JP2000250637A - 地盤低周波振動の能動制御方法 - Google Patents
地盤低周波振動の能動制御方法Info
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Abstract
る地盤低周波振動の周辺への伝搬を低減する。 【解決手段】 地盤上に設置され運転時に低周波振動を
発生させる振動源S1の近傍に、振動源S1の卓越正弦
波振動成分と逆位相をなす同大正弦波振動を発生させる
付加振動源S2を設置する。付加振動源S2を振動源S
1の運転に同期させて運転させ、周辺地盤に伝搬する振
動成分を低減させる。
Description
動制御方法に係り、特に建設機械等の運転により発生し
た地盤振動のうち卓越する正弦波振動成分を減衰させる
ことができる地盤低周波振動の能動制御方法に関する。
振力によって機械が設置されている地盤、建物等の構造
物に振動が発生し、その振動が周囲に伝搬することが多
い。このような場合、振動により人体の振動知覚に伴う
障害、2次騒音発生に伴う障害、振動による生産性の障
害(精密加工品への影響)等を生ずることがある。この
種の振動を防止、低減する対策として種々の受動振動対
策、能動振動対策の手段が提案あるいは実施されてい
る。
うな対策がある。 (1)機械と建物側の設置場所との間に防振装置を設置し
て防振支持構造とし、建物等に伝搬する加振力を軽減す
る。 (2)振動の伝搬経路に防振溝、防振壁を設置する。 (3)建物、鉄塔や橋梁などの振動系の揺れをうち消すた
めの反力を生ずる付加振動系(TMD:チューンドマス
ダンバー)等を設置する。
橋梁などの振動系の揺れをうち消すための反力を生ずる
付加振動系を能動制御する(AMD:アクティブマスダ
ンバー)等を設置する方法等がある。この騒音、振動の
能動制御に関する基本原理は周知であり、このAMDも
その応用技術である。
対策において、振動体、振動源の防振支持は最も効果の
ある対策であるが、地盤に杭を施工する建設機械のよう
に直接地盤(振動が伝搬する媒体)を加振する場合は、
このような対策は実施できない。また、防振溝、防振壁
はその効果が理論及び実験的に確かめられているが、最
も効果の高い空溝の場合でも6dB程度の振動低減効果
を得るには波長の1/4の深さが必要となる。防振溝を
砂や発泡材などで充填すると防振効果は半減してしま
う。特に、建物基礎構築のために使用され建設重機がも
たらす振動の場合、地盤を直接加振することから、発生
源そのものに対策を施すことは困難である。また伝搬経
路上での対策を施す場合、対象となる振動の波長は数m
〜数十m程度になる。したがって、防振溝による対策で
実現可能な深さでは最大でも3dB程度の効果しか得ら
れないことが知られている。
壁で5dB以上の効果が得られるのは対象とする振動の
周波数がたとえば63Hz以上程度と比較的高い場合に
限られている。通常の建設機械のように31.5Hz以
下の振動を主成分とする振動源では効果的な振動対策と
はなっていないのが現状である。
やその床スラブなど構造物自体の振動系の振動を軽減す
ることを目的としており、周囲への伝搬振動の低減は振
動系の振動が低減することによる付帯効果として得られ
ていた。特に地盤などに伝搬した振動を能動的に制御し
て低減するような振動対策技術はなかった。
術が有する問題点を解消し、振動源自身の振動防止対策
や構造変更などを伴うことなく、地盤に伝搬した正弦波
振動成分の卓越した振動を確実に軽減するようにした地
盤低周波振動の能動制御方法を提供することにある。
に、本発明は地盤上に設置され運転時に低周波振動を発
生させる振動源の近傍に、前記振動源の卓越正弦波振動
成分と逆位相をなす同大正弦波振動を発生させる付加振
動源を設置し、該付加振動源を前記振動源の運転に同期
させて運転させ、周辺地盤に伝搬する振動成分を低減さ
せるようにしたことを特徴とする。
の距離を、前記振動源で発生する振動波長のほぼ1/6
より近接させ、少なくとも前記付加振動源と前記振動源
とを結ぶ方向において振動振幅が増加せず、その他の方
位において振動低減させることが好ましい。
動等を対象として、振動源近傍に付加振動源を設置し、
振動源とは逆位相の正弦振動を発生させることで、振動
を能動的に制御して伝搬振動を低減するものである。
能動制御方法の一実施の形態について、添付図面を参照
して説明する。図1は振動源S1に対して所定間隔dの
位置に付加振動源S2を設けたときの振動低減の作用を
示すための模式構成図である。振動源S1に対してX軸
上にY軸を挟んで間隔dをあけて付加振動源S2が配置
されている。なお、振動源S1のみの場合にはXY軸の
原点に振動源があるものとする。
いて、正弦振動成分が卓越した振動が振動源S1から発
生したとき、付加振動源S2に振動源S1の振動と逆位
相で同大の正弦波振動を作用させると、受振点Aにおけ
る振動の振幅Dは時間項に無関係で振動源Sから受振点
Aまでの距離rと初期位相とによって定まる一定値とし
て求められる。すなわち、振動源S1から受振点Aまで
の距離r1、付加振動源S2から受振点Aまでの距離r2
が原点から受振点Aまでの距離rで近似できることを利
用して以下の(式1)で求めることができる。式中、D
1は受振点Aにおける振動源S1の振動による振幅であ
る。
における振動低減効果をΔL(dB)とすると、ΔLは
(式2)で求めることができる。
との関係を、振動源S1に対して付加振動源S2の距離
dを異ならせて示した関係図が図2である。同図に示し
たように、kd/2π=1/5ではθ<30°の範囲で
振動低減効果が得られないことがわかる。
の距離dを異なる値として位相制御した際の振動低減効
果を0°<θ<360°の範囲に対応させて示した解析
結果が図3(a)〜(e)である。各図において原点に
無指向性の振動源S1のみの場合の発生振動の伝搬範囲
を原点Oを中心とした同心円(破線)で示している。こ
のときの振動源の起振力は原点Oから距離(半径)r
(m)だけ離れた地点における振動の大きさが1(ga
l)となるように設定している。また、解析値としては
振動数f=5Hz、波長λ=20m、振動伝搬速度V=
100m/secを前提条件としている。
付加振動源S2とを図1に示したような距離dだけ離し
て設置し、付加振動源S2の振動が振動源S1と逆位相
の関係になるように付加振動源S2の発生振動を位相制
御した際の、原点Oから距離r(m)だけ離れた地点に
おける振動状態について説明する。
間隔dと波長λの関係がd/λ=1/50の場合であ
る。破線は振動源S1による振動状態を示し、距離rま
での領域で振動の大きさとして1(gal)を示してい
る。一方、実線は付加振動源S2により位相制御を行っ
た場合である。この場合は図示したように小さな∞型の
指向特性を示す。図中の右ハッチ部分は付加振動源によ
り位相制御して2つの振動を逆位相とすることで、振動
源S1の場合よりも振動が小さくなった範囲を模式的に
示している。この場合はすべての方位に振動低減効果が
見込まれる。
間隔dと波長λの関係がd/λ=1/10の場合であ
る。∞型の指向特性は図3(a)の場合と同様である。
右ハッチ部分で示した効果範囲は図3(a)の場合より
も狭くなっているが、全方位にわたって振動低減効果が
ある。
隔dと波長λの関係がd/λ=1/6の場合である。∞
形状の指向特性は図3(a)、図3(b)の場合と同様
であるが、2つの振動源S1、S2を結ぶ線上(X軸)の
振動の大きさは1(gal)となり、振動源S1のみの
場合と同じである。2つの振動源の中間で2つの振動源
S1、S2を結ぶ方向(X軸)と直交する方向(Y軸)で
は、効果範囲は振動低減効果は十分であるが、X軸方向
では振動源S1のみ場合と同等となる方位がある。した
がって、d/λ=1/6が2つの振動源S1、S2を用
いることで振動源S1のみの場合よりも振動の大きさを
全方位にわたって同等以下にできる限界値であることが
わかる。
間隔dと波長λの関係がd/λ=1/4の場合である。
図中左ハッチ部分は2つの振動源S1、S2を位相制御
(逆位相)することで振動源S1のみの場合よりも振動
が大きくなる逆効果範囲を示している。∞形状の指向特
性は図3の場合と同様であるが、2つの振動源S1、S
2を結ぶ方向(X軸)の振動の大きさは、1(gal)
を越えており、振動源S1のみの場合より悪い。しかし
Y軸方向では効果のある範囲(右ハッチ部分)がわずか
に存在する。一方、X軸方向では、振動源S1のみの場
合より悪くなる逆効果範囲(左ハッチ部分)の範囲が拡
大されている。
間隔dと波長λの関係がd/λ=1/2の場合である。
逆効果範囲(左ハッチ部分)の方が効果範囲(右ハッチ部
分)よりも広い範囲となっている。∞形状の指向特性は
図3(a)の場合と同様であるが、振動源S1のみの場
合の1(gal)の同心円をほとんどの方位で越えてお
り、Y軸方向のわずかの範囲のみに効果があることがわ
かる。このように、本工法ではd/λ=1/6の条件を
満足すれば、付加振動源S2を設けて2つの振動源と
し、振動源S1のみの場合よりも振動状態が悪くなる範
囲が生じさせずに振動源S1による振動の影響を低減す
ることができる。また、d/λ>1/6の場合は、その
方位によって効果のある範囲と逆効果の範囲があること
が確認された。このことからある特定方位(Y軸)につ
いて振動低減を図ればよい場合には上記範囲を適用する
ことでその方位に関して有効な振動低減対策が期待でき
る。
確認するために行った模型実験について説明する。図4
は本実験の装置の模式構成図である。
て自作加振機を、付加振動源S2として電磁型シェーカ
を使用した。そして波長λの約1/50の距離50cm
(実験時の振動数f=14.25Hz、振動の伝搬速度
V=392m/s、波長λ=27.5m)だけ離して設
置した。付加振動源S2はパワーアンプ10に接続さ
れ、さらにファンクションジェネレータ12に接続され
ている。このファンクションジェネレータ12からパワ
ーアンプ10への制御信号に応じてパワーアンプ10の
出力を変動させ所定の振動を発生させるようになってい
る。制御信号はでファンクションジェネレータ12で生
成した単一正弦波信号とした。
されており、所定の振動ピックアップ20を支持版面2
1に配置し、振動ピックアップ20で得られた波形を振
動レベル計22、ローパスフィルタ23、バンドパスフ
ィルタ24を介してアンプ25、FFTアナライザ26
で解析するようになっている。そのデータはレベルレコ
ーダ27に記録される。この構成のもとで付加振動源S
2の初期位相条件を可変して2台の振動源の振動が逆位
相同大となるように制御する。本模型実験では、すべて
の測点においてほぼ15dB以上の制御効果を確認でき
た。この値は前述した理論推定値としての低減効果とほ
ぼ同等となった。
設機械によって生じる振動の低減に用いるようにした例
について図5を参照して説明する。図5は振動バイブロ
ハンマによる地盤振動対策への適用を示した概略装置構
成図である。具体的にはサンドコンパクションパイル
(SCP)工法で使用する振動バイブロハンマから発生
する地盤振動の低減対策を例としている。
ての2台の振動バイブロハンマS1、S2を向かい合わ
せ、振動源中心間距離dの離隔をとって配置する。各振
動バイブロハンマS1、S2には振動加速度センサ20
を取り付け、振動数及び位相を実時間で検知し、チャー
ジアンプ30を介してローパスフィルタ31により濾波
し、AD変換器32によりディジタル化したのち、CP
U33において検知信号をもとに振動源と逆位相となる
制御信号を生成する。制御信号はDA変換器34でアナ
ログ化され、インバータ35に運転信号として出力され
る。このように、振動バイブロハンマ(付加振動源S
2)のモータ(図示せず)の回転数はインバータ制御さ
れ、振動源S1側の振動バイブロハンマに対して位相制
御が実施される。そして、このような制御回路を有する
2台の振動バイブロハンマS1、S2でそれぞれ通常の
サンドコンパクション作業を実施する。このとき2台の
作業手順はなるべく同一となるように設定する。2台の
振動バイブロハンマS1、S2がそれぞれ作業を開始し
たら、両方の振動バイブロハンマS1、S2の振動数及
び位相を確認し、常に両方の振動バイブロハンマS1、
S2が逆位相状態で運転されるように、片方の振動バイ
ブロハンマ(付加振動源S2)の発電機をインバータ3
5で運転制御する。
に示した。同図に示したように、付加振動源S2による
制御を行っている間に、計測点では5dB程度の振動低
減が確認された。このときの各実験数値はおよそ振動数
f=6Hz、振動の伝搬速度V=150m/s、波長λ
=25m、振動計測点はY軸上原点から30mの地点で
ある。なお、本実験では2台の振動バイブロハンマとし
て同一機種を使用したが、振動源として用いられている
機種と同一の振動発生が可能なものであれば、同一機種
である必要はない。また、外部信号によって振動数、振
幅を制御できる大型の加振機であれば付加振動源として
任意の対象機種に対応させることができる。
せず)を駆動する発電機36の発電周波数を変化させ
て、振動源S1のモータの発電機36の発電周波数と、
付加振動源S2の発電機36の発電周波数の位相を逆位
相とすることで振動制御を行うようにした変形例を示し
ている。この制御方法による周波数の可変幅は小さい
が、図5に示した制御方法に比べて振動センサ20、イ
ンバータ35等の付加設備を省略することができるとい
う利点を有する。
時に使用した場合の振動発生を例に説明したが、本能動
的制御手法を構造物の固体音対策に適用することも可能
である。すなわち、モータ、ポンプ等純音成分が卓越す
る固体音発生源を対象とした場合、その固体音発生源と
しての機器据え付け位置が鉄筋コンクリート建物等の構
造躯体においてスラブ等の特定部位に限定されている場
合は、その近傍に付加振動源を設置することにより上述
の効果を引き出すことができる。そのためには、まず固
体音発生源の発生振動数、振動の大きさを測定し、その
固体音発生源と同じ振動数の振動を付加振動源で発生さ
せ、その位相を変化させて最も固体音が低減する位相条
件を求める。
速度V=1500m/s、固体音が問題となる振動の周
波数範囲がf=63Hz〜250Hzとすれば、波長λ
=23.8m〜6mとなるので、振動を発生する機器の
足下に付加振動源を設置するとして、振動源と付加振動
源との距離dを、波長λの1/6となるように設置位置
を決定する。そして常時発生する固体音が最小となるよ
うに付加振動源の振動数と位相とを制御すればよい。な
お、このときの振動低減効果は室内の騒音レベルの低減
量をもって評価することができる。
生させる振動源と、その振動と逆位相同大の振動を発生
させる付加振動源において、付加振動源を対象振動の波
長の1/6以下の距離に設置することで逆効果となる領
域を生じることなく低減効果を得ることができる。
一実施の形態における振動源の配置例を示した模式構成
図。
効果ΔLと計測点角度θとの関係を示した関係図。
効果を計測点角度θの示す範囲ごとに示した関係図。
構成例を示した概略構成図。
構成例を示した概略構成図。
概略構成図。
例を示したグラフ。
Claims (2)
- 【請求項1】地盤上に設置され運転時に低周波振動を発
生させる振動源の近傍に、前記振動源の卓越正弦波振動
成分と逆位相をなす同大正弦波振動を発生させる付加振
動源を設置し、該付加振動源を前記振動源の運転に同期
させて運転させ、周辺地盤に伝搬する振動成分を低減さ
せるようにしたことを特徴とする地盤低周波振動の能動
制御方法。 - 【請求項2】前記付加振動源と前記振動源との距離を、
前記振動源で発生する振動波長のほぼ1/6より近接さ
せ、少なくとも前記付加振動源と前記振動源とを結ぶ方
向において振動振幅が増加せず、その他の方位において
振動低減されるようにしたことを特徴とする請求項1記
載の地盤低周波振動の能動制御方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP11052172A JP2000250637A (ja) | 1999-03-01 | 1999-03-01 | 地盤低周波振動の能動制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP11052172A JP2000250637A (ja) | 1999-03-01 | 1999-03-01 | 地盤低周波振動の能動制御方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000250637A true JP2000250637A (ja) | 2000-09-14 |
Family
ID=12907413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP11052172A Pending JP2000250637A (ja) | 1999-03-01 | 1999-03-01 | 地盤低周波振動の能動制御方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2000250637A (ja) |
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-
1999
- 1999-03-01 JP JP11052172A patent/JP2000250637A/ja active Pending
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