JP2000226632A - タングステン基焼結合金部品 - Google Patents
タングステン基焼結合金部品Info
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Abstract
テン基焼結合金部品を提供する。 【解決手段】 結合相形成成分として、Ni:1.6〜
5.0重量%、Cu:1.2〜4.2重量%、Co:
0.6〜2.1重量%、を含有し、残部が基地相形成成
分としてのWおよび不可避不純物から成る組成を有する
焼結合金部品であって、且つ焼結後、表面に偏析するC
u12を除去して形成される。また、Cu12を除去す
る方法としては、特に、酸化性酸として硝酸による表面
処理が好適である。
Description
等に使用される小型振動発生装置の振動子等に好適なW
基焼結合金部品に関するものである。
合相中に分散させて得られる焼結合金であり、高比重、
耐熱性、優れた延性等から自動車のホイルバランサやダ
イキャスト用金型材等として広く利用される他、その高
比重を生かし重錘等の慣性体としても利用されている。
て、前記携帯電話の小型振動発生装置に使用される振動
子への適用が有る。図1に示すように、この振動子1は
正面視扇形を成す半円柱状とされ、その中心部分(偏心
位置)に設けた取付孔2(或いは溝)にモータの回転シ
ャフト3が挿入され、この孔部(或いは溝部)の加締め
作業により、振動子1が回転シャフト3に結合される構
造である。この振動子は小型で、且つ高い慣性モーメン
トを要求されることから、このような高比重の重合金と
してW基焼結合金の使用が極めて好適であるとされてい
る。
部品として使用すると、特に高温高湿環境下では腐食さ
れ易く、腐食により生成された水酸化タングステンや酸
化鉄等の粉末が、例えば小型振動発生装置においては、
振動子を取り付けたモータの内部、強いては携帯電話本
体内に浸入し、接触不良や動作不良等のトラブルを引き
起こす原因となった。
基焼結合金の表面にNiメッキを施したり、あるいは、
結合相形成成分としてNi粉末、Fe粉末、Co粉末、
Mo粉末等を組み合わせてW−Ni−Fe系、 W−N
i−Co−Fe系、あるいはW−Ni−Mo−Fe系の
W基焼結合金とすることで耐食性や強度を向上し、高温
高湿下(例えば、温度85℃、相対湿度90%、放置時
間48H)での使用を可能としていた。
Fe系、あるいは W−Ni−Co−Fe系、あるいは
W−Ni−Mo−Fe系等の組成では、Niメッキは不
要であるが、焼結温度が高すぎると、前記結合相成分が
合金の表面に吹き出し、例えば、前記した振動子の場合
では、回転シャフトの取付用孔(或いは溝)が吹き出し
成分により埋められて取り付け時に回転シャフトが挿入
できなくなったり、また、逆に焼結温度が低く過ぎると
十分な強度や比重、耐食性が得られず、加締め作業の際
に振動子に割れが発生するといったトラブルが発生し
た。このように、上記組成では、焼結温度範囲が狭く、
焼結炉の温度分布が悪かったり、焼結時間が短かった
り、焼結処理量が多かったりすると安定した部品の生産
が困難になるという問題があった。換言すれば、安定し
た生産を実現するには焼結炉や焼結処理量が大幅に制約
されることになる。
するCu成分が上記吹き出し現象をある程度抑制するた
め、問題となる焼結温度範囲をより広く、且つ、低めに
設定でき、焼結工程でのコストダウンが図れるという利
点があるが、CuはWよりも貴なる電位を持つことか
ら、高温高湿下で局部電池が発生し、Wに錆が生じて耐
食性を低下させるため、表面に上記たようにNiメッキ
を施す必要があった。このNiメッキによる防錆処理は
耐食性向上に極めて効果的であるが、メッキ処理という
高コストな工程を要するため総合的にコスト高となり、
且つ、メッキの未着や密着不良によるメッキ剥離が発生
し易すいことから、製品としての信頼性に欠けるという
欠点があった。
たものであって、安価な処理工程にて、高温多湿下おい
ても優れた耐食性が得られるW基焼結合金部品を提供す
ることを目的としている。
を広くするのに好適なCuを使用しつつ、且つ、Cuを
使用するが故問題となる局部電池の発生を防止すること
により、上記課題を解決するものである。すなわち、本
発明では、結合相形成成分として、 Ni:1.6〜5.0重量%、 Cu:1.2〜4.2重量%、 Co:0.6〜2.1重量%、 を含有し、残部が基地相形成成分としてのWおよび不可
避不純物から成る組成を有する焼結合金部品であって、
且つ焼結後、表面に偏析するCuを除去することを特徴
とするものである。
ることでCuの貴な電位を打ち消して局部電池の発生を
抑えることが可能となる。また、W−Ni−Cu−Co
系の組成で焼結を行うと、Cuの偏析相が表面の極薄い
部分に形成される。焼結後、表面処理を行い、この偏析
相を除去することにより、部品の耐食性は確実に向上す
ることが判明した。Cuの偏析相を除去するには酸化性
酸を使用すると良いが、酸化性酸としては、特に、Cu
を優先して溶解させ、激しく反応しない30〜70重量
%程度の硝酸による表面処理が好適である。
合金)の断面組織図で、表面付近の状態を示している。
図中、符号10はW相、符号11はCu、Ni、Co、
(Fe)の合金相、符号12は焼結体の表面部分に偏析
したCu相である。また、図2(b)は表面処理後の状
態を示しており、図示するように表面のCu偏析相はき
れいに除去されている。
Feを0.1〜0.5重量%含有させることにより、さ
らに強度を向上させることができる。
は、W−Ni−Cu系の組成に比べ、さらに焼結温度範
囲が広くなる効果があることが判明した。これは、Wと
Cu、CuとCoが互いに溶解し難い性質にあることが
原因しているものと推定される。
ように限定した理由を説明する。 (1)Ni Ni成分は耐食性を向上させる効果が有るが、その含有
量が1.6重量%未満では所望の強度や耐食性が得られ
ず、一方、含有量が5.0重量%を超えると焼結温度範
囲が狭くなるため、本発明ではその含有量を1.6〜
5.0重量%に設定した。
ことができるが、その含有量が1.2%重量未満では焼
結温度範囲が狭くなり、一方、含有量が4.2重量%を
超えると所望の強度が得られなくなるため、本発明では
その含有量を1.2〜4.2重量%に設定した。
させる効果の他、強度を向上させる効果もあるが、その
含有量が0.6重量%未満では焼結温度範囲が狭くな
り、満足する耐食性が得られず、一方、含有量が2.1
重量%を超えると所望の強度が得られなくなるため、本
発明ではその含有量を0.6〜2.1重量%に設定し
た。
に応じて含有されるが、その含有量が0.1%未満で
は、所望の強度上昇が得られず、一方、0.5%を超え
ると耐食性が低下するため、本発明ではその含有量を
0.1〜0.5重量%に設定した。
として小型振動発生装置用振動子を実施例により説明す
る。
の所定の平均粒径を有するW粉末、Ni粉末、Cu粉
末、Co粉末、Fe粉末を用意し、これらをボールミル
で24時間混合して造粒した後、1〜5ton/cm2
の圧力でプレス成形し、その成形体を水素雰囲気中で1
300〜1500℃の雰囲気内の所定の温度で焼結し、
その後、硝酸で表面処理を行い、表1に示す成分組成を
有し、且つ、図1に示す形状の小型振動発生装置用振動
子1(試料1〜11)を作製した。尚、これらの振動子
1の寸法は、扇面の半径3mm、長さ4.6mm、取付
孔2の径0.81mm、外周底面4の幅5.5mmであ
る。
強度試験を行い、その結果を各々振動子の比重と併せて
表1に示した。
5℃、相対湿度90%の環境下に48時間放置した後、
その重量変化の有無を測定した。
うに、振動子1の取付孔2に外径0.8mm、長さ12
mmのステンレス鋼(SU304)製の回転シャフト3
を挿入し、加締め冶具5を用いて振動子1の外周底面4
側から回転シャフト側に向け回転シャフト3の抜き荷重
が10Kgf以上になるように外周底面4部分を変形さ
せた時の振動子1の割れの有無を測定した。尚、符号6
は加締め跡である。
相、またはNi−Cu−Co−Fe結合相の組成が本発
明の範囲内にある試料1〜5(実施例)においては、耐
食試験や強度試験で変化が認められず、優れた耐食性と
強度が得られていることが分かる。また、比重に関して
も、それぞれ高比重を保持している。
6、および結合相の組成が本発明の範囲内に無い試料7
〜11(比較例)では、個々の比重に変化は殆ど無いも
のの、耐食性、強度の何れかに劣化が見られることが分
かる。特に、試料6に関してはNi−Cu結合相の組成
は本発明の範囲内にあるが、組成に結合相成分としての
Coが含有されていないため、耐食性が低下したもので
ある。
結合相形成成分として、Ni:1.6〜5.0重量%、
Cu:1.2〜4.2重量%、Co:0.6〜2.1重
量%、を含有し(さらに、必要に応じてFeを0.1〜
0.5重量%含有する)、残部が基地相形成成分として
のWおよび不可避不純物から成る組成を有する焼結合金
部品であって、且つ焼結後、表面に偏析するCuを酸化
性酸によって除去するようにしたので、焼結温度範囲を
広くでき、安定した焼結工程の基で処理量を増大できる
ため、生産性が向上する。また、本発明では、Niメッ
キのような高コストの工程を必要とせず安価な処理工程
で耐食性や強度に優れ、且つ高比重の部品を得ることが
できるため、大幅なコストダウンが可能となる。
子に適用することにより、加締め時の割れ等、取付時の
トラブルを無くし、高温高湿下の使用にも優れた性能を
発揮する振動子を供給することができる。
す概略斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 結合相形成成分として、 Ni:1.6〜5.0重量%、 Cu:1.2〜4.2重量%、 Co:0.6〜2.1重量%、 を含有し、残部が基地相形成成分としてのWおよび不可
避不純物から成る組成を有する焼結合金部品であって、
且つ焼結後、表面に偏析するCuが除去されて成ること
を特徴とするタングステン基焼結合金部品。 - 【請求項2】 結合相形成成分として、 Ni:1.6〜5.0重量%、 Cu:1.2〜4.2重量%、 Co:0.6〜2.1重量%、 および、 Fe:0.1〜0.5重量%、 を含有し、残部が基地相形成成分としてのWおよび不可
避不純物から成る組成を有する焼結合金部品であって、
且つ焼結後、表面に偏析するCuが除去されて成ること
を特徴とするタングステン基焼結合金部品。 - 【請求項3】 前記焼結合金部品の表面に偏析するCu
が酸化性酸によって除去されて成ることを特徴とする請
求項1または請求項2の何れかに記載のタングステン基
焼結合金部品。 - 【請求項4】 前記酸化性酸は硝酸であることを特徴と
する請求項3に記載のタングステン基焼結合金部品。 - 【請求項5】 前記タングステン基焼結合金部品が小型
振動発生装置用振動子であることを特徴とする請求項1
から請求項4までの何れかに記載のタングステン基焼結
合金部品。
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JP02581599A JP3205987B2 (ja) | 1999-02-03 | 1999-02-03 | タングステン基焼結合金部品 |
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Publications (2)
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JP3205987B2 JP3205987B2 (ja) | 2001-09-04 |
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ID=12176376
Family Applications (1)
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JP02581599A Expired - Lifetime JP3205987B2 (ja) | 1999-02-03 | 1999-02-03 | タングステン基焼結合金部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3205987B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6608413B2 (en) * | 2000-01-28 | 2003-08-19 | Mitsubishi Materials C.M.I. Corporation | Motor shaft caulked within groove of eccentric load |
US6707193B2 (en) * | 2000-09-11 | 2004-03-16 | Mabuchi Motor Co., Ltd. | Miniature motor with vibrator secured to an irregular portion of the motor shaft |
WO2007066560A1 (ja) * | 2005-12-09 | 2007-06-14 | A.L.M.T. Corp. | 振動制御用質量体 |
-
1999
- 1999-02-03 JP JP02581599A patent/JP3205987B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6608413B2 (en) * | 2000-01-28 | 2003-08-19 | Mitsubishi Materials C.M.I. Corporation | Motor shaft caulked within groove of eccentric load |
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WO2007066560A1 (ja) * | 2005-12-09 | 2007-06-14 | A.L.M.T. Corp. | 振動制御用質量体 |
KR101314701B1 (ko) | 2005-12-09 | 2013-10-07 | 가부시끼가이샤 아라이도 마테리아루 | 진동제어용 질량체 |
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---|---|
JP3205987B2 (ja) | 2001-09-04 |
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