JP2000241604A - 反射防止膜付き光学素子 - Google Patents

反射防止膜付き光学素子

Info

Publication number
JP2000241604A
JP2000241604A JP11116528A JP11652899A JP2000241604A JP 2000241604 A JP2000241604 A JP 2000241604A JP 11116528 A JP11116528 A JP 11116528A JP 11652899 A JP11652899 A JP 11652899A JP 2000241604 A JP2000241604 A JP 2000241604A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antireflection film
optical element
layer
adhesion
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11116528A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiro Yamada
和広 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd filed Critical Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
Priority to JP11116528A priority Critical patent/JP2000241604A/ja
Publication of JP2000241604A publication Critical patent/JP2000241604A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】プラスチック基材に対する密着性に優れ、また
反射防止効果を良好に発揮し得る反射防止膜を備えた反
射防止膜付き付き光学素子を提供する。 【解決手段】プラスチック基材2とプラスチック基材2
の表面に形成された反射防止膜9とを備える反射防止膜
付き光学素子1において、プラスチック基材2と反射防
止膜9との間に少なくとも1層の密着力強化層8が介在
することを特徴とする。密着力強化層8は無機系微粒子
とシランカップリング剤と樹脂成分とを含むものである
ことが好ましい。また、反射防止膜付き光学素子1はフ
ァインダー用レンズであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、反射防止膜を備え
るカメラ用レンズ、眼鏡用レンズ、光学フィルタ等の反
射防止膜付き光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、ガラスに比べて、軽量
で加工性や耐衝撃性に優れ、また染色し易い等の種々の
利点を備え、ガラスに代わる光学素子の材料として注目
されている。例えば、プラスチックレンズはガラスレン
ズに代わるものとして、使用目的に応じて多種多様に改
良されている。
【0003】一方、プラスチックレンズはメガネ用レン
ズやカメラ用レンズなどの光学素子として使用する場合
に、ガラスレンズと同様、反射光を抑制する必要があ
る。そのため、通常、光学素子として用いられているプ
ラスチックレンズの表面に、入射光の表面反射を抑制す
るために金属酸化物や誘電体からなる薄膜が積層されて
なる反射防止膜を設けることが行われてきた。
【0004】しかし、このような反射防止膜等はプラス
チックレンズ等の基板となるプラスチック基材との密着
性に乏しく、剥離し易いという問題があった。とくに、
反射防止膜を構成する薄膜の数が多くなるほど各薄膜の
膜内応力が相互に作用し、よりいっそう剥離し易くなる
という問題があった。したがって、MgF2薄膜等から
なる単層膜で構成された反射防止膜を設ける方法も提案
されているが、それでもプラスチック基材との十分な密
着性を得ることはできず、反射防止膜の密着性および耐
久性に優れ、かつ広域な波長領域において高い反射防止
効果を備えた反射防止膜つき光学素子を得ることはでき
なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
スチック基材に対する密着性に優れ、また反射防止効果
を良好に発揮し得る反射防止膜を備えた反射防止膜付き
光学素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)の本発明により達成される。
【0007】(1) プラスチック基材と、前記プラス
チック基材の表面に形成された反射防止膜とを備える反
射防止膜付き光学素子において、前記プラスチック基材
と前記反射防止膜との間に少なくとも1層の密着力強化
層が介在することを特徴とする反射防止膜付き光学素
子。
【0008】(2) 前記密着力強化層は無機系微粒子
と、シランカップリング剤と、樹脂成分とを含む上記
(1)に記載の反射防止膜付き光学素子。
【0009】(3) 前記無機系微粒子はケイ素化合物
のコロイド粒子である上記(2)に記載の反射防止膜付
き光学素子。
【0010】(4) 前記樹脂成分はアクリル系樹脂で
ある上記(2)または(3)に記載の光学素子。
【0011】(5) 前記密着力強化層は塗布法により
設けられる上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の
反射防止膜付き光学素子。
【0012】(6) 前記密着力強化層の膜厚が150
00nm以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに
記載の反射防止膜付き光学素子。
【0013】(7) 前記密着力強化層の膜厚が50〜
15000nmである上記(6)に記載の反射防止膜付き
光学素子。
【0014】(8) 前記反射防止膜は真空蒸着法によ
り形成される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載
の反射防止膜付き光学素子。
【0015】(9) 前記反射防止膜は複数の層から構
成される上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の反
射防止膜付き光学素子。
【0016】(10) 前記密着力強化層と前記反射防
止膜との密着強度が70kgf/cm2以上である上記(1)
ないし(9)のいずれかに記載の反射防止膜付き光学素
子。
【0017】(11) 前記プラスチック基材はアクリ
ル系樹脂からなる上記(1)ないし(10)のいずれか
に記載の反射防止膜付き光学素子。
【0018】(12) 前記反射防止膜は前記密着力強
化層に最も近い層を第1層目として膜厚24〜44nmの
SiO2からなる層と、第2層目として膜厚5〜15nm
のTiO2からなる層と、第3層目として膜厚29〜4
9nmのSiO2からなる層と、第4層目として膜厚10
3〜123nmのTiO2からなる層と、第5層目として
膜厚75〜95nmのSiO2からなる層とから構成され
る上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の反射防
止膜付き光学素子。
【0019】(13) 前記反射防止膜付き光学素子は
カメラ用レンズである上記(1)ないし(12)のいず
れかに記載の反射防止膜付き光学素子。
【0020】(14) 前記カメラ用レンズはファイン
ダー用レンズである上記(13)に記載の反射防止膜付
き光学素子。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の反射防止膜付き光
学素子を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に
説明する。
【0022】図1は、本発明の反射防止膜付き光学素子
の一実施形態を示す断面図である。
【0023】この図に示すように、本発明の反射防止膜
付き光学素子1は、プラスチック基材2と反射防止膜9
との間に少なくとも1層の密着力強化層8が介在するこ
とを特徴とする。このような構成とすることにより、プ
ラスチック基材と反射防止膜との密着性の向上を図り、
光学素子の耐候性および反射防止機能の維持向上を図る
ことができる。
【0024】以下、本発明の反射防止膜付き光学素子を
構成する各事項について順次説明する。なお、説明中
“膜厚”とは、すべて物理的膜厚を意味するものとす
る。プラスチック基材2としては、例えば、主として可
視光線を透過可能な透明樹脂からなる基材等が挙げられ
る。透明樹脂からなる基材としては板状物、フィルム状
物、レンズ形状物等が挙げられ、これらの透明基材を構
成する樹脂としては、例えばポリカーボネート等のポリ
カーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート等のア
クリル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリオレフィン
系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの
透明樹脂のなかでもとくにアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂は、メガネ用レンズ、カメラ用レンズ等
の光学部材の素材として広く用いられており、その用途
に応じてプラスチック基材と反射防止膜との密着性の改
善が最も必要とされている。
【0025】プラスチック基材2と反射防止膜9との間
には密着力強化層8が介在している。密着力強化層8
は、無機系微粒子と、シランカップリング剤と、樹脂成
分とを含むものであることが好ましい。これらの成分を
含むことにより、密着力強化層8は反射防止膜9の密着
力の向上に大きく寄与することができる。
【0026】無機系微粒子は、その存在により密着力強
化層8の表面に微細な凹凸が形成されるため、反射防止
膜9の密着性を維持向上させることに寄与する。
【0027】無機系微粒子としては、例えばSiO2
Sb25、GeO2、SnO2、Al23、Tl23、I
23、TiO2、ZrO2、WO3等の微粒子が挙げら
れ、これらの微粒子を単独または2種以上を組み合わせ
て用いることが可能である。さらに、無機系微粒子とし
ては、SiO2(シリカ)等に代表されるケイ素化合物
のコロイド粒子が好ましい。このようなコロイド粒子
は、密着力強化層8中における分散性、安定性が良好で
あり、密着力を効果的に向上させることができる。ケイ
素化合物のコロイド粒子の具体例としては例えばコロイ
ダルシリカが挙げられる。
【0028】無機系微粒子の平均粒径は、1〜200nm
程度であることが好ましい。平均粒径が1nm未満である
場合、密着力の向上がみられない場合があり、一方、2
00nmを超えると密着力強化層8の透明性が失われる
等、光学素子の光学特性が損なわれるおそれがある。
【0029】密着力強化層8中における無機系微粒子の
含有量は、例えば5〜80wt%程度とすることが好まし
く、10〜60wt%程度がより好ましい。無機系微粒子
の含有量が少なすぎる場合、密着性向上効果が十分に得
られないおそれがあり、一方、含有量が多すぎる場合、
分散性が悪くなったり、密着力強化層8の透明性が損な
われるおそれがある。
【0030】密着力強化層8においてシランカップリン
グ剤は、例えばコロイダルシリカ等の無機系微粒子と樹
脂成分とを架橋させ、各成分の分散性の向上と密着力の
向上に寄与する。シランカップリング剤としては、特に
限定されず各種のものを使用することができる。具体的
には、テトラメトキシシラン等の四官能シラン、メチル
トリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−
クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−シアノプロピルトリメトキシシラン、γ−モル
ホリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミ
ノプロピルトリメトキシシラン等の三官能シラン、さら
に、二官能シラン、すなわち、前記三官能シランの一部
がアルキル基、フェニル基、ビニル基等で置換された二
官能シラン、例えばジメチルジメトキシシラン、フェニ
ルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙
げられ、これらの化合物の加水分解物、部分縮合物等を
用いることもできる。
【0031】密着力強化層8に含まれる樹脂成分は、前
述の無機系微粒子の周囲をとりまいて該無機系微粒子を
良好に分散させ、密着力強化層8による密着性の向上効
果をより有効に得る目的で添加される。また、樹脂成分
のような高分子化合物を含むことにより、密着力強化層
8はそれ自体強度が増し耐久性が向上する。樹脂成分と
しては、例えばエポキシ樹脂、アクリル系樹脂等が挙げ
られるが、なかでもアクリル系樹脂が好ましい。アクリ
ル系樹脂は硬化させることにより透明な被膜を効率的に
形成し、光学素子に設けられる薄層として特に適してい
る。また、特にプラスチック基板2がアクリル系樹脂か
らなる場合、プラスチック基板2との間に良好な親和
性、相溶性が得られ、密着性向上効果を最も効果的に得
ることができる。
【0032】このような密着力強化層8は塗布法により
設けられることが好ましい。塗布法としては、例えば、
刷毛塗り、浸漬法、ロールコータ、スプレー法、スピン
コート、フローコート等を適用することができる。なか
でも、膜厚の制御を簡易に行うことができることから、
浸漬法およびスピンコートによることがより好ましい。
【0033】密着力強化層8を塗布法により形成する場
合には、作業性や塗膜の厚さの調節などの点から粘度調
整などのために塗布液に溶剤を添加することができる。
添加し得る溶剤としては、例えば、水、メタノール、n
−プロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアル
コール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジ
エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジエチレン
グリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、クロロ
ホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ペンタン、ヘ
キサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、ト
ルエン等の芳香族炭化水素類などが挙げられ、必要に応
じてこれらの溶剤の混合物を使用することもできる。な
かでも、アルコール類、セロソルブ類などが好ましく用
いられる。
【0034】密着力強化層8の膜厚は特に限定されない
が、15000nm以下であることが好ましい。膜厚が1
5000nmを超える場合、それ以上膜厚が増加してもさ
らなる密着力の向上をほとんど期待し得ないことがあ
る。また、厚すぎる場合には、密着力強化層8の透明性
が損なわれたり、光学素子全体が過剰に硬化する等によ
りその光学的機能が損なわれるおそれがある。
【0035】さらに、密着力強化層8の膜厚は50〜1
5000nmであることがより好ましく、50〜3000
nmがもっとも好ましい。密着力強化層8の膜厚が50nm
未満の場合、密着力の向上に十分寄与し得ないおそれが
ある。したがって、密着力強化層8の膜厚を上記の範囲
とすることにより、光学素子としての機能を損なうこと
なく反射防止膜9の密着力を向上させることができる。
なお、密着力強化層が複数設けられている場合には、ト
ータルの膜厚が上記の数値範囲にあることが好ましい。
【0036】反射防止膜9は、高い反射防止性能を得る
ためには、図1に示すように複数の層から構成された多
層膜であることが望ましい。本実施形態の反射防止膜付
き光学素子1では、反射防止膜9は、密着力強化層8に
最も近い層を第1層目として膜厚24〜44nmのSiO
2からなる第1層3と、第2層目として膜厚5〜15nm
のTiO2からなる第2層4と、第3層目として膜厚2
9〜49nmのSiO2からなる第3層5と、第4層目と
して膜厚103〜123nmのTiO2からなる第4層6
と、第5層目として膜厚75〜95nmのSiO2からな
る第5層7とから構成されている。
【0037】特にこのような層構成とすることにより、
反射防止膜9としてプラスチック基材2に優れた反射防
止効果を付与することができる。さらに、第1層目のS
iO2からなる第1層3と密着力強化層8との密着性が
良好に得られるため、反射防止膜9との密着力が向上
し、反射防止膜付き光学素子1全体の耐久性、耐候性を
向上させることができる。
【0038】反射防止膜9を構成する薄膜の成膜方法と
しては、真空蒸着法によることが好ましい。真空蒸着法
によれば、多層薄膜を精度よく形成することができる。
さらに、電子ビーム蒸着法やイオンアシスト蒸着法によ
れば、各層間の密着力の向上を図ることができる。ま
た、各層の膜厚や屈折率を優れた再現性をもって制御可
能であるため、良好な反射防止性能を発揮し得る反射防
止膜付き光学素子を得ることができる。
【0039】本発明の反射防止膜付き光学素子におい
て、密着力強化層8と反射防止膜9との密着強度につい
ては特に限定されないが、70kgf/cm2以上であること
が好ましい。かかる密着強度が70kgf/cm2以上である
場合、例えばプラスチック基材が湿熱条件下で熱膨張し
た場合であっても、それに追従することができるため反
射防止膜9の浮きや剥がれ等が抑制され、反射防止膜付
き光学素子の耐候性、耐久性等が向上する。一方、密着
力強化層8と反射防止膜9との密着強度が70kgf/cm2
未満である場合、反射防止膜は容易に剥離し、反射防止
機能を発揮、維持し得なくなるおそれがある。
【0040】本発明の反射防止膜付き光学素子は広い範
囲で適用可能であり、例えば、メガネ用レンズ、各種カ
メラ用レンズ等に適用される。とくに、反射防止膜付き
光学素子としてはカメラ用レンズであることが好まし
く、なかでもファインダー用レンズであることがさらに
好ましい。ファインダー用レンズに代表されるカメラの
内装用光学素子は、目的とする反射防止性能を備えるこ
と、および反射防止膜の膜物性として優れた密着性、耐
久性等を備えることが要求されるため、本発明の反射防
止膜付き光学素子の用途として好適である。
【0041】以上、本発明の反射防止膜付き光学素子を
図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら
に限定されるものではなく、例えば、反射防止膜の層構
成はいかなるものとしてもよい。
【0042】また、密着力強化層と反射防止膜との接着
面に、光学機能を損なわない範囲で密着力を向上させる
ために所定の表面粗さとなるような処理が施されていて
もよい。さらに、本発明の反射防止膜付き光学素子は反
射防止膜の表層等に各種の表面改質層が設けられたもの
であってもよい。
【0043】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。 1.反射防止膜付き光学素子の作製 (実施例)まず、密着力強化層8の形成に使用する塗布
液(コロイダルシリカを含有するアクリル系の紫外線硬
化型ハードコート液)を調製した。
【0044】調製された塗布液中に、射出成形法により
作製されたポリメチルメタクリレート製の平面基板(フ
ァインダー用レンズ素材)を20秒間浸漬し、240mm
/minで引き上げた。この後、照射強度85mJ/cm2で紫外
線照射を行って塗布液を硬化させることにより密着力強
化層8を形成した。硬化後の密着力強化層8の膜厚は3
000nmであった。
【0045】次に、密着力強化層8の上に通常の真空蒸
着法により、表1に示す層構成の反射防止膜9を設け、
図1に示すような反射防止膜付き光学素子1を作製し
た。
【0046】
【表1】表 1
【0047】(比較例)密着力強化層8を介在させない
で、プラスチック基材2上に直接反射防止膜9を設けた
以外は実施例と同様にして反射防止膜付き光学素子を作
製した。
【0048】2.反射防止膜付き光学素子の評価 実施例および比較例で作製された反射防止膜付き光学素
子において、反射防止膜の密着性、密着強度、耐候性お
よび反射特性について評価した。
【0049】密着性 JIS D−0202に準じ、反射防止膜付き光学素子
の表面に1mm間隔のクロスカットで100個のマス目を
設け、粘着テープによる剥離試験を行いプラスチック基
材上に残存する反射防止膜の膜片の数を測定した。評価
方法は、残存膜片が100個である場合を「○」、99
〜90個である場合を「△」、90個未満以下である場
合を「×」とした。評価結果を表2に示す。
【0050】
【表2】表 2
【0051】密着強度 反射防止膜の膜面に接触面積がφ3mmの治具をエポキシ
系接着剤で貼り付けた。かかる治具を引っ張り、反射防
止膜が剥がれたときの荷重を測定した。なお、表中の値
は、測定値を単位面積あたりの荷重に換算した値であ
る。結果を表2に示す。
【0052】耐候性 各反射防止膜付き光学素子を60℃、相対湿度90%R
Hの耐久条件下に48時間放置した後、反射防止膜の浮
き、剥がれ等の異常の有無を目視により観察した。評価
方法は、上記耐久条件に投入後、反射防止膜の浮き、剥
がれ等の異常が認められなかった場合を○、何らかの異
常が認められた場合を×とした。さらに、耐久条件投入
後の反射防止膜付き光学素子について上記と同様にし
て密着性の評価を行った。これらの評価結果を表2に示
す。
【0053】3.反射特性評価 実施例で得られた反射防止膜付き光学素子の反射光の分
光特性について評価を行った。実施例の反射防止膜付き
光学素子の25℃における分光反射率曲線を図2に示
す。なお、分光反射率の測定は入射角5°で行った。こ
の結果、実施例の反射防止膜付き光学素子は可視光領域
において反射率が0.5%以下であり、良好な反射防止
性能を備えることがわかった。
【0054】以上のことから、実施例の反射防止膜付き
光学素子1の反射防止膜9は、密着性に優れ、比較例の
場合と比較してみると密着力強化層8を介在させること
によって密着力が格段に向上していることがわかった。
さらに、高温、高湿の環境下でも優れた密着性を維持
し、耐候性にも優れていることがわかった。また、密着
力強化層8の介在による反射防止性能の低下も全くみら
れず、優れた光学特性を備えるものであった。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の反射防止膜
付き光学素子は、反射防止膜の密着性、耐候性に優れ、
さらに良好な反射防止性能を発揮するため、ファインダ
ー用レンズ等のカメラ用レンズをはじめ各種光学素子と
して好適に用いることができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜付き光学素子の実施形態を
示す断面図である。
【図2】図1に示す反射防止膜付き光学素子の分光反射
率曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 反射防止膜付き光学素子 2 プラスチック基材 3 第1層(SiO2膜) 4 第2層(TiO2膜) 5 第3層(SiO2膜) 6 第4層(SiO2膜) 7 第5層(TiO2膜) 8 密着力強化層 9 反射防止膜

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材と、 前記プラスチック基材の表面に形成された反射防止膜と
    を備える反射防止膜付き光学素子において、 前記プラスチック基材と前記反射防止膜との間に少なく
    とも1層の密着力強化層が介在することを特徴とする反
    射防止膜付き光学素子。
  2. 【請求項2】 前記密着力強化層は無機系微粒子と、シ
    ランカップリング剤と、樹脂成分とを含む請求項1に記
    載の反射防止膜付き光学素子。
  3. 【請求項3】 前記無機系微粒子はケイ素化合物のコロ
    イド粒子である請求項2に記載の反射防止膜付き光学素
    子。
  4. 【請求項4】 前記樹脂成分はアクリル系樹脂である請
    求項2または3に記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 前記密着力強化層は塗布法により設けら
    れる請求項1ないし4のいずれかに記載の反射防止膜付
    き光学素子。
  6. 【請求項6】 前記密着力強化層の膜厚が15000nm
    以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の反射防
    止膜付き光学素子。
  7. 【請求項7】 前記密着力強化層の膜厚が50〜150
    00nmである請求項6に記載の反射防止膜付き光学素
    子。
  8. 【請求項8】 前記反射防止膜は真空蒸着法により形成
    される請求項1ないし7のいずれかに記載の反射防止膜
    付き光学素子。
  9. 【請求項9】 前記反射防止膜は複数の層から構成され
    る請求項1ないし8のいずれかに記載の反射防止膜付き
    光学素子。
  10. 【請求項10】 前記密着力強化層と前記反射防止膜と
    の密着強度が70kgf/cm2以上である請求項1ないし9
    のいずれかに記載の反射防止膜付き光学素子。
  11. 【請求項11】 前記プラスチック基材はアクリル系樹
    脂からなる請求項1ないし10のいずれかに記載の反射
    防止膜付き光学素子。
  12. 【請求項12】 前記反射防止膜は前記密着力強化層に
    最も近い層を第1層目として膜厚24〜44nmのSiO
    2からなる層と、 第2層目として膜厚5〜15nmのTiO2からなる層
    と、 第3層目として膜厚29〜49nmのSiO2からなる層
    と、 第4層目として膜厚103〜123nmのTiO2からな
    る層と、 第5層目として膜厚75〜95nmのSiO2からなる層
    とから構成される請求項1ないし11のいずれかに記載
    の反射防止膜付き光学素子。
  13. 【請求項13】 前記反射防止膜付き光学素子はカメラ
    用レンズである請求項1ないし12のいずれかに記載の
    反射防止膜付き光学素子。
  14. 【請求項14】 前記カメラ用レンズはファインダー用
    レンズである請求項13に記載の反射防止膜付き光学素
    子。
JP11116528A 1998-12-25 1999-04-23 反射防止膜付き光学素子 Pending JP2000241604A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11116528A JP2000241604A (ja) 1998-12-25 1999-04-23 反射防止膜付き光学素子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-369816 1998-12-25
JP36981698 1998-12-25
JP11116528A JP2000241604A (ja) 1998-12-25 1999-04-23 反射防止膜付き光学素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000241604A true JP2000241604A (ja) 2000-09-08

Family

ID=26454842

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11116528A Pending JP2000241604A (ja) 1998-12-25 1999-04-23 反射防止膜付き光学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000241604A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008201922A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Ube Nitto Kasei Co Ltd コーティング剤、硬化コート層および構造体
WO2011136138A1 (ja) 2010-04-27 2011-11-03 コニカミノルタオプト株式会社 撮像用レンズ、ウエハレンズ、ウエハレンズ積層体、撮像用レンズの製造方法、撮像用レンズの中間物、撮像用レンズの中間物の製造方法
WO2019003708A1 (ja) * 2017-06-29 2019-01-03 日本電産株式会社 レンズおよびレンズの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008201922A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Ube Nitto Kasei Co Ltd コーティング剤、硬化コート層および構造体
WO2011136138A1 (ja) 2010-04-27 2011-11-03 コニカミノルタオプト株式会社 撮像用レンズ、ウエハレンズ、ウエハレンズ積層体、撮像用レンズの製造方法、撮像用レンズの中間物、撮像用レンズの中間物の製造方法
JP4924777B2 (ja) * 2010-04-27 2012-04-25 コニカミノルタオプト株式会社 撮像用レンズ、ウエハレンズ、ウエハレンズ積層体、撮像用レンズの製造方法、撮像用レンズの中間物、撮像用レンズの中間物の製造方法
US8540440B2 (en) 2010-04-27 2013-09-24 Konica Minolta Opto, Inc. Image capture lens, wafer lens, wafer lens laminate, method of manufacturing image capture lens, image capture lens intermediate product, method of manufacturing image capture lens intermediate product
EP2752687A1 (en) 2010-04-27 2014-07-09 Konica Minolta Opto, Inc. Image capture lens, wafer lens, wafer lens laminate, method of manufacturing image capture lens, image capture lens intermediate product, method of manufacturing image capture lens intermediate product
WO2019003708A1 (ja) * 2017-06-29 2019-01-03 日本電産株式会社 レンズおよびレンズの製造方法
CN110753860A (zh) * 2017-06-29 2020-02-04 日本电产株式会社 透镜和透镜的制造方法
CN110753860B (zh) * 2017-06-29 2022-05-10 日本电产株式会社 透镜和透镜的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5015523A (en) Coated synthetic resin lens
US5949518A (en) Color-neutral UV blocking coating for plastic lens
JP4358312B2 (ja) 耐衝撃性中間層を有する有機ガラス製眼鏡レンズ、およびその製造方法
KR101111929B1 (ko) 반사 방지 필름 및 그 제조 방법
US9360595B2 (en) Antifog optical article and manufacturing method thereof
JPS6232441B2 (ja)
JP2000177381A (ja) 車両の低反射前窓
JPH07119843B2 (ja) 反射防止性高屈折率プラスチックレンズ
JP2000241604A (ja) 反射防止膜付き光学素子
JP4204170B2 (ja) 防眩性反射防止フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP3068252B2 (ja) 反射防止膜を有する光学部材
JP2001315262A (ja) 反射防止フィルム
JPH09254324A (ja) 反射防止フイルム
JP2003266581A (ja) 硬化被膜付き透明基材
JPH07119845B2 (ja) 光学部品
JPH08231807A (ja) プライマー組成物及びプラスチックレンズ
JP3220906B2 (ja) コーティング用組成物
JP2007025631A (ja) 光学部品の製造方法及び光学部品
JPH0534502A (ja) 反射防止膜を有する光学部材
JPH09226062A (ja) 反射防止フイルム
JP2628589B2 (ja) ポリウレタンレンズ用反射防止膜
JP3068243B2 (ja) 反射防止膜を有する光学部材
JPH10260301A (ja) プラスチックレンズ
JP2007190926A (ja) 反射防止フイルム
JP2004323794A (ja) 防曇性光学部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060308

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080425

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090129

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090512