JP2000225448A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法

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JP2000225448A
JP2000225448A JP11025509A JP2550999A JP2000225448A JP 2000225448 A JP2000225448 A JP 2000225448A JP 11025509 A JP11025509 A JP 11025509A JP 2550999 A JP2550999 A JP 2550999A JP 2000225448 A JP2000225448 A JP 2000225448A
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nozzle
casting
alumina
molten steel
inner hole
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JP11025509A
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English (en)
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Masamichi Takai
政道 高井
Yukio Okawa
幸男 大川
Toshio Horiuchi
俊男 堀内
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Shinagawa Refractories Co Ltd
Original Assignee
Shinagawa Refractories Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造用ノズルの閉塞を有効に防止することが
可能な“鋼の連続鋳造方法”を提供すること。 【解決手段】 ジルコニアー黒鉛質からなるパウダーラ
イン部12を有するアルミナ−シリカ−黒鉛質からなるノ
ズル本体10の内孔部をアルミナ含有耐火物で形成した浸
漬ノズル1を用い、タンディッシュ下部に取り付けてあ
るガス吹き込み構造を有する上ノズルからArと大気との
混合ガスを、鋳造開始後数分間流してアルミキルド鋼の
鋳造を行った。ノズル内孔部へのアルミナ付着量は、従
来の鋳造方法に比して、大幅に少なかった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造方
法、特に、鋳造用ノズルの閉塞を有効に防止することが
可能な鋼の連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造用ノズルとしては、従来よ
りアルミナー黒鉛質の材料からなるノズルが多く使用さ
れている。図1は、連続鋳造用ノズルの使用状態を示す
図である。即ち、連続鋳造用ノズルとしては、取鍋7と
タンデイッシュ6との間で使用される浸漬ノズル1,ス
ライドゲート3と浸漬ノズル1との間で使用されるシュ
ートノズル2,浸漬ノズル1とストッパー5との間に設
けられているインサートノズル4等があり、これらのノ
ズルは、その使用条件から“溶鋼やスラグに対する耐食
性及び耐スポーリング性”に対する要求が大変厳しいも
のになっている。そこで、このような要求に対して、鋼
の連続鋳造用ノズルの材料としては、アルミナー黒鉛質
の材料が多用されているのが実情である。
【0003】ところで、アルミナー黒鉛質の材料からな
るノズルを鋼の連続鋳造に用いた場合、特に溶鋼中にAl
を多く含むアルミキルド鋼の鋳造に用いる場合、溶鋼中
のAlが酸化して生成したアルミナ(Al2O3)が、ノズル
内壁に付着し、ノズル閉塞が生じ易いという問題があ
る。
【0004】最近、生産性向上の点から鋳造の多連鋳化
が進められているが、アルミナ付着によるノズル閉塞が
生ずると、溶鋼の流量制御が不可能となり、鋳造の継続
が困難となる。また、鋳造途中に閉塞物が溶鋼の流れに
よって剥離する場合があり、この場合には、閉塞物がモ
ールド内に混入し、鋳片中に取り込まれ、鋳片に欠陥を
もたらす要因の一つともなっている。
【0005】このようなノズル閉塞を防止する手投とし
ては、従来より様々な方法が検討され、提案されてい
る。例えば、ノズル閉塞を防止する効果的な方法として
は、一般的にガス吹き込み法が行われている。このガス
吹き込み法は、浸漬ノズル等の内孔部を多孔化し、気孔
を通してArガス等を流す方法であって、該ガスの流れに
よってアルミナの付着を防止する手法である。この方法
は、ノズル閉塞防止には効果的であり、多くの製鉄所で
この手投が採用されている。
【0006】しかし、ノズル閉塞が防止できる程度にガ
スを吹き込むと、ガスの微細な気泡は、モールド内に侵
入し、鋳片中に取り込まれ、欠陥を生成するという欠点
がある。また、モールド内での湯面変動が大きくなり、
介在物を巻き込み易くなるため、同様に、鋳片中に欠陥
が生成し易くなるという欠点もある。
【0007】上記ガス吹き込み法以外の方法としては、
特公平2−23494号公報に、重量比でCaO:16〜35 重量
%、元素周期律表のIII族及びIV族の酸化物から選ばれ
た一種又は二種以上:0.5〜5重量%、鉱物組成としてC
aZrO3 を主成分とするカルシウムジルコネート系クリン
カー:20〜95重量%、黒鉛:5〜50重量%、金属シリコ
ン:1重量%以下からなる混合物に、有機質バインダー
を添加し、成形後、非酸化性雰囲気中で焼成することを
特徴とするZrO2−CaO 含有連続鋳造用浸漬ノズルの製造
方法が開示されている。この方法は、ジルコニアクリン
カー中に含まれるCaOと溶鋼中に析出したAl2O3粒子とを
反応させてCaO−Al2O3系の低融点化合物として取り除
き、アルミナ付着を防止しようとするものである。
【0008】この方法は、アルミナ付着防止には効果が
あると考えられている。そして、このような CaOを含有
するジルコニアクリンカーを用いた耐火材料をノズル内
孔部に配設した浸漬ノズルは、実際に多くの連続鋳造機
で使用されているのが実状である。しかし、CaO を含有
するジルコニアクリンカーは熱膨張率が大きく、しか
も、このジルコニアクリンカーを使用した耐火材料は、
ノズル内孔部に配設されるため、鋳造初期にノズルの外
側に大きな熱応力が発生し、耐スポーリング性に劣ると
いう欠点がある。また、低融点反応物としての消費とと
もに、ノズルの内径が拡大するなどの問題点もある。
【0009】一方、特開平3-246258号公報には、タンデ
ィッシュ内溶鋼を鋳型内に連続注入するための浸漬ノズ
ル及びこの浸漬ノズルの上部に接続される中間ノズルの
一方または両方の内面を、(a)5重量%を超えるSiO2
を含まず、Al2O3が90重量%以上のカーボンレス高アル
ミナ質耐火物;(b)5重量%を超えるSiO2 を含まず、
MgOが90重量%以上のカーボンレス高マグネシア質耐火
物;(c)5重量%を超えるSiO2を含まず、ZrO2が90重
量%以上のカーボンレス高ジルコニア質耐火物のいずれ
か一種または二種以上を組み合わせた耐火物材料で構成
した連続鋳造用ノズルが開示されている。
【0010】また、特開平5-154628号公報には、アルミ
ナ含有量が99重量%以上のアルミナクリンカーを主成分
とし、アルミナ含有量が70重量%以上、カーボン含有量
が1重量%未満、シリカ含有量が1重量%未満の耐火物
組成を有し、かつ、0.21mm以下の粒度が20〜70%を占め
る粒度構成を有する連続鋳造用ノズル内孔体が開示され
ている。
【0011】更に、特開平8−57601号公報には、本体を
カーボン源を含有する耐火材料によって形成し、溶鋼が
通過する部位及び溶鋼と接触する部位をカーボン源を含
有しない耐火材料によって被覆した連続鋳造用ノズルに
おいて、前記カーボン源を含有しない耐火材料による被
覆部位が、内孔直胴部、内孔下底部、吐出孔部及び溶鋼
に浸漬する外周部であり、前記被覆部位がカーボン源を
含有しない耐火材料の円筒状体によって形成され、且
つ、前記円筒状体が前記直胴部では0.5〜2.Omm厚の目地
を介して、また、前記内孔下底部及び吐出孔部では1〜
5mm厚の目地を介して設けられていることを特徴とする
連続鋳造用ノズルが開示されている。
【0012】また、特開平8−57613号公報には、カーボ
ン質含有耐火物によって形成したノズル本体の内孔部の
不活性ガス吐出部分を、通気性を有し、且つ、カーボン
源を含有しない耐火物によって積層したことを特徴とす
る連続鋳造用の浸漬ノズルが開示されている。
【0013】これらの公報に開示されている浸漬ノズル
は、アルミナやマグネシア等の酸化物をノズル内孔部や
溶鋼との接触部位に配設したものであって、アルミナ付
着の防止やカーボンピックアップの防止に効果があるこ
とが記載されている。
【0014】しかし、これらの公報に記載のノズルは、
いずれもカーボン源を殆ど含まない耐火材料を使用した
ものであり、従って、その熱膨張率は必然的に大きくな
り、耐スポーリング性に劣るという欠点がある。また、
鋳造時間が長くなるとアルミナ付着が生じ、アルミナ付
着防止の効果が少なくなるという欠点もある。
【0015】また、上述の耐スポーリング性に劣るとい
う欠点を解決する手投として、前記の特開平8-57601号
公報及び特開平3−243258号公報には、ノズル内孔部や
溶鋼との接触部位をノズル本体と別成形とすることにつ
いて記載されており、ノズル本体を完成させた後に、酸
化物系材料を流し込みや圧入により施工したり、あるい
はスリーブを挿入する方法が記載されている。しかし、
この方法では、連続鋳造用ノズルの製造工程が大変繁雑
となり、また、工程数も増え、製造コストが大変高くな
るという欠点がある。更に、上記と同様に、鋳造時間が
長いとアルミナ付着防止の効果が少ないという欠点もあ
る。
【0016】また、特公平7−22808号公報には、ノズル
の内壁に固体電解質を形成し、外側から電位をかけて付
着を防止する手法が開示されている。この手法は、電位
を負荷することによってノズル内壁面にFeO 融体を生成
させて付着防止をはかるものであるが、固体電解質が耐
スポ−リング性に弱い、電極をセットするために構造が
複雑になる、等の欠点がある。
【0017】更に、特開平 7−195160号公報には、ノズ
ル内に還元性ガスを供給することによる付着防止方法が
開示されている。該方法は、アルミナ同士の結合の役割
をしているFeO を還元性がスによって分断することによ
り付着防止をはかるものである。しかし、該方法は、Fe
O の還元には効果があると考えられるが、浸漬ノズル自
体をガス吹き込み構造にする必要があり、構造が複雑に
なる欠点がある。また、ガスの微細な気泡がモールド内
に侵入し、鋳片中に取り込まれて欠陥を生成するという
欠点もある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、浸漬ノ
ズルのアルミナ付着による閉塞を防止する対策として提
案され、採用されている技術は、いずれも前記した問題
点や欠点がある。そこで、本発明の目的とするところ
は、浸漬ノズルやシュートノズル等の連続鋳造用ノズル
のアルミナ付着による閉塞を防止する手投として、従来
から採用されている前記した方法における問題点や欠点
を解消し、ノズル閉塞防止に効果がある鋼の連続鋳造方
法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、使用後浸
漬ノズルの内孔部稼働面表面を詳細に観察した結果、次
のような知見を得た。即ち、ノズル内孔部にAl2O3 を含
有する耐火材料が適用されている浸漬ノズルの内孔部稼
働面側表面に特定の反応相が生成している場合、該反応
相が生成している部位にはアルミナ付着が生じていな
い。また、同一浸漬ノズル内に反応相が形成されている
部分とそうでない部分が混在することもあるが、反応相
が形成されている部分だけはアルミナ付着が生じていな
いということがわかった。
【0020】この反応相をEPMAや粉末X線回折装置で解
析したところ、反応相の主たる部分は、Al−Fe−O 系化
合物であり、その他の成分としてSi,Ca,Mn,Mg等が含
まれていることがわかった。
【0021】上記知見を確認するために、本発明者らは
次のような実験を行った。まず、カーボン:2重量%、A
l2O3:95重量%、及びSiO2:3重量%の配合割合を有す
る耐火材料にバインダーとしてフェノール樹脂を外掛け
で5重量%添加し、混練して成型用練り土とし、所定の
形状に成形した後、その表面に FeOを主成分とする化合
物を塗布し、非酸化性雰囲気中1200℃で2時間加熱し
た。加熱後の試料について顕微鏡観察を行った結果、試
料表面に2mm程度の反応相が生成しているのが確認でき
た。EPMAでこの反応相を分析した結果、Al−Fe−O 系化
合物であることがわかった。
【0022】次にこの試料を用いて、アルミキルド鋼を
溶解した溶鋼中でのアルミナ付着実験を行ったところ、
反応相の表面にはアルミナ付着がほとんど生じないとい
う結果が得られた。
【0023】上述のように、Al−Fe−O 系化合物(反応
相)は、アルミキルド鋼のような溶鋼と接触してもアル
ミナ付着が生じないということを見い出した。その理由
は充分解明されてはいないが、以下のようなことが考え
られる。即ち、一つは、Al−Fe−O系においてAl2O3−Fe
O 2成分系を考えると、液相生成温度が1400℃以下と低
く、そのため鋳造時においては液相を含有する状態とな
っているためアルミナ付着が生じにくいと推定される。
また、Al−Fe−O 系反応相が緻密であり、耐火物内部か
らのがスの拡散が抑制され、そのため溶鋼中のAlの酸化
が防止されてアルミナ付着が抑制されるということも推
定される。さらには、反応相表面が液相を含む状態とな
っているため、表面が平滑となりそのためアルミナ介在
物が付着しにくいということも考えられる。
【0024】以上のような知見から、鋳造用ノズルの溶
鋼と接する部位にAl−Fe−O 系反応相を生成させれば、
アルミナ付着が防止できるということがわかる。本発明
者等は、以上ような知見をもとに、Al−Fe−O 系反応相
を生成するための手法として、鋳造用ノズルを構成する
耐火材料中の成分であるAl2O3 と溶鋼中のFe、O 成分と
を反応させる手法を見い出した。即ち、溶鋼中の酸素濃
度が高いと次式によって耐火物中のAl2O3と反応し、Al
−Fe−O系化合物(反応相)が生成する。
【0025】Al2O3 +Fe + O → Al2O3・FeO
【0026】ところが、通常、溶鋼は鋼中の酸素量を低
減するためにAlを投入するのが一般的である。そのた
め、このようなアルミキルド鋼を鋳造すると、(鋼中でA
l2O3が生成してしまうため、内孔部壁面での上記の反応
が生ぜず、)鋳造用ノズルの内孔部へ多量のアルミナが
付着してノズル閉塞の問題が生じる。このような低酸素
量の溶鋼を鋳造した場合、ノズル内孔部へのAl2O3付着
防止に充分なAl−Fe−O系反応相を生成させることはで
きない。そこで、ノズルの溶鋼と接する部位に充分なAl
−Fe−O 系反応相を生成させるために、溶鋼中に酸素源
を投入すればよいということを見い出した。
【0027】本発明者等は、かかる知見をもとに鋭意検
討を行った結果、鋼の連続鋳造時において、溶鋼中に適
正に酸素源を投入して溶鋼中の酸素濃度を高くした時に
は、その時使用されるノズルの溶鋼と接する部位が化学
成分としての Al2O3を含有する耐火材料で構成されてい
た場合、この耐火材料の表面にAl−Fe−O 系化合物が形
成されるということを見いだし、本発明を完成したもの
である。
【0028】即ち、本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、
「鋳造時において、溶鋼と接する部位の少なくとも一部
を形成する耐火材料が、化学成分としてAl2O3 を含有し
ている鋳造用ノズルを使用し、溶鋼中に酸素源を投入す
ることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。」(請求項1)
を要旨(発明を特定する事項)とするものである。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明は、鋳造時に、溶鋼中に酸
素源を投入して、ノズルの“溶鋼と接する部位”にAl−
Fe−O 系化合物を生成させることを特徴とするものであ
る。
【0030】[酸素源]溶鋼中に投入する酸素源として
は、ガス状の酸素源と固体状の酸素源がある。ガス状の
酸素源としては、酸素ガス、空気などの遊離の酸素を含
有ガス等が挙げられる。固体状の酸素源としては、Fe
O,Fe2O3等の鉄の酸化物、マンガンの酸化物等の金属の
酸化物粉末が挙げられる。勿論、本発明において、溶鋼
中に投入する酸素源としては、これらに限定するもので
はない。
【0031】[投入時期]酸素源の投入時期としては、
鋳造の初期が好ましい。鋳造後半で酸素源を投入すれば
鋳片品質の悪化を招くので不適当である。鋳造初期であ
れば、その部位の鋳片のみ切断、除去すれば良いので問
題とならない。
【0032】[投入時間及び投入量]空気や酸素ガス等
のガス状の酸素源の投入量としては、浸漬ノズルやスラ
イドプレートなどに用いられているカーボン含有耐火物
が極度に酸化損傷されない程度の量が好ましい。FeO,F
e2O3等の固体状の酸素源の投入量としては、それらの固
体状の酸素源が、上ノズルの内孔部等へ充満して閉塞を
生じない程度の量が好ましい。投入時間は、浸漬ノズル
などが極度に酸化されない程度の時間が好ましい。一般
的には、鋳造用ノズルの中でも浸漬ノズルを構成する耐
火材料中に含まれるカーボン量が最も多いため、本発明
では浸漬ノズルが極度に酸化されない程度に酸素源の投
入時間や量を設定すれば良い。更に、連続鋳造の操業条
件によってノズル材質やノズル形状、鋼種等が変わって
くるため、それらの条件に応じて酸素源の投入時間や量
を決めれば良い。例えば、C:0.01重量%、Al:0.03重
量%の平均組成を有するアルミキルド鋼を対象とする場
合には、鋳造開始2分後までの溶鋼処理量を、1.0t/分
とし、Arと大気の混合割合が、Ar:60容量%,大気:40
容量%であるようなArと大気の混合ガスを5リットル/
分の流量で、鋳造開始約2分後まで流すような量であ
る。
【0033】[投入方法]酸素源を投入する方法として
は、溶鋼中の酸素成分が増加する手法であれば特に限定
するものではないが、好適な方法として例えば次の方法
が挙げられる。
【0034】◎酸素源として、ガス状の酸素源を投入す
る場合 一つには、鋳造用ノズルの上方の流路からガス状の酸素
源(空気,酸素ガス)を注入する方法である。通常、浸
漬ノズルのアルミナ付着を防止するために上ノズルや浸
漬ノズルからのArガス吹き込みが一般的に行われている
が(図1中の8)、このような部位から空気や酸素ガス
を注入することにより溶鋼中の酸素量が増加し、浸漬ノ
ズル内孔部等へ配設されている耐火材料中のAl2O3 成分
と反応しAl−Fe−O 系化合物が形成される。上ノズルや
浸漬ノズルにはArガスを供給するためのガス配管が接続
されており、この配管に空気や酸素ガスを導入する配管
を接続すればよい。
【0035】◎酸素源として、固体状の酸素源を投入す
る場合 溶鋼中に酸素源を供給する手法としてはその他に、固体
状の酸素源を投入する方法が挙げられる。この場合、固
体状の酸素源をタンディッシュ底部や上ノズル上部に充
填しておく方法がある。この方法では、固体状の酸素源
として、例えば、FeOやFe2O3等の鉄の酸化物を投入した
場合、溶鋼と接したFeO等は、FeとOとに解離する。ま
た、この方法では、FeOやFe2O3は鋳造初期の溶鋼とのみ
接するため、鋳造初期の溶鋼にのみ酸素が供給される。
また、固体状の酸素源として、酸化マンガンを投入した
場合、耐火材料表面にはAl−Mn−O 系化合物が形成され
る。Al−Mn−O 系化合物も、Al−Fe−O 系化合物と同様
にアルミナ付着防止に好適な材料である。酸化マンガン
を投入した場合、鋳造用ノズルの表面にはA1−Mn−O 系
化合物だけでなくAl−Fe−Mn−O 系化合物も生成する
が、そのような複合された反応相が形成されることもア
ルミナ付着防止には好適である。
【0036】◎酸素源として、ガス状の酸素源と固体状
の酸素源とを投入する場合 更に酸素源の投入方法として、ガス状の酸素源と固体状
の酸素源(例えば、空気と鉄酸化物との混合物)を耐火
物製のパイプ等を用いて上ノズル上部から吹き込む方法
が挙げられる。この方法は、ガス状の酸素源と固体状の
酸素源とを同時に吹き込むことができるため、ノズル表
面へのAl−Fe−O 系反応相の生成が容易となる。
【0037】[鋳造用ノズル]本発明の、溶鋼中に酸素
源を投入する方法において使用する浸漬ノズルや上ノズ
ル等の溶鋼と接する部位に適用される材質としては、
化学成分としてAl2O3を含有している必要がある。Al2O3
成分を含有していないと、Al−Fe−O 系化合物やAl−M
n−O 系化合物が生成されない。Al2O3含有量は特に規定
するものではない。鋳造用ノズルの溶鋼と接する部位に
適用される材質としては、例えば、アルミナ系耐火物、
アルミナ−シリカ系耐火物、ムライト系耐火物、スピネ
ル系耐火物、アルミナ−カーボン系耐火物等が挙げられ
る。
【0038】尚、本発明においては浸漬ノズルや上ノズ
ル等の溶鋼と接する部位に適用される耐火材料中に含ま
れるAl2O3は、コランダム等のAl2O3単一相とともにスピ
ネルやムライト等のAl2O3成分含有化合物も好適に使用
できる。
【0039】また、本発明では鋳造用ノズルの溶鋼と接
する耐火材料中に予めAl−Fe−O 系化合物やAl−Mn−O
系化合物を含有させておくこともできる。これらの化合
物が耐火材料中に予め含有された場合、本発明の酸素量
の高い溶鋼と接した時に、容易にAl−Fe−O 反応相が耐
火材料表面に形成され、アルミナ付着防止により効果的
となる。
【0040】更に、本発明の鋳造用ノズルの溶鋼と接す
る部位に含まれるカーボンの含有量としては、30重量%
以下が好ましく、好適には20重量%以下である。カーボ
ンの含有量が30重量%以上であると、Al−Fe−O 系反応
相の生成が抑制されるためであり、また、酸素源の投入
時にカーボンの酸化が極度に進行し、ノズルの脆化が著
しくなるためである。
【0041】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例
によって限定されるものではない。なお、図2は、本発
明の方法を実施する際に使用する連続鋳造用ノズルの一
実施の形態(配材パターン1)を示す図であり、図3
は、本発明の方法を実施する際に使用する連続鋳造用ノ
ズルの他の実施の形態(配材パターン2)を示す図であ
る。
【0042】[実施例1]耐火性材料としてアルミナ90
重量%及びムライト10重量%からなる原料混合物に対し
て、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛けで5重量
%添加し、ウェットパンを用いて混練を行い、浸漬ノズ
ルの内孔部成形用練り土を得た。次に、得られた練り土
を図2に示す配材パターン1を有する浸漬ノズル1のノ
ズル内孔部11及び溶鋼の吐出孔13近傍に配設するように
して浸漬ノズル1を CIP成形法により成形した。なお、
浸漬ノズル1のノズル本体10の材質はアルミナ−シリカ
−黒鉛質からなるものであり、また、パウダーライン部
12の材質はジルコニアー黒鉛質からなるものである。そ
の後、本成形体を非酸化性雰囲気中1200℃で3時間焼成
を行い鋳造試験用浸漬ノズルを得た。
【0043】このようにして作製した浸漬ノズルを用い
て実炉での鋳造試験を行った。鋳造に用いた連鋳機は、
2ストランドタイプであり、鋳造した鋼種は、C:0.01
重量%、Al:0.03重量%の平均組成を有するアルミキル
ド鋼であった。1ストランドにおいては、タンディッシ
ュ下部に取り付けてあるガス吹き込み構造を有する上ノ
ズルからArと大気の混合ガスを5リットル/分の流量
で、鋳造開始約2分後まで流して鋳造を行った。ここ
で、Arと大気の混合割合は、Ar:60vol%,大気:40vol
%とした。また、鋳造開始2分後までの溶鋼処理量は、
1.0t/分であった。一方、2ストランド側においては上
ノズルからArのみを同一流量流して鋳造を行つた。尚、
鋳造開始2分以降は、1,2ストランド共、上ノズルか
らはArガスのみを約10リットル/分流して鋳造を行っ
た。
【0044】使用後の浸漬ノズルは全て回収し、切断し
た後、ノズル内孔部へのアルミナ付着量を調査した。更
に、ノズル内孔部の稼働面を調査してAl−Fe−O 系化合
物の有無を確認した。表1に鋳造条件、アルミナ付着量
およびAl−Fe−O 系化合物の有無の調査結果を示す。
【0045】
【表1】
【0046】上記表1に記載の結果から、本発明の鋳造
方法による場合、浸漬ノズル内孔部へAl−Fe−O 系化合
物が生成し、従来の鋳造方法に比して、アルミナ付着量
が大幅に少なくなっていることが明らかである。
【0047】[実施例2]耐火性材料としてスピネル90
重量%及びマグネシア10重量%からなる原料混合物に対
して、バインダーとしてフェノール樹脂を外掛けで6重
量%添加し、ウエットパンを用いて混練を行い、シュー
トノズルの内孔部成形用練り土を得た。次に、得られた
練り土を図3に示す配材パターン2を有するシュートノ
ズル2の内孔部11に配設するようにして、シュートノズ
ル2をCIP 成形法により成形した。なお、シュートノズ
ル本体部10の材質は、アルミナ−シリカー黒鉛質からな
るものである。その後、本成形体は、非酸化性雰囲気中
1200℃で3時間焼成を行い鋳造試験用シュートノズルを
得た。
【0048】このようにして作製したシュートノズルを
用いて実炉での鋳造試験を行った。鋳造に用いた連鋳機
は2ストランドタイプであり、鋳造した鋼種は、C:0.01
重量%、Al:0.02重量%の平均組成を有するアルミキル
ド鋼であった。1ストランドにおいては、タンディッシ
ュ下部に取り付けてある2段ガス吹き込み構造を有する
上ノズルの上部側からArガスを5リットル/分、下部側
から大気を 0.3リットル/分の流量で、鋳造開始後約2
分まで流して鋳造を行った。この時の溶鋼処理量は、約
1.2ton/分であった。一方、2ストランド側においては
上ノズルからArガスのみを同一流量流して鋳造を行っ
た。なお、鋳造開始2分以降は、1,2ストランド共、
上ノズルからはArガスのみを上部、下部合わせて約7リ
ットル/分流して鋳造を行った。
【0049】使用後のシュートノズルは全て回収し、切
断した後、内孔部へのアルミナ付着量を調査した。更
に、内孔部の稼働面を調査してAl−Fe−O 系化合物の有
無を確認した。表2に鋳造条件、アルミナ付着量及びAl
−Fe−O 系化合物の有無の調査結果を示す。
【0050】
【表2】
【0051】上記表2の結果から、本発明の鋳造方法に
よる場合には、シュートノズル内孔部へAl−Fe−O 系化
合物が生成し、従来の鋳造方法に比して、アミナ付着量
が大幅に少なくなっていることが明らかである。
【0052】[実施例3]耐火性材料として黒鉛10重量
%、アルミナ70重量%、シリカ20重量%からなる原料混
合物に対して、バインダーとしてフエノール樹脂を外掛
けで9重量%添加し、ウェットパンを用いて混練を行
い、浸漬ノズルの内孔部成形用の練り土を得た。次に、
得られた練り土を図2に示す配材パターンを有する浸漬
ノズル1の内孔部11に配設するようにして浸漬ノズル1
をCIP 成形法により成形した。なお、浸漬ノズル1のノ
ズル本体10の材質は、アルミナ−ムライト−黒鉛質から
なるものであり、また、パウダ−ライン部12材質は、ジ
ルコニアー黒鉛質からなるものである。その後、本成形
体を非酸化性雰囲気中1200℃で3時間焼成を行い、鋳造
試験用の浸漬ノズルを得た。
【0053】このようにして作製した浸漬ノズルを用い
て実炉での鋳造試験を行った。鋳造に用いた連鋳機は2
ストランドタイプであり、鋳造した鋼種は、C:0.01重
量%、Al:0.03重量%の平均組成を有するアルミキルド
鋼であった。1ストランドにおいては、タンディッシュ
への湯溜めが終了し、鋳造を開始した直後にタンディッ
シュ上部から耐火物製パイプを挿入し、FeO と大気及び
Arの混合ガスを上ノズルの直上部分から吹き込んだ。吹
き込み時間は約30秒であり、吹き込んだFeO の量は約1
Kgであった。また、吹き込んだ大気及びArの量は、約15
リットルであった。更にその時の溶鋼処理量は、1.0t/
分であった。2ストランド側においては、そのような処
置をせず、鋳造を実施した。
【0054】使用後の浸漬ノズルは全て回収し、切断し
た後、内孔部へのアルミナ付着量を調査した。更に、内
孔部の稼働面を調査してAl−Fe−O 系化合物の有無を調
査した。表3に鋳造条件、アルミナ付着量およびAl−Fe
−O 系化合物の有無の調査結果を示す。
【0055】
【表3】
【0056】上記表3の結果から、本発明の鋳造方法に
よる場合には、シュートノズル内孔部へAl−Fe−O 系化
合物が生成し、従来の鋳造方法に比して、アミナ付着量
が大幅に少なくなっていることが明らかである。
【0057】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、溶鋼と
接する部位の少なくとも一部を形成する耐火材料に、化
学成分として Al2O3を含有している鋳造用ノズルを使用
し、鋳造時において、溶鋼中に酸素源を投入することに
より、鋳造用ノズルの溶鋼と接する部位にAl−Fe−O 系
反応相を生成させ、アルミナの付着を防止し、鋳造用ノ
ズルの閉塞を有効に防止することが可能となるという優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、連続鋳造用ノズルの使用状態を示す図
である。
【図2】図2は、本発明の方法を実施する際に使用する
連続鋳造用ノズルの一実施の形態(配材パターン1)を
示す図である。
【図3】図3は、本発明の方法を実施する際に使用する
連続鋳造用ノズルの他の実施の形態(配材パターン2)
を示す図である。
【符号の説明】
1 浸漬ノズル 2 シュートノズル 3 スライドゲート 4 インサートノズル 5 ストッパー 6 タンディッシュ 7 取鍋 8 Arガス導入パイプ 10 ノズル本体 11 ノズル内孔部 12 パウダーライン部 13 溶鋼の吐出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堀内 俊男 東京都千代田区大手町二丁目2番1号 品 川白煉瓦株式会社内 Fターム(参考) 4E014 DA03

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造時において、溶鋼と接する部位の少
    なくとも一部を形成する耐火材料が、化学成分として A
    l2O3を含有している鋳造用ノズルを使用し、溶鋼中に酸
    素源を投入することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115351255A (zh) * 2022-08-02 2022-11-18 阳春新钢铁有限责任公司 一种提高连铸中间包停浇钢水收得率方法

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