JP2000243639A - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火制御装置

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JP2000243639A
JP2000243639A JP11043198A JP4319899A JP2000243639A JP 2000243639 A JP2000243639 A JP 2000243639A JP 11043198 A JP11043198 A JP 11043198A JP 4319899 A JP4319899 A JP 4319899A JP 2000243639 A JP2000243639 A JP 2000243639A
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igniter
internal combustion
combustion engine
control device
ignition control
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JP11043198A
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Hironobu Kusafuka
浩伸 草深
Nobuaki Inagaki
信明 稲垣
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂モールドされたイグナイタに対する応力の
伝播を抑制して、その信頼性を高く維持することのでき
る内燃機関の点火制御装置を提供する。 【解決手段】内燃機関の点火制御装置は、大きくはケー
ス11、同ケース11内に収容されたインナコア12、
2次コイル13、1次コイル14、及びアウタコア15
等を備えている。また同ケース11には1次コイル14
に流れる1次電流を断続制御するためのイグナイタ20
が内蔵され、これら各部材間の隙間は絶縁層16によっ
て封止されている。イグナイタケース21の開口部Pの
下部には、イグナイタ20の近傍の絶縁層16内に発生
したクラックが同イグナイタ20の内部に侵入するのを
阻止するための剥離され易いテープ50が貼り付けられ
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は内燃機関の点火制
御装置に係り、詳しくは、内燃機関の点火コイルへの通
電を制御するイグナイタが樹脂によってモールドされた
状態で同機関に搭載されてなる内燃機関の点火制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の内燃機関の点火制御装置
としては、例えば特開平9−17662号公報、あるい
は特開平9−167709号公報等に記載された装置が
知られている。図7に、こうした内燃機関の点火制御装
置についてその一例を示す。同7図に示されるように、
この点火装置100では、ケース101の中心部にイン
ナコア102が配設され、更にこのインナコア102の
外周を囲むようにして順に1次ボビン103aに巻装さ
れた1次コイル103、及び2次ボビン104aに巻装
された2次コイル104が同心円状に配設されている。
【0003】また、このような点火装置100では、上
記コイル(特に2次コイル104)に点火用の高電圧が
発生するため、ケース101内にエポキシ樹脂等による
絶縁層116を形成し、この絶縁層116によって各部
材間の絶縁性を確保するようにしている。
【0004】さらにケース101内にあってその上部位
置には、上記1次コイル103への通電を制御するイグ
ナイタユニット120が設けられている。このイグナイ
タユニット120内には図示しないパワートランジスタ
チップ、ハイブリッドIC回路等が内蔵されるととも
に、同イグナイタユニット120内はシリコン樹脂等の
絶縁樹脂にて充填されている。そして、このイグナイタ
ユニット120も前記絶縁層116によって絶縁されて
いる。なお、この絶縁層116は通常、上記部材間に絶
縁樹脂を充填した後、これを硬化させることによって形
成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
内燃機関の点火制御装置100にあっては、その使用環
境による冷熱サイクル(例えば、−30℃〜120℃)
によって、前記エポキシ樹脂等の絶縁層116にクラッ
クが発生することがある。すなわち、点火装置100が
前記冷熱サイクルによる高低温にさらされると、そのコ
イル及びイグナイタには、特に低温収縮時に熱応力が作
用する。また、同点火装置100の構成部材間の線膨張
率の差によっても応力が発生する。さらに、前記絶縁層
116を構成する絶縁樹脂の硬化時には、その硬化収縮
によって同樹脂内に残留応力が発生する。そして、これ
らの応力に起因して上記クラックが発生することとな
る。
【0006】また、こうしたクラックは、先の図7に示
すように、前記イグナイタ120の近傍に例えばクラッ
クKのような態様で発生することもある。この場合に
は、上記絶縁層116とイグナイタ120の構成部品と
の線膨張率の差に起因して、同クラックKがイグナイタ
120の内部に伝播し、その構成部品、例えばパワート
ランジスタチップ等の信頼性を低下させる要因ともな
る。
【0007】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、樹脂モールドされたイグナイ
タに対する応力の伝播を抑制して、その信頼性を高く維
持することのできる内燃機関の点火制御装置を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、内燃機関の点火コイルへの
通電を制御するイグナイタが樹脂によってモールドされ
た状態で同機関に搭載されてなる内燃機関の点火制御装
置において、前記イグナイタ外部の樹脂内に発生した応
力の該イグナイタ内部への進行を抑制する応力進行抑制
手段を設けたことをその要旨とする。
【0009】同構成では、応力進行抑制手段によって前
記イグナイタ外部の樹脂内に発生した応力のイグナイタ
内部への進行が抑制されるため、同イグナイタ内部に設
けられる電子部品の信頼性が維持され、ひいては内燃機
関の点火制御装置としての信頼性も高く維持されるよう
になる。
【0010】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
の内燃機関の点火制御装置において、前記イグナイタ
は、他の部品共々、前記樹脂によって共通にモールドさ
れてなることをその要旨とする。
【0011】同構成によれば、イグナイタが他の部品共
々、前記樹脂によって共通にモールドされてなる内燃機
関の点火制御装置においても、その信頼性が高く維持さ
れるようになる。
【0012】また請求項3記載の発明は、請求項2に記
載した内燃機関の点火制御装置において、前記共通にモ
ールドされる他の部品は、一次及び二次コイルからなる
点火コイルであることをその要旨とする。
【0013】同構成によれば、イグナイタが一次及び二
次コイルからなる点火コイル共々、共通にモールドされ
てなる内燃機関の点火制御装置において、その信頼性が
高く維持されるようになる。
【0014】また請求項4記載の発明は、請求項1〜3
のいずれかに記載した内燃機関の点火制御装置におい
て、前記応力進行抑制手段は、前記イグナイタの近傍の
樹脂内に発生するクラックの該イグナイタ内部への伝播
を阻止するクラック伝播阻止手段であることをその要旨
とする。
【0015】同構成によれば、クラック伝播阻止手段に
よってイグナイタ近傍の樹脂内に発生するクラックが該
イグナイタ内部へ伝播することが阻止されるため、イグ
ナイタ内部に設けられる電子部品の信頼性が維持され、
ひいては内燃機関の点火制御装置としての信頼性も高く
維持されるようになる。
【0016】また請求項5記載の発明は、請求項4に記
載した内燃機関の点火制御装置において、前記クラック
伝播阻止手段は、前記イグナイタの外周辺に設けられ、
同イグナイタと前記モールドされる樹脂との密着性を低
下させる手段によって構成されることをその要旨とす
る。
【0017】同構成によれば、密着性を低下させる手段
の配設によってイグナイタとその近傍の樹脂との密着性
は低いものとなっている。また、一般に、クラックは密
着性の弱いところに進行する傾向がある。そのため、イ
グナイタの近傍に発生したクラックはこの密着性を低下
させる手段に到達しやすくなる。そして、この密着性を
低下させる手段は、クラックの伝達を推進させてきた応
力を分散・開放させ、その進行を阻止するように作用す
る。そのため、クラックがイグナイタ内部へ伝播するこ
とも阻止される。
【0018】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の内燃機関の点火制御装置において、前記密着性を低
下させる手段は、前記イグナイタとの剥離が容易なテー
プであることをその要旨とする。
【0019】同構成によれば、前記テープに到達したク
ラックは、同テープをイグナイタから剥離させるように
作用し、またこうして剥離されたテープは同クラックの
伝達を推進させてきた応力を分散させ、クラックの進行
を阻止するように作用する。このためクラックがイグナ
イタ内部へ伝播することも好適に阻止される。また、請
求項5に記載の密着性を低下させる手段を容易、且つ好
適に構成することができるようになる。
【0020】また、請求項7記載の発明は、請求項4記
載の内燃機関の点火制御装置において、前記クラック伝
播阻止手段は、前記イグナイタ近傍の樹脂内の所定箇所
に設けられてクラックの発生を促す手段であることをそ
の要旨とする。
【0021】同構成によれば、クラックの発生を促す手
段によって一度クラックが発生させられと、イグナイタ
近傍の樹脂内の応力が開放されることとなり、その後の
クラックの発生が防止できるようになる。そのため、イ
グナイタ内にクラックが侵入することも防止される。
【0022】また、請求項8記載の発明は、請求項7記
載の内燃機関の点火制御装置において、前記クラックの
発生を促す手段は、前記イグナイタの近傍の樹脂と比較
してその線膨張率が十分に大きい部材にて構成されるこ
とをその要旨とする。
【0023】同構成によれば、請求項7に記載のクラッ
クの発生を促す手段を容易、且つ好適に構成することが
できるようになる。すなわち、低温収縮時にイグナイタ
の近傍の樹脂とクラックの発生を促す手段との線膨張率
差によって、同クラックの発生を促す手段の近傍に積極
的にクラックを誘発させることができるようになる。
【0024】また、請求項9記載の発明は、請求項4記
載の内燃機関の点火制御装置において、前記クラック伝
播阻止手段は、前記イグナイタを収容するケースの開口
部にあって同開口部を閉鎖するように設けられる弾性部
材にて構成されることをその要旨とする。
【0025】同構成によれば、イグナイタを収容するケ
ースの開口部に設けられた弾性部材によって、同ケース
に到達したクラックの伝達を推進させてきた応力を分散
させ、クラックの進行を停止させることができるように
なる。
【0026】また、請求項10記載の発明は、請求項4
記載の内燃機関の点火制御装置において、前記クラック
伝播阻止手段は、前記イグナイタを収容するケースの開
口部に設けられた段差であることをその要旨とする。
【0027】同構成によれば、イグナイタを収容するケ
ースの開口部に段差が設けられるため、同ケースに沿っ
て進行するクラックはその縦壁に当接し、それ以後の進
行が阻止されるようになる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内燃機関の点火制
御装置を具体化した一実施の形態について図1〜 3を
参照して説明する。なお、この実施の形態の内燃機関の
点火制御装置は、車載用エンジンのシリンダヘッドに設
けられるプラグホールに嵌入して使用される円筒状の点
火装置に適用されたものである。
【0029】図1に示すように、同内燃機関の点火制御
装置は、大きくはケース11、同ケース11内に収容さ
れたインナコア12、2次コイル13(13a,13
b)、1次コイル14(14a,14b)、及びアウタ
コア15等を備えている。また、ケース11には1次コ
イル14に流れる1次電流を断続制御するためのイグナ
イタ20が取り付け具19に固定されて内蔵されてい
る。
【0030】上記のようにケース11内に収容された各
部材間の隙間は絶縁層16によって封止されている。こ
の絶縁層16は液状のエポキシ樹脂をケース11内に充
填し所定温度で加熱して硬化させることにより形成され
ている。この絶縁層16によってケース11内の各部材
間における絶縁性が確保されている。ちなみに、この絶
縁層(エポキシ樹脂)16としては、その線膨張率がお
よそ20(ppm/℃)程度のものが使用される。
【0031】前記ケース11はPBT(ポリブチレンテ
レフタレート)樹脂等の樹脂材料によって略円筒状に形
成されている。このケース11の上端部には、エンジン
の制御装置からのハーネス(図示略)が接続される接続
部11aや、点火装置をエンジンのシリンダヘッド(図
示略)にボルト固定するための取付部11bが一体形成
されている。一方、その下端部には、PBT樹脂等の樹
脂材料からなる円筒部材30が内嵌されている。この円
筒部材30の内部には金属製の高圧部材31が固定され
ており、この高圧部材31には点火プラグ(図示略)と
電気的に接続されるスプリング32の上端部が固定され
ている。また、円筒部材30の下端部にはシリコンゴム
からなる円筒状のゴムブーツ34が外嵌されており、同
点火装置の装着時、図示しない点火プラグの上端部外周
がこのゴムブーツ34によって覆われる。
【0032】またインナコア12の上下両端部には磁石
17a,17bが固着されており、この磁石17a,1
7b及びインナコア12はゴム層18によってその全体
が被覆されている。
【0033】このようにゴム層18によって被覆された
磁石17a,17b及びインナコア12には略円筒状を
なす2次ボビン13bが外嵌されている。この2次ボビ
ン13bは熱可塑性樹脂であるPPE(ポリフェニレン
エーテル)樹脂からなり、同2次ボビン13bには線径
が0.03〜0.1mmのエナメル線からなる2次巻線1
3aが積層して巻回されている。2次ボビン13bの下
端部には前記高圧部材21と接触するターミナル33が
固定されており、2次巻線13aの高電圧側端末(図示
略)はこのターミナル33に接続されている。そして、
これら上記2次巻線13a及び2次ボビン13bによっ
て点火用高電圧を発生する上記2次コイル13が構成さ
れている。
【0034】2次コイル13の外周側にはその径方向に
所定間隔を隔てて円筒状の1次コイル14が外嵌されて
いる。この1次コイル14は前記2次コイル13と異な
り、フィルム状の薄膜材料からなる薄肉ボビン14bに
巻装されたコイルであり、線径が0.3〜1.0mmのエ
ナメル線からなる1次巻線14aを円筒状をなすように
二層に巻回して構成されている。
【0035】また、上記1次コイル14の外周側にはそ
の径方向に所定間隔を隔てて円筒状のアウタコア15が
外嵌されている。このアウタコア15は珪素鋼板からな
る円筒管を重合させた二重管構造を有しており、その外
周面はケース11の内周面に対して接触している。ま
た、このアウタコア15と1次コイル14との間にもエ
ポキシ樹脂が充填されることによって絶縁層16が形成
されており、同アウタコア15の内周面はこの絶縁層1
6に接触している。
【0036】一方、図2は上記イグナイタ20の平面構
造を示し、図3は図2のIII−III線に沿った断面構造を
示している。これら図2及び図3に示されるように、イ
グナイタ20のケース21は、例えばその線膨張率が3
0(ppm/℃)程度のPPS(ポリフェニレンスルフ
ィド)樹脂等により収容空間21aを有した有底角筒状
に形成されている。そして、この収容空間21a内には
例えばニッケルメッキされた銅等の金属材料からなる板
状のヒートシンク22が配設されている。ちなみに、こ
のヒートシンク(銅板)22の線膨張率は、およそ1
6.5(ppm/℃)である。また、イグナイタケース
21には取付溝21bが形成されており、ヒートシンク
22の周縁部はこの取付溝21b内に挿入されている。
【0037】ヒートシンク22の上部にはアルミナ等か
らなる絶縁プレート28が配設されている。この絶縁プ
レート28の下面はシリコン樹脂系接着剤からなる接着
層27を介して同ヒートシンク22の上面に接着されて
いる。一方、絶縁プレート28の上面には矩形板状のセ
ラミック製基板(以下、「基板」と略記する)26が同
様にシリコン樹脂系接着剤からなる接着層27を介して
接着されている。
【0038】また、基板26の前側端部には複数のター
ミナル25が半田付けされており、さらに、ヒートシン
ク22の上面にも同様にターミナル25が半田付けされ
ている。これらターミナル25の端部はケース21の開
口部から突出しており、この突出部分が図示しない制御
装置(図示略)に電気的に接続されるようになってい
る。
【0039】ヒートシンク22の上面には、上記基板2
6と隣接してパワートランジスタ23がベアチップの状
態で配設されている。ヒートシンク22はこのパワート
ランジスタ23の放熱部材であるとともに同トランジス
タ23のコレクタ電極としても機能している。また、基
板26の上面にはICやコンデンサ等の電子部品24が
配設されるとともに、その下面には図示しない厚膜抵抗
及び配線パターンが印刷形成されている。これら厚膜抵
抗及び配線パターンとヒートシンク22とは前記絶縁プ
レート28によって絶縁されている。そして、これらパ
ワートランジスタ23、電子部品24、厚膜抵抗等によ
り、点火コイル(図示略)の一次電流を断続させるため
の電気回路が構成されている。
【0040】また、上記収容空間21a内にはエポキシ
樹脂が充填硬化されることによって絶縁樹脂層29が形
成されており、この絶縁樹脂層29によって基板26、
同基板26上に実装された電子部品24、絶縁プレート
28、ヒートシンク22等の周囲が被覆されている。ち
なみに、この絶縁樹脂層29としては、その線膨張率が
およそ16(ppm/℃)程度のエポキシ樹脂を使用
し、前記ヒートシンク22との線膨張率の差を小さくし
て、この線膨張率差に起因する応力の発生を防止するよ
うにしている。
【0041】また、図3に示すように、イグナイタケー
ス21の開口部Pの下部には、イグナイタ20の近傍の
絶縁層16(図1)内に発生したクラックが同イグナイ
タ20の内部に伝播するのを阻止する手段として、例え
ばテフロンテープ、ポリイミドテープ等からなる剥離さ
れ易いテープ50が貼り付けられている。なお、ここで
は同図3に示すように、テープ50はイグナイタケース
21の先端から絶縁層16内に突き出るように貼り付け
られている。
【0042】次に、上記テープ50によりクラックが同
イグナイタ20の内部に伝播することを阻止できる理由
について以下の説明する。一般に、クラックは応力が伝
達しやすいところに進行する傾向があり、この応力が伝
達しやすいところとして、例えば密着性の弱いところが
ある。そのため、イグナイタケース21とテープ50と
の密着性は弱いことにより、イグナイタ20の近傍の絶
縁層16内に発生したクラックはこのテープ50に到達
しやすくなる。そして、このテープ50に到達したクラ
ックは、同テープ50をイグナイタケース21から剥離
させるように作用し、こうして剥離されたテープ50
は、同クラックの伝達を推進させてきた応力を分散・開
放させ、その進行を阻止するように作用する。
【0043】また、同イグナイタ20の近傍の絶縁層1
6(図1)内に発生したクラックは、一般にイグナイタ
ケース21の絶縁樹脂層29に接した角部21cの近傍
に応力が加わり易いため、同角部21cからイグナイタ
ケース21内に侵入する。そのため、本実施の形態にお
いては、テープ50をイグナイタケース21の先端から
絶縁層16内に突き出るように貼り付けて、クラックが
同角部21cからイグナイタケース21内に侵入するこ
とをも併せて阻止するようにしている。
【0044】このように、本実施の形態においては、前
記線膨張率の差による応力、及び絶縁層(樹脂)16の
硬化収縮等によりイグナイタケース21の近傍にクラッ
クKが発生しても、テープ50によってこうしたクラッ
クの伝播エネルギが分散吸収され、同ケース21内部へ
のクラックの伝播が阻止される。
【0045】以上説明したように、本実施の形態の内燃
機関の点火制御装置によれば、以下のような効果を得る
ことができる。 (1)前記線膨張率の差による応力、及び絶縁層(樹
脂)16の硬化収縮等によりイグナイタケース21の近
傍にクラックが発生しても、テープ50によってその伝
播エネルギが分散・吸収されるため、同ケース21内部
へのクラックの伝播が好適に阻止される。その結果、イ
グナイタ20内部の部品、例えばパワートランジスタ2
3の破壊等を防止し、点火装置の信頼性を高く維持する
ことができるようになる。
【0046】(2)また、こうしてクラックがイグナイ
タ20内部に伝播するのを阻止する手段を、イグナイタ
ケース21へのテープ50の貼着といった極めて簡単な
構成にて実現することができる。
【0047】なお、以上説明した本実施の形態は、以下
のようにその構成を変更して実施することもできる。 ・上記実施の形態では、上記クラックの伝播を阻止する
手段であるテープ50を同イグナイタケース21の開口
部Pの下部に貼り付るようにしたが、同テープ50をイ
グナイタケース21の開口部P上部にも同様に貼り付け
る構成としてもよい。
【0048】・また上記テープ50に、製造上のID
(認識)情報等をバーコード等にて印刷するようにして
もよい。このようにすることで製品管理を容易にするこ
とができる。
【0049】・上記テープ50に代えて、例えばシリコ
ンオイル等の離型剤を前記イグナイタケース開口部Pの
下部近傍に塗布する構成としてもよい。すなわち、イグ
ナイタとモールド樹脂との密着性を低下させる手段はテ
ープ50に限られない。なお、このような離型剤も前記
イグナイタケース21の開口部Pの下部に限らず、その
上部近傍にも塗布する構成としてもよい。
【0050】・また、上記クラックの伝播を阻止する手
段は、必ずしもこれらテープ50や離型剤などのよう
に、イグナイタケース21と絶縁層16との密着性を低
下させるものである必要もない。例えば、先の図3に対
応する図として図4に示すように、イグナイタケース2
1の開口部Pをシリコーンゴム等にて構成される弾性部
材51にて閉鎖するような構成としてもよい。このよう
な弾性部材51によっても、その弾性効果によってイグ
ナイタケース21に到達したクラックの伝達を推進させ
てきた応力を分散させ、同クラックの進行を阻止させる
ことができる。
【0051】・また、同クラックの伝播を阻止する手段
は、同じく先の図3に対応する図として図5に示すよう
に、イグナイタケース21の開口部Pの下部に設けられ
る段差52であってもよい。この場合、上述した角部2
1cに侵入したクラックは、一般に同イグナイタケース
21に沿って進行するようになるが、こうして進行する
クラックも、この段差52の縦壁52aに当接すること
でその進行が阻止されるようになる。なお、このような
段差52を、さらにイグナイタケース21の開口部Pの
上部にも設ける構成としてもよい。
【0052】・さらに、同クラックの伝播を阻止する手
段としては、図6に示すように、イグナイタケース21
の下方所定位置に、絶縁層(エポキシ樹脂、線膨張率:
20(ppm/℃))16に対して線膨張率の十分大き
い部材、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)
樹脂(線膨張率:45(ppm/℃))53を設ける構
成としてもよい。この場合、低温収縮時に絶縁層16と
PBT樹脂53との線膨張率差によって、同PBT樹脂
53の近傍の絶縁層16内に積極的にクラックKを誘発
させることができるようになる。このように一度クラッ
クKを発生させると、絶縁層16内の応力が開放される
こととなり、その後のクラックKの発生を防止できるよ
うになる。そのため、イグナイタケース21にクラック
Kが侵入することも阻止される。
【0053】・また、応力進行抑制手段は、上述したク
ラックの伝播を阻止する手段に限られない。要は、イグ
ナイタ外部の樹脂(絶縁層16)内に発生した応力の該
イグナイタ内部への進行を抑制する手段であれば、いか
なる応力進行抑制手段であってもよい。
【0054】・上記実施の形態では、本発明の点火制御
装置が、車載用エンジンのシリンダヘッドに設けられる
プラグホールに嵌入して使用される円筒状の点火制御装
置に適用される例を示したが、これに限定されない。同
装置は例えば、シリンダヘッド上に載置される点火制御
装置にも適用できる。
【0055】・また、上記実施の形態では、イグナイタ
20と点火コイルとが樹脂によって共通にモールドされ
る例を示したがこれに限られず、イグナイタ20と他の
部品、例えばインジェクタドライバとが樹脂によって共
通にモールドされるものであってもよい。
【0056】・さらに、本発明の内燃機関の点火制御装
置は、内燃機関の点火コイルへの通電を制御するイグナ
イタが樹脂によってモールドされた状態で同機関に搭載
されてなる内燃機関の点火制御装置において、前記イグ
ナイタ外部の樹脂内に発生した応力の該イグナイタ内部
への進行を抑制する応力進行抑制手段を設けたものであ
れば、いかなる内燃機関の点火制御装置にも適用でき
る。
【0057】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、応力進行抑制
手段によって前記イグナイタ外部の樹脂内に発生した応
力のイグナイタ内部への進行が抑制されるため、同イグ
ナイタ内部に設けられる電子部品の信頼性が維持され、
ひいては内燃機関の点火制御装置としての信頼性も高く
維持されるようになる。
【0058】請求項2の発明によれば、イグナイタが他
の部品共々、前記樹脂によって共通にモールドされてな
る内燃機関の点火制御装置においても、その信頼性が高
く維持されるようになる。
【0059】請求項3の発明によれば、イグナイタが一
次及び二次コイルからなる点火コイル共々、共通にモー
ルドされてなる内燃機関の点火制御装置において、その
信頼性が高く維持されるようになる。
【0060】請求項4の発明によれば、クラック伝播阻
止手段によってイグナイタ近傍の樹脂内に発生するクラ
ックが該イグナイタ内部へ伝播することが阻止されるた
め、イグナイタ内部に設けられる電子部品の信頼性が維
持され、ひいては内燃機関の点火制御装置としての信頼
性も高く維持されるようになる。
【0061】請求項5の発明によれば、イグナイタの近
傍に発生したクラックを、密着性を低下させる手段に到
達させて、同クラックの伝達を推進させてきた応力を分
散・開放させその進行を阻止させることができる。その
ため、クラックがイグナイタの内部へ伝播することも阻
止される。
【0062】請求項6の発明によれば、クラックのイグ
ナイタ内部への伝播を好適に阻止できるとともに、請求
項5に記載の密着性を低下させる手段を容易、且つ好適
に構成することができる。
【0063】請求項7の発明によれば、クラックの発生
を促す手段によって一度クラックが発生させられると、
イグナイタ近傍の樹脂内の応力が開放されることとな
り、その後のクラックの発生が防止できるようになる。
そのため、イグナイタ内にクラックが侵入することも阻
止される。
【0064】請求項8の発明によれば、請求項7に記載
のクラックの発生を促す手段を容易、且つ好適に構成す
ることができるようになる。すなわち、低温収縮時にイ
グナイタの近傍の樹脂とクラックの発生を促す手段との
線膨張率差によって、同クラックの発生を促す手段の近
傍に積極的にクラックを誘発させることができるように
なる。
【0065】請求項9の発明によれば、イグナイタを収
容するケースの開口部に設けられた弾性部材によって、
同ケースに到達したクラックの伝達を推進させてきた応
力を分散させ、クラックの進行を停止させることができ
る。
【0066】請求項10の発明によれば、イグナイタを
収容するケースの開口部に段差が設けられるため、同ケ
ースに沿って進行するクラックはその縦壁に当接し、そ
れ以後の進行が阻止されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関の点火制御装置の一実施の形
態についてその断面構造を示す断面図。
【図2】同実施の形態についてそのイグナイタの構成を
示す平面図。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図。
【図4】他の実施の形態におけるイグナイタの断面構造
を図3に準じて示す断面図。
【図5】更に、他の実施の形態におけるイグナイタの断
面構造を図3に準じて示す断面図。
【図6】他の実施の形態におけるイグナイタ近傍の断面
構造を示す断面図。
【図7】従来の内燃機関の点火制御装置の断面構造を示
す断面図。
【符号の説明】
11…ケース、12…インナコア、13…2次コイル、
14…1次コイル、15…アウタコア、16…絶縁層、
20…イグナイタ、21…イグナイタケース、50…剥
離テープ。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の点火コイルへの通電を制御する
    イグナイタが樹脂によってモールドされた状態で同機関
    に搭載されてなる内燃機関の点火制御装置において、 前記イグナイタ外部の樹脂内に発生した応力の該イグナ
    イタ内部への進行を抑制する応力進行抑制手段を設けた
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の内燃機関の点火制御装置に
    おいて、 前記イグナイタは、他の部品共々、前記樹脂によって共
    通にモールドされてなることを特徴とする内燃機関の点
    火制御装置。
  3. 【請求項3】前記共通にモールドされる他の部品は、一
    次及び二次コイルからなる点火コイルである請求項2記
    載の内燃機関の点火制御装置。
  4. 【請求項4】前記応力進行抑制手段は、前記イグナイタ
    の近傍の樹脂内に発生するクラックの該イグナイタ内部
    への伝播を阻止するクラック伝播阻止手段である請求項
    1〜3のいずれかに記載の内燃機関の点火制御装置。
  5. 【請求項5】前記クラック伝播阻止手段は、前記イグナ
    イタの外周辺に設けられ、同イグナイタと前記モールド
    される樹脂との密着性を低下させる手段によって構成さ
    れる請求項4記載の内燃機関の点火制御装置。
  6. 【請求項6】前記密着性を低下させる手段は、前記イグ
    ナイタとの剥離が容易なテープである請求項5記載の内
    燃機関の点火制御装置。
  7. 【請求項7】前記クラック伝播阻止手段は、前記イグナ
    イタ近傍の樹脂内の所定箇所に設けられてクラックの発
    生を促す手段である請求項4記載の内燃機関の点火制御
    装置。
  8. 【請求項8】前記クラックの発生を促す手段は、前記イ
    グナイタの近傍の樹脂と比較してその線膨張率が十分に
    大きい部材にて構成される請求項7記載の内燃機関の点
    火制御装置。
  9. 【請求項9】前記クラック伝播阻止手段は、前記イグナ
    イタを収容するケースの開口部にあって同開口部を閉鎖
    するように設けられる弾性部材にて構成される請求項4
    記載の内燃機関の点火制御装置。
  10. 【請求項10】前記クラック伝播阻止手段は、前記イグ
    ナイタを収容するケースの開口部に設けられた段差であ
    る請求項4記載の内燃機関の点火制御装置。
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