JP2000231050A - リヤーフォーカス式のズームレンズ - Google Patents

リヤーフォーカス式のズームレンズ

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JP2000231050A JP11032590A JP3259099A JP2000231050A JP 2000231050 A JP2000231050 A JP 2000231050A JP 11032590 A JP11032590 A JP 11032590A JP 3259099 A JP3259099 A JP 3259099A JP 2000231050 A JP2000231050 A JP 2000231050A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体として5つのレンズ群を有し、各レンズ
群の屈折力、変倍に伴う移動条件等を適切に設定し、全
変倍範囲にわたり高い光学性能を有したリヤーフォーカ
ス式のズームレンズを得ること。 【解決手段】 物体側より順に正の屈折力の第1群、負
の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、負の屈折力の
第4群、そして正の屈折力の第5群の5つのレンズ群を
有し、該第2群を像面側へ移動させて広角端から望遠端
への変倍を行い、変倍に伴う像面変動を該第4群を移動
させて補正すると共に該第4群を光軸上移動させてフォ
ーカスを行い、広角端において物体側の第1レンズ面か
ら最終レンズ面までの長さ(光学フィルター,色分解プ
リズム等を除く)をTD、望遠端での全系の焦点距離を
Ftとしたとき、 0.55<TD/Ft<0.75 を満足すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリヤーフォーカス式
のズームレンズに関し、特に写真用カメラやビデオカメ
ラ、そして放送用カメラ等に用いられる大口径比で高変
倍比でしかも広画角のリヤーフォーカス式のズームレン
ズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、ホームビデオカメラ等の小型軽量
化に伴い、撮像用のズームレンズの小型化にもめざまし
い進歩が見られ、特にレンズ全長の短縮化や前玉径の小
型化、構成の簡略化に力が注がれている。
【0003】これらの目的を達成する一つの手段とし
て、物体側の第1群以外のレンズ群を移動させてフォー
カスを行う、所謂リヤーフォーカス式のズームレンズが
知られている。
【0004】一般にリヤーフォーカス式のズームレンズ
は第1群を移動させてフォーカスを行うズームレンズに
比べて第1群の有効径が小さくなり、レンズ系全体の小
型化が容易になり、又、近接撮影、特に極近接撮影が容
易となり、更に比較的小型軽量のレンズ群を移動させて
行っているので、レンズ群の駆動力が小さくてすみ迅速
な焦点合わせができる等の特長がある。
【0005】このようなリヤーフォーカス式のズームレ
ンズとして、例えば特開昭62-215225 号公報や、特開昭
62-206516 号公報,特開昭62-24213号公報,特開昭63-2
47316 号公報、そして特開平4-43311 号公報では、物体
側より順に正の屈折力の第1群、負の屈折力の第2群、
正の屈折力の第3群、そして正の屈折力の第4群の4つ
のレンズ群を有し、第2群を移動させて変倍を行い、第
4群を移動させて変倍に伴う像面変動とフォーカスを行
っている。
【0006】一方、本出願人は、例えば特開平8-146295
号公報において、物体側より順に正の屈折力の第1群、
負の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、負の屈折力
の第4群、そして正の屈折力の第5群の5つのレンズ群
を有し、該第2群を像面側へ移動させて広角端から望遠
端への変倍を行い、変倍に伴う像面変動を該第4群を移
動させて補正すると共に、該第4群を光軸上移動させて
フォーカスを行ったリヤーフォーカス式のズームレンズ
を提案している。
【0007】又、特開平5-215967号公報では物体側より
順に変倍中固定の正の屈折力の第1群、変倍用の負の屈
折力の第2群、正の屈折力の第3群、負の屈折力の第4
群、そして変倍に伴う像面変動を補正するための正の屈
折力の第5群の5つのレンズ群より成り、変倍に際して
第3群と第4群の少なくとも1つを移動させると共に、
フォーカスの際に第5群を移動させたリヤーフォーカス
式のズームレンズが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般にズームレンズに
おいてリヤーフォーカス方式を採用するとレンズ系全体
が小型化され、又、迅速なるフォーカスが可能となり、
更に近接撮影が容易となる等の特長が得られる。
【0009】しかしながら反面、フォーカスの際の収差
変動が大きくなり、無限遠物体から近距離物体に至る物
体距離全般にわたりレンズ系全体の小型化を図りつつ高
い光学性能を得るのが大変難しくなるという問題点が生
じてくる。
【0010】特に広角端でのFナンバーがF1.6と大
口径比で変倍比30〜50程度と高変倍のズームレンズ
では全変倍範囲にわたり、又、物体距離全般にわたり高
い光学性能を得るのが大変難しくなるという問題点が生
じてくる。
【0011】本発明は、先に特開平8-146295号公報で提
案したリヤーフォーカス方式のズームレンズを改良し、
変倍比50程度の高変倍化を図り、広角端から望遠端に
至る全変倍範囲にわたり、又、無限遠物体から近距離物
体に至る物体距離全般にわたり、良好なる光学性能を有
したリヤーフォーカス式のズームレンズの提供を目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載した発明
のリヤーフォーカス式のズームレンズは、物体側より順
に正の屈折力の第1群、負の屈折力の第2群、正の屈折
力の第3群、負の屈折力の第4群、そして正の屈折力の
第5群の5つのレンズ群を有し、該第2群を像面側へ移
動させて広角端から望遠端への変倍を行い、変倍に伴う
像面変動を該第4群を移動させて補正すると共に該第4
群を光軸上移動させてフォーカスを行い、広角端におい
て物体側の第1レンズ面から最終レンズ面までの長さ
(光学フィルター,色分解プリズム等を除く)をTD、
望遠端での全系の焦点距離をFtとしたとき、 0.55<TD/Ft<0.75…(1) を満足することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】図1,図3,図5,図7,図9,
図11,図13,図15,図17,図19は本発明の後
述する数値実施例1〜10のレンズ断面図、図2,図
4,図6,図8,図10,図12,図14,図16,図
18,図20は本発明の後述する数値実施例1〜10の
諸収差図である。収差図において(A)は広角端、
(B)は望遠端を示している。図21(A),(B)は
本発明のリヤーフォーカス式のズームレンズと従来のリ
ヤーフォーカス式のズームレンズの近軸屈折力配置を示
す概略図である。
【0014】図中、L1は正の屈折力の第1群(第1レ
ンズ群)、L2は負の屈折力の第2群(第2レンズ
群)、L3は正の屈折力の第3群(第3レンズ群)、L
4は負の屈折力の第4群(第4レンズ群)、L5は正の
屈折力の第5群(第5レンズ群)である。SPは開口絞
りであり、第3群L3の前方に配置している。IPは像
面である。
【0015】広角端から望遠端への変倍に際して矢印の
ように第2群を像面側へ移動させると共に、変倍に伴う
像面変動を第4群を像面側に凸状の軌跡を有しつつ移動
させて補正している。又、第4群を光軸上移動させてフ
ォーカスを行うリヤーフォーカス式を採用している。
【0016】同図に示す第4群の実線の曲線4aと点線
の曲線4bは各々無限遠物体と近距離物体にフォーカス
しているときの広角端から望遠端への変倍に伴う際の像
面変動を補正するための移動軌跡を示している。第1
群,第3群,第5群は変倍及びフォーカスの際固定であ
る。
【0017】本実施例においては、第4群を移動させて
変倍に伴う像面変動の補正を行うと共に第4群を移動さ
せてフォーカスを行うようにしている。特に同図の曲線
4a,4bに示すように広角端から望遠端への変倍に際
して像面側へ凸状の軌跡を有するように移動させてい
る。これにより第4群と第5群との空気の有効利用を図
りレンズ全長の短縮化を効果的に達成している。
【0018】本実施例において、例えば望遠端において
無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合は、
同図の直線4cに示すように第4群を後方(像面側)へ
繰り込むことにより行っている。
【0019】そして、前述の条件式(1)を満足するこ
とによって高変倍化を図りつつ、全変倍範囲にわたり高
い光学性能を得ている。この条件式(1)は、30倍以
上の高変倍となっても望遠端でのFナンバーFnoが明
るく、なおかつ前玉径を小さく全系を小型にするための
必要な条件である。
【0020】一般に、ズームレンズの高倍化、特に実効
倍率で30倍から50倍程度のズーム比を確保しつつ、
充分小型で良好な性能を維持するためには、主変倍系で
ある第2レンズ群の屈折力を強くして、第2レンズ群の
ズーミングに伴う移動量を少なくすれば良い。しかしな
がら第2レンズ群の屈折力を強くするとペッツバール和
が大きくなり像面が補正過剰(オーバー)になるだけで
なく、望遠端のレンズの明るさを決める第1レンズ群の
前玉が小さくなりすぎて、望遠端の暗いズームレンズと
なってしまう。
【0021】この条件式(1)は、30倍以上の高変倍
となっても望遠端でのFnoが明るく、なおかつ前玉径
を小さく全系を小型にするため、又、所望のズーム比を
得るための最適で無駄のないレンズの配置、及びパワー
配置を設定するために必要な条件である。条件式(1)
の上限を越えると望遠端のFナンバーは明るくなるが、
全長,前玉が大型化してしまう。又、下限値を越えると
所望のズーム比を得るために各レンズ群のパワー配置が
きつくなり、像面のズーム変動や距離による収差変動が
大きくなり適当でない。特に上述したようにペッツバー
ル和が負の値に大きくなりがちとなり、像面が補正過剰
になる。
【0022】一般に第1レンズ群を光軸上移動させて距
離合せを行う、所謂前玉フォーカス方式が知られている
が、この方式は広角側で至近距離撮影時に周辺画面に光
束を確保するために前玉径が大きくなりがちとなる。こ
のため、このフォーカス方式では、本発明の目的の1つ
である小型化は難しくなる。この際、構成上最も径の大
きい第1レンズ群はズーミング中固定になっている方
が、機構上の簡略化のためにも良い。
【0023】そこで第3レンズ群以降に配置されたレン
ズ群、特に第4レンズ群でフォーカシングを行うものが
小型化を目的とする際には好ましい。又、絞りユニット
を有する第3レンズ群も固定であるほうが機構上の簡略
化には好ましい。
【0024】第4レンズ群は、広角端より中間ズームま
での変倍領域にかけて像面側に移動するのが好ましい。
更に高変倍のズームレンズを構成するには第4レンズ群
は広角端より望遠端にかけて像面側に凸の軌跡で移動
し、又、特に略完全往復していればスペース効率が良
く、小型の高変倍ズームレンズが可能となる。このと
き、特に第2レンズ群のズーミング中の横倍率は等倍
(−1)を挟んで変化している構成にするのが良い。
【0025】次に、この構成で前玉径が小型化できる技
術的意味を説明する。
【0026】従来より広角化を図ろうとすると、広角端
寄りの中間ズーム位置において第1レンズ群への軸外光
束の入射高が高くなり、この結果、第1レンズ群のレン
ズ有効径が増大してくる。この前玉径の増大を防止する
には上記中間ズーム位置で物体側より瞳(絞り)へ入射
する軸外光束の入射角度θを浅めに(小さめに)設定す
るように構成するのが良い。そのためには上述したよう
に第4レンズ群は広角端より中間ズーム域にかけて像面
側に移動するのが好ましい。
【0027】このように構成することにより、前玉径を
決定する焦点距離での入射瞳位置はかなり物体側に寄
り、径の小型化が可能になる。このとき、特に全ズーム
域でレンズの射出瞳位置は像面よりプラス側(像面より
反物体側)にあるのが有効である。
【0028】このことを、図21(A)に従って検証す
る。図21(A)は広角端から少し望遠側に寄った中間
ズームの位置で、第1レンズの有効径を決定する焦点距
離の位置である。同時に、図21(B)に参考のために
特開昭62-24213号公報で開示されているズームレンズの
近軸屈折力配置を示す。図21(B)に示すように、像
面側から物体側へ軸外光束の光線を逆追跡すると、第4
レンズ群に強い負のパワーがあるために像面側からでる
軸外光束は射出瞳がややプラス側に寄っている。これに
対して、図21(A)ではこの光束が第5レンズ群で絞
りSP側に曲げられ、更に第4レンズ群で絞りSPを有
する第3レンズ群に緩やかな角度で入っていく。この絞
りSPを通過する角度θが従来のズームレンズよりも緩
くできるため、結果的に第1レンズの径を小さくできる
のである。
【0029】このように本発明では、射出瞳位置が像面
からプラス側(反物体側)にあるのが好ましい。少なく
とも前玉径の決定に寄与する広角端ではプラス側になっ
ていることが好ましい。
【0030】本発明の目的とするリヤーフォーカス式の
ズームレンズは、以上の諸条件を満足させることにより
達成することができるが、更にレンズ系全体の小型化を
図りつつ、高変倍化を図る際の変倍に伴う収差変動を少
なくし、全変倍範囲にわたり高い光学性能を得るには目
的に応じて次の諸条件のうち少なくとも1つを満足させ
るのが良い。 (ア-1) 広角端から望遠端への変倍に伴う第2群の移動量
をM2(像面側へ移動するときを正の符号とする)、広
角端での全系の焦点距離をFwとしたとき、
【0031】
【数2】
【0032】なる条件を満足することである。
【0033】この条件式(2)は、ズーミングに際して
最も多い移動量を持つ第2レンズ群に対して、広角端か
ら望遠端へのズーム比を考慮して、小型化と最も最適な
性能を持たせるために必要な関係である。
【0034】条件式(2)の上限を越えると望遠端のF
ナンバーは明るくなり球面収差の補正が難しくなるばか
りでなく、全長,前玉が大型化してしまう。又、下限値
を越えると所望のズーム比を得るために第2レンズ群の
パワーがきつくなり像面のズーム変動が大きくなり適当
でない。特にペッツバール和が負の値に大きくなりがち
となり、像面が補正過剰になり適当でない。
【0035】(ア-2) 第iレンズ群の焦点距離をFi、全
系の広角端と望遠端の焦点距離をFw,Ftとしたと
き、
【0036】
【数3】
【0037】を満足することである。
【0038】いずれの条件式も広角化(2ω≧60度)
を行い、更に高変倍(30倍以上)で前玉径を小型にす
るのに最適な第1レンズ群のパワーを設定するものであ
る。
【0039】これらの条件式は、第2レンズ群に対する
物点、即ち倍率に係わる式である。全系を小さく設定す
るには、第2レンズ群がズーミングに際して等倍を挟ん
でいるのが好ましい。等倍を挟むと第4レンズ群のズー
ミングの軌跡は略往復になり、最も効果的なスペース効
率で高変倍が可能となる。具体的には、これらの式の上
限を越えると、第2レンズ群に対する物点が遠くなり、
第2レンズ群の結像倍率が低くなり、効果的な小型化が
難しくなる。更に、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔
が大きくなり小型化の達成が難しくなる。又、下限値を
越えると第2レンズ群の倍率が大きくなり、高倍化の達
成が難しくなる。
【0040】(ア-3) 第iレンズ群の焦点距離をFiとし
たとき、 7.5<|F1/F2|<10…(5) を満足することである。
【0041】条件式(5)は主に変倍部である第1レン
ズ群と第2レンズ群の屈折力を最適に設定し、ズーミン
グによる収差変動を小さくしつつ高変倍(30倍以上)
を行うためのものである。特に、第2レンズ群の移動に
よる変倍を効果的に行うための条件である。下限を越え
ると30倍以上の高変倍化のために第2レンズ群の移動
量を大きくとる必要があり、大型化及び前玉径が大きく
なる。又、上限値を越えると所望のズーム比を得るため
に第2レンズ群のパワーがきつくなり像面のズーム変動
が大きくなり適当でない。特にペッツバール和が負の値
に大きくなりがちとなり、像面が補正過剰になり適当で
ない。
【0042】(ア-4) 変倍を主に担当する第1レンズ群と
第2レンズ群のうち第1レンズ群は少なくとも1枚の負
レンズを有し、全体として4枚以上のレンズで構成する
こと、又、第2レンズ群は少なくとも1枚の正レンズを
有し、全体として4枚以上のレンズで構成することであ
る。
【0043】(ア-5) 第1レンズ群を構成している正レン
ズのうち少なくとも1枚の正レンズの材質のアッベ数ν
1は、 ν1>65…(6) を満たし、更に第1レンズ群を構成する正レンズの材質
のアッベ数の平均ν1Pを ν1P>70…(7) と設定するのが良い。
【0044】条件式(6)、(7)は共に変倍を担当す
るレンズ群において色収差の発生を小さくし、高変倍
(30倍以上)での望遠端での軸上色収差を小さくする
ことにある。これらの式を逸脱する第1レンズ群の構成
レンズ枚数が多くなり大型化する。あるいは望遠端での
軸上色収差が大きくなって適当でない。
【0045】(ア-6) 第2レンズ群は、物体側から順に物
体側に凸面を向けたメニスカス状の負レンズと両レンズ
面が凹面の負レンズ、そして少なくとも2枚のレンズで
構成されていることが好ましい。これは高変倍の構成に
するとき、主変倍群である第2レンズ群の移動により倍
率色収差の変動が大きくなりがちである。これを除去す
るためには第2レンズ群内で充分に色収差の発生を抑え
ておく必要がある。そのために上のレンズ構成を満たし
ているのが好ましい。
【0046】(ア-7) 第1レンズ群は物体側から順に、物
体側に凸面を有するメニスカス状の負レンズ、物体側に
凸面を有する正レンズ、そして少なくとも2枚の正レン
ズを有しているのが良い。第1レンズ群の像面側には2
枚の物体側に凸面を有するメニスカス状の正レンズブロ
ックがあるのが好ましい。このレンズブロックは正の単
レンズでも良いし、又、貼合わせのメニスカス形状のブ
ロックでも良い。
【0047】(ア-8) 主変倍群である第2レンズ群の広角
端から望遠端への移動量(像面側へ移動するときを正と
する)をM2、第2レンズ群の焦点距離をF2としたと
き、 5<|M2/F2|<9…(8) を満足するのが良い。
【0048】この条件式は、主変倍群である第2レンズ
群が所望のズーム比を得るために必要な移動量とそのと
きのパワーの関係を示したものである。焦点距離F2が
一定のときは移動量M2が大きいと高変倍になり、移動
量M2が一定のときは焦点距離|F2|が小さいほうが
高変倍になる。この関係をバランス良く設定しているの
がこの式である。この式の上限を越えると移動量が大き
くなって大型化するか、第2レンズ群のパワーがきつく
なって収差変動が大きくなる。この式の下限値を越える
と所望の変倍比が得られなくなる。
【0049】(ア-9) 前玉径の小型化に関係する絞り位置
は、望遠端において第3レンズ群の近傍に配置するのが
良い。特に第3レンズ群近傍にズーミング中固定である
ほうが機構構成上は好ましい。特に前玉径の小型化には
第3レンズ群の比較的物体側、好ましくは最も物体側に
配置させるのが良い。
【0050】(ア-10)第3レンズ群は少なくとも2枚の正
レンズを有しているのが好ましい。これは全系の中で第
3レンズ群のパワーは比較的強く、高変倍をするには少
ないレンズ枚数では球面収差の補正ができないからであ
る。特にこのレンズ群の中に非球面を用いてこの収差補
正を分担させても良い。1枚の負レンズを第3レンズ群
に有しておくと、更に色収差の補正にも有効である。
【0051】(ア-11)第4レンズ群は前述したようにズー
ミング中の像面位置を一定にするコンペンセーター(補
正群)であり、フォーカスを担当するレンズ群でもあ
る。それぞれの収差変動、特に色収差変動を少なくする
ために少なくとも1枚の正レンズを有するのが好まし
い。
【0052】(ア-12)距離合わせは第4レンズ群で行い、
この際、第4レンズ群は近距離に距離合わせ(フォーカ
シング)するときは像面側に繰り込むように構成してい
る。このように負の第4レンズ群を繰り込んで距離合わ
せを行うと、従来のような正レンズ群で行うリヤーフォ
ーカス方式の様に、近軸的な変倍比に対して近距離側で
変倍比が小さくなることがなく、高変倍化にしても近距
離側で所望の変倍比が得られる。
【0053】(ア-13)フォーカスやズーミングの収差変動
を小さくするためには、第4レンズ群内に非球面を有す
るのが良い。特に、球面収差の中間ズーム域での球面収
差の変動補正には第5レンズ群内に非球面を有するのが
好ましい。
【0054】(ア-14)適当なバックフォーカスを保持しつ
つ、固体撮像素子に対する射出瞳位置を変動を小さく設
定するためには、第4レンズ群の倍率β4がズーミング
に伴い常に同一符号であることが好ましい。倍率β4が
ズーミング中符号を変えて変化すると、最終結像レンズ
群である固定の第5レンズ群への入射角度の変化が大き
く、ズーミングに伴い、特に周辺光束の固体撮像素子
(CCD等)へ入射角度の変動が大きく、テレセントリ
ックな結像からのズレが大きくなりシェーディング発生
の原因になり適当でない。
【0055】(ア-15)射出瞳がプラス側で短くなるワイド
端、テレ端でのシェーディングを小さくし、適当なバッ
クフォーカスを保持するには、第4レンズ群の横倍率を
β4とするとき、倍率β4は常に正の値であり、 2<β4<6…(9) の条件を満たしているのが好ましい。
【0056】この条件式を逸脱すると、上述したような
繰り込むことによるフォーカシングができず、有限距離
側で変倍比が小さくなり、高変倍化しても近距離側で所
望の変倍比が得られないことにもなり適当でない。
【0057】(ア-16)全系を小さくし移動スペースを有効
に設定するには、第4レンズ群は略完全往復もしくは像
面側に凸状の軌跡にしておけば良い。そのためには、第
3レンズ群の結像倍率は負の値で、広角端から望遠端に
かけて絶対値が大きくなり、さらに小さくなるのが好ま
しい。ここで広角端及び望遠端の第3レンズ群の近軸横
倍率をそれぞれβ3W,β3Tとすると、 β3W≒β3T…(10) であると最もスペース効率が良い。ここで「略」とは±
20%以内のことを意味する。
【0058】(ア-17)広角端から望遠端への第3レンズ群
の近軸横倍率の絶対値の最大値をβ3MAXとすると、 |β3MAX|>0.8…(11) 特に高変倍化させるには、 |β3MAX|>0.9…(12) になっているのが良く、更に倍率β3が−1を越えてい
る方が高倍化に好適である。
【0059】(ア-18)第iレンズ群の焦点距離をFi、全
系の広角端と望遠端の焦点距離を各々Fw,Ftとする
とき、
【0060】
【数4】
【0061】を満足することである。
【0062】以上の条件式は絞りから像面側に配したレ
ンズ群のパワーに関する式である。それぞれの範囲はズ
ームレンズの射出瞳位置を短くなりすぎないように設定
し、更に上述した様に物体側からの斜光束が瞳に浅い角
度で入射させ、入射瞳を短く前玉径の小型化に寄与させ
るための条件である。
【0063】共に上限値を越えると上記斜光束が浅い角
度に設定できずに、前玉径の増大を招き、又、下限値を
越えると射出瞳がプラス側に短くなりすぎ、固体撮像素
子に対してテレセントリックな光束を確保できず、又、
ズーム、フォーカスに対して収差変動が大きくなり適当
ではない。この範囲に入っていれば距離合わせ(フォー
カシング)に対しても大きな移動にならないように小型
化を達成するものである。このような範囲を逸脱すると
前玉径が大型化し、全系も大型化して更に撮像素子に対
して適当な射出角度を設定できなくなる。
【0064】(ア-19)第iレンズ群の焦点距離をFi、全
系の広角端と望遠端の焦点距離を各々Fw,Ftとする
とき、
【0065】
【数5】
【0066】を満足することである。
【0067】この条件式は全系の焦点距離に対して最後
の結像レンズである第5レンズ群を良好な収差にして、
又、バックフォーカスを適当に確保するためのものであ
る。上限値を越えるとバックフォーカスが長くなり大型
化するため適当でない。又、下限値を越えると第5レン
ズ群の屈折力が強くなり、特に球面収差やコマ収差が中
間ズーム域で発生し適当でない。又、テレセントリック
な関係が崩れ、射出瞳が短くなり適当でない。
【0068】(ア-20)第iレンズ群の焦点距離をFi、全
系の広角端の焦点距離をFwとしたとき、 4.0<F3/Fw<6…(16) 4.0<|F4/Fw|<6.5…(17) 4.0<F5/Fw<6…(18) を満足することである。
【0069】これらの条件式を満足すれば、高変倍化を
図りつつ良好なる光学性能が得られる。
【0070】(ア-21)第iレンズ群の焦点距離をFiとし
たとき、 −1.5<F4/F5<−0.9…(19) を満足することである。
【0071】この条件式は射出瞳の位置を長くするため
のものである。
【0072】この条件式の上限を越えると第4レンズ群
の屈折力が強くなりフォーカシングの距離変動が大きく
なり適当でない。又、下限値を越えるとフォーカシング
の移動量が大きくなり大型化して適当でないばかりでな
く固定の結像レンズである第5レンズ群の屈折力が強く
なり射出瞳が短くなり適当でない。
【0073】(ア-22)リヤーフォーカス方式をとるズーム
レンズの場合、どうしても望遠端の近距離のフォーカス
レンズ移動量が大きくなる。特にズームの倍率が大きく
なればなるほど、第4レンズ群の像面位置補正の移動量
・フォーカスのための移動量が共に大きくなる。広角端
における物体距離無限遠での第2レンズ群と第3レンズ
群の間隔をD2W、第4レンズ群第5レンズ群の間隔を
D4Wとしたとき、 2.4<D2W/D4W<4.0…(20) を満足することが良い。
【0074】間隔D2Wは、特に主変倍レンズ群である
第2レンズ群の移動可能範囲に寄与する量である。又、
間隔D4Wは第4レンズ群の像面位置補正の移動量・フ
ォーカスのための移動量に係わる量である。この中に入
っていると適正なズーム倍率と適正な至近距離を提供で
きる。上限値を逸脱すると第4レンズ群の、特にフォー
カスのための移動量を確保できない。又、下限値を越え
ると所望のズーム比を確保するための第2レンズ群の移
動量が確保できず適当でない。この場合の間隔D2Wは
第2レンズ群の最も像面側の面と第3レンズ群の最も物
体側の面との間隔である。
【0075】(ア-23)第4レンズ群の像面位置補正のため
の移動量とフォーカスのための移動量を適正に確保する
ためには広角端で無限遠物体での第4レンズ群と第5レ
ンズ群の間隔をD4W、第4レンズ群の焦点距離をF4
としたとき、 0.5<|D4W/F4|<1.0…(21) を満足することである。
【0076】この範囲を逸脱するとフォーカスのための
所望の移動量が確保できず、至近距離が遠くになってし
まう。
【0077】(ア-24)又、光学系の射出瞳を適当に設定し
つつ、レンズのバックフォーカスを適正に確保するため
には第5レンズ群の倍率をβ5とするとき、 0.24<|β5|<0.50…(22) を満足することである。
【0078】この式を逸脱すると、バックフォーカスが
大きくなりレンズ系が大きくなるばかりでなく、射出瞳
が短くなり適当でない。
【0079】(ア-25)全系を小型化にするときは、広角端
での物体距離無限遠時のバックフォーカス(ガラスブロ
ック,フィルター等実施例中の”G”を除く)をBf
w、全系の広角端の焦点距離をFwとするとき、 2.0<Bfw/Fw<4.0…(23) を満足することである。
【0080】この条件式は、全系を効果的に小型化する
のに必要な式であり、下限値を越えると、フィルター等
のブロックを入れるのが無理になるばかりでなく射出瞳
が短めとなり、撮像素子への結像がテレセントリック系
からズレることになり不適当である。又、上限値を越え
ると大型化して不適当である。
【0081】(ア-26)又、広角化における第1レンズ群と
第2レンズ群の主点間隔H12を広角端でいかに小さく
できるかは重要な点のひとつである。又、第2レンズ群
においては、主点間隔H12を広角端で短くするため
に、第2レンズ群の物体側主点を物体側に設定するよう
な構成にすることが広角化には望ましい。特に第1レン
ズ群と第2レンズ群の主点間隔H12については全系の
広角端の焦点距離をFwとしたとき、 1.5<H12/Fw<3.5…(24) を満足することである。
【0082】この式の下限を越えると第1レンズ群と第
2レンズ群の実際の間隔を取りにくくなり、各レンズ群
の収差が劣化する。又、上限を越えると全長、前玉径の
増大を引き起こし適当でない。
【0083】次に本発明の数値実施例を示す。数値実施
例においてRiは物体側より順に第i番目のレンズ面の
曲率半径、Diは物体側より第i番目のレンズ厚及び空
気間隔、Niとνiは各々物体側より順に第i番目のレ
ンズのガラスの屈折率とアッベ数である。又、前述の各
条件式と数値実施例における諸数値との関係を表−1,
表−2に示す。
【0084】非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直
方向にH軸、光の進行方向を正としRを近軸曲率半径、
A,B,C,D,Eを各々非球面係数としたとき、
【0085】
【数6】
【0086】なる式で表している。尚、最終の2つのレ
ンズ面はローパスフィルター、フェースプレート等の光
学ブロックを示している。
【0087】
【外1】
【0088】
【外2】
【0089】
【外3】
【0090】
【外4】
【0091】
【外5】
【0092】
【外6】
【0093】
【外7】
【0094】
【外8】
【0095】
【外9】
【0096】
【外10】
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、変倍比50程度の高変
倍化を図り、広角端から望遠端に至る全変倍範囲にわた
り、又、無限遠物体から近距離物体に至る物体距離全般
にわたり、良好なる光学性能を有したリヤーフォーカス
式のズームレンズを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の数値実施例1のレンズ断面図
【図2】 本発明の数値実施例1の収差図
【図3】 本発明の数値実施例2のレンズ断面図
【図4】 本発明の数値実施例2の収差図
【図5】 本発明の数値実施例3のレンズ断面図
【図6】 本発明の数値実施例3の収差図
【図7】 本発明の数値実施例4のレンズ断面図
【図8】 本発明の数値実施例4の収差図
【図9】 本発明の数値実施例5のレンズ断面図
【図10】 本発明の数値実施例5の収差図
【図11】 本発明の数値実施例6のレンズ断面図
【図12】 本発明の数値実施例6の収差図
【図13】 本発明の数値実施例7のレンズ断面図
【図14】 本発明の数値実施例7の収差図
【図15】 本発明の数値実施例8のレンズ断面図
【図16】 本発明の数値実施例8の収差図
【図17】 本発明の数値実施例9のレンズ断面図
【図18】 本発明の数値実施例9の収差図
【図19】 本発明の数値実施例10のレンズ断面図
【図20】 本発明の数値実施例10の収差図
【図21】 本発明に係るズームレンズの近軸屈折力配
置の説明図
【符号の説明】
L1 第1群 L2 第2群 L3 第3群 L4 第4群 L5 第5群 SP 絞り IP 像面 d d線 g g線 ΔS サジタル像面 ΔM メリディオナル像面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物体側より順に正の屈折力の第1群、負
    の屈折力の第2群、正の屈折力の第3群、負の屈折力の
    第4群、そして正の屈折力の第5群の5つのレンズ群を
    有し、該第2群を像面側へ移動させて広角端から望遠端
    への変倍を行い、変倍に伴う像面変動を該第4群を移動
    させて補正すると共に該第4群を光軸上移動させてフォ
    ーカスを行い、広角端において物体側の第1レンズ面か
    ら最終レンズ面までの長さ(光学フィルター,色分解プ
    リズム等を除く)をTD、望遠端での全系の焦点距離を
    Ftとしたとき、 0.55<TD/Ft<0.75 を満足することを特徴とするリヤーフォーカス式のズー
    ムレンズ。
  2. 【請求項2】 広角端から望遠端への変倍に際して前記
    第4群は像面側に凸状の軌跡を有して移動していること
    を特徴とする請求項1のリヤーフォーカス式のズームレ
    ンズ。
  3. 【請求項3】 無限遠物体から近距離物体へのフォーカ
    スの際、前記第4群は像面側へ移動していることを特徴
    とする請求項2のリヤーフォーカス式のズームレンズ。
  4. 【請求項4】 広角端から望遠端への変倍に伴う第2群
    の移動量をM2(像面側へ移動するときを正の符号とす
    る)、広角端での全系の焦点距離をFwとしたとき、 【数1】 なる条件を満足することを特徴とする請求項1,2又は
    3のリヤーフォーカス式のズームレンズ。
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