JP2000243233A - 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法

Info

Publication number
JP2000243233A
JP2000243233A JP4564299A JP4564299A JP2000243233A JP 2000243233 A JP2000243233 A JP 2000243233A JP 4564299 A JP4564299 A JP 4564299A JP 4564299 A JP4564299 A JP 4564299A JP 2000243233 A JP2000243233 A JP 2000243233A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electron
emitting device
conductive film
emitting
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP4564299A
Other languages
English (en)
Inventor
Miki Tamura
美樹 田村
Yoshitaka Arai
由高 荒井
Keisuke Yamamoto
敬介 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP4564299A priority Critical patent/JP2000243233A/ja
Publication of JP2000243233A publication Critical patent/JP2000243233A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な電子放出特性と高輝度を長時間にわた
って実現できる電子放出素子とその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 基板1上に、素子電極2,3、及び導電
性膜4を形成した後、該導電性膜4上に、ニッケル、コ
バルト、鉄、或いはこれらの酸化物からなる皮膜層6を
形成した後、電子放出部5を形成し、活性化処理を行う
ことによって、該電子放出部5及びその近傍に、配向性
及び結晶性の高いグラファイト状炭素を堆積させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、該
電子放出素子を複数個用いてなる電子源、及びその応用
である表示装置等の画像形成装置と、これらの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には
電界放出型(以下FE型と略す)、金属/絶縁層/金属
型(以下MIM型と略す)や表面伝導型電子放出素子等
がある。
【0003】FE型の例としてはW.P.Dyke&
W.W.Dolan,”Fieldemissio
n”,Advance in Electron Ph
ysics,8,89(1956)或いはC.A.Sp
indt,”PhysicalProperties
of thin−film field emissi
on cathodes with molybden
um cones”,J.Appl.Phys.,4
7,5248(1976)等が知られている。
【0004】MIM型の例としてはC.A.Mea
d、”Operation of Tunnel−Em
ission Devices”,J.Apply.P
hys.32,646(1961)等が知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson、RadioEng.Elec
tron Phys.、10,1290,(1965)
等がある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は基板上に形成さ
れた小面積の薄膜に、膜面に並行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この
表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等に
よるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Ditmmer,Thin Solid Fil
ms,9,317(1972)]、In23/SnO2
薄膜によるもの[M.Hartwell and C.
G.Fonsted,IEEE Trans.ED C
onf.,519(1975)]、カーボン薄膜による
もの[荒木久他:真空、第26巻、第1号、22頁(1
983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図15に示す。同図において1は絶縁性基板である。4
は導電性膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成
された金属酸化物薄膜等からなり、後述のフォーミング
と呼ばれる通電処理により線状の電子放出部5が形成さ
れる。尚、図中の素子電極間隔Lは0.5〜1mm、W
は0.1mmで設定されている。
【0008】表面伝導型電子放出素子としては、上記の
構成とは別に、本出願人は、例えば特開平7−2352
55号公報に開示されているように、電子放出部を含む
導電性膜を、これに通電するための電極とは別の適当な
材質により形成した構成の素子を提案している。上記素
子の構成の一例を図16に示す。図16(a)は平面
図、図16(b)は断面図である。図中の2,3は導電
性膜4とは別に形成された一対の素子電極である。
【0009】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性膜4に予めフォー
ミングと呼ばれる通電処理を施し、電子放出部5を形成
するのが一般的であった。即ち、フォーミングとは前記
導電性膜4両端に直流電圧或いは非常にゆっくりとした
昇電圧、例えば1V/分程度を印加通電し、導電性膜を
局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵
抗な状態にした電子放出部5を形成することである。
尚、電子放出部5は導電性膜4の一部に亀裂が発生しそ
の亀裂付近から電子放出が行われる。前記フォーミング
処理をした表面伝導型電子放出素子は、上記導電性膜4
に電圧を印加し、素子に電流を流すことにより、上記電
子放出部5より電子を放出せしめるものである。
【0010】一方、例えば特開平7−235255号公
報に開示されているように、フォーミングを終えた素子
に対して活性化処理と呼ばれる処理を施す場合がある。
活性化処理工程とは、この工程により、素子電流If
放出電流Ieが著しく変化する工程である。
【0011】活性化工程は、有機物質を含有する雰囲気
下で、フォーミング処理同様、素子にパルス電圧の印加
を繰り返すことで行うことができる。この処理により、
雰囲気中に存在する有機物質から、炭素或いは炭素化合
物が素子の少なくとも電子放出部に堆積し、素子電流I
f,放出電流Ieが、著しく変化し、より良好な電子放出
特性を得ることができる。
【0012】以上のような電子放出素子を複数個形成し
た電子源基板を用い、蛍光体などからなる画像形成部材
と組み合わせることで画像形成装置を構成することがで
きる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述の電子源及び画像
形成装置に適用される電子放出素子においては、高い効
率で安定した電子放出特性を長時間保持し続けられる技
術が望まれている。高効率な電子放出特性を長時間にわ
たり安定的に制御することができれば、例えば蛍光体を
画像形成部材とする画像形成装置においては、低電力で
明るい高品位な画像形成装置、例えばフラットテレビが
実現できる。
【0014】ここで効率とは、電子放出素子の一対の対
向する素子電極に電圧を印加した時、流れる電流(以
下、素子電流Ifと呼ぶ)に対する真空中に放出される
電流(以下、放出電流Ieと呼ぶ)との電流比をさす。
【0015】従来の電子放出素子においては、導電性膜
4に前述のフォーミング工程により形成された亀裂部
に、前述の活性化工程により、炭素や炭素化合物が堆積
して電子放出部5を構成するようになる。これにより、
素子電流If、放出電流Ieが著しく増加し、より良好な
電子放出特性を得ることができる。
【0016】しかしながら、素子駆動時においては、駆
動時間と共に素子電流If及び放出電流Ieが低下する現
象が見られていた。これは、導電性膜4に流れる素子電
流Ifによって電子放出部5近傍の温度が上昇し、導電
性膜4の融解、凝集が起きたり、電子放出部5に堆積し
た炭素或いは炭素化合物が蒸発、消失したりすることが
一因と考えられる。
【0017】本発明の目的は、上記問題を鑑み、良好な
電子放出特性と高輝度を長時間にわたり実現する電子放
出素子とその製造方法を提供し、該素子及びその製造方
法を利用して、電子放出特性に優れた電子源及び画像形
成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
を解決するために鋭意検討を行ってなされたものであ
り、下述する構成のものである。
【0019】即ち、本発明の電子放出素子は、基板上に
形成された一対の素子電極と、該素子電極のそれぞれに
電気的に接続された導電性膜と、該導電性膜の一部に形
成された電子放出部を有する電子放出素子であって、上
記導電性膜上に、ニッケル、鉄、コバルトのうち少なく
とも一種類の元素を含む被膜層を有し、且つ少なくとも
上記電子放出部に、炭素を含む堆積物を有することを特
徴とする。
【0020】上記本発明の電子放出素子においては、上
記少なくとも炭素を含む堆積物はグラファイト状炭素を
含む堆積物であることが好ましい。また、上記被膜層
は、ニッケル、鉄、コバルト、或いはこれらの酸化物か
ら選択される少なくとも一種で構成されていること、さ
らには、該皮膜層が、微粒子膜ないし島状膜よりなるこ
とが好ましい。また、好ましくは上記被膜層の膜厚は、
2nm〜50nmである。
【0021】本発明の電子放出素子の製造方法は、少な
くとも、基板上に一対の素子電極を形成する工程と、上
記素子電極のそれぞれに電気的に接続された導電性膜を
形成する工程と、上記導電性膜上に、ニッケル、鉄、コ
バルトのうち少なくとも一種類の元素を含む被膜層を形
成する工程と、上記導電性膜に電子放出部を形成する工
程と有機物質ガスを含む雰囲気中で、上記素子電極間に
パルス電圧を繰り返し印加することにより、少なくとも
上記電子放出部に、炭素を含む堆積物を堆積させる活性
化工程とを有することを特徴とする。
【0022】さらに、本発明は、上記本発明の電子放出
素子を複数個並列に配置し結線してなる素子行を少なく
とも1行以上有し、各素子を駆動するための配線が梯子
状配置されていることを特徴とする電子源、該電子源
と、画像形成部材、及び情報信号により各素子から放出
される電子線を制御する制御電極を有することを特徴と
する画像形成装置、上記本発明の電子放出素子を複数個
配列してなる素子行を少なくとも1行以上有し、該素子
を駆動するための配線がマトリクス配置されていること
を特徴とする電子源、該電子源と、画像形成部材とを有
することを特徴とする画像形成装置、さらには、上記本
発明の電子放出素子の製造方法で同一基板上に複数の電
子放出素子を形成してなることを特徴とする電子源の製
造方法、該電子源の製造方法で得られた電子源を、該電
子源から放出される電子線を制御する制御電極と、該電
子源からの電子線の照射により画像を形成する画像形成
部材と組み合わせることを特徴とする画像形成装置の製
造方法、上記本発明の電子源の製造方法で得られた電子
源を、該電子源からの電子線の照射により画像を形成す
る画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像形
成装置の製造方法、をそれぞれ提供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
として表面伝導型電子放出素子を例に挙げて本発明を詳
細に説明する。
【0024】表面伝導型電子放出素子の基本的構成には
大別して、平面型と垂直型がある。
【0025】先ず、平面型の表面伝導型電子放出素子の
基本的な構成について説明する。
【0026】図1(a)、(b)は、本発明の電子放出
素子の一実施形態である平面型の表面伝導型電子放出素
子の構成を示す平面図及び断面図である。図1において
1は基板、2と3は素子電極、4は導電性膜、5は電子
放出部、6は被膜層である。
【0027】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2を積層したガラ
ス基板及びアルミナ等のセラミックス等が挙げられる。
【0028】対向する素子電極2,3の材料としては導
電性を有するものであればどのようなものであっても構
わないが、例えばNi,Cr,Au,Mo,W,Pt,
Ti,Al,Cu,Pd等の金属或いは合金及びPd,
Ag,Au,RuO2,Pd−Ag等の金属或いは金属
酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In23
SnO2等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体導
体材料等が挙げられる。
【0029】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、この素子の応用形態等によって適宜設
計され、例えば、後述するテレビジョン等の表示装置で
は、画面サイズに対応した画素サイズが設計され、とり
わけ、高品位テレビでは画素サイズが小さく高精細さが
要求される。そのため、電子放出素子のサイズが限定さ
れた中で十分な輝度を得るためには、十分な放出電流が
得られるように設計される。
【0030】素子電極間隔Lは、数十nm〜数百μmで
あり、素子電極の製法の基本となるフォトリソグラフィ
ー技術、即ち、露光機の性能とエッチング方法等、及
び、素子電極間に印加する電圧により設定されるが、好
ましくは、数μm〜数十μmである。
【0031】素子電極長さW、及び、素子電極2、3の
膜厚dは、電極の抵抗値、電子源におけるX、Y配線と
の結線、多数配置された電子源の配置上の問題より適宜
設計され、通常は、素子電極の長さWは、数μm〜数百
μmであり、素子電極2、3の膜厚dは、数nm〜数μ
mである。
【0032】尚、図1に示した構成だけでなく、基板1
上に、導電性膜4、被膜層6、対向する素子電極2,3
の順に積層した構成とすることもできる。
【0033】導電性膜4の膜厚は、素子電極2、3への
ステップカバレージ、素子電極2、3間の抵抗値及び後
述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定される。
【0034】一般に、導電性膜4の熱的安定性は電子放
出特性の寿命を支配する場合があり、導電性膜4の材料
としてより高融点な材料を用いるのが望ましい。しかし
ながら、通常、導電性膜4の融点が高いほど後述する通
電フォーミングが困難となり、電子放出部形成のために
より大きな電力が必要となる。
【0035】さらに、その結果得られる電子放出部の形
態によって、電子放出し得る印加電圧(しきい値電圧)
が上昇する等、電子放出特性に問題が生じる場合があ
る。本発明においては、導電性膜4の材料として特に高
融点のものを必要とはせず、比較的低いフォーミング電
力で良好な電子放出部が形成可能な材料・形態のものを
選ぶことができる。
【0036】上記条件を満たす材料の例として、Ni、
Au、PdO、Pd、Pt等の導電材料をRs(シート
抵抗)が102〜107Ω/□の抵抗値を示す膜厚で形成
したものが好ましく用いられる。尚Rsは、厚さがt、
幅がwで長さがlの薄膜の長さ方向に測定した抵抗R
を、R=Rs(l/w)と置いた時に現われる値で、抵
抗率をρとすれば、Rs=ρ/tである。上記抵抗値を
示す膜厚はおよそ5nm〜50nmの範囲にある。
【0037】さて、前に例示した材料の中でも、PdO
は、有機Pd化合物の大気中焼成により容易に薄膜形成
できること、半導体であるため比較的電気伝導度が低く
上記範囲の抵抗値Rsを得るための膜厚のプロセスマー
ジンが広いこと、電子放出部形成後などに容易に還元し
て金属Pdとすることができるので膜抵抗を低減し得る
こと、等から好適な材料である。しかしながら、本発明
の効果はPdOに限られることなく、また、上記例示し
た材料に限られるものではない。
【0038】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された、例えば亀裂等の高抵抗部であるが、後述する活
性化工程を経ることにより、炭素を含む堆積物(不図
示)で構成される。
【0039】尚、炭素を含む堆積物は、導電性膜4なら
びに被膜層6を構成する元素の一部或いは全てを含有す
ることがある。
【0040】電子放出部5に堆積された、炭素を含む堆
積物は、導電性膜4の表面に形成された被膜層6に接し
て形成されている。本発明では、詳しくは後述するが、
活性化工程における有機物質からの炭素堆積過程中に、
被膜層6に含まれるニッケル、コバルト、鉄の元素が触
媒作用を及ぼすため、被膜層6に対して層状に配向した
結晶性の良いグラファイト状炭素が堆積しやすい。
【0041】被膜層6は、ニッケル、コバルト、鉄のう
ち少なくとも一種類の元素を含んでなり、好ましくは、
ニッケル、コバルト、鉄、及びこれらの金属の酸化物か
ら選ばれた少なくとも一種からなり、これらの金属また
は金属酸化物の混合物、或いはこれらのうち複数の金属
元素を含む化合物であってもよい。
【0042】被膜層6は、連続膜、微粒子膜或いは島状
膜いずれの形態でも好ましく用いることができる。
【0043】被膜層6はまた、導電性膜4上に積層され
て形成されているため、導電性膜4の熱による凝集を抑
える効果を有する。これにより、フォーミング時に導電
性膜4の亀裂部が必要以上に広がったり、活性化時及び
駆動時に生じる熱によつて導電性膜4が融解、凝集する
のを抑制することができる。
【0044】被膜層6の膜厚は5nm〜50nmの範囲
が好ましく用いられる。膜厚が50nmを超えると電子
放出の障害となったり、高いフォーミング電圧が必要と
なったりする場合がある。また、5nm未満では十分な
触媒効果が得られず素子の熱的安定性が低下したり、導
電性膜4の凝集を抑える効果が得られない場合がある。
【0045】被膜層6はスパッタリング法、蒸着法、化
学的気相堆積法(CVD法)等の手法を用いて導電性膜
4上に形成することができるが、さらに簡便な方法とし
て、有機金属化合物の溶液をスピンコート、エアロコー
ト、ディッピング、印刷等の手法で塗布し、乾燥/焼成
により成膜する方法を好ましく用いることができる。
【0046】以上述べたように、本発明では、電子放出
部5を配向性及び結晶性のよいグラファイト状炭素で構
成し、且つ導電性膜4の熱による凝集を抑えることがで
きるため、導電性、安定性に優れ、長時間にわたり安定
な電子放出特性を得ることができる。
【0047】次に、本発明の電子放出素子の他の実施形
態である垂直型の表面伝導型電子放出素子について説明
する。
【0048】図2は、基本的な垂直型表面伝導型電子放
出素子の構成を示す模式的図面である。図2において、
図1と同一の符号のものは、同一である。尚、21は段
差形成部である。
【0049】図2において、基板1、素子電極2及び
3、導電性膜4、電子放出部5、被膜層6は、前述した
平面型表面伝導型電子放出素子と同様の材料で構成され
たものであり、段差形成部21は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタリング法等で形成されたSiO2等の絶縁
性材料で構成され、段差形成部21の膜厚が、先に述べ
た平面型表面伝導型電子放出素子の素子電極間隔Lに対
応し、数十nm〜数十μmであり、段差形成部21の製
法、及び、素子電極間に印加する電圧と電子放出し得る
電界強度により設定されるが、好ましくは、数十nm〜
数μmの範囲である。
【0050】次に、本発明の電子放出素子の製造方法に
ついて、図1の電子放出素子の製造工程の一例を図3に
挙げて説明する。
【0051】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤によ
り十分に洗浄後、素子電極材料を、真空蒸着法、スパッ
タリング法等により堆積後、フォトリソグラフィー技術
により素子電極2、3を形成する(図3(a))。
【0052】2)続いて、基板1上に設けられた素子電
極2と素子電極3との間に、有機金属溶液を塗布して乾
燥することにより、有機金属膜を形成する。尚、有機金
属溶液とは、前記Pd、Ni、Au、Pt等の金属を主
元素とする有機金属化合物の溶液である。この後、有機
金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等に
よリパターニングし、導電性膜4を形成する(図3
(b))。尚、ここでは、有機金属溶液の塗布法により
説明したが、これに限るものでなく、真空蒸着法、スパ
ッタリング法、CVD法等を用いることができる。ま
た、塗布法としては、分散塗布法、ディッピング法、ス
ピンナー法、インクジェット法等を用いることができ
る。
【0053】3)導電性膜4上に被膜層6を形成する。
被膜層6は、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法
や、有機金属系溶液を用いた塗布法等によって形成され
る。塗布法としては、分散塗布法、ディッピング法、ス
ピンナー法、インクジェット法等を用いることができ
る。また、被膜層6を形成した後に酸化雰囲気中で加熱
して、金属酸化物膜を形成してもよく、還元性ガス雰囲
気中で加熱して金属膜としてもよい(図3(c))。
【0054】4)フォーミングと呼ばれる通電処理を行
う。素子電極2、3間に不図示の電源によりパルス状電
圧或いは昇電圧を印加することにより、導電性膜4及び
被膜層6の部位に構造の変化した電子放出部5が形成さ
れる(図3(d))。この通電処理により導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化し
た部位(高抵抗部位)を電子放出部5と呼ぶ。
【0055】フォーミング処理以降の電気的処理は、図
4に示す測定評価装置内で行う。以下に測定評価装置を
説明する。
【0056】図4は、本発明の電子放出素子の電子放出
特性を測定するための測定評価装置の概略構成図であ
る。図4において、1は基板、2及び3は素子電極、4
は導電性膜、5は電子放出部、6は被膜層を示す。ま
た、41は素子に素子電圧Vfを印加するための電源、
40は素子電極2,3間の導電性膜4を流れる素子電流
fを測定するための電流計、44は素子の電子放出部
より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード
電極、43はアノード電極44に電圧を印加するための
高圧電源、42は素子の電子放出部5より放出される放
出電流Ieを測定するための電流計、45は真空容器で
ある。
【0057】電子放出素子の上記素子電流If、放出電
流Ieの測定にあたっては、素子電極2、3に電源41
と電流計40とを接続し、該電子放出素子の上方に電源
43と電流計42とを接続したアノード電極44を配置
している。また、電子放出素子及びアノード電極44は
真空装置内に設置され、その真空装置には排気ポンプ4
6及び不図示の真空計等の真空装置に必要な機器が具備
されており、所望の真空下で素子の測定評価を行えるよ
うになっている。尚、排気ポンプ46は、ターボポン
プ、ロータリーポンプからなる通常の高真空装置系或い
は、オイルを使用しない、磁気浮上ターボポンプ、ドラ
イポンプ等の高真空装置系とさらに、イオンポンプから
なる超高真空装置系からなる。また、真空装置全体、及
び電子放出素子は、不図示のヒーターにより加熱でき
る。
【0058】尚、アノード電極の電圧を1kV〜10k
V、アノード電極と電子放出素子との距離Hは2mm〜
8mmの範囲で測定した。
【0059】フォーミング処理は、パルス波高値が定電
圧のパルスを印加する場合とパルス波高値を増加させな
がら、電圧パルスを印加する場合とがある。先ず、パル
ス波高値が定電圧のパルスを印加の場合の電圧波形を図
5(a)に示す。
【0060】図5(a)中、T1及びT2は電圧波形のパ
ルス幅とパルス間隔であり、T1を1μsec〜10m
sec、T2を10μsec〜100msecとし、三
角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は適宜選
択する。
【0061】次に、パルス波高値を増加させながら、電
圧パルスを印加する場合の電圧波形を、図5(b)に示
す。
【0062】図5(b)中、T1及びT2は電圧波形のパ
ルス幅とパルス間隔であり、T1を1μsec〜10m
sec、T2を10μsec〜100msecとし、三
角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は、例え
ば0.1Vステップ程度ずつ増加させる。
【0063】尚、フォーミング処理の終了は、フォーミ
ング用パルスの間に、導電性膜2を局所的に破壊、変形
しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を
挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えば1M
Ω以上の抵抗を示した時、フォーミングを終了とした。
【0064】以上説明した電子放出部を形成する際に、
素子の電極間に三角波パルスを印加してフォーミング処
理を行っているが、素子の電極間に印加する波形は三角
波に限定することはなく、短形波など所望の波形を用い
てもよく、その波高値及びパルス幅、パルス間隔等につ
いても上述の値に限ることなく、電子放出部が良好に形
成されるように、電子放出素子の抵抗値等にあわせて、
適当な値を選択する。
【0065】5)次に、フォーミングが終了した素子に
活性化処理を施す。活性化処理の工程は、有機物質を含
有する雰囲気下で行うが、この雰囲気は、例えば油拡散
ポンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を排
気した場合に雰囲気内に残留する有機物質を利用して形
成することができる他、イオンポンプなどにより一旦十
分に排気した真空中に適当な有機物質を導入することに
よっても得られる。この時の好ましい有機物質の圧力
は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の
種類などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。
【0066】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、ニトリル類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸
等の有機酸類等を挙げることが出来、具体的には、メタ
ン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭
化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式
で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタ
ノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデ
ヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、
エチルアミン、フェノール、ベンゾニトリル、蟻酸、酢
酸、プロピオン酸等が使用できる。
【0067】この処理により、雰囲気中に存在する有機
物質から、炭素や炭素化合物が素子上に堆積し、素子電
流If、放出電流Ieが著しく変化するようになる。
【0068】本発明においては、フォーミング処理によ
って導電性膜4が局所的に破壊、変形した部位(即ち電
子放出部5)に被膜層6が形成されているため、有機物
質から炭素や炭素化合物が堆積する過程で、被膜層6に
含まれる金属元素、即ち、鉄、コバルト、ニッケルによ
る触媒作用を受けることになる。従って堆積する炭素は
配向性、結晶性が優れたグラファイト状となり、堆積し
た炭素の配向は、被膜層6の表面形状にほぼ平行な層状
の配向となると考えられる。
【0069】尚、活性化工程の終了判定は、素子電流I
f及び/または放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。
パルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定す
ることができる。
【0070】本発明におけるグラファイト状の炭素と
は、完全なグラファイトの結晶構造を有するもの(いわ
ゆるHOPG)、結晶粒が20nm程度で結晶構造がや
や乱れたもの(PG)、結晶粒が2nm程度になり結晶
構造の乱れがさらに大きくなったもの(GC)を包含す
るが、グラファイト層間隔として、0.35nm以下
(完全なグラファイトでは0.335nm)の炭素が含
まれているものが好ましい。即ち、グラファイト粒子間
の粒界などの層の乱れが存在していても好ましく用いる
ことができる。
【0071】本発明の電子放出素子における炭素の堆積
機構は必ずしも明らかとはなっていないが、該堆積過程
において上記金属元素による触媒作用の結果、被膜層6
に平行な層構造をもって配向した、結晶性の良いグラフ
ァイト状炭素が形成される。配向性及び結晶性の良い炭
素は、電気伝導性、熱的安定性に優れた材料であるた
め、本発明による電子放出素子は、長時間にわたり安定
な電子放出特性を示すことができると考えられる。
【0072】6)こうして作製した電子放出素子に、好
ましくは安定化工程を行う。この工程は、真空容器内の
有機物質排気する工程である。真空容器内の圧力は、1
×10-6Pa以下が好ましく、さらに1×10-7Pa以
下が特に好ましい。真空容器を排気する真空排気装置
は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与え
ないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ま
しい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ
等の真空排気装置を挙げることができる。さらに真空容
器内を排気する時には、真空容器全体を加熱して、真空
容器内壁や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排
気しやすくするのが好ましい。この時の加熱条件は、8
0〜350℃、好ましくは200℃以上でできるだけ長
時間行なうのが望ましいが、特にこの条件に限るもので
はなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成
などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
【0073】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特
性を維持することができる。このような真空雰囲気を採
用することにより、新たな炭素或いは炭素化合物の堆積
を抑制でき、結果として素子電流If、放出電流Ieが安
定する。
【0074】本発明の電子放出素子の基本特性について
図4、図6を用いて説明する。
【0075】図4に示した測定評価装置により測定され
た放出電流Ie及び素子電流Ifと素子電圧Vfの典型的
な例を図6に示す。尚、図6においては、放出電流Ie
は素子電流Ifに比べて著しく小さいので、任意単位で
示されており、いずれもリニアスケールである。図6か
らも明らかなように、本電子放出素子は放出電流Ie
対する三つの性質を有する。
【0076】先ず第1に、本素子はある電圧(しきい値
電圧と呼ぶ、図8中のVth)以上の素子電圧を印加する
と急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth
以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。即ち、
放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った
非線形素子である。
【0077】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存
するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0078】第3に、アノード電極44に捕捉される放
出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。つ
まり、アノード電極44に捕捉される電荷量は、素子電
圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0079】図6においては、素子電流Ifが素子電圧
fに対して単調増加する(MI特性と呼ぶ)例を示し
た。素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性
抵抗特性(VCNR特性と呼ぶ)を示す場合もある(不
図示)。これら特性は、前述の工程を制御することで制
御できる。
【0080】以上のような電子放出素子の特性を用いる
と、入力信号に応じて電子放出特性を容易に制御できる
ことになる。さらに、本発明の電子放出素子は、長時間
にわたって安定かつ高輝度な電子放出特性を有するた
め、多方面への応用が期待できる。
【0081】本発明の電子放出素子を複数個用いてなる
本発明の電子源について以下に述べる。
【0082】基板上の電子放出素子の配列については、
例えば、多数の電子放出素子を並列に配置し、個々の素
子の両端を配線にて結線した、電子放出素子の行を多数
個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向に
(列方向と呼ぶ)、該電子源の上方の空間に設置された
制御電極(グリッドと呼ぶ)により電子を制御駆動する
配列形態(梯子型という)、及び次に述べるm本のX方
向配線の上にn本のY方向配線を、層間絶縁層を介して
設置し、電子放出素子の一対の素子電極にそれぞれ、X
方向配線、Y方向配線を接続した配列形態が挙げられ
る。以降これを単純マトリクス配置と呼ぶ。
【0083】次に、この単純マトリクス配置について詳
述する。
【0084】本発明の電子放出素子の前述した3つの基
本的特性の特徴によれば、電子放出素子からの放出電子
は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加
するパルス状電圧の波高値と幅で制御できる。一方、し
きい値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によ
れば、多数の電子放出素子を配置した場合でも、個々の
素子に、上記パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号
に応じて、電子放出素子を選択し、その電子放出量を制
御できる事となる。
【0085】以下この原理に基づき構成した電子源基板
の構成について、図7を用いて説明する。
【0086】図7は、本発明の電子源の一実施形態であ
る単純マトリクス配置の電子源の構成を模式的に示す図
である。図7中、72はDx1,Dx2,…DxmからなるX
方向配線、73はDy1,Dy2,…DynからなるY方向配
線であり、それぞれ基板71上に、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成され、所望のパターンとした導
電性金属等からなり、多数の電子放出素子74にほぼ均
等な電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅等が
設計される。これらm本のX方向配線72とn本のY方
向配線73間には、不図示の層間絶縁層が設置され、電
気的に分離されて、マトリックス配線を構成する(この
m,nは、共に正の整数)。
【0087】不図示の層間絶縁層は,真空蒸着法,印刷
法,スパッタ法等で形成されたSiO2等であり、X方
向配線72を形成した基板71の全面或いは一部に所望
の形状で形成され、特に、X方向配線72とY方向配線
73の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、
製法が、適宜設定される。X方向配線72とY方向配線
73は、それぞれ外部端子として引き出されている。
【0088】さらに、電子放出素子74の対向する素子
電極(不図示)が、m本のX方向配線72及びn本のY
方向配線73と導電性金属等からなる結線75によって
電気的に接続されているものである。
【0089】ここで、m本のX方向配線72とn本のY
方向配線73と結線75と対向する素子電極の導電性金
属は、その構成元素の一部或いは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なってもよい。これら材料は、例え
ば前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極
を構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子
電極に接続した配線は素子電極であるということもでき
る。
【0090】X方向配線72は、X方向に配列する電子
放出素子74の行を入力信号に応じて走査するための走
査信号を印加するための不図示の走査信号印加手段と電
気的に接続され、一方、Y方向配線73は、Y方向に配
列する電子放出素子74の各列を入力信号に応じて変調
するための変調信号を印加するための不図示の変調信号
発生手段と電気的に接続される。各電子放出素子に印加
される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変
調信号の差電圧として供給されるものである。
【0091】次に、以上のようにして作製した電子源基
板を用いた電子源、及び、表示等に用いる画像形成装置
について、図8、図9を用いて説明する。図8は、画像
形成装置の表示パネルを示す基本構成図であり、図9は
蛍光膜である。
【0092】図8において、図7と同じ部材には同じ符
号を付した。また、便宜上、各素子の導電性膜は省略し
た。図8中、81は電子源基板71を固定したリアプレ
ート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタ
ルバック85等が形成されたフェースプレートである。
82は、支持枠であり、リアプレート81、支持枠82
及びフェースプレート86をフリットガラスを塗布し、
大気中或いは、窒素中で、400〜500℃で10分以
上焼成することで、封着して、外囲器88を構成する。
【0093】外囲器88は、上述の如く、フェースープ
レート86、支持枠82、リアプレート81で構成した
が、リアプレート81は主に電子源基板71の強度を補
強する目的で設けられるため、基板71自体で十分な強
度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要であり、
基板71に直接支持枠82を封着し、フェースプレート
86、支持枠82、基板71で外囲器88を構成しても
良い。
【0094】一方、フェースープレート86、リアプレ
ート81間に、スペーサーとよばれる不図示の支持体を
設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ
外囲器88を構成することもできる。
【0095】図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみからなる
が、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラ
ックストライプ或いはブラックマトリクスなどと呼ばれ
る黒色導電材91と蛍光体92とで構成される。ブラッ
クストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的
は、カラー表示の場合必要となる3原色蛍光体の、各蛍
光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立
たなくすることと、蛍光膜84における外光反射による
コントラストの低下を抑制することにある。ブラックス
トライプの材料としては、通常良く用いられている黒鉛
を主成分とする材料だけでなく、導電性があり、光の透
過及び反射が少ない材料であればこれに限るものではな
い。
【0096】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法、印刷法等
が用いられる。
【0097】また、蛍光膜84の内面側には通常メタル
バック85が設けられる。メタルバックの目的は、蛍光
体の発光のうち内面側への光をフェースプレート86側
へ鏡面反射させることにより輝度を向上させること、電
子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させ
ること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメ
ージからの蛍光体の保護等である。メタルバックは、蛍
光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フ
ィルミングと呼ばれる)を行い、その後Alを真空蒸着
等を用いて堆積させることで作製できる。
【0098】フェースプレート86には、さらに蛍光膜
84の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明
電極(不図示)を設けてもよい。
【0099】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行なう必要がある。
【0100】外囲器88は、不図示の排気管を通じ、1
×10-5Pa程度の真空度にした後、封止が行われる。
また、外囲器88の封止後の真空度を維持するために、
ゲッター処理を行なう場合もある。これは、外囲器88
の封止を行う直前或いは封止後に、抵抗加熱或いは高周
波加熱等の加熱法により、外囲器88内の所定の位置
(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形
成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であ
り、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5〜1
×10-7Paの真空度を維持するものである。
【0101】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行うための駆動回路の構成
例について、図10を用いて説明する。
【0102】図10は、NTSC方式のテレビ信号に応
じて表示を行なうための駆動回路の一例を示すブロック
図であり、図10中、101は表示パネル、102は走
査信号発生回路、103はタイミング制御回路、104
はシフトレジスタである。105はラインメモリ、10
6は同期信号分離回路、107は変調信号発生回路、V
x及びVaは直流電圧源である。
【0103】表示パネル101は、端子Dx1〜Dxm、端
子Dy1〜Dyn、及び高圧端子87を介して外部の電気回
路と接続している。端子Dx1〜Dxmには、表示パネル内
に設けられている電子源、即ち、m行×n列の行列状に
マトリクス配線された電子放出素子群を一行(n素子)
ずつ順次駆動するための走査信号が印加される。端子D
y1〜Dynには、前記走査信号により選択された一行の電
子放出素子の各素子の出力電子ビームを制御するための
変調信号が印加される。高圧端子87には、直流電圧源
aより、例えば10kVの直流電圧が供給されるが、
これは電子放出素子から放出される電子ビームに蛍光体
を励起するのに十分なエネルギーを付与するための加速
電圧である。
【0104】走査信号発生回路102は、内部にm個の
スイッチング素子を備えたもので(図中、S1〜Smで模
式的に示している)ある。各スイッチング素子は、直流
電圧源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベル)
のいずれか一方を選択し、表示パネル101の端子Dx1
〜Dxmと電気的に接続される。S1〜Smの各スイッチン
グ素子は、制御回路103が出力する制御信号Tscan
基づいて動作するものであり、例えばFETのようなス
イッチング素子を組み合わせることにより構成すること
ができる。
【0105】直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放
出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき走査さ
れていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しきい
値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定さ
れている。
【0106】タイミング制御回路103は、外部より入
力する画像信号に基づいて適切な表示が行なわれるよう
に各部の動作を整合させる機能を有する。タイミング制
御回路103は、同期信号分離回路106より送られる
同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan及びT
sft及びTmryの各制御信号を発生する。
【0107】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波数
分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信
号分離回路106により分離された同期信号は、垂直同
期信号と水平同期信号よりなるが、ここでは説明の便宜
上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離
された画像の輝度信号成分は便宜上DATA信号と表し
た。該DATA信号はシフトレジスタ104に入力され
る。
【0108】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記タ
イミング制御回路103より送られる制御信号Tsft
基づいて動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレ
ジスタ104のシフトクロックであるということもでき
る。)。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分
(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)のデータ
は、Id1〜Idnのn個の並列信号として前記シフトレジ
スタ104より出力される。
【0109】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記億するための記憶装置であ
り、タイミング制御回路103より送られる制御信号T
mryに従って適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶さ
れた内容は、Id'1〜Id'nとして出力され、変調信号発
生器107に入力される。
【0110】変調信号発生器107は、画像データI
d'1〜Id'nの各々に応じて電子放出素子の各々を適切に
駆動変調するための信号源であり、その出力信号は、端
子Dy1〜Dynを通じて表示パネル101内の電子放出素
子に印加される。
【0111】前述したように、本発明の電子放出素子は
放出電流Ieに対して以下の基本特性を有している。即
ち、電子放出には明確なしきい値電圧Vthがあり、Vth
以上の電圧を印加された時のみ電子放出が生じる。電子
放出しきい値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧
の変化に応じて放出電流も変化する。このことから、本
素子にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出
しきい値以下の電圧を印加しても電子放出は生じない
が、電子放出しきい値以上の電圧を印加する場合には電
子ビームが出力される。その際、パルスの波高値Vm
変化させる事により出力電子ビームの強度を制御するこ
とが可能である。
【0112】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107として、一定長さの電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜パルスの波
高値を変調するような電圧変調方式の回路を用いること
ができる。パルス幅変調方式を実施するに際しては、変
調信号発生器107として、一定の波高値の電圧パルス
を発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルスの
幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いるこ
とができる。
【0113】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものをもアナログ信号式のもの
をも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0114】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには106の出力部にA/D変
換器を設ければ良い。これに関連してラインメモリ10
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器107に用いられる回路が若干異なった
ものとなる。即ち、デジタル信号を用いた電圧変調方式
の場合、変調信号発生器107には、例えばD/A変換
回路を用い、必要に応じて増幅回路などを付加する。パ
ルス幅変調方式の場合、変調信号発生器107には、例
えば高速の発振器及び発振器の出力する波数を計数する
計数器(カウンタ)及び計数器の出力値と前記メモリの
出力値を比較する比較器(コンパレータ)を組み合せた
回路を用いる。必要に応じて、比較器の出力するパルス
幅変調された変調信号を電子放出素子の駆動電圧にまで
電圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0115】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプなど
を用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフ
ト回路などを付加することもできる。パルス幅変調方式
の場合には、例えば、電圧制御型発振回路(VCO)を
採用でき、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧まで電
圧増幅するための増幅器を付加することもできる。
【0116】このような構成をとり得る本発明の画像表
示装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Dx1
〜Dxm、Dy1〜Dynを介して電圧を印加することによ
り、電子放出が査線からなるTV信号(例えば、MUS
E方式をはじめとする高品位TV)方式をも採用でき
る。
【0117】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
ができる。
【0118】次に、梯子型配置の電子源及び画像形成装
置について図11及び図12を用いて説明する。
【0119】図11は、梯子型配置の電子源の一例を示
す模式図である。図11において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112はD1〜D10
からなる、電子放出素子111を接続するための共通配
線である。電子放出素子111は、基板110上に、X
方向に並列に複数個配されている(これを素子行と呼
ぶ)。この素子行が複数個配されて、電子源を構成して
いる。各素子行の共通配線間に駆動電圧を印加すること
で、各素子行を独立に駆動させることができる。即ち、
電子ビームを放出させたい素子行には、電子放出しきい
値以上の電圧を、電子ビームを放出しない素子行には、
電子放出しきい値以下の電圧を印加する。各素子行間の
共通配線D2〜D9は、例えばD2、D3を同一配線とする
こともできる。
【0120】図12は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置における表示パネルの構造の一例を示す模式
図である。図中、120はグリッド電極、121は電子
が通過するための空孔、122はD1,D2,…Dmより
なる容器外端子である。123はグリッド電極120と
接続されたG1,G2,…Gnからなる容器外端子、11
0は各素子行間の共通配線を同一配線とした電子源基板
である。図12において、図8、図11に示した部位と
同じ部位には、これらの図に付したのと同一の符号を付
している。尚、便宜上各素子の導電性膜は省略した。こ
こに示した画像形成装置と、図8に示した単純マトリク
ス配置の画像形成装置との大きな違いは、電子源基板1
10とフェースプレート86の間にグリッド電極120
を備えているか否かである。
【0121】グリッド電極120は、電子放出素子から
放出された電子ビームを変調するためのものであり、梯
子型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状の
電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応して
1個ずつ円形の空孔121が設けられている。グリッド
の形状や設置位置は図12に示したものに限定されるも
のではない。例えば、空孔としてメッシュ状に多数の通
過口を設けることもでき、グリッドを電子放出素子の周
囲や近傍に設けることもできる。
【0122】容器外端子122及びグリッド容器外端子
123は、不図示の制御回路と電気的に接続されてい
る。
【0123】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)していくのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示すことができる。
【0124】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
ができる。
【0125】図17は、例えばテレビジョン放送をはじ
めとする種々の画像情報源より提供される画像情報を表
示できるように構成した本発明の画像形成装置の一例を
示す図である。
【0126】図中、1700はディスプレイパネル、1
701はディスプレイパネルの駆動回路、1702はデ
ィスプレイコントローラ、1703はマルチプレクサ、
1704はデコーダ、1705は入出力インタフェース
回路、1706はCPU、1707は画像生成回路、1
708〜1710は画像メモリインタフェース回路、1
711は画像入力インターフェース回路、1712及び
1713はTV信号受信回路、1714は入力部であ
る。
【0127】尚、本画像形成装置は、例えばテレビジョ
ン信号のように、映像情報と音声情報の両方を含む信号
を受信する場合には当然映像の表示と同時に音声を再生
するものであるが、本発明の特徴と直接関係しない音声
情報の受信、分離、再生、処理、記憶等に関する回路や
スピーカー等については説明を省略する。
【0128】以下、画像信号の流れに沿って各部の機能
を説明する。
【0129】先ず、TV信号受信回路1713は、例え
ば電波や空間光通信等のような無線伝送系を用いて伝送
されるTV信号を受信するための回路である。受信する
TV信号の方式は特に限られるものではなく、例えばN
TSC方式、PAL方式、SECAM方式等、いずれの
方式でも良い。また、これらよりさらに多数の走査線よ
りなるTV信号、例えばMUSE方式をはじめとするい
わゆる高品位TV信号は、大面積化や大画素数化に適し
た前記ディスプレイパネルの利点を生かすのに好適な信
号源である。
【0130】上記TV信号受信回路1713で受信され
たTV信号は、デコーダ1704に出力される。
【0131】また、TV信号受信回路1712は、例え
ば同軸ケーブルや光ファイバ等のような有線伝送系を用
いて伝送されるTV信号を受信するための回路である。
前記TV信号受信回路1713と同様に、受信するTV
信号の方式は特に限られるものではなく、また本回路で
受信されたTV信号もデコーダ1704に出力される。
【0132】画像入力インターフェース回路1711
は、例えばTVカメラや画像読み取りスキャナーなどの
画像入力装置から供給される画像信号を取り込むための
回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ1704に出
力される。
【0133】画像メモリインターフェース回路1710
は、ビデオテープレコーダ(以下「VTR」と称する)
に記憶されている画像信号を取り込むための回路で、取
り込まれた画像信号はデコーダ1704に出力される。
【0134】画像メモリインターフェース回路1709
は、ビデオディスクに記憶されている画像信号を取り込
むための回路で、取り込まれた画像信号はデコーダ17
04に出力される。
【0135】画像メモリインターフェース回路1708
は、静止画ディスクのように、静止画像データを記憶し
ている装置から画像信号を取り込むための回路で、取り
込まれた静止画像データはデコーダ1704に入力され
る。
【0136】入出力インターフェース回路1705は、
本画像表示装置と、外部のコンピュータ、コンピュータ
ネットワークもしくはプリンタなどの出力装置とを接続
するための回路である。画像データや文字・図形情報の
入出力や、場合によっては本画像形成装置の備えるCP
U1706と外部との間で制御信号や数値データの入出
力などを行なうことも可能である。
【0137】画像生成回路1707は、前記入出力イン
ターフェース回路1705を介して外部から入力される
画像データや文字・図形情報や、或いはCPU1706
より出力される画像データや文字・図形情報に基づき、
表示用画像データを生成するための回路である。本回路
の内部には、例えば画像データや文字・図形情報を蓄積
するための書き換え可能メモリや、文字コードに対応す
る画像パターンが記憶されている読み出し専用メモリ
や、画像処理を行なうためのプロセッサ等をはじめとし
て、画像の生成に必要な回路が組み込まれている。
【0138】本回路により生成された表示用画像データ
は、デコーダ1704に出力されるが、場合によっては
前記入出力インターフェース回路1705を介して外部
のコンピュータネットワークやプリンタに出力すること
も可能である。
【0139】CPU1706は、主として本画像表示装
置の動作制御や、表示画像の生成や選択、編集に関わる
作業を行なう。
【0140】例えば、マルチプレクサ1703に制御信
号を出力し、ディスプレイパネルに表示する画像信号を
適宜選択したり組み合わせたりする。その際には表示す
る画像信号に応じてディスプレイパネルコントローラ1
702に対して制御信号を発生し、画面表示周波数や走
査方法(例えばインターレースかノンインターレース
か)や一画面の走査線の数など表示装置の動作を適宜制
御する。また、前記画像生成回路1707に対して画像
データや文字・図形情報を直接出力したり、或いは前記
入出力インターフェース回路1705を介して外部のコ
ンピュータやメモリをアクセスして画像データや文字・
図形情報を入力する。
【0141】尚、CPU1706は、これ以外の目的の
作業にも関わるものであっても良い。例えば、パーソナ
ルコンピュータやワードプロセッサ等のように、情報を
生成したり処理する機能に直接関わっても良い。或いは
前述したように、入出力インターフェース回路1705
を介して外部のコンピュータネットワークと接続し、例
えば数値計算等の作業を外部機器として共同して行なっ
ても良い。
【0142】入力部1714は、前記CPU1706に
使用者が命令やプログラム、或いはデータなどを入力す
るためのものであり、例えばキーボードやマウスの他、
ジョイスティック、バーコードリーダー、音声認識装置
等の多様な入力機器を用いることが可能である。
【0143】デコーダ1704は、前記1707〜17
13より入力される種々の画像信号を3原色信号、また
は輝度信号とI信号、Q信号に逆変換するための回路で
ある。尚、図中に点線で示すように、デコーダ1704
は内部に画像メモリを備えていることが望ましい。これ
は、例えばMUSE方式をはじめとして、逆変換するの
際に画像メモリを必要とするようなテレビ信号を扱うた
めである。また、画像メモリを備えることにより、静止
画像の表示が容易になる。或いは前記画像生成回路17
07及びCPU1706と共同して、画像の間引き、補
完、拡大、縮小、合成をはじめとする画像処理や編集が
容易になるという利点が得られる。
【0144】マルチプレクサ1703は、前記CPU1
706より入力される制御信号に基づき、表示画像を適
宜選択するものである。即ち、マルチプレクサ1703
はデコーダ1704から入力される逆変換された画像信
号の内から所望の画像信号を選択して駆動回路1701
に出力する。その場合には、一画面表示時間内で画像信
号を切り換えて選択することにより、いわゆる多画面テ
レビのように、一画面を複数の領域に分けて領域によっ
て異なる画像を表示することも可能である。
【0145】ディスプレイパネルコントローラ1702
は、前記CPU1706より入力される制御信号に基づ
き、駆動回路1701の動作を制御するための回路であ
る。
【0146】ディスプレイパネルの基本的な動作に関わ
るものとして、例えばディスプレイパネルの駆動用電源
(不図示)の動作シーケンスを制御するための信号を駆
動回路1701に対して出力する。ディスプレイパネル
の駆動方法に関わるものとして、例えば画面表示周波数
や走査方法(例えばインターレースかノンインターレー
スか)を制御するための信号を駆動回路1701に対し
て出力する。また、場合によっては、表示画像の輝度や
コントラストや色調やシャープネスといった画質の調整
に関わる制御信号を駆動回路1701に対して出力する
場合もある。
【0147】駆動回路1701は、ディスプレイパネル
1700に印加する駆動信号を発生するための回路であ
り、前記マルチプレクサ1703から入力される画像信
号と、前記ディスプレイパネルコントローラ1702よ
り入力される制御信号に基づいて動作するものである。
【0148】以上、各部の機能を説明したが、図17に
例示した構成により、本画像形成装置においては、多様
な画像情報源より入力される画像情報をディスプレイパ
ネル1700に表示することが可能である。即ち、テレ
ビジョン放送をはじめとする各種の画像信号は、デコー
ダ1704において逆変換された後、マルチプレクサ1
703において適宜選択され、駆動回路1701に入力
される。一方、ディスプレイコントローラ1702は、
表示する画像信号に応じて駆動回路1701の動作を制
御するための制御信号を発生する。駆動回路1701
は、上記画像信号と制御信号に基づいてディスプレイパ
ネル1700に駆動信号を印加する。これにより、ディ
スプレイパネル1700において画像が表示される。こ
れらの一連の動作は、CPU1706により統括的に制
御される。
【0149】本画像形成装置においては、前記デコーダ
1704に内蔵する画像メモリや、画像生成回路170
7及び情報の中から選択したものを表示するだけでな
く、表示する画像情報に対して、例えば拡大、縮小、回
転、移動、エッジ強調、間引き、補完、色変換、画像の
縦横比変換等をはじめとする画像処理や、合成、消去、
接続、入れ替え、嵌め込み等をはじめとする画像編集を
行なうことも可能である。また、上記画像処理や画像編
集と同様に、音声情報に関しても処理や編集を行なうた
めの専用回路を設けても良い。
【0150】従って、本画像形成装置は、テレビジョン
放送の表示機器、テレビ会議の端末機器、静止画像及び
動画像を扱う画像編集機器、コンピュータの端末機器、
ワードプロセッサをはじめとする事務用端末機器、ゲー
ム器などの機能を一台で兼ね備えることが可能で、産業
用或いは民生用として極めて応用範囲が広い。
【0151】尚、図17は、電子放出素子を電子ビーム
源とする表示パネルを用いた画像形成装置とする場合の
構成の一例を示したに過ぎず、本発明の画像形成装置が
これのみに限定されるものでないことは言うまでもな
い。
【0152】例えば、図17の構成要素の内、使用目的
上必要のない機能に関わる回路は省いてもさしつかえな
い。また、これとは逆に、使用目的によってはさらに構
成要素を追加しても良い。例えば、本画像表示装置をテ
レビ電話機として応用する場合には、テレビカメラ、音
声マイク、照明器、モデムを含む送受信回路等を構成要
素に追加するのが好適である。
【0153】本画像形成装置においては、電子放出素子
を電子源としているので、ディスプレイパネルの薄型化
が容易なため、画像形成装置の奥行きを小さくすること
ができる。それに加えて、電子放出素子を電子ビーム源
とする表示パネルは大画面化が容易で輝度が高く、視野
角特性にも優れるため、画像形成装置は、臨場感にあふ
れ、迫力に富んだ画像を視認性良く表示することが可能
である。
【0154】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳述
する。
【0155】(実施例1、比較例1)図1の構成の電子
放出素子を図3の工程に沿って作製した。以下に、その
作製手順を説明する。
【0156】工程−a 清浄化した石英基板を基板1として用い、その上に素子
電極2,3と所望の素子電極間ギャップLとなるベきパ
ターンをフォトレジスト(日立化成社製「RD−200
0N−41」)で形成し、スパッタリング法により、厚
さ5nmのTi、厚さ50nmのPtを順次堆積した。
フォトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、Pt/T
i堆積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lは3μmと
し、素子電極の幅Wが300μmを有する素子電極2,
3を形成した。
【0157】工程−b 膜厚50nmのCr膜を真空蒸着により堆積し、後述の
導電性膜の形状に対応する開口を有するようにパターニ
ングし、そのうえに有機パラジウム化合物溶液(奥野製
薬(株)社製「ccp4230」)をスピンナーにより
回転塗布し、300℃で15分間の加熱焼成処理をし
た。こうして酸化パラジウムからなる導電性膜4を形成
した。形成された導電性膜4の膜厚は10nmであっ
た。
【0158】工程−c 次に導電性膜4上に、以下の組成の硝酸鉄溶液をスピン
コート法により塗布し、400℃で30分焼成して酸化
鉄(主としてFe23)を含む被膜層6を形成した。膜
厚は10nmであった。
【0159】 硝酸鉄(III) 0.15重量%(Fe当量) イソプロピルアルコール(IPA) 15重量% 純水 84.85重量%
【0160】工程−d Cr膜及び導電性膜4及び被膜層6をエッチング液(C
e(SO42・2(NH42SO4・2H2O+HClO
4水溶液)によりエッチングして所望のパターンの導電
性膜4及び被膜層6を形成した。
【0161】以上の工程により基板1上に、素子電極
2,3、導電性膜4、被膜層6を形成した。尚、被膜層
6を形成しない以外は本実施例と同様にして、比較例の
素子を形成した。
【0162】工程−e 次に、図4の測定評価装置に上記実施例及び比較例の基
板をそれぞれ設置し、真空ポンプにて排気し、5×10
-4Paの真空度に達した後、各素子の素子電極間に素子
電圧Vfを印加するための電源41より電圧を印加し、
フォーミング処理を行なった。フォーミング処理の電圧
波形は図5(b)に示したものである。本例ではT1
1msec、T2を10msecとし、矩形波の波高値
は0.1Vステップで昇圧し、フォーミング処理を行な
った。また、フォーミング処理中は、同時に、0.1V
の電圧で、フォーミング用パルスの間に抵抗測定パルス
を挿入し、抵抗を測定した。尚フォーミング処理の終了
は、抵抗測定パルスでの測定値が、約1MΩ以上になっ
た時とし、同時に、素子への電圧の印加を終了した。
【0163】工程−f 続いて、測定評価装置内の圧力が5×10-6Paになる
まで排気した後、活性化工程を行なうために、ベンゾニ
トリルをスローリークバルブを通して真空装置内に導入
し、1.3×10-4Paを維持した。次にフォーミング
処理した素子に、図13に示した波形で波高値を14
V、T3=1msec、T4=10msecとして活性化
処理をした。即ち、測定評価装置内で、素子電流If
測定しながら、素子電極間にパルス電圧を印加した。約
30分でIf値がほぼ飽和したため、通電を停止し、ス
ローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
【0164】工程−g 続いて、安定化工程を行なった。真空装置及び電子放出
素子をヒーターにより加熱して約250℃に維持しなが
ら真空装置内の排気を続けた。20時間後、ヒーターに
よる加熱をやめ、室温に戻したところ真空装置内の圧力
は5×10-8Pa程度に達した。
【0165】続いて、電子放出特性の測定を行なった。
【0166】アノード電極44と電子放出素子の間の距
離Hを4mmとし、高圧電源43によりアノード電極4
4に1kVの電位を与えた。この状態で、電源41を用
いて素子電極2,3間に波高値14Vの矩形パルス電圧
を印加して、電流計40及び電流計42により、本実施
例の素子及び比較例の素子の素子電流If及び放出電流
eをそれぞれ測定した。
【0167】本実施例の素子は、素子電流If=8.0
mA、放出電流Ie=17.6μA、電子放出効率η
(=Ie/If)=0.22%であった。一方、被覆層の
無い比較例の素子では、素子電流If=7.0mA、放
出電流Ie=11.9μA、電子放出効率η(=Ie/I
f)の=0.17%であった。
【0168】この後さらに電子放出させ続け、一定時間
経過した時点で再度素子電流If及び放出電流Ieを測定
したところ、本実施例の素子は、素子電流If=6.8
mA、放出電流Ie=15.0μA、電子放出効率η
(=Ie/If)=0.22%であったのに対し、比較例
の素子では素子電流If=3.6mA、放出電流Ie
5.7μA、電子放出効率η(=Ie/If)=0.16
%であった。
【0169】この結果から、本実施例の素子は、比較例
の素子と比較して、電子放出特性及び安定性に優れてお
り、特に安定性において優れていることがわかった。
【0170】また、上記工程で作製した本実施例の素
子、及び比較例の素子について、電子頭微鏡観察及び元
素分析を行なった。
【0171】先ず、走査型電子顕微鏡を用い、素子の電
子放出部を含む平面の観察を行なった。本実施例の素子
の平面形状は、導電性膜が破壊、変形した亀裂状の部位
の両側に堆積物が有り、この堆積物は、導電性膜に形成
された電子放出部のほぼ全域で観測された。一方、比較
例の素子では、本実施例の素子と同様に導電性膜が破
壊、変形した亀裂状の部位の両側に堆積物が有る領域が
観察されたが、ところどころ導電性膜の亀裂幅が広が
り、堆積物のない領域も見られた。
【0172】これは、本実施例の素子では、被膜層が導
電性膜の熱による凝集を抑える効果を有するために、フ
ォーミング時に導電性膜の亀裂部が必要以上に広がった
り、活性化時及び駆動時に生じる熱によって導電性膜が
融解、凝集するのを抑制することができたためと考えら
れる。
【0173】次に、本実施例の素子及び比較例の素子の
電子放出部近傍の堆積物を、電子プローブマイクロアナ
リシス(EPMA)及びX線光電子分光(XPS)、さ
らにはオージェ電子分光によって元素分折し、該堆積物
が炭素を主成分としてなることを確認した。
【0174】さらに、それぞれの素子の電子放出部及び
堆積物を含む断面の透過型電子顕微鏡観察を行なった。
尚、比較用の素子は、走査型電子顕微鏡による平面形状
観察で見られた堆積物のある領域を注意深く選んで観察
した。
【0175】その結果、本実施例の素子の電子放出部の
近傍の堆積物には基板面に平行な層状の配向を示す格子
像が観察された。尚、この堆積物の電子線回折を測定し
たところ、格子間隔として約0.35nmが得られた。
一方、比較例の素子の電子放出部5の近傍でもやはり堆
積物があり、その一部は基板面に平行な層状の配向を示
す格子像が観察されたが、その配向は本実施例の素子に
比べて乱れていた。尚、この堆積物の電子線回折を測定
したところ、格子間隔として約0.42nmが得られ
た。
【0176】グラファイトのc面の格子間隔は約0.3
35nmであり、本実施例の素子の堆積物で得られた値
はこれに近く、堆積物が主に結晶性の良いグラファイト
状の炭素からなることを示すものと考えられる。他方、
比較例の素子の堆積物では、格子間隔が非常に大きくな
っており、これは結晶性が低く構造が乱れていることを
反映していると思われる。
【0177】これらの観察結果から、本実施例の素子で
は、電子放出部に堆積した炭素は配向性及び結晶性が良
く、これにより電子放出特性の安定性が向上したと考え
られる。
【0178】以上のように本実施例では、特性の良い安
定な電子放出素子が得られた。
【0179】(実施例2、比較例2)本実施例において
も、基本的な電子放出素子の構成及び製造方法は、実施
例1と同じである。以下に作製手順を説明する。
【0180】工程−a,d 実施例1と同様にして石英基板上に素子電極2,3と導
電性膜4を形成した。
【0181】工程−c 導電性膜4上に真空蒸着法によりニッケルを成膜し、被
膜層6を形成した。膜厚は15nmであった。
【0182】工程−d 実施例1と同様に、Cr膜及び導電性膜4及び被膜層6
を形成し、エッチングして所望のパターンの導電性膜4
及び被膜層6を形成した。
【0183】以上の工程により基板1上に、素子電極
2、3、導電性膜4、被膜層6を形成した。
【0184】尚、被膜層6を形成しない以外は本実施例
と同様にして、比較例の素子を形成した。
【0185】工程−e 実施例1と同様にして、本実施例及び比較例の素子に電
子放出部を形成した。
【0186】工程−f 実施例1と同様に活性化工程を行なったところ、約15
分でIf値がほば飽和したため、通電を停止し、スロー
リークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
【0187】工程−g 続いて、安定化工程を行なった。真空装置及び電子放出
素子をヒーターにより加熱して約250℃に維持しなが
ら真空装置内の排気を続けた。20時間後、ヒーターに
よる加熱をやめ、室温に戻したところ真空装置内の圧力
は5×10-8Pa程度に達した。
【0188】続いて、実施例1と同様に電子放出特性の
測定を行なった。
【0189】本実施例の素子は、素子電流If=7.0
mA、放出電流Ie=16.1μA、電子放出効率η
(=Ie/If)=0.23%であった。比較例の素子で
は、素子電流If=6.5mA、放出電流Ie=11.7
μA、電子放出効率η(=Ie/If=0.18%であっ
た。
【0190】この後さらに電子放出を続け、一定時間経
過した時点で再度、素子電流If及び放出電流Ieを測定
したところ、本実施例の素子は、素子電流If=65m
A、放出電流Ie=15.0μA、電子放出効率η(=
e/If=0.23%であったのに対し、比較例の素子
では素子電流If=4.0mA、放出電流Ie=7.2μ
A、電子放出効率η(=Ie/If)=0.18%であっ
た。
【0191】この結果から、本実施例の素子において
も、比較例の素子と比較して、電子放出特性及び安定性
に優れ、特に安定性において優れていることがわかっ
た。
【0192】また、本実施例の素子及び比較例の素子に
ついて、実施例1と同様に電子放出部近傍の堆積物を観
察したところ、比較例の素子に比べて配向性及び結晶性
のよい炭素が堆積していることがわかった。
【0193】以上のように本実施例においても実施例1
同様、電子放出特性及び安定性に優れた電子放出素子が
得られた。
【0194】(実施例3)本実施例では、図14に示す
ような多数の電子放出素子を単純マトリクス配置した画
像形成装置を作製した。以下に作製手順を説明する。
尚、図14中、導電性膜は被膜層に覆われているため、
図示していない。
【0195】工程―a 青板ガラスを基板71として用い、その上にオフセット
印刷法によりPtペーストを印刷し、加熱焼成すること
により、厚み50nmの素子電極2、3を形成した。素
子電極2、3の電極間隔は30μmとした。
【0196】工程−b スクリーン印刷法によりAgペーストを印刷し、加熱焼
成することにより、X方向配線72を形成した。次にX
方向配線72とY方向配線73の交差部にスクリーン印
刷法により絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼成して厚さ
30μmの絶縁層141を形成した。スクリーン印刷法
によりAgペーストを印刷し、加熱焼成することによ
り、Y方向配線73を形成した。
【0197】工程−c 素子電極2、3間にバブルジェット方式の噴射装置を用
い、以下の組成のパラジウム錯体溶液を滴下し、350
℃で30分間加熱処理をして酸化パラジウムの微粒子か
らなる導電性膜を形成した。導電性膜の膜厚は20nm
であった。
【0198】 酢酸パラジウムモノエタノールアミン錯体 0.15重量%(Pd当量) IPA 25重量% エチレングリコール 1重量% ポリビニルアルコール(PVA) 0.05重量% 純水 73.8重量%
【0199】工程−d 導電性膜上に、バブルジェット方式の噴射装置を用い、
以下の組成のコバルト錯体溶液を滴下し、400℃で3
0分間加熱処理をして酸化コバルト(主としてCo
23)を含む被膜層6を形成した。被膜層6の膜厚は3
0nmであった。
【0200】 トリス(エチレンジアミン)コバルト(III)トリアセテート 0.75重量%(Co当量) IPA 25重量% エチレングリコール 1重量% PVA 0.05重量% 純水 73.2重量%
【0201】工程−e このようにして作製した電子源基板71をリアプレート
81上に固定した後、基板の5mm上方にフェースプレ
ート86を支持枠82を介して配置し、フリットガラス
を用いて420℃にて封着を行い図8に示すような画像
形成装置を作製した。
【0202】工程−f 以上のようにして完成したガラス容器内の雰囲気を排気
管(図示せず)を通じ真空ポンプにて排気し、十分な真
空度に達した後、容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dyn
通じ電子放出素子74の電極2,3間に電圧を印加し、
導電性膜をフォーミング処理した。フォーミング処理の
電圧波形は、図5(b)と同様である。本実施例ではT
1を1msec、T2を10msecとし、約1×10-4
Paの真空雰囲気下で行った。
【0203】工程−g パネル内の圧力が5×10-6Paに達するまで排気を続
けた後、パネルの排気管より、全圧が1.3×10-4
aとなるようにベンゾニトリルをパネル内に導入し、維
持した。容器外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ電子
放出素子74の電極2,3間に、図13に示した波形で
波高値を14V、T3=1msec、T4=10msec
として活性化処理を行った。
【0204】工程−h パネル全体を250℃に加熱しながら排気し、室温まで
降温して内部を10-7Pa程度の圧力とした後、不図示
の排気管をガスバーナーで熱することで溶着し外囲器の
封止を行った。最後に封止後の圧力を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0205】以上のように完成した画像表示装置におい
て、各電子放出素子に、容器外端子Dx1〜Dxm、Dy1
ynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生
手段よりそれぞれ印加することにより電子放出させ、高
圧端子87を通じ、メタルバック85或いは透明電極
(不図示)に5kV以上の高圧を印加し、電子ビームを
加速し、蛍光膜84に衝突させ、励起・発光させること
で画像を表示した。
【0206】本実施例における画像表示装置は、テレビ
ジョンとして十分満足できる輝度(約150fL)で良
好な画像を長時間にわたって安定に表示することができ
た。
【0207】
【発明の効果】以上、本発明によれば、導電性膜上に
鉄、コバルト、ニッケルのいずれかを含む被膜層を形成
することで、導電性膜の融解、凝集を抑制するととも
に、電子放出素子の活性化工程により形成される炭素を
主成分とした堆積物の配向性及び結晶性を向上すること
ができるために、安定な電子放出電流を長時間にわたり
取り出すことが可能な電子放出素子を提供できる。ま
た、本発明によれば、有機物質ガス雰囲気中でパルス電
圧を印加するというきわめて簡便な方法により、電子放
出部に上記配向性及び結晶性の良い炭素を主成分とした
堆積物を形成することができる。
【0208】さらには、入力信号に応じて電子を放出す
る電子源においては、上記の電子放出素子を、基板上に
複数個配置して電子源を構成することにより、また、個
々の素子の両端を配線に接続した電子放出素子の行を複
数持つ配置、或いは、基板に、互いに、電気的に、絶縁
されたm本のX方向配線とn本のY方向配線とに、該電
子放出素子の一対の素子電極とを接続した電子放出素子
を複数個配列した配置とする電子源とすることで、各電
子放出素子が、良好な電子放出特性を長時間にわたり保
持し得る電子源を安価に提供できる。
【0209】また、本発明の画像形成装置においては、
画像形成部材と前記電子源より構成され、入力信号に基
づいて画像を形成するため、電子放出特性の安定性と寿
命の向上がなされ、例えば蛍光体を画像形成部材とする
画像形成装置においては、高品位な画像形成装置、例え
ば、カラーフラットテレビが、実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子の一実施形態の構成を示
す図である。
【図2】本発明の電子放出素子の他の実施形態の構成を
示す断面図である。
【図3】図1の電子放出素子の製造方法の一例を示す模
式図である。
【図4】測定評価機能を備えた真空処理装置の一例を示
す模式図である。
【図5】本発明の電子放出素子の製造に際して採用でき
る電圧波形の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の電子放出素子についての放出電流
e、素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の一例を示すグ
ラフである。
【図7】本発明の電子源の一実施形態である単純マトリ
クス配置した電子源の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の画像形成装置の一実施形態の表示パネ
ルの一例を示す模式図である。
【図9】図8の表示パネルの蛍光膜の一例を示す模式図
である。
【図10】本発明の画像形成装置にNTSC方式のテレ
ビ信号に応じて表示を行なうための駆動回路の一例を示
すブロック図である。
【図11】本発明の電子源の他の実施形態である梯子状
配置の電子源の一例を示す模式図である。
【図12】本発明の画像形成装置の一実施形態の表示パ
ネルの他の例を示す模式図である。
【図13】本発明の電子放出素子の製造に際して採用で
きる電圧波形の一例を示す模式図である。
【図14】本発明の実施例の電子源の構成を示す模式図
である。
【図15】従来の表面伝導型電子放出素子の一例を示す
模式図である。
【図16】従来の表面伝導型電子放出素子の他の例を示
す模式図である。
【図17】本発明の画像形成装置の一例を示すブロック
図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 6 被膜層 40 電流計 41 電源 42 電流計 43 高圧電源 44 アノード電極 45 真空容器 46 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 共通配線 120 グリッド電極 121 空孔 122,123 容器外端子 141 絶縁層 1700 ディスプレイパネル 1701 駆動回路 1702 ディスプレイコントローラ 1703 マルチプレクサ 1704 デコーダ 1705 入出力インターフェース回路 1706 CPU 1707 画像生成回路 1708〜1710 画像メモリインターフェース回路 1711 画像入力インターフェース回路 1712,1713 TV信号受信回路 1714 入力部

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された一対の素子電極と、
    該素子電極のそれぞれに電気的に接続された導電性膜
    と、該導電性膜の一部に形成された電子放出部を有する
    電子放出素子であって、上記導電性膜上に、ニッケル、
    鉄、コバルトのうち少なくとも一種類の元素を含む被膜
    層を有し、且つ少なくとも上記電子放出部に、炭素を含
    む堆積物を有することを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 上記炭素を含む堆積物が、グラファイト
    状炭素を含む堆積物である請求項1記載の電子放出素
    子。
  3. 【請求項3】 上記被膜層が、ニッケル、鉄、コバル
    ト、及びこれらの酸化物から選択される少なくとも一種
    からなる請求項1記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】 上記被膜層が微粒子膜ないし島状膜より
    なる請求項3記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 上記被膜層の膜厚が、2nm〜50nm
    である請求項1〜4のいずれかに記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】 上記素子電極が同一面上に配置された平
    面型の素子である請求項1〜5のいずれかに記載の電子
    放出素子。
  7. 【請求項7】 上記素子電極が絶縁層を介して上下に位
    置し、該絶縁層の側面に導電性膜が設けられた垂直型の
    素子である請求項1〜5のいずれかに記載の電子放出素
    子。
  8. 【請求項8】 上記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子である請求項1〜7のいずれかに記載の電子放出
    素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の電子放
    出素子の製造方法であって、少なくとも、基板上に一対
    の素子電極を形成する工程と、上記素子電極のそれぞれ
    に電気的に接続された導電性膜を形成する工程と、上記
    導電性膜上に、ニッケル、鉄、コバルトのうち少なくと
    も一種類の元素を含む被膜層を形成する工程と、上記導
    電性膜に電子放出部を形成する工程と有機物質ガスを含
    む雰囲気中で、上記素子電極間にパルス電圧を繰り返し
    印加することにより、少なくとも上記電子放出部に、炭
    素を含む堆積物を堆積させる活性化工程とを有すること
    を特徴とする電子放出素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに記載の電子
    放出素子を複数個並列に配置し結線してなる素子行を少
    なくとも1行以上有し、各素子を駆動するための配線が
    梯子状配置されていることを特徴とする電子源。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8のいずれかに記載の電子
    放出素子を複数個配列してなる素子行を少なくとも1行
    以上有し、該素子を駆動するための配線がマトリクス配
    置されていることを特徴とする電子源。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の電子源と、画像形成
    部材、及び情報信号により各素子から放出される電子線
    を制御する制御電極を有することを特徴とする画像形成
    装置。
  13. 【請求項13】 請求項11記載の電子源と、画像形成
    部材とを有することを特徴とする画像形成装置。
  14. 【請求項14】 請求項9記載の製造方法で同一基板上
    に複数の電子放出素子を形成してなることを特徴とする
    電子源の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項9記載の製造方法で得られた電
    子源を、該電子源から放出される電子線を制御する制御
    電極と、該電子源からの電子線の照射により画像を形成
    する画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像
    形成装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項9記載の製造方法で得られた電
    子源を、該電子源からの電子線の照射により画像を形成
    する画像形成部材と組み合わせることを特徴とする画像
    形成装置の製造方法。
JP4564299A 1999-02-24 1999-02-24 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法 Withdrawn JP2000243233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4564299A JP2000243233A (ja) 1999-02-24 1999-02-24 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4564299A JP2000243233A (ja) 1999-02-24 1999-02-24 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000243233A true JP2000243233A (ja) 2000-09-08

Family

ID=12725034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4564299A Withdrawn JP2000243233A (ja) 1999-02-24 1999-02-24 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000243233A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7074380B2 (en) 2002-09-26 2006-07-11 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing carbon fibers and electron emitting device using the same

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7074380B2 (en) 2002-09-26 2006-07-11 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing carbon fibers and electron emitting device using the same
US7923058B2 (en) 2002-09-26 2011-04-12 Canon Kabushiki Kaisha Method for manufacturing carbon fibers and method for manufacturing electron emitting device using the same, method for manufacturing display, and ink for producing catalyst for use in these methods

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2932250B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP2967334B2 (ja) 電子放出素子の製造方法、並びにそれを用いた電子源及び画像形成装置の製造方法
US6752676B2 (en) Methods for producing electron-emitting device, electron source, and image-forming apparatus
JP3305143B2 (ja) 表面伝導型電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3074596B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP2859823B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法
JP3320299B2 (ja) 電子放出素子、電子源、および画像形成装置の製造方法
JP2000243233A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及びこれらの製造方法
JP3320363B2 (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置、及び電子放出素子の製造方法
JP3586092B2 (ja) 電子放出素子、電子源、及び画像形成装置の製造方法
JP3320245B2 (ja) 電子放出素子、それを用いた電子源、画像形成装置及びこれらの製造方法
JP3122879B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP3091965B2 (ja) 電子源及び画像形成装置の製造方法
JPH09330647A (ja) 電子放出素子、該電子放出素子を用いた電子源、該電子源を用いた画像形成装置及び該電子放出素子の製造方法
JP2000082387A (ja) 電子源とその製造方法と駆動方法及び前記電子源を用いた画像形成装置とその駆動方法
JPH11233005A (ja) 電子源、画像形成装置及びこれらの製造方法、製造装置
JP3618978B2 (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
JP2000243258A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP3087003B2 (ja) 電子源及び画像形成装置の製造方法
JP2000208038A (ja) 電子源及び画像形成装置の製造方法
JPH09265899A (ja) 電子放出素子及びその製造方法及び電子源及び画像形成装置
JP2000251628A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JPH103854A (ja) 電子放出素子、それを用いた電子源、画像形成装置及びこれらの製造方法
JP2000021289A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法
JP2000090814A (ja) 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060509