JP2000228991A - アペリンの製造法 - Google Patents

アペリンの製造法

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JP2000228991A
JP2000228991A JP11351103A JP35110399A JP2000228991A JP 2000228991 A JP2000228991 A JP 2000228991A JP 11351103 A JP11351103 A JP 11351103A JP 35110399 A JP35110399 A JP 35110399A JP 2000228991 A JP2000228991 A JP 2000228991A
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Masato Suenaga
正人 末永
Takashi Ito
隆司 伊藤
Tadashi Nishimura
紀 西村
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規生理活性ペプチド(アペリン)を工業的か
つ大量に製造するのに有利な製造法を提供する。 【解決手段】N末端にシステインを有する蛋白質または
ペプチドのN末端にアペリンを連結した融合蛋白質また
はペプチドをシステイン残基のアミノ酸側のペプチド結
合の切断反応に付すことを特徴とするアペリンの製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、融合蛋白質または
ポリペプチドを製造し、次いで該融合蛋白質またはポリ
ペプチドをペプチド結合の切断反応に付すことにより、
アペリンまたはその塩を製造する方法に関する。さら
に、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有
するアペリンまたはその塩から効率よくN末端の酸化さ
れていてもよいメチオニン残基あるいは該メチオニン残
基のジケトン体を除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組換え技術を用いて、ペプチドを
製造するに際しては、ペプチドが細胞内で、分解を受け
やすいために、融合蛋白質の形で発現させることがしば
しば行なわれている。融合蛋白質からの目的ペプチドの
切り出しには、ブロムシアンを用い化学的に切断する方
法(イタクラら、Science, 198, 1056(1977))、ファフ
ターXaを用い酵素的に切断する方法(ナガイら、Metho
ds in Enzymology, 153,46(1987))が知られている。さ
らに、蛋白質中のペプチド結合を切断する方法として、
2−ニトロ−5−チオシアノ安息香酸によるアシルシス
テイン結合の切断が知られている(「生化学実験講座」
1,タンパク質の化学II,日本生化学会編,東京化学同
人発行,第247〜250頁1976年)。しかしなが
ら、蛋白質からの目的ペプチドの切り出しについては、
開示されていない。蛋白質が細胞内で生合成される際に
は、そのN末端は mRNAの開始コドンAUGに対応す
るメチオニンから始まっていることが知られている。し
かしながらこのメチオニンは以後のプロセッシングによ
って取り除かれてしまうため、完成された成熟蛋白質分
子にはもはや存在しないのが通例である。遺伝子組換え
技術の進歩により、有用な蛋白質を微生物や動物細胞、
例えば大腸菌を用いて産生することが可能となったが、
本手法により産生される蛋白質には、上記メチオニンが
残存している例が見い出されている。例えば、大腸菌で
発現させたヒト成長ホルモンにおいてメチオニンの付加
率はほぼ100%[ネイチャー(Nature),293,4
08(1981)]に達し、インターフェロン−αにお
いては50%[ジャーナル・オブ・インターフェロン・
リサーチ(J. Interferon Res.),1,381(198
1)]、非グリコシル化ヒトインターロイキン−2で
は、天然型ヒトインターロイキン−2と同じくアラニン
ではじまる分子種(rIL−2)に加え、アミノ末端に
さらにメチオニンの付加した(N末端にメチオニン残基
を有する)分子種(Met−rIL−2)の存在が認めら
れている。一方、N末端のアミノ酸を化学的に除去する
方法としては、Dixon が、DL−アラニルグリシンにグ
リオキシル酸、ピリジン、酢酸銅を反応させるとアミノ
基転移反応が起こり、ピルボイルグリシンが生成するこ
と[バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J),
92,661(1964)]、さらに、化合物にチオセ
ミカルバジドを反応させるとアミド結合の解裂が起こ
り、グリシンを生成することを報告している[バイオケ
ミストリー・ジャーナル(Biochem.J),90,2C
(1964)]。次いで、この反応をチトクロームc−
551(Pseudomonas cytochrome c−551)に応用
し、N末端グルタミン酸が除去されることを報告してい
る[バイオケミストリー・ジャーナル(Biochem. J),
94,463(1965)]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来知られている技術
において、融合蛋白質からの目的ペプチドの切り出しに
際し、ブロムシアンを用いる場合には、メチオニンを含
有するペプチドの製造には適用することはできないし、
切り出し時の収率等に問題が多い。このように、融合蛋
白質またはポリペプチドから目的とするペプチドを効率
良く切り出す方法が望まれている。さらに、同じ蛋白質
であっても、N末端にメチオニンの付加した分子種とそ
うでない分子種とは蛋白質の高次構造、生物活性、安定
性が相互に異なる可能性があり、さらにメチオニンのN
末端への付加が抗原性の増加をもたらす可能性もありう
るものと考えられる。従って、産業利用上の観点から、
この開始コドンに対応するN末端メチオニン除去法を確
立することは意義あることと考えられる。この課題を解
決するため、臭化シアン(BrCN)分解によってメチ
オニンを取り除く方法[サイエンス(Science),19
8,1056(1977)]が提案されているが、この
場合は所望の成熟蛋白質中にメチオニン残基が存在しな
いことが前提となる上、過酷な化学反応を蛋白質に付す
該方法によっては、決して満足する結果は得られない。
N末端にメチオニン残基を有するペプチドまたは蛋白質
から、ペプチドまたは蛋白質の種類に拘わらず、選択的
かつ効率的に、N末端のメチオニン残基を除去すること
を可能とする化学的な方法としては、特開平10−72
489号(EP−A−812856号)に記載の方法以
外には全く知られていないが、このことは、最終生産物
となるペプチドまたは蛋白質を変性させることなく、マ
イルドな条件下でN末端のメチオニン残基を除去しうる
化学的な反応を見い出すことの困難性に起因すると考え
られる。特に、分子量が比較的大きく、遺伝子工学的に
製造される蛋白質、なかでも、医薬として用いることを
目的とした蛋白質から、N末端に余分に付加したメチオ
ニンを除去する場合、メチオニン除去後に蛋白質の活性
が低下しないことが要求されるため、通常、弱酸性から
弱アルカリの水溶液中で加熱することなく、反応を進行
させる必要があり、化学的な反応条件としては制限が多
いので、良好な反応条件を見い出せないのが現状であっ
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規生理
活性ペプチドであるアペリン(Biochem. Biophys. Res.
Commun., 251, 471-476,(1998))またはその塩を効
率良く製造する方法について鋭意検討を加えたところ、
N末端にシステインを有する蛋白質またはポリペプチド
のN末端にアペリンを連結した融合蛋白質またはポリペ
プチドを製造し、次いでこれをペプチド結合を切断する
反応に付すことにより、アペリンを効率良く製造できる
ことを見い出した。さらに、本発明者らは、遺伝子工学
的に製造されるアペリンにおけるN末端のメチオニン残
基のみを切断することによる、天然型のアミノ酸配列を
有するアペリンの製造法を提供すべく鋭意研究したとこ
ろ、下記のスキーム1に表されるとおり式(I)で表わ
されるN末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を
有するアペリンに、例えば、α-ジケトン類であるグリ
オキシル酸、遷移金属イオンを供与しうる硫酸銅、塩基
(例えばアミン類)であるピリジンを反応させて、アミ
ノ基転移反応を行うことにより得られる該メチオニン残
基のジケトン体を有するアペリンに塩基(例えばジアミ
ン類)である3,4−ジアミノ安息香酸を反応させて加
水分解反応を行うことにより、該メチオニン残基のジケ
トン体を有するアペリンからメチオニン残基のジケトン
体を予想外にも効率よく除去できることを見出した。す
なわち、本発明者らはメチオニン残基を有するアペリン
から、N末端の酸化されていてもよいメチオニン残基を
除去し、その活性を低下させることなく、N末端に酸化
されていてもよいメチオニン残基を有していないアペリ
ンを予想外にも高収率で得る方法を見い出し、さらに研
究を進め、本発明を完成させるに至った。 (スキーム1)
【化1】 [式(I)中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアペ
リンのペプチド鎖を示す。] 本願明細書においては、上記スキーム1中、 (1)一般式(I)で表される化合物を「N末端に酸化
されていてもよいメチオニン残基を有するアペリンまた
はその塩」または「メチオニン残基を有するアペリンま
たはその塩」; (2)一般式(I)において
【化2】 [式中、mは前記と同意義]で表される部分構造を「酸化
されていてもよいメチオニン残基」、「メチオニン残
基」または「メチオニン」; (3)一般式(II)で表される化合物を「N末端に酸化
されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を有する
アペリンまたはその塩」または「メチオニン残基のジケ
トン体を有するアペリンまたはその塩」; (4)一般式(II)において
【化3】 [式中、mは前記と同意義]で表される部分構造を「酸化
されていてもよいメチオニン残基のジケトン体」または
「メチオニン残基のジケトン体」;および、 (5)一般式(III)に代表される化合物を「N末端に
酸化されていてもよいメチオニン残基を有していないア
ペリンまたはその塩」または「N末端に酸化されていて
もよいメチオニン残基のジケトン体を有していないアペ
リンまたはその塩」と、それぞれ称することがある。
【0005】本発明は、(1)N末端にシステインを有
する蛋白質またはペプチドのN末端に、N末端に酸化さ
れていてもよいメチオニン残基を有していてもよいアペ
リンを連結した融合蛋白質またはペプチドをシステイン
残基のアミノ基側のペプチド結合の切断反応に付すこと
を特徴とするアペリンまたはその塩の製造法、(2)N
末端にシステインを有する蛋白質またはペプチドのN末
端に、N末端にメチオニン残基を有していてもよいアペ
リンを連結した融合蛋白質またはペプチドをコードする
遺伝子を有するベクターを保持する形質転換体を培養し
て融合蛋白質またはペプチドを発現させ、発現された融
合蛋白質またはペプチドをシステイン残基のアミノ基側
のペプチド結合の切断反応に付すことを特徴とするN末
端にメチオニン残基を有していてもよいアペリンまたは
その塩の製造法、(3)切断反応がS−シアノ化反応、
次いで加水分解反応に付す反応である上記(1)または
(2)記載の製造法、(4)アペリンが配列番号:1で
表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドである上
記(1)または(2)記載の製造法、(5)N末端にシ
ステインを有する蛋白質またはペプチドのN末端に、N
末端にメチオニン残基を有していてもよいアペリンを連
結した融合蛋白質またはペプチド、(6)上記(5)記
載の融合蛋白質またはペプチドをコードする遺伝子を有
するベクター、(7)上記(6)記載のベクターを含有
する形質転換体、(8)N末端に酸化されていてもよい
メチオニン残基を有するアペリンまたはその塩とα−ジ
ケトン類を反応させた後、加水分解することを特徴とす
る該メチオニン残基の除去方法、(9)N末端に酸化さ
れていてもよいメチオニン残基を有するアペリンが遺伝
子工学的に製造されたアペリンである上記(8)記載の
方法、(10)遷移金属イオンの存在下にα−ジケトン
類を反応させることを特徴とする上記(8)記載の方
法、(11)塩基の存在下にα−ジケトン類を反応させ
ることを特徴とする上記(8)記載の方法、(12)遷
移金属イオンおよび塩基の存在下にα−ジケトン類を反
応させることを特徴とする上記(8)記載の方法、(1
3)α−ジケトン類がグリオキシル酸またはその塩であ
る上記(8)記載の方法、(14)遷移金属イオンが銅
イオンである上記(10)記載の方法、(15)塩基が
ピリジンである上記(11)記載の方法、(16)塩基
を用いて加水分解することを特徴とする上記(8)記載
の方法、(17)塩基がアミン類である上記(16)記
載の方法、(18)塩基がジアミン類またはチオもしく
はセレノセミカルバジド類である上記(16)記載の方
法、(19)ジアミン類がo−フェニレンジアミンまた
は3,4−ジアミノ安息香酸である上記(18)記載の
方法、(20)遺伝子工学的に製造され、N末端にメチ
オニンが付加したアペリンまたはその塩とグリオキシル
酸またはその塩とを硫酸銅およびピリジンの存在下に反
応させた後、o−フェニレンジアミンまたは3,4−ジ
アミノ安息香酸と反応させることを特徴とするアペリン
またはその塩の製造法、(21)式 CH3-S(O)m-(CH2)2
-CO-CO-X〔式中、mは0ないし2の整数を、Xはアペリ
ンのペプチド鎖を示す。〕で表される化合物またはその
塩、(22)上記(21)記載の化合物を加水分解する
ことを特徴とするアペリンまたはその塩の製造法、およ
び(23)N末端にシステインを有する蛋白質またはペ
プチドのN末端に、N末端にメチオニン残基を有するア
ペリンを連結した融合蛋白質またはペプチドをシステイ
ン残基のアミノ基側のペプチド結合の切断反応に付し、
N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有する
アペリンまたはその塩を得、さらに、該N末端に酸化さ
れていてもよいメチオニン残基を有するアペリンまたは
その塩とα−ジケトン類を反応させた後、加水分解する
ことを特徴とするアペリンまたはその塩の製造法などに
関する。
【0006】本発明の方法に用いられるアペリンとして
は、例えばBiochem. Biophys. Res.Commun., 251, 471-
476,(1998)に記載のヒトアペリン−36(配列番号:
1で表されるアミノ酸配列で表されるポリペプチド)、
アペリン−13(配列番号:1の第24〜36番目のア
ミノ酸配列で表されるポリペプチド)、アペリン−13
のN末端のアミノ酸(Gln)がピログルタミン酸化し
たペプチドなどがあげられ、APJ(O'Dowd. B.F., et
al., Gene, 436, 355-359, 1993)に対し、リガンド活
性を有するペプチドであれば、如何なるものであってい
てもよく、具体的には、例えばWO 99/33976
(特願平10−364656号)に記載の「配列番号:
3で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質に結合能を
有するポリペプチド」などがあげられる。また、本発明
のアペリンには、GlnのN端側が生体内で切断され、
該Glnがピログルタミン酸化したものなども含まれ
る。本明細書におけるペプチドはペプチド標記の慣例に
従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カ
ルボキシル末端)である。配列番号:1で表されるペプ
チドのC末端は、カルボキシル基(-COOH)、カルボキシ
レート(-COO-)、アミド(-CONH2)、アルキルアミド(-C
ONHR)またはエステル(-COOR)であってもよい。エステ
ルまたはアルキルアミドのRとしては、例えばメチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチ
ルなどのC1-6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘ
キシルなどのC3-8シクロアルキル基、フェニル、α−
ナフチルなどのC6-12アリール基、ベンジル、フェネチ
ル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1-2アルキル、
もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C
1-2アルキルなどのC7-14アラルキル基のほか、経口用
エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチルエス
テルなどがあげられる。本発明のアペリンの塩として
は、生理学的に許容される塩基(例えばアルカリ金属な
ど)や酸(有機酸、無機酸)との塩が用いられるが、と
りわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この
ような塩としては例えば無機酸(例えば、塩酸、リン
酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例え
ば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ
酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン
酸)との塩などが用いられる。本発明の方法に用いられ
るN末端にシステインを有する蛋白質またはペプチドと
しては、特定されるものではない。そのN末端にシステ
インを有しない蛋白質またはペプチドの場合は、自体公
知の方法によりN末端にシステインを有するようにすれ
ばよい。
【0007】該N末端にシステインを有する蛋白質また
はペプチドとしては、分子量が100〜100000の
ものが好ましく、さらに、分子量が300〜50000
のものが好ましい。また、N末端にシステインを有する
蛋白質またはペプチドとしては、1〜1000個のアミ
ノ酸を有するものが好ましく、さらに3〜500個のア
ミノ酸を有するものが好ましい。該蛋白質またはペプチ
ドとしては、例えばインターフエロン類、インターロイ
キン類、線維芽細胞成長因子(aFGF、bFGFな
ど)等各種成長因子類、(プロ)ウロキナーゼ類、リンホ
トキシン、Tumor Necrosis Factor(TNF)、β−ガラ
トシターゼなどの酵素タンパク類、貯蔵タンパク類、ス
トレプトアビシン、プロテインA、プロテインG、Tiss
ue Plasminogen Activator(TPA)、これらのムテイン
又はこれらの一部(断片)などのN末端にシステインを
有するものがあげられる。なかでも、線維芽細胞成長因
子(aFGF、bFGFなど)またはそのムテインまた
はこれらの一部(断片)(例えば、bFGF CS23
ムテインなど)などが好ましく用いられる。bFGF
CS23ムテインとしては、例えば、Pro-Ala-Leu-Pro-
Glu-Asp-Gly-Gly-Ser-Gly-Ala-Phe-Pro-Pro-Gly-His-Ph
e-Lys-Asp-Pro-Lys-Arg-Leu-Tyr-Cys-Lys-Asn-Gly-Gly-
Phe-Phe-Leu-Arg-Ile-His-Pro-Asp-Gly-Arg-Val-Asp-Gl
y-Val-Arg-Glu-Lys-Ser-Asp-Pro-His-Ile-Lys-Leu-Gln-
Leu-Gln-Ala-Glu-Glu-Arg-Gly-Val-Val-Ser-Ile-Lys-Gl
y-Val-Ser-Ala-Asn-Arg-Tyr-Leu-Ala-Met-Lys-Glu-Asp-
Gly-Arg-Leu-Leu-Ala-Ser-Lys-Ser-Val-Thr-Asp-Glu-Cy
s-Phe-Phe-Phe-Glu-Arg-Leu-Glu-Ser-Asn-Asn-Tyr-Asn-
Thr-Tyr-Arg-Ser-Arg-Lys-Tyr-Thr-Ser-Trp-Tyr-Val-Al
a-Leu-Lys-Arg-Thr-Gly-Gln-Tyr-Lys-Leu-Gly-Ser-Lys-
Thr-Gly-Pro-Gly-Gln-Lys-Ala-Ile-Leu-Phe-Leu-Pro-Me
t-Ser-Ala-Lys-Ser(配列番号:3)で表されるアミノ酸
配列を含有し、そのN末端にシステイン残基が付加した
蛋白などがあげられる。
【0008】本発明方法で用いられる融合蛋白質(融合
ペプチドを含む)をコードする遺伝子は、(1)全塩基配
列を化学的に合成してもよいし、(2)蛋白質をコードす
る塩基配列のN末端側にシステインをコードする塩基配
列を配置しさらにそのN末端側にアペリンをコードする
塩基配列を配置することにより該遺伝子を構築してもよ
い。また、(3)該ペプチドのフラグメントを得るのが
目的の場合には、所望のフラグメントの直後のアミノ酸
残基をsite-directed mutagenesis 等の手法でシステイ
ンに置換した該遺伝子を構築すればよい。上記の(1)の
場合の製造法としては、例えば、自体公知のホスホアミ
ダイド法、リン酸トリエステル法、ジエステル法、ハイ
ドロジェンホスホネート法などを用いて、短いものなら
一度に、長いものでは分割して合成した後にT4DNA
リガーゼを用いて連結して作成することが可能である。
【0009】上記の(2)の場合の製造法としては、例え
ば、C末端側の蛋白をコードする遺伝子は、染色体から
適当な制限酵素で切断し、ベクターに連結して得るか、
もしくはcDNAを取得する。しかる後にN末端がシス
テインになるように制限酵素で 切断するか、もしく
は、合成DNAを全蛋白もしくはその一部の遺伝子の
5'−末端に結合しN末端がシステインになるように改
変する。その5'−末端に目的の蛋白質をコードする遺
伝子(化学合成したものでも、生体よりクローニングし
てきたものでもよい)をつなげる。などが考えられる。
このようにして得られる融合蛋白質をコードする遺伝子
の具体例としては、例えば式 CTGGTGCAGCCCAGAGGGTCAAGGAATGGGCCAGGGCCCTGGCAGGGAGGTCGGAGGAAATTCCGCCGCCAG CGGCCCCGCCTCTCCCATAAGGGACCCATGCCTTTC-TGC または TGT-R (I) 〔式中、RはCCCGAGGATGGCGGCAGCGGCGCCTTCCCGCCCGGCCA
CTTCAAGGACCCCAAGCGGCTGTACTGCAAAAACGGGGGCTTCTTCCTGC
GCATCCACCCCGACGGCCGAGTTGACGGGGTCCGGGAGAAGAGCGACCCT
CACATCAAGCTACAACTTCAAGCAGAAGAGAGAGGAGTTGTGTCTATCAA
AGGAGTGAGCGCTAATCGTTACCTGGCTATGAAGGAAGATGGAAGATTAC
TAGCTTCTAAGTCTGTTACGGATGAGTGTTTCTTTTTTGAACGATTGGAA
TCTAATAACTACAATACTTACCGGTCAAGGAAATACACCAGTTGGTATGT
GGCACTGAAACGAACTGGGCAGTATAAACTTGGATCCAAAACAGGACCTG
GGCAGAAAGCTATACTTTTTCTTCCAATGTCTGCTAAGAGCTGC (h
bFGFムテインCS23の断片)からなる塩基配列を
示す。〕で表わされるDNAなどがあげられる。
【0010】上記式(I)はヒト(human)アペリン−3
6を含有するポリペプチドをコードするDNA塩基配列
(配列番号:2)にシステインをコードする塩基配列を
介してRで示される塩基配列が結合していることを示
す。5'末端にATGを有し、その下流に該融合蛋白質
をコードする領域、ついで翻訳終止コドンを有するDN
A(プラスミド)は、化学合成で、あるいは遺伝子工学的
に製造された公知の該蛋白質のcDNA、もしくは、染
色体由来の該蛋白質のDNAを加工することにより製造
することができる。本発明のN末端にシステインを有す
る蛋白質またはペプチドのN末端にアペリンを連結した
融合蛋白質またはペプチドをコードする遺伝子を、従来
のDNA技術、例えば特定部位指向性変異誘発技術を用
いて目的のムテインをコードする遺伝子に変換すること
ができる。特定部位指向性変異誘発技術は周知であり、
アール・エフ・レイサー(Lather,R. F.)及びジェイ・ピ
ー・レコック(Lecoq, J. P.)、ジェネティック・エンジ
ニアリング(Genetic Engineering)、アカデミックプレ
ス社(1983年)第31−50頁に示されている。オリ
ゴヌクレオチドに指示された変異誘発はエム・スミス(S
mith, M.) 及びエス・ギラム(Gillam, S.)、ジェネティ
ック・エンジニアリング:原理と方法、プレナムプムス
社(1981年)3巻 1−32頁に示されている。
【0011】該融合蛋白質をコードする領域を有するD
NAを有するプラスミドを製造するにあたって、ベクタ
ーとして用いられるプラスミドとしては、例えば大腸菌
(Escherichia coli)由来のpBR322〔ジーン(Gen
e),,95(1977)〕,pBR313〔ジーン,
,75(1977)〕,pBR324,pBR325〔ジ
ーン,,124(1978)〕,pBR327,pBR3
28〔ジーン,,287(1980)〕,pBR329
〔ジーン,17,79(1982)〕,pKY2289
〔ジーン,,1(1978)〕,pKY 2700〔生化
学,52,770(1980)〕,pACYC177,pA
CYC184〔ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J
ournal of Bacteriology),134,1141(197
8)〕,pRK248,pRK646,pDF〔メソッズ
・イン・エン ジーモロジー(Methods inEnzymology),
68,268(1979)〕,pUC18,pUC19〔ヤ
ニシューペロンら,ジーン(Gene),33,103(19
85)〕などがあげられる。また、バクテリオファー
ジ、例えばλファージを使用したλgt系のλgt・λC
〔Proc.Natl. Acad. Sci. U.S.A. ,4579
(1974)〕,λgt・λB〔Proc.Natl. Acad. Sci.
U.S.A. 72,3461(1975)〕,λDam〔ジー
ン,,255(1977)〕やシャロンベクター〔サイ
エンス,(Science),196,161(1977);ジャ
ーナル・オブ・ビーロロジー(Journal of Virology),
29,555(1979)〕,繊維状ファージを使用した
mp系のmp18,mp19〔ヤニシューペロンら,ジーン(G
ene),33,103(1985)〕ベクターなどもあげら
れる。
【0012】上記DNAは、ATGの上流にプロモータ
ーを有しているのが好ましく、該プロモーターは、形質
転換体の製造に用いる宿主に対応して適切なプロモータ
ーであればいかなるものでもよい。例えば大腸菌(Esche
richia coli)ではtrpプロモーター,lacプロモーター,
rec Aプロモーター,λPLプロモーター,lppプロモ
ーター,T7プロモーターなど、枯草菌(Bacillus subt
ilis)ではSPO1プロモーター,SPO2プロモータ
ー,penPプロモーターなど、酵母(Saccharomyces cere
visiae)ではPHO5プロモーター,PGKプロモータ
ー,GAPプロモーター,ADHプロモーターなど、動
物細胞ではSV40由来のプロモーターなどがあげられ
る。必要によりSD(シヤインアンドダルガーノ)配列を
プロモーターの下流に挿入してもよい。T7プロモータ
ーの系を用いる場合には、T7プロモーターとしては、
T7DNA上で見い出されている17種のプロモーター
〔J. L. Oakley ら,Proc.Natl. Acad. Sci, U.S.
A,74:4266−4270(1977),M. D. Ros
a,Cell 16:815−825(1979),N. Panayota
tos ら,Nature,280:35(1979),J. J. Dunn
ら,J. Mol. Biol.,166:477−535(198
3)〕のいずれでもよいがφ10プロモーター〔A. H. R
osenberg ら,Gene,56:125−135(198
7)〕が好ましい。
【0013】転写ターミネーターとしては、大腸菌の系
で作動するターミネーター、好ましくはTφターミネー
ター〔F. W. Studier ら,J. Mol. Biol.,189:1
13−130(1986)〕が用いられる。T7RNAポ
リメラーゼ遺伝子としてはT7遺伝子〔F. W. Studier
ら,J. Mol. Biol.,189:113−130(198
6)〕をあげることが出来る。ベクターは上記ベクター
にT7プロモーター,T7ターミネーターを組み込んで
構築されるのが好ましく、このようなベクターとして
は、pET−1,pET−2,pET−3,pET−4,p
ET−5〔A. H. Rosenberg, Gene 56:125−13
5(1987)〕、pTB960−2〔EP−A−499
990〕などをあげることができるが、好ましくはpT
B960−2が用いられる。
【0014】本発明の形質転換体は、上記方法で得られ
る発現用プラスミドを自体公知の方法〔例、コーエンS,
N, ら,プロシージング・オブ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.
A.),69,2110(1972)〕で宿主を形質転換す
ることにより製造することができる。形質転換される微
生物の宿主としては、例えば、エシエリシア(Esch
erichia)属菌,バチリス(Bacillus)
属菌,酵母,動物細胞などがあげられる。上記エシエリ
シア属菌の例としては、エシエリシア・コリ(E. coli)
があげられ、具体的にはエシエリシア・コリ(Escherich
ia coli)K12DH1〔プロシーディングス・オブ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Proc. Nat
l.Acad. Sci. U.S.A.),60,160(196
8)〕,JM−103〔ヌクレイック・アシッズ・リサ
ーチ,(Nucleic Acids Research),,309(198
1)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー
・バイオロジー(Journal ofMolecular Biology),12
,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オ
ブ・モレ キュラー・バイオロジー,41,459(1
969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),
39,440(1954)〕,N4830〔セル(Cell),
25,713(1981)〕,K−12MM294〔プロ
シーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシズ,73,4174(1976)〕BL−2
1などがあげられる。
【0015】上記バチルス属菌としては、例えばバチル
ス・サチルス(Bacillus subtilis)があげられ、具体的
にはバチルス・サチルスMI114(ジーン,24,2
55(1983)),207−21〔ジャーナル・オブ・
バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),
,87(1984)〕などがあげられる。上記酵母とし
ては、例えばサッカロマイセス・セレビシアエ(Sacchar
omyces cerevisiae)があげられ、具体的には、サッカロ
マイセス・セレビシアエAH22〔Proc. Natl. Acad.
Sci. USA,75,1929(1978)〕,XSB5
2−23C〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,77
2173(1980)〕,BH−641A(ATCC 2
8339),20B−12〔Genetics,85,23(19
76)〕,GM3C−2〔Proc. Natl. Acad. Sci. US
A,78 2258(1981)〕などがあげられる。
【0016】動物細胞としては、例えばサル細胞COS
−7〔セル(Cell),23,175(1981)〕,Vero
〔(日本臨床 21,1209(1963)〕,チャイニ
ーズハムスター細胞CHO〔ジャーナル・オブ・エクス
ペリメンタル・メデイシン(J.Exp. Med.),108,9
45(1985)〕,マウスL細胞〔ジャーナル・オブ・
ナショナル・キャンサー・インスティチュート(J. Nat.
Cancer Inst.),,165(1943)〕,ヒトFL細
胞〔プロシーディングス・オブ・ザ・ソサエティ・フォ
ー・エキスペリメンタル・バイオロジー・アンド・メデ
ィシン(Proc. Soc. Exp. Biol. Med.),94,532
(1957)〕,ハムスターC細胞などがあげられる。
【0017】T7プロモーターの系を用いる場合には、
その形質転換体の宿主としては、T7RNAポリメラー
ゼ遺伝子(T7遺伝子1)〔F. W. Studierら,J. Mol. B
iol.189:113−130(1986)〕を組み込んだ
大腸菌株、例えばMM294,DH−1,C600,J
M109,BL21,あるいはT7RNAポリメラーゼ
遺伝子(T7遺伝子1)を他のプラスミドと共に組込んだ
大腸菌株など、ならいずれでもよい。好ましくはT7遺
伝子1を組み込んだλファージが溶原化したMM294
株およびBL21株が用いられる。この場合T7遺伝子
1のプロモーターとしては、イソプロピル−1−チオ−
β−D−ガラクトピラノシド(IPTGと略することが
ある。)で発現が誘導されるlacプロモーターが用いられ
る。
【0018】バチルス属菌を宿主として形質転換するに
は、例えばモレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネ
ティックス(Molecular and General Genetics), 168,
111(1979)など公知の方法に従って行なうことができ
る。酵母菌を宿主として形質転換するには、例えばPro
c. Natl. Acad. Sci. USA,75, 1929(1978)などの公知
の方法に従って行なうことができる。動物細胞を宿主と
して形質転換するには、例えばヴィーロロジー(Virolog
y, 52, 456(1973)などの公知の方法に従って行なうこと
ができる。融合蛋白は、上述の形質転換体を培地に培養
し、産生された融合蛋白を採取することにより製造する
ことができる。培地のpHは約6〜8が望ましい。
【0019】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔Miller, ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン
・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experi
ments in Molecular Genetics), 431-433, Cold Spring
Harbor Laboratory, New York 1972)〕が好ましい。こ
こに必要によりプロモーターを効率よく働かせるため
に、例えば3β−インドリル アクリル酸やイソプロピ
ルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)のよう
な薬剤を加えることができる。
【0020】宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通
常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、
通気や撹拌を加えることもできる。宿主がバチルス属菌
の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行
い、必要により通気や撹拌を加えることもできる。宿主
が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、
例えばバークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostia
n, K. L. ら、プロシージングス・オブ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sc
i.) USA, 77, 4505(1980)〕があげられる。培地のpHは
約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃
〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や
撹拌を加える。
【0021】宿主が動物細胞である形質転換体を培養す
る際、培地としては、例えば約0.2〜20%好ましく
は約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエ
ンス(Science),122, 501(1952)〕,DME培地〔ヴィ
ロロジー(Virology), 8, 396(1959)〕,RPMI 16
40培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディ
カル・アソシエーション(The Journal of the American
Medical Association),199, 519(1967)〕,199培
地〔プロシーディング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォ
ー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of t
he Society for the Biologcal Medicine),73, 1 (195
0)〕などがあげられる。pHは約6〜8であるのが好ま
しい。培養は通常約30〜40℃、培養時間は約15〜
60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0022】融合蛋白質は、上記形質転換体を培養し、
培養物中に該融合蛋白質を生成,蓄積せしめ、これを採
取することにより製造することができる。培地として
は、例えばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミ
ラー,J.,エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジ
ェネテイクス(Experiments in Molecular Genetics),
431−433(Cold Spring Horbor Laboratort,New
York1972)〕,2×YT培地〔メシング,メソッド
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),
101,20(1983)〕LB培地などがあげられる。
【0023】培養は通常約15〜43℃で約3〜24時
間行い、必要により、通気や撹拌を加えてもよい。λc
Itsリプレッサーと、λPL−プロモーターを含有する
発現ベクターとを有する組換え体を使用する場合には、
培養は約15〜36℃好ましくは約30℃〜36℃の温
度で行い、λc Itsリプレッサーの不活化は約37℃〜
42℃で行うのが好ましい。またrecAプロモーターを
より効率良く働かせるため、すなわちrecA遺伝子発現
抑制機能を低下せしめるため、必要によりマイトマイシ
ンC,ナルジキシン酸などのような薬剤を添加したり、
紫外線を照射する、あるいは培養液のpHをアルカリ側
に変化させてもよい。T7プロモーターの系を用いてい
る場合には、(1)lacプロモーターの下流に連結されて
いるT7遺伝子(RNAポリメラーゼ遺伝子)を発現させ
る時はIPTGなどを添加する、もしくは(2)λPL
ロモーターの下流に連結されているT7遺伝子(RNA
ポリメラーゼ遺伝子)を発現させる時は培養の温度を上
昇させることなどにより、生成するT7ファージRNA
ポリメラーゼ1により特異的にT7プロモーターを作動
させる。
【0024】培養後、公知の方法で菌体を集め、例えば
緩衝液に懸濁したのち、例えば、蛋白変性剤処理,超音
波処理やリゾチームなどの酵素処理,グラスビーズ処
理,フレンチプレス処理,凍結融解処理などを行って菌
体を破砕し、遠心分離など公知の方法によって上清を得
る。上記により得られた上清から、融合蛋白質を単離す
るには、通常知られている蛋白質の精製法に従えばよ
い。例えば、ゲル濾過法,イオン交換クロマトグラフィ
ー,吸着クロマトグラフィー,高速液体クロマトグラフ
ィー,アフイニティークロマトグラフィー,疎水クロマ
トグラフィー,電気泳動等を適切に組み合せて行うこと
ができる。ここに得られる該融合蛋白質のN末端には翻
訳開始コドンに由来するメチオニンが付加している場合
がある。また、該融合蛋白質は、精製することなく、あ
るいは部分精製の状態で、次の反応工程に進んでもよ
い。次に、このようにして得られる融合蛋白質やペプチ
ドをシステイン残基のアミノ基側のペプチド結合の切断
反応に付す。該切断反応としては、例えば、S−シアノ
化反応次いで加水分解反応があげられる。アペリンのア
ミドまたはその塩を最終物として得る場合には、該切断
反応としては、例えば、S−シアノ化反応次いでアンモ
ノリシスを行うことがあげられる。該S−シアノ化反応
は、原料化合物に、S−シアノ化試薬を作用させること
により行なう。
【0025】S−シアノ化試薬としては例えば2−ニト
ロ−5−チオシアノ安息香酸(NTCB),1−シアノ−
4−ジメチルアミノピリジウム塩(DMAP−CN),C
-イオンなどがあげられる。該S−シアノ化試薬の量
は、全チオール基の約2倍から50倍量であればよい。
より好ましくは約5倍〜10倍量であればよい。反応温
度は約0゜〜80℃の間であれば、いずれでもよく、約
0゜〜50℃の間がより好ましい。用いる溶媒として
は、S−シアノ化試薬と反応しないものであれば、いず
れの緩衝液でもよいが、例えば、トリス−塩酸緩衝液,
トリス−酢酸緩衝液,リン酸緩衝液,ホウ酸緩衝液,な
どがあげられる。また、有機溶媒は、S−シアノ化試薬
と反応しないものであれば、存在していてもよい。該反
応は、pH1〜12の間で行なうのが良い。特に、NT
CBを用いる場合にはpH7〜10,DMAP−CNを
用いる場合にはS−S交換反応を防止するため、pH2
〜7の間が好ましい。また、反応液中には、塩酸グアニ
ジン等の変性剤が存在していてもよい。
【0026】上記加水分解反応としては、例えばアルカ
リ処理に付すことがあげられる。該アルカリ処理として
は、原料化合物を含有する水溶液のpHを7〜14に、
調整することにより行なわれる。該pHの調整は、例え
ば水酸化ナトリウム,アンモニア,アミノ化合物,トリ
ツマベース(トリス〔ヒドロキシメチル〕−アミノメタ
ン),リン酸第2ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化
バリウム等の溶液を原料化合物を含有する水溶液に適当
量加えて行うが特に水酸化ナトリウムなどが好ましい。
上記反応の際の溶液の濃度としては、たとえば水酸化ナ
トリウムの場合は約0.01〜2N好ましくは約0.05
〜1N、アンモニアまたはアミノ化合物の場合は約0.
01〜15N好ましくは約0.1〜3N、トリツマベー
スの場合は約1mM〜1M好ましくは約20mM〜200
mM、リン酸第2ナトリウムの場合は約1mM〜1M好ま
しくは約10mM〜100mM、水酸化カリウムの場合は
約0.01〜4N好ましくは約0.1〜2Nがあげられ
る。反応温度は約−20℃〜80℃の間であればいずれ
でもよく、約−10℃〜50℃の間がより好ましい。
【0027】反応時間は、好ましくは、S−シアノ化反
応は約1〜60分好ましくは約15〜30分が、加水分
解反応は約5分〜100時間好ましくは10分〜15時
間が、アンモノリシスは約5分〜24時間好ましくは約
10〜180分があげられる。上記のS−シアノ化また
は加水分解により、〔図1〕に示される反応が起こると
考えられる。〔図1〕において、XはR1−(NR2)−
(式中、R1およびR2は同一または異なって、(i)水
素、(ii)C1-20アルキル,C3-8シクロアルキル,C
6-14アリール(aryl)またはC6-14アリール−C1-3アル
キル(これらは置換基を有していないかあるいは1〜3
個のアミノ基,水酸基などを炭素原子上に有していても
よい)、(iii)置換されていてもよいアミノ、(iv)水酸基
またはC1-6アルコキシ基を示す。)またはOHを示
す。上記C1-20アルキルの例としては、例えば、メチ
ル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチル,sec-ブ
チル,ペンチル,イソペンチル,ネオペンチル,1−エ
チルペンチル,ヘキシル,イソヘキシル,ヘプチル,オ
クチル,ノナニル,デカニル,ウンデカニル,ドデカニ
ル,テトラデカニル,ペンタデカニル,ヘキサデカニ
ル,ヘプタデカニル,オクタデカニル,ノナデカニルお
よびエイコサニルなどがあげられる。上記C3-8シクロ
アルキルの例としては、例えば、シクロプロピル,シク
ロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル,シクロヘ
プチル,シクロオクチルなどがあげられる。上記C6-14
アリールの例としては、フェニル,ナフチル,アンスリ
ル,フェナンスリル,アセナフチレニルなどがあげられ
る。上記C6-14アリール−C1-3アルキルの例として
は、例えばベンジル,フェネチル,3−フェニルプロピ
ル,(1−ナフチル)メチル,(2−ナフチル)メチルなど
があげられる。上記C1-6アルコキシの例としては、例
えばメトキシ,エトキシ,プロポキシ,ブトキシ,ペン
チルオキシ,ヘキシルオキシなどがあげられる。
【0028】上記(iii)の置換されていてもよいアミノ
の置換基の例としては、例えばアミノ酸,2〜10個の
アミノ酸からなるペプチドなどがあげられる。上記アミ
ノ酸としては、L−体でもD−体でもよく、その例とし
ては、例えば、Ala,Arg,Asp,Asn,Glu,Gln,Gly,H
is,Ile,Met,Leu,Lys, Phe,Pro,Ser,Thr, Trp, Ty
r, Val などがあげられる。上記ペプチドの例として
は、例えば、H-D-Leu-Leu-Arg-Pro-NH-C2H5,H-Val-Ala
-Leu-D-Ala-Ala-Pro-Leu-Ala-Pro-Arg-OH などがあげら
れる。該反応において、アンモニアまたはアミノ化合物
を用いた場合には、対応するアミド体が得られる。
【0029】切り出された目的ペプチドを単離するに
は、通常知られているペプチドの精製法に従がえばよ
い。例えば、ゲル濾過法,イオン交換クロマトグラフィ
ー,高速液体クロマトグラフィー,アフイニティークロ
マトグラフィー,疎水クロマトグラフィー,薄層クロマ
トグラフィー,電気泳動等を適宜組み合せて行うことが
できる。ここで得られる目的ペプチドのN末端には翻訳
開始コドンに由来するメチオニンが付加している場合が
あるが、下記に詳述される方法に準じて、例えば、グリ
オキシル酸などのα−ジケトン類を反応(好ましくは、
硫酸銅などの遷移金属イオンとピリジンなどの塩基の存
在下に反応)させた後、o−フェニレンジアミンなどの
ジアミン類を用いて加水分解することによりN末端のメ
チオニンを除去することも可能である。
【0030】〔アペリンのN末端のメチオニンの除去方
法〕本明細書において、酸化されていてもよいメチオニ
ン残基は、メチオニン残基またはそのS酸化体を示し、
メチオニン残基のS酸化体としては、スルホキシドおよ
びスルホン体が挙げられる。N末端に酸化されていても
よいメチオニン残基を有するアペリンとしては、 式 CH3-S(O)m-(CH2)2-CH(NH2)-CO-X [式中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアペリンの
ペプチド鎖を示す。]で表されるペプチドが挙げられ、
これらは塩を形成してもよく、塩としては、上記したア
ペリンの塩と同様のものが挙げられる。N末端に酸化さ
れていてもよいメチオニン残基を有するアペリンまたは
その塩は、遺伝子工学的に製造されたN末端に酸化され
ていてもよいメチオニン残基を有するアペリンまたはそ
の塩であることが好ましい。
【0031】上記式中、mとしては0が好ましい。ま
た、Xで示されるアペリンのペプチド鎖としては上記し
たアペリンが挙げられる。上記のアペリンまたはその塩
は、N末端の酸化されていてもよいメチオニン(Me
t)残基または該メチオニン残基のジケトン体の除去工
程に付す前あるいは後にリフォールディング(活性化、
再生化)を行うことができる。
【0032】本明細書において、N末端に酸化されてい
てもよいメチオニン残基のジケトン体を有するアペリン
またはその塩とは、 式 CH3-S(O)m-(CH2)2-CO-CO-X [式中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアペリンの
ペプチド鎖を示す。]で表される化合物またはその塩を示
す。N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基のジ
ケトン体を有するアペリンまたはその塩は、化学反応ま
たは酵素反応等各種反応により得ることができる。例え
ば、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有
するアペリンまたはその塩をα−ジケトン類と反応させ
るアミノ基転移反応により、N末端に酸化されていても
よいメチオニン残基のジケトン体を有するアペリンまた
はその塩を得ることができる。本明細書において、α−
ジケトン類は、上記したアペリンまたはその塩のアミノ
基転移反応を進行させうるものであれば何れでもよく、
例えば式R1−CO−CO−R2[式中、R1は水素また
はカルボキシル基で置換されていてもよい低級アルキル
もしくはフェニル基(好ましくは水素またはメチル、さ
らに好ましくは水素)を示し、R2は水酸基、低級アル
コキシ基または低級アルキルで置換されていてもよいア
ミノ基(好ましくは水酸基)を示す。]で表される化合
物またはその塩などが挙げられる。上記式中、R1で示
される低級アルキル基としては、メチル、エチル、プロ
ピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、sec−ブ
チル、t−ブチルなどの炭素数1ないし6程度のアルキ
ル基などが挙げられ、R2で示される低級アルコキシ基
としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、i−プロ
ポキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、
t−ブトキシなどの炭素数1ないし6程度のアルコキシ
基などが挙げられる。また、R2で示される低級アルキ
ルで置換されていてもよいアミノ基としては、前記した
1で示される低級アルキル基を1ないし2個有してい
てもよいアミノ基などが挙げられる。さらに、塩として
は、上記したN末端に酸化されていてもよいメチオニン
残基を有するアペリンの塩と同様なものが挙げられる。
α−ジケトン類の具体例としては、グリオキシル酸、ピ
ルビン酸、オキサル酢酸、フェニルグリオキシル酸、2
−オキソグルタル酸などが挙げられるが、なかでも、グ
リオキシル酸が好ましく用いられる。α−ジケトン類は
塩を形成していてもよく、ナトリウム塩、カリウム塩な
どのアルカリ金属塩、塩酸塩などの無機酸の塩などがあ
げられる。
【0033】N末端に酸化されていてもよいメチオニン
残基を有するアペリンまたはその塩とα−ジケトン類と
のアミノ基転移反応は、通常、アペリンまたはその塩1
モルに対して、1ないし1万モル(好ましくは2000
ないし4000モル)程度のα−ジケトン類を、約0な
いし70℃(好ましくは約20ないし40℃)で約10
分ないし5時間(好ましくは約20分ないし2時間)反
応させるのが好ましい。上記したアミノ基転移反応を阻
害しないものであれば何れの緩衝液(例、リン酸緩衝
液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液など)を用いてもよい
が、なかでも、酢酸緩衝液が好ましく用いられる。ま
た、反応のpHは、約2ないし9、なかでも、約4ない
し7、とりわけ、約5ないし6に調整して反応を進行さ
せるのがよい。該アミノ基転移反応を促進するため、遷
移金属イオンの存在下にα−ジケトン類を反応させるこ
とが好ましく、通常、α−ジケトン類1モルに対して、
0.001ないし0.1モル(好ましくは0.01ないし
0.05モル)程度の遷移金属イオンを用いるのが好ま
しい。遷移金属イオンとしては、例えば、銅イオン(Cu
+,Cu2+)、コバルトイオン(Co2+,Co3+)、ニッケル
イオン(Ni2+,Ni3+)、鉄イオン(Fe2+,Fe3+)、亜鉛
イオン(Zn2+)、アルミニウムイオン(Al3+)、マンガ
ンイオン(Mn2+など)、ガリウムイオン(Ga3+)、イン
ジウムイオン(In3+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、
カルシウムイオン(Ca2+)などを用いることができる
が、なかでも、銅イオン、コバルトイオンなど、とりわ
け、銅イオン(Cu2+)が好ましく用いられる。これらの
遷移金属イオンは、通常、硫酸、硝酸、塩酸、過塩素酸
などの無機酸との塩または酢酸、シュウ酸、クエン酸、
炭酸などの有機酸との塩として、反応溶媒に添加するこ
とができ、なかでも、硫酸銅、酢酸銅、とりわけ、硫酸
銅が好ましく用いられる。
【0034】また、塩基の存在下にα−ジケトン類を反
応させることが好ましく、通常、α−ジケトン類1モル
に対して、0.1ないし20モル(好ましくは0.5ない
し10モル)程度の塩基を用いるのが好ましい。塩基と
しては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン
などのアルキルアミン類、N,N−ジメチルアニリン、
ピリジン、ルチジン、コリジン、4−(ジメチルアミ
ノ)ピリジン、イミダゾールなどの芳香族アミン類など
を用いることができるが、なかでも、ピリジンが好まし
く用いられる。また、アミノ基転移反応の際に、N末端
に酸化されていてもよいメチオニン残基を有するアペリ
ンまたはその塩、および該アペリンまたはその塩のアミ
ノ基転移反応で得られるメチオニン残基のジケトン体を
有するアペリンまたはその塩の沈殿防止などを目的とし
て、アミノ基転移反応のための緩衝液中に尿素を添加す
ることが好ましい。例えば、緩衝液中に尿素を好ましく
は約1ないし8M、より好ましくは約3ないし6Mの濃
度になるよう添加することが好ましい。
【0035】さらに、上記したアミノ基転移反応は、遷
移金属イオンおよび塩基の存在下にα−ジケトン類を反
応させることが好ましく、実用的には、遷移金属イオ
ン、塩基およびα−ジケトン類の3成分(例えば、硫酸
銅、ピリジンおよびグリオキシル酸など)を含有する混
合液を、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基
を有するアペリンまたはその塩を含有する水溶液に添加
して、アミノ基転移反応を進行させる。該アミノ基転移
反応により得られる、 式 CH3-S(O)m-(CH2)2-CO-CO-X [式中、mは0ないし2の整数を示し、Xはアペリンの
ペプチド鎖を示す。]で表される化合物またはその塩(メ
チオニン残基のジケトン体を有するアペリンまたはその
塩)は、ペプチドまたは蛋白質の公知精製手段、例え
ば、抽出、塩析、分配、再結晶、クロマトグラフィーな
どにより、反応溶液から単離・精製することもできる
が、そのまま次の加水分解反応に付すこともできる。ア
ミノ基転移反応で得られたメチオニンのジケトン体を有
するアペリンまたはその塩は、通常、塩基による加水分
解反応に付して、N末端の酸化されていてもよいメチオ
ニン残基あるいは該メチオニン残基のジケトン体を有し
ていないアペリンまたはその塩に変換することができ
る。
【0036】加水分解反応に用いる塩基としては、例え
ば、システアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミ
ンなどのアルキルアミン類またはその塩、N,N−ジメ
チルアニリン、ピリジン、ルチジン、コリジン、4−
(ジメチルアミノ)ピリジン、イミダゾールなどの芳香
族アミン類またはその塩、o−フェニレンジアミン、ト
リレン−3,4−ジアミン、3,4−ジアミノ安息香酸
およびそのN−アルキル置換体(例えば、N−メチル−
1,2−フェニレンジアミン、N−エチル−1,2−フ
ェニレンジアミン、N−イソプロピル−1,2−フェニ
レンジアミンなど)、2,3−ジアミノフェノール、4
−クロロ−o−フェニレンジアミンなどのジアミン類
(好ましくは芳香族ジアミン類、なかでも、3,4−ジ
アミノ安息香酸およびそのN−アルキル置換体(例え
ば、N−メチル−1,2−フェニレンジアミン、N−エ
チル−1,2−フェニレンジアミン、N−イソプロピル
−1,2−フェニレンジアミンなど)またはそれらの塩
など、チオセミカルバジド、アセトンチオセミカルバジ
ド、フェニルチオセミカルバジドなどのチオセミカルバ
ジド類、セレノセミカルバジド、アセトンセレノセミカ
ルバジドなどのセレノセミカルバジド類などのアミン類
またはその塩などを用いることができるが、なかでも、
アミン類、とりわけ、ジアミン類またはチオセミカルバ
ジド類またはそれらの塩が好ましく用いられ、特に、
3,4−ジアミノ安息香酸またはその塩が好ましく用い
られる。加水分解反応に用いられる塩基の塩としては、
例えば上記のN末端に酸化されていてもよいメチオニン
残基を有するアペリンの塩と同様のものなどがあげられ
る。
【0037】塩基の量は、通常、メチオニン残基のジケ
トン体を有するアペリンまたはその塩1モルに対して約
1ないし1万モル、好ましくは約200ないし3000
モル、より好ましくは約500ないし3000モルであ
る。加水分解反応は、通常、約0ないし70℃(好まし
くは約20ないし40℃)で約1時間ないし7日間(好
ましくは約10時間ないし5日間)で進行させるのが好
ましい。反応には、緩衝液を溶媒として用いることが好
ましく、緩衝液としては、例えば、リン酸系緩衝液、酢
酸系緩衝液、クエン酸系緩衝液、ぎ酸系緩衝液などが挙
げられる。上記した加水分解反応を阻害しないものであ
れば何れの緩衝液を用いてもよいが、なかでも、酢酸−
ぎ酸ナトリウム、ぎ酸−ぎ酸ナトリウムまたはぎ酸−酢
酸ナトリウム緩衝液などのぎ酸系緩衝液が好ましく用い
られる。また、反応のpHは、約2ないし9、なかで
も、約3ないし7、とりわけ、約4ないし6に調整し
て、反応を進行させるのがよい。これらの緩衝液は、好
ましくは約0.1〜8mol/L、より好ましくは約0.5
〜6mol/L用いられる。また、加水分解の際に、N末端
の酸化されていてもよいメチオニン残基のジケトン体を
有するアペリンまたはその塩および加水分解反応により
生成する該メチオニン残基を有していないアペリンまた
はその塩の沈殿防止等を目的として、加水分解反応のた
めの緩衝液中に尿素を添加することが好ましい。例え
ば、緩衝液中に尿素を、好ましくは約1ないし6M、よ
り好ましくは約2ないし5Mの濃度になるよう添加する
ことが好ましい。このようにして得られるアペリンまた
はその塩は、公知の精製手段、例えば、抽出、塩析、分
配、再結晶、クロマトグラフィーなどにより、反応溶液
から単離・精製することもできるが、好ましい例とし
て、例えば、SP−セファロース(ファルマシア バイ
オテク(株))あるいは、DEAE−5PW(東ソー
(株))を介したイオン交換クロマトグラフィーなどによ
る精製法が挙げられる。
【0038】得られるアペリンは、必要によりこれを凍
結乾燥により粉末とすることもできる。凍結乾燥に際し
ては、ソルビトール,マンニトール,デキストロース,
マルトース,トレハロース,グリセロールなどの安定化
剤を加えることができる。
【0039】本発明の方法で製造されるアペリンまたは
その塩は滅菌水,ヒト血清アルブミン(HSA),生理食
塩水その他公知の生理学的に許容される担体と混合する
ことができ、哺乳動物(例、ヒト)に対して非経口的に
又は局所に投与することができる。たとえば、その1日
投与量は1人あたり、約0.01mg−50mg、好ましく
は、約0.1mg−10mgを、静注または筋注などにより
非経口的に投与することができる。本発明の方法で製造
されるアペリンまたはその塩を含有する製剤は、塩,希
釈剤,アジュバント,他の担体,バッファー,結合剤,
界面活性剤,保存剤のような生理的に許容される他の活
性成分も含有していてもよい。非経口的投与製剤は、滅
菌水溶液又は生理学的に許容される溶媒との懸濁液アン
プル、または生理学的に許容される希釈液で用時希釈し
て使用しうる滅菌粉末(通常ペプチド溶液を凍結乾燥し
て得られる)アンプルとして提供される。
【0040】本発明の製造法によって得られるアペリン
は中枢神経機能調節作用、循環機能調節作用、免疫機能
調節作用、消化器機能調節作用、代謝機能調節作用ある
いは生殖器機能調節作用などに関与していることから、
たとえば老人性痴呆、脳血管性痴呆、系統変成型の退行
変成疾患(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、ピ
ック病、ハンチントン病など)に起因する痴呆、感染性
疾患(例:クロイツフェルト−ヤコブ病などの遅発ウイ
ルス感染症など)に起因する痴呆、内分泌性・代謝性・
中毒性疾患(例:甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠
乏症、アルコール中毒、各種薬剤・金属・有機化合物に
よる中毒など)に起因する痴呆、腫瘍性疾患(例:脳腫
瘍など)に起因する痴呆、外傷性疾患(例:慢性硬膜下
血腫など)に起因する痴呆などの痴呆、鬱病、多動児
(微細脳障害)症候群、意識障害、不安障害、精神分裂
症、恐怖症、成長ホルモン分泌障害(例:巨人症、末端
肥大症など)、過食症、多食症、高コレステロール血
症、高グリセリド血症、高脂血症、高プロラクチン血
症、低血糖症、下垂体機能低下症、下垂体性小人症、糖
尿病(例:糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神
経障害、糖尿病性網膜症など)、癌(例:乳癌、リンパ
性白血病、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、前立腺癌など)、膵
炎、腎疾患(例:慢性腎不全、腎炎など)、ターナー症
候群、神経症、リウマチ関節炎、脊髄損傷、一過性脳虚
血発作、筋萎縮性側索硬化症、急性心筋梗塞、脊髄小脳
変性症、骨折、創傷、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症、喘
息、てんかん、不妊症、動脈硬化、肺気腫、肺水腫また
は乳汁分泌不全などの疾病の治療・予防剤として用いる
ことができる。さらに催眠鎮静剤、手術後の栄養状態改
善剤、昇圧剤、降圧剤などとしても用いることができ
る。加えて、HIV感染症、エイズ(AIDS(Acquir
ed Immune Deficiency Syndrome):後天性免疫不全症
候群)などの治療・予防剤として用いることができる。
【0041】本明細書および図面において、アミノ酸,
ペプチド,保護基,活性基,その他に関し略号で表示す
る場合、それらはIUPAC−IUB(Commission on B
iochemical Nomenclature)による略号あるいは当該分野
における慣用略号に基づくものであり、その例を次にあ
げる。また、アミノ酸などに関し光学異性体がありうる
場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。 DNA :デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニールアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン Cys :システイン ATP :アデノシン三リン酸
【0042】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 [配列番号:1]アペリン−36のアミノ酸配列を示
す。 [配列番号:2]アペリン−36をコードする遺伝子の
塩基配列を示す。 [配列番号:3]bFGF CS23ムテインのアミノ
酸配列を示す。 [配列番号:4]式(I)で表される融合蛋白質をコー
ドする遺伝子の断片の塩基配列を示す。 [配列番号:5]式(I)で表される融合蛋白質をコー
ドする遺伝子の断片の塩基配列を示す。 [配列番号:6]hbFGFムテインCS23の断片を
コードする遺伝子の塩基配列を示す。 [配列番号:7]実施例1においてアペリン−36の構造
遺伝子の調製に用いたプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:8]実施例1においてアペリン−36の構造
遺伝子の調製に用いたプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:9]実施例1においてアペリン−36の構造
遺伝子の調製に用いたプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:10]実施例1においてアペリン−36の構
造遺伝子の調製に用いたプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:11]実施例1においてアペリン−36の構
造遺伝子の調製に用いたプライマーの塩基配列を示す。 [配列番号:12]実施例1においてアペリン−36の構
造遺伝子の調製に用いたプライマーの塩基配列を示す。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて、本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0044】
【実施例】実施例1 ヒトアペリン−36構造遺伝子の調
製 図2に示す6種類のDNA断片(#1,#5:グライナー・
ジャパン社、#2,#6:キコーテック社、#3,#4:アマシャ
ム・ファルマシア・バイオテク)を用いてアペリン−36
の構造遺伝子を調製した(図3)。 a)DNAオリゴマーのリン酸化 5'末端になるべき#1及び#6を除いた4種類のオリゴマー
各1μgを100 μLのリン酸化反応液[50mM Tris-HCl (p
H7.6), 10mM MgCl2, 1mM スペルミジン、10mMジチオス
レイトール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン、1mM ATP、1
0ユニット T4ポリヌクレオチドキナーゼ(日本ジー
ン)]中で37℃、1時間反応させ、5'末端のリン酸化を
行った。フェノール処理を行った後、水層を回収し2倍
量のエタノールを加え、−70℃に冷却した後、遠心でDN
Aを沈殿させた。 b)DNAフラグメントの連結 上記a)で得られたリン酸化DNAフラグメントと#1及び#2
各1μgを合わせ120μLとした。この混合液を80℃で10
分間保った後、室温まで徐冷しアニーリングを行った。
TaKaRa DNA Ligation Kit ver.2 (宝酒造)を用いてラ
イゲーション反応を行った。アニーリング液30 μLにII
液30 μLを加え良く混合した後、I液60 μLを加え、37
℃、1時間反応させ、ライゲーションを行った。フェノ
ール処理を行った後、水層を回収し2倍量のエタノール
を加え、ー70℃に冷却した後、遠心でDNAを沈殿させた。 c)5'末端のリン酸化 沈殿をTE緩衝液(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA)
10 μLに溶解し、100μLのリン酸化反応液[50mM Tris-
HCl (pH7.6), 10mM MgCl2, 1mM スペルミジン、10mM ジ
チオスレイトール、0.1mg/mLウシ血清アルブミン、1mM
ATP、10ユニット T4ポリヌクレオチドキナーゼ(日本ジ
ーン)]中で37℃、1時間反応させ、5'末端のリン酸化
を行った。フェノール処理を行った後、水層を回収し2
倍量のエタノールを加え、−70℃に冷却した後、遠心で
DNAを沈殿させ、20μLのTE緩衝液に溶解した。
【0045】 実施例2 ヒトアペリン−36発現プラスミドの調製 pTB960-2(EP-A-499990:小山ら、ジャーナル・オブ・
バイオテクノロジー、32巻、273頁、1994年)をXba
I及びAvaIで消化し、1%アガロース電気泳動を行い約4.
4KbpのDNA断片をQIAquick Gel Extraction Kit(キアゲ
ン社)を用いて抽出し、25μLのTE緩衝液に溶解し
た。このpTB960-2のXbaI, AvaI断片と上記により調製し
たヒトアペリン−36の構造遺伝子をTaKaRa DNA Ligat
ion Kit ver.2 (宝酒造)を用いてライゲーション反応
を行った。すなわちpTB960-2のXbaI, AvaI断片溶液1μL
とヒトアペリン−36の構造遺伝子溶液4μLを混合し、
I液5μLを加え、16℃、30分間反応させ、ライゲーショ
ンを行った。ライゲーション液10 μLを用いてE. coli
JM109コンピテントセル(東洋紡)を形質転換し、10μg
/mLのテトラサイクリンを含むLB寒天培地上に播き、3
7℃で1日培養し、生じたテトラサイクリン耐性コロニー
を選んだ。この形質転換体をLB培地で一晩培養し、QI
Aprep8 Miniprep Kit(キアゲン社)を用いてプラスミ
ドpTB960-13を調製した。このヒトアペリン−36構造
遺伝子部分の塩基配列をアプライドバイオシステムズ社
モデル377DNAシークエンサーを用いて確認した。プ
ラスミドpTB960-13を大腸菌BL21(DE3)株(Novagen社)
に形質転換を行い、10μg/mLのテトラサイクリンを含む
LB寒天培地上に播き、37℃で1日培養し、ヒトアペリ
ン−36-CS23融合蛋白質発現株BL21(DE3)/pTB960-13を
得た(図4)。この形質転換大腸菌BL21(DE3)/pTB960-1
3は受託番号FERM BP-6590で1998年12月2日付で通産省工
業技術院生命工学工業技術研究所に寄託された。また19
98年11月11日付で受託番号IFO16220として財団法人発酵
研究所(IFO)に寄託された。
【0046】実施例3 実施例2で得られた形質転換細胞を、5.0mg/Lの
テトラサイクリンを含むLB培地(1%ペプトン、0.
5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム)1Lを用い
て、2リットル容フラスコ中で37℃、8時間振とう培
養した。得られた培養液を19リットルの主発酵培地
(1.68%リン酸1水素ナトリウム、0.3%リン酸
2水素カリウム、0.1%塩化アンモニウム、0.05
%塩化ナトリウム、0.05%硫酸マグネシウム、0.
02%消泡剤、0.00025%硫酸第一鉄、0.00
025%塩酸チアミン、1.5%ブドウ糖、1.5%カ
ザミノ酸)を仕込んだ50L容発酵槽へ移植して、30
℃で通気撹拌培養を開始した。培養液の濁度が約500
クレット単位になった時点で、イソプロピル−β−D−
チオガラクトピラノシドの最終濃度が12mg/Lにな
るように添加し、さらに4時間培養を行った。培養終了
後、培養液を遠心分離し、約660gの湿菌体を取得
し、−80℃で凍結保存した。
【0047】実施例4 ヒトアペリン−36の取得 実施例2で得た菌体550gに10mM EDTA+1
mM(p-アミシ゛ノフェニル)メタンスルホニルフルオリト゛塩酸塩(pH6.
0)溶液1500mlを加え、超音波処理(BRANS
ON SONIFIER MODEL450)した後、
遠心分離(10000rpm、60min)を行った。
上澄液はプールし、沈殿は再び同様の操作を行った。プ
ールした上澄液はpH6.0に調整し、50mM リン
酸緩衝液(pH6.0)で平衡化したAF-Heparin Toyop
earl 650Mカラム(30mmID×500mmL、東ソー)に通液し、
吸着、洗浄した後、0−100%B(B=50mM リ
ン酸緩衝液+2M NaCl、pH6.0)の段階勾配
で溶出を行い、530mlのヒトアペリン−36−CS2
3融合タンパク質画分を得た。この溶出液をペリコンミ
ニカセット(ミリポア社)で0.1M酢酸を加えながら
濃縮を行い、ヒトアペリン−36−CS23融合タンパク
質の0.1M酢酸溶液を得た。この溶液に最終濃度6M
となるように尿素を添加した後、1−シアノ−4−ジメ
チルアミノピリジニウム塩(DMAP−CN)35mg
を加えて、室温で15分間反応した。反応終了後、反応
液を10%酢酸で平衡化したSephadex G−2
5カラム(46mmID×600mmL、ファルマシア)に通液し、平
衡化に用いた10%酢酸を6ml/minの流速で展開
し、S−シアノ化されたヒトアペリン−36−CS23融
合タンパク質画分を得た。この溶出液をペリコンミニカ
セット(ミリポア社)で濃縮・脱塩を行い、ヒトアペリ
ン−36−CS23融合タンパク質の脱塩液を得た。この
脱塩液に最終濃度6Mとなるように尿素を添加した後、
さらに、0.06N濃度となるように1N苛性ソーダを
加え、0℃で15分間反応した。反応終了後、酢酸でp
H6.0に調整し、ヒトアペリン−36を得た。この反応
液を3M尿素を含む50mMリン酸緩衝液(pH6.
5)で平衡化したSP−5PW(21.5mmID×150mmL、東
ソー)に通液し、吸着、洗浄した後、0−40%B(B
=50mM リン酸緩衝液+1M NaCl+3M尿素、
pH6.5)の段階勾配で溶出を行い、ヒトアペリン−
36を画分を得た。このヒトアペリン−36画分を、さらに
0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化したC4P
−50(21.5mmID×300mmL、昭和電工)に通液し、吸着、
洗浄した後、15−30%B(B:80%アセトニトリ
ル/ 0.1%TFA)の段階勾配で溶出を行い、ヒトアペ
リン−36画分をプールした後、凍結乾燥を行い、ヒトア
ペリン−36凍結乾燥粉末を得た。 a)アミノ酸組成分析 アミノ酸組成をアミノ酸分析計(日立L−8500A
Amino Acid Analyzer)を用いて決定した。その結果、
N末端にメチオニンの付加したヒトアペリン−36のDN
A塩基配列から予想されるアミノ酸組成と一致した(表
1)。
【0048】 (表1) アミノ酸組成分析 1モル当たりの ヒトアペリン−36の塩基配列 アミノ酸 残 基 数 から予測される値 Asx 1.0 1 Thr1) 0 0 Ser1) 1.9 2 Glx 3.0 3 Pro 5.7 6 Gly 5.7 6 Ala 0 0 Cys2) N.D. 0 Val 1.0 1 Met 2.0 1 Ile 0 0 Leu 2.0 2 Tyr 0 0 Phe 1.9 2 His 1.0 1 Lys 1.8 2 Arg 7.3 8 Trp 0.9 1 酸加水分解(6N 塩酸−4%チオグリコール酸、110℃、24,48時間 加水分解) 1)0時間に外挿した値 2)未検出
【0049】b)N末端アミノ酸配列分析 N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(ア
プライドバイオシステムズ モデル477A)を用いて
決定した。その結果、得られたヒトアペリン−36のN末
端にはメチオニンが付加していることのほかはDNA塩
基配列から予想されるN末端アミノ酸配列と一致した
(表2)。
【0050】 (表2) N末端アミノ酸配列 検出された ヒトアペリン−36の塩基配列 残基 No. PTH1)-アミノ酸 から予測される (pmol) アミノ酸 1 Met (526) 2 Leu (648) Leu 3 Val (513) Val 4 Gln (437) Gln 5 Pro (463) Pro 6 Arg (216) Arg 7 Gly (232) Gly 8 Ser (129) Ser 9 Arg (129) Arg 10 Asn (142) Asn 11 Gly (185) Gly 12 Pro (219) Pro 13 Gly (202) Gly 14 Pro (188) Pro 15 Trp (88) Trp 16 Gln (116) Gln 17 Gly (120) Gly 18 Gly (72) Gly 19 Arg (56) Arg 20 Arg (40) Arg 1nmolを用いて分析を行った。 1)フェニールチオヒダントイン
【0051】c)C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(日立L−8500A
Amino Acid Analyzer)を用いて分析した(表3)。 (表3) C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸 回収率 ヒトアペリン−36 (%) Phe 38.6 気相ヒドラジン分解法(100℃、6時間) 以上の結果から実施例4で得られたヒトアペリン−36
は、そのN末端にメチオニンが付加した分子種(Met
−ヒトアペリン−36)であることがわかった。
【0052】実施例5(生物活性測定) 実施例4で取得したMet−ヒトアペリン−36を用い
て、WO 99/33976の実施例6に記載の方法
(サイトセンサー)で活性を測定し、合成品と同等の活
性を有することを確認した。
【0053】 実施例6 (N末端のメチオニン残基の除去:その1) 実施例4で取得したMet−ヒトアペリン−36 4mg
を3M尿素溶液0.8mlに溶解した後、80mM硫酸
銅 0.05ml、グリオキシル酸 0.046g、ピリ
ジン 0.1mlの混合液を加え、25℃で1時間反応
した。反応終了後、反応液を2.5M尿素+10mMリ
ン酸緩衝液(pH5.5)で平衡化したセファデックス
(Sephadex)G−25カラム(10mmID×250mm
L)に通液し、平衡化に用いた溶液を0.5ml/分の
流速で展開し、Met−ヒトアペリン−36のジケトン体
画分をプールした。続いてこの画分に等量の4M酢酸、
4M酢酸ナトリウム、3M尿素溶液を加えた後、o-フ
ェニレンジアミンを40mM濃度になるように添加し
て、脱気、窒素ガスシールを行い、25℃で5日間反応
した。反応終了後、反応液を50mMリン酸緩衝液(p
H6.0)で平衡化したセファデックスG−25カラム
(25mmID×600mmL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を
4ml/分の流速で展開し、N末端にメチオニンの付加
していないヒトアペリン−36画分をプールした。プール
したヒトアペリン−36画分をpH6.0に調整し、50
mMリン酸緩衝液+0.3M NaCl+2.5M尿素
(pH5.0)で平衡化したCM−5PW(7.5mmID×7
5mmL、東ソー(株))に吸着した後、0−100%B
(B=50mMほう酸緩衝液+0.3M NaCl+
2.5M尿素、pH9.0)の段階勾配で40分間、
0.8ml/分の流速で溶出を行い、ヒトアペリン−36
画分をプールした。さらに、ヒトアペリン−36を0.1
%TFAで平衡化した C4P−50(10mmID×250mm
L、昭和電工(株))に吸着した後、15−30%B
(B=80%アセトニトリル/0.1%TFA)の段階
勾配で40分間、2ml/分の流速で溶出した。 ヒトア
ペリン−36のフラクションをプールした後、凍結乾燥を
行い、ヒトアペリン−36を取得した。 a)アミノ酸組成分析 アミノ酸組成をアミノ酸分析計(日立L−8500A
Amino Acid Analyzer)を用いて決定した。その結果、
ヒトアペリン−36のDNA塩基配列から予想されるア
ミノ酸組成と一致した(表4)。
【0054】 (表4) アミノ酸組成分析 1モル当たりの ヒトアペリン−36の塩基配列 アミノ酸 残 基 数 から予測される値 Asx 1.0 1 Thr1) 0 0 Ser1) 1.8 2 Glx 3.0 3 Pro 5.7 6 Gly 5.6 6 Ala 0 0 Cys2) N.D. 0 Val 1.0 1 Met 1.0 1 Ile 0 0 Leu 2.0 2 Tyr 0 0 Phe 1.8 2 His 1.0 1 Lys 1.8 2 Arg 7.2 8 Trp 0.9 1 酸加水分解(6N 塩酸−4%チオグリコール酸、110℃、24,48時間 加水分解) 1)0時間に外挿した値 2)未検出
【0055】b)N末端アミノ酸配列分析 N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(ア
プライドバイオシステムズ モデル477A)を用いて
決定した。その結果、得られたヒトアペリン−36のDN
A塩基配列から予想されるN末端アミノ酸配列と一致し
た(表5)。
【0056】 (表5) N末端アミノ酸配列 検出された ヒトアペリン−36の塩基配列 残基 No. PTH1)-アミノ酸 から予測される (pmol) アミノ酸 1 Leu (570) Leu 2 Val (611) Val 3 Gln (594) Gln 4 Pro (587) Pro 5 Arg (332) Arg 6 Gly (552) Gly 7 Ser (255) Ser 8 Arg (277) Arg 9 Asn (345) Asn 10 Gly (383) Gly 11 Pro (383) Pro 12 Gly (366) Gly 13 Pro (318) Pro 14 Trp (131) Trp 15 Gln (210) Gln 16 Gly (218) Gly 17 Gly (281) Gly 18 Arg (130) Arg 19 Arg (190) Arg 20 Lys (144) Lys 1nmolを用いて分析を行った。 1)フェニールチオヒダントイン
【0057】c)C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(日立L−8500A
Amino Acid Analyzer)を用いて分析した(表6)。 (表6) C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸 回収率 ヒトアペリン−36 (%) Phe 66 .3 気相ヒドラジン分解法(100℃、6時間)
【0058】実施例7(生物活性測定) 実施例6で取得したヒトアペリン−36を用いて、WO
99/33976の実施例6に記載の方法(サイトセン
サー)で活性を測定し、合成品と同等の活性を有するこ
とを確認した。
【0059】 実施例8 (N末端のメチオニン残基の除去:その2) 実施例4で取得したMet−ヒトアペリン−36 4m
gを3M尿素溶液0.8mlに溶解した後、80mM硫
酸銅 0.05ml、グリオキシル酸 0.046g、ピ
リジン 0.1mlの混合液を加え、25℃で1時間反
応した。反応終了後、反応液を2.5M尿素+10mM
リン酸緩衝液(pH5.5)で平衡化したセファデック
ス(Sephadex)G−25カラム(10mmID×250m
mL)に通液し、平衡化に用いた溶液を0.5ml/分の
流速で展開し、メチオニン残基のジケトン体を有するヒ
トアペリン−36画分をプールした。続いてこの画分に
等量の2Mギ酸ナトリウム、4M酢酸、3M尿素溶液を
加えた後、3,4−ジアミノ安息香酸を40mM濃度に
なるように添加し、30℃で3日間反応した。反応終了
後、反応液を50mMリン酸緩衝液(pH6.0)で平
衡化したセファデックスG−25カラム(25mmID×600m
mL)に通液し、平衡化に用いた緩衝液を4ml/分の流
速で展開し、N末端にメチオニン残基を有していないヒ
トアペリン−36画分をプールした。プールしたヒトア
ペリン−36画分をpH6.0に調整し、50mMリン
酸緩衝液+0.3M NaCl+2.5M尿素(pH
5.0)で平衡化したCM−5PW(7.5mmID×75mmL、
東ソー(株))に吸着した後、0−100%B(B=5
0mMほう酸緩衝液+0.3M NaCl+2.5M尿
素、pH9.0)の段階勾配で40分間、0.8ml/
分の流速で溶出を行い、ヒトアペリン−36画分をプー
ルした。さらに、ヒトアペリン−36を0.1%TFA
で平衡化した C4P−50(10mmID×250mmL、昭和電
工(株))に吸着した後、15−30%B(B=80%
アセトニトリル/0.1%TFA)の段階勾配で40分
間、2ml/分の流速で溶出した。 ヒトアペリン−36
のフラクションをプールした後、凍結乾燥を行い、ヒト
アペリン−36を取得した。 a)アミノ酸組成分析 アミノ酸組成をアミノ酸分析計(日立L−8500A
Amino Acid Analyzer)を用いて決定した。その結果、
ヒトアペリン−36のDNA塩基配列から予想されるア
ミノ酸組成と一致した(表7)。
【0060】 (表7) アミノ酸組成分析 1モル当たりの ヒトアペリン−36の塩基配列 アミノ酸 残 基 数 から予測される値 Asx 1.0 1 Thr1) 0 0 Ser1) 1.9 2 Glx 2.9 3 Pro 6.3 6 Gly 5.9 6 Ala 0 0 Cys2) N.D. 0 Val 1.0 1 Met 1.0 1 Ile 0 0 Leu 2.0 2 Tyr 0 0 Phe 1.9 2 His 1.0 1 Lys 1.9 2 Arg 7.6 8 Trp 0.9 1 酸加水分解(6N 塩酸−4%チオグリコール酸、110℃、24,48時間 加水分解) 1)0時間に外挿した値 2)未検出
【0061】b)N末端アミノ酸配列分析 N末端アミノ酸配列を気相プロテインシーケンサー(ア
プライドバイオシステムズ モデル477A)を用いて
決定した。その結果、得られたヒトアペリン−36のD
NA塩基配列から予想されるN末端アミノ酸配列と一致
した(表8)。
【0062】 (表8) N末端アミノ酸配列 検出された ヒトアペリン−36の塩基配列 残基 No. PTH1)-アミノ酸 から予測される (pmol) アミノ酸 1 Leu (475) Leu 2 Val (845) Val 3 Gln (365) Gln 4 Pro (563) Pro 5 Arg (425) Arg 6 Gly (424) Gly 7 Ser (139) Ser 8 Arg (423) Arg 9 Asn (245) Asn 10 Gly (290) Gly 11 Pro (197) Pro 12 Gly (234) Gly 13 Pro (197) Pro 14 Trp (101) Trp 15 Gln ( 76) Gln 16 Gly ( 84) Gly 17 Gly (130) Gly 18 Arg ( 79) Arg 19 Arg (116) Arg 20 Lys ( 43) Lys 1nmolを用いて分析を行った。 1)フェニールチオヒダントイン
【0063】c)C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸をアミノ酸分析計(日立L−8500A
Amino Acid Analyzer)を用いて分析した(表9)。 (表9) C末端アミノ酸分析 C末端アミノ酸 回収率 ヒトアペリン−36 (%) Phe 86 .6 気相ヒドラジン分解法(100℃、6時間)
【0064】実施例9(生物活性測定) 実施例8で取得したヒトアペリン−36を用いて、WO
99/33976の実施例6に記載の方法(サイトセ
ンサー)で活性を測定し、ヒトアペリン−36の合成品
と同等の活性を有することを確認した。
【0065】
【配列表】 [SEQUENCE LISTING] <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Method of Production for Apelin <130> A99276 <150> JP 10-352389 <151> 1998-12-11 <150> PCT/JP99/05456 <151> 1999-10-04 <160> 12 <210> 1 <211> 36 <212> PRT <213> Human <400> 1 Leu Val Gln Pro Arg Gly Ser Arg Asn Gly Pro Gly Pro Trp Gln Gly 1 5 10 15 Gly Arg Arg Lys Phe Arg Arg Gln Arg Pro Arg Leu Ser His Lys Gly 20 25 30 Pro Met Pro Phe 35 <210> 2 <211> 108 <212> DNA <213> Human <400> 2 CTGGTGCAGC CCAGAGGGTC AAGGAATGGG CCAGGGCCCT GGCAGGGAGG TCGGAGGAAA 60 TTCCGCCGCC AGCGGCCCCG CCTCTCCCAT AAGGGACCCA TGCCTTTC 108 <210> 3 <211> 146 <212> PRT <213> Human <400> 3 Pro Ala Leu Pro Glu Asp Gly Gly Ser Gly Ala Phe Pro Pro Gly His 1 5 10 15 Phe Lys Asp Pro Lys Arg Leu Tyr Cys Lys Asn Gly Gly Phe Phe Leu 20 25 30 Arg Ile His Pro Asp Gly Arg Val Asp Gly Val Arg Glu Lys Ser Asp 35 40 45 Pro His Ile Lys Leu Gln Leu Gln Ala Glu Glu Arg Gly Val Val Ser 50 55 60 Ile Lys Gly Val Ser Ala Asn Arg Tyr Leu Ala Met Lys Glu Asp Gly 65 70 75 80 Arg Leu Leu Ala Ser Lys Ser Val Thr Asp Glu Cys Phe Phe Phe Glu 85 90 95 Arg Leu Glu Ser Asn Asn Tyr Asn Thr Tyr Arg Ser Arg Lys Tyr Thr 100 105 110 Ser Trp Tyr Val Ala Leu Lys Arg Thr Gly Gln Tyr Lys Leu Gly Ser 115 120 125 Lys Thr Gly Pro Gly Gln Lys Ala Ile Leu Phe Leu Pro Met Ser Ala 130 135 140 145 <210> 4 <211> 111 <212> DNA <213> Human <400> 4 CTGGTGCAGC CCAGAGGGTC AAGGAATGGG CCAGGGCCCT GGCAGGGAGG TCGGAGGAAA 60 TTCCGCCGCC AGCGGCCCCG CCTCTCCCAT AAGGGACCCA TGCCTTTCTG C 111 <210> 5 <211> 111 <212> DNA <213> Human <400> 5 CTGGTGCAGC CCAGAGGGTC AAGGAATGGG CCAGGGCCCT GGCAGGGAGG TCGGAGGAAA 60 TTCCGCCGCC AGCGGCCCCG CCTCTCCCAT AAGGGACCCA TGCCTTTCTG T 111 <210> 6 <211> 432 <212> DNA <213> Human <400> 6 CCCGAGGATG GCGGCAGCGG CGCCTTCCCG CCCGGCCACT TCAAGGACCC CAAGCGGCTG 60 TACTGCAAAA ACGGGGGCTT CTTCCTGCGC ATCCACCCCG ACGGCCGAGT TGACGGGGTC 120 CGGGAGAAGA GCGACCCTCA CATCAAGCTA CAACTTCAAG CAGAAGAGAG AGGAGTTGTG 180 TCTATCAAAG GAGTGAGCGC TAATCGTTAC CTGGCTATGA AGGAAGATGG AAGATTACTA 240 GCTTCTAAGT CTGTTACGGA TGAGTGTTTC TTTTTTGAAC GATTGGAATC TAATAACTAC 300 AATACTTACC GGTCAAGGAA ATACACCAGT TGGTATGTGG CACTGAAACG AACTGGGCAG 360 TATAAACTTG GATCCAAAAC AGGACCTGGG CAGAAAGCTA TACTTTTTCT TCCAATGTCT 420 GCTAAGAGCT GC 432 <210> 7 <211> 42 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 7 CTAGAAAGGA GATATCATAT GCTGGTTCAA CCGCGTGGTT CT 42 <210> 8 <211> 46 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 CGTAATGGTC CGGGTCCATG GCAAGGTGGT CGTCGTAAAT TTCGTC 46 <210> 9 <211> 45 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 9 GTCAACGTCC GCGTCTGTCT CATAAAGGTC CGATGCCGTT TTGCC 45 <210> 10 <211> 48 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 10 GACCATTACG AGAACCACGC GGTTGAACCA GCATATGATA TCTCCTTT 48 <210> 11 <211> 46 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 11 GGACGTTGAC GACGAAATTT ACGACGACCA CCTTGCCATG GACCCG 46 <210> 12 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 12 TCGGGGCAAA ACGGCATCGG ACCTTTATGA GACAGACGC 39
【0066】
【発明の効果】本発明の製造方法を用いると、たとえば
老人性痴呆、脳血管性痴呆、系統変成型の退行変成疾患
(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、
ハンチントン病など)に起因する痴呆、感染性疾患
(例:クロイツフェルト−ヤコブ病などの遅発ウイルス
感染症など)に起因する痴呆、内分泌性・代謝性・中毒
性疾患(例:甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏
症、アルコール中毒、各種薬剤・金属・有機化合物によ
る中毒など)に起因する痴呆、腫瘍性疾患(例:脳腫瘍
など)に起因する痴呆、外傷性疾患(例:慢性硬膜下血
腫など)に起因する痴呆などの痴呆、鬱病、多動児(微
細脳障害)症候群、意識障害、不安障害、精神分裂症、
恐怖症、成長ホルモン分泌障害(例:巨人症、末端肥大
症など)、過食症、多食症、高コレステロール血症、高
グリセリド血症、高脂血症、高プロラクチン血症、低血
糖症、下垂体機能低下症、下垂体性小人症、糖尿病
(例:糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障
害、糖尿病性網膜症など)、癌(例:乳癌、リンパ性白
血病、肺癌、膀胱癌、卵巣癌、前立腺癌など)、膵炎、
腎疾患(例:慢性腎不全、腎炎など)、ターナー症候
群、神経症、リウマチ関節炎、脊髄損傷、一過性脳虚血
発作、筋萎縮性側索硬化症、急性心筋梗塞、脊髄小脳変
性症、骨折、創傷、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症、喘
息、てんかん、不妊症、動脈硬化、肺気腫、肺水腫また
は乳汁分泌不全などの疾病の治療・予防剤として用いる
ことができ、さらに催眠鎮静剤、手術後の栄養状態改善
剤、昇圧剤、降圧剤、HIV感染症、エイズ(AIDS
(Acquired Immune Deficiency Syndrome):後天性免
疫不全症候群)などの予防および治療薬などとして用い
ることができるペプチドを工業的かつ大量に製造でき
る。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反応工程における反応メカニズムを示
す。
【図2】実施例1で用いられたDNAフラグメントを示
す。
【図3】実施例1で得られた2重鎖構成のヒトアペリン
−36を製造する模式図を示す。
【図4】実施例2で得られたプラスミドpTB960−1
3の構築図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12N 5/00 A //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N末端にシステインを有する蛋白質または
    ペプチドのN末端に、N末端に酸化されていてもよいメ
    チオニン残基を有していてもよいアペリンを連結した融
    合蛋白質またはペプチドをシステイン残基のアミノ基側
    のペプチド結合の切断反応に付すことを特徴とするアペ
    リンまたはその塩の製造法。
  2. 【請求項2】N末端にシステインを有する蛋白質または
    ペプチドのN末端に、N末端にメチオニン残基を有して
    いてもよいアペリンを連結した融合蛋白質またはペプチ
    ドをコードする遺伝子を有するベクターを保持する形質
    転換体を培養して融合蛋白質またはペプチドを発現さ
    せ、発現された融合蛋白質またはペプチドをシステイン
    残基のアミノ基側のペプチド結合の切断反応に付すこと
    を特徴とするN末端にメチオニン残基を有していてもよ
    いアペリンまたはその塩の製造法。
  3. 【請求項3】切断反応がS−シアノ化反応、次いで加水
    分解反応に付す反応である請求項1または2記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】アペリンが配列番号:1で表されるアミノ
    酸配列を含有するポリペプチドである請求項1または2
    記載の製造法。
  5. 【請求項5】N末端にシステインを有する蛋白質または
    ペプチドのN末端に、N末端にメチオニン残基を有して
    いてもよいアペリンを連結した融合蛋白質またはペプチ
    ド。
  6. 【請求項6】請求項5記載の融合蛋白質またはペプチド
    をコードする遺伝子を有するベクター。
  7. 【請求項7】請求項6記載のベクターを含有する形質転
    換体。
  8. 【請求項8】N末端に酸化されていてもよいメチオニン
    残基を有するアペリンまたはその塩とα−ジケトン類を
    反応させた後、加水分解することを特徴とする該メチオ
    ニン残基の除去方法。
  9. 【請求項9】N末端に酸化されていてもよいメチオニン
    残基を有するアペリンが遺伝子工学的に製造されたアペ
    リンである請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】遷移金属イオンの存在下にα−ジケトン
    類を反応させることを特徴とする請求項8記載の方法。
  11. 【請求項11】塩基の存在下にα−ジケトン類を反応さ
    せることを特徴とする請求項8記載の方法。
  12. 【請求項12】遷移金属イオンおよび塩基の存在下にα
    −ジケトン類を反応させることを特徴とする請求項8記
    載の方法。
  13. 【請求項13】α−ジケトン類がグリオキシル酸または
    その塩である請求項8記載の方法。
  14. 【請求項14】遷移金属イオンが銅イオンである請求項
    10記載の方法。
  15. 【請求項15】塩基がピリジンである請求項11記載の
    方法。
  16. 【請求項16】塩基を用いて加水分解することを特徴と
    する請求項8記載の方法。
  17. 【請求項17】塩基がアミン類である請求項16記載の
    方法。
  18. 【請求項18】塩基がジアミン類またはチオもしくはセ
    レノセミカルバジド類である請求項16記載の方法。
  19. 【請求項19】ジアミン類がo−フェニレンジアミンま
    たは3,4−ジアミノ安息香酸である請求項18記載の
    方法。
  20. 【請求項20】遺伝子工学的に製造され、N末端にメチ
    オニンが付加したアペリンまたはその塩とグリオキシル
    酸またはその塩とを硫酸銅およびピリジンの存在下に反
    応させた後、o−フェニレンジアミンまたは3,4−ジ
    アミノ安息香酸と反応させることを特徴とするアペリン
    またはその塩の製造法。
  21. 【請求項21】式 CH3-S(O)m-(CH2)2-CO-CO-X〔式中、
    mは0ないし2の整数を、Xはアペリンのペプチド鎖を
    示す。〕で表される化合物またはその塩。
  22. 【請求項22】請求項21記載の化合物を加水分解する
    ことを特徴とするアペリンまたはその塩の製造法。
  23. 【請求項23】N末端にシステインを有する蛋白質また
    はペプチドのN末端に、N末端にメチオニン残基を有す
    るアペリンを連結した融合蛋白質またはペプチドをシス
    テイン残基のアミノ基側のペプチド結合の切断反応に付
    し、N末端に酸化されていてもよいメチオニン残基を有
    するアペリンまたはその塩を得、さらに、該N末端に酸
    化されていてもよいメチオニン残基を有するアペリンま
    たはその塩とα−ジケトン類を反応させた後、加水分解
    することを特徴とするアペリンまたはその塩の製造法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114099642A (zh) * 2021-11-12 2022-03-01 南通大学 基因Apln在制备治疗与细胞成血管有关疾病药物中的应用

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