JP2000223371A - 電気二重層コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
電気二重層コンデンサおよびその製造方法Info
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Abstract
等に耐えうる機械的強度を維持する実用的な電気二重層
コンデンサを提供する。 【解決手段】電解液を含浸した少なくとも2枚の固形状
活性炭質電極2と、2枚の固形状活性炭質電極2,2間
に配設、積層された絶縁性の多孔質セパレータ3と、前
記積層体の上下面に配設された集電体4とを具備する電
気二重層コンデンサ1において、固形状活性炭質電極2
が、活性炭と、該活性炭以外の炭素成分とからなり、前
記活性炭の(100)面の割合を全結晶面中7%以上と
する。
Description
源、車両用電源、補助電源等に用いられる小型大容量の
コンデンサとして一般に広く適用し得る電気二重層コン
デンサおよびその製造方法に関するもので、とりわけ大
きな静電容量を有する電気二重層コンデンサの分極性電
極の改良に関するものである。
と電解液の界面においてイオンの分極によりできる電気
二重層を利用したコンデンサであり、従来のコンデンサ
に比較して大容量の静電容量を充電できるとともに、急
速充放電が可能であることから、その応用が期待されて
いる。
ンデンサと電池の両方の機能を有することから、小型の
メモリーバックアップ電源や自動車の駆動源をはじめと
する大容量のモータ等の補助電源に適用される等、エレ
クトロニクス分野の発展と共に急速にその需要が伸びて
いる。
れる多孔質の固形状活性炭質構造体が使用されている。
かかる固形状活性炭質構造体としては、例えば、活性炭
やカーボンブラック等の炭素質原料と、四フッ化エチレ
ン樹脂又は含フッ素重合体等の有機樹脂を混練して、ロ
ール成形法や圧縮成形法等の公知の成形手段でシート状
に成形したり、あるいはアクリル樹脂やポリカーボネー
ト樹脂等を被覆した活性炭と、導電性カーボン及びバイ
ンダ等を混練した後、前記同様の成形手段によりシート
状に成形したもの等が用いられていた。
材料としては、コンデンサの大容量化および小型化の要
求を満足するために、単位体積当たりに高い静電容量を
得ること、並びに使用時および製造時に破損等の生じな
い機械的強度を有するものであることが要求されるよう
になった。
は、炭素質原料を水蒸気賦活した後、さらにアルカリ賦
活することによって得られた粉末に有機バインダを添加
して成形することにより電極を形成することが開示され
ており、これにより活性炭の細孔径が特定の大きさ以上
の比表面積の割合を制御することができ、高い静電容量
が得られるとしている。
した後、大気中にて熱処理する、すなわち大気での賦活
処理を施す方法も知られている。
8−119614号公報によれば、活性炭粉末の細孔径
および比表面積を制御することは可能であっても、該活
性炭粉末を用いて電気二重層コンデンサの分極性電極を
形成する場合には、前記活性炭粉末に有機バインダ等を
添加する必要があり、該有機バインダが活性炭粒子の表
面を覆う結果、活性炭の細孔径や比表面積が変化してし
まい、電極中の活性炭の細孔径や比表面積を制御するこ
とが困難であるという問題があった。
積を大きくすることは可能であるものの、賦活により活
性炭中、高静電容量化に寄与するプリズム面((10
0)面)が選択的にガス化して基底面((001)面)
に変化してしまう結果、プリズム面の1/10しか静電
容量に寄与しない基底面の存在割合が増し、比表面積は
大きくてもコンデンサの静電容量が高くならないもので
あった。
て賦活する方法では、活性炭粒子の表面全体でカーボン
のガス化が起こるために極表面に大きな細孔が形成さ
れ、細孔容積は限られるものであった。
ム面が優先的に消失し、賦活後のプリズム面比率が低下
してしまうため、コンデンサの容量は低いものであっ
た。
れたもので、その目的は、高い静電容量と実用的な機械
的強度を兼ね備えた電気二重層コンデンサおよびその製
造方法を提供することにある。
対して鋭意研究の結果、炭素質原料を含有する成形体を
還元性雰囲気で炭化した後、アルカリ賦活を行うことに
より、活性炭質構造体中、比表面積の高い活性炭が得ら
れるとともに、賦活後によっても活性炭のプリズム面の
含有割合が多くなり、これを電気二重層コンデンサの分
極性電極として用いることにより高い静電容量を有し、
かつ実用的な機械的強度を維持した分極性電極が得られ
ることを見いだした。
電解液を含浸した少なくとも2枚の固形状活性炭質電極
と、該2枚の固形状活性炭質電極間に配設、積層された
絶縁性の多孔質セパレータと、前記積層体の上下面に配
設された集電体とを具備する電気二重層コンデンサにお
いて、前記固形状活性炭質電極が、活性炭と、該活性炭
以外の炭素成分とからなり、前記活性炭の(100)面
の割合が全結晶面中7%以上であることを特徴とするも
のである。
積が1000〜1800m2 /gであることが望まし
い。
造方法は、(a)炭素質原料に有機バインダを添加、混
合し、成形する工程と、(b)(a)工程で得られた成
形体を還元性雰囲気にて800℃〜1000℃で炭化処
理する工程と、(c)炭化処理後の成形体にアルカリ金
属溶液を含浸し、乾燥した後、還元性雰囲気にて、80
0℃〜1000℃で賦活処理して固形状活性炭質電極を
形成する工程と、(d)前記工程で得られた少なくとも
2枚の固形状活性炭質電極間に多孔質セパレータを介在
させて積層するとともに、該積層体の上下面に集電体を
形成する工程と、(e)前記固形状活性炭質電極内に電
解液を含浸する工程と、を具備することを特徴とするも
のである。
数有する(100)面からなるプリズム面(以下、単に
プリズム面と略す。)と、表面の有機官能基が少ない
(001)面からなる基底面(以下、単に基底面と略
す。)とが存在する。
二重層コンデンサの分極性電極として用いた場合、前記
プリズム面は表面の有機官能基が多いことから、電極と
電解液間に形成される電気二重層の容量が大きく、コン
デンサとしての静電容量も高める働きを為す。
能基が少ないことから、電極と電解液間に形成される電
気二重層の容量が小さく、コンデンサとしての静電容量
も前記プリズム面の1/10程度しか充電することがで
きないことから、コンデンサの静電容量を高めるために
は前記プリズム面の比率を高めることが重要である。
まず炭化(焼成)処理することにより、前記プリズム面
の結合力を高めることができる。その後、この焼結体に
対しアルカリ賦活を行うことにより、前記プリズム面の
消失を抑制することができ、結果的に前記基底面の消失
割合が増すことから、前記プリズム面の存在比率を高め
ることができる。
ルカリ賦活、すなわち、アルカリ性溶液を含浸させて、
加熱する方法であることから、アルカリ金属および/ま
たはアルカリ土類金属が活性炭粒子内へ浸透した後、ア
ルカリ金属および/またはアルカリ土類金属と活性炭と
の化学反応が進行し、活性炭粒子の表面からカーボンの
ガス化に伴う細孔が形成されるものである。
にわたり細孔を形成することができ細孔容積が増すとと
もに、細孔径の小さい細孔を形成することができること
から、コンデンサの静電容量を向上させることができ
る。
を形成する活性炭の結晶構造におけるプリズム面の比率
を7%以上と制御することができ、コンデンサの静電容
量を高めることができる。
固形状活性炭質電極は、成形体を炭化した後に賦活処理
を行うものであることから、賦活後に有機バインダを添
加する必要がなく、活性炭の高い比表面積を維持するこ
とができ、コンデンサの静電容量も向上する。
ンサの一例の概略断面図である図1に基づいて説明す
る。図1によれば、電気二重層コンデンサ1は、電解液
を含浸した2枚の固形状活性炭質電極( 以下、電極と略
す。) 2間に絶縁性の多孔質セパレータ(以下、セパレ
ータと略す。) 3が形成されている。また、電極2の上
下面には集電体4が形成され、さらに、図1によれば、
電極2およびセパレータ3の両端部は、封止部材5によ
って外部から封止されている。
は、高い比表面積を有する活性炭粒子と、該活性炭粒子
を結合するために配合された炭素成分とからなるもので
ある。
プリズム面((100)面)の割合が全結晶面中7%以
上、特に7.5%以上、さらに8%以上であることが大
きな特徴であり、これにより、コンデンサとしての静電
容量を高めることができる。すなわち、結晶面における
プリズム面の割合が7%未満では電極2表面に形成され
る電気二重層の量が少なくなり、結果的にコンデンサの
静電容量が低下するためである。
つ、構造体として必要な強度を得るためには、電極2の
比表面積が1000〜1800m2 /gであることが望
ましい。
は、活性炭粒子間に存在するが、各活性炭層中に占める
割合が、5〜50重量%であることが望ましく、これに
より活性炭粒子間の焼結性および結合性を高めることが
できる。
く、また、前記固形状活性炭質電極2は、コンデンサ製
造時の取り扱いや使用時の振動、衝撃等に耐えうる機械
的な信頼性の点で3点曲げによる強度が300gf/m
m2 以上、特に600gf/mm2 以上であることが望
ましい。
酸や硝酸等の水溶液や、プロピレンカーボネート、γ−
ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチ
レンカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン
等の有機溶媒と4級アンモニウム塩、4級スルホニウム
塩、4級ホスホニウム塩等の電解質を組み合わせた有機
溶液が使用可能である。
レン、ポリプロピレン等の有機フィルムまたはガラス繊
維不織布等およびセラミックス等により形成され、電極
2間を絶縁するために形成されるものであるが、電極2
内に含有される前記電解液中のイオンを透過させること
ができる多孔質体により形成される。
性ブチルゴム、アルミ箔、アルミのプラズマ溶射等によ
り形成され、電極2との間で電荷をやり取りすることが
できる。また、封止部材5は、合成ゴム等により構成さ
れ、集電体4および封止部材5によって電極2に含まれ
る電解液が外部に漏れることを防止する。
する方法の一例について説明する。まず、分極性電極を
形成する固形状活性炭質構造体(以下、活性炭構造体と
略す。)を作製する。
の炭素質原料およびそれに対して薬品賦活やガス賦活に
より作製される活性炭が使用可能であり、中でも、活性
炭が、さらにコストと細孔容積が大きい点でヤシ殻系活
性炭が好適である。また、それ以外にもカーボンブラッ
ク、カーボンファイバー、石炭等が使用できる。
起状、繊維状あるいは不定形があり、特に限定するもの
ではなく、また、粒状、顆粒状、繊維状のいずれであっ
てもよく、さらに、その粒径は5〜50μmであること
が望ましい。
ダを焼成後の炭素成分量が5〜50重量%となる量で添
加、混合する。有機バインダとしては、フェノール、テ
フロン(登録商標)、コールタール、ポリビニルブチル
アルコール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF
M)等のポリビニルアセタール、酢酸ビニル等の公知の
有機バインダが挙げられ、とりわけ成形性および得られ
る固形状活性炭質構造体の強度の点から、ポリビニルブ
チルアルコール(PVB)が最も望ましい。
法、ドクターブレード法、押し出し成形法、カレンダー
ロール法、ロール成形法等の公知の成形手段により所定
形状に成形して板状体を作製する。成形方法としては、
生産性の高いテープ状の成形が容易であるとともに、成
形体の密度が高くできるロール成形が好適である。
〜100℃、200〜500kg/cm2 にて熱圧着し
一体化するか、前記テープ間に密着液や接着剤等を塗布
し接着することにより、後述の熱処理における層間剥離
を防止することができる。
00〜1200℃、特に700〜900℃で炭化処理し
て有機バインダ成分を炭化させるとともに、活性炭間を
焼結一体化させる。
00℃よりも低いと粒子間の焼結が不十分で構造体の強
度が低下するためであり、逆に1200℃よりも高い
と、焼結が進行しすぎてしまい、後述のアルカリ賦活処
理を行っても所望の細孔を形成することが困難であり、
コンデンサの静電容量が低下するためである。
酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等
のアルカリ金属またはアルカリ土類金属水溶液中に含浸
し、50〜100℃で乾燥した後、真空または非酸化性
雰囲気中、800〜1000℃、特に800〜900℃
で、3〜10時間、特に、3〜5時間賦活処理すること
により、炭化処理により焼結が進行し減少した細孔を酸
化により再度増加させることができ、活性炭中のプリズ
ム面を7%以上とすることができるとともに、特定の比
表面積および細孔径を有する活性炭構造体を得ることが
できる。
り低いかまたは3時間より短いと、賦活が不充分であ
り、プリズム面の比率を7%以上とすることができない
とともに所望の比表面積が得られない。また、上記賦活
熱処理温度が1000℃を超えるかまたは10時間より
長いと、賦活が進行しすぎ、強度が低下する。
封止部材5を配置するとともにセパレータ3を介して前
記活性炭構造体を積層し、該活性炭構造体に電解液を含
浸させ、電極2を形成する。そして、該積層体の上下面
に集電体4を形成するための成分を含むペーストを塗布
して焼成したり、板状の集電体4を貼り付けたり、また
は溶射等により集電体4を形成することにより電気二重
層コンデンサを作製できる。
を作製するための炭化(焼成)処理した板状体とセパレ
ータとを積層した後、アルカリ賦活することも可能であ
るが、この場合、前記セパレータは、アルカリ賦活によ
り変質しない耐熱性および耐アルカリ性を有することが
望ましく、この方法を用いることにより、製造時に活性
炭構造体が破損する危険性が低くなる。
炭粉末100重量部に対して、ポリビニルブチラールを
100重量部を添加して、高速攪拌機にて攪拌し、得ら
れた粉体を40メッシュにてメッシュパスを行い成形用
原料を得た。
ロール成形して平板状の成形体を得た後、該成形体を大
気中200℃の温度で48時間保持し、次いで、真空
中、表1に示す条件で炭化処理を行った後、表1に示す
5N水酸化カリウム(KOH)水溶液または5N水酸化
ナトリウム(NaOH)水溶液中に1時間含浸した。
真空中、表1に示す賦活処理条件で賦活処理を施して、
縦70mm、横50mm、1mmの活性炭構造体を作製
した。
JIS−R−1601の規格に準じて3点曲げ強度を測
定した。また、窒素吸着法によって活性炭構造体の比表
面積(BET値)を測定した。
60°におけるXRD回折チャートから活性炭の(10
0)面(プリズム面、2θ=42°付近)を含む4つの
ピーク強度I1 、I2 、I3 、I4 を求め、4つのピー
ク強度の総和に対する(100)面(プリズム面)のピ
ーク強度I3 の比率を求め、表1に示した。
プロピレン(PC)を溶媒としてテトラエチルアンモニ
ウムテトラフルオロボレート(Et4 NBF4 )の1m
ol/l溶液を電解液として含浸させた後、93mm×
63mm×0.3mmのガラス繊維不織布からなる多孔
質セパレータを介して積層し、その上下面に93mm×
63mm×0.5mmのアルミニウム製集電体を積層
し、さらに、絶縁性のブチルゴム製封止部材で該積層体
を固定一体化して、図1の電気二重層コンデンサを作製
した。
2.5Vの電圧で30分間充電した後、3mA/cm2
の定電流放電法にて電極単位重量当たりの静電容量(F
/g)を求めた。結果は、表1に示した。
実抵抗をインピーダンスアナライザにて測定し、表1に
示した。
ないか800℃より低い試料No.1、2、28、大気
中で賦活処理を行った試料No.27、賦活処理を行わ
なかった試料No.26では、いずれもプリズム面の比
率が7%より低く、静電容量も低いものであった。
ては、いずれも静電容量60F/g以上の優れた特性を
有するものであった。
層コンデンサおよびその製造方法によれば、分極性電極
を構成する活性炭の結晶構造におけるプリズム面の量を
所定の範囲に制御することにより、大きな静電容量を有
するコンデンサを作製することができる。
に制御することにより、静電容量を高めることができる
とともに製造時の取り扱いおよび使用時の振動や衝撃に
耐えうる機械的強度を維持する機械的信頼性に優れた電
気二重層コンデンサを作製できる。
ある。
状活性炭質構造体のX線回折チャート図である。
Claims (3)
- 【請求項1】電解液を含浸した少なくとも2枚の固形状
活性炭質電極と、該2枚の固形状活性炭質電極間に配
設、積層された絶縁性の多孔質セパレータと、前記積層
体の上下面に配設された集電体とを具備する電気二重層
コンデンサにおいて、前記固形状活性炭質電極が、活性
炭と、該活性炭以外の炭素成分とからなり、前記活性炭
の(100)面の割合が全結晶面中7%以上であること
を特徴とする電気二重層コンデンサ。 - 【請求項2】前記固形状活性炭質電極の比表面積が10
00〜1800m2 /gであることを特徴とする請求項
1記載の電気二重層コンデンサ。 - 【請求項3】(a)炭素質原料に有機バインダを添加、
混合し、成形する工程と、(b)(a)工程で得られた
成形体を還元性雰囲気にて800℃〜1000℃で炭化
処理する工程と、(c)炭化処理後の成形体にアルカリ
金属溶液を含浸し乾燥した後、還元性雰囲気にて、80
0℃〜1000℃で賦活処理して固形状活性炭質電極を
形成する工程と、(d)前記工程で得られた少なくとも
2枚の固形状活性炭質電極間に多孔質セパレータを介在
させて積層するとともに、該積層体の上下面に集電体を
形成する工程と、(e)前記固形状活性炭質電極内に電
解液を含浸する工程と、を具備することを特徴とする電
気二重層コンデンサの製造方法。
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