JP2000246191A - 基板表面処理装置、基板表面処理方法、表面伝導型電子源基板および画像形成装置 - Google Patents

基板表面処理装置、基板表面処理方法、表面伝導型電子源基板および画像形成装置

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JP2000246191A
JP2000246191A JP5067899A JP5067899A JP2000246191A JP 2000246191 A JP2000246191 A JP 2000246191A JP 5067899 A JP5067899 A JP 5067899A JP 5067899 A JP5067899 A JP 5067899A JP 2000246191 A JP2000246191 A JP 2000246191A
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Makoto Kojima
誠 小嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷配線等が形成されることで多数の凹凸が
形成されたサイズが大きな基板、例えば画像形成装置に
用いる電子源基板の形成用の基板に対して、均一に表面
処理を行うことが可能な表面処理装置、表面処理法方法
などをを提供すること。 【解決手段】 基板に対する処理液塗布手段を備えた処
理室と、該処理室に隣接してエアーナイフを備えた処理
液除去室と、基板の搬送を行う基板搬送手段と、を有す
る基板表面処理装置において、処理液塗布手段として基
板の移動方向に垂直な方向に直列に、該移動方向におけ
る該基板の被処理面の全幅に処理液を塗布可能に設けら
れた複数の処理液噴射用ノズルからなるノズル列を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面伝導型電子源
基板などの電子素子を製造する上で基板の表面処理を行
う為の基板表面処理装置に関するものである。また本発
明は、基板の表面処理方法に関するものである。また本
発明は、この表面処理方法を適用して製造した基板上の
複数の任意の個所より電子放出が可能な表面伝導型電子
源基板に関するものである。また本発明は、表面伝導型
電子源基板を利用した、画像形成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より提案されている基板表面処理装
置として、例えば特開平6−260412号公報には図
11に示される構成の現像装置が述べられている。この
装置は、液晶パネル基板などの製造時の現像処理を連続
的に行うものである。
【0003】以下、図11に従って説明する。基板w
は、搬送装置106、108、112、116によっ
て、現像処理室a、ニュートラルb、水洗室c、乾燥室
dの順に搬送される。現像処理室aには、シャワーノズ
ル104が設けられており、基板上に現像液の噴霧が行
われる。現像液はポンプ103によって現像液タンク1
01から現像液供給パイプ102を経由して供給され
る。現像処理室aの下部に滴下した現像液は、現像液還
流パイプ105を経由して現像液タンク101に回収さ
れる。ニュートラルbにはエアーナイフ107が設けら
れており、基板上の現像液の除去が行われる。またニュ
ートラルbには現像ストップ水洗ノズル117が設けら
れ、純水供給パイプ118を経由して、純水が基板上に
滴下される。水洗室cには、基板搬送経路の上下に洗浄
液シャワーノズル110が設けられ、洗浄液供給パイプ
109より洗浄液を供給することで、基板の洗浄が行わ
れる。乾燥室dにおいてはエアーナイフ113、114
が設けられて、基板上から洗浄液の除去および乾燥が行
われる。水洗室cおよび乾燥室dの下部に滴下した洗浄
液は、排水パイプ111、115を通って排水処理槽等
へ移送される。
【0004】また、特開平10−012136号公報に
は、基板に疎水処理を施す工程を有する表面伝導型電子
源基板の製造方法が述べられている。以下、図12を用
いて特開平10−012136号公報に示される表面伝
導型電子源基板の製造方法を説明する。
【0005】基板1上に図12(a)の様に、一定の間
隔Lをおいて素子電極2および3を形成する。素子電極
の形成は、膜材料を真空蒸着法、スパッタリング法等に
より成膜し、リフトオフ、エッチング等によりパターニ
ングする方法、または、膜材料を含むペーストを印刷し
焼成する方法等により形成される。この素子電極を形成
した基板に疎水性処理が施される。疎水性処理はその後
のインクジェット工程において、基板上に付与されたイ
ンクジェットの液滴の形状を安定させる目的で行われ、
フルオロアルキルシランを有機溶媒で希釈した溶液を、
基板上に付着させることで行われる。
【0006】次に、図12(b)の様にインクジェット
装置8を利用して、導電性薄膜を形成する材料を含む溶
液を付与する。図中86はインクジェット装置8より吐
出された溶液の液滴を示す。インクジェット装置8より
吐出された溶液の液滴は、基板上で素子電極2および3
の間に9で示す付着液滴として付与され、その後乾燥、
加熱処理をおこなうことで、図12(c)の様に導電性
薄膜4を形成する。
【0007】導電性薄膜の形成が終了した基板に対し
て、次にフォーミング処理と呼ばれる工程において素子
電極2および3の間に通電処理を施すことにより図12
(d)の様に電子放出部5を形成する。
【0008】さらに、活性化と呼ばれる工程において、
有機物質のガスを含有する雰囲気下で素子電極2および
3の間に通電処理を施すことにより、電子放出部5から
放出される放出電子を増大させる処理が行われる。
【0009】また、電子源基板の配線を印刷の手法によ
って形成する製造方法が特開平9−283060号公報
に述べられている。図13において説明する。まず、図
13(a)の様に基板131(輪郭は不図示)の上に素
子電極132、133を形成する。次に図13(b)の
様に導電性ペーストを印刷、焼成して、下配線(列方向
配線)140を形成する。次に図13(c)の様に絶縁
体ペーストを印刷、焼成して帯状絶縁層142を形成す
る。次に図13(d)の様に絶縁体ペーストを印刷、焼
成して交差部絶縁層144を形成する。次に図13
(e)の様に導電性ペーストを印刷、焼成して、上配線
(行方向配線)145を形成する。次に図13(f)の
様に導電性薄膜134を形成する。導電性薄膜にはその
後フォーミング処理と呼ばれる通電処理を施され、電子
放出部が形成される。さらに活性化と呼ばれる工程にお
いて、有機物質ガスを含有する雰囲気下で通電処理を施
すことで、電子放出量を増大させる処理が行われる。こ
の様にして、電子源基板の製造が行われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし本発明者らが表
面伝導型電子源基板を作製する上で、従来の表面処理装
置を使用したところ、以下の様な問題点があった。
【0011】従来の表面処理装置では、処理液塗布の為
のノズルの、基板搬送方向に対して垂直な方向の配列の
仕方に関しては最適化されていなかった。基板サイズが
小さい場合や、基板表面に凹凸形状が無く平坦な基板に
対しては、基板上に塗布された処理液が、基板上で流動
することで均一に広がり、処理むらが発生することはな
い。しかし表面伝導型電子源基板を製造する場合の様
に、基板表面に印刷配線等の凹凸が存在する場合におい
ては、基板上に塗布された処理液が、基板上を流動する
ことが阻害されることで均一に広がりにくく、処理むら
が発生する場合があった。とくに基板サイズが大きな場
合においてはその傾向が強く、基板進行方向に垂直な方
向に、基板の中央部と端部で表面処理の状態に差が出る
ことがあった。
【0012】本発明の目的はこの様に、印刷配線等が形
成されることで多数の凹凸が形成された大きなサイズの
基板に対しても、均一に表面処理を行うことが可能な基
板表面処理装置を提供することにある。
【0013】また表面伝導型電子源基板を製造する上で
処理液(疎水化剤)として、例えばトリメチルメトキシ
シラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン等のシランカップリング剤に代表される有機ケ
イ素化合物を用いることがある。これら有機ケイ素化合
物は基板上に処理液を塗布後、液切りを行って放置する
ことでも処理を行うことができる。しかし液切り後、例
えば80℃〜150℃程度の加熱処理を施すことによっ
て、基板表面での結合の定着や、未反応の化合物の蒸発
を短時間で済ますことができる。そこで、本発明の別の
目的は、こうした表面処理に有機ケイ素化合物等を用い
る場合に、より好ましい構成の表面処理装置を提供する
ことにある。
【0014】また、表面処理装置においては、基板に処
理液を付与した後に、基板を洗浄液によって洗浄する機
能を有する場合がある。表面処理に有機ケイ素化合物を
用いる場合においても、洗浄工程を有することは好まし
く、処理むらを一層小さくする効果がある。従来の表面
処理装置の洗浄機構においても洗浄効果を十分有する。
しかし基板上に凹凸形状の配線パターンを有する表面伝
導型電子源基板に対する洗浄液による洗浄工程において
は、基板表面に洗浄液の淀みが生じることで、洗浄工程
を長時間行っても、効率良く洗浄が行えない場合があ
る。そのため、洗浄液の使用量を増加させたり、洗浄液
のノズルからの噴射を強めたりすることで、対処する場
合もあった。本発明の別の目的として、従来より一層効
率的な洗浄方法であって、かつ洗浄液の消費量を節約可
能な洗浄手段を有する表面処理装置を提供するものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の表面処理装置は、基板に対する処理液塗布手
段を備えた処理室と、該処理室に隣接してエアーナイフ
を備えた処理液除去室と、これら処理室及び処理液除去
室に対する基板の搬入及び搬出、さらには前記処理室か
ら処理液除去室への基板の搬送を行う基板搬送手段と、
を有する基板表面処理装置であって、前記処理室には前
記基板を前記処理液塗布手段に対して相対的に移動させ
る移動手段が設けられ、また、該処理液塗布手段は該処
理液塗布手段に相対的に移動する前記基板の移動方向に
垂直な方向に直列に配列され、該移動方向における該基
板の被処理面の全幅に処理液を塗布可能に設けられた複
数の処理液噴射用ノズルからなるノズル列を有し、か
つ、前記処理液除去室には前記基板の被処理面にエアー
ナイフからの気流を吹き付けるために該エアーナイフに
対して該基板を相対的に移動させる移動手段が設けられ
ていることを特徴とする。
【0016】また、本発明の基板表面の処理方法は、電
子素子形成用基板の機能膜形成用領域を含む被処理面に
表面処理を行う基板表面の処理方法において、前記基板
を、処理液を噴射する複数のノズルを直列配置したノズ
ル列に対して垂直な方向で相対的に移動させ、該基板の
被処理面に該ノズルから噴射される有機ケイ素化合物を
塗布する塗布工程と、該処理液が塗布された被処理面か
らエアーナイフによって該処理液の除去を行う除去工程
とを有することを特徴とする。
【0017】更に、本発明にかかる電子源基板の製造方
法は、絶縁基板上に、一対の素子電極間を連絡し、電子
放出部を有する導電性膜と、交差部が絶縁膜を介して交
差し、互いに絶縁された行方向配線と列方向配線と、
を、前記一対の素子電極の一方が前記行方向配線に、他
方が前記列方向配線に接続させて設けた電子源基板の製
造方法において、絶縁基板上に、交差部が絶縁膜を介し
て交差し、互いに絶縁された行方向配線と列方向配線と
を設ける工程と、これら行方向配線と列方向配線とで区
画された領域内に一対の素子電極を、それらの一方が前
記行方向配線に、他方が前記列方向配線に接続して配置
する工程と、前記素子電極が設けられた絶縁基板の表面
を上記の表面処理法で処理する工程と、表面処理後の前
記一対の素子電極間に、これらの素子電極を連絡し、電
子放出部を有する導電性膜を設ける工程とを有すること
を特徴とする。
【0018】また、本発明の画像形成装置は、複数の電
子放出素子を配列した電子源基板と、該電子源基板と対
向して設けられた発光表示板を有する画像形成装置にお
いて、該電子源基板が上記の製造方法により得られたも
のであることを特徴とする。
【0019】本発明の表面処理装置によれば、基板の移
動方向に対して垂直な方向に複数のノズルを直列に配列
したノズル列を設けて有るので、基板進行方向に垂直な
方向に処理液の塗布むらが発生することがない。また、
処理液の塗布を終了後、エアーナイフによって速やかに
液切りすることで、基板上に付着している処理液によっ
て反応が進行し、処理むらが発生することを防止でき
る。よって印刷配線等が形成された表面に凹凸が存在す
る大きなサイズの基板に対しても、処理むらが発生する
ことなく、表面処理が行える。
【0020】本発明は好ましくは、前述の構成に加え
て、ノズルの配列幅が、ノズルに対して相対的に移動す
る基板幅と略等しい、前述の基板表面処理装置である。
ノズルの配列幅を、移動する基板幅と略等しくすること
で、あらゆる大きさの基板に対しても、基板端部まで処
理むらの無い表面処理を行うことが出来る。
【0021】本発明は好ましくは、前述の構成に加え
て、処理液塗布手段のノズル列が、基板進行方向に前後
して複数列設けられており、各列内のノズル配置が、隣
り合う列同士で間隔を補間し合う様に配置されている基
板表面処理装置である。これにより、万一1列のみでは
若干の処理むらが存在する場合においても、1列めのノ
ズルとノズルの間に当たる部分を、2列めのノズル列が
補うことが可能で、処理むらの無い表面処理を行うこと
が可能になる。
【0022】本発明はさらに好ましくは、前述の構成に
加えて、ノズルから吐出される処理液は、霧状に吐出さ
れることを特徴とする、基板表面処理装置である。吐出
を霧状にすることで、少ない吐出量でも基板全面を処理
液で覆うことができる。よって処理液の使用量を少なく
することが可能になる。
【0023】本発明はまた、前述の構成に加え、処理液
除去室より基板進行方向後方に、基板加熱手段を有する
ことを特徴とする基板表面処理装置である。本発明の基
板表面処理装置によれば、処理液塗布、液切りに引き続
いて基板加熱を行うことができ、処理液に有機ケイ素化
合物を用いた場合に、より好ましい処理を行うことがで
きる。
【0024】本発明はまた、前述の構成に加え、処理液
除去室より基板進行方向後方に、基板に対し洗浄液を噴
霧することで洗浄を行う洗浄室と、基板上から洗浄液の
除去を行う洗浄液除去室と、基板に対し加熱を行う加熱
室を有する基板表面処理装置である。本発明の基板表面
処理装置によれば、処理液塗布、液切りに引き続いて、
基板洗浄および基板加熱を行うことができ、処理液に有
機ケイ素化合物を用いた場合に、さらに好ましい処理を
行うことができる。
【0025】本発明はまた、前述の構成に加え、洗浄室
と洗浄液除去室の組み合わせを、2組以上連続して有す
る基板表面処理装置である。本発明の基板表面処理装置
によれば、洗浄工程の途中に、一度以上液切り動作が入
るので、表面に凹凸形状のある表面伝導型電子源基板の
様な基板を洗浄する場合においても、基板表面の洗浄液
の淀みを取り除くことができる。よって、洗浄液の使用
量を増加させたり、洗浄液のノズルからの噴射を強めた
りすることなく、洗浄効率を向上させることができる。
【0026】本発明はまた、前述の構成に加え、基板搬
送方向後方に位置する基板洗浄手段で使用した洗浄液を
回収後、基板搬送方向前方に位置する基板洗浄手段で再
利用する機構を備えた基板表面処理装置である。本発明
の基板表面処理装置によれば、最終の洗浄手段において
清浄な洗浄液が使用される以外は、洗浄室下部に滴下し
た洗浄液を回収して再利用する。そして基板搬送方向前
方に位置する洗浄手段ほど、利用回数の多い洗浄液を使
う様にすることで、洗浄効果を低下させずに、洗浄工程
における洗浄液の消費量を削減することができる。
【0027】本発明はまた、搬送手段によって搬送され
る基板に対し、基板搬送路上方に基板の進行方向に対し
て垂直な方向に並べて設けられた複数のノズルより有機
ケイ素化合物を含有する処理液の塗布を行う工程と、エ
アーナイフによって処理液の除去を行う工程によって、
表面処理を行うことを特徴とする、基板表面処理方法で
ある。本発明の基板表面処理方法によれば、基板の進行
方向に対して垂直な方向に設けた複数のノズルによっ
て、処理液塗布を行うので、基板進行方向に垂直な方向
に処理液の塗布むらが発生することがない。また、処理
液の塗布を終了後、エアーナイフによって速やかに液切
りすることで、基板上に付着している処理液によって反
応が進行し、処理むらが発生することを防止できる。よ
って印刷配線の形成された大きなサイズの基板に対して
も、処理むらが発生することなく、表面処理が行える。
【0028】本発明はまた、前述の構成に加え、エアー
ナイフによる処理液の除去後に、基板を加熱する工程を
含む基板表面処理方法である。本発明の基板表面処理方
法によれば、処理液塗布、液切りに引き続いて基板加熱
を行うことができ、処理液に有機ケイ素化合物を用いた
場合に、より好ましい処理を行うことができる。
【0029】本発明はまた、前述の構成に加え、エアー
ナイフによる処理液の除去後に、基板を洗浄液によって
洗浄する工程と、基板から洗浄液を除去する工程と、基
板を加熱する工程を含む基板表面処理方法である。本発
明の基板表面処理方法によれば、処理液塗布、液切りに
引き続いて、基板洗浄および基板加熱を行うことがで
き、処理液に有機ケイ素化合物を用いた場合に、さらに
好ましい処理を行うことができる。
【0030】本発明はまた、前述の基板表面処理方法に
よって製造されたことを特徴とする、表面伝導型電子源
基板である。本発明の表面伝導型電子源基板によれば、
均一な表面処理が行えるため、素子膜が均一に形成でき
る。このため、均一な特性の表面伝導型電子源基板が得
られる。
【0031】本発明はまた、前述の表面伝導型電子源基
板を備えることを特徴とする画像形成装置である。本発
明の画像形成装置によれば、表示むらのない、画像形成
装置が得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明は、電子素子の形成におけ
る基板表面に設けられた機能膜形成領域に、導電膜等の
機能膜を形成するための材料を含む液体、特に水性液を
適用して機能膜を形成する場合に、この機能膜形成領域
に疎水化処理剤を付与して液体の適用性を安定化あるい
は改善するための表面処理に好適に適用されるものであ
り、特に、画像形成装置における電子源基板の形成にお
けるように表面に凹凸があり、さらに親水性の部分と疎
水性の部分とが細かく混在している場合に特に好適であ
る。また、この電子源基板の形成において素子電極間に
設けられる電子放出部を含む導電性薄膜をインクジェッ
ト法のような液滴付与法で形成する場合には特に好適で
ある。
【0033】以下、この電子源基板の形成における場合
を代表例として本発明について説明する。
【0034】図1は本発明の基板表面処理装置の例を示
す図であり、装置を側面方向からながめた模式図であ
る。基板表面処理装置は処理室28、処理液除去室92
からなる。また、これらを横断して基板を支持し搬送す
る基板搬送手段としての搬送ローラー12が設けられて
いる。処理室28内部には複数のノズル13が設けられ
ている。これらは基板搬送路上方に位置し、基板の進行
方向に対して垂直な方向に複数直列に並べたノズル列と
して設けられる。図1には2つのノズルのみ示してある
が、そのノズル列は例えば図6(a)、(b)の様なノ
ズルの配列とされる。図6(a)、(b)は、本発明の
表面処理装置のノズル配置を説明する図であり、ノズル
配置を装置上方より見た図である。図中1は基板で、5
1の矢印は基板の進行方向を示す。52はノズルであ
り、円53はノズルから供給される処理液の到達範囲を
示す。図6(a)は基板の進行方向に対して垂直なノズ
ル列が1列のみの例である。L1はノズル配列の幅であ
り、Lsは基板の幅である。とくにL1とLsを略等し
くすることが好ましい。図6(b)はノズル列を3列配
した例である。複数列から成る場合、図のように各列内
のノズル配置が、隣り合う列同士で間隔を補間し合う様
に、配置されていることで、処理むらを一層軽減させる
ことができる。またL2はノズル配列の幅であり、L2
とLsを略等しくすることが好ましい。
【0035】図1において処理液除去室92にはエアー
ナイフ15が設けて有る。29は処理液タンクであり、
31は処理液タンク内に溜められた処理液である。34
はポンプであり、10は処理液供給管である。11は処
理液回収管であり、30は処理液回収タンクである。
【0036】次に本基板表面処理装置の動作を、図1に
おいて説明する。搬送ローラー12上に置かれた基板1
は電子源基板作製用のもので、例えば図6(d)の工程
を経て表面の所定部に一対の対向する素子電極が形成さ
れているものであり、搬送ローラーの回転によって矢印
51の方向に搬送される。処理室28に搬送された基板
1には、ノズル13によって、処理液の塗布が行われ
る。ノズル13には、ポンプ34によって処理液供給管
10を通って、処理液31が供給される。また処理室2
8の下部に滴下した処理液は、処理液回収管11を通っ
て回収タンク30に回収され、不純物除去や濃度調整等
の処理を施された後、再利用される。処理室28で処理
液の塗布が行われた基板1は、搬送ローラー12によっ
て処理液除去室92に搬送される。処理液除去室92で
は、基板はエアーナイフ15の間を通過する。この時基
板1上に未反応で残存する処理液は除去される。エアー
ナイフで基板上から取り除かれた処理液も、処理液回収
管11を通って回収タンク30に回収し再利用される。
その後基板1は搬送ローラー12によって処理液除去室
92の外部に搬送されて、表面処理を終了する。
【0037】図5は本発明の表面処理装置における好ま
しい塗布方法として、ノズルから霧状に吐出している状
態を示す図である。処理液は処理液供給管54を通り、
ノズル60から処理液61が霧状に吐出される。ここで
言う霧状とは、平均粒径が10μm程度から1mm程度
までの液滴の状態で吐出されたものを指す。処理液を霧
状に吐出させるには、処理液を圧縮空気と共に噴出させ
て霧状にするエアースプレイ方式や、圧縮空気を用いず
に高圧の処理液をノズルから噴出させて霧状にするエア
レススプレイ方式等が用いることができる。基板1はノ
ズル60が配列される下を、矢印51の方向に搬送され
ることで表面を処理液によって覆われるものである。吐
出する処理液を霧状にすることで、少ない量の処理液
で、塗り残しの無いように、均一に塗布することが可能
である。
【0038】基板に対する処理液の付与量は、少なすぎ
ると基板上に処理液の連続膜を形成することができな
い。また付与量がある量を超えると、基板から滴下する
量が増えるだけで、効率の良い処理液の付与が行えな
い。基板に対する処理液の付与量は、0.003g/c
2程度から、0.3g/cm2程度が好ましい。
【0039】図7は本発明の表面処理装置で使用される
エアーナイフの取付け角度の形態の例を示す図である。
図7(a)では一対のエアーナイフ72、73が対向し
て設けられて、基板1の進行方向51に対して垂直であ
り、かつ互いに全く逆方向に気体を吹き出している例を
示す。一方図7(b)ではエアーナイフ74、75が基
板1の進行方向51に対して、角度をもって設置されて
いる例を示す。エアーナイフの取付け角度は、その目的
とする、基板上の液滴除去および乾燥を達成する限り、
図7(b)の様な形態でも構わない。
【0040】図2は本発明の表面処理装置の別の形態を
示す図である。図2においては、図1の装置の構成に加
えて、処理液除去室92に対し基板の搬送方向後方に加
熱室80が設けられている。加熱室80の内部には、加
熱手段81、82が設けられている。加熱手段81、8
2としては、赤外線ヒーターや温風ヒーター等を用いる
ことができる。
【0041】図2の表面処理装置の動作は、基板1を基
板搬送手段12にセットし、処理室28において処理液
の塗布が行われ、処理液除去室92において処理液の除
去が行われるまでは、図1に示される表面処理装置の動
作と同様である。その後、図2の基板搬送手段12によ
って搬送されることで、基板1は加熱室80を通過す
る。この間に基板は加熱手段81、82によって加熱処
理が行われる。そして基板1が、搬送ローラー12によ
って加熱室80の外部に搬送されて、表面処理を終了す
る。
【0042】図3は本発明の表面処理装置の別の形態を
示す図である。図3においては、図2の装置の構成に加
えて、処理液除去室92と加熱室80の間に、洗浄室2
5および洗浄液除去室93が設けられている。洗浄室2
5にはノズル14が配置され、洗浄液除去室93にはエ
アーナイフ16が設けられている。
【0043】図3の表面処理装置の動作は、基板1を基
板搬送手段12にセットし、処理室28において処理液
の塗布が行われ、処理液除去室92において処理液の除
去が行われるまでは、図2に示される表面処理装置の動
作と同様である。その後、図3の基板搬送手段12によ
って基板1は洗浄室25に搬送される。洗浄室25にお
いて、ノズル14には洗浄液供給管57を経由して洗浄
液が供給され、基板の洗浄が行われる。洗浄液として
は、水やアルコールその他、およびそれらの混合物を使
用することができる。洗浄室下部に滴下した洗浄液は洗
浄液回収管79を経由して回収され、不純物除去処理が
行われた後、再利用することができる。図3では洗浄室
25における、基板洗浄手段であるノズル14を基板上
部にのみに配置して表してあるが、基板下部にも設置
し、基板の表裏両面に洗浄液をあてる構成をとることも
できる。洗浄を終えた基板は、洗浄液除去室93に搬送
され、エアーナイフ16を通過し、洗浄液が除去され
る。その後基板は加熱室80に搬送され、加熱処理が行
われる。その後基板1が、搬送ローラー12によって加
熱室80の外部に搬送されて、表面処理を終了する。
【0044】図3では、洗浄室および洗浄液除去室の組
み合わせは1組のみであったが、これらの組み合わせを
複数組設けることも可能である。図4は図2の装置の構
成に加えて、処理液除去室92と加熱室80の間に、洗
浄室および洗浄液除去室の組み合わせを2組設けた例を
示すものである。図4において26は第一洗浄室、27
は第二洗浄室であり、それぞれノズル14、19が備え
られている。57、58は洗浄液供給管である。また9
3、94は洗浄液除去室であり、エアーナイフ16、1
7が設けられている。59、79は洗浄液回収管であ
り、32は第二洗浄室の洗浄液回収タンクである。また
33はポンプである。
【0045】図4の表面処理装置の動作は、基板1を基
板搬送手段12にセットし、処理室28において処理液
の塗布が行われ、処理液除去室92において処理液の除
去が行われるまでは、図3に示される表面処理装置の動
作と同様である。その後、図3の基板搬送手段12によ
って基板1は第一洗浄室26に搬送され、洗浄液による
洗浄が行われる。洗浄液はノズル14より基板1に向け
て吐出される。第一洗浄室26で洗浄を終えた基板は、
洗浄液除去室93のエアーナイフ16を通過し、洗浄液
が一度除去される。次に基板は、第二洗浄室27に搬送
され、洗浄液による洗浄が行われる。洗浄液はノズル1
9より基板1に向けて吐出される。第二洗浄室27で洗
浄を終えた基板は、洗浄液除去室94のエアーナイフ1
7を通過し、洗浄液が除去される。第二洗浄室27およ
び洗浄液除去室94の下部に滴下した洗浄液は洗浄液回
収管59を通って、洗浄液回収タンク32に回収され
る。洗浄液回収タンク32に回収された洗浄液46はポ
ンプ33によって、洗浄液供給管57を通って、第一洗
浄室26のノズル14に送られ、第一洗浄室26におけ
る洗浄に利用される。また、第一洗浄室26および洗浄
液除去室93の下部に滴下した洗浄液も洗浄液回収管7
9によって回収され、不純物除去処理を施された後に、
再利用することができる。その後基板は加熱室80に搬
送され、加熱処理が行われる。その後基板1が、搬送ロ
ーラー12によって加熱室80の外部に搬送されて、表
面処理を終了する。
【0046】図4では洗浄室および洗浄液除去室の組み
合わせが2組の例を示したが、3組以上設置しても良
い。また図4では洗浄に用いるノズル14を基板上部に
のみ配置してあるが、基板下部にも設置しても良い。
【0047】以上説明した各装置では、処理液を噴射す
るノズル、エアーナイフ、洗浄液を噴射するノズル及び
加熱手段等の処理手段に対する基板の相対的な移動は、
基板のみを搬送手段を構成する搬送ローラによって搬送
することで行なわれているが、この基板の相対的な移動
は、基板を各室の所定位置に搬送した後に、基板を停止
して各処理手段を移動させる方法や、基板及び各処理手
段の両方を移動させる方法を適用してもよい。
【0048】基板の表面処理に用いられる処理液として
は、基板表面に所望とする液滴付与特性を付与できる、
例えば所望とする疎水性を付与できる疎水化剤を含むも
のが用いられいる。疎水化剤としては種々のものが利用
可能であるが、例えば、例えばトリメチルメトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン等のシランカップリング剤に代表される有機ケイ素
化合物等を挙げることができ、必要に応じて適当な溶剤
で希釈して用いることができる。
【0049】本発明の方法を電子源基板の製造に適用す
る場合に、導電性薄膜の形成をインクジェット法により
行う場合は、例えば、特開平9−115428号公報等
に記載の方法を適用することができる。すなわち、主に
導電性を得る成分を生成させるための有機金属化合物
と、主に液体の基板表面への良好な付与特性を確保する
ためのアセチレンアルコールまたはアセチレングリコー
ルなどの有機化合物とを、水を主体とする溶媒に含有さ
せた液体をインクジェット法により液滴として一対の素
子電極の配置領域内の所定位置に付与し、乾燥、焼成
し、導電性膜、例えば50〜200Åの厚さの導電性薄
膜を得ることができる。
【0050】有機金属化合物としては、金属の有機酸を
用いることができ、この有機酸としては、例えば、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、
マロン酸、コハク酸などの炭素数1〜4のカルボキシル
基を有する有機酸を挙げることができる。また、金属と
しては、白金、パラジウム、ルテニウム等の白金族元素
や、金、銅、クロム、タンタル、鉄、鉛、亜鉛、スズ、
タングステン等を挙げることができる。この有機金属化
合物はヒドロキシアルキルアミンとともに使用すること
ができる。このような形態の好ましい有機金属化合物と
しては、金属とエタノールアミン・カルボン酸錯体、例
えばエタノールアミン・酢酸パラジウム錯体を挙げるこ
とができる。液体中に含まれる金属の濃度は、適宜選択
されるが0.01重量%〜5重量%が好ましい。
【0051】アセチレンアルコールまたはアセチレング
リコールの具体例としては、先に挙げた特開平9−11
5428号公報に記載された化合物等を用いることがで
き、その含有量は例えば0.01重量%〜5重量%とす
ることができる。
【0052】水を主体とする媒体としては、水、あるい
は水に必要に応じて各種添加剤を配合したものが利用で
き、水の含有量は例えば55〜99重量%程度とされ
る。
【0053】一方、基板の支持体を洗浄液の吐出流及び
気体流に対して相対的に移動させる方法としては、洗浄
液の吐出流及び気体流に対して支持体を搬送する方法、
所定の処理領域において洗浄液の吐出流及び気体流を支
持体に対して移動させる方法、更にはこれらの方法を併
用する方法などを用いることができる。
【0054】
【実施例】(実施例1)図1で示される、基板表面処理
装置を用意した。基板表面処理装置は処理室28、処理
液除去室92、およびこれらを横断して基板を搬送する
搬送ローラー12より構成した。処理室28内部にはノ
ズル13を設けた。図1には2つのノズルのみ示してあ
るが、そのノズル配列は図6(b)の様に並べた。すな
わち、基板進行方向に対して垂直な方向に4つ並んだノ
ズル列を、基板進行方向に3列配置した。また、各列内
のノズル配置が、隣り合う列同士で間隔を補間し合う様
に、配置した。ノズル配列の幅L2は、基板の幅Lsと
略等しくなるようにした。図1において処理液除去室9
2にはエアーナイフ15を設けた。処理液タンク29の
内部には処理液として、ジメチルジメトキシシランの0.
5%エタノール溶液を備えた。その他、ポンプ34、処理
液供給管10、処理液回収管11、処理液回収タンク3
0を備えた。
【0055】次にこの基板表面処理装置を用いて、表面
伝導型電子源基板の作製を行った。図8(a)の様にガ
ラス基板1上にスパッタリング法およびリフトオフ法を
用いて、厚み40nmのPtからなるの素子電極2、3
を形成した。次にペースト材料(ノリタケ(株)製NP
−4035C)を、スクリーン印刷の手法を用いて、基
板上に印刷し、450℃の焼成を加えることで、図8
(b)の様に厚み10μmの印刷配線(列配線)90を
形成した。印刷配線90は素子電極2と導通がある様に
した。次にペースト材料(ノリタケ(株)製NP−77
10)を、スクリーン印刷の手法を用いて、基板上に印
刷し、570℃の焼成を加えることで、図8(c)の様
に厚み20μmの絶縁膜85を形成した。次にペースト
材料(ノリタケ(株)製NP−4035C)を、スクリ
ーン印刷の手法を用いて、基板上に印刷し、450℃の
焼成を加えることで、図8(d)の様に厚み10μmの
印刷配線(行配線)91を形成した。印刷配線91と素
子電極3は導通がある様にした。また、印刷配線90と
印刷配線91とは、絶縁膜85によって絶縁される様に
した。本実施例においては、印刷配線の厚みを10μm
として表面伝導型電子源基板の作成を行ったが、印刷配
線の厚みはこれに限定されるものではない。基板サイズ
が大きくなるほど、配線抵抗の増加を打ち消す為に、厚
い配線を設ける等の設計が行われる。しかし、あまり厚
い配線は、印刷手法では作製が困難になる。このような
観点からは印刷配線は5μm程度から200μm程度の
厚みのものが用いられる。
【0056】この様にしてできた、素子電極および印刷
配線の形成された基板を洗浄した後、用意した基板表面
処理装置によって、表面処理した。表面処理工程は図1
において説明する。
【0057】まず基板1は搬送ローラー12上に置き、
搬送ローラーの回転によって矢印51の方向に搬送し
た。処理室28に搬送した基板1には、ノズル13によ
って、処理液の塗布を行った。ノズル13には、ポンプ
34によって処理液供給管10を通って、処理液31を
供給した。また処理室28の下部に滴下した処理液は、
処理液回収管11を通って回収タンク30に回収し、不
純物除去や濃度調整等の処理を施された後、再利用する
ようにした。処理室28で処理液の塗布を行った基板1
は、搬送ローラー12によって処理液除去室92に搬送
した。処理液除去室92では、基板はエアーナイフ15
の間を通過することで、処理液の除去を行った。エアー
ナイフで基板上から取り除かれた処理液も、処理液回収
管11を通って回収タンク30に回収し、再利用するよ
うにした。その後基板1は搬送ローラー12によって処
理液除去室92の外部に搬送し、表面処理を終了した。
【0058】表面処理を終えた基板は、図9(a)にあ
るように、素子電極間に、バブルジェット方式の噴射装
置(キヤノン社製BJ-10V)を用い、酢酸パラジウムーエ
タノールアミン錯体アルコール水溶液を1滴(1ドッ
ト)付与した。このとき付与された液滴は基板上で素子
電極2、3の端部をそれぞれ含む領域に図9(a)に9
のように円形に広がって付着液滴を形成した。
【0059】液滴の付与後、基板を350℃で30分間
加熱処理をして図9(b)の様に酸化パラジウムからな
る導電性薄膜4を素子電極2、3を連絡する領域に形成
した。形成された導電性薄膜4を顕微鏡で観察したとこ
ろ、いずれもほぼ真円に近い円形であり、基板上でむら
なく、どの導電性薄膜も直径が等しく均一に形成されて
いることが確認できた。さらに基板の縦横の印刷配線間
に、通電処理を施して、図9(c)の様に導電性薄膜4
の中央部に電子放出部5を形成した。以上により、基板
上でむらのない表面伝導型電子源基板が形成できた。
【0060】(実施例2)図2で示される、基板表面処
理装置を用意した。図2においては、実施例1の装置構
成に加えて、処理液除去室92に対し基板の搬送方向後
方に加熱室80を設けた。加熱室80の内部には、加熱
手段81、82として、赤外線ヒーターを設けた。また
赤外線ヒーターの出力は、加熱室80を搬送中の基板が
約120℃まで加熱される様に調整した。
【0061】次にこの基板表面処理装置を用いて、表面
伝導型電子源基板の作製を行った。実施例1と同様の工
程により、図8(d)の様に素子電極および印刷配線の
形成された基板を製作した。基板を洗浄した後、用意し
た基板表面処理装置によって、表面処理した。表面処理
工程は図2において説明する。まず基板1を基板搬送ロ
ーラー12上に置き、搬送ローラーの回転によって矢印
51の方向に搬送した。処理室28に搬送した基板1に
は、ノズル13によって、処理液の塗布を行った。ノズ
ル13には、ポンプ34によって処理液供給管10を通
って、処理液31を供給した。処理液はノズルより、平
均粒径がおよそ300μmの霧状に噴霧されるようにし
た。また、処理液の噴霧量は、基板におよそ0.1g/
cm2噴霧されるように調整した。また処理室28の下
部に滴下した処理液は、処理液回収管11を通って回収
タンク30に回収し、不純物除去や濃度調整等の処理を
施された後、再利用するようにした。処理室28で処理
液の塗布を行った基板1は、搬送ローラー12によって
処理液除去室92に搬送した。処理液除去室92では、
基板はエアーナイフ15の間を通過することで、処理液
の除去を行った。エアーナイフで基板上から取り除かれ
た処理液も、処理液回収管11を通って回収タンク30
に回収し、再利用するようにした。その後、図2の基板
搬送手段12によって基板1を加熱室80に通過させ
た。この間に基板には加熱手段81、82によって加熱
処理を行った。そして基板1を加熱室80の外部に搬送
し、表面処理を終了した。
【0062】その後、実施例1と同様の工程で、インク
ジェット工程を経て、図9(b)の様に酸化パラジウム
からなる導電性薄膜4を形成した。形成された導電性薄
膜4を顕微鏡で観察したところ、いずれもほぼ真円に近
い円形であり、基板上でむらなく、どの導電性薄膜も直
径が等しく均一に形成されていることが確認できた。さ
らに基板の縦横の印刷配線間に、通電処理を施して、図
9(c)の様に導電性薄膜4の中央部に電子放出部5を
形成した。以上により、基板上でむらのない表面伝導型
電子源基板が形成できた。
【0063】(実施例3)図4で示される、基板表面処
理装置を用意した。図4においては、実施例2の装置構
成に加えて、処理液除去室92と加熱室80の間に、洗
浄室および洗浄液除去室の組み合わせを2組設けた。す
なわち、第一洗浄室26、第二洗浄室27、洗浄液除去
室93、94を設けた。またノズル14、19、洗浄液
供給管57、58、エアーナイフ16、17、洗浄液回
収管59、79、洗浄液回収タンク32、ポンプ33を
設けた。また、洗浄液としては、エタノールを用いた。
【0064】次にこの基板表面処理装置を用いて、表面
伝導型電子源基板の作製を行った。実施例1と同様の工
程により、図8(d)の様に素子電極および印刷配線の
形成された基板を製作した。基板を洗浄した後、用意し
た基板表面処理装置によって、表面処理した。表面処理
工程は図4において説明する。まず基板1を基板搬送ロ
ーラー12上に置き、搬送ローラーの回転によって矢印
51の方向に搬送した。処理室28に搬送した基板1に
は、ノズル13によって、処理液の塗布を行った。ノズ
ル13には、ポンプ34によって処理液供給管10を通
って、処理液31を供給した。また処理室28の下部に
滴下した処理液は、処理液回収管11を通って回収タン
ク30に回収し、不純物除去や濃度調整等の処理を施さ
れた後、再利用するようにした。処理室28で処理液の
塗布を行った基板1は、搬送ローラー12によって処理液
除去室92に搬送した。処理液除去室92では、基板は
エアーナイフ15の間を通過することで、処理液の除去
を行った。エアーナイフで基板上から取り除かれた処理
液も、処理液回収管11を通って回収タンク30に回収
し、再利用するようにした。次に基板1を第一洗浄室26
に搬送し、洗浄液による洗浄を行った。洗浄液はノズル
14より基板1に向けて吐出した。第一洗浄室26で洗浄を
終えた基板は、洗浄液除去室93のエアーナイフ16を
通過し、洗浄液を一度除去した。次に基板は、第二洗浄
室27に搬送し、再び洗浄液による洗浄を行った。洗浄
液はノズル19より基板1に向けて吐出した。第二洗浄
室27で洗浄を終えた基板は、洗浄液除去室94のエアー
ナイフ17を通過し、洗浄液を除去した。第二洗浄室27
および洗浄液除去室94の下部に滴下した洗浄液は洗浄
液回収管59を通って、洗浄液回収タンク32に回収し
た。そして洗浄液回収タンク32に回収した洗浄液46
はポンプ33によって、洗浄液供給管57を通って、第
一洗浄室26のノズル14に送り、第一洗浄室26におけ
る洗浄に利用した。また、第一洗浄室26および洗浄液
除去室93の下部に滴下した洗浄液も洗浄液回収管79
によって回収し、不純物除去処理を施された後に、再利
用する様にした。その後、基板は加熱室80に通過させ
た。この間に基板には加熱手段81、82によって加熱
処理を行った。そして基板1を加熱室80の外部に搬送
し、表面処理を終了した。
【0065】その後、実施例1と同様の工程で、インク
ジェット工程を経て、図9(b)の様に酸化パラジウム
からなる導電性薄膜4を形成した。形成された導電性薄
膜4を顕微鏡で観察したところ、いずれもほぼ真円に近
い円形であり、基板上でむらなく、どの導電性薄膜も直
径が等しく均一に形成されていることが確認できた。さ
らに基板の縦横の印刷配線間に、通電処理を施して、図
9(c)の様に導電性薄膜4の中央部に電子放出部5を
形成した。以上により、基板上でむらのない表面伝導型
電子源基板が形成できた。
【0066】(実施例4)実施例3で形成された表面伝
導型電子源基板を用いて、図10に示す様な画像形成装
置を製作した。表面伝導型電子源基板をガラス材からな
るリアプレート6、支持枠7、フェースプレート(発光
表示板)100の中に収め、各部材を接着した。接着に
はフリットガラスを用い、450℃に加熱して接着し
た。フェースプレートの内側には、メタルバック98
と、蛍光体99が形成してあり、メタルバックに接続さ
れた高圧端子97が画像形成装置外部に引き出される構
造とした。また表面伝導型電子源基板上に形成された印
刷配線90、91は、画像形成装置外部に延びるX方向
端子95、Y方向端子96に接続される構造とした。さ
らに不図示の排気管を通し、真空ポンプを使って内部の
空気を排気した。内部の圧力がおよそ1×10-6Pa程
度になってから、内部にベンゾニトリル蒸気を分圧1.
3×10-4Paで導入し、X方向端子95およびY方向
端子96の間にパルス電圧を印加し、30分間活性化を
行った。パルスは15V、1msの矩形パルスと、−1
5V、1msの矩形パルスとを交替で100Hzで印加
した。この処理は基板上に形成された電子放出部の近傍
にカーボンを堆積させ、電子放出量を増大させる為のも
のである。活性化工程の後に再び内部を十分に排気し、
排気管をガスバーナーで溶着させ、画像形成装置を完成
させた。この画像形成装置のメタルバック98には、高
圧端子97を通して4kVの電位を与え、X方向端子9
5およびY方向端子96に画像信号を入力することで、
画像表示を行った。
【0067】表示画面全面にわたって、むらのない均一
な表示が得られていることが、観察された。
【0068】
【発明の効果】本発明の基板表面処理装置によれば、印
刷配線等の形成された大きなサイズの基板に対しても、
処理むらが発生することなく、表面処理が行える。ま
た、装置で使用する処理液の量を少なくすることが可能
になる。また、処理液に有機ケイ素化合物等を用いた場
合に、より好ましい処理を行うことができる。また、洗
浄工程における洗浄効率を向上させ、かつ洗浄液の消費
量を削減することができる。
【0069】本発明の表面伝導型電子源基板によれば、
全面に渡って均一な特性が得られる。また、本発明の画
像形成装置によれば、表示むらのない、画像形成装置が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基板表面処理装置の一例を示す模式図
である。
【図2】本発明の基板表面処理装置の他の例を示す模式
図である。
【図3】本発明の基板表面処理装置の他の例を示す模式
図である。
【図4】本発明の基板表面処理装置の他の例を示す模式
図である。
【図5】ノズルによる塗布を説明する模式図である。
【図6】(a)及び(b)はノズルの配置を説明するた
めの図である。
【図7】(a)及び(b)はエアーナイフを説明する模
式図である。
【図8】(a)〜(d)は表面伝導型電子放出素子の製
造過程を示す模式図である。
【図9】(a)〜(c)は表面伝導型電子放出素子の製
造過程を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成装置の例を示す一部を省略
した模式図である。
【図11】従来の現像装置の一例を示す模式図である。
【図12】表面伝導型電子源基板の製造方法を示す模式
図である。
【図13】電子源基板の製造方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板 2〜3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 6 リアプレート 7 支持枠 8 インクジェット装置 9 液滴 10 処理液供給管 11 処理液回収管 12 搬送ローラー 13〜14 ノズル 15〜17 エアーナイフ 19 ノズル 25 洗浄室 26 第一洗浄室 27 第二洗浄室 28 処理室 29 処理液タンク 30 処理液回収タンク 31 処理液 32 洗浄液回収タンク 33〜34 ポンプ 46 洗浄液 51 基板進行方向 52 ノズル 53 ノズルからの処理液の到達範囲を示す円 54 処理液供給管 57〜58 洗浄液供給管 59 洗浄液回収管 60 ノズル 61 霧状の処理液 72〜75 エアーナイフ 79 洗浄液回収管 80 加熱室 81〜82 ヒーター 85 絶縁膜 86 液滴 90〜91 印刷配線 92 処理液除去室 93〜94 洗浄液除去室 95 X方向端子 96 Y方向端子 97 高圧端子 98 メタルバック 99 蛍光体 100 フェースプレート 101 現像液タンク 102 現像液供給パイプ 103 ポンプ 104 現像液シャワーノズル 105 現像液還流パイプ 106 搬送装置 107 N2ナイフ 110 洗浄液シャワーノズル 111 排水パイプ 112 搬送装置 113〜114 エアーナイフ 115 排水パイプ 116 搬送装置 117 現像ストップ水洗ノズル 118 純水供給パイプ 131 基板 132〜133 素子電極 134 導電性薄膜 140 下配線 142 帯状絶縁層 144 交差部絶縁層 145 上配線

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に対する処理液塗布手段を備えた処
    理室と、該処理室に隣接してエアーナイフを備えた処理
    液除去室と、これら処理室及び処理液除去室に対する基
    板の搬入及び搬出、さらには前記処理室から処理液除去
    室への基板の搬送を行う基板搬送手段と、を有する基板
    表面処理装置であって、 前記処理室には前記基板を前記処理液塗布手段に対して
    相対的に移動させる移動手段が設けられ、 また、該処理液塗布手段は該処理液塗布手段に相対的に
    移動する前記基板の移動方向に垂直な方向に直列に配列
    され、該移動方向における該基板の被処理面の全幅に処
    理液を塗布可能に設けられた複数の処理液噴射用ノズル
    からなるノズル列を有し、 かつ、前記処理液除去室には前記基板の被処理面にエア
    ーナイフからの気流を吹き付けるために該エアーナイフ
    に対して該基板を相対的に移動させる移動手段が設けら
    れていることを特徴とする基板表面処理装置。
  2. 【請求項2】 前記ノズル列の長さが、移動する基板の
    移動方向と垂直な方向での幅と略等しい請求項1に記載
    の基板表面処理装置。
  3. 【請求項3】 前記ノズル列が、基板移動方向に複数並
    列されて設けられており、各ノズル列内のノズル配置
    が、隣り合う列同士で間隔を補間し合う様に配置されて
    いる請求項1または2に記載の基板表面処理装置。
  4. 【請求項4】 前記ノズルから吐出される処理液は、霧
    状に吐出される請求項1〜3のいずれかに記載の基板表
    面処理装置。
  5. 【請求項5】 前記処理液除去室より基板搬送方向にお
    ける後方に、基板加熱手段を有する請求項1〜4のいず
    れかに基板表面処理装置。
  6. 【請求項6】 前記処理液除去室より基板搬送方向にお
    ける後方に、基板に対し洗浄液を噴霧することで洗浄を
    行う洗浄室と、基板上から洗浄液の除去を行う洗浄液除
    去室と、基板に対し加熱を行う加熱室を更に有する請求
    項1〜5のいずれかに記載の基板表面処理装置。
  7. 【請求項7】 前記基板の搬送方向に順に配置された前
    記洗浄室と前記洗浄液除去室の組み合わせを、2組以上
    連続して有する請求項6に記載の基板表面処理装置。
  8. 【請求項8】 前記基板の搬送方向に順次配置された複
    数の洗浄室のうちの該搬送方向における後方に位置する
    洗浄室で使用した洗浄液を回収後、該搬送方向前方に位
    置する洗浄室で再利用する機構を備えた第7項記載の基
    板表面処理装置。
  9. 【請求項9】 前記基板の被処理表面に、印刷手法によ
    る配線が形成されていることを特徴とする請求項1〜8
    のいずれかに記載の基板表面処理装置。
  10. 【請求項10】 前記処理液が基板の疎水化剤を含む請
    求項1〜9のいずれかに記載の基板表面処理装置。
  11. 【請求項11】 電子素子形成用基板の機能膜形成用領
    域を含む被処理面に表面処理を行う基板表面の処理方法
    において、 前記基板を、処理液を噴射する複数のノズルを直列配置
    したノズル列に対して垂直な方向で相対的に移動させ、
    該基板の被処理面に該ノズルから噴射される疎水化剤を
    含む処理液を塗布する塗布工程と、 該処理液が塗布された被処理面からエアーナイフによっ
    て該処理液の除去を行う除去工程とを有することを特徴
    とする基板表面の処理方法。
  12. 【請求項12】 前記エアーナイフによる処理液の除去
    後に、前記基板を加熱する工程を含む請求項11に記載
    の基板表面処理方法。
  13. 【請求項13】 前記エアーナイフによる処理液の除去
    後に、前記基板を洗浄液によって洗浄する工程と、基板
    から洗浄液を除去する工程と、基板を加熱する工程とを
    含む請求項11に記載の基板表面処理方法。
  14. 【請求項14】 前記疎水化剤が有機ケイ素化合物であ
    る請求項13に記載の基板表面処理方法。
  15. 【請求項15】 前記電子素子が、絶縁基板上に、一対
    の素子電極間を連絡し、電子放出部を有する導電性膜
    と、交差部が絶縁膜を介して交差し、互いに絶縁された
    行方向配線と列方向配線と、を有し、前記一対の素子電
    極の一方が前記行方向配線に、他方が前記列方向配線に
    接続する電子源基板であり、 前記機能膜が前記導電性膜であり、 更に前記機能膜形成用領域が前記行方向配線と列方向配
    線で区画された前記一対の素子電極が配置された領域で
    ある請求項11〜14のいずれかに記載の洗浄方法。
  16. 【請求項16】 絶縁基板上に、一対の素子電極間を連
    絡し、電子放出部を有する導電性膜と、交差部が絶縁膜
    を介して交差し、互いに絶縁された行方向配線と列方向
    配線と、を、前記一対の素子電極の一方が前記行方向配
    線に、他方が前記列方向配線に接続させて設けた電子源
    基板の製造方法において、 絶縁基板上に、交差部が絶縁膜を介して交差し、互いに
    絶縁された行方向配線と列方向配線とを設ける工程と、 これら行方向配線と列方向配線とで区画された領域内に
    一対の素子電極を、それらの一方が前記行方向配線に、
    他方が前記列方向配線に接続して配置する工程と、 前記素子電極が設けられた絶縁基板の表面を請求項15
    に記載の表面処理方法により前記処理液として疎水化剤
    を含む処理液を用いて処理する工程と、 前記表面処理後の前記一対の素子電極間に、これらの素
    子電極を連絡し、電子放出部を有する導電性膜を設ける
    工程とを有することを特徴とする電子源基板の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 複数の電子放出素子を配列した電子源
    基板と、該電子源基板と対向して設けられた発光表示板
    を有する画像形成装置において、該電子源基板が請求項
    16により得られたものである画像形成装置。
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