004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀裂付近
において電子放出が行われる。また、FE型の例は、た
とえば、W.P.Dyke&W.W.Dolan,”F
ield emission”,Advance in
Electron Physics,8,89(195
6)や、あるいは、C.A.Spindt,”Phys
ical properties of thin−fi
lm fie−ldemission cathodes
with molybdenum cones”,J.
Appl.Phys.,47,5248(1976)な
どが知られている。
【0006】FE型の素子構成の典型的な例として、図
13に前述のC.A.Spindtらによる素子の断面
図を示す。同図において、3010は基板で、3011
は導電材料よりなるエミッタ配線、3012はエミッタ
コ−ン、3013は絶縁層、3014はゲ−ト電極であ
る。本素子は、エミッタコ−ン3012とゲ−ト電極3
014の間に適宜の電圧を印加することにより、エミッ
タコ−ン3012の先端部より電界放出を起こさせるも
のである。
【0007】また、FE型の他の素子構成として、図1
3のような積層構造ではなく、基板上に基板平面とほぼ
平行にエミッタとゲ−ト電極を配置した例もある。
【0008】また、MIM型の例としては、たとえば、
C.A.Mead,”Operationof tun
nel−emission Devices,J.Ap
pl.Phys.,32,646(1961)などが知
られている。MIM型の素子構成の典型的な例を図14
に示す。同図は断面図であり、図において、3020は
基板で、3021は金属よりなる下電極、3022は厚
さ100オングストロ−ム程度の薄い絶縁層、3023
は厚さ80〜300オングストロ−ム程度の金属よりな
る上電極である。MIM型においては、上電極3023
と下電極3021の間に適宜の電圧を印加することによ
り、上電極3023の表面より電子放出を起こさせるも
のである。
【0009】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒ−
タ−を必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構
造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、
基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱
溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒ
−タ−の加熱により動作するため応答速度が遅いのとは
異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利
点もある。このため、冷陰極素子を応用するための研究
が盛んに行われてきている。
【0010】たとえば、表面伝導型放出素子は、冷陰極
素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易であること
から、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで、たとえば本出願人による特開昭64−31
332号において開示されるように、多数の素子を配列
して駆動するための方法が研究されている。
【0011】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像形成装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビ−ム源、等が研究されている。
【0012】特に、画像形成装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP 5,066,883や特
開平2−257551号や特開平4−28137号にお
いて開示されているように、表面伝導型放出素子と電子
ビ−ムの照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用
いた画像形成装置が研究されている。表面伝導型放出素
子と蛍光体とを組み合わせて用いた画像形成装置は、従
来の他の方式の画像形成装置よりも優れた特性が期待さ
れている。たとえば、近年普及してきた液晶形成装置と
比較しても、自発光型であるためバックライトを必要と
しない点や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0013】また、FE型を多数個ならべて駆動する方
法は、たとえば本出願人によるUSP4,904,89
5に開示されている。また、FE型を画像形成装置に応
用した例として、たとえば、R.Meyer らにより
報告された平板型形成装置が知られている[R.Mey
er:”Recent Development onM
icro−tips Display at LET
I”,Tech.Digest of 4th Int.
Vacuum Microele−ctronics C
onf.,Nagahama,pp.6〜9(199
1)]。
【0014】また、MIM型を多数個並べて画像形成装
置に応用した例は、たとえば本出願人による特開平3−
55738号に開示されている。
【0015】上記のような電子放出素子を用いた画像形
成装置のうちで、奥行きの薄い平面型形成装置は省スペ
ースかつ軽量であることから、ブラウン管型の形成装置
に置き換わるものとして注目されている。
【0016】図15は、平面型の画像形成装置をなす表
示パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示す
ためにパネルの一部を切り欠いて示している。
【0017】図中、3115はリアプレート、3116
は側壁、3117はフェースプレートであり、リアプレ
ート3115、側壁3116およびフュースプレート3
117により、表示パネルの内部を真空に維持するため
の外囲器(気密容器)を形成している。
【0018】リアプレート3115には基板3111が
固定されているが、この基板3111上には冷陰極素子
3112が、NXM個形成されている(N、Mは2以上
の正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜
設定される。)。また、前記NXM個の冷陰極素子31
12は、図15に示すとおり、M本の行方向配線311
3とN本の列方向配線3114により配線されている。
これら基板3111、冷陰極素子3112、行方向配線
3113および列方向配線3114によって構成される
部分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。また、行方向配線3
113と列方向配線3114の少なくとも交差する部分
には、両配線間に絶縁層(不図示)が形成されており、電
気的な絶縁が保たれている。
【0019】フェースプレート3117の下面には、蛍
光体からなる蛍光膜3118が形成されており、赤
(R)、緑(G)、育(B)の3原色の蛍光体(不図
示)が塗り分けられている。また、蛍光膜3118をな
す上記各色蛍光体の間には黒色体(不図示)が設けてあ
り、さらに蛍光膜3118のリアプレート3115側の
面には、Al等からなるメタルバック3119が形成さ
れている。
【0020】Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよ
びHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路とを電気
的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子で
ある。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配
線3113と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の
列方向配線3114と、Hvはメタルバック3119と
各々電気的に接続している。
【0021】また、上記気密容器の内部は10のマイナ
ス6乗Torr程度の真空に保持されており、画像形成
装置の表示面積が大きくなるにしたがい、気密容器内部
と外部の気圧差によるリアプレート3115およびフェ
ースプレート3117の変形あるいは破壊を防止する手
段が必要となる。リアプレート3115およびフェース
プレート3116を厚くすることによる方法は、画像形
成装置の重量を増加させるのみならず、斜め方向から見
たときに画像のゆがみや視差を生ずる。これに対し、図
15においては、比較的薄いガラス板からなり大気圧を
支えるための構造支持体(スペーサあるいはリブと呼ば
れる)3120が設けられている。このようにして、マ
ルチビーム電子源が形成された基板3111と蛍光膜3
118が形成されたフェースプレート3116間は通常
サブミリないし数ミリに保たれ、前述したように気密容
器内部は高真空に保持されている。
【0022】以上説明した表示パネルを用いた画像形成
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm、Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子3112に電圧を印加する
と、各冷陰極素子3112から電子が放出される。それ
と同時にメタルバック3119に容器外端子Hvを通じ
て数百[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記
放出された電子を加速し、フェースプレート3117の
内面に衝突させる。これにより、蛍光膜3118をなす
各色の蛍光体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した画像形成
装置の表示パネルにおいては、以下のような問題点があ
った。
【0024】冷陰極素子3112からの放出電子を加速
するためにマルチビーム電子源とフェースプレート31
17との間には数百V以上の高電圧(即ち1kV/mm
以上の高電界)が印加されるため、スペーサ3120表
面での沿面放電が懸念される。
【0025】この沿面放電は、スペーサ表面の汚れ、異
物の付着や、基板3111及び蛍光膜3118とのコン
タクト不良などが原因と考えられる。これらの対策とし
て、有機溶剤による化学的洗浄さらにはUVオゾン洗浄
などで処理しても、完全には除去しきれない場合があ
り、以下のような問題が発生していた。
【0026】これらの放電は、画像表示中に突発的に起
こり、画像を乱すだけでなく、放電個所近傍の冷陰極素
子3112を著しく劣化させ、その後の表示が正常にで
きなくなるという問題が有った。
【0027】また、スペーサ3120の近傍から放出さ
れた電子の一部がスペーサ3120に当たることによ
り、あるいは放電電子の作用でイオン化したイオンがス
ペーサに付着することにより、スペーサ帯電を引き起こ
している場合は、スペーサ近傍の電界が乱れ、電子ビー
ム軌道に影響を与え、正常な画像表示ができなくなると
いう問題が有った。
【0028】この問題点を解決する為に、スペーサに微
小電流が流れるようにして帯電を除去する提案がなされ
ている(特開昭57−118355号、特開昭61−1
24031号)。そこでは絶縁性のスペーサの表面に高
抵抗薄膜を形成することにより、スペーサ表面に微小電
流が流れるようにしている。ここで用いられている帯電
防止膜は酸化スズ、あるいは酸化スズと酸化インジウム
混晶薄膜や金属膜である。
【0029】帯電防止膜の機能をさらに強化するため
に、スペーサ3120が基板3111、あるいは蛍光膜
3118と接触する面、ならびにその近傍に導電性の低
抵抗膜を配置している。これにより帯電防止膜と基板3
111、及び蛍光膜3118の間の電気的接続が確保さ
れる。
【0030】半面、基板3111と蛍光膜3118の間
に高電圧を印加するときには前記低抵抗膜が放電の原因
となりやすい。
【0031】本発明は、上記従来スペーサの欠点を克服
するためになされたもであり、画像表示時の放電を防止
し、良好な表示画像を得る為の画像形成装置の製造方法
およびその方法により製造される画像系形成装置を提供
することを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は、電子ビーム源
を形成したリアプレートと、電子ビームの照射により発
光する蛍光体を形成したフェースプレートと、前記リア
プレートと前記フェースプレートとに挟まれたスペーサ
を備えた画像形成装置の製造方法において、電極の間に
前記スペーサを配置して該電極間に高電圧を印加する工
程を有することを特徴とする画像形成装置の製造方法で
ある。
【0033】さらに本発明は、電子ビーム源を形成した
リアプレートと、電子ビームの照射により発光する蛍光
体を形成したフェースプレートと、前記リアプレートと
前記フェースプレートとに挟まれたスペーサを備えた画
像形成装置の製造方法において、導電部が露出している
前記スペーサと他の電極との間に高電圧を印加する工程
を有することを特徴とする画像形成装置の製造方法であ
る。
【0034】本発明においては、例えば、高電圧を印加
する工程の前にスペーサに成膜する工程を行ってもよい
し、成膜していないスペーサ基板自体に高電圧を印加し
てもよい。また、このスペーサに成膜する工程は、例え
ば、スペーサとフェースプレートあるいはリアプレート
との当接面の少なくとも一方に導電性の低抵抗膜を成膜
する工程、あるいはスペーサの真空中に露出する少なく
とも一部に帯電防止膜を成膜する工程である。
【0035】スペーサに高電圧を印加する工程は真空中
または気体中で行う。高電圧は、低圧から徐々に昇圧し
ていく直流、低圧から徐々に昇圧していく交流、低圧か
ら徐々に昇圧していくパルス電圧などを用いる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態
を、具体的なデータと共に説明する。
【0037】<実施形態1>以下、本実施形態の画像形
成装置について、 スペーサの製法の流れ コンディショニング工程の詳細 パネルの製法 スペーサ近傍の構成と成膜法詳細 の順で詳細に説明する。
【0038】(スペーサの製法の流れ)始めに、本発明
のスペーサの製造方法の工程の流れを図1を用いて簡単
に説明する。
【0039】まず、スペーサに高抵抗膜を真空中に露出
する少なくとも一部分に成膜する(ステップS10
1)。この工程について詳しくは後述する。
【0040】次にスペーサの当接面にスペーサ電極を成
膜する工程を行う(ステップS102)。この工程につ
いて詳しくは後述する。
【0041】次に、スペーサを真空チャンバにセット
し、高電圧を印加する工程(コンディショニング工程)
を行う(ステップS103)。この工程について詳しく
は後述する。
【0042】以上の工程で、本発明の画像形成装置の製
造に用いるスペーサを製作した。なお、ステップS10
1とステップS102は反対の順序でもよい。
【0043】(コンディショニング工程の詳細)次に、
コンディショニング工程(図1:ステップS103)に
ついて詳細に述べる。
【0044】本発明の特徴であるスペーサに高電圧を印
加する工程の目的としては以下の2点があげられる。
【0045】第1に、重大な欠陥品をいち早く発見し、
製品歩留まりを向上させることである。従来の製法で
は、スペーサに画像表示と同等の高電圧を印加するの
は、パネルを封止した後であった。これに対し高電圧を
印加する工程をより前に持ってくることで、高電圧印加
不可である欠陥品を発見し、その後のプロセスを中断す
ることが可能となる。高電圧印加不可とは、スペーサへ
のごみ付着や形状的欠陥等の理由で放電が連続的に頻発
し、耐圧向上がみられないような状態が考えられる。
【0046】第2に、いわゆるコンディショニング効果
により、スペーサに起因する放電源を取り除き、絶縁耐
圧、放電耐圧の向上を図ることである。
【0047】図2の模式図を用い、コンディショニング
効果について説明する。図2において、横軸は放電回
数、縦軸はその時の放電電圧である。放電回数とともに
放電電圧は上昇し、耐圧が向上していくことが分かる。
【0048】このように放電を重ねることによって耐圧
が向上することを、一般にコンディショニング効果と呼
んでいる。コンディショニング効果をもたらす要因とし
ては、吸着ガスや付着物の除去、微小突起の平滑化によ
る電界放出電子電流の減少、熱融解による表面形状改善
等がいわれているが、詳細は現在も不明である。
【0049】従来の表面伝導型放出素子を用いた画像形
成装置の製法、すなわち、パネルを封止した後に高電圧
を印加した場合でも、このコンディショニング効果はみ
られる。しかし前述したとおり、コンディショニングに
伴う放電による表面伝導型放出素子へのダメージが大き
く、放電個所周辺の素子が著しく劣化する場合があり、
歩留まりを落とす原因となっていた。
【0050】本発明の方法によれば、スペーサ単体でコ
ンディショニングを行う為、表面伝導型放出素子に影響
はなく、高耐圧で良好な画像表示が可能な画像形成装置
を提供することができる。
【0051】また、本発明の特徴として、スペーサに成
膜後に上記コンディショニング工程を行うことがあげら
れる。これは以下の理由により採用されている。
【0052】本例においては、詳しくは後述するが、表
面全体に帯電防止を目的とした高抵抗膜(図1:S10
1)、スペーサと上下プレートとの当接面に、主に電気
的コンタクトを目的とした低抵抗膜(図1:S102)
の2種類の膜を形成する。
【0053】このように成膜することで、成膜前のスペ
ーサに比べ耐圧が下がる、すなわち放電しやすくなる場
合があることが発明者らの研究により、実験的に確かめ
られている。
【0054】これは、成膜した膜に発生する各種欠陥
(剥がれ、浮き、むら、バリ)への電界集中により、引
き起こされると考えられている。このため、成膜前のス
ペーサをコンディショニング処理して耐圧を向上させて
も、次の成膜工程で再び放電要因が生成される可能性が
あり、必ずしも当初の耐圧が保存するわけではない。つ
まり、成膜後にコンディショニング処理を行うことで、
より効果的で確実な耐圧向上が期待できる。
【0055】次に、本発明の特徴であるスペーサに高電
圧を印加する工程について具体的に説明する。
【0056】図3に、本例の概略構成を示す。ここで
は、上述のように、このスペーサは既に高抵抗膜と低抵
抗膜が成膜されている。
【0057】図3に、本例の概略構成を示す。
【0058】まず、スペーサ1020を上電極302と
下電極303に挟む格好で治具304にセットする。治
具304はセラミック製で上板が上電極302と、下板
が下電極303と固定されており、それぞれ図示の取り
出し配線を通じ給電される。上板と下板は、図のように
支柱とネジで連結されている。
【0059】スペーサのセットは、上電極上に不図示の
補助治具によってスペーサ1020を垂直に保持し、上
電極(上板)をかぶせネジでスペーサと上下電極を固定
した後、補助治具を除去することで行った。
【0060】この治具304を真空チャンバー305に
セットし、真空排気後、スペーサに高電圧を印加する工
程を行う。
【0061】本例においては、真空容器中は、10のマ
イナス7乗[Torr]程度の真空に保たれる。下電極
は、チャンバに取り付けられた不図示の電流導入端子を
通しGND電位になっている。上電極は、不図示の電流
導入端子、電流制限抵抗306を介し、高圧直流電源発
生装置(高圧電源101)に接続される。
【0062】図4は、時間に対する印加電圧と放電回数
を示す模式図である。
【0063】印加電圧は、直流電圧であり、図のように
7KVから15KVまで500V/5分の割合で昇圧
し、15KVで、15分間保持した。本例では一定レー
トで昇圧したが、階段状に昇圧してもよい。
【0064】放電は8KVを少し超えたところからが観
察されはじめ、14KV付近まで増加するが、その後減
少に転じ、15KVに保持すると、まもなく0になる。
これは、前述のコンディショニング効果によるものであ
る。
【0065】また、上記電圧や昇圧レート、保持時間な
どは、本発明に好適な値であり、スペーサの設計が変わ
れば条件を適宜変更するのが望ましい。ただし、その場
合でも画像表示に必要な加速電圧以上の電圧において、
放電が観察されなくなって十分時間が経つまで保持する
ことが必要である。
【0066】以上のようにして、本例で用いるスペーサ
1020を作成した。
【0067】(パネルの製法)次に、上述したスペーサ
1020を用いた、本発明の表示パネルの製造方法を詳
述する。
【0068】図10は、本実施形態に用いた表示パネル
101の外観斜視図であり、その内部構造を示すために
表示パネル101の一部を切り欠いて示している。
【0069】まず、予め基板1011上に行方向配線電
極1013、列方向配線電極1014、電極間絶縁層
(不図示)、及び表面伝導型放出素子の素子電極110
2,1103と導電性薄膜1104を形成した基板10
11を、リアプレート1015に固定した。次に、前述
した方法で作成されたスペーサ1020を基板1011
の行方向配線1013上に等間隔で、行方向配線101
3と平行に固定した。その後、基板1011の約5mm
上方に、内面に蛍光膜1018とメタルバック1019
が付設されたフェースプレート1017を側壁1016
を介して配置し、リアプレート1015、フェースプレ
ート1017、側壁1016およびスペーサ1020の
各接合部を固定した。基板1011とリアプレート10
15の接合部、リアプレート1015と側壁1016の
接合部、およびフェースプレート1017と10側壁1
016の接合部は、フリットガラス(不図示)を塗布
し、大気中で400℃乃至500℃で10分以上焼成す
ることで封着した。また、スペーサ1020は、基板1
011側では行方向配線1013(線幅約300[マイ
クロメートル])上に、フェースプレート1017側で
はメタルバック1019面上に、導電性のフィラー或は
金属等の導電材を混合した導電性フリットガラス(不図
示)を介して配置し、上記気密容器の封着と同時に、大
気中で400℃乃至500℃で10分以上焼成すること
で接着し、かつ電気的な接続も行った。
【0070】以上のようにして完成した気密容器内を排
気管(不図示)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真
空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxMとDy1〜DyNを
通じ、行方向配線電極1013および列方向配線電極1
014を介して各素子に給電して前述の通電フォーミン
グ処理を行うことによりマルチ電子源を製造した。次
に、10のマイナス6乗[torr]程度の真空度で、不図
示の排気管をガスバーナで熱することで溶着し外囲器
(気密容器)の封止を行った。そして最後に、封止後の
真空度を維持するために、ゲッター処理を行った。
【0071】以上の表示パネルでは、前述した、電極間
の導電性微粒子膜に電子放出部を有する表面伝導型放出
素子をN×M個(N=3072、M=1024)、M本
の行方向配線とN本の列方向配線とによりマトリクス状
に配線(図10参照)したマルチ電子源を用いた。
【0072】(スペーサ近傍の構成と成膜法詳細)次に
スペーサ近傍の構成を図11を用いて詳細に説明する。
【0073】図11は図10のA−A’の断面模式図で
あり、各部の番号は図10に対応している。
【0074】スペーサ1020は、上述の通り、スペー
サ基板201の表面に帯電防止を目的とした高抵抗膜1
1を成膜し、かつフェースプレート1017の内側(メ
タルバック1019等)及び基板1011の表面(行方
向配線1013または列方向配線1014)に面したス
ペーサの当接面3及び側面5に後述の方法で低抵抗膜2
1を成膜した部材であり、耐大気圧構造を達成するのに
必要な数だけ、かつ必要な間隔をおいて配置され、フェ
ースプレート1017の内側及び基板1011の表面に
接合材1041により固定される。また高抵抗膜11
は、スペーサ基板201の表面のうち、少なくとも気密
容器内の真空中に露出している面に成膜されており、ス
ペーサ1020上の低抵抗膜21および接合材1041
を介して、フェースプレート1017の内側(メタルバ
ック1019等)及び基板1011の表面(行方向配線
1013または列方向配線1014)に電気的に接続さ
れる。
【0075】ここで説明される態様においては、スペー
サ1020の形状は薄板状であり、行方向配線1013
に平行に配置され、行方向配線1013に電気的に接続
されている。スペーサ1020としては、基板1011
上の行方向配線1013および列方向配線1014とフ
ェースプレート1017内面のメタルバック1019と
の間に印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、
かつスペーサ1020の表面への帯電を防止する程度の
導電性を有する必要がある。
【0076】本例では図5に示すように、スペーサ基板
201として、40mm×3mm、厚み0.2mmの薄
板矩形上のソーダライムガラスを用いた。3mmは、表
示パネルの厚みに相当する。またスペーサ基板は、厚さ
0.2mmのソーダライム板ガラスを切り出すことで作
製した。なお、板ガラスからの切り出しに限らず、例え
ば加熱延伸法等により所望の形に加工してもよい。
【0077】スペーサ基板201としては、ソーダライ
ムガラスに限らず、例えば石英ガラス、Na等の不純物
含有量を減少したガラス、アルミナ等のセラミックス部
材等が挙げられる。なお、スペーサ基板201はその熱
膨張率が気密容器および基板1011を成す部材と近い
ものが好ましい。
【0078】次に、高抵抗膜11の製法について詳述す
る。
【0079】スペーサ基板201の表面に高抵抗膜11
として、CrおよびAlのターゲットを高周波電源で同
時スパッタすることにより、Cr-Al合金窒化膜を膜
厚200nmを形成した。このときのスパッタガスは、
Ar:N2が1:2の混合ガスで、全圧力は1m[tor
r]である。上記条件で同時成膜した膜の表面抵抗Rは
2×10の11乗[Ω/□]であった。
【0080】高抵抗膜は、この方法に限らず、以下の観
点より種々選択される。
【0081】スペーサ1020の高抵抗膜11には、高
電位側のフェースプレート1017(メタルバック10
19等)に印加される加速電圧Vaを帯電防止膜である
高抵抗膜11の抵抗値Rsで除した電流が流される。そ
こで、スペーサ1020の抵抗値Rsは帯電防止及び消
費電力から、その望ましい範囲に設定される。帯電防止
の観点から表面抵抗は10の14乗[Ω/□]以下であ
ることが好ましい。更には、十分な帯電防止効果を得る
ためには10の12乗[Ω/□]以下が好ましい。尚、
この表面抵抗の下限はスペーサ1020の形状とスペー
サ1020間に印加される電圧により左右されるが、1
0の7乗[Ω/□]以上であることが好ましい。
【0082】スペーサ基板上201に形成された高抵抗
膜高抵抗膜11の厚みtは、10nm〜1μmの範囲が
望ましい。このスペーサ基板上201の材料の表面エネ
ルギーおよび基板との密着性や基板温度によっても異な
るが、一般的に10nm以下の薄膜は島状に形成され、
抵抗が不安定で再現性に乏しい。一方、膜厚tが1μm
以上では膜応力が大きくなって膜はがれの危険性が高ま
り、かつ成膜時間が長くなるため生産性が悪い。
【0083】従って、膜厚は50〜500nmであるこ
とが望ましい。表面抵抗は、ρ/tであり、以上に述べ
た表面抵抗と膜厚tとの好ましい範囲から、帯電防止膜
の比抵抗ρは10[Ω・cm]乃至10の8乗[Ω・c
m]が好ましい。更に表面抵抗と膜厚tのより好ましい
範囲を実現するためには、ρは10の4乗乃至10の6
乗[Ω・cm]とするのが良い。
【0084】スペーサ1020は上述したように、その
上に形成した帯電防止膜を電流が流れることにより、或
いは表示パネル101全体が動作中に発熱することによ
り、その温度が上昇する。この帯電防止膜の抵抗温度係
数が大きな負の値であると温度が上昇した時に抵抗値が
減少し、スペーサ1020に流れる電流が増加し、更に
温度上昇をもたらす。そして電流は電源の限界を越える
まで増加し続ける。このような電流の暴走が発生する抵
抗温度係数の値は経験的に負の値で絶対値が1%以上で
ある。即ち、帯電防止膜の抵抗温度係数は−1%未満で
あることが望ましい。
【0085】このような帯電防止特性を有する高抵抗膜
11の材料としては、例えば金属酸化物を用いることが
できる。金属酸化物の中でも、クロム、ニッケル、銅の
酸化物が好ましい材料である。その理由はこれらの酸化
物は二次電子放出効率が比較的小さく、電子放出素子1
012から放出された電子がスペーサ1020に当たっ
た場合においても帯電しにくいためと考えられる。金属
酸化物以外にも炭素は二次電子放出効率が小さく好まし
い材料である。特に、非晶質カーボンは高抵抗であるた
め、スペーサ1020の抵抗を所望の値に制御しやす
い。
【0086】帯電防止特性を有する高抵抗膜11の他の
材料として、アルミニウムと遷移金属合金の窒化物は遷
移金属の組成を調整することにより、良伝導体から絶縁
体まで広い範囲に抵抗値を制御できるので好適な材料で
ある。更には後述する形成装置の作製工程において抵抗
値の変化が少なく安定な材料である。かつ、その抵抗温
度係数が−1%未満であり、実用的に使いやすい材料で
ある。遷移金属元素としてはTi,Cr,Ta等があげ
られる。
【0087】合金窒化膜はスパッタ、窒素ガス雰囲気中
での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーテ
ィング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成手段により
絶縁性部材上に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形
成法で作製することができるが、この場合窒素ガスに代
えて酸素ガスを使用する。その他、CVD法、アルコキ
シド塗布法でも金属酸化膜を形成できる。カーボン膜は
蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法で作
製され、特に非晶質カーボンを作製する場合には、成膜
中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガスに
炭化水素ガスを使用する。
【0088】次に低抵抗膜21の製法について詳述す
る。
【0089】本例では、低抵抗膜21として、フェース
プレート1019、リアプレート1015との接続部
に、接続部と平行に、高さ2.8mm、幅42mm、奥
行き1.1tの直方体ガラス製固定治具2012を図6
(a)(b)のように、高さ3mmのスペーサ基板20
1と交互に配置し、更に同図(c)に示すように、約2
00μmの帯状に10nm厚のTi膜2013を形成し
た。その後200nm厚のPt膜をどちらもスパッタに
より気相形成した。なお、上記スパッタ成膜工程を上下
底面側に2回行い、同図(d)のように形成した。この
際、Ti膜2013は、Pt膜の膜密着性を補強する下
地層として必要であった。
【0090】低抵抗膜は、この方法に限らず、以下の観
点より種々選択される。
【0091】スペーサ1020を構成する低抵抗膜21
は、高抵抗膜11を高電位側のフェースプレート101
7(メタルバック1019等)及び低電位側の基板10
11(配線1013、1014等)と電気的に接続する
ために設けられたものである。
【0092】低抵抗膜は以下に列挙する複数の機能を有
することが出来る。
【0093】 高抵抗膜11をフェースプレート10
17及び基板1011と電気的に接続する。
【0094】既に記載したように、高抵抗膜11はスペ
ーサ1020表面での帯電を防止する目的で設けられた
ものであるが、高抵抗膜11をフェースプレート101
7(メタルバック1019等)及び基板1011(配線
1013、1014等)と直接或いは当接材1041を
介して接続した場合、接続部界面に大きな接触抵抗が発
生し、スペーサ1020の表面に発生した電荷を速やか
に除去できなくなる可能性がある。これを避けるため
に、フェースプレート1017、基板1011及び当接
材1041と接触するスペーサ1020の当接面203
に低抵抗の低抵抗膜を設けた。
【0095】 高抵抗膜11の電位分布を均一化す
る。
【0096】電子放出素子1012より放出された電子
は、フェースプレート1017と基板1011の間に形
成された電位分布に従って電子軌道を成す。スペーサ1
020の近傍で電子軌道に乱れが生じないようにするた
めには、高抵抗膜11の電位分布を全域に亙って制御す
る必要がある。高抵抗膜11をフェースプレート101
7(メタルバック1019等)及び基板1011(配線
1013、1014等)と直接或いは当接材1041を
介して接続した場合、接続部界面の接触抵抗のために接
続状態のむらが発生し、高抵抗膜11の電位分布が所望
の値からずれてしまう可能性がある。これを避けるため
に、スペーサ1020がフェースプレート1017及び
基板1011と当接するスペーサ端部(当接面203)
の全長域に低抵抗の低抵抗膜を設け、この低抵抗膜部に
所望の電位を印加することによって、高抵抗膜11全体
の電位を制御可能とした。
【0097】 放出電子の軌道を制御する。
【0098】冷陰極素子1012より放出された電子
は、フェースプレート1017と基板1011の間に形
成された電位分布に従って電子軌道を成す。スペーサ近
傍の冷陰極素子から放出された電子に関しては、スペー
サを設置することに伴う制約(配線、素子位置の変更
等)が生じる場合がある。このような場合、歪みやむら
の無い画像を形成する為には、放出された電子の軌道を
制御してフェースプレート1017上の所望の位置に電
子を照射する必要がある。フェースプレート1017及
び基板1011と当接する面の側面部5に低抵抗の中間
層を設けることにより、スペーサ1020近傍の電位分
布に所望の特性を持たせ、放出された電子の軌道を制御
することが出来る。
【0099】低抵抗膜21は、高抵抗膜11に比べ十分
に低い抵抗値を有する材料を選択すればよく、Ni,C
r,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,Cu,Pd等
の金属、あるいは合金、及びPd,Ag,Au,RuO
2,Pd−Ag等の金属や金属酸化物とガラス等から構
成される印刷導体、あるいはIn23−SnO2等の透
明導体及びポリシリコン等の半導体材料等より適宜選択
される。
【0100】以上のように完成した、図10に示される
ような表示パネル101を用いた画像形成装置におい
て、各冷陰極素子(表面伝導型放出素子)1012に
は、容器外端子Dx1〜DxM、Dy1〜DyNを通じ、走査信
号及び変調信号をそれぞれ印加することにより電子を放
出させ、メタルバック1019には、高圧端子Hvを通
じて高圧を印加することにより放出電子ビームを加速し
て蛍光膜1018に電子を衝突させ、各色蛍光体(R、
G、B)を励起・発光させることで画像を表示した。な
お、高圧端子Hvへの印加電圧Vaは10[kV]、各
配線1013、1014間への印加電圧Vfは14
[V]とした。
【0101】本例では上記駆動条件で、放電がない良好
な表示画像を得る事ができた。
【0102】<実施形態2>本実施形態が実施形態1と
違う点は、印加波形に交流を用いる点である。本例で
は、60Hzのサイン波高電圧を、片側ピーク値が図4
と同様になるように徐々に昇圧させて印加した。
【0103】交流にすることで、スペーサに正負両極性
の電位を与えることができ、また1サイクル毎に昇圧工
程を経ることで、より効果的にコンディショニング効果
を得ることが可能となる。
【0104】本例では印加波形に交流を用いたが、正負
両極の直流を交互に、あるいは2度に分けて印加しても
よい。また、印加波形にパルス電圧、より好ましくはイ
ンパルス電圧を用いてもよい。この場合、コンディショ
ニング工程でのスペーサへのダメージをより小さくで
き、高電圧印加不可品を減らすことで歩留まりを向上さ
せる効果がある。
【0105】このようにして製造された画像形成装置に
より、放電がない良好な表示画像を得る事ができた。
【0106】<実施形態3>本実施形態が実施形態1と
違う点は、高電圧を印加する際の雰囲気である。実施形
態1では真空雰囲気中で行ったが、本例では、窒素雰囲
気中で行う。
【0107】具体的には真空装置内を排気後、乾燥窒素
ガスを約3Torrの圧力になるように導入する。その後,
高電圧を印加する工程に移る。図7は、時間に対する印
加電圧と放電回数を示す模式図である。印加電圧は、図
のように100Vから300Vまで50V/20分の割
合で昇圧し、300Vで、15分間保持した。本例では
一定レートで昇圧したが、階段状に昇圧してもよい。放
電は150Vを少し超えたところから観察されはじめ、
250V付近まで増加するが、徐々に減少に転じ300
Vに保持すると、まもなく0になる。
【0108】このように真空雰囲気中で高圧印加した場
合と比べ、窒素導入雰囲気中では、非常に低い電圧から
放電がはじまることが分かる。また本例の窒素雰囲気中
300Vまでの高圧印加によって、真空雰囲気中15K
Vの場合とほぼ同様のコンディショニング効果が得られ
ることを、実験的に確かめている。
【0109】本例によれば、真空装置や高圧電源等の装
置の小型化を図ることができる。
【0110】導入ガスとしては、窒素の他、ヘリウム、
ネオン、アルゴン、水素、酸素、二酸化炭素、空気など
から適宜選択されうる。
【0111】また上記圧力は、本発明の画像形成装置に
好適な値であり、設計が変われば適宜変更するのが望ま
しい。好ましくは、数百mmTorrから数十Torrの圧力で
ある。印加電圧は、実施形態1と同様直流を用いたが、
実施形態2のように交流、パルス等でもよい。
【0112】このようにして製造された画像形成装置
は、放電がない良好な表示画像を得る事ができた。
【0113】<実施形態4>本実施形態が実施形態1と
違う点は、工程の流れである。実施形態1では高抵抗
膜、低抵抗膜共に成膜した後に、コンディショニング工
程を行ったが、本例では、低抵抗膜を成膜後、コンディ
ショニング工程を行って、その後、高抵抗膜を成膜す
る。
【0114】本例のスペーサの製造方法の工程の流れを
図8を用いて簡単に説明する。
【0115】まずスペーサに高抵抗膜を少なくても真空
中に露出する部分に成膜する(ステップS201)。次
にスペーサを真空チャンバにセットし、高電圧を印加す
る工程(コンディショニング工程)を行う。(ステップ
S202)。次にスペーサの当接面にスペーサ電極を成
膜する工程を行う(ステップS203)。
【0116】以上の工程で、本発明の画像形成装置の製
造に用いるスペーサを制作した。
【0117】図9に本例で作成したパネルのスペーサ近
傍の構成を示す。図から分かるとおり、本例において
は、低抵抗膜の上に高抵抗膜を成膜する構成になってい
る。各部の番号は図11に対応している。
【0118】ステップS202のコンディショニング工
程は、実施形態1中の図3とほぼ同様な結果を示した。
【0119】また、このようにして製造された画像形成
装置は、放電がない良好な表示画像を得る事ができた。
これは以下のように理解できる。
【0120】すなわち低抵抗膜は、抵抗が低く部分
的に成膜しているのでエッジ部を持つため欠陥がある
と、容易に放電源となり得る。逆に高抵抗膜は、抵抗
が高く(誘電体:電界緩和)、全面に成膜している
為、多少の欠陥は放電源となり得ない。
【0121】このように本例によれば、低抵抗膜のみ成
膜の段階で、重大な欠陥品を更に早く発見し、製品歩留
まりを向上させる事ができる。
【0122】印加電圧は、実施形態1と同様直流を用い
たが、実施形態2のように交流、パルス等でもよい。ま
た実施形態3のように、気体中で行ってもよい。
【0123】<実施形態5>本実施形態が実施形態1と
違う点は、第1点はスペーサの作製法であり、本実施形
態においてはコンディショニング工程のみでスペーサに
成膜を行わず、第2点はスペーサの高さであり、実施形
態1〜4では3mmであったが、本実施形態においては
1mmとした。すなわち、フェースプレートとリアプレ
ート間のギャップは1mmである。
【0124】本実施形態のコンディショニング工程の方
法は実施形態1に準ずるが、高電圧印加は5KVまでと
した。また、コンディショニング工程において、実施形
態1中の図3とほぼ同様な傾向を示した場合から、ほと
んど5KVまで放電しない場合までみられた。また、こ
のようにして製造された画像形成装置は、放電が無い良
好な表示画像を得る事ができた。これは以下のように理
解できる。
【0125】実施形態1中の図3とほぼ同様な傾向を示
したスペーサ、すなわちコンディショニング工程におい
て放電が多いスペーサは、本発明者らの研究により、コ
ンディショニング前のスペーサ表面に、汚れや異物など
の付着が多いものであることが分かった。
【0126】すなわち、コンディショニング工程によ
り、スペーサ表面がクリーニングされ、耐圧が向上した
と考えられる。また、前述したスペーサ表面の帯電によ
るビーム軌道の異常も認められなかった。これは、フェ
ースプレートとリアプレート間のギャップを1mmにし
たことで、ビームのずれ量が実質的に画像表示に問題の
無いレベルに抑えられたことによる。
【0127】このように本実施形態によれば、スペーサ
に成膜工程を必要とせず、コンディショニング工程のみ
で耐圧向上に効果が有ることから、コスト的に有利であ
る。なお、コンディショニング工程後、実施形態1〜4
のように、スペーサに低抵抗膜や高抵抗膜を成膜しても
よい。この場合、放電源となる欠陥が生じないような成
膜方法にする必要が有る。
【0128】印加電圧は、実施形態1と同様直流を用い
たが、実施形態2のように交流、パルス等でもよい。ま
た実施形態3のように、気体中で行ってもよい。
【0129】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、歩
留まりを向上させ、スペーサに起因する放電が防止さ
れ、高輝度で良好な画像形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1によるスペーサの製造方法
の工程の流れを示す図である。
【図2】本発明のコンディショニング効果を説明する図
である。
【図3】本発明の画像形成装置の製造方法を実施する為
の装置概略図である。
【図4】本発明の実施形態1によるスペーサの製造方法
における印加電圧と放電回数を示す図である。
【図5】本発明の実施形態のスペーサの形状を説明する
図である。
【図6】本発明の実施形態1の低抵抗膜の製法を説明す
る図である。
【図7】本発明の実施形態1によるスペーサの製造方法
における印加電圧と放電回数を示す図である。
【図8】本発明の実施形態4によるスペーサの製造方法
の工程の流れを示す図である。
【図9】実施形態4における、図10の表示パネルのA
−A’断面図である。
【図10】本発明の実施形態の画像形成装置の表示パネ
ルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図11】図10の表示パネルのA−A’断面図であ
る。
【図12】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示
す図である。
【図13】従来知られたFE型素子の一例を示す図であ
る。
【図14】従来知られたMIM型素子の一例を示す図で
ある。
【図15】画像形成装置の表示パネルの一部を切り欠い
て示した斜視図である。
【符号の説明】
101 高圧電源 201 スペーサ基板 303 下電極 304 治具 305 真空チャンバー 1020 スペーサ 2012 直方体ガラス製固定治具 2013 Ti膜

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子ビーム源を形成したリアプレート
    と、電子ビームの照射により発光する蛍光体を形成した
    フェースプレートと、前記リアプレートと前記フェース
    プレートとに挟まれたスペーサを備えた画像形成装置の
    製造方法において、電極の間に前記スペーサを配置して
    該電極間に高電圧を印加する工程を有することを特徴と
    する画像形成装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 電子ビーム源を形成したリアプレート
    と、電子ビームの照射により発光する蛍光体を形成した
    フェースプレートと、前記リアプレートと前記フェース
    プレートとに挟まれたスペーサを備えた画像形成装置の
    製造方法において、導電部が露出している前記スペーサ
    と他の電極との間に高電圧を印加する工程を有すること
    を特徴とする画像形成装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 高電圧を印加する工程の前に、スペーサ
    に成膜する工程を有する請求項1または2記載の画像形
    成装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 スペーサに成膜する工程は、導電性の低
    抵抗膜を成膜する工程である請求項3記載の画像形成装
    置の製造方法。
  5. 【請求項5】 スペーサに成膜する工程は、該スペーサ
    とフェースプレートあるいはリアプレートとの当接面の
    少なくとも一方に導電性の低抵抗膜を成膜する工程であ
    る請求項4記載の画像形成装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 スペーサに成膜する工程は、帯電防止膜
    を成膜する工程である請求項3記載の画像形成装置の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 スペーサに成膜する工程は、該スペーサ
    の真空中に露出する少なくとも一部に帯電防止膜を成膜
    する工程である請求項6記載の画像形成装置の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 スペーサに高電圧を印加する工程を、真
    空中で行う請求項1乃至7の何れか一項記載の画像形成
    装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 スペーサに高電圧を印加する工程を、気
    体中で行う請求項1乃至7の何れか一項記載の画像形成
    装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 高電圧は、低圧から徐々に昇圧してい
    く直流である請求項1乃至7の何れか一項記載の画像形
    成装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 高電圧は、低圧から徐々に昇圧してい
    く交流である請求項1乃至10の何れか一項記載の画像
    形成装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 高電圧は、低圧から徐々に昇圧してい
    くパルス電圧である請求項1乃至10の何れか一項記載
    の画像形成装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 電子ビーム源は、冷陰極素子である請
    求項1乃至12の何れか一項記載の画像形成装置の製造
    方法。
  14. 【請求項14】 電子ビーム源は、表面伝導型放出素子
    である請求項1乃至12の何れか一項記載の画像形成装
    置の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至14の何れか一項に記載
    の方法により製造されたことを特徴とする画像形成装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002071434A1 (fr) * 2001-03-07 2002-09-12 Sony Corporation Procede de traitement par cognement dans un dispositif d'affichage a ecran plat, et procede de traitement par cognement d'un substrat utilise dans un dispositif d'affichage a ecran plat

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