JP2000232328A - 可変利得増幅器の利得制御回路 - Google Patents

可変利得増幅器の利得制御回路

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JP2000232328A
JP2000232328A JP11030809A JP3080999A JP2000232328A JP 2000232328 A JP2000232328 A JP 2000232328A JP 11030809 A JP11030809 A JP 11030809A JP 3080999 A JP3080999 A JP 3080999A JP 2000232328 A JP2000232328 A JP 2000232328A
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voltage
gain
variable gain
amplifier
variable
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Yukio Okazaki
幸夫 岡崎
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NEC IC Microcomputer Systems Co Ltd
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    • H03D2200/0041Functional aspects of demodulators
    • H03D2200/0088Reduction of intermodulation, nonlinearities, adjacent channel interference; intercept points of harmonics or intermodulation products

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  • Control Of Amplification And Gain Control (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 利得制御電圧に対するデシベル利得の直線性
を向上させる可変利得増幅器の利得制御回路を提供す
る。 【解決手段】 VT比例化回路10は、外部からの利得
制御電圧Vagc を熱電圧VTに比例した電圧Vctrlに変
換して制御電圧補正回路20に出力する。その補正回路
20は、トランジスタQ21〜Q24、電流源I21、
I22で構成される2つの差動増幅器、異なる電圧を供
給する2つの電圧源V21、V22を備えている。その
2つの差動増幅器に電圧Vctrl、電圧源V21、及びV
22の一方を供給する。それにより得られるそれら差動
増幅器の出力電圧を合成して可変利得増幅器40に供給
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変利得増幅器の
利得制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図4(a)は、従来の可変利得増幅器の
回路図である。この増幅器はトランジスタQ1,Q2で
構成される差動増幅器の負荷抵抗R1,R2,R3,R
4に流れる信号電流を、各トランジスタQ1、Q2のコ
レクタにそれぞれ接続された差動対Q3,およびQ4あ
るいは差動対Q5,およびQ6を用いて制御することに
より、利得の可変を実現している。トランジスタQ3,
Q5を流れる電流と負荷抵抗R1,R3が最低利得を決
定し、トランジスタQ4,Q6を流れる電流と抵抗値
(R1+R2)、(R3+R4)が最高利得を決定す
る。図4(a)においてトランジスタQ1,Q2で構成
される差動増幅器のコレクタに流れる信号電流は、トラ
ンジスタQ1については次のように表せる(煩雑さを避
けるため、以下差動増幅器の半分側だけの結果を記
す)。
【0003】
【数1】
【0004】ここでVT は熱電圧でVT = kT/qで表
される。qは素電荷、Tは絶対温度、kはボルツマン定
数である。IEはトランジスタQ1に流れるエミッタ電
流である。トランジスタQ1,Q2のエミッタ間に接続
されたエミッタ帰還抵抗R5の半分の値をREとする
と、この信号電流i1 は利得制御を行うトランジスタQ
3,Q4の共通に接続されたエミッタに入力される。ト
ランジスタQ3,Q4で構成される差動増幅器の各々の
コレクタに流れる信号電流i3、i4は、このトランジ
スタQ3,Q4のベース端子間に印加される電圧Vcに
より、以下のように表せる。
【0005】
【数2】
【0006】出力される信号電圧voutは、図4
(a)から明らかなように、負荷抵抗R1、R2に信号
電流i3 、i4 を乗じたものの和であるから、以下のよ
うに表せる。
【0007】
【数3】
【0008】従ってこの回路の電圧利得A=vout/
vinは以下のように表される。
【0009】
【数4】
【0010】この数4から、電圧Vcを可変することに
より利得Aを可変できることがわかる。ここでトランジ
スタの周波数特性や電流増幅率hFEは無視できると仮定
している。また、この数4より、利得Aは電圧Vc につ
いて双曲線正接的に変化することがわかる。また、温度
により熱電圧VT が変化するので、温度により利得Aが
変化することがわかる。
【0011】この増幅器ではある限られた範囲において
利得が利得制御電圧Vcに従って直線的に変化する。な
ぜならば上記数4の各項において、exp(Vc/
T )の部分が支配的な動作領域では、この項の値をデ
シベル表記すると電圧Vcにほぼ比例するので、全体と
して利得Aをデシベル表記したときにも電圧Vcにほぼ
比例することになるからである。直線領域の上下数dB
から10数dBでは、利得は可変するが直線より徐々に
ずれて行き、最終的にはR1 /((VT /IE)+R
E)で表される最低利得、あるいは(R1 +R2 )/
((VT /IE)+RE)で表される最高利得に曲線は
漸近する。この様子を図4(b)に示す。
【0012】そこで必要な可変幅を確保しながら利得変
化の直線性を得るには、増幅器を何段か縦続接続して、
この直線領域が各段で連続的につながるようにしなけれ
ばならない。例えば、特開平8−046463号公報で
は、図5(a)に示すように各可変利得増幅器の、利得
が中間点になる動作点を、オフセットを持った基準電圧
によりずらせることで広い可変利得幅を実現する方法が
開示されている。
【0013】ところで、多段接続された可変利得増幅器
は利得可変幅は向上するが、雑音、歪み特性については
1段のみの増幅器より悪化することが多い。良く知られ
ているように、縦続接続された増幅器の雑音指数F、3
次インターセプトポイントIP3は、それぞれn段目の
有能電力利得、雑音指数、入力3次インターセプトポイ
ントをGn ,Fn ,IP3n とすると以下のように表せ
る。図5(b)は、各段の利得制御電圧−利得特性を示
すグラフである。
【0014】
【数5】
【0015】この数5より、低利得時に雑音指数Fは各
段の雑音指数Fnに強く依存するが、高利得時には初段
の雑音指数F1 が支配的になることがわかる。また入力
3次インターセプトポイントIP3 は、低利得時には初
段のインターセプトポイントIP31 が支配的である
が、高利得時には各段のインターセプトポイントIP3
n に依存することがわかる。このように、縦続接続され
た増幅器の雑音、歪み特性は各段の増幅器の特性に対し
て、高利得時と低利得時で特性劣化の度合いが全く正反
対になる。よってある利得可変範囲、あるいはすべての
利得可変範囲において雑音と歪み特性を両立するために
は、各増幅器は両方の特性を満足していなければならな
い。しかし、このような増幅器を実現するには、より多
くの消費電力が必要になる。
【0016】以上述べた理由から、移動体通信分野等に
おいて用いられる可変利得増幅器は、利得可変幅が広が
れば広がるほど、単に利得を可変するのに必要なだけよ
りも、さらに多くの電力を消費することになる。そこ
で、できるだけ少ない段数で必要な可変幅が得られ、同
時に利得制御直線性の良好な回路が望まれる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
可変利得増幅器では、利得制御電圧に対してデシベル利
得が直線的に変化する領域が狭いため、必要な可変幅を
得るためにはより多くの段数の可変利得増幅器を縦続接
続する必要があり、利得以外の特性を満たすのが困難で
あったり、消費電力が増大するといった問題点があっ
た。
【0018】従って、本発明の目的は、利得制御電圧に
対するデシベル利得の直線性を向上させる可変利得増幅
器の利得制御回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様の利
得制御回路は、1つまたは複数に縦続接続された可変利
得増幅器に利得制御電圧を供給することにより、該可変
利得増幅器で得られる利得を制御することに用いられる
ことを前提とし、複数の異なる基準電圧を供給する基準
電圧供給手段と、前記基準電圧供給手段から互いに異な
る基準電圧、および外部からの利得制御電圧がそれぞれ
印加される複数の差動増幅器と、前記複数の差動増幅器
の出力を合成して前記利得制御電圧として前記可変利得
増幅器に供給する制御電圧供給手段と、を具備する。
【0020】本発明の第2の態様の利得制御回路は、1
つまたは複数に縦続接続された可変利得増幅器に利得制
御電圧を供給することにより、該可変利得増幅器で得ら
れる利得を制御することに用いられることを前提とし、
外部からの利得制御電圧に対して所定の変換を行う電圧
変換手段と、前記電圧変換手段により変換された電圧を
前記利得制御電圧として前記可変利得増幅器に供給する
制御電圧供給手段と、を具備する。
【0021】本発明の第3の態様の利得制御回路は、1
つまたは複数に縦続接続された可変利得増幅器に利得制
御電圧を供給することにより、該可変利得増幅器で得ら
れる利得を制御することに用いられることを前提とし、
複数の異なる基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、
外部からの利得制御電圧に対して所定の変換を行う電圧
変換手段と、前記基準電圧供給手段から互いに異なる基
準電圧、および前記電圧変換手段が出力した電圧がそれ
ぞれ印加される複数の差動増幅器と、前記複数の差動増
幅器の出力を合成して前記利得制御電圧として前記可変
利得増幅器に供給する制御電圧供給手段と、を具備す
る。
【0022】なお、上記第2、あるいは第3の態様の構
成において、前記電圧変換手段は、前記所定の変換とし
て、前記外部からの利得制御電圧を熱電圧に比例する電
圧への変換を行う、ことが望ましい。また、前記電圧変
換手段は、前記所定の変換として、前記外部からの利得
制御電圧に対して、前記可変利得増幅器の利得の温度依
存性に基づく変換を行う、ことが望ましい。
【0023】また、上記各態様の構成においては、前記
制御電圧供給手段は、前記可変利得増幅器を構成するト
ランジスタのベース電流が無視できない場合に、バッフ
ァを介して前記利得制御電圧を供給する、ことが望まし
い。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0025】図1は、本発明の実施の形態による利得制
御回路を採用した可変利得増幅器の回路図である。図に
おいて、10は外部からの利得制御電圧Vagc を熱電圧
T に比例する電圧Vctrlに変換するVT比例化回路で
ある。20はこの電圧Vctrlから変曲点をもった利得制
御電圧Vcを生成する制御電圧補正回路である。40は
可変利得増幅器である。その可変利得増幅器40に設け
られた、利得を制御するトランジスタQ43〜Q46の
ベース電流が無視できない場合には、バッファ段30が
挿入される場合もある。
【0026】上記増幅器40は、トランジスタQ41〜
Q46、負荷抵抗R41〜R44、エミッタ帰還抵抗R
45を図1に示すように接続して構成されている。その
回路構成は、図4(a)に示す従来の可変利得増幅器と
基本的に同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0027】前述したとおり、可変利得増幅器40の利
得を表す数4には、自然数eにVc/VT 乗された項が
ある。温度が変化するとこの項の値が変化し、利得Aが
変化する。もし、N段縦続接続された増幅器ならば、こ
の変化量はN倍になり、段数が増えれば増えるほど周囲
環境の影響を受けやすくなる。VT比例化回路10は、
このようなことから、利得制御電圧Vcを熱電圧VT
比例させるために設けたものである。VT比例化回路1
0が利得制御電圧Vagc 熱電圧VT に比例する電圧Vct
rlに変換することによって、温度変化による影響が大幅
に低減されることになる。
【0028】そのVT比例化回路10は、例えばP.
R.グレイ/R.G.メイヤー共著永田譲監訳「超LS
Iのためのアナログ集積回路設計技術」10.3.3章
に記載の逆双曲線正接関数回路などを用いれば実現でき
る。このような回路を用いて適切に回路定数、回路素子
を選ぶことにより、利得Aの温度依存性を打ち消すこと
ができる。
【0029】VT比例化回路10から出力された、熱電
圧VT に比例した電圧Vctrlは制御電圧補正回路20に
入力される。その回路20は、4個のトランジスタQ2
1〜24と、2つの電流源I21,I22と、電圧出力
を得るための負荷抵抗R21,22と、異なる電位を供
給する2つの電圧源V21,V22と、を図1に示すよ
うに接続して構成されている。4個のトランジスタQ2
1〜24と、2つの電流源I21,I22とで2つの差
動増幅器が構成されている。
【0030】2つの差動増幅器の合成された出力電圧
は、異なる電圧源V21,V22のために図2(b)に
示すように変曲点を持つ。その結果、図2(a)に示す
ような特性が得られることになる。ここで、電流源I2
1,I22の各電流値、電圧源V21,V22の各電圧
値、および負荷抵抗R21,R22の各抵抗値を適宜選
ぶことにより可変利得増幅器40の利得制御特性で、直
線からずれていく分を補正でき、利得が直線的に変化す
る部分を広げることができる。
【0031】具体例として、利得可変幅±12dBとし
た場合の可変利得増幅器40の利得可変特性を図3に示
す。図において、縦軸はデシベル利得(dB)、横軸は
利得制御電圧Vcで、単位は熱電圧VT である。図1に
示す電圧源V21,V22間の電圧の差は、約2.8V
T に設定した。
【0032】本実施の形態のように、変曲点を持った制
御電圧Vcで利得の制御を行う可変利得増幅器40は、
従来のものに比べ利得が直線的に変化する部分が上下に
約2dB増えている。よって1段あたり4dBだけ利得
が直線的に変化する範囲が増えている。仮に4段縦続接
続の可変利得増幅器を構成したとすると、16dB分利
得が直線的に可変する範囲が得られる。従来の可変利得
増幅器でこれだけの利得可変直線範囲を得ようとする
と、少なくともさらにもう1段可変利得増幅器が必要に
なる。言い換えれば、同じ利得可変直線範囲は、本発明
では従来のものに比べてより少ない段数で得ることがで
きる。
【0033】本実施の形態では、制御電圧補正回路20
には2つの差動増幅器および2つの電圧源V21,V2
2を用いたが、それらの数はもっと多くても良い。また
電圧Vctrlは単相ではなく、両相であっても良い。この
場合には差動増幅器の入力のベースにオフセット電圧を
生ずるような機構を設ける必要がある。例えばトランジ
スタQ21とQ22の大きさを、必要なオフセット電圧
が生じるように異ならせる等すれば良い。もちろんこれ
は電圧Vctrlが単相の場合でも良い。図1には可変利得
増幅器40は1段しか示されていないが、当然ながら複
数段縦続接続させても良い。VT比例化回路10と制御
電圧補正回路20については、そのどちらか一方のみと
しても良い。
【0034】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の可変利得
増幅器の利得制御回路によれば、可変利得増幅器のデシ
ベル利得の利得制御直線性が数dB〜10数dB改善さ
れるため、より少ない段数で必要な可変幅を確保するこ
とができる。それにより、装置の低消費電力化が図れる
とともに、利得以外の特性等も向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による利得制御回路を採用
した可変利得増幅器の回路図である。
【図2】(a)は本実施の形態による利得制御回路を採
用した可変利得増幅器の制御電圧―利得特性を示すグラ
フであり、(b)は本実施の形態による利得制御回路を
採用した可変利得増幅器の制御電圧―補正後の制御電圧
特性を示すグラフである。
【図3】本実施の形態による利得制御回路を採用した可
変利得増幅器の利得制御電圧−利得特性を示すグラフで
ある。
【図4】(a)は従来の可変利得増幅器の回路図であ
り、(b)は従来の可変利得増幅器の制御電圧―利得特
性を示すグラフである。
【図5】(a)は従来の可変利得増幅器の利得制御方法
を示す図であり、(b)は各段に採用された従来の可変
利得増幅器の利得制御電圧−利得特性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 10 VT比例化回路 20 制御電圧補正回路 30 バッファ 40 可変利得増幅器 Q21〜Q24,Q41〜Q46 トランジスタ R21,R22,R41〜R44 負荷抵抗 I21,I22 電流源 V21,V22 電圧源 Vagc ,Vc 利得制御電圧 Vctrl 電圧
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月6日(2000.3.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 可変利得増幅器の利得制御回路
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可変利得増幅器の
利得制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図4(a)は、従来の可変利得増幅器の
回路図である。この増幅器はトランジスタQ1,Q2で
構成される差動増幅器の負荷抵抗R1,R2,R3,R
4に流れる信号電流を、各トランジスタQ1、Q2のコ
レクタにそれぞれ接続された差動対Q3,およびQ4あ
るいは差動対Q5,およびQ6を用いて制御することに
より、利得の可変を実現している。トランジスタQ3,
を流れる電流と負荷抵抗R1,R3が最低利得を決
定し、トランジスタQ4,Qを流れる電流と抵抗値
(R1+R2)、(R3+R4)が最高利得を決定す
る。図4(a)においてトランジスタQ1,Q2で構成
される差動増幅器のコレクタに流れる信号電流は、トラ
ンジスタQ1については次のように表せる(煩雑さを避
けるため、以下差動増幅器の半分側だけの結果を記
す)。
【0003】
【数1】
【0004】ここでVT は熱電圧でVT = kT/qで表
される。qは素電荷、Tは絶対温度、kはボルツマン定
数である。IEはトランジスタQ1に流れるエミッタ電
流である。トランジスタQ1,Q2のエミッタ間に接続
されたエミッタ帰還抵抗R5の半分の値をREとする
と、この信号電流i1 は利得制御を行うトランジスタQ
3,Q4の共通に接続されたエミッタに入力される。ト
ランジスタQ3,Q4で構成される差動増幅器の各々の
コレクタに流れる信号電流i3、i4は、このトランジ
スタQ3,Q4のベース端子間に印加される電圧Vcに
より、以下のように表せる。
【0005】
【数2】
【0006】出力される信号電圧voutは、図4
(a)から明らかなように、負荷抵抗R1、R2に信号
電流i3 、i4 を乗じたものの和であるから、以下のよ
うに表せる。
【0007】
【数3】
【0008】従ってこの回路の電圧利得A=vout/
vinは以下のように表される。
【0009】
【数4】
【0010】この数4から、電圧Vcを可変することに
より利得Aを可変できることがわかる。ここでトランジ
スタの周波数特性や電流増幅率hFEは無視できると仮定
している。また、この数4より、利得Aは電圧Vc につ
いて双曲線正接的に変化することがわかる。また、温度
により熱電圧VT が変化するので、温度により利得Aが
変化することがわかる。
【0011】この増幅器ではある限られた範囲において
利得が利得制御電圧Vcに従って直線的に変化する。な
ぜならば上記数4の各項において、exp(Vc/
T )の部分が支配的な動作領域では、この項の値をデ
シベル表記すると電圧Vcにほぼ比例するので、全体と
して利得Aをデシベル表記したときにも電圧Vcにほぼ
比例することになるからである。直線領域の上下数dB
から10数dBでは、利得は可変するが直線より徐々に
ずれて行き、最終的にはR1 /((VT /IE)+R
E)で表される最低利得、あるいは(R1 +R2 )/
((VT /IE)+RE)で表される最高利得に曲線は
漸近する。この様子を図4(b)に示す。
【0012】そこで必要な可変幅を確保しながら利得変
化の直線性を得るには、増幅器を何段か縦続接続して、
この直線領域が各段で連続的につながるようにしなけれ
ばならない。例えば、特開平8−046463号公報で
は、図5(a)に示すように各可変利得増幅器の、利得
が中間点になる動作点を、オフセットを持った基準電圧
によりずらせることで広い可変利得幅を実現する方法が
開示されている。
【0013】ところで、多段接続された可変利得増幅器
は利得可変幅は向上するが、雑音、歪み特性については
1段のみの増幅器より悪化することが多い。良く知られ
ているように、縦続接続された増幅器の雑音指数F、3
次インターセプトポイントIP3は、それぞれn段目の
有能電力利得、雑音指数、入力3次インターセプトポイ
ントをGn ,Fn ,IP3n とすると以下のように表せ
る。図5(b)は、各段の利得制御電圧−利得特性を示
すグラフである。
【0014】
【数5】
【0015】この数5より、低利得時に雑音指数Fは各
段の雑音指数Fnに強く依存するが、高利得時には初段
の雑音指数F1 が支配的になることがわかる。また入力
3次インターセプトポイントIP3 は、低利得時には初
段のインターセプトポイントIP31 が支配的である
が、高利得時には各段のインターセプトポイントIP3
n に依存することがわかる。このように、縦続接続され
た増幅器の雑音、歪み特性は各段の増幅器の特性に対し
て、高利得時と低利得時で特性劣化の度合いが全く正反
対になる。よってある利得可変範囲、あるいはすべての
利得可変範囲において雑音と歪み特性を両立するために
は、各増幅器は両方の特性を満足していなければならな
い。しかし、このような増幅器を実現するには、より多
くの消費電力が必要になる。
【0016】以上述べた理由から、移動体通信分野等に
おいて用いられる可変利得増幅器は、利得可変幅が広が
れば広がるほど、単に利得を可変するのに必要なだけよ
りも、さらに多くの電力を消費することになる。そこ
で、できるだけ少ない段数で必要な可変幅が得られ、同
時に利得制御直線性の良好な回路が望まれる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
可変利得増幅器では、利得制御電圧に対してデシベル利
得が直線的に変化する領域が狭いため、必要な可変幅を
得るためにはより多くの段数の可変利得増幅器を縦続接
続する必要があり、利得以外の特性を満たすのが困難で
あったり、消費電力が増大するといった問題点があっ
た。
【0018】従って、本発明の目的は、利得制御電圧に
対するデシベル利得の直線性を向上させる可変利得増幅
器の利得制御回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の利得制御回路
は、1つまたは複数に縦続接続された可変利得増幅器に
利得制御電圧を供給することにより、該可変利得増幅器
で得られる利得を制御するための回路であって、各トラ
ンジスタの一方のベースを共通接続して外部からの第1
の利得制御電圧を熱電圧に比例する電圧に変換した電圧
を供給され、各トランジスタの他方のベースを複数の異
なる基準電圧へ接続し、各トランジスタの各々のコレク
タ出力を共通接続し、各トランジスタの負荷抵抗を抵抗
素子により構成される複数の差動増幅器を有し、差動増
幅器の出力をバッファを介して第2の利得制御電圧とし
て前記可変利得増幅器へ供給することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明の実施の形態による利得制
御回路を採用した可変利得増幅器の回路図である。図に
おいて、10は外部からの利得制御電圧Vagc を熱電圧
T に比例する電圧Vctrlに変換するVT比例化回路で
ある。20はこの電圧Vctrlから変曲点をもった利得制
御電圧Vcを生成する制御電圧補正回路である。40は
可変利得増幅器である。その可変利得増幅器40に設け
られた、利得を制御するトランジスタQ3〜Q6の
ベース電流が無視できない場合には、バッファ30が挿
入される場合もある。
【0022】上記増幅器40は、トランジスタQ1〜
6、負荷抵抗R41〜R44、エミッタ帰還抵抗R
45を図1に示すように接続して構成されている。その
回路構成は、図4(a)に示す従来の可変利得増幅器と
基本的に同じであるため、詳細な説明は省略する。
【0023】前述したとおり、可変利得増幅器40の利
得を表す数4には、自然数eにVc/VT 乗された項が
ある。温度が変化するとこの項の値が変化し、利得Aが
変化する。もし、N段縦続接続された増幅器ならば、こ
の変化量はN倍になり、段数が増えれば増えるほど周囲
環境の影響を受けやすくなる。VT比例化回路10は、
このようなことから、利得制御電圧Vcを熱電圧VT
比例させるために設けたものである。VT比例化回路1
0が利得制御電圧Vagc 熱電圧VT に比例する電圧Vct
rlに変換することによって、温度変化による影響が大幅
に低減されることになる。
【0024】そのVT比例化回路10は、例えばP.
R.グレイ/R.G.メイヤー共著永田譲監訳「超LS
Iのためのアナログ集積回路設計技術」10.3.3章
に記載の逆双曲線正接関数回路などを用いれば実現でき
る。このような回路を用いて適切に回路定数、回路素子
を選ぶことにより、利得Aの温度依存性を打ち消すこと
ができる。
【0025】VT比例化回路10から出力された、熱電
圧VT に比例した電圧Vctrlは制御電圧補正回路20に
入力される。その回路20は、4個のトランジスタQ2
1〜24と、2つの電流源I21,I22と、電圧出力
を得るための負荷抵抗R21,22と、異なる電位を供
給する2つの電圧源V21,V22と、を図1に示すよ
うに接続して構成されている。4個のトランジスタQ2
1〜24と、2つの電流源I21,I22とで2つの差
動増幅器が構成されている。
【0026】2つの差動増幅器の合成された出力電圧
は、異なる電圧源V21,V22のために図2(b)に
示すように変曲点を持つ。その結果、図2(a)に示す
ような特性が得られることになる。ここで、電流源I2
1,I22の各電流値、電圧源V21,V22の各電圧
値、および負荷抵抗R21,R22の各抵抗値を適宜選
ぶことにより可変利得増幅器40の利得制御特性で、直
線からずれていく分を補正でき、利得が直線的に変化す
る部分を広げることができる。
【0027】具体例として、利得可変幅±12dBとし
た場合の可変利得増幅器40の利得可変特性を図3に示
す。図において、縦軸はデシベル利得(dB)、横軸は
利得制御電圧Vcで、単位は熱電圧VT である。図1に
示す電圧源V21,V22間の電圧の差は、約2.8V
T に設定した。
【0028】本実施の形態のように、変曲点を持った制
御電圧Vcで利得の制御を行う可変利得増幅器40は、
従来のものに比べ利得が直線的に変化する部分が上下に
約2dB増えている。よって1段あたり4dBだけ利得
が直線的に変化する範囲が増えている。仮に4段縦続接
続の可変利得増幅器を構成したとすると、16dB分利
得が直線的に可変する範囲が得られる。従来の可変利得
増幅器でこれだけの利得可変直線範囲を得ようとする
と、少なくともさらにもう1段可変利得増幅器が必要に
なる。言い換えれば、同じ利得可変直線範囲は、本発明
では従来のものに比べてより少ない段数で得ることがで
きる。
【0029】本実施の形態では、制御電圧補正回路20
には2つの差動増幅器および2つの電圧源V21,V2
2を用いたが、それらの数はもっと多くても良い。また
電圧Vctrlは単相ではなく、両相であっても良い。この
場合には差動増幅器の入力のベースにオフセット電圧を
生ずるような機構を設ける必要がある。例えばトランジ
スタQ21とQ22の大きさを、必要なオフセット電圧
が生じるように異ならせる等すれば良い。もちろんこれ
は電圧Vctrlが単相の場合でも良い。図1には可変利得
増幅器40は1段しか示されていないが、当然ながら複
数段縦続接続させても良い。VT比例化回路10と制御
電圧補正回路20については、そのどちらか一方のみと
しても良い。
【0030】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の可変利得
増幅器の利得制御回路によれば、可変利得増幅器のデシ
ベル利得の利得制御直線性が数dB〜10数dB改善さ
れるため、より少ない段数で必要な可変幅を確保するこ
とができる。それにより、装置の低消費電力化が図れる
とともに、利得以外の特性等も向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による利得制御回路を採用
した可変利得増幅器の回路図である。
【図2】(a)は本実施の形態による利得制御回路を採
用した可変利得増幅器の制御電圧―利得特性を示すグラ
フであり、(b)は本実施の形態による利得制御回路を
採用した可変利得増幅器の制御電圧―補正後の制御電圧
特性を示すグラフである。
【図3】本実施の形態による利得制御回路を採用した可
変利得増幅器の利得制御電圧−利得特性を示すグラフで
ある。
【図4】(a)は従来の可変利得増幅器の回路図であ
り、(b)は従来の可変利得増幅器の制御電圧―利得特
性を示すグラフである。
【図5】(a)は従来の可変利得増幅器の利得制御方法
を示す図であり、(b)は各段に採用された従来の可変
利得増幅器の利得制御電圧−利得特性を示すグラフであ
る。
【符号の説明】 10 VT比例化回路 20 制御電圧補正回路 30 バッファ 40 可変利得増幅器Q11〜Q16,Q21〜Q24 トランジスタ R21,R22,R41〜R44 負荷抵抗R45 エミッタ帰還抵抗 I21,I22 電流源 V21,V22 電圧源 Vagc ,Vc 利得制御電圧 Vctrl 電圧
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J100 AA03 AA14 AA15 AA16 AA18 BA06 BB01 BB09 BC04 CA01 CA18 CA21 FA01 FA02 JA09 QA01 SA01 SA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つまたは複数に縦続接続された可変利
    得増幅器に利得制御電圧を供給することにより、該可変
    利得増幅器で得られる利得を制御するための回路であっ
    て、 複数の異なる基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、 前記基準電圧供給手段から互いに異なる基準電圧、およ
    び外部からの利得制御電圧がそれぞれ印加される複数の
    差動増幅器と、 前記複数の差動増幅器の出力を合成して前記利得制御電
    圧として前記可変利得増幅器に供給する制御電圧供給手
    段と、 を具備したことを特徴とする可変利得増幅器の利得制御
    回路。
  2. 【請求項2】 1つまたは複数に縦続接続された可変利
    得増幅器に利得制御電圧を供給することにより、該可変
    利得増幅器で得られる利得を制御するための回路であっ
    て、 外部からの利得制御電圧に対して所定の変換を行う電圧
    変換手段と、 前記電圧変換手段により変換された電圧を前記利得制御
    電圧として前記可変利得増幅器に供給する制御電圧供給
    手段と、 を具備したことを特徴とする可変利得増幅器の利得制御
    回路。
  3. 【請求項3】 1つまたは複数に縦続接続された可変利
    得増幅器に利得制御電圧を供給することにより、該可変
    利得増幅器で得られる利得を制御するための回路であっ
    て、 複数の異なる基準電圧を供給する基準電圧供給手段と、 外部からの利得制御電圧に対して所定の変換を行う電圧
    変換手段と、 前記基準電圧供給手段から互いに異なる基準電圧、およ
    び前記電圧変換手段が出力した電圧がそれぞれ印加され
    る複数の差動増幅器と、 前記複数の差動増幅器の出力を合成して前記利得制御電
    圧として前記可変利得増幅器に供給する制御電圧供給手
    段と、 を具備したことを特徴とする可変利得増幅器の利得制御
    回路。
  4. 【請求項4】 前記電圧変換手段は、前記所定の変換と
    して、前記外部からの利得制御電圧を熱電圧に比例する
    電圧への変換を行う、 ことを特徴とする請求項2、または3記載の可変利得増
    幅器の利得制御回路。
  5. 【請求項5】 前記電圧変換手段は、前記所定の変換と
    して、前記外部からの利得制御電圧に対して、前記可変
    利得増幅器の利得の温度依存性に基づく変換を行う、 ことを特徴とする請求項2、または3記載の可変利得増
    幅器の利得制御回路。
  6. 【請求項6】 前記制御電圧供給手段は、前記可変利得
    増幅器を構成するトランジスタのベース電流が無視でき
    ない場合に、バッファを介して前記利得制御電圧を供給
    する、 ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の
    可変利得増幅器の利得制御回路。
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