JP2000213553A - 等速自在継手 - Google Patents

等速自在継手

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JP2000213553A
JP2000213553A JP11018840A JP1884099A JP2000213553A JP 2000213553 A JP2000213553 A JP 2000213553A JP 11018840 A JP11018840 A JP 11018840A JP 1884099 A JP1884099 A JP 1884099A JP 2000213553 A JP2000213553 A JP 2000213553A
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universal joint
velocity universal
outer member
graphite
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JP11018840A
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Kazuhiko Yoshida
和彦 吉田
Akira Wakita
明 脇田
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Priority to FR0008723A priority patent/FR2796685B1/fr
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D3/00Yielding couplings, i.e. with means permitting movement between the connected parts during the drive
    • F16D3/16Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts
    • F16D3/20Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members
    • F16D3/22Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members the rolling members being balls, rollers, or the like, guided in grooves or sockets in both coupling parts
    • F16D3/223Universal joints in which flexibility is produced by means of pivots or sliding or rolling connecting parts one coupling part entering a sleeve of the other coupling part and connected thereto by sliding or rolling members the rolling members being balls, rollers, or the like, guided in grooves or sockets in both coupling parts the rolling members being guided in grooves in both coupling parts
    • F16D2003/22303Details of ball cages

Abstract

(57)【要約】 【課題】 等速自在継手の外側部材の高強度化を図りつ
つ、加工工程の簡略化により、コストダウンや高精度化
を図る。 【解決手段】 等速自在継手は、内周部に複数の案内溝
1bを有する外側部材1と、外周部に複数の案内溝2b
を有する内側部材2と、ボールトラックに配されたトル
ク伝達ボール3と、トルク伝達ボール3を保持する保持
器4とを有する。外側部材1は、黒鉛鋼を高周波焼入れ
して表層を硬化させると共に、芯部にフェライトとマル
テンサイトの2相組織を生成させたものとする。黒鉛鋼
は、C:0.5〜0.70%、Si:0.4〜2.0
%、Mn:0.4〜1.5%、S:0.025%以下、
P:0.02%以下、Al:0.01〜0.1%、B:
0.001〜0.004%、N:0.002〜0.00
8%を基本成分とし、残部がFeおよび不可避的不純物
からなるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や産業機械
などにおいて、動力伝達用に使用される等速自在継手に
関する。
【0002】
【従来の技術】等速自在継手には、大別して、2軸間の
角度変位のみを許容する固定型と、角度変位および軸方
向変位を許容する摺動型とがあり、それぞれ使用条件、
用途等に応じて機種選択される。固定型としてはツェッ
パー型等速自在継手、摺動型としてはダブルオフセット
型等速自在継手やトリポード型等速自在継手が代表的で
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記等速自在継手の用
途の一つに自動車の駆動系がある。近年では自動車の高
出力化、あるいは安全性指向による車両重量の増加等に
対応して、上記駆動系の等速自在継手においてもさらな
る高強度化が望まれている。同様に、燃費向上の観点か
ら等速自在継手の軽量化要求が顕在化しており、これを
達成する上でも等速自在継手の高強度化が急務である。
【0004】等速自在継手の構成部品である外側部材
(外輪)は、従来、炭素鋼等を素材とし、これを所定形
状に鍛造した後、強度、耐久性、耐摩耗性を確保するた
めに高周波焼入れ等の熱処理を施し、さらに精度を必要
とする部分を研削加工により所定の寸法に仕上げて製品
化される。この場合の高強度化対策としては、炭素濃度
を高めるなどして素材強度を向上させるか、あるいは有
効硬化層深さを深くするなどの方法が考えられるが、前
者の方法では、鍛造性や被削性などの機械加工性が低下
し、コストアップを招く。一方、後者の方法では、焼割
れ発生等の懸念から、さらなる深焼きは難しく、高強度
化に限界がある。
【0005】そこで、本発明は、等速自在継手の外輪の
高強度化を図りつつ、加工工程の簡略化により、コスト
ダウンや高精度化を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、内周部に複数の案内溝を有する外側部
材と、外周部に複数の案内溝を有する内側部材と、外側
部材の案内溝と内側部材の案内溝とで形成される複数の
ボールトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボール
と、トルク伝達ボールを保持する保持器とを備えた等速
自在継手において、あるいは、内周部に3本のトラック
溝が形成され、各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向の
ローラ案内面を有する外側部材と、半径方向に突出する
3本の脚軸を有するトリポード部材と、トリポード部材
の3本の脚軸に複数の転動体を介して回転可能に装着さ
れたローラとを備え、ローラをトラック溝の両側のロー
ラ案内面で外側部材の軸方向に案内する等速自在継手に
おいて、外側部材を、黒鉛鋼を高周波焼入れして表層を
硬化させると共に、芯部にフェライトとマルテンサイト
の2相組織を生成させたものとした。「黒鉛鋼」は炭素
鋼中のセメンタイトを黒鉛化焼鈍により黒鉛化したもの
で、フェライトと黒鉛の二相組織をなす。この黒鉛鋼
は、快削元素である黒鉛を含むために被削性に優れ、ま
た、軟らかいために冷間、温間鍛造性に優れるという特
徴を有する。従って、高強度化のために高炭素化した場
合でも、良好な機械加工性(被削性、鍛造性)を確保す
ることができる。
【0007】従来の外側部材の多くは、炭素鋼に高周波
焼入れ処理して製作されているが、焼割れ防止等の観点
から芯部には熱影響を与えないものが多い。また、芯部
まで熱影響を与えたものも、芯部のほとんど全てがマル
テンサイト化しているため、表面の圧縮残留応力が消失
している。これに対し、本発明では、高周波焼入れによ
り、表面を硬化させるだけでなく、さらに熱影響を芯部
にまで及ぼし、芯部をフェライトとマルテンサイトの2
相組織にしているので、表面に圧縮残留応力が残り、従
って、高強度化、高疲労強度化が達成される。熱影響を
芯部まで及ぼすためには、複数回、例えば2回の高周波
焼入れを行うのがよい。
【0008】 上記黒鉛鋼としては、重量%で、C:0.
5〜0.70%、Si:0.4〜2.0%、Mn:0.
4〜1.5%、S:0.025%以下、P:0.02%
以下、Al:0.01〜0.1%、B:0.001〜
0.004%、N:0.002〜0.008%を基本成
分とし、残部がFeおよび不可避的不純物からなるもの
を使用する。
【0009】 上記各元素のうち、Cは黒鉛を生成するた
めに不可欠の元素である。これが0.50%未満である
と熱処理後の転走面の表面硬さが低すぎて十分な強度と
耐摩耗性が得られず、0.70%を越えると、熱処理後
の芯部の硬さの増加、およびセメンタイトの析出から強
度低下を招く。
【0010】 Siは、製鋼段階での脱酸剤、黒鉛化促進
剤として、さらには粒界強化のために添加される。これ
が0.4%未満であると、炭化物が黒鉛化しにくくなる
と共に、粒界強化の効果が減じられ、2.0%を越える
と冷間加工性(鍛造性、旋削性)が著しく低下する。
【0011】 Mnは、鋼中硫黄をMnSとして固定・分
散させるために必要であり、これが、0.4%未満であ
ると、焼入れ性が低下し(焼入れ深さが得られない)、
1.5%を越えると黒鉛化を著しく阻害して冷間加工性
を低下させる。
【0012】 Sは、Mnと結合してMnS介在物として
存在するが、冷間加工時の割れ発生の起点となるので
0.025%以下とする。また、Pは、鋼中において粒
界に析出して熱間加工性を著しく損ない、かつ素材強度
を著しく低下させるので0.02%以下とする。
【0013】 Alは脱酸剤で、製鋼段階で鋼中酸素を酸
化物介在物として除去し、粒径を小さくするために0.
01%よりも多くするが、酸化物介在物が多すぎると靭
性が低下し、冷間加工時の割れ発生起点となるので、
0.10%以下とする。
【0014】 BとNは、BNの生成により黒鉛化焼鈍時
間を短縮させるために添加される。短縮効果を十分に得
るためには、0.001%を越えるBを添加しなければ
ならないが、0.004%を越えて添加しても焼鈍時間
短縮効果は飽和する。Nは0.001%〜0.004%
のBをBNとするために、0.002%以上で0.00
8%以下とする。
【0015】 上記黒鉛鋼には、Ni:0.3〜1.0重
量%、およびMo:0.2重量%以下の何れか一方また
は双方を添加する。Niを添加すると、フェライトの延
性が増すために冷間加工性や強度が向上する。これが
0.3%未満であると冷間加工性や強度の向上に不十分
であり、1.0%を越えると旋削性が著しく低下する。
Moを添加すると、靭性を向上させることができるが、
0.2%をよりも多く添加すると黒鉛化を低下させる。
【0016】 黒鉛鋼としては、黒鉛粒径が15μm以下
のものを使用する。黒鉛粒径が15μmよりも大きい
と、焼入れ後に生じる、黒鉛の溶け込みによるボイド
(空孔)が大きくなり、また焼ムラが生じて表面硬さが
大きくばらつくため、強度、摩耗特性、剥離寿命等の低
下を招く。
【0017】外側部材は、鍛造により所定形状に成形さ
れる。鍛造温度はA1 変態温度(730℃程度)以下と
し、黒鉛鋼組織中にセメンタイトに代表される炭化物が
析出しないようにする。A1 変態温度を越えると、セメ
ンタイトの析出量が著しく増え、鍛造性を阻害すると共
に、それ以降の工程での加工性(被削性等)が大きく低
下するからである。この温度条件を満たした場合、製品
化後においても、少なくとも外側部材に残った鍛造肌部
での炭化物の析出が規制され、フェライトと黒鉛の2相
状態に保持される。ここでいう「鍛造肌部」は、製品に
おいて鍛造時の成形肌が残っている部分、すなわち高周
波焼入れ後の研削加工が施されていない部分を意味し、
例えば外側部材のマウス部の底部が該当する。
【0018】 表面の硬さ(ビッカース硬さ)の最大値と
最小値の差が200Hv以下であれば強度バランスを保
ち、強度低下を防止することができる。この範囲の強度
バラツキは、黒鉛の粒径が15μm以下の上記黒鉛鋼を
使用することによって実現することができる。
【0019】外側部材においては、芯部(セレーション
部の芯部)の硬さをロックウェル硬さで25〜45HR
Cとする。芯部が25HRCよりも小さいと、マルテン
サイトが少ないために強度向上効果が不十分となり、4
5よりも大きいとフルマルテンサイトが多くなり、軸の
切欠き部(例えばセレーション部)に焼割れが生じ易く
なる。芯部の硬さは、高周波焼入れの処理温度や処理時
間、黒鉛鋼中の炭素量の調整により変えることができ
る。なお、上記硬度範囲は、少なくともセレーション部
の芯部で満足されていれば足りる。これ以外の部分、例
えばマウス部の芯部は、通常、セレーション部の芯部よ
りも高硬度となる。
【0020】表面の圧縮残留応力を50kgf/mm2
以上とすれば、疲労強度の向上が達成される。一般に黒
鉛鋼を高周波焼入れする場合、黒鉛部分がγ化時に固溶
しにくいため、焼入れ性が低く、そのため高炭素鋼と同
様に水焼入れを行っても焼割れ等が生じにくい。水焼き
であれば、50kgf/mm2 程度の高い表面圧縮残留
応力を実現することができる。なお、上記圧縮残留応力
値は、少なくともセレーション部の表面で満足されてい
れば足りる。これ以外の表面、例えばマウス部の表面
は、通常、セレーション部よりも高い圧縮残留応力値を
示す。
【0021】高周波焼入れ後のショットピーニングによ
り表面の圧縮残留応力を80kgf/mm2 以上とすれ
ば、さらなる疲労強度の向上が図れる。これを実現する
ためには、ショットピーニングを2回行うのが望まし
い。なお、ショットピーニングは、少なくともセレーシ
ョン部とマウス部外周面にそれぞれ施される。
【0022】等速自在継手の内部に封入するグリースと
して、低摩擦性のグリース、具体的には摩擦係数μが
0.07以下のグリースを使用すれば、耐摩耗性の向上
が図れる。なお、この摩擦係数μは、サバン型摩擦摩耗
試験機で計測され得る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図1乃
至図6に基いて説明する。
【0024】図1および図2は、この実施形態に係わる
等速自在継手として、ダブルオフセット型等速自在継手
を示している。この等速自在継手は、円筒状の内径面1
aに複数(例えば6本)の直線状の案内溝1bを軸方向
に形成した外側部材1と、球面状の外径面2aに複数
(例えば6本)の直線状の案内溝2bを軸方向に形成し
た内側部材2と、外側部材1の案内溝1bと内側部材2
の案内溝2bとの協働で形成されるボールトラックに配
された複数(例えば6個)のトルク伝達ボール3と、ト
ルク伝達ボール3を保持する保持器4とで構成される。
保持器4は、外側部材1の内径面1aに接触案内される
球面状の外径面4aと、内側部材2の外径面2aに接触
案内される球面状の内径面4bと、トルク伝達ボール3
を収容する複数(例えば6個)のポケット4cを備えた
環体である。外径面4aの球面中心と内径面4bの球面
中心とは、それぞれポケット4cの中心に対して軸方向
に等距離だけ反対側にオフセットされている。
【0025】この継手が作動角θをとりつつ回転トルク
を伝達する際、保持器4は、内側部材2の傾きに応じて
ボールトラック上を移動するトルク伝達ボール3の位置
まで回転し、トルク伝達ボール3を作動角θの角度二等
分面(θ/2)に保持する。これにより、継手の等速性
が確保される。また、外側部材1と内側部材2とが軸方
向に相対移動すると、保持器4の外径面4aと外側部材
1の内径面1aとの間で滑りが生じ、円滑な軸方向移動
(プランジング)を可能にする。
【0026】上記保持器4は、黒鉛鋼、特に黒鉛粒径が
15μm以下の黒鉛鋼を素材として形成される。黒鉛粒
径が15μm以下の黒鉛鋼は、例えば特開平8−283
847号に開示された方法で製造することができる。す
なわち、熱間圧延後に、冷却開始温度をAr1点以上、冷
却終了温度をMs点以下、平均冷却速度を30〜100
℃/sとして水冷却後、さらに自然冷却し、次いで加熱
温度600〜720℃で黒鉛化処理した後、減面率30
%以上の伸線加工、引抜き加工、または押出し加工を行
って棒鋼とするのである。
【0027】上記の工程において、棒鋼表面で測定した
冷却開始温度は、マルテンサイト変態歪と圧延歪とを同
時に発生させて黒鉛生成サイト数を多くするため、Ar1
点以上でなければならない。冷却終了温度はマルテンサ
イト変態組織を得て黒鉛生成を容易にするためにMs点
以下でなければならない。平均冷却速度の下限値を30
℃/sとしたのは、マルテンサイト変態組織を得るため
と加工歪を残留させて黒鉛化を容易にすためであり、上
限を100℃/sとしたのは、これ以上急冷してもマル
テンサイト変態が増加しないためである。焼鈍温度を6
00〜720℃にしたのは、この温度範囲における黒鉛
化時間がもっとも短いからである。黒鉛化した後に伸線
加工等を行うのは、棒鋼の真円度並びに所定の強度を確
保すると共に、黒鉛を分解させ、冷間鍛造後に行う焼入
れ、焼戻しの際に発生する空孔を小さくし、靭性を向上
させるためである。特に冷間鍛造では、デッドメタルと
称される未変形部が生じる。この未変形部では黒鉛が分
解されておらず、冷間鍛造後の焼入れ、焼戻しで生じる
空孔が大きく、靭性が低い。そこで、冷間鍛造前に伸線
加工等で黒鉛を分解しておくことが必要であり、その
際、減面率が30%よりも小さいと黒鉛が十分に分解さ
れないために冷間鍛造後の焼入れ・焼戻しで生じる空孔
が大きく、靭性値が向上しない。
【0028】このようにして得られた黒鉛鋼の棒鋼は、
図1および図2に示す外側部材1の形状に鍛造成形され
る。この時の鍛造温度は、A1 変態温度(730℃程
度)以下とし、黒鉛鋼組織中にセメンタイトが析出しな
いようにする。これにより、後述の高周波焼入れ後も、
外側部材に残る鍛造肌部(例えばマウス部1cの底部1
c1)は、フェライトと黒鉛の二相状態に保持される。
【0029】所定形状に鍛造成形された黒鉛鋼には、熱
処理として高周波焼入れが施される。高周波焼入れに際
しては、外側部材1の芯部、具体的には円筒状のマウス
部1cの芯部のみならず、軸部1dの芯部まで熱影響を
及ぼし、これらの芯部にフェライトとマルテンサイトの
2相組織を生成する。芯部に熱影響を与えるため、焼入
れは2回に分けて行うのが好ましいが、1回の焼入れで
も、例えば低い周波数で加熱する、高周波数の場合は加
熱時間を長くする、加熱終了時から冷却までの時間(遅
延時間)を長くする等の手段により、芯部に上記2相組
織を形成することができる。この焼入れ処理により、セ
レーション部1d1の芯部は25〜45HRC程度に硬化
される。
【0030】高周波焼入れ終了後、焼戻しを行い、さら
に必要に応じて内径面1aや案内溝1bに精度確保のた
めの加工(研削加工等)を施して、外側部材1が仕上げ
られる。
【0031】このように外側部材1の素材として黒鉛鋼
を使用すれば、その優れた延性により冷間、温間を問わ
ず鍛造時の加工性を高めることができる。また、高精度
の鍛造が行えるため、後の研削時における研削取り代を
少なくすることができ、サイクルタイムの減少や切粉処
理労力の軽減等を図ることができる。さらには、内径面
1aおよび案内溝1bの何れか一方、場合によっては双
方の研削加工を省略することもでき、この場合、加工工
程の簡略化による大幅なコストダウンが達成される。研
削加工を行う場合でも、黒鉛鋼は快削元素である黒鉛を
含み、被削性に優れるため、旋削精度の向上や研削コス
トの低減化を図ることができる。また、高周波焼入れに
より、表面を硬化させるだけでなく、さらに熱影響を芯
部にまで及ぼし、芯部をフェライトとマルテンサイトの
2相組織にしているので、表面に圧縮残留応力が残り、
従って、高強度化、高疲労強度化が達成される。
【0032】なお、本発明は、上述したダブルオフセッ
ト型等速自在継手に限らず、例えばツェッパー型等速自
在継手(ボールフィックスドジョイント)やトリポード
型等速自在継手など、等速自在継手一般に広く適用可能
である。以下、上記に例示の等速自在継手の概略構造を
説明する。
【0033】図3(a)(b)はツェッパー型等速自在
継手を示す。この等速自在継手は、球面状の内径面1a
に複数(通常は6本)の曲線状の案内溝1bを軸方向に
形成した外側部材1と、球面状の外径面2aに複数(通
常は6本)の曲線状の案内溝2bを軸方向に形成した内
側部材2と、外側部材1の案内溝1bと内側部材2の案
内溝2bとが協働して形成されるボールトラックに配さ
れた複数(通常は6個)のトルク伝達ボール3と、トル
ク伝達ボール3を保持する保持器4とで構成される。
【0034】外側部材1の案内溝1bの中心Aと内側部
材2の案内溝2bの中心Bとは、トルク伝達ボール3の
中心を含む継手中心面に対して軸方向に等距離だけ反対
側にオフセットされ、そのため、ボールトラックは開口
側が広く、凹部側に向かって漸次縮小した形状(くさび
状)になっている。保持器4の案内面となる外側部材1
の内径面1aおよび内側部材2の外径面2aの球面中心
は何れも継手中心面Oと一致する。外側部材1と内側部
材2とが角度θだけ角度変位すると、保持器4に案内さ
れたトルク伝達ボール3は常にどの作動角θにおいて
も、角度θの二等分面(θ/2)内に維持され、継手の
等速性が確保される。
【0035】この等速自在継手においても、外側部材1
は、黒鉛鋼を高周波焼入れして表層を硬化させると共
に、芯部にフェライトとマルテンサイトの2相組織を生
成させたものとすることができる。その他の構成、製造
手順、および作用効果等は図1および図2の実施形態と
同様であるので、重複する説明を省略する。
【0036】図4および図5はトリポード型等速自在継
手を示す。この等速自在継手は、内周部に3本のトラッ
ク溝6が形成され、各トラック溝6の両側にそれぞれ軸
方向のローラ案内面6aを有する外側部材1と、半径方
向に突出する3本の脚軸7aを有するトリポード部材7
と、トリポード部材7の3本の脚軸7aに複数の転動
体、例えばニードルローラ8を介して回転可能に装着さ
れたローラ9とで構成される。各ローラ9は、トラック
溝6の両側のローラ案内面6aにそれぞれ適合収容され
る。各ローラ9が脚軸7aの軸心回りに回転しながらロ
ーラ案内面6a上を転動することにより、外側部材1と
トリポード部材7との間の相対的な軸方向変位や角度変
位が円滑に案内されると同時に、外側部材1とトリポー
ド部材7とが所定の作動角をとりつつ回転トルクを伝達
する際の、回転方向位相の変化に伴う、各脚軸7aのロ
ーラ案内面6aに対する軸方向変位が円滑に案内され
る。
【0037】この等速自在継手においても、外側部材1
は、黒鉛鋼を高周波焼入れして表層を硬化させると共
に、芯部にフェライトとマルテンサイトの2相組織を生
成させたものとすることができる。その他の構成、製造
手順、および作用効果等は図1および図2の実施形態と
同様であるので、重複する説明を省略する。
【0038】なお、トリポード型等速自在継手には、誘
起スラストの低減を図るべく、ローラ9を、内側ローラ
と外側ローラの2種のローラで構成して、外側ローラと
脚軸7aとの間の傾斜を許容する傾斜機構を設けたもの
もあるが、この種の等速自在継手にも本発明を適用する
ことができる。
【0039】
【実施例】本発明にかかる等速自在継手に適合するグリ
ースを見出すため、JIS規定のサバン型摩擦摩耗試験
機を使用し、種々のグリースについて摩耗量を測定する
試験を行った。
【0040】摩耗量(耐久性)は、ボールフィックスド
ジョイントの外側部材1の案内溝1bの摩耗量で評価し
た。外側部材は、黒鉛鋼(C:0.59%、Si:0.
8%、Mn:0.4%、P:0.020%、S:0.0
13%、B:0.0015%、N:0.0030、A
l:0.015%)を冷間鍛造した後、高周波焼入れ→
案内溝の研削という工程により製作した。案内溝の摩耗
量は、上記等速自在継手を、負荷トルク834N・m
(85kgf)、回転数230rpm、作動角θ=6°
で50時間運転してから測定した。グリースの摩擦係数
μは、サバン型摩擦摩耗試験機を周速108m/mi
n、荷重12.7N(1.3kgf)で10分間運転さ
せてから測定した。
【0041】試験結果を図6に示す。但し、図中の○は
摩耗量小を、△は摩耗量大を示す。
【0042】図6より、ウレア系の増稠剤を使用したグ
リース、特にμが0.070以下のグリースは摩耗量が
小さく、耐摩耗性の向上に有効であることが判明した。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、被削性、
冷間・温間鍛造性等の機械加工性に優れ、かつ静的強度
や疲労強度等の強度面で優れた特性を有する外側部材を
提供することができ、従って、等速自在継手のコストダ
ウンや高強度化が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダブルオフセット型等速自在継手の軸方向での
断面図である(図2中のA−A断面を示す)。
【図2】上記等速自在継手の外側部材の半径方向での断
面図である。
【図3】ツェッパー型等速自在継手の断面図で、(a)
図は(b)図中のA−A断面、(b)図は半径方向での
断面を示す。
【図4】トリポード型等速自在継手の軸方向での断面図
である。
【図5】上記等速自在継手の半径方向での断面図であ
る。
【図6】試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 外側部材 1b 案内溝 1c マウス部 1d1 セレーション部 2 内側部材 2b 案内溝 3 トルク伝達ボール 4 保持器 6 トラック溝 6a ローラ案内面 7 トリポード部材 7a 脚軸 9 ローラ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周部に複数の案内溝を有する外側部材
    と、外周部に複数の案内溝を有する内側部材と、外側部
    材の案内溝と内側部材の案内溝とで形成される複数のボ
    ールトラックにそれぞれ配されたトルク伝達ボールと、
    トルク伝達ボールを保持する保持器とを備えた等速自在
    継手において、 外側部材が、黒鉛鋼を高周波焼入れして表層を硬化させ
    ると共に、芯部にフェライトとマルテンサイトの2相組
    織を生成させたものであることを特徴とする等速自在継
    手。
  2. 【請求項2】 内周部に3本のトラック溝が形成され、
    各トラック溝の両側にそれぞれ軸方向のローラ案内面を
    有する外側部材と、半径方向に突出する3本の脚軸を有
    するトリポード部材と、トリポード部材の3本の脚軸に
    複数の転動体を介して回転可能に装着されたローラとを
    備え、ローラをトラック溝の両側のローラ案内面で外側
    部材の軸方向に案内する等速自在継手において、 外側部材が、黒鉛鋼を高周波焼入れして表層を硬化させ
    ると共に、芯部にフェライトとマルテンサイトの2相組
    織を生成させたものであることを特徴とする等速自在継
    手。
  3. 【請求項3】 上記黒鉛鋼が重量%で、C:0.5〜
    0.70%、Si:0.4〜2.0%、Mn:0.4〜
    1.5%、S:0.025%以下、P:0.02%以
    下、Al:0.01〜0.1%、B:0.001〜0.
    004%、N:0.002〜0.008%を基本成分と
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特
    徴とする請求項1または2記載の等速自在継手。
  4. 【請求項4】 上記黒鉛鋼に、Ni:0.3〜1.0重
    量%、およびMo:0.2重量%以下の何れか一方また
    は双方を添加したことを特徴とする請求項3記載の等速
    自在継手。
  5. 【請求項5】 上記黒鉛鋼の黒鉛粒径を15μm以下に
    した請求項3記載の等速自在継手。
  6. 【請求項6】 外側部材が鍛造により成形されている請
    求項1または2記載の等速自在継手。
  7. 【請求項7】 外側部材に残った鍛造肌部でフェライト
    と黒鉛の二相状態が保持されている請求項6記載の等速
    自在継手。
  8. 【請求項8】 表面の硬さの最大値と最小値の差を20
    0Hv以下とした請求項5記載の等速自在継手。
  9. 【請求項9】 芯部の硬さを25〜45HRCとした請
    求項1または2記載の等速自在継手。
  10. 【請求項10】 表面の圧縮残留応力を50kgf/m
    2 以上とした請求項1または2記載の等速自在継手。
  11. 【請求項11】 ショットピーニングにより表面の圧縮
    残留応力を80kgf/mm2 以上にした請求項1また
    は2記載の等速自在継手。
  12. 【請求項12】 摩擦係数μが0.07以下のグリース
    を使用した請求項1または2記載の等速自在継手。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007086215A1 (ja) * 2006-01-26 2007-08-02 Jfe Steel Corporation 転動疲労特性に優れた等速自在継手及び捩り疲労特性に優れた動力伝達軸ならびにその製造方法
JP2007197771A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Jfe Steel Kk 転動疲労特性に優れた等速自在継手及びその製造方法
JP2009279676A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Toyota Motor Corp トリポード型等速自在継手のトラック溝の研削方法
EP2198061A4 (en) * 2007-10-04 2015-10-14 Skf Ab THERMAL PROCESSING METHOD FOR STEEL

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