JP2000233920A - 結晶性アルミノケイ酸塩及び炭化水素油の流動接触分解触媒 - Google Patents
結晶性アルミノケイ酸塩及び炭化水素油の流動接触分解触媒Info
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Abstract
油に相当するLCO留分の収率を向上し得る流動接触分
解触媒と、この触媒を製造するのに適した結晶性アルミ
ノケイ酸塩を提供する。 【解決手段】 結晶性アルミノケイ酸塩は、実質的にケ
イ素、アルミニウム、アルカリ金属、酸素、水素で構成
され、(A)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを
有し、(B)単位格子寸法が24.55Å以下、(C)
アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.1〜5.0質量
%、(D)29Si−MASNMRスペクトルにおい
て、全ピーク面積の合計に対するSi(2Al)ピーク
のガウス関数解析での面積比が10%以上、である。炭
化水素油の流動接触分解触媒は、上記の結晶性アルミノ
ケイ酸塩と無機マトリックスとの混合物を含んでなる。
Description
法と29Si−MASNMRスペクトルにおいて特徴的
なピークを示す結晶性アルミノケイ酸塩と、これを用い
た炭化水素油の流動接触分解触媒に関する。
い接触分解ガソリンや灯・軽油に相当するLCO留分を
収率よく製造することは重要な課題であり、そのため
に、原油の常圧蒸留あるいは減圧蒸留で得られる軽油留
分や常圧蒸留残油及び減圧蒸留残油を、XもしくはYゼ
オライトあるいはUSYゼオライト(超安定Yゼオライ
ト)のような安定化ゼオライトを主たる活性成分とし、
これと無機酸化物マトリックス成分とを混合して得られ
る触媒を用いて接触分解する方法が採用されている。
くの技術が提案されており、例えば安定化Yゼオライト
に関しては、米国特許第3,293,192号、第3,
402,996号に開示されている。しかし、安定化Y
ゼオライトを含有する触媒を用いて炭化水素油の接触分
解を行う場合、LCO留分の収率が低くなる。この問題
を解決するために、マトリックスにシリカ−アルミナ、
γ−アルミナ等を使用することでマトリックスにも活性
を持たせる技術も提案されているが、この方法では、好
ましくない生成物である水素及びコークの生成量が増加
する。
制しつつ、灯・軽油に相当するLCO留分の収率を向上
し得る流動接触分解触媒と、この触媒を製造するのに適
した結晶性アルミノケイ酸塩を提供することを目的とす
る。
晶性アルミノケイ酸塩は、実質的にケイ素、アルミニウ
ム、アルカリ金属、酸素、水素で構成される結晶性アル
ミノケイ酸塩であって、(A)Yゼオライトの主要なX
線回折パターンを有し、(B)単位格子寸法が24.5
5Å以下、(C)アルカリ金属含有量が酸化物換算で
0.1〜5.0質量%、(D)29Si−MASNMR
スペクトルにおいて、全ピーク面積の合計に対するSi
(2Al)ピークのガウス関数解析での面積比が10%
以上であることを特徴とする。また、本発明の炭化水素
油の流動接触分解触媒は、この結晶性アルミノケイ酸塩
と無機マトリックスとの混合物を含んでなることを特徴
とし、この触媒は、希土類金属、アルカリ土類金属から
なる群から選ばれる少なくとも1種を、この触媒基準
で、酸化物として0.01〜10質量%含有してなるこ
とが好ましい。
の特性を有し、(A)のYゼオライトの主要なX線回折
パターンは、代表例として表1のような値を有する。す
なわち、最も強い強度が実測された格子面間隔(d)は
14.1±0.2Å、5.61±0.1Å、3.72±
0.1Åである。
下であり、好ましくは約24.50〜24.35Åであ
る。単位格子寸法の測定は、ASTM D−3942/
85に準拠して行い、X線回折のピークを用いて計算す
ることができる。この値が大きすぎると、結晶性アルミ
ノケイ酸塩の水熱安定性が低くなり、炭化水素油の流動
接触分解触媒に使用した場合に、分解活性の低下を招
く。
で約0.1〜5.0質量%、好ましくは約0.1〜3.
0質量%あるいは約0.2〜5.0質量%、より好まし
くは約0.2〜3.0質量%である。アルカリ金属含有
量が多すぎると、炭化水素油の流動接触分解触媒に使用
した場合に、分解活性が低下するばかりか、原料油、特
に重質原料油中に多量に含まれるニッケル、バナジウム
等の付着による活性劣化を引き起こし易くなる。逆に、
アルカリ金属の含有量が少なすぎると、結晶性アルミノ
ケイ酸塩の水熱安定性が低下するため、炭化水素油の流
動接触分解触媒に使用した場合に、活性劣化を引き起こ
し易くなる。これは、アルカリ金属が一定量存在する
と、熱処理の際に脱アルミが進み難くなり、安定したゼ
オライトが得られることにあると推測される。
Angle Spinning)NMRスペクトルにお
ける全ピーク面積の合計に対するSi(2Al)ピーク
の面積比(以下、単に「ピーク面積比」あるいは「面積
比」と記すこともある)は、ガウス関数解析で10%以
上である。このピーク面積比が10%未満の結晶性アル
ミノケイ酸塩を炭化水素油の流動接触分解触媒に用いる
と、好ましい生成物であるガソリン及びLCO留分の収
率が低下する。詳細な理由は明らかではないが、結晶性
アルミノケイ酸塩中のAlの分布と、これに伴う酸点の
分布が不適当になり、所望の活性及び選択性が得られな
くなるためと考えられる。
れるYゼオライトは、29Si−MASNMRスペクト
ルにおいて、一般には次の4つのピークを示す。 (1)Si(0Al):酸素を介してAlと全く結合し
ていないSiのピーク・・・・約−107ppm (2)Si(1Al):酸素を介して1個のAlと結合
しているSiのピーク・・・・約−102ppm (3)Si(2Al):酸素を介して2個のAlと結合
しているSiのピーク・・・・約−95ppm (4)Si(3Al):酸素を介して3個のAlと結合
しているSiのピーク・・・・約−90ppm
にして求めることができる。先ず、29Si−MASN
MRスペクトルのベースラインを補正する。次いで、各
ピークを、4個のガウス関数に分離する。このとき、4
個のガウス関数の総和が元スペクトルにできるだけ近く
なるように、関数の値を変化させる。変化させる方法
は、非線形最小2乗法に基づく。この分離で得られる4
個のガウス関数の各々の面積強度を計算する。ガウス関
数の面積強度は、関数の半値幅とピーク高さより、下記
の式で求めることができる。 S=(wI2/2)・(π/log2)1/2 S:面積強度 w:半値幅 I:ピーク高さ この計算で得られるSi(2Al)ピークの面積強度
と、4個のピークの面積強度の総和との比率を計算する
ことで、ピーク面積比を求められる。
は、化学組成分析によるバルクのSiO2/Al2O3
モル比が約5〜15、好ましくは5〜12が適してい
る。本発明の結晶性アルミノケイ酸塩は、Yゼオライト
あるいは安定化Yゼオライトの公知の方法により製造す
ることができる。例えば、(1)適当なシリカ源及びア
ルミナ源から直接水熱合成してYゼオライトあるいは安
定化Yゼオライトを製造する方法、(2)Yゼオライト
を化学薬品で処理して安定化Yゼオライトを製造する方
法、(3)Yゼオライトを水蒸気で処理して安定化Yゼ
オライトを製造する方法、(4)Yゼオライトを高温で
処理して安定化Yゼオライトを製造する方法、(5)上
記(1)〜(4)の方法で製造したYゼオライトあるい
は安定化Yゼオライトに更に上記(2)〜(4)のいず
れか1種類以上の処理を施す方法等を挙げることができ
る。本発明の結晶性アルミノケイ酸塩は、(3)の方法
で製造した安定化Yゼオライトに(2)の化学薬品処理
を施し、更に(4)の高温処理を施して製造することが
好ましく、(2)の化学薬品処理はアルカリ水溶液を用
いることがより好ましい。
は、以上の結晶性アルミノケイ酸塩と無機酸化物マトリ
ックスとの混合物を含むものである。無機酸化物マトリ
ックスとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ボリア、
マグネシア、ジルコニア、チタニア、シリカ−アルミ
ナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、チタニ
ア−アルミナ、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニ
ア、アルミナ−ジルコニア等、これらの混合物、あるい
はモンモリロナイト、カオリン、ハロイサイト、ベント
ナイト、アタバルガイト、ボーキサイト等の少なくとも
1種の粘土鉱物が挙げられる。
は、通常の方法で製造することができ、基本的には、適
当な無機酸化物マトリックス、例えばシリカ−アルミナ
ヒドロゲル、シリカゾル、アルミナゾル等の水性スラリ
ーを用い、それに結晶性アルミノケイ酸塩を加え、よく
混合攪拌した後、噴霧乾燥し、触媒微粒子として得るこ
とができる。この場合、流動接触分解触媒中の結晶性ア
ルミノケイ酸塩が5〜60質量%、好ましくは10〜5
0質量%、無機酸化物マトリックスが約40〜95質量
%、好ましくは50〜90質量%の割合になるようにす
る。結晶性アルミノケイ酸塩が少なすぎると、炭化水素
油の流動接触分解触媒としての所望の分解活性を得るこ
とができず、多すぎると、触媒の強度が低下し、触媒の
破壊、飛散、生成物中への混入等、装置運転に支障をき
たす。
カリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種類
を、触媒基準で、酸化物として0.01〜10質量%、
好ましくは0.05〜7質量%含むものが好適である。
希土類金属としては、スカンジウム、イットリウム、ラ
ンタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウ
ム、ガドリニウム等が使用され、アルカリ土類金属とし
ては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウム、ラジウム等が使用され、これらは
単独あるいは混合物で使用される。これら希土類金属、
アルカリ土類金属の含有量が少なすぎると、好ましくな
い生成物である水素及びコークの発生量が増加する。多
すぎても、水素及びコークの発生量はそれほど抑制され
ないばかりか、却って生成するガソリンのオクタン価が
低下する。
含有形態としては、結晶性アルミノケイ酸塩をこれらの
金属でイオン交換したものであってもよいし、あるいは
結晶性アルミノケイ酸塩にこれらの金属を担持したも
の、結晶性アルミノ珪酸塩と無機マトリックスとの混合
物を有する触媒をこれらの金属でイオン交換したもの、
この触媒にこれらの金属を担持したものであってもよ
い。好ましくは、結晶性アルミノ珪酸塩と無機酸化物の
混合物を有する触媒を、上記の金属でイオン交換したも
のである。
に、これらの金属をイオン交換あるいは担持するには、
従来公知の方法で行えばよい。例えば、希土類金属、ア
ルカリ土類金属の塩の1種以上を含有する水溶液を、乾
燥状態にある結晶性アルミノケイ酸塩又は触媒に含浸す
るか、あるいはこれらの水溶液中に結晶性アルミノケイ
酸塩又は触媒を浸漬し、必要に応じて加熱すればよい。
分解は、公知の接触分解法により行うことができる。商
業規模での接触分解は、通常、クラッキング反応器と触
媒再生器からなる接触分解装置に触媒を循環させる。再
生器からでてくる加熱された再生触媒は、分解される炭
化水素油と混合されてクラッキング反応器中を上向の方
向に導かれながら、炭化水素油を分解する。その結果、
一般に「コーク」と呼ばれる炭素質が触媒上に析出する
ことにより失活した触媒は、分解生成物から分離され、
ストリッピング後再生器に移される。再生器に移された
失活した触媒は、表面に析出したコークが空気で燃焼さ
れて再生され、再び反応器に循環される。一方、分解生
成物は、ドライガス、LPG留分、ガソリン留分、及び
例えば軽質サイクル油(LCO)、重質サイクル油(H
CO)、及びスラリー油のような1種又は2種以上の重
質留分に分離される。もちろん、これらの重質留分を反
応器に再循環させて分解反応をより進めることもでき
る。
m2、好ましくは常圧〜3kg/cm2、反応温度が4
00℃〜600℃、好ましくは450℃〜550℃、触
媒/炭化水素油の重量比が2〜20、好ましくは5〜1
5である。
3モル比が4.6、アルカリ金属(ナトリウム及びカリ
ウム)含有量が酸化物換算で5.9質量%、単位格子寸
法が24.61Åの安定化Yゼオライトを、10倍量の
0.25mol/lのKOH水溶液(pH=12.2)
中、60℃で1時間処理した後、温水洗浄し、次いで1
0倍量の5mass%の(NH4)2SO4水溶液で、
60℃で15分間、2回洗浄した。これを電気炉で空気
雰囲気、常圧下、800℃で10分間焼成して結晶性ア
ルミノケイ酸塩Z−1を得た。結晶性アルミノケイ酸塩
Z−1をXRD測定により分析したところ、図1中符号
aで示すYゼオライトの主要なX線回折パターンを示し
た。単位格子寸法は24.49Åであり、アルカリ金属
(ナトリウム及びカリウム)含有量は酸化物換算で2.
0質量%であり、SiO2/Al2O3モル比は5.3
であった。
アルミノケイ酸塩Z−1を29Si−MASNMRによ
り分析した。分析は、3.5kHzのMAS状態で、N
MRスペクトルを測定し、結果を図2に示す。また、ス
ペクトルのガウス関数解析を行ったところ、全ピーク面
積の合計に対するSi(2Al)ピークの面積比は、1
3.6%であった。
電子社製)を用い、試料をジルコニアローターに充填
し、常温で29Si−MASNMRを測定した。測定条
件は、共鳴周波数79.49MHz、π/2パルス、積
算回数200、MAS速度3.5kHzであり、繰り返
し時間はシングルパルス法で5sとした。なお、Si化
学シフトの二次基準には(CH3)3Si(CH2)3
SO4Na(DDS)を用い、そのピーク位置を(CH
3)4Si(TMS)より1.5ppmとした。
Z−1を触媒中の含有量が32質量%になるように、ま
たカオリンを触媒中の含有量が48重量%になるよう
に、それぞれシリカゾルに加え、この混合スラリーをよ
く攪拌した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し、微粒
化した。得られた微粒子を60℃に加熱した15倍量の
5mass%の(NH4)2SO4水溶液で15分間、
2回洗浄し、次いで10倍量の0.1N硝酸ランタン水
溶液中に、60℃で15分間浸漬してイオン交換し、濾
過、水洗、乾燥して触媒微粒子Aを得た。触媒Aのラン
タン含有量は、触媒A基準で酸化物換算で2.0質量%
であった。
Yゼオライトを用いる以外は、実施例1と同様の方法で
触媒微粒子Bを得た。この安定化YゼオライトをXRD
測定により分析したところ、図1中符号bで示すYゼオ
ライトの主要なX線回折パターンを示し、単位格子寸法
が24.61Åであった。また、この安定化Yゼオライ
トにつき、実施例1と同様の条件で29Si−MASN
MR測定を行った結果、図3に示すスペクトルが得られ
た。スペクトルのガウス関数解析を行ったところ、全ピ
ーク面積の合計に対するSi(2Al)ピークの面積比
は、21.8%であった。触媒Bのランタン含有量は、
触媒B基準で酸化物換算で2.2質量%であった。
9、アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム)含有量が
酸化物換算で1.3質量%、単位格子寸法が24.59
Åの安定化Yゼオライトを用いる以外は、実施例1と同
様の方法で触媒微粒子Cを得た。この安定化Yゼオライ
トをXRD測定により分析したところ、図1中符号cで
示すYゼオライトの主要なX線回折パターンを示し、単
位格子寸法が24.59Åであった。また、実施例1と
同様の条件で29Si−MASNMR測定を行った結
果、図4に示すスペクトルが得られた。スペクトルのガ
ウス関数解析を行ったところ、全ピーク面積の合計に対
するSi(2Al)ピークの面積比は13.5%であっ
た。触媒Cのランタン含有量は、触媒C基準で酸化物換
算で2.2質量%であった。
トを電気炉で空気雰囲気、常圧下、800℃で10分間
焼成して得た結晶性アルミノケイ酸塩Z−2(アルカリ
金属《ナトリウム及びカリウム》含有量が酸化物換算で
1.1質量%)を用いる以外は、実施例1と同様の方法
で触媒微粒子Dを得た。Z−2をXRD測定により分析
したところ、図1中符号dで示すYゼオライトの主要な
X線回折パターンを示し、単位格子寸法が24.45Å
であった。実施例1と同様の条件で29Si−MASN
MR測定を行った結果、図5に示すスペクトルが得られ
た。スペクトルのガウス関数解析を行ったところ、全ピ
ーク面積の合計に対するSi(2Al)ピークの面積比
は0.0%であった。触媒Dのランタン含有量は、触媒
D基準で酸化物換算で1.9質量%であった。
活性試験(Micro ActivityTest)装
置を使用して、同一炭化水素油、同一反応条件で触媒
A、B、C、Dの接触分解特性を試験した。試験に先立
ち、各供試触媒は、模擬平衡化のため、Ni及びVをそ
れぞれ1000及び2000質量ppm担持した後、8
00℃で6時間、100%スチーム雰囲気下で処理し
た。分解対象の炭化水素油としては減圧蒸留軽油を用
い、試験条件は下記の通りとした。なお、マイクロ活性
試験は固定床の試験装置で行うものであり、好ましい条
件は本文中に記載した商業規模での接触分解とは必ずし
も一致しない。
て比較した。結果を表2に示す。
B、C、Dに比べて、ガソリンや灯・軽油に相当するL
COの収率が高く、重質留分(HCO)の収率が低く、
しかも水素及びコークの収率も増加しておらず、分解反
応で得られたガソリンのオクタン価(RON)も低下し
ていない。すなわち、本発明の結晶性アルミノケイ酸塩
を含有する流動接触分解触媒を使用して炭化水素油の接
触分解を行うと、水素及びコーク生成量を抑制し、しか
も灯・軽油に相当するLCO収率が高いという良好な性
能を示すことが判る。
に10倍量の5mass%の(NH4)2SO4水溶液
で、60℃で15分間、2回洗浄して結晶性アルミノケ
イ酸塩Z−3を得た。Z−3を用いる以外は、実施例1
と同様の方法で触媒微粒子Eを得た。Z−3をXRD測
定により分析したところ、Yゼオライトの主要なX線回
折パターンを示し、単位格子寸法が24.50Åであっ
た。Z−3のアルカリ金属含有量は酸化物換算で0.0
9質量%であり、Z−3について実施例1と同様の条件
で29Si−MASNMR測定を行った結果、図6に示
すようなスペクトルが得られた。スペクトルのガウス関
数解析を行ったところ、全ピーク面積の合計に対するS
i(2Al)ピークの面積比は、10.7%であった。
触媒Eのランタン含有量は、触媒E基準で酸化物換算で
1.8質量%であった。
に10倍量の5massのNa2SO4水溶液で、60
℃で1時間処理して結晶性アルミノケイ酸塩Z−4を得
た。Z−4を用いる以外は、実施例1と同様の方法で触
媒微粒子Fを得た。Z−4をXRD測定により分析した
ところ、Yゼオライトの主要なX線回折パターンを示
し、単位格子寸法が24.48Åであった。Z−4のア
ルカリ金属含有量は酸化物換算で5.9質量%であり、
Z−4について実施例1と同様の条件で29Si−MA
SNMR測定を行った結果、図7に示すようなスペクト
ルが得られた。スペクトルのガウス関数解析を行ったと
ころ、全ピーク面積の合計に対するSi(2Al)ピー
クの面積比は、10.6%であった。触媒Fのランタン
含有量は、触媒F基準で酸化物換算で1.8質量%であ
った。
イクロ活性試験装置を使用して、同一炭化水素油、同一
反応条件で触媒A、E、Fの接触分解における水熱安定
性及び耐メタル性を評価した。水熱安定性及び耐メタル
性の評価は、各供試触媒を模擬平衡化処理するときの条
件を変えて行った。標準条件は、スチーム処理条件を1
00%スチーム雰囲気下800℃で6時間とし、Ni及
びV担持量を各々1000質量ppm及び2000質量
ppmとした。水熱安定性評価試験は、この標準条件に
おいて、スチーム処理温度のみを750℃にして行い、
耐メタル性評価試験は、この標準条件において、Ni担
持量及びV担持量のみを各々0質量ppm及び0質量p
pmとして行った。分解対象の炭化水素油としては減圧
蒸留軽油を用い、試験条件は下記の通りとした。
変化による転化率及び各留分の収率の変化を比較した。
結果を表3及び図8に示す。
E、Fに比べて、標準条件での転化率が高く、無用なH
CO留分の収率が低い。また、図8から明らかなよう
に、触媒Aは、触媒E、Fと比較すると、スチーム処理
温度が高くなったり、Ni,Vの被毒を受けたりして
も、転化率が低下し難い。すなわち、本発明の結晶性ア
ルミノケイ酸塩を含有する流動接触分解触媒は、スチー
ム処理温度が過酷になったり、NiやVの被毒を受けた
りしても、転化率が低下し難いため、標準的な条件で模
擬平衡化処理をした後の転化率が高いという良好な性能
を示すことが判る。
する流動接触分解触媒を用いて炭化水素油の接触分解を
行うことにより、好ましくない水素及びコークの生成量
を抑制しつつ、灯・軽油に相当するLCO留分を高い収
率で得ることができる。
アルミノケイ酸塩と、比較例1及び2における安定化Y
ゼオライトの銅K−α線でのX線回折パターンである。
酸塩の29Si−MASNMRスペクトルである。
29Si−MASNMRスペクトルである。
29Si−MASNMRスペクトルである。
29Si−MASNMRスペクトルである。
29Si−MASNMRスペクトルである。
29Si−MASNMRスペクトルである。
す図で、模擬平衡化処理条件の変化による転化率及び各
留分の収率の変化を比較して示している。
Claims (3)
- 【請求項1】 実質的にケイ素、アルミニウム、アルカ
リ金属、酸素、水素で構成される結晶性アルミノケイ酸
塩であって、 (A)Yゼオライトの主要なX線回折パターンを有し、 (B)単位格子寸法が24.55Å以下、 (C)アルカリ金属含有量が酸化物換算で0.1〜5.
0質量%、 (D)29Si−MASNMRスペクトルにおいて、全
ピーク面積の合計に対するSi(2Al)ピークのガウ
ス関数解析での面積比が10%以上、であることを特徴
とする結晶性アルミノケイ酸塩。 - 【請求項2】 請求項1記載の結晶性アルミノケイ酸塩
と無機マトリックスとの混合物を含んでなることを特徴
とする炭化水素油の流動接触分解触媒。 - 【請求項3】 希土類金属、アルカリ土類金属からなる
群から選ばれる少なくとも1種を、請求項2記載の触媒
基準で、酸化物として0.01〜10質量%含有してな
ることを特徴とする請求項2記載の流動接触分解触媒。
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