JP2000239172A - 重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法 - Google Patents

重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法

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JP2000239172A
JP2000239172A JP11307628A JP30762899A JP2000239172A JP 2000239172 A JP2000239172 A JP 2000239172A JP 11307628 A JP11307628 A JP 11307628A JP 30762899 A JP30762899 A JP 30762899A JP 2000239172 A JP2000239172 A JP 2000239172A
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gas
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Junji Kaga
順二 加賀
Nobuaki Sumiyoshi
信昭 住吉
Tatsuya Tanaka
達也 田中
Takayuki Denpo
孝之 傳寶
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Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所要量の重炭酸塩を効率的にバラツキなく含有
せしめる重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法を提供する。 【解決手段】重炭酸塩含有薬液製剤の製造工程中、調製
タンク内の薬液が薬液容器に充填されるために減少する
調製タンク内において、残存薬液中の炭酸と調製タンク
空間部における炭酸ガスとが平衡関係を維持するように
炭酸ガス含有気体を調製タンク空間部に導入し、かつこ
の間はタンク内の薬液を容器に連続的に充填しつつ前記
炭酸ガス含有気体を調製タンク内に連続的に導入するこ
とを特徴とする重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は重炭酸塩含有薬液製
剤の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は重炭
酸塩を薬液中に有効に含有せしめ、その有効量が使用時
まで安定に維持された重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】重炭酸塩(炭酸水素塩)は、安全性が高
いことから、主剤(アルカリ剤、アシドシス治療剤)の
他、安定化剤、品質改良剤、可溶化剤、緩衝剤、矯味
剤、等張化剤、pH調整剤、無痛化剤、溶解剤あるいは
溶解補助剤などの種々の目的で薬液製剤に添加されてい
る。このような機能を果たすためには、重炭酸塩の所要
量が薬液中に有効に添加されること、薬液製剤中の重炭
酸塩が使用時まで安定に維持されることが必要である。
ところが、重炭酸塩は弱酸性〜中性域(pH4〜8)の
溶液中において重炭酸イオンと炭酸(溶解状態の二酸化
炭素)の平衡状態にあり、二酸化炭素(炭酸ガス)が液
外に放出されやすく、その所要量を薬液製剤の製造工程
中あるいは薬液製剤中に適切に含有せしめようとすると
困難を伴うことが多い。従来、重炭酸塩を含む薬剤の製
造法としては、圧力反応容器中に重炭酸塩配合物を入れ
密閉環境中の二酸化炭素と薬液中の炭酸の間で希望の平
衡状態に達するに十分な二酸化炭素ガスを充填し、平衡
状態になるまで混合後、保管用容器に移し替える方法が
知られている(日本特許第2662586号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の重炭酸塩含有製
剤の製造法では、圧力反応容器中に重炭酸塩含有物を入
れ二酸化炭素ガスを使って加圧しその後混合して平衡状
態を得ており、製造の初期段階において二酸化炭素ガス
を使っているのが特徴である。この方法では、その後の
工程において二酸化炭素ガスと薬液中の炭酸との平衡状
態を維持するには困難が多いと考えられる。具体的に
は、薬液の充填工程において大容量のタンク(例えば容
積5〜30トン)を用いる場合、薬液が少なくなればな
るほど薬液のpHは上昇するという問題がある。これ
は、タンク空間部の炭酸ガスと薬液中の炭酸とが平衡状
態に移行しようとするために、薬液中の炭酸ガスがタン
ク空間部に放出されるからである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは上
記の課題を解決するために、重炭酸塩含有薬液の製造工
程において密閉系内に炭酸ガスを導入する時期と方法に
ついて種々検討を重ねた結果、本発明を完成したもので
ある。すなわち、本発明は、1)重炭酸塩含有薬液製剤
の製造工程中、調製タンク内の薬液が薬液容器に充填さ
れるために減少する調製タンク内において、残存薬液中
の炭酸と調製タンク空間部における炭酸ガスとが平衡関
係を維持するように炭酸ガス含有気体を調製タンク空間
部に導入し、かつ前記調製タンク内の薬液を薬液容器に
連続的に充填しつつ前記炭酸ガス含有気体を調製タンク
内に連続的に導入することを特徴とする重炭酸塩含有薬
液製剤の製造方法、に関する。本願発明は上記1)項の
発明に加えて、さらに次のような実施態様を包含する。
【0005】2)前記調製タンク内の薬液の調製工程後
でかつ充填工程前に、薬液中の炭酸と該タンク空間部の
炭酸ガスが平衡となるように薬液を攪拌することを特徴
とする上記1)項記載の製造方法。 3)重炭酸塩含有薬液を気密容器に充填後、さらにガス
バリヤー性容器に収容することを特徴とする上記1)項
記載の製造方法。 4)重炭酸塩含有薬液が充填された気密容器をガスバリ
ヤー性容器に収容し、該ガスバリヤー容器内を空気で満
たすことを特徴とする上記3)項記載の製造方法。
【0006】5)重炭酸塩含有薬液が充填された気密容
器をガスバリヤー性容器に収容し、該ガスバリヤー容器
内を炭酸ガス含有気体で満たすことを特徴とする上記
3)項記載の製造方法。 6)重炭酸塩含有薬液が、解毒剤、人工腎臓透析液、腹
膜透析液、輸液、根幹管拡大剤(歯科用)、人工髄液、
眼内灌流液、心臓灌流液、心筋保護液、腹腔洗浄液およ
び臓器保存液の群から選択されるものであることを特徴
とする上記1)〜5)のいずれかに記載の製造方法。
【0007】本発明の特徴は、上記のように、調製タン
クにおいて重炭酸塩と他の薬剤原料とを配合し、その調
製物を他の薬液容器に充填する工程において、調製タン
クから薬液量が減少していく間も残存薬液(すなわち充
填されていく薬液)中の炭酸と空間部の炭酸ガスを所望
の平衡関係に保つことにある。このように、本発明では
充填工程という最終工程に近い場面で炭酸ガスが使用さ
れるので、従来法に比べて最終製品中における重炭酸塩
所要量を制御し易く実用上バラツキのない製剤が得られ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の重炭酸塩含有薬液(以
下、単に「薬液」と略称することもある)の製造方法
は、重炭酸塩を前述したような機能を目的に、薬剤成分
として含有する薬剤の製造に際し、特に限定されること
なく適用できる。この重炭酸塩含有薬液の具体例として
は、解毒剤、人工腎臓透析液、腹膜透析液、輸液、根幹
管拡大剤(歯科用)、人工髄液、眼内灌流液、心臓灌流
液、心筋保護液、腹腔洗浄液または臓器保存液など前記
のものが挙げられる。
【0009】本発明の製造方法において、重炭酸塩(炭
酸水素塩)とは、炭酸(H2CO3)の2個の水素原子の
うち1個が金属イオンまたはアンモニウムイオンで置換
されて生ずる塩であって薬理学的に許容し得るものをい
うが、かかる重炭酸塩を生成し得る反応系を製造工程中
に含む場合も包含する。例えば、重炭酸塩としては、
式:M1HCO3(式中、M1は1価の金属イオンまたは
アンモニウムイオンを表す)または式:M2(HCO3
2(式中、M2は2価の金属イオンを表す)で示される化
合物であって、薬理学的に許容し得るものが挙げられ
る。その具体例としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水
素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素マグネシウムなどが挙げられる。また、重
炭酸塩を生成し得る反応系としては、炭酸塩(式;M1
2CO3)を原料とし、製造工程において酸(例、塩
酸、炭酸、リン酸、硫酸などの無機酸、あるいは酢酸な
どの有機酸)と反応し重炭酸塩となる場合や、炭酸
(式;H2CO3)や二酸化炭素(式;CO2)を原料と
し、製造工程においてアルカリ(例、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム)と反応して重炭酸塩となる場合な
どが挙げられる。
【0010】本発明の製造方法において、薬液の成分の
決定やそれを配合するまでの薬液調製工程は適用対象で
ある薬液の処方や配合方法を基本とし、調製タンク内に
必要な原料と共に所要量の重炭酸塩を仕込み、液(例え
ば、注射用水、蒸留水、常水など)に溶解することによ
って常法どおり実施すればよい。この薬液配合工程後、
調製タンク内は薬液層とその上の空間部(ヘッドスペー
ス)とから構成されることになる。ここで、薬液中の重
炭酸塩は解離を起こして二酸化炭素を発生しその一部が
空間部に移行する。すなわち、炭酸水素ナトリウムを例
にとると、密閉系では次の平衡関係が成り立つ。
【0011】
【化1】
【0012】上式中、の平衡は薬液pHにより規定さ
れ、の平衡は二酸化炭素の溶解度係数により規定され
る。ここで発生する炭酸ガスが系外に除去されていく
と、薬液中のpH等が変動するので炭酸と空間部の炭酸
ガスを所定の平衡関係に制御する必要がある。本発明
は、薬液調製工程の後、次の充填工程中において密閉系
の調製タンクの空間部に炭酸ガス含有気体を導入するこ
とにより平衡関係を制御するものである。すなわち調製
工程後、調製タンク内の薬液中の炭酸と空間部の炭酸ガ
スとの間に平衡関係が成り立つように薬液を攪拌する。
このために要する攪拌時間は、調製タンクの構造、攪拌
方法あるいは原料仕込み量等によっても異なるが、通常
は原料の仕込みを完了した後約1〜2時間程度である。
この攪拌により、密閉タンク中において、薬液中の炭酸
と空間部の炭酸ガスの間に平衡関係が得られるが、この
平衡関係の成立は薬液のpHが一定範囲に到達すること
により検知できる。すなわち、薬液から空間部へ炭酸ガ
スが移行する分だけpHが上昇し平衡になると一定範囲
に維持される。
【0013】次いで、調製タンク中の重炭酸塩含有溶液
を所定量ずつ薬液容器に充填(分注)する。この薬液の
充填作業が進むにつれてタンク内の薬液量が減少しその
分だけタンクの空気部が増加することになるから、通常
の場合そのまま充填作業を続けると初期の平衡関係が成
り立たなくなり薬液のpHも次第に上昇することにな
る。本発明では、この充填工程中、残存する薬液中の炭
酸と空間部の炭酸ガスとの平衡関係が維持されるように
炭酸ガス含有気体をタンク内に導入することにより常に
一定のpHを有する重炭酸塩含有薬液が充填される。
【0014】ここでいう炭酸ガス含有気体は、炭酸ガス
単独であってもよいが、通常は他の気体例えば空気や窒
素ガス等との混合気体として導入する方が作業上好まし
く、とりわけ平衡関係を制御する面からは有利である。
この混合気体中の炭酸ガスの濃度は、そのときの平衡関
係の条件を考慮して適宜決定すればよいが、例えば空気
との混合気体の場合では炭酸ガス濃度1〜50%程度の
範囲から選択される。その選択方法の一例を後述の実験
例1に示す。
【0015】薬液の充填方法はそれ自体公知の方法を採
用できる。また、調製タンクから容器に充填される間に
濾過等の精製工程を必要により設けてもよい。本発明に
おいて、薬液の充填工程と炭酸ガス含有気体の導入は連
続的に実施し、この間は動的に平衡関係を維持すると、
薬液の品質のバラツキがより抑えられまた作業効率の上
においても有利である。薬液が充填される容器は、保管
用容器であればよいが通常は使用時の便宜上から気密性
の単位包装体に充填されるが、その形態や材質は対象薬
液の使用目的や流通ルート等に応じて適宜選択すればよ
い。例えば、ガラス製、金属製(例、アルミ、ステンレ
ス製)、プラスチック製容器など特に限定されない。こ
こで、プラスチック製容器としては、PE製、PP製、
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)製、ポリ塩化ビ
ニル製(PVC),環状ポリオレフィン(COC)製の
ものや、これらを適当な比率で配合あるいはラミネート
したものが例示できる。
【0016】本発明において、重炭酸塩含有薬液が充填
された気密容器をガスバリヤー性容器に収容してもよ
い。この容器としては、PET,PEN,PVA,EV
OH,PVDC,ナイロン等の材質のものや、これらの
表面に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物を蒸着
させたものや、これらの各種材質で構成された多層フィ
ルム(ラミネートフィルム)からなるものが例示でき
る。さらに所期の平衡関係をより安全に長期間にわたり
維持するために、該ガスバリヤー性容器内を炭酸ガス含
有気体で満たしておくことが有効な手段となり得る。ま
た、薬液が充填される容器として、炭酸ガス透過性の材
質を選択しなければならないときは、上記のようにガス
バリヤー性容器内に炭酸ガス含有気体を適切に封入する
ことにより薬液中の炭酸ガス濃度を使用時に必要な濃度
に調整または維持することが可能である。
【0017】炭酸ガス含有気体中の炭酸ガスの濃度は、
実施場面に応じて適宜に決定すればよいが、例えば空気
との混合気体の場合では、一般には炭酸ガス1〜50%
と空気99%〜50%の割合、好ましくは炭酸ガス3〜
15%と空気85〜97%の割合の混合気体を用いるこ
とができる。また、本発明においては、炭酸ガスを用い
ずに単に空気だけをガスバリヤー性容器内に封入するこ
とによって薬液のpHを上昇させる場合も包含する。
【0018】
【実施例】以下に実験例と共に実施例を挙げて本発明を
より具体的に説明する。本発明において、充填工程時の
タンク空間部の炭酸ガス濃度は、以下の実験例1により
求めることができる。 実験例1 後述の実施例1におけると同一の組成の重炭酸塩含有薬
液を調製し、塩酸により種々のpHに調整した。
【0019】上記の調製タンク内で原料を溶解し、1時
間攪拌した後、その調製薬液を120ml容バイアル各
3個に67.3mlずつ充填し封入した。なお、この時
のバイアルの容積と充填する薬液の容量は、実生産にお
ける調製タンクの容積および調製薬液量に比例させてス
ケールダウンしたものである。次いで、密閉状態で攪拌
し1日間放置した。このときの初発pH(塩酸で調整
時),平衡時の炭酸ガス濃度および平衡時のpHとの関
係は次の表1に示すとおりであった。
【0020】
【表1】
【0021】上記の結果から、薬液量及び容器空間部の
体積を一定に保ち、薬液の初発pHを種々に調整するこ
とにより平衡状態における所望のpHを設定することが
できる。 実験例2 後述の実施例1におけると同一組成の重炭酸塩含有薬液
を、初発pHが7.6となるように調整した。
【0022】 薬液調製タンク :306L容 調製薬液量 :118L 初発pH :7.6(1mol/L塩酸、141mlで調整) 上記の調製工程において、調製タンク内の空間部を密閉
状態下、薬液を約2時間攪拌し、調製薬液とタンク空間
部の間で炭酸−炭酸ガスの平衡化を行った。このとき、
調製薬液のpHは調製後1時間まで上昇したものの、そ
の後(調製後1〜2時間)、pH8.0で一定となっ
た。
【0023】続いて充填工程に移り、調製タンク内の空
間部を通常の空気により0.2kg/cm2で加圧しなが
ら、調製薬液約58Lを直ちに(調製後2時間目に)、
次いでその3時間後に(調製後5時間目に)約30Lを
別の容器に充填した。タンク内の調製薬液が約30Lと
なったところで充填を停止し、調製後24時間まで経時
的に調製薬液のpHを測定した。このときの調製開始か
ら24時間までのpH変化を図1に示す。
【0024】この結果から明らかなように、調製工程に
おいて密閉タンク内で炭酸−炭酸ガス平衡化により調製
薬液pHは一定になるものの、充填工程で単に空気を導
入すると薬液pHは時間とともに上昇し、24時間後に
はpH8.8に達した。 実施例1 重炭酸塩含有薬液(眼灌流・洗浄液)を調製するため
に、次の表2に示す各原料を306L容タンクに取り、
注射用水に溶解した。
【0025】
【表2】
【0026】次いで、密閉下、タンク中の薬液をパドル
式攪拌機により2時間攪拌した。この間、攪拌開始後1
時間までは薬液pHは上昇したが、その後調製薬液中の
炭酸とタンク空間部の炭酸ガス(薬液より放出)の間で
平衡に達し、pHは8.0〜8.1で一定となった。続
いて充填工程に移り、調製タンク内の空間部を2.4%
炭酸ガス含有の空気により0.2kg/cm2で加圧しな
がら調製薬液約66Lを直ちに(調製後2時間目に)、次
いでその5時間後に(調製後7時間目に)約70Lをポリ
エチレン製容器に充填(分注)した。
【0027】タンク内の調製薬液が約30Lとなったと
ころで充填作業を停止し、調製後24時間まで調製薬液p
Hを測定した。このときのpH変化を図2に示す。実験
例2の場合とは明らかに異なり、調製工程において炭酸
―炭酸ガスの平衡化により一定となった調製薬液pH
は、充填工程の進行によっても上昇はなく、24時間後に
おいてもpH8.1と、調製直後と変わりのない一定し
た値を示した。
【0028】なお、充填工程においては、調製薬液はポ
リエチレン製容器(350mL容、炭酸ガス透過性)に
分注・封入した。充填後、薬液含有容器を熱水シャワー
で加熱滅菌処理を行った。この滅菌工程後、薬液pHは
8.5に上昇したが、容器個々でのpHのバラツキはな
く、この薬液含有容器をガスバリヤー性容器に収容し、
その空間部に約350mlの10%炭酸ガス含有空気を
封入した。この包装状態で、容器を3日間放置した後、
内部の薬液のpHを測定したところ、目的のpHである
7.8を示し、以後長期の保存中もこのpHが維持され
た。このようにして本発明の製造法で得られた重炭酸塩
含有薬液(眼内灌流・洗浄液)は、この包装状態で目的
のpHを維持しながら使用時まで保管することができ
た。
【0029】実施例2 下記の表3に示す各成分を20トン容タンクに取り、注
射用水に溶解して11800Lの炭酸水素ナトリウム含
有溶液を調製した。
【0030】
【表3】
【0031】その後、密閉状態で90分間攪拌し、炭酸
ガスについて気液平衡を達成した。この時のタンク内の
圧力は、0.2Kg/cm2であった。次に、この圧力
を維持するように炭酸ガス濃度2.5%の炭酸ガスと空
気の混合ガスをタンク内に導入しながら炭酸水素ナトリ
ウム含有薬液をプラスチック製バッグに充填した。この
時のタンク内における薬液残存量と薬液のpHとの関係
を図3に示す。 実施例3 A室(主剤溶液用)およびB室(希釈溶液用)の連通可
能な2室からなり用時に混合される眼灌流・洗浄用薬液
を調製した。A室用薬液の組成を表4に、B室用薬液の
組成を表5にそれぞれ示した。
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】ポリエチレン製の連通可能な隔壁を有する
AおよびBの2室からなるプラスチックバッグ(厚み:
約260μm)の各室にそれぞれ上記の各薬液を充填閉
塞した後、熱水シャワーによって滅菌した(上記B室の
希釈溶液は実施例1の方法に従って調製した)。この滅
菌後におけるB室薬液のpHは、8.5であった。次い
で、この薬液充填プラスチックバッグをシリカ蒸着フィ
ルムで包装後、空間容量350mlを炭酸ガス10%と
空気90%との混合ガスで満たして、用時混合用眼灌流
・洗浄用薬液を調製した。この包装体の薬液を3日間放
置し、pHを測定したところ、A室薬液のpHは4.5
3±0.01を、B室薬液のpHは7.77±0.01
をそれぞれ示し、両薬液を混合した薬液のpHは7.6
0±0.01となり使用目的のpHを示した(いずれの
pH値も3サンプルの平均値±標準誤差を示す)。これ
らの各pHは、一定したpHが長期間保存後も維持され
た。
【0035】実施例4 タンク容積30Lの気密性タンクに実施例1と同組成の
薬液(塩酸でpHを7.0に調整)を20L調製した。
この調製液を2時間混合攪拌の後、薬液pHは7.20
となり、空間部気体の炭酸ガス濃度は8.1%であっ
た。次に、混合攪拌を停止し、炭酸ガス濃度8.0%の
炭酸ガスと空気の混合ガスを空間部に供給した。その
後、タンク内の薬液残量が約2Lとなるまで、薬液を充
填容器(ポリエチレン製、ガス透過性、充填量350m
L)に分注充填したが、この間は充填のためにタンク内
から減少した薬液量と同体積の上記炭酸ガスと空気の混
合ガスをタンク内の圧力が一定となるようにタンク内に
導入した。
【0036】上記のとおり、薬液が充填された容器を、
速やかにガス不透過性フィルム(シリカ蒸着ボブロンフ
ィルム)で二次包装を行ったが、この時の空間部容量は
450mLで気体は空気とした。この二次包装された薬
液充填容器を2週間平衡化させたところ、平衡化後のp
Hは7.50〜7.60の範囲内にあり、所望した薬液
pHを得ることができた。
【0037】
【発明の効果】本発明の製造方法によると、所定量の重
炭酸塩を薬液中に効率的に含有せしめることができしか
も製造上のバラツキが抑えられているから、重炭酸塩含
有薬液製剤の工業的製造法として極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例2において、炭酸水素ナトリウム含有薬
液を含む調製タンクの空間部に空気(炭酸ガスを混合せ
ず)を導入したときのpH変化を示す。
【図2】実施例1において、炭酸水素ナトリウム含有薬
液を含む調製タンクの空間部を2.4%炭酸ガス含有空
気により加圧しながら該薬液を容器に充填したときの調
製薬液のpH変化を示す。
【図3】実施例2において、炭酸ガスと空気の混合ガス
をタンク内に導入しながら炭酸水素ナトリウム含有液を
プラスチック製バッグに充填したときのタンク内の薬液
残存量と薬液のpHとの関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 傳寶 孝之 徳島県鳴門市撫養町北浜字宮ノ東171 Fターム(参考) 4C076 AA11 BB11 CC10 DD22 DD23 DD25 DD30 DD41 DD43 DD67 FF70 GG45 4C086 AA01 HA02 HA16 MA01 MA04 NA03 ZA51 ZC37 4H011 BB18 BC06 CA01 CA02 CB05 CC01 CD02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重炭酸塩含有薬液製剤の製造工程中、調製
    タンク内の薬液が薬液容器に充填されるために減少する
    調製タンク内において、残存薬液中の炭酸と調製タンク
    空間部における炭酸ガスとが平衡関係を維持するように
    炭酸ガス含有気体を調製タンク空間部に導入し、かつ前
    記調製タンク内の薬液を薬液容器に連続的に充填しつつ
    前記炭酸ガス含有気体を調製タンク内に連続的に導入す
    ることを特徴とする重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法。
  2. 【請求項2】前記調製タンク内の薬液の調製工程後でか
    つ充填工程前に、薬液中の炭酸と該タンク空間部の炭酸
    ガスが平衡となるように薬液を攪拌することを特徴とす
    る請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】重炭酸塩含有薬液を気密容器に充填後、さ
    らにガスバリヤー性容器に収容することを特徴とする請
    求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】重炭酸塩含有薬液が充填された気密容器を
    ガスバリヤー性容器に収容し、該ガスバリヤー性容器内
    を空気で満たすことを特徴とする請求項3記載の製造方
    法。
  5. 【請求項5】重炭酸塩含有薬液が充填された気密容器を
    ガスバリヤー性容器に収容し、該ガスバリヤー性容器内
    を炭酸ガス含有気体で満たすことを特徴とする請求項3
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】重炭酸塩含有薬液が、解毒剤、人工腎臓透
    析液、腹膜透析液、輸液、根幹管拡大剤(歯科用)、人
    工髄液、眼内灌流液、心臓灌流液、心筋保護液、腹腔洗
    浄液および臓器保存液の群から選択されるものであるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法。
JP11307628A 1998-12-25 1999-10-28 重炭酸塩含有薬液製剤の製造方法 Pending JP2000239172A (ja)

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