JP2000243133A - 高分子ゲル電解質 - Google Patents

高分子ゲル電解質

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JP2000243133A
JP2000243133A JP11042126A JP4212699A JP2000243133A JP 2000243133 A JP2000243133 A JP 2000243133A JP 11042126 A JP11042126 A JP 11042126A JP 4212699 A JP4212699 A JP 4212699A JP 2000243133 A JP2000243133 A JP 2000243133A
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Japan
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polymer
gel electrolyte
viscosity
polymer gel
acrylonitrile
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Mitsuo Hamada
光夫 浜田
Yoshihiko Hosako
芳彦 宝迫
Hidehiko Ohashi
英彦 大橋
Tomoyoshi Chiba
知義 千葉
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温領域から高温領域までの広い温度範囲に
おいて優れたイオン導電性を示す高分子ゲル電解質に関
するものであり、二次電池用ゲル電解質やエレクトロル
ミネッセンス素子等として使用できるゲル電解質であ
り、特に充放電サイクル特性に優れ、広い使用温度領域
を有するリチウム二次電池用の高分子ゲル電解質の提
供。 【解決手段】 支持電解質塩と粘度1.0cP以下の非
水溶媒を5wt%以上含む非水電解液と、メタクリロニト
リル系重合体とアクリロニトリル系重合体との混合物と
から構成されることを特徴とする高分子ゲル電解質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低温領域から高温領
域までの広い温度範囲において優れたイオン導電性を示
す高分子ゲル電解質に関するものであり、二次電池用ゲ
ル電解質やエレクトロルミネッセンス素子等として使用
できるゲル電解質であり、特に充放電サイクル特性に優
れ、広い使用温度領域を有するリチウム二次電池用の高
分子ゲル電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、パソコン、又は各種携
帯情報端末の普及により、充放電サイクル特性に優れ、
且つ安全性の高いリチウムイオン二次電池の開発が望ま
れている。これらの目的を達成し得る二次電池用電解質
として高分子ゲル電解質を用いた電池開発の検討がなさ
れている。
【0003】例えば特開平7−320781号公報には
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や酢酸ビニル−アクリ
ロニトリル共重合体などのビニル共重合体、電解質塩、
及び環状カーボネートを主体とする非プロトン性溶媒か
らなる高分子ゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電
池が開示されている。
【0004】上記高分子ゲル電解質を構成している非水
溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネー
トの如き比誘電率が高く常温での粘度が1.0cP以上
であるため、このゲル電解質を零度以下の温度の雰囲気
下に暴すと凍結し、そのイオン導電性が急激に低下する
という難点がある。
【0005】低温での高分子を含まない非水電解液のイ
オン導電性を高める方法としては、上記高粘度溶媒に低
粘度の非水溶媒を加えた非水電解液が知られているが、
この混合非水溶媒へのアクリロニトリル系重合体の溶解
性は低く、且つ、高分子ゲル電解質形成能は極めて低
く、該非水溶媒を用いては良好なイオン導電性を備えた
高分子ゲル電解質を開発できない現状にある。
【0006】また、上記低粘度溶媒への親和性の高い高
分子を用いたゲル電解質は、高温に曝されたときのゲル
形状保持性が低下するという問題が生じる。この問題を
解決するため、例えば特開平10−261315号公報
において、2種以上のアクリロニトリル共重合体のブレ
ンド物を用いる方法が提案されているが、ここで用いて
いる重合体は、アクリロニトリルとメチルアクリレート
又は酢酸ビニルとの共重合体であり、未だその目的を十
分に達成し得るものとはなっていない。以上のことか
ら、低温領域でのイオン導電性と高温領域での形状保持
性を兼ね備えた高分子ゲル電解質の開発が重要な課題で
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者等は常
温での粘度が1.0cP以下の低粘度溶媒を5wt%以
上含む混合非水溶媒とアクリロニトリル系重合体とを用
いた高分子ゲル電解質であって、低温領域から高温領域
の幅広い温度範囲において高いイオン導電性を発揮する
高分子ゲル電解質を開発すべく鋭意検討した結果、ゲル
形成用ポリマーとして、メタクリロニトリル系重合体と
アクリロニトリル系重合体との混合物を用いたものが、
その目的を達成しうることを見出し本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、支持電解質塩と、常温での粘度が1.0cP以下
の低粘度溶媒を5wt%以上含む非水電解液と、メタク
リロニトリル系重合体とアクリロニトリル系重合体混合
物とから構成されることを特徴とする高分子ゲル電解質
にある。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明をさらに詳しく説明
する。
【0010】本発明において高分子ゲル電解質とは、支
持電解質塩、高分子重合体、非水電解液を含み、室温で
流動性のないゲル状物のことを指す。
【0011】高分子ゲル電解質に含まれる支持電解質塩
としては、種々のものを用いる事ができ、例えばLiPF6,
LiBF4,LiAsF6,LiCF3SO3等を挙げる事ができ、これらの
支持電解質塩は非水電解液中に0.5〜2.5mol/kgの
濃度で溶解したときが、最も高いイオン伝導度が得られ
るので好ましい。通常、非水電解液として用いられる溶
媒は高濃度の支持電解質塩を溶解するために、高い比誘
電率を有するものが用いられる。このような高い比誘電
率を有する溶媒としては、比誘電率が90であるエチレ
ンカーボネート(EC)、比誘電率が65であるプロピ
レンカーボネート(PC)が挙げられる。
【0012】上記高比誘電率の非水溶媒と高分子とを組
み合わせ高分子ゲル電解質を作る場合、夫々の溶解度パ
ラメ−タを考慮してその組成を決定しないと、得られる
電解質はゲル形成能のない均一溶液となったり、相分離
したりして、本発明の目的とする高分子ゲル電解質を得
ることができない。ECの溶解度パラメ−タは30、P
Cの溶解度パラメ−タは27であることより、これら高
比誘電率の非水溶媒と高分子とを組み合わせて高分子ゲ
ル電解質を構成する場合、溶解度パラメ−タが25〜3
2程度であるアクリロニトリル系重合体を用いることが
好ましい。
【0013】しかし上記のアクリロニトリル系重合体を
含む高分子ゲル電解質は低温雰囲気下に暴されると凍結
し、そのイオン導電性が急激に低下するという難点があ
り、このような高分子ゲル電解質を用いたリチウムイオ
ン二次電池の低温特性は極めて低い現状にある。
【0014】一方、低温での高いイオン導電性を有する
非水電解液としては高比誘電率のEC、PC等と、常温
での粘度が1.0cP以下の非水溶媒との混合物を用い
たものが知られているが、この非水電解液中に含まれる
低粘度溶媒は、その溶解度パラメ−タが低いためアクリ
ロニトリル系重合体に対して貧溶媒として作用し、該非
水溶媒とポリアクリロニトリル系重合体とからは高分子
ゲル電解質を形成することができない。したがって、サ
イクル特性に優れ、低温から高温までの広い温度領域
で、高いイオン導電性を示す高分子ゲル電解質は未だ知
られていない。
【0015】本発明ではアクリロニトリル系重合体にメ
タクリロニトリル系重合体を併用したものが前記した低
粘度溶媒を含む非水電解液に溶解し、ゲルを形成するこ
とを見出すことによりなされたものである。
【0016】本発明を実施するに際して用いるメタクリ
ロニトリル系重合体中のメタクリロニトリルユニットが
10mol%以上、好ましくは30mol%以上、より
好ましくは60mol%以上の高分子共重合体、または
ポリメタクリロニトリルであり、この重合体は粘度1.
0cP以下の低粘度溶媒を5wt%以上含む非水電解液
に対する溶解性が良好であるが、この重合体から形成さ
れるゲルを高温に曝すと流動性が高くなり、ゲルの形状
保持性が低い。これに対し本発明においては、ゲル形成
用高分子としてメタクリロニトリル系重合体とアクリロ
ニトリル系重合体との混合物を用いており、このアクリ
ロニトリル重合体が本発明の高分子ゲル電解質全体とし
ての、高温における形状保持性を向上させているのであ
る。
【0017】上記アクリロニトリル重合体としては、ア
クリロニトリルユニットの含有量が90mol%以上であ
るか、ポリアクリロニトリルであることが好ましい。ア
クリロニトリルユニットの含有量が90mol%未満のア
クリロニトリル系重合体を用いても本発明の高分子ゲル
の高温における形状保持することができなくなるので好
ましくない。
【0018】さらに、該アクリロニトリル系重合体は、
本発明の高分子ゲル電解質のゲル形状保持機能を担うた
め、できるだけ表面積の大きな構造体を用いることが好
ましい。中でも繊維状の幹から多数のフィブリル繊維が
分岐したパルプ状及び/又は短繊維状であることがより
好ましい。パルプとしては、幹となる繊維直径が5〜2
0μmであり、そこから分岐しているフィブリル繊維の
直径は0.2〜1μmであることが好ましい。また、短
繊維の場合は直径1〜20μmであり、長さが2〜5m
mであることが好ましい。
【0019】本発明で用いられるメタクリロニトリル系
重合体とアクリロニトリル系重合体との混合重量比は、
本発明の高分子ゲル電解質のイオン伝導度や高温におけ
るゲル形状保持の点から、10:90〜80:20であ
ることが好ましい。
【0020】本発明で用いるアクリロニトリル共重合体
は、本発明の目的を害さない範囲、特に10mol%以下の
範囲で他のモノマ−、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、塩化ビニル、メチルメタクリレート、エチルア
クリレート等を共重合しても良い。またメタクリレート
系重合体を得るに際してはこれらのコモノマーの他にア
クリロニトリルをコモノマーとして用いるのがよい。
【0021】本発明で用いるアクリロニトリル系重合
体、又はポリメタクリロニトリル系重合体は、水系懸濁
重合法、あるいは溶液重合法等により作ることができ
る。本発明で用いる常温での粘度が1.0cP以下の非
水電解液としては、通常用いられる種々の溶媒を用い得
るが、本発明の高分子ゲル電解質の耐熱安定性、酸化還
元安定性、低温での良好なイオン導電性を確保するため
には、鎖状カーボネート特にジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート、メチルエチルカーボネートより選
ばれたものを用いるのがよい。これら低粘度溶媒の非水
電解液中での含有量は5wt%以上、好ましくは10w
t%以上、85wt%以下の範囲とするのがよい。
【0022】本発明において、用いる、常温での粘度が
1.0cP以上、比誘電率が20以上の環状カーボネー
トを電解液に含有することが好ましい。本発明で用いら
れる環状カーボネートは、例えばプロピオンカーボネー
ト、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ
−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0023】本発明の高分子ゲル電解質はメタクリロニ
トリル系重合体とアクリロニトリル系重合体を、上記非
水電解液により十分に湿潤化した後、加熱溶解し、冷却
することにより作る事ができる。共重合体の非水電解液
への溶解性、得られる本発明の高分子ゲル電解質のイオ
ン導電性を良好なものとするためには、これら重合体の
ゲル体中での含量は5〜50wt%の範囲とするのが好
ましい。
【0024】本発明の高分子ゲル電解質は、支持電解質
塩と低粘度溶媒を含む非水電解液に前記高分子重合体を
添加し、十分に湿潤した後、加温溶解し、所定形状、例
えばシ−ト状に賦形した後、冷却しゲル化せしめる方
法、或いは上記高分子の非水電解質溶液を、ポリプロピ
レン多孔質膜やポリエチレン多孔質膜等に含浸、或いは
塗工した後、冷却ゲル化せしめる方法、更にはメタクリ
ロニトリル系重合体やアクリロニトリル系重合体或いは
これらの混合物より作ったパルプ状物や繊維状物にて構
成した多孔質シ−ト状物に、前記非水電解液を含浸し、
加熱溶解した後、冷却ゲル化せしめることにより作るこ
とができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に具体的に
説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるもので
はない。
【0026】(1)ポリマー組成分析 NMRにより、ポリマー組成を決定した。 (2)ゲル形成性 重合体、支持電解質濃度がそれぞれ、10wt%、1.0
mol/kgになるようにして、100℃にて撹拌しながら電
解液に溶解した。その後、室温まで冷却、目視により溶
解状態を観察した。室温で流動性のないものについてゲ
ルと判断した。 (3)ゲル電解質のイオン伝導度測定 ゲル状固体電解質のイオン伝導度を、ヒューレットパッ
カード製プレシジョンLCRメーター4284Aを用
い、交流インピーダンス法により測定した。測定に用い
たイオン伝導度測定用のアタッチメントは、対向する直
径14.8mmの円盤状ステンレス製電極よりなり、こ
の電極間にゲル状固体電解質を挟んだ。ここで電極間距
離が1mm程度になるようにサンプルの厚さを調整し、
バネを利用して両極間に11.8kPaの荷重を与え、試
料とステンレス製電極との密着性を一定に保った。これ
らの操作はアルゴン置換したグローボックス中で行っ
た。周波数100Hzから1MHzの範囲でピーク電圧
20mVの交流を印加し、試料の複素インピーダンスを
測定した。測定で得られた複素インピーダンスの軌跡を
コールコールプロット法により求め、高周波側で実軸上
と交わる点を試料の抵抗値として、電極面積と電極間距
離より電気イオン伝導度を導出した。 (4)高温におけるゲルの形状保持性評価 サンプル瓶中に高さ2cmになるようにゲルを調整した。
調製したゲルの上に直径6.4mmφ重さ1.0gのボー
ルを置いて、80℃で保温しながら8時間放置した。8
時間後ボールが完全にサンプル瓶の底まで沈んだものに
ついては、ゲル形状変化有りと判断した。 (5)使用電解液 用いた電解液を比誘電率と粘度と共に表2に示した。
【0027】〔実施例1〕ポリアクリロニトリルをジメ
チルアセトアミドに溶解し、13wt%の濃度の重合体溶
液を調製した。この重合体溶液を、特開平9−2419
17号公報に開示されている手法に準じて、直径が0.
2mmφの溶液吐出口、直径が2mmφ、長さが1.5
mmの円筒状の混合セル部、水蒸気流路がスリット状で
開度を250μmに調整し、溶液流路の中心線とスリッ
ト中心線のなす角度が60度になるように作成したノズ
ルを用いて、該高分子溶液の供給量を18ml/mi
n、水蒸気の供給圧を1.5kg/cm2として、温度
30℃の水中へ噴出しパルプ状の高分子集合体を得た。
【0028】ポリメタクリロニトリルの平均粒径30μ
m程度の粉体と上記ポリアクリロニトリルのパルプ状物
を重量比で70/30wt%、LiPF6濃度が1.0mol/kg
になるように、エチレンカーボネートとジエチルカーボ
ネートの混合溶液に分散させて、100℃にて加熱溶解
した。試料をサンプル瓶に移液し、1日室温で放置した
ところゲル化した。
【0029】80℃で8時間保持した後に形状を観察し
たところ、ゲルの形状変化は認められなかった。また、
得られた高分子ゲル電解質について、前出の方法でイオ
ン伝導度を測定したところ、4.5mS/cmであった。
【0030】〔実施例2〕用いた共重合体組成を表1に
示した。まず、共重合体Bをジメチルアセトアミドに濃
度が18wt%になるように溶解し、紡糸原液とし、湿式
紡糸により、単繊度1.8dtexのフィラメントを得た。
このフィラメントを繊維長3mmにカットし、短繊維とし
た。
【0031】共重合体Aの粉体と共重合体Bの短繊維を
70/30wt%の重量比で、LiPF6濃度が1.0mol/kg
になるように、プロピレンカーボネート/ジエチルカー
ボネート混合溶液に分散させて、100℃にて加熱溶解
した。電解液組成は表1に示した。試料をサンプル瓶に
移液し、1日室温で放置するとゲル化した。80℃で8
時間保持した後に形状を観察したところ、ゲルの形状変
化は認められなかった。
【0032】また、得られた高分子ゲル電解質につい
て、前出の方法でイオン伝導度を測定したところ、5.
2mS/cmであった。
【0033】〔実施例3〕表1に示した組成の共重合体
A、Bを前出の方法で表に示す形状に賦形した。この共重
合体Aのパルプ状物と共重合体Bの短繊維状物を50/
50wt%の重量比で、混合し、この混合物の水分散液を
調製した。さらに、この分散液を用いて、標準角形シー
トマシンにより、JISP−8209法に準じて湿式抄紙
を行った。得られたシートをLiPF6濃度が1.0mol/kg
のプロピレンカーボネート/ジメチルカーボネート溶液
に浸漬し、ポリマー濃度が10wt%になるように、液を
含浸させた。その後、100℃にて加熱溶解した。1日
室温で放置するとゲル化した。シートの厚みが2cmに
なるように重ねてサンプル瓶に入れて、80℃で8時間
保持した後に、形状を観察したところ、ゲルの形状変化
は認められなかった。また得られた高分子ゲル電解質に
ついて前出の方法でイオン伝導度を測定したところ、
6.5mS/cmであった。
【0034】〔実施例4〕表1に示した組成の共重合体
A、Bを前出の方法で表に示す形状に賦形した。この共重
合体Aの短繊維状物と共重合体Bのパルプ状物を40/
60wt%の重量比で混合し、この混合物の水分散液を調
製した。さらに、この分散液を用いて、標準角形シート
マシンにより、JISP8209法に準じて湿式抄紙を行
った。得られたシートを、LiPF6濃度が1.0mol/kg
の、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート混合
溶液に浸漬し、ポリマー濃度が10wt%になるように、
液を含浸させた。その後、100℃にて加熱溶解した。
1日室温で放置するとゲル化した。シートの厚みが2c
mになるように重ねてサンプル瓶に入れて、80℃で8
時間保持した後に形状を観察したところ、ゲルの形状変
化は認められなかった。また、得られた高分子ゲル電解
質について、前出の方法でイオン伝導度を測定したとこ
ろ、6.2mS/cmであった。
【0035】〔実施例5〕表1に示した組成の共重合体
A、Bを前出の方法で表に示す形状に賦形した。この共重
合体Aのパルプ状物と共重合体Bのパルプ状物を40/
60wt%の重量比で混合し、この混合物の水分散液を調
製した。さらに、この分散液を用いて、標準角形シート
マシンにより、JISP8209法に準じて湿式抄紙を行
った。得られたシートを、LiPF6濃度が1.0mol/kgの
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液
に浸漬し、ポリマー濃度が10wt%になるように、液を
含浸させた。その後、100℃にて加熱溶解した。1日
室温で放置するとゲル化した。シートの厚みが2cmに
なるように重ねてサンプル瓶に入れて、80℃で8時間
保持した後に形状を観察したところ、ゲルの形状変化は
認められなかった。また、得られた高分子ゲル電解質に
ついて、前出の方法でイオン伝導度を測定したところ、
4.3mS/cmであった。
【0036】〔比較例1〕ポリアクリロニトリルの粉体
をLiPF6濃度が1.0mol/kgになるように、プロピレン
カーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液に分散さ
せて、100℃にて加熱撹拌したが、溶解しなかった。
【0037】〔比較例2〕ポリメタクリロニトリルの粉
体をLiPF6濃度が1.0mol/kgになるように、エチレン
カーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液に分散さ
せて、100℃にて加熱溶解した。1日室温で放置して
置いたところ流動性のある液体のままであった。
【0038】〔比較例3〕表1に示した組成の共重合体
A、Bを前出の方法で表に示す形状に賦形した。この共重
合体Aの粉体と共重合体Bのパルプ状物を20/80wt
%の重量比で、LiPF6濃度が1.0mol/kgになるよう
に、プロピレンカーボネート/ジエチルカーボネート混
合溶液に分散させて、100℃にて加熱溶解した。電解
液組成は表1に示した。試料をサンプル瓶に移液し、1
日室温で放置するとゲル化した。80℃で8時間保持し
た後に形状を観察したところ、ゲルの形状変化は認めら
れなかったが、零度以下に冷却したところ凍結した。ま
た、得られた高分子ゲル電解質について、前出の方法で
イオン伝導度を測定したところ、4.0mS/cmであっ
た。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明の高分子ゲル電解質は低温から高
温域までの広い温度範囲における高いイオン導電性を示
す。また、本発明の高分子ゲル電解質は非水電解液とし
て粘度1.0cP以下の非水溶媒を5wt%以上含むにも
かかわらず、ゲル形成の高分子としてメタクリロニトリ
ル系重合体とアクリロニトリル系重合体を用いることに
より、低温領域でのイオン伝導性と高温領域での形状保
持性を兼ね備えた高分子ゲル電解質となり、リチウムイ
オン二次電池用高分子ゲル電解質として特に有用に用い
ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 千葉 知義 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 BG10W BG10X EL066 EL106 FA04W FA04X FD206 GQ00 5G301 CA16 CA30 CD01 5H021 CC01 EE06 EE15 5H029 AJ02 AM03 AM05 AM07 AM16 DJ15 EJ14

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持電解質塩と粘度1.0cP以下の非
    水溶媒を5wt%以上含む非水電解液と、メタクリロニト
    リル系重合体とアクリロニトリル系重合体との混合物と
    から構成されることを特徴とする高分子ゲル電解質。
  2. 【請求項2】 メタクリロニトリル系重合体として、メ
    タクリロニトリルユニットの含有量が30mol%以上の重
    合体を用いることを特徴とする請求項1記載の高分子ゲ
    ル電解質。
  3. 【請求項3】 前記アクリロニトリル系重合体として、
    アクリロニトリルユニットの含有量が90mol%以上であ
    る重合体を用いることを特徴とする請求項1記載の高分
    子ゲル電解質。
  4. 【請求項4】 前記アクリロニトリル系重合体として、
    繊維状の幹から多数のフィブリル繊維が分岐したパルプ
    状及び/または短繊維状を用いて作ったことを特徴とす
    る請求項3記載の高分子ゲル電解質。
  5. 【請求項5】 前記短繊維が直径1〜20μmであり、
    長さが2〜5mmであることを特徴とする請求項4記載
    の高分子ゲル電解質。
  6. 【請求項6】 前記メタクリロニトリル系重合体とアク
    リロニトリル系共重合体との混合重量比が10:90〜
    80:20であることを特徴とする請求項1記載の高分
    子ゲル電解質。
  7. 【請求項7】 非水溶媒として粘度1.0cP以下の非
    水溶媒と、粘度が1.0cPを越える非水溶媒との混合
    溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載の高分子ゲ
    ル電解質。
  8. 【請求項8】 高分子ゲル電解質中の高分子重合体濃度
    が5〜50wt%であることを特徴とする請求項1記載の
    高分子ゲル電解質。
  9. 【請求項9】 粘度が1.0cP以下の溶媒が鎖状カー
    ボネートであることを特徴とする請求項1又は7記載の
    高分子ゲル電解質。
  10. 【請求項10】 粘度が1.0cPを越える非水電解液
    として比誘電率が20以上である環状カーボネートを用
    いることを特徴とする請求項7記載の高分子ゲル電解
    質。
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