JP2000226384A - イソクロマノン類の製造方法 - Google Patents

イソクロマノン類の製造方法

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JP2000226384A
JP2000226384A JP11024299A JP2429999A JP2000226384A JP 2000226384 A JP2000226384 A JP 2000226384A JP 11024299 A JP11024299 A JP 11024299A JP 2429999 A JP2429999 A JP 2429999A JP 2000226384 A JP2000226384 A JP 2000226384A
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isochromanone
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cyanide
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water
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Yoshiaki Miyoda
喜昭 御代田
Makoto Saito
信 斎藤
Katsu Yasuda
克 安田
Akira Shibuya
彰 渋谷
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イソクロマノン類を工業的に有利な方法によ
り、高収率かつ高純度に製造すること。 【解決手段】 ハロゲン化メチルシアニド類を水中また
はプロトン性極性溶媒を含む水中で、加熱するのみで加
水分解することにより、短い反応時間で高収率高純度に
イソクロマノン類を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イソクロマノン類
の製造方法に関する。イソクロマノン類は、医薬品や農
薬の原料として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、イソクロマノン類を製造する一般
的な方法としては、ハロゲン化メチルベンジルシアニド
類を、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水溶液
中にてアルカリ加水分解反応した後に、酸の添加により
酸性化し、環化する方法が知られている。
【0003】また、Research Disclos
ure(RD) −409066,581−584では、
2−クロロメチルベンジルシアニドを原料して大過剰の
硫酸と臭化テトラブチルアンモニウムを使用して3−イ
ソクロマノンを製造することが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】イソクロマノン類を製
造する方法では、ハロゲン化メチルベンジルシアニド類
をアルカリ加水分解(加水分解反応工程)した後に、酸
による酸性化(環化工程)の二つの反応工程が必要であ
り、収率が極端に低く工業的には採用できない。
【0005】また、硫酸中で2−クロロメチルベンジル
シアニドを加水分解し3−イソクロマノンを製造する場
合、大量の硫酸を用いて行うので、その結果、大量の排
水が発生し環境への負荷が大きく、また収率が低いとい
う問題がある。上記のような従来の問題点を改善し、工
業的に有利な方法により高収率、高純度かつ簡便にイソ
クロマノン類を製造することを本発明の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の従
来の問題点を解決するべく鋭意検討した結果、ハロゲン
化メチルベンジルシアニド類を水またはプロトン性極性
溶媒を含む水中で、加熱するのみでイソクロマノン類を
製造する方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、以下の発明に関する。 (1)一般式(I) 、
【化3】 ( 式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、各々独立
に、水素原子またはアルキル基を表し、R5 は、水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ
基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基またはカルボ
キシル基を表し、nは0〜4の整数を表し、Xはハロゲ
ン原子を表す。但し、nが2以上の場合、R5 は、同一
であっても異なっていても良い。)で示されるハロゲン
化メチルベンジルシアニド類を酸性条件下、水またはプ
ロトン性極性溶媒を含む水中で加水分解し、一般式(I
I)、
【化4】 ( 式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、各々独立
に、水素原子またはアルキル基を表し、R5 は、水素原
子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ
基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基またはカルボ
キシル基を表し、nは0〜4の整数を表す。但し、nが
2以上の場合、R5 は、同一であっても異なっていても
良い。)で示されるイソクロマノン類の製造方法を提供
する。 (2)プロトン性極性溶媒が低級アルコールである
(1)に記載のイソクロマノン類の製造方法を提供す
る。 (3)無機酸および/または金属塩化物を添加し、加水
分解反応を行う(1)または(2)に記載のイソクロマ
ノン類の製造方法を提供する。 (4)金属塩化物が塩化アルミニウムまたは塩化亜鉛で
ある(3)に記載のイソクロマノン類の製造方法を提供
する。 (5)無機酸および/または金属塩化物の添加量が、ハ
ロゲン化メチルベンジルシアニド類の0. 1当量〜5当
量である(1)〜(3)のいずれかに記載のイソクロマ
ノン類の製造方法を提供する。 (6)70℃から200℃の加熱条件下で、加水分解反
応を行う(1)〜(5)のいずれかにに記載のイソクロ
マノン類の製造方法を提供する。 (7)常圧から20kg/cm2の加圧条件下で、加水分解反
応を行う(1)〜(6)のいずれかに記載のイソクロマ
ノン類の製造方法を提供する。 (8)一般式(I) のハロゲン化メチルベンジルシアニド
類が2−クロロメチルベンジルシアニドであり、一般式
(II)のイソクロマノン類が3−イソクロマノンである
(1)〜(7)のいずれかに記載のイソクロマノン類の
製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の詳細について説明す
る。本発明の方法は、ハロゲン化メチルベンジルシアニ
ド類を加水分解しイソクロマノン類を製造することに関
するものである。使用する原料のハロゲン化メチルベン
ジルシアニド類は、通常塩素化体がコスト的にも有利で
あり用いられる。例えば、2−クロロメチルベンジルシ
アニドは、公知の方法により、2−メチルベンジルシア
ニドを塩化スルフリルと反応させ、蒸留あるいは結晶化
により精製し、製造することができる。
【0009】このハロゲン化メチルベンジルシアニド類
を、水またはプロトン性極性溶媒を含む水中で、加熱
し、加水分解することでイソクロマノン類を製造するこ
とができる。溶媒は、水のみでも実施可能であるが、メ
チルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコールまたはブタノールなどの低
級アルコールなどのプロトン性極性溶媒を加えることが
可能である。このプロトン性極性溶媒の効果は、ハロゲ
ン化メチルベンジルシアニド類と水との親和性をより高
め、加水分解反応をより効率的に行うために用いる。低
級アルコール類を含む水を溶媒として用いる場合には、
アルコールを高濃度にすると、ハロゲン化メチルベンジ
ルシアニド類と副反応を起こすことがあるので、アルコ
ール濃度、反応条件などの調整が必要である。
【0010】溶媒として用いる水の使用量はハロゲン化
メチルベンジルシアニド類の重量に対し、1重量倍以上
で10重量倍以下、好ましくは、3重量倍以上で7重量
倍以下である。3重量倍以上で7重量倍以下の場合はハ
ロゲン化メチルベンジルシアニド類からイソクロマノン
類への転化率や使用溶媒量に対するイソクロマノン類の
生産性の観点から工業的に有利である。また、生産性の
向上のためには、反応液に塩酸、硫酸または硝酸などの
無機酸、および/または塩化アルミニウム、塩化亜鉛な
どの金属塩化物のルイス酸を、ハロゲン化メチルベンジ
ルシアニド類に対して0. 1当量以上で5当量以下、好
ましくは、0. 3当量以上で2当量以下を添加すると良
い。
【0011】反応温度は、70〜200℃がよい。好ま
しくは、100〜150℃である。また、必要であれば
加圧して反応を行うことができる。この時の圧力条件
は、常圧より高く、20kg/cm2以下、好ましくは、0.
5kg/cm2以上、5kg/cm2以下が良い。
【0012】本反応は、通常2層反応あるいは懸濁状態
で進行するが、ハロゲン化メチルベンジルシアニド類に
よっては、水に対する溶解度が低くなり、収率の低下を
招く場合がある。この場合は、撹拌装置の増強などによ
る混合状態の改善あるいはハロゲン化メチルベンジルシ
アニド類を溶解するトルエンなどの非極性有機溶媒を加
えることにより、解決可能である。
【0013】反応後のイソクロマノン類の回収は、反応
溶液の濃縮あるいは、酢酸エチル、塩化メチレンなどの
有機溶媒による抽出により回収可能である。目的とする
イソクロマノン類により、水層と生成物層の二層になっ
ている場合は、水層を分液除去することも可能である。
特に、生成物が、3−イソクロマノンのときは、生成物
層は70℃以上で液体状であり、水に対する溶解度が低
いので分液操作によって目的物を回収可能である。更
に、減圧下での蒸留精製によって純度の高い3−イソク
ロマノンを得ることが可能である。
【0014】このように、ハロゲン化メチルベンジルシ
アニド類を原料として、本発明は、工業的に有利な方
法、すなわち、低コスト、簡便な操作、かつ発生する廃
棄物を少なくイソクロマノンを高収率、高純度に製造す
る方法を提供する。
【0015】
【実施例】以下に、ハロゲン化メチルベンジルシアニド
類についての実施例により本発明を更に詳しく説明する
が本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0016】各化合物の分析は、ガスクロマトグラフィ
ー(以下「GC」と略記する。)と液体クロマトグラフ
ィー( 以下「HPLC」と略記する。) を用いて行っ
た。GCの分析条件を以下に示す。 カラム:ジーエルサイエンス社製 DB−5 カラム温度:100℃( 2min)→[5℃/min]→150
℃( 15min) キャリアガス:He 注入口:310℃ トランスファーイオンライン温度:300℃ 検出器:FID
【0017】HPLCの分析条件 カラム:ODS カラム温度:40℃ グラジエント: 0. 05%H3 PO4 30% / M
eOH70%→0. 05%H3 PO4 70% / Me
OH30%(44min )
【0018】(実施例1)50mLのオートクレーブに
撹拌装置、温度計、圧力計をセットし、別途合成した2
- クロロメチルベンジルシアニド10g(60. 4mmo
l)と水50g、濃塩酸6. 3gを加え、撹拌しながら
反応浴温150℃で、オートクレーブの内圧2kg/cm2
3時間撹拌した。反応は、2層反応で進行していた。反
応終了後にGC分析により3−イソクロマノンの濃度を
分析し、3−イソクロマノンの収率を算出したところ、
2- クロロメチルベンジルシアニドベースの収率は、9
5%であった。このとき、2- クロロメチルベンジルシ
アニドの転化率は100%、副生成物としてハロゲン部
分の加水分解した化合物(2−ヒドロキシメチルベンジ
ルシアニド)は1. 6%であった。反応溶液の温度が7
0〜100℃付近の時に水層を分液除去する事によって
3−イソクロマノンを得る事ができた。また、反応溶液
を室温程度に冷却することによって、3−イソクロマノ
ンを結晶として回収することもできた。このとき、水層
中に塩化アンモニウムの結晶を認めるが、結晶の水洗に
よって容易に除去可能であった。
【0019】(実施例2)50mLのオートクレーブに
撹拌装置、温度計、圧力計をセットし、別途合成した2
- クロロメチルベンジルシアニド10g(60. 4mmo
l)と水50gを加え、撹拌しながら反応浴温150
℃、オートクレーブの内圧2kg/cm2で3時間撹拌した。
反応は、2層反応で進行していた。反応終了後にGC分
析により3−イソクロマノンの濃度を分析し、3−イソ
クロマノンの収率を算出したところ、2- クロロメチル
ベンジルシアニドベースの収率は、75%であった。こ
のとき、2- クロロメチルベンジルシアニドの転化率は
100%、副生成物として2−ヒドロキシメチルベンジ
ルシアニドが2. 2%であった。また、HPLCの分析
の結果、2- (カルボキシメチル)ベンジルアルコール
および2- (アミノカルボキシメチル)ベンジルアルコ
ールが2- クロロメチルベンジルシアニド基準、18%
副生していた。
【0020】(実施例3)50mLの4つ口フラスコに
冷却管、撹拌翼、温度計をセットし、別途合成した2-
クロロメチルベンジルシアニド 10g(60. 4mmo
l)と水50g、濃塩酸6.3gを加え、撹拌しながら
反応浴温130℃(反応溶液温度100℃)で6時間撹
拌した。反応は、2層反応で進行していた。反応終了後
にGC分析により3−イソクロマノンの濃度を分析し、
3−イソクロマノンの収率を算出したところ、2- クロ
ロメチルベンジルシアニド基準の収率は、76%であっ
た。このとき、2- クロロメチルベンジルシアニドの転
化率は98%、副生成物としてハロゲン部分の加水分解
した化合物が8%であった。また、HPLCの分析の結
果、2- (カルボキシメチル)ベンジルアルコールおよ
び2- (アミノカルボキシメチル)ベンジルアルコール
が2- クロロメチルベンジルシアニドに対して、収率と
して11%であった。
【0021】(比較例)50mLの4つ口フラスコに冷
却管、撹拌翼、温度計をセットし、別途合成した2- ク
ロロメチルベンジルシアニド10g(60. 4mmol)と
5%水酸化ナトリウム48gを加え、撹拌しながら反応
浴温130℃(反応溶液温度100℃)で6時間撹拌し
た。反応終了後、反応液のpHを10%塩酸により酸性
としたのちにGC分析により3−イソクロマノンの濃度
を分析し、3−イソクロマノンの収率を算出したとこ
ろ、2- クロロメチルベンジルシアニド基準の収率は、
3%であった。このとき、成分不明の物質が生成してい
た。
【0022】
【発明の効果】本発明によってハロゲン化メチルシアニ
ド類を水中またはプロトン性極性溶媒を含む水中で、加
熱するのみで加水分解することにより、短い反応時間で
高収率高純度にイソクロマノン類を製造できる。イソク
ロマノン類は、工業原料、医農薬中間体として広く利用
することが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 克 神奈川県川崎市川崎区千鳥町2−3 昭和 電工株式会社川崎工場内 (72)発明者 渋谷 彰 神奈川県川崎市川崎区千鳥町2−3 昭和 電工株式会社川崎工場内 Fターム(参考) 4C062 GG08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 、 【化1】 ( 式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、各々独立
    に、水素原子またはアルキル基を表し、R5 は、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ
    基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基またはカルボ
    キシル基を表し、nは0〜4の整数を表す。Xは、ハロ
    ゲン原子を表す。但し、nが2以上の場合、R5 は、同
    一であっても異なっていても良い。)で示されるハロゲ
    ン化メチルベンジルシアニド類を酸性条件下、水または
    プロトン性極性溶媒を含む水中で加水分解し、一般式(I
    I)、 【化2】 ( 式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、各々独立
    に、水素原子またはアルキル基を表し、R5 は、水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ
    基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基またはカルボ
    キシル基を表し、nは0〜4の整数を表す。但し、nが
    2以上の場合、R5 は、同一であっても異なっていても
    良い。)で示されるイソクロマノン類の製造方法。
  2. 【請求項2】 プロトン性極性溶媒が低級アルコールで
    ある請求項1に記載のイソクロマノン類の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機酸および/または金属塩化物を添加
    し、加水分解反応を行う請求項1または2に記載のイソ
    クロマノン類の製造方法。
  4. 【請求項4】 金属塩化物が塩化アルミニウムまたは塩
    化亜鉛である請求項3に記載のイソクロマノン類の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 無機酸および/または金属塩化物の添加
    量が、ハロゲン化メチルベンジルシアニド類の0. 1当
    量〜5当量である請求項1ないし3のいずれかに記載の
    イソクロマノン類の製造方法。
  6. 【請求項6】 70℃から200℃の加熱条件下で、加
    水分解反応を行う請求項1ないし5のいずれかに記載の
    イソクロマノン類の製造方法。
  7. 【請求項7】 常圧から20kg/cm2の加圧条件下で、加
    水分解反応を行う請求項1ないし6のいずれかに記載の
    イソクロマノン類の製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(I) のハロゲン化メチルベンジル
    シアニド類が2−クロロメチルベンジルシアニドであ
    り、一般式(II)のイソクロマノン類が3−イソクロマノ
    ンである請求項1ないし7のいずれかに記載のイソクロ
    マノン類の製造方法。
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