JP2000247760A - 金属−セラミックス複合材料の接合体 - Google Patents

金属−セラミックス複合材料の接合体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロウ材で強固に接合された金属−セラミック
ス複合材料の接合体を提供すること。 【解決手段】 Al合金をマトリックスとする金属−セ
ラミックス複合材料と、それと同種または異種の材料と
が、Siを2〜10重量%、Cuを3〜15重量%、S
nを5〜50重量%含み、残部がAl及び不可避不純物
から成るロウ材を介して接合されたことを特徴とした金
属−セラミックス複合材料の接合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料と材料とが接
合された接合体に関し、特に一方の材料がAl合金をマ
トリックスとする金属−セラミックス複合材料である金
属−セラミックス複合材料の接合体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】Al合
金は、軽量で耐食性に優れ、熱の伝導性、電気の電導性
にも優れているため、様々な分野で利用が進んでいる。
また近年、Al合金をマトリックスとし、セラミックス
を強化材として複合させた金属−セラミックス複合材料
がその軽量、高剛性を特徴として利用されるようになっ
てきた。
【0003】この中でAl合金の接合に関しては、JI
S H 0001で規定されている展伸材Al合金につ
いては、ロウ材を介して接合する技術が知られており、
そのロウ材については、600℃前後の温度で接合する
Al合金ロウ、ブレージングシートなどのロウ材がJI
S Z 3263に規定されている。
【0004】別にJIS H 5202で規定されてい
る鋳物材Al合金については、展伸材の場合のようなJ
ISに規定されている接合用のロウ材がなく、また、こ
の鋳物材Al合金の融点が展伸材Al合金よりかなり低
いため、前記したロウ材をこの鋳物材Al合金に使用し
ても接合することが難しく、JIS H 0001の中
で規定されている最も融点の低いBA4145合金でさ
え融点が585℃であるため、例えば融点が570℃で
あるAC8Aなどのキャスト合金の接合はできない。
【0005】そこで、低融点Al合金の接合用のロウ材
として、Al−Zn−Si−Ag系合金(特開平5−3
18172)、Al−Ge−Cu−Mg−Si系合金
(溶接学会論文集 vol14(1996)63)等が
提案されている。しかし、これらのロウ材でも、その接
合温度がAC8Aなどの合金の望ましい接合温度である
530℃より高いため、強固な接合が難しいという問題
があった。
【0006】一方、先に述べたAl合金をマトリックス
とする金属−セラミックス複合材料の接合については、
ロウ材を介して接合したものはこれまで見当たらず、そ
のため、前記したロウ材を介して接合することを試みた
が、この複合材料にはマトリックスであるAl合金に融
点の低い鋳物材Al合金が使われ、しかもセラミックス
粉末が複合されているため、接合部でのロウ材と金属部
分との接触が少なく、それがために強固に接合するのは
先の鋳物材Al合金よりさらに難しくなり、強固に接合
した金属−セラミックス複合材料の接合体が得られない
という問題があった。
【0007】本発明は、上述した金属−セラミックス複
合材料の接合体が有する課題に鑑みなされたものであっ
て、その目的は、ロウ材で強固に接合された金属−セラ
ミックス複合材料の接合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため鋭意研究した結果、Al−Si−Cu−S
n系合金をロウ材として接合すれば、強固に接合された
金属−セラミックス複合材料の接合体が得られるとの知
見を得て本発明を完成するに至った。
【0009】即ち本発明は、(1)Al合金をマトリッ
クスとする金属−セラミックス複合材料と、それと同種
または異種の材料とが、Siを2〜10重量%、Cuを
3〜15重量%、Snを5〜50重量%含み、残部がA
l及び不可避不純物から成るロウ材を介して接合された
ことを特徴とする金属−セラミックス複合材料の接合体
(請求項1)とし、また、(2)前記ロウ材が、Alを
40重量%以上含み、かつそのロウ材の硬さが、ロック
ウェル硬度でHRB40以下のロウ材であることを特徴
とする請求項1記載の金属−セラミックス複合材料の接
合体(請求項2)とすることを要旨とする。以下さらに
詳細に説明する。
【0010】上記で述べたように本発明の金属−セラミ
ックス複合材料の接合体としては、接合するロウ材を、
Siを2〜10重量%、Cuを3〜15重量%、Snを
5〜50重量%含み、残部がAl及び不可避不純物から
成るロウ材として接合した金属−セラミックス複合材料
の接合体とした(請求項1)。
【0011】上述したロウ材で接合した接合体は、充分
実用に耐える強固に接合された接合体である。その理由
としては、このロウ材のDTA分析(示差熱分析)によ
り500℃付近での液相の生成が確認されたことから、
500℃以上になると液相の量が増え、その結果、接合
する材料とロウ材間の成分相互の拡散が活発になり、5
30℃以下の接合温度でも強固に接合することのできる
接合体を得ることが可能になったものと思われる。
【0012】そのロウ材の組成を述べると、先ずSi及
びCuについては、低融点化に有効であるので含有して
いるが、アルミニウムに多少固溶するため、ある程度以
上の含有量が必要であり、その含有量としては、Siで
2〜10重量%、Cuで3〜15重量%が好ましく、含
有量がこの範囲より少ないと、低融点化の効果が少な
く、逆にこの範囲より多いと、SiやCuAl2などの
金属間化合物の析出が多くなって硬く脆いロウ材とな
り、接合体のロウ材部分での応力緩和ができず、接合強
度が低下することがある。
【0013】一方、Snについては、低融点化と低硬度
化に有効であるので含有しているが、その含有量として
は、5〜50重量%が好ましく、5重量%より少ない
と、その効果が有効に発揮できず、逆に50重量%より
多いと、低融点化には顕著な効果があるものの逆に耐熱
性が大きく低下するので、好ましくない。なお、Snを
含むと、220℃付近から液相が生成するが、その量は
少なく、ロウ材が流れるようなことはない。
【0014】このロウ材よりより好ましいロウ材を用い
た接合体としては、用いるロウ材を、Alを40重量%
以上含み、かつそのロウ材の硬さを、ロックウェル硬度
でHRB40以下のロウ材として接合した金属−セラミ
ックス複合材料の接合体とした(請求項2)。
【0015】ロウ材中のAl含有量については、先のロ
ウ材では、Alの含有量に関わらず接合強度の面からは
十分な強度を有するため、限定してないが、Alの含有
量が少ないと、腐蝕しやすい環境下では、接合部の陽極
腐蝕が起こりやすいこと、熱処理の場合または高温で用
いる場合の温度上昇時に生じる接合部での不均一な拡散
による欠陥が生じやすいなどの問題が生じて接合部の接
続信頼性が劣るので、これをAlの含有量を40重量%
以上に限定することにより、先の問題を抑えることがで
き、より好ましい接合体となる。
【0016】また、ロウ材の硬さについては、これも先
のロウ材では、ロウ材の硬さに関わらず強度の面からは
十分な強度を有するため、同様限定してないが、硬度が
高いと、接合部の熱膨張差による応力の緩和に劣り、接
合強度が若干低下し、また、ロウ材を箔状で用いる場合
には、箔の加工性、箔での作業性が劣るので、これをロ
ックウエル硬度でHRB40以下に限定することによ
り、先の問題を抑えることができ、より好ましい接合体
となる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法を述べると、先
ずAl合金をマトリックスとする金属−セラミックス複
合材料とそれに接合すべき材料、例えばそれと同種の金
属−セラミックス複合材料または異種の金属材料、セラ
ミックス材料などを用意する。これとは別に本発明のロ
ウ材を用意する。ロウ材は箔でもよいし、粉末または粉
末にバインダーを加えたペーストでもよい。
【0018】用意した金属−セラミックス複合材料と、
それと同種または異種の材料間の接合面に用意したロウ
材を箔、粉末またはペースト状にして挟み込む。これを
非酸化雰囲気中(N2中、Ar中、真空中など)で適切
な温度で加熱して接合し、金属−セラミックス複合材料
の接合体を作製する。
【0019】以上の方法で金属−セラミックス複合材料
の接合体を作製すれば、ロウ材で強固に接合された金属
−セラミックス複合材料の接合体を得ることができる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的
に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0021】(実施例1〜8) (1)接合体の作製 金属−セラミックス複合材料としてセランクス(株)社
が製造したPS170(SiC粉末 70vol%)
を、金属材料として市販のAC8Aを、セラミックス材
料として市販の99.5%アルミナを用意した。それら
から50×50×20mmの試料を切り出し、複合材料
とAC8Aはそのまま用い、アルミナは接合面にAl膜
を蒸着して用いた。
【0022】一方、ロウ材は、表1に示す組成となるよ
う所定金属を混合した後、黒鉛坩堝中で650℃の温度
で加熱溶解し、それを金属製の回転2本ロールに流し出
す方法で箔を作製した。箔の厚みは約200μmであ
る。得られた箔を表1に示す接合する材料間の50×5
0mmの接合面に挟み込み、これをN2中で520℃の
温度に加熱し、接合して接合体を作製した。
【0023】(2)評価 得られた接合体から接合部を中心とした試料を切り出
し、その表面を研削加工して3×4×40mmの試料を
作製した。この試料で下部スパン30mm、上部スパン
10mmの4点曲げ試験を行って接合強度を求めた。ま
た、用意したロウ材を溶融し、それを煉瓦上に流し出し
冷却後、10mm□程度に切り出し、その硬度をロック
ウェル硬度計(松沢精機製 MRK−M型)でHRB硬
度を測定した。ただし、HRB硬度は、40以下になる
と測定が困難であるので、HRF硬度を併せて測定した
(換算表によるとHRB硬度がHRF80に相当す
る)。それらの結果を表1に示す。
【0024】(比較例1〜4)比較例では、ロウ材とし
て本発明の範囲外の組成を有するロウ材を用いた他は実
施例と同様に接合体を作製し、評価した。その結果も表
1に示す。
【0025】表1から明らかなように、実施例1〜8で
は、本発明のロウ材を用いて接合しているので、いずれ
も100MPa以上の強固な接合強度を有する接合体と
なっている。また、用いたロウ材中のAlの含有量がい
ずれも40重量%以上にあり、しかもそのロウ材の硬さ
も全てHRB硬度で40以下にあった。これらのこと
は、ロウ材を介して接合した複合材料の接合体でも強固
に接合された接合体が得られるということを、また、そ
のロウ材中のAlの含有量が40重量%以上でかつその
硬さがHRB硬度で40以下にあるので、接合部の接続
信頼性などにも良好な接合体が得られているということ
を示している。
【0026】これに対して、比較例1〜3とも、Snを
含んでいないので、接合ができないか、あるいは接合で
きても極めて低い接合強度となっている。また、比較例
4では、Snを含んでいるものの、その組成が本発明の
範囲内にないので、接合強度が実施例より大幅に低下し
ている。
【0027】
【発明の効果】以上の通り、本発明の金属−セラミック
ス複合材料の接合体であれば、ロウ材を介して接合され
た接合体であっても、強固に接合された接合体が得られ
るようになった。このことにより、金属−セラミックス
複合材料であっても、ロウ材を介して強固に接合された
接合体を提供できるようになった。また、鋳物材Al合
金のような低融点の金属材料であっても、本発明のロウ
材を用いて接合すれば、ロウ材を介して強固に接合され
た金属材料の接合体も当然のことながら提供できるよう
になった。 整理番号 TKS260 化学式等を記載した書面
【表1】 [注]接合する材料のMMCは、Alをマトリックスとする複合材料であり、A C8Aは、Al合金である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 21/00 C22C 21/00 D

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al合金をマトリックスとする金属−セ
    ラミックス複合材料と、それと同種または異種の材料と
    が、Siを2〜10重量%、Cuを3〜15重量%、S
    nを5〜50重量%含み、残部がAl及び不可避不純物
    から成るロウ材を介して接合されたことを特徴とする金
    属−セラミックス複合材料の接合体。
  2. 【請求項2】 前記ロウ材が、Alを40重量%以上含
    み、かつそのロウ材の硬さが、ロックウェル硬度でHR
    B40以下のロウ材であることを特徴とする請求項1記
    載の金属−セラミックス複合材料の接合体。
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