JP2000248332A - 耐熱性に優れた金型およびその製造方法 - Google Patents

耐熱性に優れた金型およびその製造方法

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JP2000248332A
JP2000248332A JP11053875A JP5387599A JP2000248332A JP 2000248332 A JP2000248332 A JP 2000248332A JP 11053875 A JP11053875 A JP 11053875A JP 5387599 A JP5387599 A JP 5387599A JP 2000248332 A JP2000248332 A JP 2000248332A
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steel
tempering
quenching
toughness
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Takeshi Fujimatsu
威史 藤松
Nobuhiro Tsujii
信博 辻井
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Sanyo Special Steel Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Special Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐熱性、高靱性が要求される熱間、温間ダ
イスやパンチなどの金型およびその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 重量%で、C:0.45〜0.80%、
Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.
0〜6.0%、さらに、MoとWを1種または2種でM
o+1/2W:2.5〜6.0%、VとNbを1種また
は2種でV+1/2Nb:0.02〜3.0%を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、焼入
焼戻しにより硬さが45〜55HRCからなることを特
徴とする耐熱性に優れた金型。さらに、Co:0.3〜
3.0%とNi:0.4〜2.0%を1種または2種添
加してなることを特徴とする耐熱性に優れた金型。およ
びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高耐熱性、高靱性
が要求される熱間、温間ダイスやパンチなどの金型およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、金型技術等の高度化に伴う金型材
料の使用条件の過酷化による高耐熱性、高靱性を兼ね備
えた鋼の開発要請がされている。そのような状況下で、
従来においては、熱間および温間加工に使用されるダイ
スやパンチなどの金型素材には、JIS−SKD61系
およびその改良鋼種として、例えば特開昭62−130
260号公報や特開平1−108348号公報などのマ
トリックスハイス系鋼が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のJIS
−SKD61系材(低温焼入−通常焼戻)は靱性に優れ
るが耐熱性に非常に劣っている。また、マトリックスハ
イス系鋼では耐摩耗性、耐熱性を重視した高硬度材(高
温焼入−通常焼戻)は亀裂発生感受性が高く、耐割れ性
を重視した高靱性材(アンダーハードニング:低温焼入
−通常焼戻)があるが、これは耐熱性が不十分であると
いう問題がある。なお、アンダーハードニングとは、通
常の焼入温度よりも低い温度から焼入する操作を言い、
高温硬さより、むしろ常温における耐摩耗性と靱性を必
要とするような冷間鍛造用工具等に有効である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述したような問題を解
消するため、発明者らは鋭意開発を進めた結果、金型合
金鋼の合金成分と焼入温度、および焼戻温度を適切に選
定することにより金型用鋼としての耐熱性向上と靱性の
低下防止を同時に達成する鋼および高温焼入−高温焼戻
を行うことでアンダーハードニングと同等の靱性を有
し、かつ高温使用時の硬さの低下が少なく耐摩耗性に優
れた金型用鋼の製造を可能としたものである。その発明
の要旨とするところは、 (1)重量%で、C:0.45〜0.80%、Si:
2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:3.0〜
6.0%、さらに、MoとWを1種または2種でMo+
1/2W:2.5〜6.0%、VとNbを1種または2
種でV+1/2Nb:0.02〜3.0%を含有し、残
部Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、焼入焼戻し
により硬さが45〜55HRCからなることを特徴とす
る耐熱性に優れた金型。
【0005】(2)前記(1)記載の鋼に、さらに、C
o:0.3〜3.0%とNi:0.4〜2.0%を1種
または2種添加してなることを特徴とする耐熱性に優れ
た金型。 (3)前記(1)または(2)記載の鋼を1100〜1
180℃から焼入れ、その後620〜700℃の温度範
囲で焼戻すことを特徴とする耐熱性に優れた金型の製造
方法にある。
【0006】以下に、本発明鋼の各化学成分の作用およ
びその限定理由を説明する。 C:0.45〜0.80% Cは、焼入焼戻しにより、十分なマトリックス硬さを与
えるとともに、Cr,V,Nb等の元素と結合し複炭化
物を形成して、高温強度、耐摩耗性を与える元素であ
る。しかし、0.45%未満では、工具鋼として十分な
硬さは得られず、0.80%を超えると靱性が劣化して
しまうため、成分範囲を0.45〜0.80%とした。
【0007】Si:2.0%以下 Siは、主に脱酸剤である。しかし、2.0%を超える
と靱性の低下および加工性を劣化させるので、上限を
2.0%とした。 Mn:2.0%以下 Mnは、Siと同様に、脱酸剤であるとともに焼入れ性
を向上させる元素である。しかし、2.0%を超えて添
加すると靱性を低下させるとともに被削性を低下させる
ので、上限を2.0%とした。
【0008】Cr:3.0〜6.0% Crは、硬質の複炭化物を形成させ耐摩耗性を高めると
ともに、焼入れ性を高める元素である。しかし、6.0
%を超えて添加すると、Cr炭化物の凝集粗大化を招
き、耐軟化抵抗性を阻害するため、成分範囲を3.0〜
6.0%とした。 Mo+1/2W:2.5〜6.0% MoおよびWをMo当量(Mo+1/2W)で2.5%
以上添加することにより、硬質の炭化物を形成させ、耐
摩耗性、焼戻軟化抵抗性を高めた。しかし、Mo当量で
6.0%を超えて添加すると、焼入焼戻硬さが上昇して
靱性を著しく劣化させるため、成分範囲をMo当量で
2.5〜6.0%とした。
【0009】V+1/2Nb:0.02〜3.0% VおよびNbの1種または2種をV当量(V+1/2N
b)で0.02%以上添加することにより、固溶しにく
い安定な炭化物を形成し、結晶粒微細化に大きな役割を
持つと共に、耐摩耗性、軟化抵抗性の向上に寄与する。
しかし、V当量で3.0%を超えて投入した場合、靱性
ならびに被削性の低下を招くので上限を3.0%とし
た。
【0010】Co:0.3〜3.0% Coは、0.3%以上添加することにより高温での炭化
物の凝集粗大化を抑制し、軟化抵抗性を向上させること
ができる。しかし、3.0%を超えると靱性やヒートチ
ェック性を劣化させるので、その成分範囲を0.3〜
3.0%とした。 Ni:0.4〜2.0% Niは、0.4%以上添加することにより、焼入性およ
び靱性を高めることができる。しかし、2.0%を超え
ると高温強度、被削性を低下させることから、成分範囲
を0.4〜2.0%とした。
【0011】次に、本発明の製造方法について詳細に説
明する。本発明においては高温焼入−高温焼戻を行うこ
とでアンダーハードニングと同等の靱性を有し、かつ高
温使用時の硬さの低下が少ないため耐摩耗性に優れる。
すなわち、焼入温度を1100〜1180℃とし、軟化
抵抗性の向上を図る。しかし、あまり高すぎると結晶粒
粗大となり、靱性が低下する。一方、焼戻温度は、62
0℃以上で靱性が向上し、高温軟化抵抗が大きくなる。
通常の540〜580℃で焼戻しを行うと高硬度である
ため早期割れを生じやすく、590〜610℃に脆化域
を有するため、これを避ける必要がある。従って、焼戻
温度を620〜700℃の温度範囲とした。このような
熱処理により、45〜55HRCの焼入焼戻硬さを有
し、高靱性且つ優れた高温軟化抵抗性を達成することが
出来る。
【0012】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
する。表1に示した本発明鋼を100kg真空誘導溶解
炉にて出鋼して平均径190mmの鋼塊に鋳込み、これ
を径30mmに鍛伸して供試材とした。焼入、焼戻温度
と硬さ、靱性の関係は図1および図2のようになり、本
発明においては亀裂発生感受性を下げるため使用硬さを
下げ、かつ靱性を兼ね備えた材料を得るべく高温焼入−
高温焼戻を行う。靱性の評価はJIS3号2mmU試験
片を用いて常温でシャルピー衝撃試験を行った。高温軟
化抵抗性については、600℃で100時間熱処理を行
ったときの硬さ低下度〔=(初期硬さ−熱処理後の硬
さ)/(初期硬さ)〕で評価した。
【0013】
【表1】
【0014】表1に示すように、本発明鋼A〜E(高温
焼入−高温焼戻)は高温焼入−通常焼戻を行った比較鋼
Fに比べてシャルピー衝撃値が高く、アンダーハードニ
ング(低温焼入−通常焼戻)を行った比較鋼Gと同等の
衝撃値を有していることが判る。従来鋼J,Kは本発明
鋼A〜Eと比較して靱性に優れるものの軟化抵抗性が大
きく劣っている。また、本発明鋼を600℃−100時
間熱処理を行った場合の硬さ低下度は、従来の高温焼入
−通常焼戻を行った比較鋼Fと同等であり、アンダーハ
ードニングを行った比較鋼Gと比較して硬さ低下度が小
さい。
【0015】発明鋼Aと比較鋼Gを600℃で各時間熱
処理した場合の硬さと熱処理時間の関係は図3のように
なり、発明鋼は高温軟化抵抗性に優れることが判る。本
発明鋼の成分から外れた比較鋼H,Iは高温焼入−高温
焼戻を行っても発明鋼に比べ靱性ならびに軟化抵抗性が
劣っている。以上の結果より熱処理と特性の関係を整理
すると、表2のようになる。すなわち、本発明鋼は金型
用鋼の耐熱性向上と靱性低下の防止を同時に達成し、靱
性と優れた高温軟化抵抗性を兼ね備えたものである。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は靱性と優れ
た高温軟化抵抗性を兼ね備えた金型用鋼およびその製造
方法を確立し、加工中に非常に過酷な応力、熱影響を受
ける温熱間金型用鋼として金型の長寿命化に寄与するも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬さと焼入・焼戻温度との関係を示す図であ
る。
【図2】衝撃値と焼入・焼戻温度との関係を示す図であ
る。
【図3】硬さと保持時間との関係を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/00 C21D 9/00 M C22C 38/38 C22C 38/38 38/58 38/58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.45〜0.80%、 Si:2.0%以下、 Mn:2.0%以下、 Cr:3.0〜6.0%、 さらに、MoとWを1種または2種でMo+1/2W:
    2.5〜6.0%、VとNbを1種または2種でV+1
    /2Nb:0.02〜3.0%を含有し、残部Feおよ
    び不可避的不純物からなる鋼を、焼入焼戻しにより硬さ
    が45〜55HRCからなることを特徴とする耐熱性に
    優れた金型。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼に、さらに、Co:
    0.3〜3.0%とNi:0.4〜2.0%を1種また
    は2種添加してなることを特徴とする耐熱性に優れた金
    型。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の鋼を1100〜
    1180℃から焼入れ、その後620〜700℃の温度
    範囲で焼戻すことを特徴とする耐熱性に優れた金型の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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