JP2000239485A - ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法

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JP2000239485A
JP2000239485A JP11363799A JP36379999A JP2000239485A JP 2000239485 A JP2000239485 A JP 2000239485A JP 11363799 A JP11363799 A JP 11363799A JP 36379999 A JP36379999 A JP 36379999A JP 2000239485 A JP2000239485 A JP 2000239485A
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polyacetal resin
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acid
metal
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Hatsuhiko Harashina
初彦 原科
Hayato Kurita
早人 栗田
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Polyplastics Co Ltd
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Polyplastics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアセタール樹脂の熱安定性を改善し、ホ
ルムアルデヒドの発生を抑制する。 【解決手段】 ポリアセタール樹脂100重量部と、ア
イオノマー樹脂0.0001〜2重量部と、尿素又はそ
の誘導体及びアミジン誘導体から選択された少なくとも
一種の抑制剤0.01〜10重量部とでポリアセタール
樹脂組成物を構成する。前記ポリアセタール樹脂組成物
は、さらに酸化防止剤、アルカリ又はアルカリ土類金属
化合物、安定剤、着色剤、窒素含有化合物などを含んで
もよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホルムアルデヒド
発生量が著しく抑制され、成形加工性に優れたポリアセ
タール樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアセタール樹脂は、機械的性質、耐
疲労性、耐摩擦・摩耗性、耐薬品性及び成形性に優れて
いるため、自動車部品、電気・電子機器部品、その他の
精密機械部品、建材・配管部材、生活・化粧用部品、医
用部品などの分野において広く利用されている。しかし
ながら、用途の拡大、多様化に伴い、その品質に対する
要求はより高度化する傾向を示している。ポリアセター
ル樹脂に要求される特性として、押出又は成形工程など
の加工工程における機械的強度が低下しないこと、金型
への付着物(モールドデポジット)が発生しないこと、
長期加熱条件下(ヒートエージング)における機械的物
性が低下しないこと、成形品のシルバーストリークやボ
イドなどの成形不良が生じないことなどが挙げられる。
これらの現象の重要因子の1つに加熱時のポリマーの分
解が挙げられる。特に、ポリアセタール樹脂は、その化
学構造から本質的に、加熱酸化雰囲気下、酸性やアルカ
リ性条件下では容易に分解されやすい。そのため、ポリ
アセタール樹脂の本質的な課題として、熱安定性が高
く、成型加工過程又は成形品からのホルムアルデヒドの
発生を抑制することが挙げられる。ホルムアルデヒドは
化学的に活性であり、酸化によりギ酸となり耐熱性に悪
影響を及ぼしたり、電気・電子機器の部品などに用いる
と、金属製接点部品が腐蝕したり有機化合物の付着によ
り変色し、接点不良を生じる。さらにホルムアルデヒド
自体が、部品組立工程での作業環境や最終製品の使用周
辺の生活環境を汚染する。
【0003】化学的に活性な末端を安定化するため、ホ
モポリマーについては、重合体の末端をアセチル化など
によりエステル化する方法、コポリマーについては、重
合時にトリオキサンと環状エーテル、環状ホルマールな
どの隣接炭素結合を有するモノマーとを共重合した後、
不安定な末端部分を分解除去して不活性な安定末端とす
る方法などが知られている。しかしながら、加熱時には
ポリマーの主鎖部分での解裂分解も起こり、その防止に
は、上記処理のみでは対処できず、実用的には酸化防止
剤及びその他の安定剤の添加が必須とされている。
【0004】しかし、これら安定剤を配合しても、ポリ
アセタール樹脂の分解を完全に抑制することは困難であ
り、実際には組成物を調製するための押出や成形工程で
の溶融加工の際、押出機や成形機のシリンダー内で熱や
酸素の作用を受け、主鎖の分解や充分に安定化されてい
ない末端からホルムアルデヒドが発生し、押出成形加工
時に作業環境を悪化させる。また、長時間にわたり成形
を行なうと、金型に微粉状物、タール状物が付着し(モ
ールドデポジット)、作業効率を低下させるとともに、
成形品の表面状態を低下させる最大要因の1つとなって
いる。さらに、ポリマー分解により機械的強度の低下、
樹脂の変色が生じる。このような点から、ポリアセター
ル樹脂については、より効果的な安定化処方を求めて多
大な努力が続けられている。
【0005】ポリアセタール樹脂に添加される酸化防止
剤としては、立体障害を有するフェノール化合物(ヒン
ダードフェノール)、立体障害を有するアミン化合物
(ヒンダードアミン)が知られており、その他の安定剤
として、メラミン又はその誘導体、ポリアミド、ポリア
クリルアミド誘導体などの特定の窒素含有化合物、アミ
ジン化合物、アルカリ金属水酸化物やアルカリ土類金属
水酸化物、有機又は無機酸塩などが使用されている。ま
た、通常、酸化防止剤は他の安定化剤と組み合わせて用
いられる。しかし、このような添加剤を用いても、ポリ
アセタール樹脂に対して高い安定性を付与することは困
難である。
【0006】特開昭52−59646号公報には、ポリ
アセタールコポリマーに酸化防止剤、アルキレンウレタ
ン類、及び尿素を添加することにより、熱及び酸化雰囲
気に対する安定性を改善させ、着色を生じないポリアセ
タール樹脂組成物が開示されている。しかし、酸化防止
剤及び尿素の添加だけでは、未だホルムアルデヒドの発
生を顕著に抑制することが困難である。
【0007】特開昭61−145245号公報には、ポ
リアセタールの熱安定性を改良するため、アセタールポ
リマーに、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸との低分子量コポリマーのイオン性塩を少量
配合した成形用組成物が開示されている。また、アミジ
ン系安定剤として、シアノグアニジン類、トリアジン類
などを用いることが記載されている。
【0008】特開昭63−260949号公報には、ポ
リアセタール樹脂に、ヒンダードフェノール、ヒドロキ
シカルボン酸の金属塩、滑剤、窒素含有熱安定剤(メラ
ミン、シアノグアニジンなどのアミジン化合物)、核形
成剤、帯電防止剤などを添加したポリアセタール成形用
組成物が開示されている。この文献では、前記添加剤に
より、加熱老化中の黄変に対する耐性、機械的性質、加
工適性、紫外線に対する安定性、及び静電気の蓄積に対
する抵抗を向上させている。
【0009】しかし、これらの文献では、熱安定性、機
械的性質、成形加工性などは改善できるものの、ホルム
アルデヒド発生を大幅に抑制することが困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ポリアセタール樹脂の熱安定性、特に成形加工時の
溶融安定性を改善できる樹脂組成物及びその製造方法、
並びに成形品を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、少量の添加でホルム
アルデヒドの生成を著しく抑制でき、作業環境を改善で
きるポリアセタール樹脂組成物及びその製造方法、並び
に成形品を提供することにある。
【0012】本発明のさらに他の目的は、過酷な条件下
であってもホルムアルデヒドの生成を抑制して、金型へ
の分解物などの付着、成形品からの分解物の浸出や成形
品の熱劣化を抑制できるとともに成形品の品質を向上
し、成形性を改善できるポリアセタール樹脂組成物及び
その製造方法、並びに成形品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、ポリアセタール樹脂の安定剤に関し
て探索検討を行なった結果、アイオノマー樹脂と特定の
抑制剤とを組み合わせて用いると、ポリアセタール樹脂
の安定剤、特に加工時の安定剤として顕著な効果を示す
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、本発明のポリアセタール樹脂組
成物は、ポリアセタール樹脂と、アイオノマー樹脂と、
尿素又はその誘導体及びアミジン誘導体から選択された
少なくとも一種の抑制剤とで構成されている。前記ポリ
アセタール樹脂100重量部に対して、前記アイオノマ
ー樹脂の割合は0.0001〜2重量部程度、抑制剤の
割合は0.01〜10重量部程度であってもよい。前記
ポリアセタール樹脂組成物は、さらに酸化防止剤、アル
カリ又はアルカリ土類金属化合物、安定剤、着色剤など
を含んでもよい。
【0015】本発明には、前記ポリアセタール樹脂組成
物の製造方法及び前記ポリアセタール樹脂組成物を成形
して得られる成形品も含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のポリアセタール樹脂組成
物は、ポリアセタール樹脂と、アイオノマー樹脂と、抑
制剤とで構成される。
【0017】ポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン
基(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合
物であり、ポリアセタールホモポリマー(例えば、米国
デュポン社製,商品名「デルリン」、旭化成(株)製、
商品名「テナック4010」など)、オキシメチレン基
以外に他のコモノマー単位を含有するポリアセタールコ
ポリマー(例えば、ポリプラスチックス(株)製,商品
名「ジュラコン」など)が含まれる。コポリマーにおい
て、コモノマー単位には、炭素数2〜6程度(好ましく
は炭素数2〜4程度)のオキシアルキレン単位(例え
ば、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプ
ロピレン基、オキシテトラメチレン基など)が含まれ
る。コモノマー単位の含有量は、少量、例えば、ポリア
セタール樹脂全体に対して、0.01〜20モル%、好
ましくは0.03〜10モル%(例えば、0.05〜5
モル%)、さらに好ましくは0.1〜5モル%程度の範
囲から選択できる。
【0018】ポリアセタールコポリマーは、二成分で構
成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマー
などであってもよい。ポリアセタールコポリマーは、ラ
ンダムコポリマーの他、ブロックコポリマー、グラフト
コポリマーなどであってもよい。また、ポリアセタール
樹脂は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋
構造を有していてもよい。さらに、ポリアセタール樹脂
の末端は、例えば、酢酸、プロピオン酸などのカルボン
酸又はそれらの無水物とのエステル化などにより安定化
してもよい。ポリアセタールの重合度、分岐度や架橋度
も特に制限はなく、溶融成形可能であればよい。
【0019】前記ポリアセタール樹脂は、例えば、ホル
ムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ドなどのアルデヒド類、トリオキサン、エチレンオキサ
イド、プロピレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、
ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオ
ールホルマールなどの環状エーテルや環状ホルマールを
重合することにより製造できる。
【0020】アイオノマー樹脂は、オレフィンと重合性
不飽和カルボン酸(α,β−エチレン性不飽和カルボン
酸)との共重合体で構成され、共重合体に含有されるカ
ルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンにより中和
されている。
【0021】前記オレフィンとしては、エチレン、プロ
ピレン、ブテンなどのα−C2-10オレフィンなどが例示
できる。
【0022】重合性不飽和結合を有するカルボン酸に
は、例えば、不飽和モノカルボン酸[アクリル酸などの
プロペン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イソクロトン酸などのブテン酸などのC3-10カルボン酸
(好ましくはC3-6カルボン酸など)など]、不飽和ジ
カルボン酸[マレイン酸、フマル酸、イタコン酸又はそ
れらの無水物、もしくはそれらのモノエステルなどが含
まれる。
【0023】前記重合性不飽和カルボン酸のうち、特に
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、例え
ば、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸などの重合性不
飽和モノカルボン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル
酸などの重合性不飽和多価カルボン酸又はその酸無水
物、及び多価カルボン酸(例えばジカルボン酸)のモノ
エステル(マレイン酸モノエチル、フマル酸モノメチ
ル、フマル酸モノエチルなどのモノC1-10アルキルエス
テル)などが好適に使用できる。このような不飽和カル
ボン酸は、単独で使用してホモポリマーを構成してもよ
く、二種以上を組み合わせてコポリマーを構成してもよ
い。
【0024】前記共重合体は、さらに他の共重合性単量
体と多元共重合体を構成してもよい。共重合性単量体に
は、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸ブチルなどのアルキルエステル(特に、C
1-10アルキルエステルなど)など]、マレイン酸ジメチ
ル、フマル酸ジメチルなどのジカルボン酸ジC1-6アル
キルエステルなどが含まれる。カルボキシル基を有する
重合体には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)
に重合性不飽和カルボン酸がグラフトした酸変性ポリオ
レフィンも含まれる。
【0025】好ましい共重合体としては、エチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−(メタ)ア
クリル酸共重合体などが例示できる。特にエチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
【0026】アイオノマー樹脂における重合性不飽和カ
ルボン酸単位の含有量は、0.1〜70モル%、好まし
くは0.2〜50モル%、さらに好ましくは1〜30モ
ル%程度である。また、前記共重合体の分子量は特に制
限されないが、例えば、数平均分子量が5×102〜1
×105、好ましくは1×103〜5×104程度の範囲
から選択できる。
【0027】前記アイオノマー樹脂の金属としては、通
常、アルカリ又はアルカリ土類金属、遷移金属、周期表
3B族金属などが使用できる。金属の原子価は、1〜4
価、好ましくは1〜3価程度である。好ましい金属とし
ては、アルカリ金属(リチウムLi,ナトリウムNa,
カリウムK,セシウムCsなど)、アルカリ土類金属
(マグネシウムMg,カルシウムCa、ストロンチウム
Sr,バリウムBaなど)、遷移金属(鉄Fe,ルテニ
ウムRu、銅Cu、銀Ag、亜鉛Znなど)、周期表3
B族金属(アルミニウムAlなど)などが挙げられる。
1価金属イオンとしては、Li,Na,K,Csなど、
2価金属イオンとしては、Mg,Ca,Sr,Ba,C
u,Znなど、3価金属イオンとしては、Al,Feな
どが挙げられる。特に好ましい金属は、Li,Na,M
g,Ca,Znなどである。前記金属は一種又は二種以
上組み合わせて使用できる。
【0028】前記共重合体の有するカルボキシル基の少
なくとも一部は、前記金属(通常、金属イオン)により
中和されて塩を形成しており、その中和の割合(中和
度)は、全カルボキシル基の1〜95%、好ましくは5
〜90%(例えば、10〜80%)程度である。
【0029】このようなアイオノマー樹脂は、例えば、
A−CACLYN(アライド・シグナル社製)、ハイミ
ラン(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリン(デ
ュポン社製)などとして市販されている。
【0030】本発明の特色は、前記アイオノマー樹脂と
特定の抑制剤とを組み合わせて添加することにより、ポ
リアセタール樹脂の加工安定性を著しく向上させ、ホル
ムアルデヒドの発生を著しく抑制する点にある。前記組
み合わせにより、従来の安定剤をはるかに凌駕する安定
化効果が発現し、加工性に優れたポリアセタール樹脂組
成物を得ることができる。
【0031】抑制剤としては、尿素又はその誘導体、ア
ミジン誘導体(非メラミン系アミジン誘導体)などが挙
げられる。
【0032】尿素誘導体としては、例えば、アルキル基
などの置換基が置換したN−置換尿素[例えば、N−メ
チル体、N−エチル体などのN−C1-6アルキル体、ア
ルキレンジウレア(例えば、メチレンジウレアなどのC
1-6アルキレンジウレアなど)など]、尿素縮合体など
が挙げられる。尿素縮合体は、非環状であっても、環状
であってもよく、非環状縮合体には、例えば、尿素の二
量体(例えば、ビウレット、ビウレアなど)、尿素の多
量体、尿素とアルデヒド化合物との縮合体などが含まれ
る。この縮合体としては、C1-6アルデヒドとの縮合
体、例えば、尿素とイソブチルアルデヒドとの非環状縮
合体(イソブチリデンジウレアなど)、尿素とホルムア
ルデヒドとの非環状縮合体などが挙げられる。前記尿素
とホルムアルデヒドとの非環状縮合体では、1又は複数
の尿素単位が縮合していてもよく、n個のメチレン鎖を
介して(n+1)個の尿素単位が縮合していてもよい
(nは1以上の整数である)。前記非環状縮合体は単独
で又は二種以上組合せて混合物として使用できる。この
混合物は、例えば、ホルム窒素(メチレンジウレア、ジ
メチレントリウレア、トリメチレンテトラウレアなどの
混合物)として三井化学(株)より市販されている。ま
た、尿素誘導体は、尿素樹脂であってもよい。尿素誘導
体は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0033】好ましい尿素誘導体には、ウレイド誘導体
(例えば、モノウレイド及びジウレイド、又はそれらの
誘導体など)が含まれる。さらに、尿素誘導体には、非
環状ウレイド又は環状ウレイドが含まれる。
【0034】非環状モノウレイドとしては、C2-6ジカ
ルボン酸のウレイド酸[例えば、シュウ酸のウレイド酸
(オキサルル酸)、マロン酸のウレイド酸(マロヌル
酸)など]又はこれらの誘導体(例えば、ウレイド酸の
酸アミド)、あるいはウレイド基を有するカルボン酸
[例えば、ウレイドギ酸、ウレイド酢酸などのウレイド
基含有C1-6モノカルボン酸、ウレイドコハク酸(カル
バミルアスパラギン酸)などのカルバミド基含有C2-6
ジカルボン酸]、又はこれらのカルバミド基含有酸アミ
ド(アロファン酸アニリド、アロファン酸アミドなど)
及びカルバミド基含有エステル(アロファン酸エステル
など)などが例示できる。非環状ジウレイドとしては、
2-6カルボン酸のジウレイド[例えば、酢酸のジウレ
イド(アラントイン酸)など]などが例示できる。
【0035】環状モノウレイドとしては、尿素とアセト
アルデヒドとの環状縮合体(例えば、クロチリデンジウ
レアなど)、アラントイン、及びこれらの誘導体などが
挙げられる。
【0036】また、モノウレイド又はジウレイド、特に
環状ウレイド誘導体は金属塩、例えば、アルカリ金属塩
(Li,Na,Kなどの周期表1A族金属塩),アルカ
リ土類金属塩(Mg,Ca,Sr,Baなどの周期表2
A属金属塩),周期表1B族金属塩(Cu,Agなどと
の塩),周期表2B族金属塩(Znなどとの塩),周期
表3B族金属塩(Al,Ga,Inなどとの塩),周期
表4B族金属塩(Sn,Pbなどとの塩),周期表8族
金属塩(Fe,Co,Ni,Pd,Ptなどとの塩)な
どの金属塩(1〜4価程度の金属塩)を形成してもよ
い。
【0037】特に好ましい環状ウレイド誘導体には、ア
ラントイン及びその誘導体が挙げられ、アラントイン誘
導体については成書「DICTIONARY OF ORGANIC COMPOUND
S Vol.1, p60 (1965 EYRE & SPOTTISWOODE-PUBLISHERS
-LTD)」を参照できる。アラントイン誘導体としては、
例えば、アルキル基,シクロアルキル基,アリール基な
どの各種の置換基が置換した置換アラントイン誘導体
(例えば、1−メチル体、3−メチル体、3−エチル
体、5−メチル体、1,3−ジメチル体、1,6−ジメ
チル体、1,8−ジメチル体、3,8−ジメチル体、
1,3,6−トリメチル体、1,3,8−トリメチル体
などのモノ,ジまたはトリ−C1-4アルキル置換体、5
−フェニル体などのアリール置換体など)、また、その
金属塩[アルカリ金属塩(周期表1A属金属塩),アル
カリ土類金属塩(周期表2A属金属塩),周期表1B属
金属との塩,周期表2B属金属との塩,周期表3B属金
属との塩,周期表4B属金属との塩,周期表8属金属と
の塩など]、アラントインとアルデヒド化合物との反応
生成物[例えば、アラントインホルムアルデヒド付加体
又はそのアルコール変性体(アルコキシメチル体など)
など]、アラントインと窒素含有化合物(アミノ基又は
イミノ基含有化合物など)との反応生成物[例えば、2
−ピロリドン−5−カルボン酸塩との化合物(塩、分子
化合物(錯体)など)、アラントインとイミダゾール化
合物との化合物(塩、分子化合物(錯体)など)]、有
機酸塩なども使用できる。アラントインの金属塩の具体
例としては、アラントインジヒドロキシアルミニウム、
アラントインクロロヒドロキシアルミニウムなどが例示
でき、アミノ基又はイミノ基含有化合物との反応生成物
としては、アラントインソジウム−dlピロリドンカル
ボキシレートなどが例示できる。
【0038】アラントインと2−ピロリドン−5−カル
ボン酸塩との化合物については、特開昭51−3645
3号公報を参照でき、アラントインと塩基性アミノ酸と
の反応生成物については、特開昭52−102412号
公報、特開昭52−25771号公報、特開昭52−2
5772号公報、特開昭52−31072号公報、特開
昭51−19771号公報などを参照できる。アラント
インとイミダゾール化合物との化合物については、特開
昭57−118569号公報などを参照できる。アラン
トイン及びその誘導体の立体構造は特に制限されず、d
体、l体及びdl体のいずれであってもよい。これらの
アラントイン及びその誘導体は単独で又は二種以上組み
合わせて使用できる。
【0039】アミジン誘導体には、RC(=NH)NH
2(Rは、水素原子、アルキル基、アシル基を示す。)
で表わされる構成単位を含むアミジン及びその誘導体が
含まれる。アミジン誘導体の構造は、非環状であっても
よく、非メラミン系(非トリアジン系)の環状アミジン
であってもよい。さらに、アミジン誘導体には、前記R
がアミノ基であるグアニジン類(グアニジン誘導体)も
含まれ、グアニジン類についても、その構造は、非環状
であっても、環状であってもよい。非環状アミジンに
は、例えば、アミジン又はその誘導体などが含まれる。
好ましいアミジン類は、グアニジン類であり、非環状グ
アニジンには、例えば、非シアノ系グアニジン(グリコ
シアミン、クレアチンなどのカルボキシル基を有するグ
アニジン;グアノリンなどのエステル基を有するグアニ
ジン;又はそれらの誘導体など)が含まれる。
【0040】好ましいグアニジン類は、環状グアニジン
類である。環状グアニジンは、−R 1NC(=NH)N
2−(R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
アルキル基、又はアシル基を示す。)を環の構成単位と
して含んでいればよく、特に環のサイズには影響されな
いが、5員環又は6員環化合物が好ましい。前記式中、
1及びR2で表わされるアルキル基としては、C1-4
ルキル基、特にメチル基又はエチル基、アシル基として
は、C1-4アルキル基、特にホルミル基、アセチル基、
又はプロピオニル基などが好ましく、水素原子が特に好
ましい。
【0041】好ましい環状グアニジン類には、5員環窒
素含有化合物が含まれる。5員環窒素含有化合物として
は、グリコシアミジン又はその誘導体(例えば、グリコ
シアミジン、チオグリコシアミジン、クレアチニン、4
−メチルグリコシアミジン、4,4−グリコシアミジン
など)、オキサリルグアニジン又はその構造と類似の環
状グアニジン(例えば、オキサリルグアニジン、2,4
−ジイミノパラバン酸、2,4,5−トリイミノパラバ
ン酸など)、ウラゾールの2つのオキソ基(=O)のう
ち、少なくとも1つのオキソ基(=O)をイミノ基(=
NH)で置換した化合物(例えば、イミノウラゾール、
イミノチオウラゾール、グアナジンなど)などが例示で
きる。
【0042】6員環窒素含有化合物には、非メラミン系
化合物、例えば、イソシアヌル酸イミド又はその誘導体
(例えば、イソアンメリド、イソアンメリン、又はこれ
らのN置換体など)、マロニルグアニジン、タルトロニ
ルグアニジンなどの環状グアニジン又はその誘導体、メ
ソキサリルグアニジンなどの環状グアニジン化合物など
が例示できる。
【0043】前記グアニジン類の中では、5員環窒素含
有化合物、特に、グリコシアミジン又はその誘導体が特
に好ましい。最も好ましい環状窒素含有化合物として、
グリコシアミジン類(例えば、クレアチニンなど)が挙
げられる。
【0044】前記尿素誘導体又はアミジン誘導体は、抑
制剤として、単独で又は2種以上組み合わせて用いても
よい。
【0045】上記アイオノマーと抑制剤は、少量であっ
てもアルデヒド(ホルムアルデヒドなど)を有効に捕捉
して消臭できるとともに、樹脂との親和性も高い。その
ため、樹脂組成物の特性を損なうことがなく、樹脂から
のブリードアウトも防止でき、アルデヒド捕捉能を長期
間に亘り維持できる。
【0046】本発明のポリアセタール樹脂組成物におい
て、アイオノマー樹脂及び抑制剤の割合は、ポリアセタ
ール樹脂100重量部に対して、アイオノマー樹脂0.
0001〜2重量部、好ましくは0.005〜1.5重
量部(例えば、0.01〜1重量部)程度、抑制剤0.
001〜10重量部、好ましくは0.005〜5重量部
(例えば、0.01〜2重量部)、さらに好ましくは
0.02〜1重量部程度である。アイオノマー樹脂の割
合が0.0001重量部未満、抑制剤の割合が0.00
1重量部未満では、熱安定性の改良効果が十分でなく、
ホルムアルデヒド発生の抑制効果も不十分である。ま
た、アイオノマー樹脂の割合が2重量部を超え、抑制剤
の割合が10重量部を超えるとポリアセタール樹脂本来
の性質が損なわれる。
【0047】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、さ
らに、酸化防止剤、アルカリ又はアルカリ土類金属化合
物及び安定剤などを含んでもよい。
【0048】酸化防止剤には、例えば、フェノール系
(ヒンダードフェノール類など)、アミン系、リン系、
イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤など
が含まれる。
【0049】フェノール系酸化防止剤には、ヒンダード
フェノール類、例えば、2,2′−メチレンビス(4−
メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチ
レンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,
4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス
[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビ
ス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3
−(4′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオ
ネート、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネー
ト、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル
−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホ
スホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−
5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフ
ェニルアクリレート、N,N′−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブ
チル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオ
ニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒド
ロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタンなどが含ま
れる。
【0050】アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミ
ン類、例えば、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オ
ギサレート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)マロネート、ビス−(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、ビス−(1,,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、
1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジルオキシ)エタン、フェニル−1−ナフチルアミ
ン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N′−ジフェ
ニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−
N′−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンな
どが含まれる。
【0051】リン系酸化防止剤には、例えば、トリイソ
デシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリ
スノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシル
ホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、
2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニ
ル)オクチルホスファイト、4,4′−ブチリデンビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシル
ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−
アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェ
ニル)フェニルホスファイト、トリス[2−(1,1−
ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス
[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]
ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)
ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニル
フェニル)ホスファイトなどが含まれる。
【0052】ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、
2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キ
ノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,
2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが
含まれ,イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリル
チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネ
ートなどが含まれる。
【0053】これらの酸化防止剤は一種又は二種以上併
用することができる。
【0054】好ましい酸化防止剤には、フェノール系酸
化防止剤(特に、ヒンダードフェノール類)などが含ま
れる。ヒンダードフェノール類の中でも、特に、例え
ば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]などのC2-10アルキレンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリ
コール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又は
トリオキシC2-4アルキレンジオール−ビス[3−
(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス
[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]などのC3-8アルキレントリオ
ール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、
ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]などのC4-8アルキレンテトラオールテトラキス
[3−(3,5−ジ−分岐C3-6アルキル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
【0055】これらの酸化防止剤は単独で又は二種以上
使用できる。酸化防止剤の含有量は、例えば、ポリアセ
タール樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量
部、好ましくは0.05〜2.5重量部、特に0.1〜
1重量部程度の範囲から選択できる。
【0056】アルカリ又はアルカリ土類金属化合物とし
ては、脂肪族カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン
酸、コハク酸、アジピン酸など)、芳香族カルボン酸
(例えば、安息香酸、フタル酸、フェニル酢酸など)、
一塩基,二塩基又は三塩基オキシカルボン酸(例えば、
乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸など)などのC
1- 10カルボン酸のナトリウム,カルシウム,マグネシウ
ム金属塩;CaO、MgOなどの金属酸化物;Ca(O
H)2、Mg(OH)2などの金属水酸化物;CaCO
3 、MgCO3 などの金属炭酸塩などが例示できる。
【0057】前記アルカリ又はアルカリ土類金属化合物
は、単独又は二種以上を組合せて使用でき、その割合
は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.0
01〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部
(特に0.001〜2重量部)程度の範囲から選択でき
る。
【0058】安定剤としては、特に加工安定剤や耐候
(光)安定剤などが挙げられる。
【0059】加工安定剤としては、ポリアルキレングリ
コール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及び脂肪酸金属
塩などから選択された少なくとも一種が使用できる。
【0060】前記ポリアルキレングリコールには、アル
キレングリコール(例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、テトラメチレングリコールなどのC
2-6アルキレングリコール(好ましくはC2-4アルキレン
グリコール)など)の単独重合体、共重合体、及びそれ
らからの誘導体などが含まれる。具体例としては、ポリ
エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコールなどのポリC2-6アルキレン
グリコール(好ましくはポリC2-4アルキレングリコー
ル)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重
合体(ランダム又はブロック共重合体など)、ポリオキ
シエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノブチルエ
ーテルなどの共重合体類が挙げられる。好ましいポリア
ルキレングリコールは、オキシエチレン単位を有する重
合体、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシエ
チレンポリオキシプロピレン共重合体及びそれらの誘導
体などである。また、前記ポリアルキレングリコール
は、数平均分子量が1×103〜1×106(例えば、1
×103〜5×105)、好ましくは2×103〜1×1
5(例えば、2×10 3〜5×104)程度である。
【0061】脂肪酸エステルとしては、その構造は特に
制限されず、直鎖状又は分岐状脂肪酸エステルのいずれ
も使用でき、前記エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂
肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。ま
た、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置
換されたものも使用できる。脂肪酸エステルを構成する
脂肪酸としては、炭素数10以上の1価又は2価の脂肪
酸、例えば、1価の飽和脂肪酸[カプリン酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの
10-34飽和脂肪酸(好ましくはC10-26飽和脂肪酸)な
ど]、炭素数10以上の1価の不飽和脂肪酸[オレイン
酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸
などのC10-34不飽和脂肪酸(好ましくはC10-26飽和脂
肪酸)など]、炭素数10以上の二価の脂肪酸(二塩基
性脂肪酸)[セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン
二酸、タプシア酸などの二価のC10-30飽和脂肪酸(好
ましくは二価のC10-20飽和脂肪酸)、デセン二酸、ド
デセン二酸などの二価のC10-30不飽和脂肪酸(好まし
くは二価のC10-20不飽和脂肪酸)など]が例示でき
る。これらの脂肪酸は一種又は二種以上組合せて使用で
きる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基
を分子内に有する脂肪酸も含まれる。
【0062】また、脂肪酸エステルを構成するアルコー
ルは、その種類は特に制限されないが、多価アルコール
が好ましい。前記多価アルコールとしては、炭素数が2
〜8程度、好ましくは2〜6程度の多価アルコール又は
その重合体、例えば、アルキレングリコール(例えば、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレ
ングリコールなどのC2-8アルキレングリコール(好ま
しくはC2-6アルキレングリコール)など)などのジオ
ール類、グリセリン、トリメチロールプロパン又はこれ
らの誘導体などのトリオール類、ペンタエリスリトー
ル、ソルビタン又はこれらの誘導体などのテトラオール
類、及びこれらの多価アルコール類の単独又は共重合体
(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのポリオキシアルキレングリコールの単独
又は共重合体、ポリグリセリンなど)などが例示でき
る。前記ポリアルキレングリコールの平均重合度は2以
上(例えば、2〜500)、好ましくは2〜400(例
えば、2〜300)程度であり、平均重合度16以上
(例えば、20〜200程度)が好ましく、このような
ポリアルキレングリコールは、炭素数12以上の脂肪酸
とのエステルとして好適に使用される。好ましい多価ア
ルコールは、平均重合度が2以上のポリアルキレングリ
コールである。これらの多価アルコールは一種又は二種
以上組合せて使用できる。
【0063】脂肪酸エステルは、前記脂肪酸と前記アル
コールとで構成され、モノエステル、ジエステル、トリ
エステルなど1又は複数のエステル結合を有していても
よい。脂肪酸エステルの例としては、エチレングリコー
ルジステアリン酸エステル、グリセリンモノステアリン
酸エステル、グリセリントリパルミチン酸エステル、ポ
リグリセリントリステアリン酸エステル、トリメチロー
ルプロパンモノパルミチン酸エステル、ペンタエリスリ
トールモノウンデシル酸エステル、ソルビタンモノステ
アリン酸エステル、ポリアルキレングリコール(ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)の
モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレー
ト、ジラウレート、ジパルミテート、ジステアレート、
ジベヘネート、ジモンタネート、ジオレート、ジリノレ
ートなどが挙げられる。脂肪酸と多価アルコールから構
成された脂肪酸エステルにおいて、多価アルコール由来
の少なくとも1つの遊離のヒドロキシル基を有するも
の、すなわちヒドロキシル基がエステル化されずにエス
テル中に残存しているものが特に好ましい。
【0064】脂肪酸アミドとしては、前記脂肪酸エステ
ルの項で例示した1価又は2価の脂肪酸とアミン類(モ
ノアミン、ジアミン、ポリアミン類など)との酸アミド
(モノアミド、ビスアミドなど)が使用できる。モノア
ミドとしては、例えば、カプリン酸アミド、ラウリン酸
アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ス
テアリン酸アミド、アラキン酸アミド、ベヘン酸アミド
などの飽和脂肪酸の第1級酸アミド、オレイン酸アミド
などの不飽和脂肪酸の第1級酸アミド、ステアリルステ
アリン酸アミド、ステアリルオレイン酸アミドなどの飽
和及び/又は不飽和脂肪酸とモノアミンとの第2級酸ア
ミドなどが例示できる。好ましい脂肪酸アミドはビスア
ミドである。前記ビスアミドには、C1-6アルキレンジ
アミン(特に、C1-2アルキレンジアミン)と前記脂肪
酸とのビスアミドなどが含まれ、その具体例としては、
エチレンジアミン−ジステアリン酸アミド、ヘキサメチ
レンジアミン−ジステアリン酸アミド、エチレンジアミ
ン−ジオレイン酸アミド、エチレンジアミン−ジエルカ
酸アミドなどが挙げられ、さらにエチレンジアミン−
(ステアリン酸アミド)オレイン酸アミドなどのアルキ
レンジアミンのアミン部位に異なるアシル基が結合した
構造を有するビスアミドなども使用できる。前記酸アミ
ドにおいて、酸アミドを構成する脂肪酸は飽和脂肪酸で
あるのが好ましい。
【0065】脂肪酸金属塩としては、前記例示の炭素数
10以上の脂肪酸と金属との塩が使用できる。前記金属
は、1〜4価(特に1〜2価)の価数を有するものが好
ましく、通常、アルカリ金属(ナトリウムNa,カリウ
ムKなど)、アルカリ土類金属(マグネシウムMg,カ
ルシウムCaなど)、周期表1B族金属(銅Cu,銀A
gなど)、周期表2B族金属(亜鉛Znなど)、周期表
3B族金属(アルミニウムAlなど)、周期表4B族金
属(スズSnなど)、及び周期表8族金属(鉄Fe,コ
バルトCo,ニッケルNiなど)などが使用できる。特
にアルカリ土類金属(Mg,Caなど)塩を使用するの
が好ましい。脂肪酸金属塩の例としては、ステアリン酸
マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸
亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどが
挙げられる。
【0066】前記加工安定剤は、一種又は二種以上組合
せて使用できる。
【0067】前記のような加工安定剤の割合は、ポリア
セタール樹脂100重量部に対して、0.01〜10重
量部、好ましくは0.03〜5重量部(例えば、0.0
5〜3重量部)程度、特に0.05〜2重量部程度であ
る。前記割合が、0.01重量部未満では、ホルムアル
デヒドの十分な抑制効果が得られず、10重量部を越え
ると組成物の機械的物性が損なわれるおそれがある。
【0068】耐候(光)安定剤としては、(a)ベンゾ
トリアゾール系化合物、(b)ベンゾフェノン系化合
物、(c)芳香族ベンゾエート系化合物、(d)シアノ
アクリレート系化合物、(e)シュウ酸アニリド系化合
物、(f)ヒンダードアミン系化合物などが例示でき
る。例えば、(a)ベンゾトリアゾール系化合物として
は、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)
ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,
5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−イソアミルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−
ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2
−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベ
ンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基含有ベンゾトリ
アゾール類、(b)ベンゾフェノン系化合物としては、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデ
シルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ
−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノンなどのヒ
ドロキシル基含有ベンゾフェノン類、(c)芳香族ベン
ゾエート系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサ
リシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどの
アルキルフェニルサリシレート類、(d)シアノアクリ
レート系化合物としては、2−エチルヘキシル−2−シ
アノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−
シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのシアノ
基含有ジフェニルアクリレート類、(e)シュウ酸アニ
リド系化合物としては、N−(2−エチルフェニル)−
N′−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュ
ウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N′−
(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミドなどの窒
素原子上に置換されていてもよいフェニル基などを有す
るシュウ酸ジアミド類、(f)ヒンダードアミン系化合
物としては、立体障害性基を有するピペリジン誘導体
(4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾ
イルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニル
カルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)オギザレート、ビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ア
ジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テ
レフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメ
チレン−1,6−ジカルバメート、ビス(1−メチル−
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジ
ペート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレ
ートなどの2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
類)、又は高分子量のピペリジン誘導体重縮合物(コハ
ク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒ
ドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重
縮合物など)などが例示できる。
【0069】上記のような耐候(光)安定剤は、単独で
用いてもよいが、1種又は2種以上を組み合わせて使用
するのが好ましく、(a)ベンゾトリアゾール系化合
物、(b)ベンゾフェノン系化合物、(c)芳香族ベン
ゾエート化合物、(d)シアノアクリレート系化合物、
及び/又は(e)シュウ酸アニリド系化合物の耐候
(光)安定剤と、(f)ヒンダードアミン系化合物との
併用が好ましい。
【0070】耐候(光)安定剤を添加することにより、
ホルムアルデヒド発生の抑制に加えて、ポリアセタール
樹脂に耐候(光)性を付与することができ、熱安定性だ
けでなく、光などに対する安定性を向上させることがで
きる。
【0071】耐候(光)安定剤の添加量は、例えば、ポ
リアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜5重
量部(例えば、0.01〜3重量部)、好ましくは0.
01〜2重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部
(例えば、0.1〜1.5重量部)程度である。
【0072】前記酸化防止剤、アルカリ又はアルカリ土
類金属化合物及び安定剤は、それぞれ単独で用いてもよ
く、必要に応じて二種以上を組み合わせて使用してもよ
い。
【0073】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、さ
らに窒素含有化合物を含んでいてもよい。
【0074】塩基性窒素含有化合物には、低分子化合物
や高分子化合物(窒素含有樹脂)が含まれる。窒素含有
低分子化合物としては、例えば、モノエタノールアミ
ン,ジエタノールアミンなどの脂肪族アミン,芳香族ア
ミン類(o−トルイジン,p−トルイジン,p−フェニ
レンジアミンなどの芳香族第2級アミン又は第3級アミ
ン)、アミド化合物(マロンアミド,イソフタル酸ジア
ミドなどの多価カルボン酸アミド,p−アミノベンズア
ミドなど)、ヒドラジン又はその誘導体(ヒドラジン、
ヒドラゾン、多価カルボン酸ヒドラジドなどのヒドラジ
ドなど)、ポリアミノトリアジン類(グアナミン,アセ
トグアナミン,ベンゾグアナミンなどのグアナミン類又
はそれらの誘導体、メラミン又はその誘導体)、ウラシ
ル又はその誘導体(ウラシル,ウリジンなど)、シトシ
ン又はその誘導体(シトシン,シチジンなど)などが例
示できる。
【0075】窒素含有樹脂としては、例えば、ホルムア
ルデヒドとの反応により生成するアミノ樹脂(グアナミ
ン樹脂,メラミン樹脂,グアニジン樹脂などの縮合樹
脂、フェノール−メラミン樹脂,ベンゾグアナミン−メ
ラミン樹脂,芳香族ポリアミン−メラミン樹脂などの共
縮合樹脂など)、芳香族アミン−ホルムアルデヒド樹脂
(アニリン樹脂など)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイ
ロン3,ナイロン6,ナイロン66,ナイロン11,ナ
イロン12,ナイロンMXD6,ナイロン4−6,ナイ
ロン6−10,ナイロン6−11,ナイロン6−12,
ナイロン6−66−610などの単独又は共重合ポリア
ミド、メチロール基やアルコキシメチル基を有する置換
ポリアミドなど)、ポリエステルアミド、ポリアミドイ
ミド、ポリアクリルアミド、ポリアミノチオエーテルな
どが例示できる。
【0076】好ましい窒素含有化合物には、ポリアミノ
トリアジン類(メラミン又はその誘導体)、窒素含有樹
脂(メラミン樹脂などのアミノ樹脂、ポリアミド樹脂な
ど)が含まれる。特にメラミン,アミノ樹脂(メラミン
樹脂など),ポリアミド樹脂が好ましく、アミノ樹脂、
なかでも架橋アミノ樹脂が好ましい。さらには、メラミ
ン樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂)、特に架橋
メラミン樹脂が好ましい。
【0077】これらの窒素含有化合物は単独で又は二種
以上使用でき、窒素含有化合物の使用量は、例えば、ポ
リアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜5
重量部、好ましくは0.02〜2.5重量部(特に0.
02〜1重量部)程度の範囲から選択できる。
【0078】また、本発明のポリアセタール樹脂組成物
に、さらに着色剤を混合することも可能である。着色剤
としては、各種染料または顔料が使用できる。染料はソ
ルベント染料が好ましく、アゾ系染料、アントラキノン
系染料、フタロシアニン系染料、又はナフトキノン系染
料などが挙げられる。顔料については、無機顔料及び有
機顔料のいずれも使用できる。無機顔料としては、チタ
ン系顔料、亜鉛系顔料、カーボンブラック(ファーネス
ブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、
ケッチェンブラックなど)、鉄系顔料、モリブデン系顔
料、カドミウム系顔料、鉛系顔料、コバルト系顔料、及
びアルミニウム系顔料などが例示でき、有機顔料として
は、アゾ系顔料、アンスラキノン系顔料、フタロシアニ
ン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリ
ノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔
料、又はスレン系顔料などが例示できる。上記のような
着色剤は、単独で用いてもよく、また複数の着色剤を組
み合わせて用いてもよい。カーボンブラック又はチタン
白(酸化チタン)などの光遮蔽効果の高い着色剤を用い
ると、耐候(光)性を向上できる。
【0079】着色剤の含有量は、例えば、ポリアセター
ル樹脂100重量部に対して、0〜5重量部(例えば、
0.01〜5重量部)、好ましくは0.1〜4重量部、
さらに好ましくは0.3〜3重量部程度である。
【0080】本発明の樹脂組成物に、必要に応じて耐候
(光)性に優れた樹脂、例えば、アクリル系樹脂(ポリ
メチルメタクリレートなどのC1-10アルキル(メタ)ア
クリレートの単独又は共重合体)、アクリル系コアシェ
ルポリマー、ポリカーボネート樹脂などを添加してもよ
い。また、表面改質剤を添加することにより、クラック
などの外観不良を抑制できる。
【0081】本発明のポリアセタール樹脂組成物には、
必要に応じて各種添加剤、例えば、離型剤、核剤、帯電
防止剤、難燃剤、界面活性剤、各種ポリマー、充填剤な
どを1種又は2種以上組み合わせて添加してもよい。
【0082】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、粉
粒状混合物や溶融混合物であってもよく、ポリアセター
ル樹脂と、アイオノマー樹脂と、抑制剤と、必要により
他の添加剤とを慣用の方法で混合することにより調製で
きる。例えば、各成分を混合して、一軸又は二軸の押
出機により混練して押出してペレットを調製した後、成
形する方法、一旦組成の異なるペレット(マスターバ
ッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)し
て成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、ポリ
アセタール樹脂のペレットに抑制剤を散布などにより付
着させた後、成形し、所定の組成の成形品を得る方法な
どが採用できる。また、成形品に用いられる組成物の調
製において、基体であるポリアセタール樹脂の粉粒体
(例えば、ポリアセタール樹脂の一部又は全部を粉砕し
た粉粒体)と他の成分(尿素誘導体など)を混合して溶
融混練すると、添加物の分散を向上させるのに有利であ
る。
【0083】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、そ
の成型加工(特に溶融成型加工)工程において、ポリア
セタール樹脂の酸化又は熱分解などによるホルムアルデ
ヒドの生成を顕著に抑制でき、作業環境を改善できる。
また、金型への分解物などの付着(モールドデポジッ
ト)、成形品からの分解物の浸出を顕著に抑制し、ヒー
トエージング性を大幅に改善でき、成形加工時の諸問題
を改善できる。そのため、本発明の樹脂組成物は、慣用
の成形方法、例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、
ブロー成形、真空成形、発泡成形、回転成形、ガスイン
ジェクションモールディングなどの方法で、種々の成形
品を成形するのに有用である。
【0084】前記ポリアセタール樹脂組成物で構成され
た本発明のポリアセタール樹脂成形品は、アイオノマー
樹脂と特定の抑制剤とを含んでおり、ホルムアルデヒド
発生量が極めて少ない。すなわち、酸化防止剤などの安
定剤を含む従来の前記ポリアセタール樹脂で構成された
成形品は、比較的多量のホルムアルデヒドを生成し、腐
食や変色などの他、生活環境や作業環境を汚染する。例
えば、一般に市販されているポリアセタール樹脂成形品
からのホルムアルデヒド発生量は、乾式(恒温乾燥雰囲
気下)において、表面積1cm2当たり2〜5μg程度
で あり、湿式(恒温湿潤雰囲気下)において、表面積
1cm2当たり3〜6μg程度である。また、成形条件
を制御しても、乾式(恒温乾燥雰囲気下)において表面
積1cm 2当たり1.5μg以下、湿式(恒温湿潤雰囲
気下)において、表面積1cm2当たり2.5μg以下
の成形品を得ることが困難である。
【0085】これに対して、本発明のポリアセタール樹
脂成形品は、乾式において、ホルムアルデヒド発生量が
成形品の表面積1cm2当たり2.0μg以下(0〜
1.8μg)、好ましくは1.5μg以下(0〜1μg
程度)、さらに好ましくは0〜0.8μg、特に0〜
0.7μg程度であり、通常、0.01〜0.7μg程
度である。また、湿式において、ホルムアルデヒド発生
量が成形品の表面積1cm 2当たり2.5μg以下(0
〜2μg程度)、好ましくは0〜1.7μg、さらに好
ましくは0〜1.5μg程度であり、通常、0.01〜
1.5μg程度である。
【0086】本発明のポリアセタール樹脂成形品は、乾
式及び湿式のいずれか一方において、前記ホルムアルデ
ヒド発生量を有していればよく、通常、乾式及び湿式の
双方において、前記ホルムアルデヒド発生量を有してい
る。
【0087】なお、乾式でのホルムアルデヒド発生量
は、次のようにして測定できる。
【0088】ポリアセタール樹脂成形品を、必要により
切断して表面積を測定した後、その成形品の適当量(例
えば、表面積10〜50cm2となる程度)を密閉容器
(容量20ml)に入れ、温度80℃で24時間放置す
る。その後、この密閉容器中に水を5ml注入し、この
水溶液のホルマリン量をJIS K0102,29(ホ
ルムアルデヒドの項)に従って定量し、成形品の表面積
当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/cm2)を求
める。
【0089】また、湿式でのホルムアルデヒド発生量
は、次のようにして測定できる。
【0090】ポリアセタール樹脂成形品を、必要により
切断して表面積を測定した後、その成形品の適当量(例
えば、表面積10〜100cm2となる程度)を、蒸留
水50mlを含む密閉容器(容量1L)の蓋に吊下げて
密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置する。その
後、室温で1時間放置し、密閉容器中の水溶液のホルマ
リン量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒド
の項)に従って定量し、成形品の表面積当たりのホルム
アルデヒド発生量(μg/cm2)を求める。
【0091】本発明における前記ホルムアルデヒド発生
量の数値規定は、ポリアセタール樹脂、アイオノマー樹
脂、及び特定の抑制剤を含む限り、添加剤(安定剤、離
型剤など)を含有するポリアセタール樹脂組成物の成形
品についてだけでなく、無機充填剤、他のポリマーを含
有する組成物の成形品においても、その成形品の表面の
大部分(例えば、50〜100%)がポリアセタール樹
脂で構成された成形品(例えば、多色成形品や被覆成形
品など)についても適用可能である。
【0092】本発明の成形品は、ホルムアルデヒドが弊
害となるいずれの用途(例えば、自転車部品としてのノ
ブ、レバーなど)にも使用可能であるが、自動車分野や
電気・電子分野の機構部品(能動部品や受動部品な
ど)、建材・配管分野、日用品(生活)・化粧品分野、
及び医用分野(医療・治療分野)の部品・部材として好
適に使用される。
【0093】より具体的には、自動車分野の機構部品と
しては、インナーハンドル、フェーエルトランクオープ
ナー、シートベルトバックル、アシストラップ、各種ス
イッチ、ノブ、レバー、クリップなどの内装部品、メー
ターやコネクターなどの電気系統部品、オーディオ機器
やカーナビゲーション機器などの車載電気・電子部品、
ウインドウレギュレーターのキャリアープレートに代表
される金属と接触する部品、ドアロックアクチェーター
部品、ミラー部品、ワイパーモーターシステム部品、燃
料系統の部品などが例示できる。
【0094】電気・電子分野の機構部品としては、ポリ
アセタール樹脂成形品で構成され、かつ金属接点が多数
存在する機器の部品又は部材[例えば、カセットテープ
レコーダなどのオーディオ機器、VTR(ビデオテープ
レコーダー)、8mmビデオ、ビデオカメラなどのビデ
オ機器、又はコピー機、ファクシミリ、ワードプロセサ
ー、コンピューターなどのOA(オフィスオートメーシ
ョン)機器、更にはモーター、発条などの駆動力で作動
する玩具、電話機、コンピュータなどに付属するキーボ
ードなど]などが例示できる。具体的には、シャーシ
(基盤)、ギヤー、レバー、カム、プーリー、軸受けな
どが挙げられる。さらに、少なくとも一部がポリアセタ
ール樹脂成形品で構成された光及び磁気メディア部品
(例えば、金属薄膜型磁気テープカセット、磁気ディス
クカートリッジ、光磁気ディスクカートリッジなど)、
更に詳しくは、音楽用メタルテープカセット、デジタル
オーディオテープカセット、8mmビデオテープカセッ
ト、フロッピーディスクカートリッジ、ミニディスクカ
ートリッジなどにも適用可能である。光及び磁気メディ
ア部品の具体例としては、テープカセット部品(テープ
カセットの本体、リール、ハブ、ガイド、ローラー、ス
トッパー、リッドなど)、ディスクカートリッジ部品
(ディスクカートリッジの本体(ケース)、シャッタ
ー、クランピングプレートなど)などが挙げられる。
【0095】さらに、本発明のポリアセタール樹脂成形
品は、照明器具、建具、配管、コック、蛇口、トイレ周
辺機器部品などの建材・配管部品、文具、リップクリー
ム・口紅容器、洗浄器、浄水器、スプレーノズル、スプ
レー容器、エアゾール容器、一般的な容器、注射針のホ
ルダーなどの広範な生活関係部品・化粧関係部品・医用
関係部品に好適に使用される。
【0096】
【発明の効果】本発明のポリアセタール樹脂組成物は、
アイオノマー樹脂と特定の抑制剤とを含んでいるので、
ポリアセタール樹脂の熱安定性(特に成形加工時の溶融
安定性)を大幅に改善できる。また、少量の添加でホル
ムアルデヒドの発生量を極めて低レベルに抑制でき、作
業環境を大きく改善できる。さらには、過酷な条件下で
あってもホルムアルデヒドの生成を抑制でき、金型への
分解物の付着(モールドデポジット)、成形品からの分
解物の浸出や成形品の熱劣化を抑制でき、成形品の品質
や成形性を向上できる。
【0097】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0098】なお、実施例及び比較例において、乾式お
よび湿式での成形品からのホルムアルデヒドの発生量に
ついて、以下のようにして評価した。
【0099】[乾式での成形品からのホルムアルデヒド
発生量]試験片(2mm×2mm×50mm)10個(総表面積約
40cm2)の樹脂サンプルを密閉容器(容量20m
l)に入れ、温度80℃で24時間、恒温槽内で加熱し
た後、室温に空冷し、蒸留水5mlをシリンジにて注入
した。この水溶液のホルムアルデヒド量を、JIS K
0102,29.(ホルムアルデヒドの項)に従って定
量し、表面積当たりのホルムアルデヒドガス発生量(μ
g/cm2)を算出した。
【0100】[湿式での成形品からのホルムアルデヒド
発生量]平板状成形品(120mm×120mm×2mm)から4辺
を切除して得た試験片(100mm×40mm×2mm;総表面積8
5.6cm2)を、蒸留水50mlを含むポリエチレン製瓶
(容量1L)の蓋に吊下げて密閉し、恒温槽内に温度6
0℃で3時間放置した後、室温で1時間静置する。ポリ
エチレン製瓶中の水溶液のホルマリン量をJISK01
02,29.(ホルムアルデヒドの項)に従って定量
し、表面積当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/c
2)を算出した。
【0101】実施例1〜10及び比較例1〜2 ポリアセタール樹脂100重量部に、アイオノマー樹
脂、抑制剤として尿素誘導体、及び酸化防止剤を表1に
示す割合で混合した後、二軸押出機により溶融混合し、
ペレット状の組成物を調製した。さらに、射出成形機に
より、ペレット状組成物を用いて試験片を成形し、この
試験片からのホルムアルデヒド発生量を測定した。結果
を表1に示す。
【0102】比較のため、抑制剤として尿素誘導体を添
加しない例について、上記と同様にして評価した。
【0103】
【表1】
【0104】実施例11及び比較例3〜7 各種ペレット状のポリアセタール樹脂100重量部に、
アイオノマー樹脂と抑制剤とを表2に示す割合でまぶし
た。このペレット組成物を用いて、射出成形機により、
所定の成形品を成形し、成形品からのホルムアルデヒド
発生量を測定した。
【0105】比較のため、アイオノマー樹脂と抑制剤と
を添加しない例、及びアイオノマー樹脂のみを添加した
例について、上記と同様にして評価した。
【0106】実施例12〜15 ペレット状のポリアセタール樹脂100重量部[(a−
2),(a−3),(a−4)又は(a−5)]に、ア
イオノマー樹脂と尿素誘導体のアラントインとを含むマ
スターバッチペレット[(c−7),(c−8)又は
(c−9)]を表2に示す割合で添加した。このペレッ
ト組成物を用いて、射出成形機により、所定の成形品を
成形し、成形品からのホルムアルデヒド発生量を測定し
た。
【0107】実施例および比較例で使用したポリアセタ
ール樹脂、アイオノマー樹脂、抑制剤及び酸化防止剤は
以下の通りである。
【0108】1.ポリアセタール樹脂 (a−1):ポリアセタール樹脂コポリマー ポリプラスチックス(株)製,「ジュラコン」 (a−2):ポリアセタール樹脂コポリマー ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に酸化防止
剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]0.3重量部、窒素含有化合物としてメラミ
ン0.05重量部、12−ヒドロキシステアリン酸カル
シウム0.1重量部、エチレンビスステアリルアミド
0.2重量部を、二軸押出機により溶融混合してペレッ
ト状に調製した。
【0109】(a−3):ポリアセタール樹脂コポリマ
ー ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に、酸化防
止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]0.3重量部、耐候(光)安定剤とし
て2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメ
チルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール0.4重
量部及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリ
ジル)セバケート0.2重量部の二種、着色剤としてP
L−D4741Nレッド[大日精化工業(株)製]0.
5重量部、窒素含有化合物としてメラミン0.03重量
部、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム0.1重
量部、ポリオキシエチレンモノステアレート(分子量約
4,000)0.5重量部を、二軸押出機により溶融混
合してペレット状に調製した。
【0110】(a−4):ポリアセタール樹脂コポリマ
ー ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に、酸化防
止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]0.3重量部、耐候(光)安定剤とし
て2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメ
チルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール0.4重
量部及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリ
ジル)セバケート0.2重量部の二種、着色剤としてP
L−D7A123Nダークブルー[大日精化工業(株)
製]0.5重量部、窒素含有化合物としてメラミン0.
03重量部、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
0.1重量部、ポリオキシエチレンモノステアレート
(分子量約4,000)0.5重量部を、二軸押出機に
より溶融混合してペレット状に調製した。
【0111】(a−5):ポリアセタール樹脂コポリマ
ー ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に、酸化防
止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート]0.3重量部、耐候(光)安定剤とし
て2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメ
チルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール0.4重
量部及びビス(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリ
ジル)セバケート0.2重量部の二種、着色剤としてア
セチレンブラック1.0重量部、窒素含有化合物として
メラミン0.03重量部、12−ヒドロキシステアリン
酸カルシウム0.1重量部、ポリオキシエチレンモノス
テアレート(分子量約4,000)0.5重量部を、二
軸押出機により溶融混合してペレット状に調製した。
【0112】2.アイオノマー樹脂 (b−1):エチレン−メタクリル酸共重合体の亜鉛ア
イオノマー メタクリル酸変性率:15重量% 中和度 :23% (b−2):エチレン−メタクリル酸共重合体の亜鉛ア
イオノマー メタクリル酸変性率:15重量% 中和度 :50% (b−3):エチレン−アクリル酸共重合体のカルシウ
ムアイオノマー アクリル酸変性率 :5重量% 中和度 :50% (b−4):エチレン−メタクリル酸共重合体のマグネ
シウムアイオノマー メタクリル酸変性率:15重量% 中和度 :50% (b−5):エチレン−メタクリル酸共重合体のナトリ
ウムアイオノマー メタクリル酸変性率:15重量% 中和度 :30% 3.抑制剤 (c−1):アラントイン 川研ファインケミカル(株)製 (c−2):アラントインジヒドロキシアルミニウム 川研ファインケミカル(株)製,「ALDA」 (c−3):CDU(2−オキソ−4−メチル−6−ウ
レイドヘキサハイドロピリミジン) チッソ旭肥料(株)製 (c−4):ホルム窒素 2モル粉 三井化学(株)製 (c−5):クレアチニン (c−6):ビウレア (c−7):ポリアセタール樹脂(a−1)、0.3重
量%の酸化防止剤(d−1)、10重量%のアラントイ
ン(c−1)、10重量%のアイオノマー樹脂(b−
1)とを混合し、二軸押出機により溶融混合してペレッ
ト状に調製したマスターバッチペレット。
【0113】(c−8):ポリアセタール樹脂(a−
1)、0.3重量%の酸化防止剤(d−1)、10重量
%のアラントイン(c−1)、10重量%のアイオノマ
ー樹脂(b−1)、30重量%のベンゾグアナミンとを
混合し、二軸押出機により溶融混合してペレット状に調
製したマスターバッチペレット。
【0114】(c−9):ポリアセタール樹脂(a−
1)、0.3重量%の酸化防止剤(d−1)、10重量
%のアラントイン(c−1)、10重量%のアイオノマ
ー樹脂(b−1)、30重量%のCTUグアナミンとを
混合し、二軸押出機により溶融混合してペレット状に調
製したマスターバッチペレット。
【0115】4.酸化防止剤 (d−1):ペンタエリスリトールテトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート] (d−2):トリエチレングリコールビス[3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]
【0116】
【表2】
【0117】表より明らかなように、比較例に比べて、
実施例の樹脂組成物は、ホルムアルデヒドの発生量が極
めて小さいため、作業環境を大きく改善できるととも
に、成形品の品質及び成形性を向上できる。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアセタール樹脂と、アイオノマー樹
    脂と、尿素又はその誘導体及びアミジン誘導体から選択
    された少なくとも一種の抑制剤とで構成されているポリ
    アセタール樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アイオノマー樹脂が、エチレン−(メ
    タ)アクリル酸共重合体で構成される請求項1記載のポ
    リアセタール樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 アイオノマー樹脂の金属が、アルカリ金
    属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表3B族金属
    から選択された少なくとも一種である請求項1記載のポ
    リアセタール樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 アイオノマー樹脂の金属が、リチウム、
    ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バ
    リウム、亜鉛及びアルミニウムから選択された少なくと
    も一種である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 尿素誘導体が、モノN−置換尿素又は尿
    素縮合体である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 尿素誘導体が、ビウレット、ビウレア、
    及び尿素とホルムアルデヒドとの縮合体からなる群より
    選択された少なくとも一種である請求項1記載のポリア
    セタール樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 尿素誘導体が、尿素とC1-6アルデヒド
    との縮合体である請求項1記載のポリアセタール樹脂組
    成物。
  8. 【請求項8】 尿素誘導体が、モノウレイド、又はジウ
    レイドである請求項1記載のポリアセタール樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 尿素誘導体が、非環状ウレイド又は環状
    ウレイドである請求項1記載のポリアセタール樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】 尿素誘導体が、ジカルボン酸のウレイ
    ド、α−オキシ酸のウレイド、β−アルデヒド酸のウレ
    イド、ウレイド酸、アラントイン及びその誘導体からな
    る群より選択される少なくとも1種である請求項1記載
    のポリアセタール樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 尿素誘導体が、モノ又はジウレイドと
    金属との塩である請求項1記載のポリアセタール樹脂組
    成物。
  12. 【請求項12】 尿素誘導体が、モノ又はジウレイド
    と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表1B族金
    属、周期表2B族金属、周期表3B族金属、周期表4B
    族金属、及び周期表8族金属からなる群より選択される
    少なくとも1種の金属との塩である請求項11記載のポ
    リアセタール樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 尿素誘導体が、アラントイン又はアラ
    ントインと金属との塩である請求項1記載のポリアセタ
    ール樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 尿素誘導体が、アラントインジヒドロ
    キシアルミニウムである請求項1記載のポリアセタール
    樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 アミジン誘導体が、5員環の窒素含有
    化合物である請求項1記載のポリアセタール樹脂組成
    物。
  16. 【請求項16】 アミジン誘導体が、クレアチニン又は
    その誘導体である請求項1記載のポリアセタール樹脂組
    成物。
  17. 【請求項17】 ポリアセタール樹脂100重量部に対
    して、アイオノマー樹脂0.0001〜2重量部、抑制
    剤0.01〜10重量部を含む請求項1記載のポリアセ
    タール樹脂組成物。
  18. 【請求項18】 さらに、酸化防止剤、アルカリ又はア
    ルカリ土類金属化合物、安定剤及び着色剤から選択され
    た少なくとも一種を含む請求項1記載のポリアセタール
    樹脂組成物。
  19. 【請求項19】 さらに、窒素含有化合物を含む請求項
    1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  20. 【請求項20】 成形品について、温度80℃で24時
    間密閉空間で保存した時、発生ホルムアルデヒド量が成
    形品の表面積1cm2当たり2.0μg以下である請求
    項1記載のポリアセタール樹脂組成物。
  21. 【請求項21】 ポリアセタール樹脂と、アイオノマー
    樹脂と、請求項1記載の抑制剤とを混合するポリアセタ
    ール樹脂組成物の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1記載のポリアセタール樹脂組
    成物で構成されたポリアセタール樹脂成形品。
  23. 【請求項23】 温度80℃で24時間密閉空間で保存
    した時、発生ホルムアルデヒド量が成形品の表面積1c
    2当たり2.0μg以下である請求項22記載のポリ
    アセタール樹脂成形品。
  24. 【請求項24】 成形品が、自動車部品、電気・電子部
    品、建材・配管部品、生活・化粧品用部品及び医用部品
    から選択される少なくとも一種である請求項22記載の
    ポリアセタール樹脂成形品。
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