JP2000228175A - 密閉型の電池 - Google Patents

密閉型の電池

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密閉型の電池において、出力端子とガスケッ
トとの間のシール不良による液漏れを防止する。 【解決手段】 電池ケース1の開口を塞ぐ蓋6を有す
る。この蓋6に出力端子9をガスケット8を介してかし
め固定する。出力端子9の軸部21がガスケット8の軸
挿通穴25に嵌合している。軸挿通穴25の下端に、軸
部21より小径のシール穴26を形成しておく。軸部2
1を軸挿通穴25に挿嵌した状態において、シール穴2
6が軸部21で拡径状に弾性変形されるようにする。以
て、軸部21とシール穴26を密着させ、軸部21とガ
スケット8との間の隙間を確実に封止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電池ケースが密
封してある密閉型の電池に関する。
【0002】
【従来の技術】密閉型の電池においては、電池ケースの
開口を蓋で密封する。蓋には、負極端子(出力端子)が
プラスチック製のガスケットを介して、蓋壁を内外に貫
通する状態で固定してある。ガスケットは負極端子と蓋
との直接接触を避ける絶縁体を兼ねている。多くの場
合、負極端子はガスケットの外面に露出する頭部と、ガ
スケットに内嵌する軸部とを有し、軸部の下端をかしめ
処理することによって、ガスケットと一体化され、蓋に
対して抜け外れ不能に固定してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、負極端
子をガスケットに対してかしめ固定する密閉型電池にお
いては、軸部の下端をかしめ処理する際に軸部が僅かに
膨張変形し、ガスケットに設けた軸挿通穴と密着して、
軸部とガスケットとの間の隙間を封止する。しかし、軸
部および軸挿通穴の仕上り寸法のばらつきや、かしめ処
理時の軸部の変形量のばらつき等によって、軸部の軸挿
通穴に対する密着度合が不足してシール不良を生じ、液
漏れの原因になることがあった。とくに、電池ケースに
内圧が作用する電池の場合には液漏れを生じやすい。
【0004】かしめ処理した後に負極端子とガスケット
の密着度合を確認することは不可能ではないが、その分
だけ電池の製造コストが高く付く。例えば、ねじを用い
て、軸部と軸挿通穴の密着度を向上することも考えられ
るが、部品数の増加と、組み立て工数とが増えるのを避
けられず、この場合にも製造コストが増加する。
【0005】この発明の目的は、従来と同様に出力端子
をかしめ処理してガスケットに固定する構造を採りなが
ら、軸部とガスケットとの密着度を向上し、以て軸部の
シール不良に基づく液漏れを一掃し、密閉型電池の信頼
性を向上することにある。この発明の他の目的は、ガス
ケットの一部を変更することにより、軸部とガスケット
との間のシール不良を一掃でき、従って液漏れのない信
頼性に優れた密閉型の電池をより低コストで提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、電池ケース
1の開口を塞ぐ蓋6に、一方の出力端子9がガスケット
8を介してかしめ固定してある密閉型の電池を対象とす
る。その出力端子9は、ガスケット8の外面に露出する
頭部20と、頭部20より小径の軸部21と、軸部21
の下端に形成されたかしめ軸部22とを備えている。ガ
スケット8は、頭部20と蓋6とで挟持されるフランジ
部23と、蓋6に通設した取付穴12に内嵌するボス部
24とを有する。ボス部24には軸部21と嵌合する軸
挿通穴25が上下貫通状に設けられてある。軸挿通穴2
5の一部には、軸部21より小径のシール穴26を周回
状に形成する。以て、出力端子9をガスケット8に組み
付けた状態において、シール穴26が軸部21で拡径変
形されるようにしたものである。
【0007】シール穴26は軸挿通穴25の下端に形成
する。シール穴26の直径寸法D2は、軸部21の直径
寸法D1を基準値にして、D1×(1−0.3)≦D2≦
D1×(1−0.1)を満足するよう設定する。
【0008】
【作用】ガスケット8の軸挿通穴25の一部には軸部2
1より小径のシール穴26を設け、出力端子9をガスケ
ット8に組み付けた状態において、シール穴26を軸部
21で強制的に拡径変形させるので、軸部21や軸挿通
穴25の仕上り寸法にばらつきがあっても、軸部21と
シール穴26とを確実に密着させて、両者21・26間
の隙間を確実に封止できる。プラスチック成形品からな
るガスケット8にシール穴26を付加することにより、
軸部21とガスケット8との隙間を封止するので、部品
点数や組み立て工数の増加を伴うことなく、液漏れのな
い密閉型の電池を構成できる。
【0009】かしめ軸部22をかしめ処理するとき、軸
部21の下端は僅かに膨張変形する。従って、シール穴
26を軸挿通穴25の下端に形成しておけば、シール穴
26と軸部21とをより強固に密着させて、シール作用
を強化でき、軸部21を軸挿通穴25に嵌入するときの
シール穴26による抵抗力を軽減し、出力端子9の組み
付けがより容易に行える。
【0010】
【実施例】図1ないし図4は、この発明を角形のリチウ
ムイオン二次電池に適用した実施例を示す。図2におい
て、その電池は上面が開口する縦長角箱状の電池ケース
1と、電池ケース1内に装填された電極体2および電解
液と、電池ケース1の開口を塞ぐ封口部材などで構成す
る。電池ケース1はニッケル板を深絞り加工して形成し
てあり、正極側の出力端子を兼ねている。電極体2はL
iCoO2 を活物質とするシート状の正極と、黒鉛を活
物質とするシート状の負極とをセパレータを間にして渦
巻状に巻回した後、全体を電池ケース1の断面形状に合
致して断面四角形状に押し潰し変形して形成してあり、
その正極シートおよび負極シートのそれぞれから導電タ
ブ4・5が上向きに導出されている。
【0011】封口部材は、電池ケース1の上面開口を塞
ぐ蓋6と、蓋6の内側に配置されるプラスチック製のイ
ンシュレータ7と、蓋6に対してガスケット8を介して
かしめ固定される負極端子(出力端子)9と、負極端子
9と同時にかしめ固定される押え板10などからなる。
【0012】蓋6はアルミニウム合金板材を素材にした
プレス成形品からなり、図1に示すごとく、その板面中
央にガスケット8用の取付穴12を長円状に通設してあ
り、取付穴12の一側板面に防爆用の開裂ベント13を
設け、他側板面に電解液用の注入口14を通設してな
る。取付穴12の上面側の開口周縁壁には、ガスケット
8用の受座15が凹み形成されている。開裂ベント13
は、断続的に周回する切溝で囲まれていて、ケース内圧
が一定値を越えると、切溝が破断してガスを放出する。
注入口14は電解液を注入したのちプラグ16で閉止
し、この状態でプラグ16を蓋6に溶接してある。
【0013】図1において負極端子9は、長円状の頭部
20と、頭部20より小径の軸部21と、軸部21の下
端に形成したかしめ軸部22とを有するアルミニウム製
の軸体からなる。かしめ軸部22は下向きに開口する中
空の筒軸状を呈しており、この筒壁の下半側を拡径し反
転状にかしめ変形することになる。
【0014】ガスケット8は、長円状のフランジ部23
と、フランジ部23の下面に突設した丸軸状のボス部2
4とを一体に形成したプラスチック成形品からなり、ボ
ス部24の中央に、先の軸部21が嵌合する軸挿通穴2
5を上下貫通状に設けてある。軸挿通穴25の下端に
は、軸部21より小径のシール穴26を周回状に形成す
る。このシール穴26を設けることによって、負極端子
9を蓋6にかしめ固定した状態において、軸部21とガ
スケット8との隙間を完全に封止し、液漏れを防ぐ。
【0015】封口部の組み付けは次の手順で行う。まず
インシュレータ7を電池ケース1に内嵌装着した後、ガ
スケット8のボス部24を蓋6の取付穴12に嵌挿し、
さらに負極端子9を軸挿通穴25に挿嵌する。このとき
軸部21はシール穴26を拡径状に弾性変形させるの
で、両者21・26は隙間なく密着する。この後、図4
に示すごとく軸部21に負極用の絶縁体27を介して孔
明きの押え板10を外嵌し、この状態でかしめ軸部22
をかしめ処理することにより、フランジ部23を頭部2
0と蓋6の上面とで挟持固定できる。同時に、拡開変形
したかしめ軸部22と蓋6の内面とでボス部24の下端
を挟持固定できる。このとき、軸部21の下部は図4に
示すように、かしめ処理によって自由状態時よりも僅か
に拡径変形する。従って、軸部21の下側の部分をシー
ル穴26にさらに密着させて、軸挿通穴25を確実に封
止できる。
【0016】上記の組立体の押え板10に負極側の導電
タブ5を溶接し、正極側の導電タブ4を蓋6の内面に溶
接する。この後に、蓋6を電池ケース1に内嵌したうえ
で、蓋6と電池ケース1との嵌合面を溶接して封止す
る。最後に注入口14から電解液をケース内へ注入した
のち、注入口14にプラグ16を内嵌して溶接し、注入
口14を封止することにより電池を完成する。
【0017】軸部21、軸挿通穴25およびシール穴2
6の各直径寸法は、それぞれ次のように設定する。軸部
21の直径D1は軸挿入穴25の直径寸法D3と同じ
か、前者直径D1を後者直径D3より僅かに小さく設定
する。シール穴26の直径寸法D2は、軸挿通穴25の
直径寸法D3より小さく、さらに軸部21の直径寸法D
1より小さく設定する。より具体的には、D1×(1−
0.3)≦D2≦D1×(1−0.1)とする。シール穴2
6の直径寸法D2が0.7D1未満であると、軸部21を
軸挿通穴25に挿通する際の抵抗が大き過ぎ、組立てに
くくなる。逆に直径寸法D2が0.9D1を越えると、軸
部21の直径寸法のばらつきが小径側へ片寄っている場
合に、軸部21とシール穴26を完全に密着できないお
それがあるからである。
【0018】上記の実施例では、出力端子9が負極側の
端子である場合について説明したが、正極側の端子であ
ってもよい。シール穴26は軸挿通穴25の任意位置に
形成でき、必要があれば複数個所に形成することができ
る。
【0019】
【発明の効果】この発明では、ガスケット8の軸挿通穴
25にシール穴26を設けておき、出力端子9の軸部2
1を軸挿通穴25に挿嵌した状態において、シール穴2
6を軸部21で拡径状に変形させ、軸部21と軸挿通穴
25との間の隙間を確実に封止できるようにした。従っ
て、従前同様に出力端子9をかしめ固定する構造を採り
ながら、軸部21とガスケット8との間を確実に封止し
て、軸部21のシール不良に基づく液漏れを一掃でき、
その分だけ密閉型電池の信頼性が向上する。軸挿通穴2
5にこれより小径のシール穴26を付加して軸部21の
シール不良を回避しているので、部品数の増加等のコス
ト増を伴うことなくシール作用を強化できる利点を有
し、液漏れのない密閉型の電池をより低コストで提供で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出力端子とガスケットとを分離した状態での縦
断面図である。
【図2】電池の縦断面図である。
【図3】電池の平面図である。
【図4】図2におけるA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 電池ケース 6 蓋 8 ガスケット 9 出力端子 12 取付穴 20 頭部 21 軸部 22 かしめ軸部 23 フランジ部 24 ボス部 25 軸挿通穴 26 シール穴

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電池ケース1の開口を塞ぐ蓋6に、一方
    の出力端子9がガスケット8を介してかしめ固定してあ
    る密閉型の電池であって、 出力端子9は、ガスケット8の外面に露出する頭部20
    と、頭部20より小径の軸部21と、軸部21の下端に
    形成されたかしめ軸部22とを備えており、 ガスケット8は、頭部20と蓋6とで挟持されるフラン
    ジ部23と、蓋6に通設した取付穴12に内嵌するボス
    部24とを有し、 ボス部24に軸部21と嵌合する軸挿通穴25が上下貫
    通状に設けてあり、 軸挿通穴25の一部に軸部21より小径のシール穴26
    が周回状に形成されており、 出力端子9をガスケット8に組み付けた状態において、
    シール穴26が軸部21で拡径変形されることを特徴と
    する密閉型の電池。
  2. 【請求項2】 シール穴26が、軸挿通穴25の下端に
    形成してある請求項1記載の密閉型の電池。
  3. 【請求項3】 シール穴26の直径寸法D2が、軸部2
    1の直径寸法D1を基準値にして、 D1×(1−0.3)≦D2≦D1×(1−0.1)を満足
    するよう設定してある請求項1または2記載の密閉型の
    電池。
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