JP2000251243A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2000251243A
JP2000251243A JP4651899A JP4651899A JP2000251243A JP 2000251243 A JP2000251243 A JP 2000251243A JP 4651899 A JP4651899 A JP 4651899A JP 4651899 A JP4651899 A JP 4651899A JP 2000251243 A JP2000251243 A JP 2000251243A
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JP
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magnetic
powder
layer
upper layer
magnetic recording
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JP4651899A
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English (en)
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Kazuo Kato
和男 加藤
Hiroaki Doshita
廣昭 堂下
Masatoshi Takahashi
昌敏 高橋
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極微小領域での表面構造に着目して支持体の表
面性を改良し、出力、C/Nを向上させた磁気記録媒体
を提供すること。 【解決手段】支持体上に、非磁性粉末と結合剤を含む下
層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む上層を設
けた磁気記録媒体において、前記支持体表面の空間周波
数5μmにおけるスペクトル強度が0.01〜0.5の
範囲にあることを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、C/Nを改良した
高密度記録用の磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビデオ用、オーディオ用、あるいはコン
ピュータ用等の磁気記録媒体としては、強磁性酸化鉄、
Co変性強磁性酸化鉄、CrO2 、強磁性金属粉末、六
方晶フェライト粉末を結合剤中に分散した磁性層を非磁
性支持体に塗設したものが広く用いられている。例えば
強磁性粉末に強磁性金属粉末や六方晶フェライトを使用
する方法が特開昭58−122623号公報、特開昭6
1−74137号公報、特公昭62−49656号公
報、特公昭60−50323号公報、US462965
3号、US4666770号、US4543198号等
に開示されている。
【0003】また、強磁性粉末の分散性や、磁性層の表
面性を改良して特性の向上が図られている。分散性を高
める方法としては、種々の界面活性剤を用いる方法(例
えば特開昭52−156606号公報、特開昭53−1
5803号公報、特開昭53−116114号公報等)
や、種々の反応性カップリング剤を用いる方法(例え
ば、特開昭49−59608号公報、特開昭56−58
135号公報、特公昭62−28489号公報等)が提
案されている。
【0004】また、磁性層の表面性を改良する方法とし
ては、塗布、乾燥後の磁性層の表面形成処理方法による
方法(例えば、特公昭60−44725号公報)が提案
されている。
【0005】近年では、画像のデジタル化や、コンピュ
ータシステムの大容量化等により、特に強磁性金属粉末
を使用した磁気記録媒体が一般的に用いられるようにな
ってきている。そういった中でVTRやコンピュータシ
ステムは、一層の高容量化、高転送レート化が進行し、
磁気記録媒体に対しては、高記録密度化、薄手長尺化が
要請されてきている。磁気記録媒体の高記録密度を達成
するため、使用する信号の短波長化が強力に進められて
いる。信号を記録する領域の長さに対して、使用される
磁性体が比較できる大きさになると明瞭な磁化遷移状態
を作り出すことができないので、実質的に記録不可能と
なる。このため使用する高記録密度化のために、磁性体
の微粒子化が長年にわたり指向されている。
【0006】高記録密度化を達成するための別の方法と
して、例えば、特開平5ー182178号公報では非磁
性支持体上に無機質粉末と結合剤を含む下層を設け、そ
の上に強磁性粉末と結合剤を含む1.0μm以下の厚み
の上層を設けた磁気記録媒体が提案され、磁性層薄層化
により厚み損失を低減して再生出力が向上すること、無
機粉末による下層の寄与で表面性が良化してC/Nが向
上することが開示されている。そして、今日においても
更に記録密度及びC/Nの改善は強く要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極微小領域
での表面構造に着目して支持体の表面性を改良し、出
力、C/Nを向上させた磁気記録媒体を提供することを
目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に、
非磁性粉末と結合剤を含む下層を設け、その上に強磁性
粉末と結合剤を含む上層を設けた磁気記録媒体におい
て、前記支持体表面の空間周波数5μmにおけるスペク
トル強度が0.01〜0.5の範囲にあることを特徴と
する磁気記録媒体に関するものである。従来、磁気記録
媒体に使用する支持体の中心面平均表面粗さ(Ra)等
を小さくして、磁性層の表面性を改良することにより、
C/Nの向上がなされてきたが、最近では改良の度合い
が飽和傾向にあり、大幅な向上はむずかしくなりつつあ
る。本発明は、極微小部での支持体の表面構造に着目し
て出力、C/N向上を検討したところ、原子力間顕微鏡
(AFM)で測定される、空間周波数5μmでのスペク
トル強度を特定範囲に小さくすることで、大幅に出力、
C/Nを改善できることを見出した。
【0008】本発明における支持体表面の空間周波数5
μmにおけるスペクトル強度は、0.01〜0.5であ
るが、0.02〜0.4が好ましい。ここで、スペクト
ル強度がこの範囲にある支持体表面とは、少なくとも下
層及び上層が設けられる側の表面を指し、片面でも両面
でもよい。すなわち磁性層側のみならず、バック層側で
も良く、ディスクのような場合は両面でもよい。このス
ペクトル強度は、例えば、米国デジタルインスツルメン
ト社製AFM(Nanoscope) を用いて測定することができ
る。その測定条件は、稜角70°のピラミダル探針を用
いて、コンタクトモード条件で、測定領域は30μm×
30μm、データポイント512×512で得られた表
面形状データに対し、2次元の高速フーリエ変換を施
し、空間周波数(波長)とスペクトル強度の関係を求
め、空間周波数周5μmにおけるスペクトル強度を読み
取るものであり、本発明では、無作為に3ヶ所測定し、
その平均をとる。このスペクトル強度は、0.01未満
になると、磁気記録媒体を生産するプロセスにおいて支
持体のハンドリングが難しくなり、スペクトル強度が
0.5を超えると出力、C/Nの改善効果が小さくな
る。このような特徴を与えることができる支持体として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ
−ストリアセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド
(脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド)、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオ
キサゾールなどの公知のフィルムを挙げることができ、
上記スペクトル強度を測定することにより、市販のもの
の中から本発明に使用できる支持体を選択することがで
きる。特に好ましくはポリエチレンナフタレート、ポリ
アミド、ポリエチレンテレフタレートを挙げることがで
きる。また、上記本発明の範囲のスペクトル強度を満足
する支持体は、例えば、支持体中に粒径及び含有量が調
整されたフィラーを含有させること等によりスペクトル
強度を制御し、製造することができる。フィラ−の一例
としてはCa、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩等の無
機粒子の他、ポリスチレンやアクリル系樹脂などの有機
微粒子が挙げられる。また必要に応じ、上下層塗設面と
その反対面の表面粗さを変えるために、特開平3−22
4127に示されるような積層タイプの支持体とするこ
ともできる。本発明に使用される支持体は、上記条件を
満足するならばコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着
処理、熱処理、除塵処理などが施されたものでも良い。
支持体の厚みとしては、2.5〜100μm、テープの
場合は体積密度を大きくするため好ましくは、2.5〜
10μm、更に好ましくは3〜8μmである。ディスク
の場合は、好ましくは20〜100μm、更に好ましく
は25〜70μmである。
【0009】本発明に用いられる支持体のF−5値は、
好ましくは5〜50Kg/mm2、また、支持体の100℃3
0分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに好まし
くは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は好まし
くは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。
破断強度は5〜100Kg/mm2、弾性率は100〜200
0Kg/mm2が好ましい。温度膨張係数は通常、10-4〜1
-8/℃であり、好ましくは10-5〜10-6/℃であ
る。湿度膨張係数は通常、10-4/RH%以下であり、好ま
しくは10-5/RH%以下である。
【0010】上層の厚みは高密度記録の磁気記録方式や
磁気ヘッドから要求される性能に適合するように好まし
くは0.05〜0.5μm、更に好ましくは0.05〜
0.3μmの薄層に選択される。均一でかつ薄層にした
このような超薄層上層は微粒子の強磁性粉末及び研磨剤
等の非磁性粉を分散剤の使用と分散性の高い結合剤の組
み合わせにより高度に分散させ、高充填化を図ることが
できる。使用される磁性体は高密度領域の適性を最大限
に引き出すために、高出力、高分散性、配向性に優れた
強磁性粉末を使用することができる。即ち非常に微粒子
な強磁性金属粉末、好ましくは、平均長軸長が0.12
μm以下で、結晶子サイズが80Å〜180Åで、更に
Coを多く含み、焼結防止剤としてAlやY化合物を含
む強磁性金属粉末を用いることにより高出力、高耐久性
が達成できる。また微粒子六方晶フェライトは、垂直磁
気異方性に基づく高い高密度特性を持っているので、本
発明に使用すると好適である。
【0011】本発明の磁気記録媒体の上層の抗磁力(H
c)は、好ましくは1800エルステッド以上であり、
更に好ましくは2000エルステッド以上であり、特に
好ましくは2200〜5000エルステッドである。上
限は明確ではないが、記録ヘッドの改良にともない上限
が拡大すると考えられる。1800エルステッド未満で
は本発明が指向する高記録密度は達成されない。上層の
最大磁束密度(Bm)は通常、1800〜6500ガウ
スである。上層の磁化量(飽和磁束密度×上層厚み/4
π)は1.0〜8.0memu/cm2が好ましく、更に好まし
くは1.5〜7memu/cm2の範囲である。システムで使用
されるヘッドとの関係で、上層の抗磁力、上層厚み、上
層の磁化量を最適化することができる。
【0012】本発明の上層の中心面平均表面粗さ(R
a)は、好ましくは0.5〜3.0nm、更に好ましく
は2.7nm以下、特に好ましくは2.5nm以下であ
る。3.0nmを越えると磁気記録媒体とヘッドのスペ
ーシングロスが大きくなり、出力が低く、ノイズが高く
なる場合があり、本発明の磁気記録媒体が有する媒体性
能を発揮出来ない場合がある。0.5nmに満たないと
上層が磁気ヘッドにより損傷を受けやすくなる場合があ
り、好ましくない場合がある。Raは、WIKO社製H
D−2000を用いて測定波長770nmにてMIRA
U法で約250μm×180μmの面積から、傾き補
正、円筒補正を加えて測定される値をいう。
【0013】耐久性は磁気記録媒体にとって重要な要素
である。特に高転送レートを実現するために磁気ヘッド
の回転数を、従来の記録システムに比べて0.5〜1桁
以上上げる必要があり、磁気ヘッド/カートリッジ内部
品と媒体とが高速摺動する場合の媒体の耐久性の確保は
重要な課題である。媒体の耐久性を向上させる手段に
は、媒体自身の膜強度を上げる結合剤処方と、磁気ヘッ
ドとの滑り性を維持する潤滑剤処方がある。本発明の媒
体では超薄層の上層に適した3次元ネットワーク結合剤
システムを用い、高速回転時における走行の安定性、耐
久性を確保し、高転送レートを実現している。
【0014】潤滑剤は、使用される種々の温・湿度環境
下でそれぞれ優れた効果を発揮する潤滑剤を複数組み合
わせて本発明に使用すると、広範囲な温度(低温、室
温、高温)、湿度(低湿、高湿)環境下でも各潤滑剤が
それぞれ機能を有効に発揮し、総合的に安定した潤滑効
果を維持できるという効果を奏する。また上下2層の構
造を活用し、下層に潤滑剤のタンク効果を持たせること
で上層に常に適量の潤滑剤が供給され、上層の耐久性が
向上できる。超薄層の上層に含ませることが出来る潤滑
剤量には限度があり、単純に上層をうすくすることは潤
滑剤の絶対量が減少し、走行耐久性の劣化につながるの
で耐久性を確保することは困難な場合があるが、上下2
層に別々の機能を持たせ、互いに補完することで電磁変
換特性の向上と耐久性の向上が両立できる。この機能分
化は磁気ヘッドとメデイアを高速摺動させるシステムで
は特に有効である。
【0015】下層には潤滑剤の保持機能の他に表面電気
抵抗のコントロール機能を付与できる。一般に電気抵抗
のコントロールには、上層中にカーボンブラック等の固
体導電材料を加えることが多い。これらは強磁性粉末の
充填密度を上げることの制約となるほか、上層が薄層に
なるに従い、表面粗さにも影響を与える。下層に導電材
料を加えることによってこれらの欠点を除くことができ
る。また下層のクッション効果は良好なヘッドタッチと
安定した走行性をもたらすことができる。
【0016】磁気記録の大容量化/高密度化に伴い、記
録トラック密度が向上する。一般には媒体上にサーボ記
録エリアを設け、記録トラックに対する磁気ヘッドのト
レーサビリテイを確保している。本発明の磁気記録媒体
では支持体として等方的寸度安定性を高めた支持体を使
用することにより、トレーサビリテイの一層の安定化を
図ることができる。
【0017】マルチメデイア社会になり、画像記録への
ニーズは産業界のみならず家庭でも益々強くなってお
り、本発明の大容量磁気記録媒体は単に文字、数字など
のデータ以外に、画像記録用媒体としての機能/コスト
の要請に十分応えられる能力を持つものである。本発明
の大容量媒体は実績のある塗布型磁気記録媒体をベース
としており、長期信頼性に富み、またコストパフォーマ
ンスに優れているものである。
【0018】本発明の諸特性の優れた好ましい磁気記録
媒体は、前記本発明の要件と以上のような種々の要因と
の相乗的、有機的な組み合わせにより達成されるもので
ある。
【0019】
【発明の実施の形態】[上層]本発明の磁気記録媒体で
は、下層と、上層(即ち、磁性層である)を支持体の片
面だけでも、両面に設けても良い。上下層は下層を塗布
後、下層が湿潤状態の内(Wet on Wet)で
も、乾燥した後(Wet on Dry)にでも上層を
設けることが出来る。生産得率の点から同時、又は逐次
湿潤塗布が好ましい。
【0020】[強磁性金属粉末]本発明の上層に使用す
る強磁性粉末としては、強磁性金属粉末が好ましいが、
六方晶フェライト粉末を用いてもよい。強磁性金属粉末
としては、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末が好
ましい。強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、S
i、Ca、Mg、Ti、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、
Ba、W、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、
Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわな
い。特に、Al、Ca、Mg、Y、Ba、La、Nd、
Sm、Co、Niの少なくとも1つ以上をα−Fe以外
に含むことが好ましい。CoはFeと合金を作ると飽和
磁化が増加し、かつ減磁が改良されるので特に好まし
い。Coの含有量はFeに対して1原子%〜40原子%
が好ましく、さらに好ましくは5原子%〜35原子%で
ある。Y等の希土類元素の含有量は1.5原子%〜12
原子%が好ましく、さらに好ましくは3原子%〜10原
子%、より好ましくは4原子%〜9原子%である。Al
は1.5原子%〜12原子%が好ましく、さらに好まし
くは3原子%〜10原子%、より好ましくは4原子%〜
9原子%である。これらの強磁性粉末にはあとで述べる
分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前
にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、
特公昭44−14090号、特公昭45−18372
号、特公昭47−22062号、特公昭47−2251
3号、特公昭46−28466号、特公昭46−387
55号、特公昭47−4286号、特公昭47−124
22号、特公昭47−17284号、特公昭47−18
509号、特公昭47−18573号、特公昭39−1
0307号、特公昭46−39639号、米国特許第3
026215号、同3031341号、同310019
4号、同3242005号、同3389014号などに
記載されている。
【0021】強磁性金属粉末には少量の水酸化物、また
は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製
造方法により得られたものを用いることができ、下記の
方法を挙げることができる。焼結防止処理を行った含水
酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe
あるいはFe−Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩
(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元
する方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強
磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン
酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元す
る方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末
を得る方法などである。このようにして得られた強磁性
金属粉末は公知の徐酸化処理する。含水酸化鉄、酸化鉄
を水素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活
性ガスの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を
形成する方法が、減磁量が少なくこのましい。
【0022】本発明の磁性層の強磁性粉末をBET法に
よる比表面積(以下、「SBET 」と記す)で表せば通
常、40〜80m2 /gであり、好ましくは45〜70
2 /gである。40m2 /g未満ではノイズが高くな
り、80m2 /gを超えると平滑な表面が得にくく好ま
しくない。本発明の磁性層の強磁性粉末の結晶子サイズ
は通常、80〜180Åであり、好ましくは100〜1
70Å、更に好ましくは110〜165Åである。強磁
性粉末の平均長軸長は好ましくは0.03μm〜0.1
2μmであり、更に好ましくは0.03〜0.10μm
である。強磁性粉末の針状比は3〜15が好ましく、さ
らには3〜10が好ましい。磁性金属粉末の飽和磁化
(σs )は通常、90〜170emu/gであり、好ましく
は100emu/g〜160emu/g 、更に好ましくは110
〜160emu/g である。強磁性金属粉末の抗磁力は17
00エルステッド〜3500エルステッドが好ましく、
更に好ましくは1800エルステッド〜3000エルス
テッドである。
【0023】強磁性金属粉末の含水率は0.1〜2重量
%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性粉
末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性粉末のp
Hは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが
好ましい。その範囲は通常、6〜12であるが、好まし
くは7〜11である。強磁性金属粉末のSA(ステアリ
ン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は通常、1〜15
μmol/m2、好ましくは2〜10μmol/m2、さらに好ま
しくは3〜8μmol/m2である。ステアリン酸吸着量が多い強
磁性金属粉末を使用する時、表面に強く吸着する有機物
で表面修飾して磁気記録媒体を作成することが好まし
い。強磁性粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、
Sr、NH4、SO4、Cl、NO2、NO3などの無機イ
オンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好
ましい。各イオンの総和が300ppm以下程度であれ
ば、特性には影響しない。また、本発明に用いられる強
磁性粉末は空孔が少ないほうが好ましくその値は20容
量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。また
形状については先に示した粒子サイズ、磁気特性を満足
すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。
強磁性粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、強磁性
粉末のHc分布を小さくすることが好ましい。テ−プの
SFD(switching field distribution) が小さいと、
磁化反転がシャープでピークシフトが小さくなり、高密
度デジタル磁気記録に好適である。Hc分布を小さくす
るためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイトの粒
度分布を良くする、単分散αFe2O3を使用する、粒子間
の焼結を防止するなどの方法がある。
【0024】[六方晶フェライト粉末]本発明の上層に
含まれる六方晶フェライトとしてバリウムフェライト、
ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウム
フェライトおよびこれらの各種の各置換体、Co置換体
等がある。具体的にはマグネトプランバイト型のバリウ
ムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネル
で粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライ
ト、更に一部スピネル相を含有した複合マグネトプラン
バイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェ
ライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、S
i、S、Nb、Sn、Ti、V、Cr、Cu、Y、M
o、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、W、Re、
Au、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、M
n、Zn、Ni、B、Ge、Nbなどの原子を含んでも
かまわない。一般にはCo−Zn、Co−Ti、Co−
Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、N
b−Zn−Co、SnーZn−Co、Sn−Co−T
i、Nb−Zn等の元素を添加した物を使用することが
できる。原料・製法によっては特有の不純物を含有する
ものもある。六方晶フェライト粉末の粒子サイズは、六
角板の最大長径の平均(以下、「平均板径」という)で
通常、10〜50nm、好ましくは10〜40nmであり、
特に好ましくは10〜35nmである。
【0025】特にトラック密度を上げるため磁気抵抗ヘ
ッド(MRヘッド)で再生する場合、低ノイズにする必
要があり、平均板径は35nm以下が好ましいが、10nm
未満では熱揺らぎのため安定な磁化が望めない場合があ
る。50nmを超えるとノイズが高く、いずれも高密度磁
気記録には向かない場合がある。板状比(平均板径/平
均板厚)は1〜15が望ましい。好ましくは1〜7であ
る。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ま
しいが、十分な配向性が得られない場合がある。15よ
り大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きく
なる場合がある。この粒子サイズ範囲のSBET は30〜
200m2 /gを示す。SBET は概ね粒子板径と板厚か
らの算術計算値と符号する。粒子板径・板厚の分布は狭
いほど好ましい。数値化は困難であるが、粒子のTEM
(透過型電子顕微鏡)写真より約500粒子を無作為に
測定する事で比較できる。分布は正規分布ではない場合
が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差(σ)
で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。磁性
体のサイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系を
できるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良
処理を施すことも行われている。たとえば酸溶液中で超
微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。ガ
ラス化結晶法では、熱処理を複数回行い、核生成と成長
を分離することでより均一な粒子を得ている。磁性粉で
測定された抗磁力Hcは500〜5000エルステッド
程度まで作成できる。高Hcの方が高密度記録に有利で
あるが、記録ヘッドの能力で制限される。Hcは粒子サ
イズ(平均板径・平均板厚)、含有元素の種類と量、元
素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御でき
る。σsは30〜70emu/gである。σsは、微粒子にな
るほど小さくなる傾向がある。製法では結晶化温度、ま
たは熱処理温度時間を小さくする方法、添加する化合物
を増量する、表面処理量を多くする方法等がある。また
W型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性
体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに
合った物質で処理することも行われている。表面処理材
は無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物と
してはSi、Al、P等の酸化物または水酸化物、各種
シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代
表例である。量は磁性体に対して0.1〜10重量%で
ある。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12
程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の
化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。
磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリ
マーにより最適値があるが通常0.1〜2.0重量%が
選ばれる。六方晶フェライトの製法としては、炭酸バ
リウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成
物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になる
ように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次い
で再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライ
ト結晶粉体を得るガラス化結晶法、バリウムフェライ
ト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去
した後100℃以上で液相加熱後、洗浄・乾燥・粉砕し
てバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、バ
リウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、
副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、
粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等が
あるが、本発明は製法を選ばない。
【0026】[下層]次に下層に関する詳細な内容につ
いて説明する。本発明の下層は、実質的に非磁性であ
り、非磁性粉末と結合剤を含む構成であれば、特に制限
されるべきものではない。下層は実質的に非磁性である
範囲で磁性粉末も使用され得るものである。下層が実質
的に非磁性であるとは、上層の電磁変換特性を実質的に
低下させない範囲で下層が磁性を有することを許容する
ということである。
【0027】非磁性粉末としては、例えば、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属窒化物、金属炭化物等の無機化合
物から選択することができる。無機化合物としては例え
ばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ
−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、
酸化セリウム、α−酸化鉄、ゲータイト、窒化珪素、二
酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、など
が単独または組合せで使用される。特に好ましいのは、
粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、
二酸化チタン、酸化亜鉛、α−酸化鉄、硫酸バリウムで
あり、更に好ましいのは二酸化チタン、α−酸化鉄であ
る。α−酸化鉄は、粒子サイズがそろった磁性酸化鉄や
メタル用原料を加熱脱水、アニ−ル処理し空孔を少なく
し、必要により表面処理をしたものが好ましい。通常、
二酸化チタンは光触媒性を持っているので、光があたる
とラジカルが発生しバインダー、潤滑剤と反応する懸念
がある。このため、本発明し使用する二酸化チタンは、
Al、Fe等を1〜10%固溶させ光触媒特性を低下さ
せることが必要である。さらに表面をAl、Si化合物
で処理し、触媒作用を低下させることが好ましい。これ
ら非磁性粉末の粒子サイズは0.005〜1μmが好ま
しいが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を
組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広く
して同様の効果をもたせることもできる。本明細書にお
いて、数値を伴った粒子サイズとは、形状が特に限定さ
れない時に用いられる用語であり、形状が球状乃至多面
体状の場合は、平均円相当径を指し、針状の場合は平均
長軸長を指し、板状の場合は、平均板径を指し、各々の
粒子のTEM写真より無作為に選択し測定した値の算術
平均を言う。形状が特定な場合は、上記と同様な意味で
平均円相当径、平均長軸長又は平均板径を用いる。とり
わけ好ましいのは非磁性粉末の粒子サイズは0.01μ
m〜0.5μmである。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化
物である場合は、平均円相当径0.08μm以下が好ま
しく、針状金属酸化物である場合は、平均長軸長が0.
3μm以下が好ましく、0.2μm以下がさらに好まし
い。タップ密度は通常、0.3〜1.5g/ml、好ましく
は0.4〜1.3g/mlである。非磁性粉末の含水率は通
常、0.2〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、
更に好ましくは0.3〜1.5重量%である。非磁性粉
末のpHは通常、2〜12であるが、pHは5.5〜1
1の間が特に好ましい。非磁性粉末のSBET は通常、1
〜100m2 /g、好ましくは5〜80m2 /g、更に
好ましくは10〜80m2 /gである。非磁性粉末の結
晶子サイズは40〜1000Åが好ましく、40〜80
0Åが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を
用いた吸油量は通常、5〜100ml/100g、好ましくは
10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100g
である。比重は通常、1.5〜7、好ましくは3〜6で
ある。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも
良い。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜
20μmol/m2 、好ましくは2〜15μmol/m2 、さ
らに好ましくは3〜8μmol/m2 である。ステアリン酸吸着
量が多い非磁性粉末を使用する時、表面に強く吸着する
有機物で表面修飾して磁気記録媒体を作成することが好
ましい。これらの非磁性粉末の表面にはAl、Mg、S
i、Ti、Zr、Sn、Sb、Zn、Y等の元素を含む
化合物で表面処理することが好ましい。この表面処理に
よりその表面に形成される酸化物として、特に分散性に
好ましいのはAl23、SiO2、TiO2 、ZrO
2 、MgOおよびこれらの含水酸化物であるが、更に好
ましいのはAl23、SiO2 、ZrO2 およびこれ
らの含水酸化物である。これらは組み合わせて使用して
も良いし、単独で用いることもできる。また、目的に応
じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアル
ミナを形成した後にその表層にシリカを形成する方法、
またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処
理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質
で密である方が一般には好ましい。
【0028】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT−100、HIT−82、戸田工業製α−酸化鉄
DPN−250BX、DPN−245、DPN−270
BX、DPN−550BX、DPN−550RX、DB
N−650RX、DAN−850RX、石原産業製酸化
チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55
B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55
D、SN−100、チタン工業製酸化チタンSTT−4
D、STT−30D、STT−30、STT−65C、
α−酸化鉄α−40、テイカ製酸化チタンMT−100
S、MT−100T、MT−150W、MT−500
B、MT−600B、MT−100F、MT−500H
D、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−1
0、BF−20、ST−M、同和鉱業製酸化鉄DEFI
C−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2B
M、TiO2 P25、宇部興産製100A、500A、
及びそれを焼成したものが挙げられる。
【0029】下層にカ−ボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすること、所望のマイクロビッカース硬度を得
る事ができる。尚、本発明において、下層に使用するカ
ーボンブラックは上記非磁性粉末として含んでも良い。
また、下層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤
貯蔵の効果をもたらすことも可能である。カーボンブラ
ックの種類はゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラ
ー用ブラック、導電性カーボンブラック、アセチレンブ
ラック等を用いることができる。下層のカーボンブラッ
クは所望する効果によって、以下のような特性を最適化
すべきであり、併用することでより効果が得られること
がある。
【0030】下層のカーボンブラックのSBET は通常、
50〜500m2 /g、好ましくは70〜400m2
g、DBP吸油量は通常、20〜400ml/100g、好ま
しくは30〜400ml/100gである。カ−ボンブラック
の平均円相当径は通常、5〜80nm、好ましくは10〜
50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボ
ンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10重
量%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。本発
明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としては
キャボット製 BLACKPEARLS 2000、1
300、1000、900、800、880、700、
VULCAN XC−72、三菱化学製#3050B、
#3150B、#3750B、#3950B、#95
0、#650B、#970B、#850B、MA−60
0、MA−230、#4000、#4010、コンロン
ビアカ−ボン製 CONDUCTEX SC、RAVE
N8800、8000、7000、5750、525
0、3500、2100、2000、1800、150
0、1255、1250、アクゾー製ケッチェンブラッ
クECなどがあげられる。カーボンブラックを分散剤な
どで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用して
も、表面の一部をグラファイト化したものを使用しても
かまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する
前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これら
のカーボンブラックは上記非磁性粉末に対して50重量
%を越えない範囲、下層総重量の40重量%を越えない
範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、
または組合せで使用することができる。本発明で使用で
きるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便
覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることがで
きる。
【0031】また下層には有機質粉末を目的に応じて、
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
−18564号、特開昭60−255827号に記され
ているようなものが使用できる。
【0032】下層の結合剤(種類と量)、潤滑剤・分散
剤・添加剤の量、種類、溶剤、分散方法に関しては上層
に関する公知技術が適用できる。 [結合剤]本発明に使用される結合剤としては従来公知
の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの
混合物が使用される。熱可塑性樹脂としては、ガラス転
移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,00
0〜200,000、好ましくは10,000〜100,
000、重合度が約50〜1000程度のものである。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニ
ルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エ
ステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリ
ル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、
エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニ
ルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重
合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。ま
た、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール
樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹
脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ
−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネート
プレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリ
イソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシア
ネートの混合物等があげられる。これらの樹脂について
は朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細
に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各
層に使用することも可能である。これらの例とその製造
方法については特開昭62−256219に詳細に記載
されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用でき
るが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアル
コール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸
共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン
樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組
み合わせたものがあげられる。
【0033】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2
−O−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子、
またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+
3 (Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−C
N、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を
共重合または付加反応で導入したものをもちいることが
好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/
gであり、好ましくは10-2〜10 -6モル/gである。
【0034】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト製VAGH、VYH
H、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYE
S、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKH
H、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業製、
MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MP
R−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−
TM、MPR−TAO、電気化学製1000W、DX8
0、DX81、DX82、DX83、100FD、日本
ゼオン製MR−104、MR−105、MR110、M
R100、MR555、400X−110A、日本ポリ
ウレタン製ニッポランN2301、N2302、N23
04、大日本インキ製パンデックスT−5105、T−
R3080、T−5201、バーノックD−400、D
−210−80、クリスボン6109、7209、東洋
紡製バイロンUR8200、UR8300、UR−87
00、RV530、RV280、大日精化製、ダイフェ
ラミン4020、5020、5100、5300、90
20、9022、7020、三菱化学製、MX500
4、三洋化成製サンプレンSP−150、旭化成製サラ
ンF310、F210などが挙げられる。
【0035】本発明の下層、上層に用いられる結合剤は
非磁性粉末または強磁性粉末に対し、通常、5〜50重
量%の範囲、好ましくは10〜30重量%の範囲で用い
られる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30重量
%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20重量%、
ポリイソシアネートは2〜20重量%の範囲でこれらを
組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の
脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタン
のみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用す
ることも可能である。本発明において、ポリウレタンを
用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ま
しくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000
%、破断応力は0.05〜10Kg/mm2、降伏点は0.0
5〜10Kg/mm2が好ましい。
【0036】本発明の磁気記録媒体は上層と下層の二層
からなる。ただし、上層を異なる磁気特性を有する2層
以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する
構成が適用できる。下層も同様に複数層で構成してもよ
い。尚、本明細書において、上層厚みは、上層が単層の
磁性層である場合は、その磁性層の厚みを言い、上層が
複数の磁性層からなっているときには最上層の厚みを言
う。下層厚みは、それが単層の非磁性層でも複数の非磁
性層でもそれらの非磁性層の総和の厚みを言う。従っ
て、結合剤量、結合剤中に占める塩化ビニル系樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あるいはそれ以
外の樹脂の量、各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先
に述べた樹脂の物理特性などを必要に応じそれぞれの層
で変えることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適
化すべきであり、多層磁性層に関する公知技術を適用で
きる。例えば、各層で結合剤量を変更する場合、最上層
表面の擦傷を減らすためには上層の結合剤量を増量する
ことが有効であり、ヘッドに対するヘッドタッチを良好
にするためには、下層の結合剤量を多くして柔軟性を持
たせることができる。
【0037】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1、
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これ
らのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネート等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン製、コロネートL、コロネートHL、コロネー
ト2030、コロネート2031、ミリオネートMR、
ミリオネートMTL、武田薬品製、タケネートD−10
2、タケネートD−110N、タケネートD−200、
タケネートD−202、住友バイエル製、デスモジュー
ルL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモ
ジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性
の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層と
も用いることができる。
【0038】[カーボンブラック]本発明の上層に使用
されるカーボンブラックはゴム用ファ−ネス、ゴム用サ
−マル、カラ−用ブラック、導電性カーボンブラック、
アセチレンブラック、等を用いることができる。SBET
は、5〜500m2 /g、DBP吸油量は10〜400
ml/100g、平均円相当径は5nm〜300nm、pH
は2〜10、含水率は0.1〜10重量%、タップ密度
は0.1〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられる
カーボンブラックの具体的な例としてはキャボット製、
BLACKPEARLS 2000、1300、100
0、900、905、800、700、VULCAN
XC−72、旭カ−ボン製、#80、#60、#55、
#50、#35、三菱化学製、#2400B、#230
0、#900、#1000、#30、#40、#10
B、コロンビアンカ−ボン製、CONDUCTEX S
C、RAVEN 150、50、40、15、RAVE
N−MT−P、アクゾー社製、ケッチェンブラックE
C、などがあげられる。カーボンブラックを分散剤など
で表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、
表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかま
わない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する
前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これら
のカーボンブラックは単独、または組合せで使用するこ
とができる。カーボンブラックを使用する場合は強磁性
粉末に対する量の0.1〜30重量%でもちいることが
好ましい。カーボンブラックは上層の帯電防止、摩擦係
数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、こ
れらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って本
発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上層、下
層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ
各層で最適化すべきものである。本発明の上層で使用で
きるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便
覧」カーボンブラック協会編 を参考にすることができ
る。
【0039】[研磨剤]本発明に用いられる研磨剤とし
てはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、
炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、
コランダム、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、
酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモ
−ス硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用
される。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を
他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。こ
れらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含ま
れる場合もあるが主成分が90重量%以上であれば効果
にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01
〜0.3μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜
0.25μmである。特に電磁変換特性を高めるために
は、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向
上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を
組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして
同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は
0.3〜1.5g/cc、含水率は0.1〜5重量%、pH
は2〜11、SBET は1〜40m2 /gが好ましい。本
発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ
状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するもの
が研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AK
P−10、AKP−15、AKP−20、AKP−3
0、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HI
T−50、HIT−60A、HIT−70、HIT−8
0、HIT−82、HIT−100、レイノルズ社製E
RC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見
研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日
本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメック
スU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデ
ン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製
B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ
下層に添加することもできる。下層に添加することで表
面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりす
ることができる。これら上層、下層の添加する研磨剤の
粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
【0040】[添加剤]本発明の上層と下層に使用され
る、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効
果、可塑効果などをもつものが使用される。二硫化モリ
ブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ
素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシリ
コーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコー
ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリ
オレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルお
よびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよび
そのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニル
ホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニ
ル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホス
フィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング
剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の
一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐して
いてもかまわない)、およびこれらの金属塩(Li、N
a、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一価、
二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合
を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数
12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を含ん
でも、また分岐していてもかまわない)、炭素数10〜
24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二
価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ
(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわな
い)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エス
テルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重
合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数
8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミ
ン、などが使用できる。
【0041】これらの具体例としては脂肪酸では、カプ
リン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン
酸、などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレ
ート、オクチルステアレート、アミルステアレート、イ
ソオクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチ
ルミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキ
シジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレ
ート、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシ
ルドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレー
ト、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリ
デシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチル
グリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレ
イル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ラウリルアルコール、などがあげられ
る。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グ
リシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド
付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステ
ルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導
体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等
のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、
燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基
を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホ
ン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル
類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用
できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤
便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%
純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応
物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわな
い。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、さら
に好ましくは10重量%以下である。
【0042】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併
用比率は目的に応じ最適に定められるべきものである。
下層、上層で融点の異なる脂肪酸を用い表面へのにじみ
出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル類
を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を
調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添
加量を下層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えら
れ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。
一般には潤滑剤の総量として上層の強磁性粉末または下
層の非磁性粉末に対し、0.1重量%〜50重量%、好
ましくは2重量%〜25重量%の範囲で選択される。
【0043】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性および非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない。例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて上層を塗布した後、同時または逐次塗
布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより目
的が達成される場合がある。また、目的によってはカレ
ンダ−した後、またはスリット終了後、上層表面に潤滑
剤を塗布することもできる。
【0044】本発明で用いられる有機溶剤は公知のもの
が使用でき、例えば特開平6−68453に記載の溶剤
を用いることができる。
【0045】[層構成]非磁性可撓性支持体と下層また
上層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかま
わない。本下塗層厚みは通常、0.01〜0.5μm、
好ましくは0.02〜0.5μmである。この場合、帯
電防止やカール補正などの効果を出すために下層、上層
側と反対側にバック層を設けてもかまわない。この厚み
は通常、0.1〜4μm、好ましくは0.3〜2.0μ
mである。これらの下塗層、バック層は公知のものが使
用できる。
【0046】本発明の媒体の上層の厚みは用いるヘッド
の飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域によ
り最適化されるものであるが、好ましくは、0.05μ
m〜0.5μmであり、更に好ましくは0.05μm〜
0.30μmである。
【0047】本発明になる媒体の下層の厚みは通常、
0.2〜5.0μm、好ましくは0.3〜3.0μm、
さらに好ましくは0.5〜2.5μmである。なお、本
発明媒体の下層は実質的に非磁性であればその効果を発
揮するものであり、たとえば不純物としてあるいは意図
的に少量の磁性体を含んでも、本発明の効果を示すもの
であり、本発明と実質的に同一の構成と見なすことがで
きることは言うまでもない。実質的に非磁性とは下層の
残留磁束密度が500ガウス以下もしくは抗磁力が上層
の約40%以下であることを示し、好ましくは残留磁束
密度と抗磁力がゼロであることをいう。
【0048】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗料
を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、お
よびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程
からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれて
いてもかまわない。本発明に使用する磁性体、非磁性粉
体、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、
潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または
途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ
以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、
ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整
のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の
目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部
の工程として用いることができる。混練工程ではオープ
ンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダな
ど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニ
ーダを用いる場合は磁性体または非磁性粉体と結合剤の
すべてまたはその一部(ただし全結合剤の30重量%以
上が好ましい)および磁性体100重量部に対し15〜
500重量部の範囲で混練処理される。これらの混練処
理の詳細については特開平1−106338、特開平1
−79274に記載されている。また、上層塗料および
下層塗料を分散させるにはガラスビーズを用ることがで
きるが、高比重の分散メディアであるジルコニアビー
ズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。こ
れら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられ
る。分散機は公知のものを使用することができる。分散
速度がことなる磁性体、研磨剤、カーボンブラックをあ
らかじめ別々に分散し、混合し必要によりさらに微分散
して塗布液とすることができる。
【0049】本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1−46186や特開昭60−238
179、特開平2−265672に開示されている支持
体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布
する方法、第二に特開昭63−88080、特開平2−
17971、特開平2−265672に開示されている
ような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘ
ッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法、第三に特
開平2−174965に開示されているバックアップロ
ール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほ
ぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集に
よる磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するた
め、特開昭62−95174や特開平1−236968
に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗
布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布
液の粘度については、特開平3−8471に開示されて
いる数値範囲を満足する必要がある。本発明の構成を実
現するには下層を塗布し乾燥させたのち、その上に上層
を設ける逐次重層塗布をもちいてもむろんかまわず、本
発明の効果が失われるものではない。ただし、塗布欠陥
を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上させるた
めには、前述の同時重層塗布を用いることが好ましい。
【0050】カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリ
イミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあ
るプラスチックロールまたは金属ロールで処理すること
が好ましい。処理温度は、好ましくは50℃以上、さら
に好ましくは90℃以上である。線圧力は好ましくは2
00Kg/cm以上、さらに好ましくは300Kg/cm以上であ
る。
【0051】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は温度−10℃から40℃、湿度0%から95%
の範囲において通常、0.5以下、好ましくは0.3以
下、表面固有抵抗は好ましくは磁性面で104〜1012
オ−ム/sq、帯電位は−500Vから+500V以内が好
ましい。上層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で
好ましくは100〜2000Kg/mm2、破断強度は好まし
くは10〜70Kg/mm2、磁気記録媒体の弾性率は面内各
方向で好ましくは100〜1500Kg/mm2、残留のびは
好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度
での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ましくは
0.5%以下、もっとも好ましくは0.1%以下であ
る。上層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘
弾性測定の損失弾性率の極大点)は50℃以上120℃
以下が好ましく、下層のそれは0℃〜100℃が好まし
い。損失弾性率は1×108 〜8×109dyne/cm2の範
囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下である
ことが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発
生しやすい。上層中に含まれる残留溶媒は好ましくは1
00mg/m2 以下、さらに好ましくは10mg/m2 以下であ
る。塗布層が有する空隙率は下層、上層とも好ましくは
30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下であ
る。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好まし
いが、目的によってはある値を確保した方が良い場合が
ある。
【0052】本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ下層
と上層でこれらの物理特性を変えることができるのは容
易に推定されることである。例えば、上層の弾性率を高
くし走行耐久性を向上させると同時に下層の弾性率を上
層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くす
るなどである。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例を用いて具体
的に説明するが、本発明はこれに限定されるべきではな
い。各例において、「部」は特に指定しない限り「重量
部」を意味する。 実施例1〜6、比較例1〜3 上層用塗料組成 強磁性金属粉末 : 100部 (Co/Fe:30原子%、Al/Fe:10原子%、Y/Fe:6原子% Hc:2350エルステッド、σs 145emu/g 、SBET :48m2 /g 平均長軸長:表1、結晶子サイズ:140Å、pH:9) 塩化ビニル重合体(日本ゼオン社製MR110) 12部 ポリウレタン樹脂(東洋紡社製UR8200) 3部 カーボンブラック(平均円相当径:80nm) 1部 アルミナ(平均円相当径:0.15μm) 5部 フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸(工業用) 4部 ステアリン酸secブチル(工業用) 10部 シクロヘキサノン 180部 メチルエチルケトン 180部 下層用塗料組成 非磁性粉末 α−Fe23 80部 (平均長軸長:0.15μm、SBET :50m2 /g、pH:9、 表面にAl23 が粒子全体に対し1重量%存在) α−Al2 3 (平均円相当径:0.15μm) 5部 カーボンブラック(コンダクテックスSC) 20部 塩化ビニル樹脂(日本ゼオン製MR110) 12部 ポリウレタン樹脂(東洋紡社製UR8200) 5部 フェニルホスホン酸 3部 ステアリン酸(工業用) 4部 ステアリン酸secブチル(工業用) 10部 シクロヘキサノン 175部 メチルエチルケトン 75部 上記上層用塗料組成、下層用塗料組成のそれぞれについ
て、顔料、ポリ塩化ビニル、フェニルホスホン酸と処方
量の50%の各溶剤をニ−ダで混練したのち、ポリウレ
タン樹脂と残りの成分を加えてサンドミルで分散した。
得られた分散液にポリイソシアネートを上層用塗料には
14部、下層用塗料には15部を加え、さらにそれぞれ
にシクロヘキサノン30部を加え、1μmの平均孔径を
有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料および上
層用塗料をそれぞれ調製した。
【0054】得られた下層用塗料を、厚さ4.4μmの
表1に示す支持体上に乾燥後の下層厚みが1.7μmに
なるように、さらにその上に上層用塗料を、乾燥後の上
層厚みが0.15μmとなるように、同時重層塗布を行
い、塗布層がまだ湿潤状態にあるうちに6000エルス
テッドの磁力を持つコバルト磁石と6000エルステッ
ドの磁力を持つソレノイドにより配向処理を行った。上
下層塗布層を乾燥させた後、上下層塗布層と反対側の支
持体面に、乾燥後のバック層厚みが0.6μmになるよ
うに下記組成のバック層用塗料を塗布した。乾燥後、金
属ロールのみから構成される7段のカレンダ−で温度9
5℃にて分速200m/minで処理を行い、平滑化処
理を施した。 バック層用塗料組成 微粒子状カーボンブラック 100部 (平均円相当径:17nm、キャボット社製BP−800) 粗粒子状カーボンブラック 10部 (平均円相当径:270nm,カンカルブ社製サーマルブラック) α−Fe2 3 15部 (平均長軸長:0.11μm、戸田工業社製TF100) ニトロセルロース樹脂 140部 ポリウレタン樹脂 15部 ポリエステル樹脂 5部 ポリイソシアネート 40部 オレイン酸銅 5部 銅フタロシアニン 5部 硫酸バリウム 5部 メチルエチルケトン 2200部 酢酸ブチル 300部 トルエン 600部 このようにしてできた磁気テープ原反を、70℃で48
時間加熱することにより、ポリイソシアネートを硬化さ
せた。次いでこの原反を3.8mmの幅にスリットし
て、磁性層のRa、出力、C/Nを測定し、結果を表1
に示した。出力、C/Nは、記録再生ヘッド(MIG 、ギ
ャップ0.15μm、1.8T)をドラムテスターに取り付
けてトラックピッチ5μmでデジタル信号を記録再生し
た。ヘッド−メディア相対速度3m/sec、記録波長
0.35μmで測定した。ノイズは変調ノイズを測定し
た。
【0055】
【表1】
【0056】表1から明らかなように、本発明の磁気記
録媒体は出力及びC/Nが良好であることが分かる。
【0057】
【発明の効果】本発明は、支持体の表面性を空間周波数
5μmにおけるスペクトル強度で評価して、その強度が
特定範囲にある支持体を選択して用いるだけで出力、C
/Nの優れた磁気記録媒体を安定して提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 昌敏 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BA05 BA08 BA19 CB01 CB07 FA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、非磁性粉末と結合剤を含む
    下層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む上層を
    設けた磁気記録媒体において、前記支持体表面の空間周
    波数5μmにおけるスペクトル強度が0.01〜0.5
    の範囲にあることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記上層表面の中心面平均表面粗さが
    0.5〜3.0nmであることを特徴とする請求項1記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記強磁性粉末が、強磁性金属粉末であ
    り、かつその平均長軸長が0.03〜0.12μmであ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記上層の厚みが0.05〜0.5μm
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の磁気記録媒体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003338023A (ja) * 2002-05-17 2003-11-28 Fuji Photo Film Co Ltd 磁気記録媒体
US6703101B2 (en) 2001-06-29 2004-03-09 Fuji Photo Film Co., Ltd. Magnetic recording medium
JP2007294087A (ja) * 2006-03-31 2007-11-08 Fujifilm Corp 磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法
US8236434B2 (en) 2006-03-31 2012-08-07 Fujifilm Corporation Magnetic recording medium, magnetic signal reproduction system and magnetic signal reproduction method

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