JP2000248224A - アクリル系バインダー樹脂組成物 - Google Patents

アクリル系バインダー樹脂組成物

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JP2000248224A
JP2000248224A JP11049155A JP4915599A JP2000248224A JP 2000248224 A JP2000248224 A JP 2000248224A JP 11049155 A JP11049155 A JP 11049155A JP 4915599 A JP4915599 A JP 4915599A JP 2000248224 A JP2000248224 A JP 2000248224A
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Japan
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meth
acrylate
binder resin
resin composition
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Withdrawn
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JP11049155A
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English (en)
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Yukihiro Ikegami
幸弘 池上
Hiroki Ishii
弘樹 石井
Kazuhiko Hotta
一彦 堀田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼成性に優れたアクリル系バインダー樹脂に
おいて、低固形分で高粘度特性を発現でき、糸引きがな
くて加工性、作業性が良好で、印刷適性やディップ塗工
適性に優れたアクリル系バインダー樹脂組成物。 【解決手段】 アルキル(メタ)アクリレート単量体か
ら選ばれる少なくとも1種(a−1)60〜97重量
%、1分子中に水酸基を2個以上含有するヒドロキシ基
含有(メタ)アクリレート単量体(a−2)3〜25重
量%、不飽和カルボン酸単量体(a−3)0〜5重量
%、モノヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート単量体
(a−4)0〜20重量%及びその他共重合可能な単量
体0〜10重量%を含有するモノマー混合物(但し、モ
ノマー全体の合計は100重量%とする)を共重合して
得られるアクリル系ポリマー(A)100重量部に対し
て、沸点が150℃以上の有機溶剤(B)を150〜2
000重量部含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機溶剤系のアク
リル系バインダー樹脂組成物に関するものであり、さら
に詳しくは、低固形分で高粘度を発現すると共に糸引き
がなく取り扱い作業性の優れ、かつ、熱分解による残渣
の少ない良好な焼成性を示すアクリル系バインダー樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属や無機フィラーをバイン
ダーに分散し、パターンもしくは成形体を作製し、その
後に焼成によりバインダー成分を熱分解することにより
導体部やセラミック成形体を製造する方法が知られてい
る。この方法に使用されるバインダー成分は、成形加工
時の加工性保持や移動時に損傷しない為にフィラーをつ
なぎ止める為に必要となるもので、最終製品となる前に
フィラーを焼結させる際に熱分解により除去される。従
って、バインダーに求められる性能としては、良好な熱
分解性を有すると共に、各加工時の作業性を満足する必
要がある。各加工方法には、スクリーン印刷やスラリー
をドクタープレート等によりシート状に成形したり、デ
ィップ法による加工方法がある。
【0003】特に、スクリーン印刷やディップ法に使用
される用途には、焼結させるフィラー成分の充填率を上
げる為、含有するバインダー成分をできるだけ少なくす
る必要がある。従って、バインダー成分はできるだけ低
固形分でスクリーン適性やディップ適性を満足する高粘
度を発現させる粘性特性を得る為に、バインダー樹脂に
ブチラール樹脂やエチルセルロース等を有機溶剤に溶解
した溶剤系バインダー樹脂が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記要求に
加え最近の電子材料に用いられる部品に関しては、アル
ミナのような高温焼成タイプのフィラーからガラス粉体
等の低温焼成可能なフィラーがあり、特に低温焼成型の
フィラーを焼結させる場合もしくは金属フィラーの酸化
防止の為に不活性雰囲気(還元性雰囲気)中で焼結させ
る場合、上記ブチラール樹脂やエチルセルロース樹脂の
バインダーでは焼成不良としてスラッジが発生し、でき
あがったセラミックもしくは金属導体の特性が低下する
という問題があった。そこで、従来のバインダーの欠点
を解決する為に焼成性の良いアクリル樹脂を使ったアク
リル樹脂バインダーが提案されている。例えば、メタク
リル酸イゾブチルエステルとメタクリル酸2−エチルヘ
キシル及びβ位もしくはα位に水酸基を有するメタクリ
ル酸エステルの共重合体(特開平10−167836号
公報)が挙げられる。しかしながら、アクリル樹脂を主
成分とするものは、熱分解性は向上するものの、スクリ
ーン印刷のような高粘度を発現させる為に共重合体の分
子量を上げる必要があり、高分子量に起因する糸引き現
象を招き、印刷適性もしくはディップ塗工適性を満足す
ることはできなかった。
【0005】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、焼成性に優れたアクリル系バインダー樹脂に
おいて、低固形分で高粘度特性を発現でき、糸引きがな
くて加工性、作業性が良好で、印刷適性やディップ塗工
適性に優れたアクリル系バインダー樹脂組成物を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討を行った結果、アクリル共重合体を製
造するにあたり、1分子中に水酸基を2個以上含有する
ヒドロキシ基含有モノ(メタ)アクリレート単量体を必
須とすることにより、低固形分で高粘度特性を発現でき
且つ糸引きのない各種加工方法において良好な作業性を
有すると共に、焼成性が良好でスラッジを残さない熱分
解性を有することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0007】本発明のアクリル系バインダー樹脂組成物
は、アルキル(メタ)アクリレート単量体から選ばれる
少なくとも1種(a−1)60〜97重量%、1分子中
に水酸基を2個以上含有するヒドロキシ基含有(メタ)
アクリレート単量体(a−2)3〜25重量%、不飽和
カルボン酸単量体(a−3)0〜5重量%、モノヒドロ
キシ基含有(メタ)アクリレート単量体(a−4)0〜
20重量%及びその他共重合可能な単量体0〜10重量
%を含有するモノマー混合物(但し、モノマー全体の合
計は100重量%とする)を共重合して得られるアクリ
ル系ポリマー(A)100重量部に対して、沸点が15
0℃以上の有機溶剤(B)を150〜2000重量部含
有することを特徴とするものである。ここで、ヒドロキ
シ含有(メタ)アクリレート単量体(a−2)として
は、グリセロール(メタ)アクリレートが望ましく、有
機溶剤(B)としては、ターピネオールを50重量%以
上含有するものが望ましい。さらに、大気中雰囲気及び
/又は不活性雰囲気中において10℃/minの昇温速度
で450℃までの加熱による焼成条件での熱分解残差
が、0.5重量%以下であるものが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のアクリル系バインダー樹脂組成物のポリ
マー成分は、下記成分(a−1)〜(a−5)を含有す
るモノマー混合物(但し、モノマー全体の合計は100
重量%とする)を共重合して得られる。但し、(a−
3),(a−4),(a−5)は必須とはされない。 (a−1):アルキル(メタ)アクリレート単量体から
選ばれる少なくとも1種(60〜97重量%) (a−2):1分子中に水酸基を2個以上含有するヒド
ロキシ基含有(メタ)アクリレート単量体(3〜25重
量%) (a−3):不飽和カルボン酸単量体(0〜5重量%) (a−4):モノヒドロキシ基含有(メタ)アクリレー
ト単量体(0〜20重量%) (a−5):その他共重合可能な単量体(0〜10重量
%)
【0009】(a−1)アルキル(メタ)アクリレート
単量体から選ばれる少なくとも1種は、60重量%以上
含有することにより良好な焼成性を発現させるもので、
より好ましくは70重量%以上である。 (a−1)成分としては、炭素数1〜4のアルキル(メ
タ)アクリレートが好ましく、具体的な例としては、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル
(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレートが
挙げられる。これらモノマーは2種以上を混合して目的
のガラス転移温度(Tg)にすることができる。
【0010】(a−2)1分子中に水酸基を2個以上含
有するヒドロキシ基含有モノ(メタ)アクリレート単量
体は、25重量%含有することが好ましい。(a−2)
を共重合することにより溶剤に溶解した際にバインダー
の粘度が著しく増加する。驚くべきことに、特に有機溶
剤組成にターピネオールを主成分とすることにより、従
来にない高粘性と共に糸引き性の少ない性能を発現する
ことができる。 (a−2)成分は3重量%以上含有することにり粘度を
増加させることができる。より好ましくは5重量%以
上、特に好ましくは、8重量%以上である。また、(a
−2)成分は25重量%以下含有することにより良好な
焼成性を得ることができる。より好ましくは、20重量
%以下である。 (a−2)成分としては、炭素数2〜8のアルキル基に
ヒドロキシル基を2個以上含有する(メタ)アクリレー
トが好ましい。具体的は例としては、1,2-ジヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレート、1,2-ジヒドロキシ5-エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、1,2,3-トリヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、1,2,3-トリヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、1,1-ジヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、1,1-ジヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、1,1-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリ
レート、1,1,2-トリヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、1,1,2-トリヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート等が挙げられるが、1,2-ジヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート(グリセロール(メタ)アクリレー
ト)が粘性増加効果と良好な熱分解性を発現するバラン
スが取れており、高粘性においても糸引きを起こしにく
い点で特に好ましい。
【0011】(a−3)不飽和カルボン酸単量体は、5
重量%以下とすることによりバインダーに分散するフィ
ラーの分散安定性を向上させることができると同時に焼
成時に良好な熱分解性を得ることができる。より好まし
くは、0.1〜2重量%の範囲である。具体的な例とし
ては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、ヘキサヒドロフタル酸2-メタクリロイ
ルオキシエチル、フタル酸2-メラクリロイルオキシエチ
ル、マレイン酸2−メタクリロイルオキシエチル、コハ
ク酸2-メタクリロイルオキシエチル等が挙げられ、一種
もしくは2種以上を混合して使用することができる。
【0012】(a−4)モノヒドロキシル基含有(メ
タ)アクリレートは、20重量%以下とすることによ
り、バインダーに粘性増加効果を付与し焼成時の良好な
熱分解性を得ることができる。粘性増加効果は、(a−
2)成分ほど著しい増粘効果は見られないものの、(a
−2)成分と併用することにより粘性挙動を制御するこ
とが可能である。より好ましくは、0.1〜10重量%
以下の範囲である。具体的な例としては、ヒドロキシ
(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられ
る。
【0013】(a−5)その他共重合可能な単量体は、
焼成性を低下させないものであれば、10重量%以下の
範囲で共重合させることができる。具体的な例として
は、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、アリルメタクレート、グリシジ
ルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘ
キシルメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクレート、ポリブチレングリコールジメタク
リレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、1,3
ブチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、酢酸ビニル等が挙げられる。
【0014】本発明のアクリル系バインダーに使用され
る有機溶剤(B)は、沸点150℃以上の有機溶剤が好
ましい。沸点が150℃以上とすることにより、スクリ
ーン印刷またはディップ塗工時の塗装作業性が良好とな
る。有機溶剤(B)の含有量は、アクリル系ポリマー1
00重量部に対し、150〜2000重量部が好まし
い。有機溶剤(B)を150重量%以上とすることによ
り、アクリル系ポリマーを均一に溶解させ流動性を付与
することができ、2000重量%以下とすることにより
良好な高粘度を発現させることができる。有機溶剤
(B)の具体的な例としては、ターピネオール、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエー
テルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,
4-トリメチル1,3-ペンタジオールモノイソブチレート、
イソホロン、3-メトキシブチルアセテート、沸点150
℃以上の芳香族または脂肪族炭化水素、乳酸ブチル、ジ
ブチルフタレート、ジオクチルフタレート等のフタル酸
エステルまたはジブチルアジペート、ジオクチルアジペ
ート等のアジピン酸エステル等の可塑剤等が挙げられ、
上記溶剤を少なくとも1種以上を混合して使用できる。
特に、本発明のアクリル系バインダー樹脂組成物でスク
リーン印刷やディップ塗装を可能とする高粘性を発現さ
せるには、有機溶剤(B)中にターピネオールを50重
量%以上含有することが好ましい。特に好ましくは、8
0重量%以上である。
【0015】本発明のアクリル系バインダー樹脂は、大
気中雰囲気及び/又は不活性雰囲気中においてもスラッ
ジ等の熱分解残渣の少ないことを特徴としており、10
℃/minの昇温速度で450℃までの加熱による焼成条
件での熱分解残差が0.5重量%以下とすることが可能
である。従来使用されていたエチルセルロース樹脂やブ
チラール樹脂は、450℃以下の低温焼成ではスラッジ
と称する残渣が多く発生する不具合が生じ、さらに不活
性雰囲気中で焼成した場合、さらにスラッジが多く発生
するので、電子材料用等の高純度の品質が必要な部分に
は使用できないという不都合があったが、本発明のアク
リル系バインダー樹脂組成物であれば、斯様な不都合が
なく、電子材料用等の高純度の品質が必要な部分にも使
用できる。尚、ここで、不活性雰囲気とは、多くの場
合、窒素ガスを用いるが、その他にも、ヘリウム、ネオ
ン、アルゴン等のガス中でという意味である。
【0016】アクリル系バインダー樹脂の分子量として
は、スクリーン印刷やディップ塗装が可能で糸引きのな
い性能を満足すれば特に限定されないが、重量平均分子
量で2万〜70万、好ましくは3万〜50万である。低
固形分で高粘度を発現させたい用途には高分子量にすれ
ば良く、粘度を上げたくない用途には、分子量を低く設
定することにより目的とする粘性を得ることができる。
【0017】<製造方法>本発明のアクリル系バインダ
ー樹脂組成物の製造方法としては、溶液重合、懸濁重
合、乳化重合等の周知の方法が挙げられる。溶液重合で
は、溶剤中でモノマーを重合する為、重合終了と同時に
バインダー樹脂を得ることができる。懸濁重合では、水
中でモノマー懸濁液を重合する為、ビーズ状ポリマーを
溶剤に溶解させてバインダー樹脂を製造する。乳化重合
では、水に乳化させたモノマーをミセル中で重合する
為、乳化状態のポリマーを析出分離もしくはスプレード
ライヤーによって水分を乾燥させて、得られたポリマー
を溶剤に溶解させてバインダー樹脂を製造する。
【0018】<使用方法>本発明により得られるアクリ
ル系バインダー樹脂組成物を用いて使用するフィラー粉
体は、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バ
リウム等の酸化物系はもとより、窒化アルミナ、窒化珪
素、窒化ホウ素当の窒化物系、銅、銀、ニッケル等の金
属、低融点ガラス粉等のシリカ系粉体等、蛍光体等が挙
げられる。これら無機粉体は、バインダー樹脂組成物に
より形成され、焼成によりバインダー樹脂組成物の分
解、続いてセラミックの焼結のプロセスにより形成され
るものであれば、特に限定されるものではなく、種々の
無機粉体に使用することができる。セラミック粉体とバ
インダー樹脂組成物の混合比は、セラミック粉体100
重量部に対して、バインダー樹脂組成物の固形分で3〜
30重量部添加することができるが、セラミックの比重
により異なる為、上記範囲に限定されるものではない。
また必要に応じて可塑剤、分散助剤、消泡剤を添加して
もよい。塗工方法は、高粘度用途では、スクリーン印刷
または、ディップ塗装等が挙げられ、低粘度用途ではド
クターブレード法やキャスト法が挙げられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明について実施例を用いて説明す
る。但し、実施例中の「部」は「重量部」を、「%」は
「重量%」を示す。なお、実施例中の評価方法は、以下
の通りである。 <酸価>アクリルポリマー(固形分)1gを中和するのに
必要なKOHのmg数(mgKOH/g)。 <焼成性>得られたアクリル系バインダー樹脂を乾燥さ
せ、サンプル量10〜20mgをアルミ皿にのせ、TG
(熱減量分析)で評価した。雰囲気は、空気中で昇温速
度10℃/minで室温から450℃まで昇温した後、室
温まで冷却し、残渣の状態を観察した。 ○:アルミ皿に黒色もしくは灰色の残渣がなく、完全に
分解していた。 熱減量率99.5%以上 △:アルミ皿に黒色もしくは灰色の残渣があり、分解不
良物が観察された。 熱減量率95%〜99.5% ×:アルミ皿に黒色もしくは灰色の残渣があり、分解不
良物が観察された。 熱減量率95%以下 <糸引き性>B型粘度の測定の際に回転数を変えて、粘
度を測定した。回転数を1.2rpmと12rpmにし
た粘度を測定し、1.2rpm/12rpmの粘度比
(チキソ性)を算出した。 1.2/12rpm:2未満・・・ 糸引き性 × 1.2/12rpm:2〜3・・・ 糸引き性 △ 1.2/12rpm:3以上・・・ 糸引き性 ○
【0020】[実施例1]昇温、冷却可能な2リッター
のセパラブルフラスコに純水600部、ポリビニルアル
コール(ケン化度80%、重合度1700)1.8部を
溶解させ、硫酸ナトリウム1部を加えた中に、イソブチ
ルメタクリレート339部、グリセロールメタクリレー
ト38.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.
7部、n−ドデシルメルカプタン3.5部、アゾビスイ
ソブチロニトリル1.2部のモノマー混合物を投入し、
350rpmで激しく撹拌して懸濁状態にし、75℃に
昇温し、5時間反応させ、重合を終了した。得られた懸
濁物を脱水・乾燥してビーズ状ポリマー(A1)を得
た。得られたポリマー(A1)100部を2リッターの
3つ口フラスコに入れたターピネオール900部中に投
入し分散させ、80度に昇温して3時間溶解させてアク
リル系バインダー樹脂組成物(C1)を製造した。
【0021】[実施例2〜5]実施例1と同様の方法によ
り、表1に示す各種アクリル系バインダー樹脂組成物
(C2〜C5)を得た。
【0022】
【表1】
【0023】表中の記号は以下の通りである。 iBMA:イソブチルメタクリレート nBMA:n−ブチルメタクリレート MMA:メチルメタクリレート
【0024】得られた該バインダー樹脂の各種評価は、
表1に示した通りである。実施例1〜5の各種バインダ
ー樹脂組成物の焼成性はいずれも良好で、残渣の少ない
ものが得られた。また、有機溶剤をターピネオールを5
0%以上含有することにより、良好なチキソ性を示し、
耐糸引き性の良好な特性が見られた。
【0025】実施例1と同様の手法により、表2に示す
各種アクリル系バインダー樹脂組成物を得た。得られた
バインダー樹脂組成物の各種評価は、表2に示した通り
である。
【0026】
【表2】
【0027】比較例1のバインダー樹脂組成物は、グリ
セロールメタクリレートを全く使用しなかったため、耐
糸引き性が不良となった。比較例2のバインダー樹脂組
成物は、グリセロールメタクリレートを過剰量共重合し
たもので、熱分解性が低下し、残渣が残った。比較例3
のバインダー樹脂は組成物、溶剤量を過剰にしたもの
で、低固形分化に伴い粘性低下が著しくチキソ性が発現
しなかった。比較例4のバインダー樹脂組成物は、有機
溶剤中のターピネオール含有量が40%と減量したもの
で、耐糸引き性が不良となった。比較例5はアクリル樹
脂の代わりにエチルセルロース(ダウケミカル社製「エ
チルセルロースHE型」)を用いて、バインダー樹脂組
成物を製造したもので、糸引き性は良好なものの焼成残
渣が不良であった。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のアクリル
系バインダー樹脂組成物は、従来のアクリル系バインダ
ー樹脂では得ることができなかった高粘性と耐糸引き性
の相反する性能を両立することが可能となり、かつ良好
な熱分解性を有するものである。これにより、低固形分
で高粘性を必要とするバインダー樹脂として使用する際
の各種塗工及び加工作業性を付与することができ、且つ
低温焼成用のバインダー樹脂用途に使用が可能となる点
で発明の効果は著大である。特に、グリセロール(メ
タ)アクリレートを用いることで、粘性増加効果と良好
な熱分解性を発現するバランスが向上し、高粘性におい
ても糸引きをより起こしにくくなる。また、有機溶剤と
してターピネオールを主成分とすることにより、高粘性
と共に糸引き性の少ない性能をより発現し、スクリーン
印刷やディップ塗装により適するようになる。さらに、
450℃以下の低温焼成においても熱分解残渣が少なく
なるので、電子材料用等の高純度の品質が必要な部分に
も使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀田 一彦 愛知県名古屋市東区砂田橋四丁目1番60号 三菱レイヨン株式会社商品開発研究所内 Fターム(参考) 4D075 AC45 AC53 EB22 4J002 BG011 BG041 BG051 BG061 BG071 EA026 EA036 EC056 ED026 ED036 EH036 EH096 EH146 EH156 FD206 GH01 HA05 4J038 AA011 CG142 CJ132 GA04 GA06 HA061 HA161 HA311 HA441 HA471 HA481 HA556 JA26 JA33 JA55 JA59 JA61 KA06 KA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル(メタ)アクリレート単量体か
    ら選ばれる少なくとも1種(a−1)60〜97重量
    %、1分子中に水酸基を2個以上含有するヒドロキシ基
    含有(メタ)アクリレート単量体(a−2)3〜25重
    量%、不飽和カルボン酸単量体(a−3)0〜5重量
    %、モノヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート単量体
    (a−4)0〜20重量%及びその他共重合可能な単量
    体0〜10重量%を含有するモノマー混合物(但し、モ
    ノマー全体の合計は100重量%とする)を共重合して
    得られるアクリル系ポリマー(A)100重量部に対し
    て、沸点が150℃以上の有機溶剤(B)を150〜2
    000重量部含有することを特徴とするアクリル系バイ
    ンダー樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記1分子中に水酸基を2個以上含有す
    るヒドロキシ含有(メタ)アクリレート単量体(a−
    2)が、グリセロール(メタ)アクリレートであること
    を特徴とする請求項1記載のアクリル系バインダー樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記沸点が150℃以上の有機溶剤
    (B)が、ターピネオールを50重量%以上含有するこ
    とを特徴とする請求項1記載のアクリル系バインダー樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】 大気中雰囲気及び/又は不活性雰囲気中
    において10℃/minの昇温速度で450℃までの加熱
    による焼成条件での熱分解残差が、0.5重量%以下で
    あることを特徴とする請求項1記載のアクリル系バイン
    ダー樹脂組成物。
JP11049155A 1999-02-25 1999-02-25 アクリル系バインダー樹脂組成物 Withdrawn JP2000248224A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101805226B1 (ko) 2010-05-06 2017-12-05 미쯔비시 케미컬 주식회사 소성용 바인더 재료 및 그의 제조 방법, 페이스트 조성물, 및 무기 소결체
CN114752012A (zh) * 2022-05-07 2022-07-15 佛山市瑞纳新材科技有限公司 一种用于正极导电银浆的聚丙烯酸酯树脂及其制备方法

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CN114752012A (zh) * 2022-05-07 2022-07-15 佛山市瑞纳新材科技有限公司 一种用于正极导电银浆的聚丙烯酸酯树脂及其制备方法

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