JP2000229982A - ビニルフェニルマグネシウムハライド類の連続的製造方法 - Google Patents

ビニルフェニルマグネシウムハライド類の連続的製造方法

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JP2000229982A
JP2000229982A JP11344607A JP34460799A JP2000229982A JP 2000229982 A JP2000229982 A JP 2000229982A JP 11344607 A JP11344607 A JP 11344607A JP 34460799 A JP34460799 A JP 34460799A JP 2000229982 A JP2000229982 A JP 2000229982A
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vinylphenylmagnesium
magnesium
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Masako Yasutomi
雅子 安冨
Hirohisa Kubota
裕久 久保田
Keiko Kudo
慶子 工藤
Naoko Honda
直子 本多
Jiyunya Watanabe
純哉 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビニルフェニルマグネシウムハライド類を安
全に、経済的に、しかも収率良く製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 ハロゲノスチレン類と金属マグネシウム
とを有機溶媒中で反応させて下記一般式(1) 【化1】 (一般式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Rは水素
原子、アルキル基あるいはハロゲン原子を表す)で示さ
れるビニルフェニルマグネシウムハライド類を製造する
方法において、反応条件下にある反応器中に、ハロゲノ
スチレン類、有機溶媒及び金属マグネシウムを供給する
と共に、一方生成したビニルフェニルマグネシウムハラ
イド類を含む反応生成溶液を反応器から抜き出し、且
つ、該金属マグネシウムの供給量を、反応系中に供給さ
れるハロゲノスチレン類に対して1.01〜3.8当量
となるように調節することを特徴とするビニルフェニル
マグネシウムハライド類の連続的製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性材料、医薬
や農薬を製造する上で重要な有機中間体であるビニルフ
ェニルマグネシウムハライド類の製造方法に関するもの
である。本発明のビニルフェニルマグネシウムハライド
類は、機能材料の原料となるスチレン誘導体モノマーを
合成するための中間体として利用される。
【0002】
【従来の技術】従来から、ハロゲノスチレン類を、有機
溶媒中で金属マグネシウムと反応させて、グリニャール
試薬としてのビニルフェニルマグネシウムハライド類を
合成する方法はよく知られている。グリニャール試薬を
バッチ生産する場合、以下の点が問題となる。 (1)反応開始工程 グリニャール試薬を製造する方法において最も危険を
伴う工程は、グリニャール試薬を生成させる段階にあ
る。バッチ生産では、各バッチ毎に起反応剤で反応を開
始しなければならない。また、グリニャール試薬が調製
できたかどうかを確認するため、分析工程や内温の監視
をしなければならない。これらの作業は煩雑で、時間も
かかり、多くの人手を要する。
【0003】グリニャール試薬製造開始時には通常溶
液量が少ないため、反応器との伝熱面積が小さいためハ
ロゲノスチレン類の滴下供給速度が小さく、グリニャー
ル試薬の調製に時間を要する。 反応開始時には金属マグネシウムを過剰に投入し攪拌
している。この時、反応器底部で金属マグネシウムが流
動し、このとき反応器が損傷する問題もある。
【0004】グリニャール試薬生成開始時には、溶液
温度が上昇するのを見越して、反応器のジャケット温度
を予め低温に温度設定しなければならない。反応釜の昇
温、冷却に時間を要する。 円滑にグリニャール試薬を生成させるため、原料や溶
媒中の水分含有率をできる限り低く管理しなければなら
ない。
【0005】(2)金属マグネシウムの濾過工程・処理
工程 ハロゲノスチレン類がクロロスチレンの場合、転化率
を高くするため過剰の金属マグネシウムを使用した場合
には、グリニャール試薬と残存した金属マグネシウム残
渣を濾過しなければならない。濾過の際、金属マグネシ
ウムの微粉が目詰まりしやすい等の問題がある。
【0006】濾過された金属マグネシウムは活性化さ
れているため、空気中で発火する可能性があり危険であ
る。従って、濾過の工程を避けることが望ましい。 マグネシウム残渣は塩化鉄(II)溶液、または硫酸で
分解処理する場合があるが、処理剤に要する経費増、
MgCl2 の廃棄物処理に要する費用の加算、そして
大きな発熱を伴うため、処理に時間を要する。また、
水素の発生による爆発等の問題もある。
【0007】一方、特開平9−316083号公報に
は、グリニャール試薬を製造する反応系に、予め、グリ
ニャール試薬を添加する方法が開示されている。また、
有機化学実験(フィーザー著、後藤俊夫訳、丸善出版、
第4版(1979))には、メチルマグネシウムアイオ
ダイドやフェニルマグネシウムブロマイドを添加すると
反応がスムーズに開始することが開示されている。その
他、“合成化学者のための実験有機金属化学”講談社サ
イエンス(1993)(佐藤史衛、山本經二、今本恒夫
/編)P11−12には、グリニャール試薬の合成の際
に「予め別途に合成した同じグリニャール反応剤があれ
ば、これを反応初期に加えて系内の脱水と活性化を行う
こともできる。特に、工業的には有効な方法である」と
記載されており、グリニャール試薬を開始剤とすること
は以前から知られていた。更に、特開平9−31608
3号公報には、グリニャール試薬製造の際、反応終了
後、反応液の一部を反応槽に残して、そこにマグネシウ
ムおよび溶媒を添加して、反応を行う方法も記載されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スチレ
ン系のグリニャール試薬は基質のアニオン重合によるポ
リマーの生成やカップリング反応によるビフェニル誘導
体の生成により、グリニャール試薬の純度は経時的に変
化する。このため、グリニャール試薬を長時間、グリニ
ャール試薬の調製(反応)温度で保管することは好まし
くないという問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討を行った結果、生成した反応
生成溶液を連続的に抜き出し、さらに反応系内の金属マ
グネシウムが一定量となるように原料を供給することに
より、より高純度のビニルフェニルマグネシウムハライ
ド類を、確実に、効率よく製造する方法を見い出し本発
明に到達した。即ち、本発明の要旨は、ハロゲノスチレ
ン類と金属マグネシウムとを有機溶媒中で反応させて下
記一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】(一般式(1)中、Xはハロゲン原子を表
し、Rは水素原子、アルキル基あるいはハロゲン原子を
表す)で示されるビニルフェニルマグネシウムハライド
類を製造する方法において、反応条件下にある反応器中
に、ハロゲノスチレン類、有機溶媒及び金属マグネシウ
ムを供給すると共に、一方、生成したビニルフェニルマ
グネシウムハライド類を含む反応生成溶液を反応器から
抜き出し、且つ、該金属マグネシウムの供給量を、反応
系中に供給されるハロゲノスチレン類に対して1.01
〜3.8当量の範囲となるように調節することを特徴と
するビニルフェニルマグネシウムハライド類の連続的製
造方法、に存する。以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明におけるビニルフェニルマ
グネシウムハライド類とは、上記一般式(1)で表され
るように、ハロゲノスチレン類と金属マグネシウムとの
錯体の構造を有するグリニャール試薬である(以下、ビ
ニルフェニルマグネシウムハライド類を単にグリニャー
ル試薬と呼ぶことがある。)。このビニルフェニルマグ
ネシウムハライド類としては、ビニルフェニルマグネシ
ウムクロライド類、ビニルフェニルマグネシウムブロマ
イド類、ビニルフェニルマグネシウムアイオダイド類等
が挙げられる。一般式(1)のベンゼン環には、アルキ
ル基或いはハロゲン原子が置換されていてもよい。アル
キル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、ハ
ロゲン原子としては塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ
る。一般式(1)で示されるグリニャール試薬の製造
は、以下のように行われる。
【0013】本発明においては、グリニャール試薬、つ
まりビニルフェニルマグネシウムハライド類を調製して
得られる反応生成溶液を反応缶から抜き出し管等を用い
て連続的に抜き出すと共に、反応生成溶液中に、ハロゲ
ノスチレン類、有機溶媒及び金属マグネシウムを連続的
または間歇的に供給することにより、グリニャール試薬
をグリニャール試薬が存在しない系で調製することなく
連続的に円滑に製造することが可能となる。さらに供給
する金属マグネシウムの量が反応系中に供給されるハロ
ゲノスチレン類に対し一定の範囲となるようにすること
により、より高純度のグリニャール試薬を製造すること
が可能となる。本発明においては、ハロゲノスチレン類
を有機溶媒溶液として添加することが好ましい。
【0014】本発明においては、反応に供する金属マグ
ネシウムの量が、反応系中に供給されるハロゲノスチレ
ン類に対して1.01〜3.8当量となるように供給す
ることが必要である。この量が少なすぎると、原料のハ
ロゲノスチレン類が反応系に増加するばかりでなく、反
応にも時間を要する。未反応の原料が反応系に増加する
と製品グリニャール試薬がコスト高になるばかりでな
く、未反応の原料を除去する際、多くの目的物であるグ
リニャール試薬を失う場合もある。また、当初仕込みの
マグネシウムが消費され、マグネシウムが不足気味にな
るとウルツ型の反応が起きやすくなり、グリニャール試
薬が効率よく調製されない。
【0015】一方マグネシウムの添加量がハロゲノスチ
レン類に対して多すぎる場合にはハロゲノスチレン類の
アニオン重合が進行し、グリニャール試薬の収率が低下
するばかりでなく、グリニャール試薬ポリマーの生成に
より抜き出し管が閉塞する等の不都合も生じる。また、
金属マグネシウムが流動しにくく、反応器底部が傷つき
やすい、生成したグリニャール試薬を含有する反応生成
物の一部を抜き出す際に行われる濾過の際目詰まりを起
こしやすい等の問題も発生する。より好ましい金属マグ
ネシウムの供給量は、ハロゲノスチレン類の供給量に対
して、1.05〜3.5当量、さらに好ましくは、1.
1〜3.5当量である。
【0016】本発明において、原料のハロゲノスチレン
類としては、ハロゲノスチレン、その他ハロゲノスチレ
ンの芳香環にアルキル基又はハロゲン原子が置換されて
いるハロゲノスチレン誘導体が挙げられる。ハロゲノス
チレンはオルソ、メタ、パラの3種類の位置異性体が存
在し、2−ハロゲノスチレン(オルト体)や3−ハロゲ
ノスチレン(メタ体)は、4−ハロゲノスチレン(パラ
体)と比較し、熱、ラジカルおよびアニオン重合性に富
むことは知られている。2−ハロゲノスチレンや3−ハ
ロゲノスチレンではグリニャール試薬の収率がきわめて
低い。それは生成したグリニャール試薬が開始剤とな
り、アニオン重合が進むことが原因と推定されている。
【0017】また、パラ体にメタ体やオルソ体が含まれ
る場合でも、メタ体やオルソ体のハロゲノスチレンの高
い反応性のため、反応収率が低下する傾向がある。この
ため、ハロゲノスチレンを使用する場合には、2−ハロ
ゲノスチレンや3−ハロゲノスチレンの含有率をできる
限り低くすることが重要である。このため4−クロロス
チレン又は4−ブロモスチレンの含有率が80%以上で
あることが望ましい。
【0018】金属マグネシウムは、粒子が小さい方が金
属マグネシウムの表面積が大きいため、金属マグネシウ
ムの溶解速度が大きい。一方で、金属粉末の取り扱いの
危険性及び反応完結後のグリニャール試薬との濾過性を
考え、金属マグネシウムの大きさは適切な範囲がある。
その大きさは粒径約0.2〜3mmが好ましい。金属マ
グネシウムの供給方法は、連続的に供給するか、もしく
は分割仕込みも可能である。不活性気体の雰囲気下粉体
を反応器に直接投入する、あるいは溶媒を添加しスラリ
ー状態で投入しても良い。ハロゲノスチレン類溶液を滴
下中に、金属マグネシウムを投入することは、急激な発
熱反応を誘導するので危険である。ハロゲノスチレン類
を滴下する前に、予め投入する、又は滴下中でも徐々に
金属マグネシウムを投入することが好ましい。
【0019】グリニャール試薬を調製するときの反応温
度は、ハロゲノスチレン類の種類、溶媒の種類や金属マ
グネシウムの使用量や表面積、攪拌速度等により異な
る。ハロゲノスチレン類は重合性に富むため、ビニルフ
ェニルマグネシウムハライドへの転化率を高くするため
可能な限り低温で反応させることが好ましい。グリニャ
ール試薬の反応温度は通常、0〜45℃である。反応温
度が低すぎると反応速度が低下し、一方高すぎるとハロ
ゲノスチレン類の重合が進行する。ブロモスチレン類を
用いる場合は、比較的低温で反応が進行する。従って好
ましい反応温度は0〜25℃である。クロロスチレン類
を用いる場合は、反応温度は高くなる傾向がある。従っ
て好ましい反応温度は15〜40℃である。
【0020】ハロゲノスチレン類を用いるグリニャール
試薬の調製において、溶媒の選択も重要な要素となる。
グリニャール試薬の一般的な溶媒として、ジエチルエー
テル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t
−ブチルメチルエーテル(MTBE)、テトラヒドロフ
ラン(THF)、テトラヒドロピラン、メチラール、グ
ライム、ジグライム等、又はこれらの混合溶媒が使用さ
れる。中でも特に、THFを用いることが好ましい。
【0021】一方、THFのみでは基質アニオン重合が
進行しやすく、グリニャール試薬の収率低下や抜き出し
管の閉塞等が生じるため、溶媒はTHFと他の芳香族炭
化水素との混合溶媒とすることが好ましい。この際、T
HFの含有率が低すぎる場合には、グリニャール試薬の
生成速度が小さいため実用的ではない。そのため、基質
であるハロゲノスチレン類に対するTHFの使用量は
1.5〜3.5当量であることが好ましい。少なすぎる
場合には、反応速度が小さくなり、グリニャール試薬の
沈殿が析出する傾向がある。一方、多すぎる場合には、
製造の単価が高くなる。芳香族炭化水素の使用量は、
1.0〜3.5当量/ハロゲノスチレン類が好ましい。
【0022】この結果、グリニャール試薬の好ましい溶
液濃度は、0.3〜4.5モル/L、好ましくは1.0
〜3.5モル/Lの範囲となる量である。溶媒が少なす
ぎる場合には、反応速度が小さくなり、グリニャール試
薬の沈殿が析出する。またウルツ型の反応が起きやすく
なり、ハロゲノスチレン類あたりの収量が低下する。一
方、多すぎる場合には、製造の単価が高くなる。
【0023】ハロゲノスチレン類の反応系への添加量
(速度)は通常、0.05〜2.0モル/L・hrであ
る。添加速度を大きくすると、ハロゲノスチレン類の転
化率が低くとどまり好ましくない。一方、添加速度が小
さすぎると、時間がかかる上、アニオン重合によるポリ
マーの生成やカップリング反応などの副反応が進行し、
グリニャール試薬の収率が低下するため好ましくない。
【0024】生成したグリニャール試薬を抜き出すに
は、反応液中、例えば上部、底部、又は側部に抜き出し
管を設け、抜き出し管からグリニャール試薬を抜き出し
てもよい。更に、抜き出し管の先端には、グリニャール
試薬に金属マグネシウムが入らないよう、10〜300
μm程度のフィルターを装着してもよい。また、底部か
ら抜き出す場合にも濾過器又はフィルターで金属マグネ
シウムを濾過別してもよい。マグネシウムを濾過する場
合でも、濾過器は過剰のマグネシウムが再利用されやす
いように、反応器内部、又は、逆洗により反応器に戻し
やすいような構造にすることが望ましい。生成グリニャ
ール試薬の抜き出し速度は、通常、0.05〜2.0モ
ル/L・hrである。
【0025】ハロゲノスチレン類中に、ジハロゲノスチ
レンが含まれる場合がある。ジハロゲノスチレンが多く
含まれる場合、グリニャール試薬を調製しにくくなり、
収率も低下する。その含有率は1%以下であることが好
ましい。貯槽に保管する際には、次工程のグリニャール
反応の発熱反応や、グリニャール試薬の熱安定性を考慮
し、通常、−10〜40℃、更に好ましくは、0〜25
℃の範囲に保つことが望ましい。
【0026】ここで、この反応で使用する溶媒は、全て
乾燥しておくことが望ましい。これらの試薬の水分含有
率は、カールフィッシャー水分計により管理され、水分
含有率は通常、300ppm以下、更には50ppm以
下であることが望ましい。必要ならばモレキュラーシー
ブ、シリカゲル、アルミナゲル、カチオン交換樹脂等の
乾燥剤で乾燥しなければならない。
【0027】反応器内は、酸素を除き、乾燥した不活性
ガス、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の気体で置
換することが好ましい。酸素が存在すると、グリニャー
ル試薬と反応し、ビニルフェニルオキシラジカルが生成
する。これがポリマー生成の原因となり、収率が低下す
る。更に酸素が存在すると酸化剤として作用し、ジビニ
ルフェニルが生成しやすくなる。このことから、反応器
中の酸素濃度はできる限り低いことが望ましい。その濃
度は0.01%以下であることが好ましい。
【0028】THFは空気中の酸素と容易に反応し、過
酸化物(α−テトラフラニルペルオキシド)を生成する
ことはよく知られている。過酸化物の生成を抑制するた
め、窒素が封入されたり、酸化防止剤が添加されてい
る。にもかかわらず、微量に溶存する酸素によりTHF
の過酸化物が生成する。このTHFの過酸化物は触媒と
して添加している銅イオンとの作用により、生成したグ
リニャール試薬が重合しやすい。この結果、目的物のグ
リニャール試薬の収率が低下する。目的物の収率を向上
させるためには、THF中の過酸化物を除去しなければ
ならない。THF中の過酸化物は、通常知られている方
法に従って除去することができる。例えば、Purif
ication of Lab. Chemicals
(2ndedition(1980))に従って、アル
ミナ処理後、LiAlH4 から蒸留したTHFを使用す
ることも可能である。この他に、硫酸鉄、硫酸水素ナト
リウムで還元除去、蒸留除去することもできる。
【0029】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に限
定されるものではない。 実施例1 4−ビニルフェニルマグネシウムクロライドの製造 窒素ガス導入管、ジムロー冷却管、原料送液管、溶液抜
き出し管、水銀温度計、温度計用熱電対、攪拌羽根、マ
グネシウム滴下管を備えたジャケット付き1L反応缶に
金属マグネシウム51.0g(2.1グラム原子、1.
4当量/クロロスチレン)を入れ、乾燥窒素ガスで充分
置換し、ジャケット温度を20℃に設定した。一方、枝
管付き等圧滴下ロートにモレキュラーシーブで乾燥した
脱気THF324g(4.5モル、3.0当量/クロロ
スチレン)と乾燥脱気トルエン276g(3.0モル、
2.0当量/クロロスチレン)、乾燥脱気p−クロロス
チレン(4−クロロスチレンのみ)207.9g(1.
50モル)の溶液を調製した。滴下ロートから30ml
の前記p−クロロスチレンのTHF−トルエン溶液を滴
下し、この中へ1,2−ジブロモエタンを6滴滴下する
と、滴下した付近から気体が発生し発泡するとともに、
内温が急激に上昇し36℃に達した。発熱が終了した
後、内温が28℃になるように前記p−クロロスチレン
のTHF−トルエン溶液を3時間かけ滴下した。滴下終
了直後のp−クロロスチレンの転化率は65%であっ
た。更に、内温が28℃になるようにジャケット温度を
徐々に28℃にした。3時間熟成後、サンプリングし、
溶液をメタノールに加えて加溶媒分解し、分析したとこ
ろ、原料のp−クロロスチレンは0.1%以下であり、
グリニャール試薬の含有率は99%以上であった。
【0030】分析は以下のように行った。 HPLC分析;ODSカラム:Inertsil OD
S−2、溶離液:80%MeOH水溶液、及び60%M
eOH水溶液(スチレンの定量分析)、流速:2.00
mL/分、検出器:UV254nm、カラム温度:25
℃ GC分析;GCカラムHP−1(ヒューレットパッカー
ド社製品)又はDB−1(J&W社製品)(ID 0.
25nm×30m)、50℃(3分保存)→(昇温10
℃/分)→280℃(3分保持)、検出器:FID、流
速:2.0mL/分、スプリット比:1/50
【0031】次に、得られたグリニャール試薬を用い
て、以下の通り連続反応を行った。即ち、p−クロロス
チレン207.9g(1.50モル)、THF324.
5g(4.5モル、3.0当量/クロロスチレン)と乾
燥脱気トルエン276g(3.0モル、2.0当量/ク
ロロスチレン)の溶液を反応生成溶液中にp−クロロス
チレンが0.1モル/L・hrとなるよう、連続的に滴
下した。反応温度は30℃になるよう調整した。また、
金属マグネシウムは1時間ごとに2.4g(0.1グラ
ム原子)投入した。生成したグリニャール試薬は、原料
の供給速度と同じ速度(0.1モル/L・hr)で抜き
出し管より抜き出した。4時間後、抜き出された反応生
成液を分析した結果、p−クロロスチレンの残存率は
1.0%以下であり、グリニャール試薬の含有率は98
%であった。
【0032】実施例2 4−ビニルフェニルマグネシウムブロマイドの製造 p−クロロスチレン207.9gのかわりにp−ブロモ
スチレン275g(1.50モル)を用いて、グリニャ
ール試薬の反応温度を15℃に設定した以外は、実施例
1と同様に行った。3時間熟成後、サンプリングし、溶
液をメタノールに加えて加溶媒分解し、分析したとこ
ろ、原料のp−ブロモスチレンは0.1%であり、グリ
ニャール試薬の含有率は97%であった。
【0033】引続き、得られたグリニャール試薬を用い
て、次の通り連続反応を行った。p−ブロモスチレン
(純度93%)238g(1.30モル)、THF28
1g(3.90モル、3.0当量/ブロモスチレン)と
トルエン239g(2.60モル、2.0当量/ブロモ
スチレン)の溶液をp−ブロモスチレンが0.2モル・
L/hrとなるよう、p−ブロモスチレンのTHF−ト
ルエン溶液を連続的に滴下した。反応温度は20℃にな
るように調整した。また、金属マグネシウム31.6g
(1.3グラム原子)は3回に分けて投入した。生成し
たグリニャール試薬は、原料の供給速度と同程度に抜き
出し管より抜き出した。4時間後、抜き出された反応生
成物を分析した結果、p−ブロモスチレンの残存率は
0.7%であった。
【0034】実施例3 実施例1における反応温度を20℃にかえ、他は実施例
1同様に連続反応および分析を実施したところ、p−ク
ロロスチレンの残存率は4.0%であった。実施例4 実施製1における連続反応させる際のp−クロロスチレ
ンの滴下速度を0.3モル・L/hrにかえ、他は実施
例1と同様に連続反応および分析を実施したところ、p
−クロロスチレンの残存率は7.0%であった。
【0035】比較例1 実施例1における金属マグネシウムの最初の仕込み量を
145.8g(6.0グラム原子、4.0当量/クロロ
スチレン)にかえ、他は同様に連続反応および分析を実
施したところ、p−クロロスチレンの残存率は0.6%
であった。しかしサンプリングしてメタノール中に滴下
したところ、やや白濁して沈殿を生じ、原料のp−クロ
ロスチレンの重合が進行していることを示した。
【0036】比較例2 実施例1における溶媒を、THF486.7g(6.7
5モル、4.5当量/クロロスチレン)と乾燥脱気トル
エン69.1g(0.75モル、0.5当量/クロロス
チレン)にかえ、その他は同様に連続反応を実施したと
ころ、反応液がしだいに粘調になった。サンプリングし
てメタノール中に滴下したところ白濁、沈殿を生じ、原
料のp−クロロスチレンの重合が進行していることを示
した。
【0037】比較例3 実施例1における金属マグネシウムの最初の仕込み量を
36.5g(1.5グラム原子、1.0当量/クロロス
チレン)にかえて、他は同様に反応を実施した。3時間
熟成後、サンプリングし、溶液をメタノールに加えて加
溶媒分解し、分析したところ、原料のp−クロロスチレ
ンは35%であり、グリニャール試薬の含有率は60%
以下であった。
【0038】
【発明の効果】本発明はハロゲノスチレン類と金属マグ
ネシウムを反応させてビニルフェニルマグネシウムハラ
イド類を連続的に製造する方法において、金属マグネシ
ウム対ハロゲノスチレン類の量を規定することにより、
安全で経済的に、高収率でビニルフェニルマグネシウム
ハライド類を製造する方法を提供するものであり、その
工業的価値は大きいものがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (72)発明者 工藤 慶子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 本多 直子 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 渡辺 純哉 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲノスチレン類と金属マグネシウム
    とを有機溶媒中で反応させて下記一般式(1) 【化1】 (一般式(1)中、Xはハロゲン原子を表し、Rは水素
    原子、アルキル基あるいはハロゲン原子を表す)で示さ
    れるビニルフェニルマグネシウムハライド類を製造する
    方法において、反応条件下にある反応器中に、ハロゲノ
    スチレン類、有機溶媒及び金属マグネシウムを供給する
    と共に、一方生成したビニルフェニルマグネシウムハラ
    イド類を含む反応生成溶液を反応器から抜き出し、且
    つ、該金属マグネシウムの供給量を、反応系中に供給さ
    れるハロゲノスチレン類に対して1.01〜3.8当量
    となるように調節することを特徴とするビニルフェニル
    マグネシウムハライド類の連続的製造方法。
  2. 【請求項2】 反応温度が0〜45℃である、請求項1
    に記載のビニルフェニルマグネシウムハライド類の連続
    的製造方法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒が、テトラヒドロフランと芳香
    族炭化水素との混合溶媒であり、テトラヒドロフランの
    使用量がハロゲノスチレン類に対して1.5〜3.5当
    量である、請求項1または2に記載のビニルフェニルマ
    グネシウムハライド類の連続的製造方法。
  4. 【請求項4】 ハロゲノスチレン類の反応系への供給速
    度が0.05〜2.0モル/L・hrである請求項1〜
    3のいずれかに記載のビニルフェニルマグネシウムハラ
    イド類の連続的製造方法。
  5. 【請求項5】 ハロゲノスチレン類が、2−ハロゲノス
    チレン類および/または3−ハロゲノスチレン類を含有
    し、4−ハロゲノスチレン類が全体の80%以上である
    請求項1〜4のいずれかに記載のビニルフェニルマグネ
    シウムハライド類の連続的製造方法。
  6. 【請求項6】 反応器内の酸素濃度を0.01%以下に
    保持する請求項1〜5のいずれかに記載のビニルフェニ
    ルマグネシウムハライド類の連続的製造方法。
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