JPH108263A - ろう付け用アルミニウム材の製造方法、およびろう付け方法 - Google Patents

ろう付け用アルミニウム材の製造方法、およびろう付け方法

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JPH108263A
JPH108263A JP17574296A JP17574296A JPH108263A JP H108263 A JPH108263 A JP H108263A JP 17574296 A JP17574296 A JP 17574296A JP 17574296 A JP17574296 A JP 17574296A JP H108263 A JPH108263 A JP H108263A
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brazing
acid
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film
aluminum
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JP17574296A
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Masaji Saito
斉藤正次
Eiju Kikuchi
菊地英寿
Fumio Yoneyama
米山富美雄
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Sky Aluminium Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な製品形状に組み立ててからフラックス
を塗布することに起因する通常の非腐食性フッ化物系フ
ラックスブレージングの問題点を回避する。 【解決手段】 アルミニウム材を、0.05〜2モル/リッ
トルの濃度のフッ化セシウムを含み、さらに、硝酸、硫
酸、燐酸、クロム酸の1種又は2種以上をこれら無機酸
の合計で1〜40wt.%含む、pH2未満の水溶液で、
5℃〜70℃の温度で1秒〜20分処理することを特徴
とするろう付け用アルミニウム材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はろう付け仕様によっ
て製作されるアルミニウム製品、例えば自動車用ラジエ
ーター、カーエアコン用のエバポレーターやコンデンサ
ー、その他の電気、産業機械用の各種アルミニウム製熱
交換器、あるいは自動車用のアルミニウム製吸気マニホ
ルド等のアルミニウムろう付け品に使用するろう付け用
アルミニウム材、その製造方法、およびその材を用いた
ろう付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のようなアルミニウム製品をろう付
けによって製造する場合、非腐食性フッ化物系フラック
スを用いて構成部材をろう付け接合する方法が多く用い
られている。従来、かかる非腐食性フッ化物系フラック
スろう付けを行う場合、まずアルミニウム材を必要に応
じプレス成形や切断加工して製品形状に仮組み立てして
から、フラックスの懸濁水溶液を、アルミニウム材の表
面に塗布した後、これを予備乾燥し、しかる後に非酸化
性雰囲気中でろう付け温度に加熱してろう付けを行って
いた。またこの際、最近ではフラックスの予備乾燥炉と
ろう付け炉がつながった連続炉が主流となっている。通
常の非腐食性フッ化物系フラックスブレージングのフラ
ックス皮膜は、懸濁液に浸漬して形成するので厚さに極
端なむらができやすく厚い箇所では100μm程度にな
り脆いので塗布・乾燥後、プレス加工やその他の取扱い
を行うと部分的に剥離してその部分のろう付けが不可能
になる。そこで、通常は前述のように複雑な製品形状に
組み立ててろう付け直前に懸濁液の塗布作業・乾燥作業
を行っている。
【0003】しかしながら、このような方法では、複雑
な製品形状に組み立ててから懸濁液の塗布作業・乾燥作
業を必要とするため作業効率が良くなかった。また、ろ
う付け工程直前に乾燥工程があるのでこの工程に十分時
間をかけて行わないと発生水分がろう付け炉に持ち込ま
れて、ろう付け雰囲気中の露点が低下し、ろう付け性を
低下させる恐れがあり、一方乾燥工程にあまり時間をか
けすぎるとライン全体の律速工程になってしまうという
ジレンマがあった。また、複雑な製品形状での塗布なの
で、塗布量が不均一になりやすく安全をみて多めに塗布
せざるを得なく、アルミニウム部材へのフラックス付着
量が概して多くなってしまう傾向があるため、ろう付け
炉が汚染されるとか、炉中で溶融したフラックスが滴下
して炉内に蓄積され金属製の炉壁が腐食するような事態
を生じ、このためろう付け炉のクリーニング、オーバー
ホールの頻度を多くせざるをえないという問題もあっ
た。
【0004】さらには、通常用いられる非腐食性フッ化
物系フラックス成分は前述のように過剰に付いてしまう
ので余剰のフラックスは流れ、ろう付け後のアルミニウ
ム製品の表面に局所的に残留した余剰のフラックスが、
灰色ないし白色のシミを生じ、色調斑を呈して外観体裁
を損なうばかりか、その後の表面処理を妨げるという問
題もあった。また、過剰のフラックス塗布はコスト面で
も問題であった。さらに、非腐食性フッ化物系フラック
スを用いるろう付けではMgを含有するアルミニウム材
料を用いるとフラックス中のFとアルミニウム材料中の
Mgとが素早く反応し濡れ性の悪いMgF2を形成する
ので0.2%をこえるMgを含有する材料は使用できず
強度向上し薄肉軽量化するというユーザーニーズとぶつ
かっていた。
【0005】これらの問題点に対して、アルミニウム材
に対する事前の表面処理でこれらの問題を解決しようと
する改良技術がある。非腐食性フッ化物系フラックスブ
レージングに近い方法としては、アルミニウム材をカリ
ウム及びフッ素を含有する処理溶液と接触せしめる事に
より、該アルミニウム材の表面に化学反応によってK2
AlF5層を形成した後、ろう付けを行う方法が提案さ
れている。(特開昭60−83771号)。さらに、上
記反応を促進して短時間でK2AlF5層を形成する方法
として、上記処理溶液内でアルミニウム材を電解化成処
理する方法も提案されている。(特開昭61−5298
4号)。これらの方法によれば、アルミニウム材へのフ
ラックス付着量を少なくでき、炉内の汚染の問題やろう
付け後の外観の体裁の問題を改善できるとされている。
しかし前者の方法は反応が遅いので生産性が低く、この
為、後者のように電解処理装置などが必要となりコスト
がかかりすぎる問題がある。
【0006】また、アルミニウム材をセシウムイオン及
びフッ素イオンを含有する処理溶液と接触せしめること
により、該アルミニウム材表面にフルオロアルミニウム
酸セシウム層又はフルオロアルミニウム酸セシウムとフ
ッ化アルミニウムとの混合物層を形成した後、ろう付け
を行う方法が提案されている。(特開昭61−1691
62号)。この方法は具体的にはフッ酸系とフッ化セシ
ウムとを用いpH2〜6で処理するものであるが、もと
もとフッ酸として存在するものを用いると、環境的にも
作業者の健康への影響の点からも危険で非常に扱いにく
いという問題がある。また、pH2〜6で処理すると皮
膜生成反応が遅く特にコイル状態では処理時間が長くか
かってしまう。フッ酸を用いたうえでpHを2未満にす
ると反応が激しすぎて表面が荒れてしまい、フルオロア
ルミニウム酸セシウム層又はフルオロアルミニウム酸セ
シウムとフッ化アルミニウムとの混合物層の形成が阻害
されてしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本願発明者は、
複雑な製品形状に組み立ててからフラックスを塗布する
ことに起因する通常の非腐食性フッ化物系フラックスブ
レージングの上記問題点を回避し、かつ、上記した改良
技術の問題点である、生産性、設備コスト、表面性状、
フィレット形成能等すべてを改善したろう付け方法を求
めて、平板状態で生成してその後プレス加工やその他の
取扱いを行なっても問題の無いフラックス皮膜に代わる
ものを模索した。
【0008】
【課題を解決するための手段】その結果、当研究者らは
アルミニウム材をフッ化セシウムと硝酸、硫酸、燐酸、
クロム酸等の無機酸を含む水溶液で処理するとエッチン
グされると同時にフルオロアルミニウム酸セシウム層又
はフルオロアルミニウム酸セシウムとフッ化アルミニウ
ムとの混合物層の皮膜が生成し、この皮膜が好ましい特
性を有することを見いだし本願発明に至った。
【0009】すなわち、請求項1の、アルミニウム材
を、0.05〜2モル/リットルの濃度のフッ化セシウムを含
み、さらに、硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸の1種又は2
種以上をこれら無機酸の合計で1〜40wt.%含む、p
H2未満の水溶液で、5℃〜70℃の温度で1秒〜20
分処理することを特徴とするろう付け用アルミニウム材
の製造方法。
【0010】請求項2の、アルミニウム材を、コイル又
は平坦な切り板の状態で、0.05〜2モル/リットルの濃度
のフッ化セシウムを含み、さらに、硝酸、硫酸、燐酸、
クロム酸の1種又は2種以上をこれら無機酸の合計で1
〜40wt.%含む、pH2未満の水溶液で、5℃〜70
℃の温度で1秒〜20分処理し、その後必要な加工後、
仮組立して非酸化性雰囲気中でろう付けすることを特徴
とするろう付け方法。
【0011】請求項3の、ろう材として通常のAl−S
i系合金を用い、かつ、構造部材として0.2%をこえ
るMgを含有するアルミニウム合金を少なくとも一部に
用いて構成されるろう付け品の、少なくともろう材およ
びろう材と接してフィレットの形成に寄与する部材表面
を、それぞれコイル又は平坦な切り板の状態で、0.0
5〜2モル/リットルの濃度のフッ化セシウムを含み、さら
に、硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸の1種又は2種以上を
これら無機酸の合計で1〜40wt.%含む、pH2未満
の水溶液で、5℃〜70℃の温度で1秒〜20分処理
し、その後必要な加工後、仮組立して非酸化性雰囲気中
でろう付けすることを特徴とするろう付け方法。であ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本願発明ではアルミニウム材の表
面に、フッ化セシウムと硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸等
の無機酸を含む水溶液で処理しフルオロアルミニウム酸
セシウム層又はフルオロアルミニウム酸セシウムとフッ
化アルミニウムとの混合物層と考えられる皮膜を生成さ
せる。この皮膜には、セシウム、フッ素、窒素、硫黄、
燐、クロム等の元素が含まれることがあるし、用いる水
溶液によっては他の元素が含まれることがあるが、主に
フルオロアルミニウム酸セシウム又はフルオロアルミニ
ウム酸セシウムとフッ化アルミニウムとの混合物からな
る皮膜であればかまわない。
【0013】この皮膜の生成方法は、具体的には、アル
ミニウム材を、0.05〜2モル/リットルの濃度のフッ化セ
シウムを含み、さらに、硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸の
1種又は2種以上をこれら無機酸の合計で1〜40wt.
%含む、pH2未満の水溶液で、5℃〜70℃の温度で
1秒〜20分処理するわけだが、その処理方法は、浸漬
法でも、スプレー法でもかまわない。セシウム含有酸性
水溶液中でのアルミニウム材表面へのフルオロアルミニ
ウム酸セシウム層またはフルオロアルミニウム酸セシウ
ムとフッ化アルミニウムの混合物層皮膜の生成は、基本
的には置換反応であり、厚みはエッチングと皮膜成長の
兼ね合いで決まる。工業生産性から考えるとフッ化セシ
ウムの濃度は0.05〜2モル/リットル、が適当である。
0.05モル/リットル未満だと皮膜の主成分であるフッ素と
セシウムが不足し、2モル/リットルを超えても性能の向上は
見られずコスト高を招くだけである。
【0014】フッ化セシウム単独の水溶液で処理しても
アルミニウム材とほとんど反応せず工業生産には適さな
い。工業生産上必要な反応速度にするためには、フッ化
セシウムの他に、硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸等の無機
酸により処理液を酸性にする。これら無機酸はフッ酸に
比べアルミニウム材との反応が穏やかでアルミニウム表
面を荒らすことが少なく、また、環境的にも作業者の健
康への影響の点からも比較的安全で扱いやすい。無機酸
の濃度は合計で1%〜40%(重量で)、pH2未満、処
理温度は5〜70℃が適当である。pHが2以上だと皮
膜生成反応が遅く特にコイル状態では処理時間が長くか
かってしまう。フッ酸の代わりにこれら無機酸を用いる
と、pHが2未満でも、フッ酸を用いた場合と異なり、
反応が激しすぎて表面が荒れてしまい、フルオロアルミ
ニウム酸セシウム層又はフルオロアルミニウム酸セシウ
ムとフッ化アルミニウムとの混合物層の形成が阻害され
てしまうことはない。
【0015】処理温度が70℃より高かったり濃度が4
0%をこえるとエッチングは進むが皮膜が成長しにくく
なる。一方処理温度が5℃より低かったり濃度が1%よ
り低いとエッチングも皮膜生成反応も進まない。また、
有効な皮膜厚を得るためには、最大濃度と最高温度の組
み合わせだと処理時間は最短1秒ですむが最小濃度と最
低温度の組み合わせだと処理時間は最長20分かかる。
よって処理時間は1秒から20分とする。処理の効率
上、通常はコイル又は平坦な切り板の状態のアルミニウ
ム材を処理する。しかし、この点に目をつむれば、切
断、成形等必要な加工後仮組立したものにこの処理を行
っても良い。
【0016】本発明によれば通常の非腐食性フッ化物系
フラックスでは不可能だったMgを0.2%をこえて含
有するアルミニウム合金構成部材(ブレージングシート
芯材であっても、ブレージングシートに対向する他の構
成部材であっても良い)の窒素雰囲気中でのろう付けが
可能となる。これは、理由はよくわからないが、非腐食
性フッ化物系フラックスと違い本願発明のフルオロアル
ミニウム酸セシウム単独のまたはフルオロアルミニウム
酸セシウムとフッ化アルミニウムの混合した皮膜は、ろ
う付け温度付近で材料中のMgとは反応しにくく、濡れ
性の悪いMgF2を形成しにくいため、ろうの流れが良
い、あるいは、MgF2が少し形成されてもこれらの皮
膜が溶解してしまうためろうの流れが良いものと思われ
る。また、ろう材としては通常のAl−Si系ろう材を
用いるが、ろう付け性の向上・安定のためろう材中にさ
らにMgやBiを含有してもかまわない。
【0017】フッ化セシウムと硝酸、硫酸、燐酸、クロ
ム酸等の無機酸を含む水溶液による処理の前に、材料表
面の汚れ及び酸化皮膜を除去するために、ケイ酸ソー
ダ、リン酸ソーダや水酸化ナトリウム等のアルカリ脱
脂、及び/又は硫酸、硝酸等の酸脱脂を施すのが好まし
いが、材料が汚れていない場合は直接に処理しても良
い。
【0018】このような皮膜を生成したアルミニウム材
は、その後、必要な大きさに切断されたりプレスなどの
成形加工を受けたのち最終製品形状に仮組立てされろう
付けされる。ろう付けは非酸化性雰囲気、すなわち窒素
雰囲気で行う。本材料を用いて窒素雰囲気ろう付けする
場合は、酸素濃度を100ppm以下、露点温度を−2
0℃以下とすることが好ましく、ろう材として通常のA
l−Si系合金を用いる。フルオロアルミニウム酸セシ
ウム皮膜またはフルオロアルミニウム酸セシウムとフッ
化アルミニウムとの混合皮膜の形成は、もちろんアルミ
ニウム材の全面でもかまわないが、少なくともろう材お
よびろう材と接してフィレットの形成に寄与する部材表
面には形成する必要がある。このフルオロアルミニウム
酸セシウム皮膜またはフルオロアルミニウム酸セシウム
とフッ化アルミニウムとの混合皮膜は緻密なので一旦生
成すると長時間経過してもアルミニウム面の新たな酸化
を防止する。またこの皮膜は通常のろう付け用非腐食性
フッ化物系フラックスと異なり薄く緻密な皮膜なのでコ
イルや平坦な切り板状態で皮膜を生成させその後成形そ
の他の取り扱いを行っても皮膜のはがれ等が少ない。ま
た、コイルや平坦な切り板状態での皮膜生成は、平坦表
面に対する処理なので、均一な皮膜生成が容易で、かつ
ほとんどの水分は絞りロール等で除去することが可能な
ので乾燥時間も大幅に短縮でき大変生産性が高い。
【0019】以上ろう付け工程において仮組立前のアル
ミ板、条についての処理する場合について説明したが、
ろう付け品を仮組立した後に処理しても塗布乾燥の効率
は劣るが他のメリットは享受できる。
【0020】
【実施例】以下に実施例にもとづき本発明を更に詳細に
説明する。 (発明例1〜9)板厚0.6mmのブレージング用アル
ミニウムクラッド材(Al−10%Si/3003/A
l−10%Si、及びAl−10%Siろう材に3%ま
でのMg、および1%までのBiを添加したもの)のコ
イルを巻き戻しながら、表面をアルカリ系脱脂剤で脱脂
した後、表1に示した条件で処理し次に水洗・純水洗し
た後、絞りロールで水分を除去してから100℃の温風
で乾燥しながら再度コイルに巻いた。その後、必要な寸
法に切断し、カップ成形したものを交互に4段に組み立
てた。
【0021】
【表1】
【0022】(比較例1)発明例1と同じブレージング
用アルミニウムクラッド材を必要の寸法に切断、カップ
成形、溶剤(メチルエチルケトン)で脱脂後組み立て
た。次いで該組み立て品を水に分散させた非腐食性フッ
化物系フラックス(ノコロック)の懸濁液中に浸漬させ
た後120℃×20分で乾燥させ、3.0g/m2のフ
ラックスを塗布した。 (比較例2)材料として芯材にMgを0.3%含有する
ものを用いたほかは比較例1と同様の処理をしたもの。 (比較例3)フッ化セシウムのみの溶液でpHを10に
したほかは発明例2と同様の処理をしたもの。 (比較例4)無機酸のかわりにフッ酸を用いてpHを5
にしたほかは発明例2と同様の処理をしたもの。
【0023】以上の発明例1〜9及び比較例1〜4につ
いて、切断前の平板状態で外観を目視観察し、経済性、
効率性の評価とあわせて表2に記入した。 ろう付け前外観の評価基準は◎ 皮膜処理後のむらが全
くない。 ○ 皮膜処理後のむら面積率5%以下。 △ 皮膜処理後のむら面積率5を超え20%以下。 × 皮膜処理後のむら面積率20%を超える。 ろう付け前の経済性の評価は◎ 消耗する薬剤のランニ
ングコストが安い。 × 消耗する薬剤のランニングコストが高い。 ろう付け前の効率性の評価は◎ コイル状態の板を連続
的に迅速に処理できる。 × 仮組立体の処理で効率が悪い。 また、モデルカップ各熱交換器仮組立物を、大気圧で窒
素置換をし炉内の酸素濃度50ppm、露点温度−40
℃、ろう付け温度600℃で10分の窒素雰囲気ろう付
けを施し、ろう付け品について、処理直後にろう付けし
た場合と皮膜処理後しばらく放置してからろう付けした
場合のろう付け性を目視観察すると共に直後にろう付け
した場合のみ外観、表面処理性の評価を行った。表面処
理性は各ろう付け品をアロジン#1200溶液中に45
℃で2分間浸漬して化成処理を行った後、アクリル系塗
料を用いて浸漬塗装を行い焼付乾燥した。次いで、ろう
付け品の平坦部において塗膜面に1mm目のマス目を縦
横各10個づつ100個けがいてテープ剥離試験を実施
し塗膜の残ったマス目の数で評価した。これらの結果を
表2に示す。 ろう付け後外観の評価は◎ ろう付け後のむらが全くな
い。 ○ ろう付け後のむら面積率5%以下。 △ ろう付け後のむら面積率5を超え20%以下。 × ろう付け後のむら面積率20%を超える。 ろう付け性の評価は ◎ フィレット形成とろうの流れ
が非常に良いもの。 ○ フィレット形成とろうの流れが良いもの。 △ フィレット形成とろうの流れがやや劣るもの。 × フィレット形成とろうの流れが劣るもの。 炉汚染性の評価は5バッチ連続してろう付けしたときの
フラックスの滴下が無いものを ◎ 、フラックスの滴
下が認められたものを × とした。
【0024】
【表2】
【0025】比較例1は通常の非腐食性フッ化物系フラ
ックス(通称ノコロックフラックス)の懸濁液による仮組
立後の処理のため、ろう付け前の経済性、効率性が劣
り、またフラックス皮膜が不均一である。更にこのフラ
ックスはろう付け時に液相になるため、ろう付け後の外
観が模様状のむらになり、またろう付け後にも皮膜がで
き洗浄しても落ちきらないので表面処理性(塗膜密着
性)が劣る。比較例2は比較例1と同じフラックスを用
いているが、芯材にMgを含有するアルミ材料に用いる
と比較例1の欠点のほかに、フラックスとMgとが反応
し濡れ性が悪くなりフィレットの形成が劣る。比較例3
は無機酸を含まずpHが10なのでアルミニウム材との
反応が進まないため効率性が劣り、ろう付けができなか
った。比較例4は、フッ酸を用いており、pHが5なの
で、発明例並の50℃、20秒の処理では、フルオロア
ルミニウム酸セシウム層またはフルオロアルミニウム酸
セシウムとフッ化アルミニウムとの混合物層の形成が少
なかった。その結果、ろう付けが不均一にしかできなか
った。
【0026】一方、発明例1は、フッ化セシウム、硫酸
とも本願の範囲内ではあるが濃度が下限近くなので、ろ
う付け性がやや劣るが、実用レベルである。他の発明例
は評価した全項目が良好である。ろう材にMg0.3〜
3%,Bi0.05〜1%が含まれていても、また、芯
材にMg0.2〜1.5%が含まれていても問題ない。
また、本発明例で形成される化成処理皮膜は、経時変化
の少ない皮膜であるので、処理後放置期間が長くなって
もろう付け性の低下はない。以上の結果から、フッ化セ
シウムと硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸等の無機酸の水溶
液でプレコート処理(コイル又は平坦な切り板の状態で
の処理)により処理した本発明のろう付け用アルミニウ
ム材は、その表面の外観もよく、かつ均一に皮膜が形成
されている。そして、本発明実施品は皮膜処理してから
長時間放置しても経時変化もなく良好な窒素雰囲気ろう
付けが達成されたばかりか、得られたろう付け品はその
表面状態も良好であることを確認しえた。
【0027】
【発明の効果】本発明は化成処理皮膜の平坦材形状での
形成を可能にしたことにより、また、この化成処理皮膜
が、経時変化の少ない皮膜であることから、下記の様
に、大変多くの利点を有するものである。すなわち、 A 窒素雰囲気中で行う非腐食性フッ化物系フラックス
ろう付けにおける 1.複雑な製品形状に組み立ててからのフラックス塗布
・乾燥から生ずるという生産性阻害要因を排除し、 2.連続炉を用いる場合に水分が乾燥炉からろう付け炉
に持ち込まれることによっておこるろう付け性低下を防
止し、 3.フラックスを多めに塗布しがちになることによる、
ろう付け炉の汚染、このためのろう付け炉のクリーニン
グ、オーバーホールの頻度増加、コスト増加の不利の全
てを回避し、 4.さらには、ろう付け後の製品表面の外観不良、その
後の表面処理への悪影響を排除し、 5.処理のための大がかりな設備を不要とし、 6.構成部材へのMg含有アルミニウム合金を使用可能
とした。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム材を、0.05〜2モル/リッ
    トルの濃度のフッ化セシウムを含み、さらに、硝酸、硫
    酸、燐酸、クロム酸の1種又は2種以上をこれら無機酸
    の合計で1〜40wt.%含む、pH2未満の水溶液で、
    5℃〜70℃の温度で1秒〜20分処理することを特徴
    とするろう付け用アルミニウム材の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム材を、コイル又は平坦な切
    り板の状態で、0.05〜2モル/リットルの濃度のフッ化セ
    シウムを含み、さらに、硝酸、硫酸、燐酸、クロム酸の
    1種又は2種以上をこれら無機酸の合計で1〜40wt.
    %含む、pH2未満の水溶液で、5℃〜70℃の温度で
    1秒〜20分処理し、その後必要な加工後、仮組立して
    非酸化性雰囲気中でろう付けすることを特徴とするろう
    付け方法。
  3. 【請求項3】 ろう材として通常のAl−Si系合金を
    用い、かつ、構造部材として0.2%をこえるMgを含
    有するアルミニウム合金を少なくとも一部に用いて構成
    されるろう付け品の、少なくともろう材およびろう材と
    接してフィレットの形成に寄与する部材表面を、それぞ
    れコイル又は平坦な切り板の状態で、0.05〜2モル/
    リットルの濃度のフッ化セシウムを含み、さらに、硝酸、硫
    酸、燐酸、クロム酸の1種又は2種以上をこれら無機酸
    の合計で1〜40wt.%含む、pH2未満の水溶液で、
    5℃〜70℃の温度で1秒〜20分処理し、その後必要
    な加工後、仮組立して非酸化性雰囲気中でろう付けする
    ことを特徴とするろう付け方法。
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