JP2000225461A - ドロンカップ積層型熱交換器およびろう付け方法 - Google Patents

ドロンカップ積層型熱交換器およびろう付け方法

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JP2000225461A
JP2000225461A JP11027151A JP2715199A JP2000225461A JP 2000225461 A JP2000225461 A JP 2000225461A JP 11027151 A JP11027151 A JP 11027151A JP 2715199 A JP2715199 A JP 2715199A JP 2000225461 A JP2000225461 A JP 2000225461A
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brazing
heat exchanger
flanges
oxide film
flux
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Masaji Saito
斉藤正次
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外側のフランジ同士の合わせ部のろう付け不
良の改善。 【解決手段】 フランジ同士を重ね合わせてろう付け接
合するドロンカップ積層型熱交換器において、外側のフ
ランジ同士の合わせ角度が10〜110°であることを
特徴とするドロンカップ積層型熱交換器。特定量のMg
またはさらにBi,Beを含有するAl−Si−Mg系
合金ろう材がクラッドされたアルミニウム材を、コイル
又は平坦な切り板の状態で、無機酸の水溶液で処理した
材料を用いて非酸化性ガス雰囲気でフラックス無しでろ
う付けすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばカーエアコ
ン用のエバポレーターのように積層する各々が成形され
たフランジを有しフランジ同士を重ね合わせてろう付け
接合するドロンカップ積層型熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金製熱交換器としては、
従来は押出チューブにブレージングシートをろう付けし
たサーペンタイン型のものが主流であったが、最近では
軽量化とコストダウンを図るため、ドロンカップ積層型
のものが広く使用されるようになっている。このような
ドロンカップ積層型熱交換器を製造するにあたっては、
一般にブレージングシートを所定の形状に成形してブレ
ージングシート成形体(一般には“コアプレート”と称
される)とし、複数のブレージングシート成形体と別に
用意されたフィン材等を用いて熱交換器形状に組立て、
ろう付け加熱を施して熱交換器ろう付け構造体とするの
が一般的である。
【0003】上記のようなアルミニウム製品をろう付け
によって製造する場合、非腐食性フッ化物系フラックス
を用いて構成部材をろう付け接合する方法が多く用いら
れている。従来、かかる非腐食性フッ化物系フラックス
ろう付けを行う場合、まずアルミニウム材を必要に応じ
プレス成形や切断加工して製品形状に仮組み立てしてか
ら、フラックスの懸濁水溶液を、アルミニウム材の表面
に塗布した後、これを予備乾燥し、しかる後に非酸化性
ガス雰囲気中でろう付け温度に加熱してろう付けを行っ
ていた。またこの際、最近ではフラックスの予備乾燥炉
とろう付け炉がつながった連続炉が主流となっている。
通常の非腐食性フッ化物系フラックスブレージングのフ
ラックス皮膜は、懸濁液に浸漬して形成するので厚さに
極端なむらができやすく厚い箇所では100μm程度に
なり脆いので塗布・乾燥後、プレス加工やその他の取扱
いを行うと部分的に剥離してその部分のろう付けが不可
能になる。そこで、通常は前述のように複雑な製品形状
に組み立ててろう付け直前に懸濁液の塗布作業・乾燥作
業を行っている。
【0004】しかしながら、このような方法では、複雑
な製品形状に組み立ててから懸濁液の塗布作業・乾燥作
業を必要とするため作業効率が良くなかった。また、ろ
う付け工程直前に乾燥工程があるのでこの工程に十分時
間をかけて行わないと発生水分がろう付け炉に持ち込ま
れて、ろう付け雰囲気中の露点が低下し、ろう付け性を
低下させる恐れがあり、一方乾燥工程にあまり時間をか
けすぎるとライン全体の律速工程になってしまうという
ジレンマがあった。また、複雑な製品形状での塗布なの
で、塗布量が不均一になりやすく安全をみて多めに塗布
せざるを得なく、アルミニウム部材へのフラックス付着
量が概して多くなってしまう傾向があるため、ろう付け
炉が汚染されるとか、炉中で溶融したフラックスが滴下
して炉内に蓄積され金属製の炉壁が腐食するような事態
を生じ、このためろう付け炉のクリーニング、オーバー
ホールの頻度を多くせざるをえないという問題もあっ
た。
【0005】さらには、通常用いられる非腐食性フッ化
物系フラックス成分は前述のように過剰に付いてしまう
ので余剰のフラックスは流れ、ろう付け後のアルミニウ
ム製品の表面に局所的に残留した余剰のフラックスが、
灰色ないし白色のシミを生じ、色調斑を呈して外観体裁
を損なうばかりか、その後の表面処理を妨げるという問
題もあった。また、過剰のフラックス塗布はコスト面で
も問題であった。さらに、非腐食性フッ化物系フラック
スを用いるろう付けではMgを含有するアルミニウム材
料を用いるとフラックス中のFとアルミニウム材料中の
Mgとが素早く反応し濡れ性の悪いMgF2を形成する
ので0.2%をこえるMgを含有する材料は使用でき
ず、ろう材にMgを添加してゲッター作用を期待した
り、芯材にMgを添加して強度向上し薄肉軽量化すると
いうユーザーニーズとぶつかっていた。その上、非腐食
性フッ化物系フラックスはろう付け過程で微量のHFガ
スを発生するので、漏れた場合には環境上及び健康上の
問題を生ずる。これを避けるためにはHFの回収除去装
置を必要とするので新たなコストが生ずる。
【0006】一方、非腐食性フッ化物系フラックスろう
付けにおいては、成形加工油を塗布した後に必要な加工
をして仮組立してトリクロロエタン等の有機溶剤で洗浄
した後乾燥してろう付けするという長い工程を採ってお
り、効率が悪かった。
【0007】これらの問題点に対して、アルミニウム材
に対する事前の表面処理でこれらの問題を解決しようと
する改良技術がある。非腐食性フッ化物系フラックスブ
レージングに近い方法としては、アルミニウム材をカリ
ウム及びフッ素を含有する処理溶液と接触せしめる事に
より、該アルミニウム材の表面に化学反応によってK2
AlF5層を形成した後、ろう付けを行う方法が提案さ
れている。(特開昭60−83771号)。さらに、上
記反応を促進して短時間でK2AlF5層を形成する方法
として、上記処理溶液内でアルミニウム材を電解化成処
理する方法も提案されている。(特開昭61−5298
4号)。これらの方法によれば、アルミニウム材へのフ
ラックス付着量を少なくでき、炉内の汚染の問題やろう
付け後の外観の体裁の問題を改善できるとされている。
しかし前者の方法は反応が遅いので生産性が低く、この
為、後者のように電解処理装置などが必要となりコスト
がかかりすぎる問題がある。
【0008】また、アルミニウム材をセシウムイオン及
びフッ素イオンを含有する処理溶液と接触せしめること
により、該アルミニウム材表面にフルオロアルミニウム
酸セシウム層又はフルオロアルミニウム酸セシウムとフ
ッ化アルミニウムとの混合物層を形成した後、ろう付け
を行う方法が提案されている。(特開昭61−1691
62号)。この方法は具体的にはフッ酸系とフッ化セシ
ウムとを用いpH2〜6で処理するものであるが、もと
もとフッ酸として存在するものを用いると、環境的にも
作業者の健康への影響の点からも危険で非常に扱いにく
いという問題がある。また、pH2〜6で処理すると皮
膜生成反応が遅く特にコイル状態では処理時間が長くか
かってしまう。フッ酸を用いたうえでpHを2未満にす
ると反応が激しすぎて表面が荒れてしまい、フルオロア
ルミニウム酸セシウム層又はフルオロアルミニウム酸セ
シウムとフッ化アルミニウムとの混合物層の形成が阻害
されてしまう。
【0009】さらに、本発明者等が提案した、弗化物
(弗化アンモニウム、弗酸、硼弗化水素酸・珪弗化水素
酸、弗化カリウム)あるいはそれと無機酸との混合溶
液、弗素ガス等によりコイルまたは切り板の状態で前処
理することにより、Mg無しろう材で真空ろう付けを可
能としたり・Mg入り芯材を窒素雰囲気ろう付けで使用
することを可能とする技術(特開平07−16413
8、07−164139、07−164140、07−
164136、07−185795、07−18579
7)もあるが、非腐食性フッ化物系フラックスの場合と
同様、ろう付け過程で微量のHFガスを発生するので、
漏れた場合には環境上及び健康上の問題を生じ、これを
避けるためにはHFの回収除去装置を必要とするので新
たなコストが生ずる。
【0010】そこで本願発明者らは、複雑な製品形状に
組み立ててからフラックスを塗布することに起因する通
常の非腐食性フッ化物系フラックスブレージングの上記
問題点を回避し、ろう付け加熱の均一性の良い非酸化性
ガス雰囲気ろう付けでもMgのゲッター作用が利用で
き、成形加工油の除去のため溶剤や薬剤による洗浄工程
を省略でき、かつ、上記した改良技術の問題点である、
生産性、設備コスト、表面性状、フィレット形成能、環
境問題等すべてを改善したろう付け方法を求めて模索し
た。
【0011】ここで参考にしたのは、 1.真空炉内部のMgによる汚染を防止するためブレー
ジング材料を酸洗し酸化皮膜を除去することによりろう
材中のMgを無くしても真空ろう付けできるようにした
技術。(特開平06−179095) 2.揮発し易い成形加工油を用いて成形加工した部品を
組み立ててから非腐食性フッ化物系フラックス(ノコロ
ックフラックス)の粉末を吹き付けたりあるいは同様な
油にフラックスを混合させた液体を吹き付けて加熱して
脱脂しその後連続的にろう付けを行う技術。(特開平0
5−169247)の二つである すなわち、前者の酸洗と後者の加熱脱脂とを、いずれと
も異なる非酸化性ガス雰囲気無フラックスろう付けに組
み合わせて適用できないかと考え、Mgを含有するろう
材を用いたアルミニウム材を硝酸、硫酸、燐酸、クロム
酸等の無機酸を含む水溶液で処理し(以降、単に「酸
洗」と称することもある)酸化皮膜厚さを一定値以下に
調整すると、意外にも窒素雰囲気下でフラックス無しで
ろう付けでき、成形加工油の除去も加熱のみで簡単にで
きることを見いだし、特願平10−105453として
出願した。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、その後、特願
平10−105453の発明でも、外側のフランジ同士
の合わせ部のろう付け性が悪い場合があることが判明し
た。すなわち、ろう付け後に、フィレットが小さかった
り、ろう切れが点状に発生したり、ろう流れの外観もツ
ブツブになることがある。なお、フランジ同士の合わせ
部においても内側ではろう付け性が良いことが多く問題
になりにくい。これは、内側は外側に比べ密閉度が高い
ので、ろう材中のMg等のろう付け雰囲気中の酸素に対
するゲッター作用が強いからと考えられる。本発明は、
この不具合を改善するためになされた。
【課題を解決するための手段】そして、発明者は、鋭意
研究の結果、外側のフランジ同士の合わせ部がなす角度
を一定の範囲にすることによって上記問題を改善できる
ことを見いだしたのである。
【0013】すなわち、請求項1の、積層する各々が成
形されたフランジを有しフランジ同士を重ね合わせてろ
う付け接合するドロンカップ積層型熱交換器において、
外側のフランジ同士の合わせ角度が10〜110°であ
ることを特徴とするドロンカップ積層型熱交換器であ
り、請求項2の、積層する各々が成形されたフランジを
有しフランジ同士を重ね合わせてろう付け接合するドロ
ンカップ積層型熱交換器において、Si5〜20wt.
%、Mg0.05〜5wt.%、Bi0〜1.0wt.%、B
e0〜0.1wt.%を含有するAl−Si−Mg系合金ろ
う材が両面にクラッドされたアルミニウム材を、コイル
又は平坦な切り板の状態で、硝酸、硫酸、燐酸、クロム
酸の1種又は2種以上をこれら無機酸の合計で1〜60
wt.%含む水溶液で、5℃〜90℃の温度で1秒〜20
分処理して、表面の酸化皮膜を20オングストローム以
下まで除去するとともに、表面近傍のMg/Al比を
0.4以下とし、その後、引火点が40〜140℃、粘
度が1〜5cStの成形加工油を0.1〜10g/m2
塗布した後、外側のフランジ同士の合わせ角度が10〜
110°となるように加工後、仮組立の前、あるいは後
に、加熱して成形加工油を揮発除去してから、非酸化性
ガス雰囲気でフラックス無しでろう付けすることを特徴
とするろう方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴は、外側のフ
ランジ同士の合わせ角度が10〜110°となるように
することである。このような構造のドロンカップ積層型
熱交換器において、外側のフランジ同士の合わせ部がな
す角度は、従来120°程度であった。この場合、フィ
レットが小さく、ろう切れが点状に発生し、ろう流れの
外観がツブツブ状になる場合があった。本発明では、そ
れを10〜110°とより鋭角的にすることによって、
これが改善できる事を見いだした。これは、フランジ同
士の合わせ角度がより鋭角になると、毛細管現象の働き
により、濡れ性が改善されろうが良く流れるようになる
ためと考えられる。ただし、鋭角化はフィレット面積を
小さくする方向に働くので、両者の兼ね合いから、上記
10〜110°の範囲にする。
【0015】なお、基本的には請求項1の考え方は種々
のろう付け方法で作成する熱交換器に適用できるが、発
明者が深く研究した請求項2に規定する発明について以
下、詳細に説明する。
【0016】ろう付け材料には、Si5〜20wt.%、
Mg0.05〜5wt.%、Bi0〜1.0wt.%、Be0
〜0.1wt.%を含有するAl−Si−Mg系合金ろう材
が両面にクラッドされたアルミニウム材を用いる。ろう
材中のSiはろう材の融点を下げ流動性を良くするもの
で5〜20wt.%、の通常の範囲なら良い。ろう材中の
Mgは従来の非腐食性フッ化物フラックスを用いる非酸
化性ガス雰囲気ろう付けでは使用できなかったものだ
が、本願ではそのゲッター作用を積極的に利用するため
必須のものである。すなわち、コイルまたは平坦な切り
板状態での酸洗で除去しきれなかった20オングストロ
ーム以下の酸化皮膜をろう付け加熱中にそれ以上成長さ
せないだけでなく、酸化皮膜を割るために、ろう材のM
gの蒸発を利用するのである。0.05wt.%未満では
この作用が不十分で、5wt.%を超えるとエロージョン
等の他の特性を劣化させる。同様の理由で、Mgの好ま
しい範囲は0.1〜2wt.%である。ろう材中のBiは
本願発明には必須ではないがろうの流動性を向上させる
ために添加すると好ましい。添加する場合には多すぎる
とエロージョン等の他の特性を劣化させるので1.0w
t.%以下にする。よって、ろう材へのBiの添加量は0
を含む1.0wt.%以下とする。同様の理由で、Biの
好ましい範囲は0.02〜0.2wt.%である。ろう材
中のBeは本願発明には必須ではないがろうの流動性を
向上させるためと酸洗処理後の放置時間の長時間許容化
のために添加すると好ましい。ただし、Beは毒性を有
するのでできるだけ少ない方が良く0.1wt.%以下にす
る。同様の理由で、Beの好ましい範囲は0.0005
〜0.01wt.%である。本願発明のろう材には上記し
た主要成分Al,Si,Mg,Bi,Beの他にZn,
Fe,Cu,Mn,Ti,Cr,Zr等の元素が存在し
ていても良い。Znは犠牲防食のためにろう材に添加し
ても良いが添加する場合は、自己耐食性、圧延性の観点
から6.0wt.%以下が好ましい。また、Fe,Cu,
Mn,Ti,Cr,Zr等の元素の含有量が多くなると
生成する金属間化合物等の量が多く、また粗大になって
耐食性を劣化させるので、Fe≦1.0wt.%,Cu≦
0.5wt.%,Mn≦0.6wt.%,Ti≦0.3wt.
%,Cr≦0.3wt.%,Zr≦0.3wt.%に規制する
ことが好ましい。なお、ろう材にはこれら元素の他に不
可避不純物が含まれる場合がある。
【0017】上記はろう材の化学組成であるが、ろう材
がクラッドされる芯材やブレージングシートに組み合わ
せられる別の構成部材は、1000,3000,500
0,6000,7000系等のいずれのアルミニウム合
金でもかまわない。特に、同じ非酸化性ガス雰囲気ろう
付けでもノコロックブレージングのように非腐食性フッ
化物系フラックスを用いないので、Mgを含有する材料
が自由に使えるメリットがある。ブレージングシートの
構成は両面に上記ろう材がクラッドされていれば良く、
ろう材/芯材/ろう材、ろう材/芯材/犠牲材/ろう
材、ろう材/犠牲材/芯材/犠牲材/ろう材、等何層に
なってもかまわない。
【0018】上記組成を有するAl−Si−Mg系合金
ろう材が両面にクラッドされたアルミニウム材をコイル
又は平坦な切り板の状態で、硝酸、硫酸、燐酸、クロム
酸の1種又は2種以上をこれら無機酸の合計で1〜60
wt.%含む水溶液で、5℃〜90℃の温度で1秒〜20
分処理して、表面の酸化皮膜を20オングストローム以
下まで除去する。コイル又は平坦な切り板の状態で処理
することによって、組み立ててから処理するものに比べ
て処理自体や乾燥の効率が飛躍的に向上する。
【0019】硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸の1種又は2
種以上を用いるのはこれら酸性の処理液を用いることに
よって酸化膜全体の除去のみでなく、酸化膜中のMgを
優先的に除去するので成形加工油がMgと金属石鹸を作
り難くなり除去がしやすくなる。
【0020】これら無機酸の合計で1〜60wt.%含む
水溶液で、5℃〜90℃の温度で1秒〜20分処理す
る。無機酸の濃度が60wt.%を超えたり、処理温度が
90℃を超えるとエッチングが進みすぎアルミ地までや
られてしまい、処理液の劣化も早い。酸化皮膜を20オ
ングストローム以下に除去するのに、無機酸の濃度と処
理温度の最大値を組み合わせると1秒しかかからない
が、無機酸の濃度と処理温度の最小値を組み合わせると
20分かかる。これ以上時間がかかると実用的でないの
で無機酸の濃度と処理温度の最小値はそれぞれ1wt.
%、5℃とする。なお、何らかの理由で材料表面の汚れ
がひどかったり、酸化皮膜が非常に厚く生成してしまっ
ている場合には、この酸による処理の前に、珪酸ソー
ダ、りん酸ソーダ、苛性ソーダ等のアルカリ脱脂、硫
酸、硝酸等の酸脱脂、及び/又は溶剤脱脂等を施すのが
好ましい。
【0021】そして、表面の酸化皮膜を20オングスト
ローム以下まで除去するとともに、表面近傍のMg/A
l比を0.4以下とするのである。この酸化皮膜厚はG
DS(グロー放電による発光分光法)で測定する。この
GDSで材料表面から深さ方向に解析していって、測定
した酸素元素ピークの半値幅の位置を酸化皮膜厚さと定
義し、これを20オングストローム以下にする必要があ
る。また、測定時の放電条件は電圧600V,電流70
mAとする。20オングストローム以下にすると、ろう
材中のMgを前記の量含有する前記ろう材を使用するこ
とにより、非酸化性ガス雰囲気でフラックス無しにろう
付けが可能となる。表面近傍のMg/Al比は、同じく
GDSで放電条件:電圧600V,電流70mAで0秒
から0.12秒(20オングストロームの深さ)までス
パッターしたときのMg,Alの積分値から求める。
【0022】このような表面状態にした場合にろう付け
性が良好な理由は明確ではないが、以下のように考えら
れる。Mgを含有するアルミ合金材を酸素の多い雰囲気
中で加熱すると表面のMgが優先的に酸化されるため、
まず表面近傍の固溶Mg濃度が低下する。すると、この
固溶Mg濃度差を埋めるようにアルミ合金材の内部から
表面に向かってMgの拡散が生じる。Mgを含有するア
ルミ合金材においては製造時、例えば、熱間圧延、焼鈍
工程でこのような変化がおこっている。この後で、酸化
皮膜中にMgOとして存在するMgと、アルミ合金中に
固溶MgとMg2Siとして存在するMgとをカウント
する方法で表面近傍のMg/Al比を測定すると、表面
の方が内部より非常にMg濃度が高くなる。例えば、後
述の比較例4ではAl−10%Si−0.4%Mgのろ
う材を使っているのでアルミ材内部の平均Mg/Al比
は約0.4/89.6=0.004(重量比)となるは
ずだが、無機酸による処理をしないまま表面近傍でGD
Sで測定すると、0.8にもなっている。
【0023】このようなMgを含有するろう材を、無機
酸による処理をしないで真空ろう付けに比べ酸素濃度の
高い非酸化性ガス雰囲気でろう付け加熱すると、MgO
を多量に含むポーラスな酸化皮膜が厚く存在しているの
で、力が分散してしまいアルミ地との熱膨張率の差があ
っても酸化皮膜が割れない。その結果ろう材から蒸発し
ようとするMgが雰囲気に出て来れずゲッター作用が発
揮されない。さらに、MgOを多量に含むポーラスな酸
化皮膜には、H2OやO2が吸着し易く、せっかく露点や
酸素濃度を規制した雰囲気で加熱しても、吸着していた
これらH2OやO2が出てきてしまい雰囲気を悪くする。
【0024】一方、本願のように無機酸による処理を施
すと、まず表面酸化皮膜中のMgO次に表面酸化皮膜中
のAl23が溶解するので、酸化皮膜は薄くなり、残っ
た薄い酸化皮膜中にもMgOはほとんど存在しない。こ
のような酸化皮膜はポーラスでなく薄いので、非酸化性
ガス雰囲気でろう付け加熱すると、アルミ地との熱膨張
率の差によって酸化皮膜が割れ、アルミの新生面が生じ
る。その結果ろう材から蒸発しようとするMgが雰囲気
に出て来てゲッター作用を発揮する。また、この時ろう
材が溶けていれば濡れを生じる。さらに、ポーラスでな
い酸化皮膜には、H2OやO2が吸着しにくいので、雰囲
気を悪くしない。この境界点が、上記方法で測定した場
合に、酸化皮膜厚で20オングストローム、表面近傍の
Mg/Al比で0.4ということになる。
【0025】無機酸の水溶液で処理するのは、もちろん
アルミニウム材の全面でもかまわないが、少なくともろ
う材およびろう材と接してフィレットの形成に寄与する
部材表面は酸洗処理する必要がある。無機酸の水溶液処
理後の表面は通常のろう付け用非腐食性フッ化物系フラ
ックスが塗布された皮膜等と異なり皮膜自体が形成され
ないので、その後成形その他の取り扱いを行っても皮膜
のはがれ等がない。また、コイルや平坦な切り板状態で
の処理は、平坦表面に対する処理なので、均一な皮膜生
成が容易で、かつほとんどの水分は絞りロール等で除去
することが可能なので乾燥時間も大幅に短縮でき大変生
産性が高い。
【0026】その後、引火点が40〜140℃、20℃
における粘度が1〜5cStの成形加工油を0.1〜1
0g/m2塗布する。この成形加工油は、部品の切断や
プレス成形の潤滑および酸化皮膜成長を予防するために
塗布するものであるが、揮発性が低いと、ろう付け前に
油を除去するために有機溶剤や苛性ソーダ等の薬剤によ
る脱脂処理が必要となり、工程が増え効率的でなくまた
環境的にも対策が必要となる。引火点が低いほど揮発し
やすく後の加熱処理だけで脱脂できるようになるが、引
火点が40℃未満では成形前に揮発してしまい成形加工
の潤滑の役に立たない、引火して火災を起こす危険が増
す等の不都合があるので40℃以上とする。また、14
0℃を超えると加熱処理程度では揮発されずアルミ材料
に焼き付いたり、油のまま残っていたりでろう付け性を
阻害する。従って、成形加工油には引火点が40〜14
0℃のものを用いる。
【0027】また、成形加工油の粘度が、1cSt未満
であると成形性が悪く、5cStを超えるとアルミ材表
面にこびりつき加熱しても揮発しにくくなり後のろう付
け性に悪影響を与える。よって成形加工油の粘度は、1
〜5cStとする。
【0028】また成形加工油の塗布量が0.1g/m2
未満ではアルミニウム材全面に塗布することが難しくな
り、成形の潤滑の役に立たず、また保管して長時間経過
すると塗布されていない部分の酸化皮膜が厚くなりろう
付け性を阻害する。10g/m2を超えると揮発除去す
るための加熱時間を長くとらなければならず作業効率が
落ちたり、残存した油によるろう付け性の阻害が生じ
る。よって、成形加工油の塗布量は0.1〜10g/m
2とする。なお、この成形加工油は、鉱油を主成分とす
るが、極圧添加剤や防錆剤を含有していてもかまわな
い。
【0029】本願のろう材のようにMgを含有する合金
に成形加工油を塗布するとMgを含有しないアルミニウ
ム合金に比べ非常に取れにくい。ところが、酸洗して酸
化皮膜を除去するとこれが劇的に改善される。この理由
は明確ではないが、以下のように考えられる。Mgを含
有するろう材表面にはMgが偏析してMgの多く含まれ
る酸化膜がある。Mgを多く含む酸化皮膜はポーラスな
ので油がしみ込みやすく抜けにくいし、Mgが油と結合
して金属石鹸を作りやすい。金属石鹸の存在はろう付け
性を著しく阻害するし、酸化皮膜が厚いと一旦しみ込ん
だ油は一層抜けにくくなる。この酸化皮膜を本願のよう
に無機酸で処理することにより、酸化皮膜自体が除去さ
れ薄くなるのみでなく、残った酸化皮膜中のMgを優先
的に除去するので、成形加工油がMgと金属石鹸を作り
難くなる。この成形加工油は酸洗後に塗油してアルミニ
ウム材表面の酸化防止する役割も担うが、酸洗処理後す
ぐにろう付けできるとは限らないので、生産性の観点か
ら酸洗処理後ろう付けまでの放置時間が長くなってもろ
う付け性に影響がないことが望まれる。酸洗でポーラス
なMg酸化物を除去してから、塗油することによって金
属石鹸の生成を防止するようにしているが、それだけで
は酸洗塗油後ろう付けまでに長期保管すると油中の水分
あるいは油膜を通過してくるO2によってポーラスなM
g酸化物が少量成長してしまい、これに油が入り込みあ
るいは金属石鹸を生成して油の除去が困難になる。ろう
材にBeを添加すると表面に緻密な酸化物が生成し、こ
れが油とMgとの中間層となりポーラスなMg酸化物の
成長を阻害し、油の入り込みあるいは金属石鹸の生成が
阻害され、油の除去が簡単になるものと思われる。そこ
で、酸洗処理後の放置時間が長くなるときには添加する
のが好ましい。
【0030】上記のような処理を施されたアルミニウム
材料は必要な大きさに切断したりフランジ同士の合わせ
角度が10〜110°となるようにプレス等の成形をし
た後、あるいは、最終製品形状に仮組立てした後に、加
熱処理することにより成形加工油を揮発させる。成形加
工油を揮発させるためには100〜250℃に加熱する
のが好ましい。。100℃未満だと、揮発させるのに時
間がかかりすぎ、250℃を超えるとアルミ材表面の酸
化が進み酸洗でせっかく薄くした酸化皮膜がまた厚くな
ってしまいろう付け性を阻害する。また、成形加工油を
揮発させるためにわざわざ特別に加熱処理工程を付加し
なくても、非酸化性ガス雰囲気ろう付け炉の予熱室にお
ける予熱で兼ねても良い。成形加工油の揮発を助けるた
め、風や真空を併用するのも好ましい。成形後の部品段
階で成形加工油を揮発させた場合その後最終製品形状に
仮組立てしてから、最終製品形状に仮組立てしてから成
形加工油を揮発させた場合そのまま、非酸化性ガス(例
えば、窒素やアルゴン)雰囲気でろう付けする。本発明
においては雰囲気の酸素濃度を200ppm以下、露点
を−30℃以下としてろう付けするのが好ましい。
【0031】
【実施例】以下に実施例にもとづき本発明を更に詳細に
説明する。 (発明例1〜9)板厚0.6mmのブレージング用アル
ミニウムクラッド材(3003+0〜1.5%Mgの芯
材に、Al−10%Si−0〜3%Mg−0〜1%Bi
−0〜0.1%Beろう材を15%づつ両面にクラッド
したもの。)のコイルを巻き戻しながら、表面をアルカ
リ系脱脂剤で脱脂した後、表1に示した条件で無機酸の
水溶液により処理し次に水洗・純水洗した後、絞りロー
ルで水分を除去してから100℃の温風で乾燥し、表1
に示した条件で成形加工油(昭和シェル石油製RF−1
90、引火点76℃、粘度2.1cSt)を塗布し再度
コイルに巻いた。その後、必要な寸法に切断し、組立時
の外側のフランジ同士の合わせ角度が10〜110°と
なるように変化させてカップ成形したものに120℃,
20分の加熱を施し成形加工油を揮発させた後、交互に
4段に組み立てた。試験に用いたドロンカップ積層型熱
交換器模型の概観を図2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】(比較例1)ろう材Mgを0%にした以外
は発明例1と同じブレージング用アルミニウムクラッド
材に成形加工油(出光興産製ダフニーネオフルイド3
2、引火点230℃、粘度32cSt)を塗布し、その
後、必要な寸法に切断、組立時のフランジ同士の合わせ
角度が80°となるようにカップ成形、溶剤(メチルエ
チルケトン)で脱脂後組み立てた。次いで該組み立て品
を水に分散させた非腐食性フッ化物系フラックス(ノコ
ロック)の懸濁液中に浸漬させた後120℃×20分で
乾燥させ、3.0g/m2のフラックスを塗布した。 (比較例2)材料としてろう材にMgを0.4%含有す
るものを用いたほかは比較例1と同様の処理をしたも
の。 (比較例3)成形加工油を0.05g/m2しか塗布し
ない以外は発明例3と同じもの。 (比較例4)組立時のフランジ同士の合わせ角度を13
0°にした以外は発明例3と同じもの。 (比較例5)比較例2と同じブレージング用アルミニウ
ムクラッド材を用いたが、無機酸の水溶液による処理も
成形加工油の塗布も行わないもの。 (比較例6)ろう材にMg,Biを含有しないこと以外
は発明例3と同じもの。
【0034】以上の発明例1〜8及び比較例1〜6につ
いて、切断前の平板状態で外観を目視観察し、経済性、
効率性の評価とあわせて表2に記入した。 ろう付け前外観の評価基準は◎ 酸洗処理後のむらが全くない。 ○ 酸洗処理後のむら面積率5%以下。 △ 酸洗処理後のむら面積率5を超え20%以下 。 × 酸洗処理後のむら面積率20%を超える。 ろう付け前の成形性の評価は◎ 成形可能。 × 成形不可能。 ろう付け前の経済性の評価は◎ 消耗する薬剤のランニングコストが安い。 × 消耗する薬剤のランニングコストが高い。 ろう付け前の効率性の評価は◎ コイル状態の板を連続的に迅速に処理できる 。 × 仮組立体の処理で効率が悪い。
【0035】また、ドロンカップ積層型熱交換器模型仮
組立物を、大気圧で窒素置換をし炉内の酸素濃度50p
pm、露点温度−40℃、ろう付け温度600℃で10
分の窒素雰囲気ろう付けを施し、ろう付け品について、
処理直後にろう付けした場合と皮膜処理後しばらく放置
してからろう付けした場合のろう付け性を目視観察する
と共に直後にろう付けした場合のみ外観のしみ、表面処
理性の評価を行った。表面処理性は各ろう付け品をアロ
ジン#1200溶液中に45℃で2分間浸漬して化成処
理を行った後、アクリル系塗料を用いて浸漬塗装を行い
焼付乾燥した。次いで、ろう付け品の平坦部において塗
膜面に1mm目のマス目を縦横各10個づつ100個け
がいてテープ剥離試験を実施し塗膜の残ったマス目の数
で評価した。これらの結果を表2に示す。ろう付け後外
観むらの評価は ◎ ろう付け後の外観むらが全くない。 ○ ろう付け後の外観むら面積率が5%以下。 △ ろう付け後の外観むら面積率が5を超え20%以
下。 × ろう付け後の外観むら面積率が20%を超える。 ろう付け性の評価は、 ◎ フィレット形成とろうの流れが非常に良いもの。5
0回試験してろう切れはゼロで、フィレットが大きいも
の。 ○ フィレット形成とろうの流れが良いもの。50回試
験してろう切れはゼロだが、フィレットがやや小さいも
の。 △ フィレット形成とろうの流れがやや劣るもの。50
回試験してろう切れは6個未満、ろう流れの外観がツブ
ツブになる。 × フィレット形成とろうの流れが劣るもの。50回試
験してろう切れは6個以上、ろう流れの外観がツブツブ
になる。 特に本発明は、外側のフランジ同士の合わせ部のろう付
け性を改良するのが目的なので、上記基準で外側とサン
プルを切断した内側とからフランジ同士の合わせ部を観
察した。炉汚染性の評価は5バッチ連続してろう付けし
たときのフラックスの滴下が無いものを ◎ 、フラッ
クスの滴下が認められたものを × とした。
【0036】
【表2】
【0037】比較例1は通常の非腐食性フッ化物系フラ
ックス(通称ノコロックフラックス)の懸濁液による仮組
立後の処理のため、ろう付け前の経済性、効率性が劣
り、またフラックス皮膜が不均一である。更にこのフラ
ックスはろう付け時に液相になるため、ろう付け後の外
観が模様状のむらになり、またろう付け後にも皮膜がで
き洗浄しても落ちきらないので表面処理性(塗膜密着
性)が劣る。比較例2は比較例1と同じフラックスを用
いているが、ろう材にMgを含有するアルミ材料に用い
ているので、比較例1の欠点のほかに、フラックスとM
gとが反応し濡れ性が悪くなりフィレットの形成が劣
る。比較例3は成形加工油が少ないので、成形性が劣
り、無機酸の水溶液処理後ろう付けまでの放置時間が長
いと外側のろう付け性も劣るようになる。ただし、ろう
材にMgを含有するので内側のろう付け性は良い。比較
例4は比較例3より成形加工油が多いので成形性は向上
するが、外側のフランジ同士の合わせ部の角度が130
°と大きいので外側のろう付け性が劣るようになる。比
較例5は、Mg含有ろう材を使うだけで、無機酸の水溶
液による処理も成形加工油の塗布も行わないので、残留
酸化皮膜は厚く、表面近傍のMg/Al比は0.8と大
きいため、成形性が悪く、ろう付け性、特に外側がとて
も悪く、ろう付け後外観しみも悪い。比較例6は発明例
3とほぼ同じ条件だが、ろう材にMg,Biを含有しな
いので外側、内側ともろう付け性が悪い。
【0038】一方、発明例1は、無機酸の水溶液の濃度
と処理温度・処理時間が下限の条件なので酸化皮膜が1
8オングストロームまでにしか除去できず、Mg/Al
比も0.3とやや大きいためろう付け性がやや劣るが実
用レベルである。他の発明例は評価した全項目が良好で
ある。すなわち、ろう材にMg0.1〜2%が含まれて
いれば、ろう材にBiが含まれていなくても含まれてい
ても、また、ろう材にBeが含まれていなくても含まれ
ていても良好なろう付け性を示した。また、本発明例で
は無機酸の水溶液処理で酸化皮膜を除去した後、成形加
工油が一定量均一に塗布されているので、経時変化が少
ない。
【0039】以上の結果から、硝酸、硫酸、燐酸、クロ
ム酸等の無機酸の水溶液で仮組立前の、コイル又は平坦
な切り板の状態で処理した、本発明のろう付け用アルミ
ニウム材は、その表面の外観もよく、かつ均一に酸化皮
膜が除去され、成形加工油も均一に塗布されている。そ
して、本発明実施品は処理してから長時間放置しても経
時変化もなく良好な窒素雰囲気ろう付けが達成されたば
かりか、得られたろう付け品はその表面状態も良好であ
ることを確認しえた。
【0040】
【発明の効果】本発明はドロンカップ積層型熱交換器の
外側のフランジ同士の合わせ角度を10〜110°と鋭
角化したので、特願平10−105453の発明で得ら
れていた、ろう付け品を仮組立してからフラックスを塗
布することに起因する通常の非腐食性フッ化物系フラッ
クスブレージングの問題点(作業効率、乾燥工程が必要
で生産性悪い、ろう付け炉クリーニング・オーバーホー
ル頻度の多さ、ろう付け後外観体裁、コスト)、フラッ
クスや処理液に弗化物を用いることによる問題点(環境
上・健康上の問題、Mg含有材料が使えない)、成形加
工油の除去に関する問題点、酸洗塗油後の保管期間に関
する問題点等が全て解決され、作業効率が良く、環境に
優しく、使用材料の許容度が高いろう付けが可能になる
という利点の他に、上記発明では完全には防止できなか
った、外側のフランジ同士の合わせ部のろう付け性の不
具合も改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドロンカップ積層型熱交換器の外側のフランジ
同士の合わせ角度をあらわす断面図である。
【図2】実施例の試験に用いたドロンカップ積層型熱交
換器模型の側面の外観図である。
【符号の説明】
1 ・・・・・・フランジ同士の合わせ部 11・・・・・・外側のフランジ同士の合わせ角度 2 ・・・・・・ドロンカップ 3 ・・・・・・フィン 4 ・・・・・・あて板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 21/00 C22C 21/00 D J E F28D 1/03 F28D 1/03 F28F 3/08 311 F28F 3/08 311

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 積層する各々が成形されたフランジを有
    しフランジ同士を重ね合わせてろう付け接合するドロン
    カップ積層型熱交換器において、外側のフランジ同士の
    合わせ角度が10〜110°であることを特徴とするド
    ロンカップ積層型熱交換器。
  2. 【請求項2】 積層する各々が成形されたフランジを有
    しフランジ同士を重ね合わせてろう付け接合するドロン
    カップ積層型熱交換器において、 Si5〜20wt.%、Mg0.05〜5wt.%、Bi0〜
    1.0wt.%、Be0〜0.1wt.%を含有するAl−S
    i−Mg系合金ろう材が両面にクラッドされたアルミニ
    ウム材を、コイル又は平坦な切り板の状態で、硝酸、硫
    酸、燐酸、クロム酸の1種又は2種以上をこれら無機酸
    の合計で1〜60wt.%含む水溶液で、5℃〜90℃の
    温度で1秒〜20分処理して、表面の酸化皮膜を20オ
    ングストローム以下まで除去するとともに、表面近傍の
    Mg/Al比を0.4以下とし、その後、引火点が40
    〜140℃、粘度が1〜5cStの成形加工油を0.1
    〜10g/m2塗布した後、外側のフランジ同士の合わ
    せ角度が10〜110°となるように加工後、仮組立の
    前、あるいは後に、加熱して成形加工油を揮発除去して
    から、非酸化性ガス雰囲気でフラックス無しでろう付け
    することを特徴とするろう付け方法。
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