JP2007255461A - 等速自在継手 - Google Patents

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明夫 坂口
Mitsumasa Kuriki
光正 栗木
Noriyuki Miyauchi
宣幸 宮内
Tatsuo Kawase
達夫 川瀬
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Abstract

【課題】ボール転動面の摩耗低減と耐久性の向上を図ることが可能な固定式およびしゅう動式等速自在継手を提供する。
【解決手段】内球面21に複数のトラック溝22が形成された外方部材と、外球面24に複数のトラック溝25が形成された内方部材と、外方部材のトラック溝22と内方部材のトラック溝25との間に介在してトルクを伝達する複数のボール28と、外方部材の内球面21と内方部材の外球面24との間に介在してボール28を保持するケージ29とを備えた等速自在継手である。内方部材、外方部材、およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とする。各硬化部の硬度をHRC58以上とした。
【選択図】図1

Description

本発明は等速自在継手に関し、詳しくは、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で角度変位のみを許容する固定式等速自在継手および二軸間で角度変位と共に軸方向変位を許容するしゅう動式等速自在継手に関する。
自動車のエンジンから車輪に回転力を等速で伝達する手段として使用される等速自在継手には固定式としゅう動式とがある。固定式等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとっても等速で回転トルクを伝達し得る構造を備えている。一般的に、前述した固定式等速自在継手としては、ボールフィックト型(BJ)やアンダーカットフリー型(UJ)が広く知られている。一方しゅう動式等速自在継手は、駆動側と従動側の二軸を連結してその二軸が作動角をとってかつ軸方向にしゅう動しながら回転トルクを伝達し得る構造を備えている。一般的に、しゅう動式等速自在継手としては、ダブルオフセット型(DOJ)やクロスグルーブ型(LJまたはVL)が広く知られている。
例えば、BJタイプの固定式等速自在継手は、図8に示すように内球面1に複数のトラック溝2が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外方部材としての外輪3と、外球面4に外輪3のトラック溝2と対をなす複数のトラック溝5が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内方部材としての内輪6と、外輪3のトラック溝2と内輪6のトラック溝5との間に介在してトルクを伝達する複数のボール7と、外輪3の内球面1と内輪6の外球面4との間に介在してボール7を保持するケージ8とを備えている。また、内輪6にはシャフト(図示省略)が嵌入されている。
この等速自在継手では、外輪3のトラック溝2の曲率中心O1と内輪6のトラック溝5の曲率中心O2とを、継手中心Oに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせている。このようにトラックオフセットを設けたことにより、両トラック溝2、5のそれぞれは、その軸方向中央から外輪底側(奥側)で浅く、外輪開口側で深くなっており、その結果、外輪3の底側(奥側)から開口側へ向けて径方向間隔が徐々に増加する楔状のボールトラックが形成されている。一方しゅう動式等速自在継手は固定式等速自在継手と同じ部品で構成されているので詳細説明は省く。
ところで、自動車のドライブシャフトに使用される等速自在継手は燃費性能や動力性能向上のため、軽量やコンパクト化が求められている。軽量やコンパクト化には、サイズダウン(小型化)が有効である。ところが、トルク伝達部材として、前記のような等速自在継手では、ボール(剛球)を使用している。このため、内輪や外輪のトラック溝、ケージポケットのボール転動面(ボール接触面)の耐久性向上が課題となっていた。そこで、従来では、内輪の表面を浸炭焼入れ等によって硬化処理を行っているものがある(特許文献1)。
特開2002−266031号公報
ところが、浸炭焼入れ等によって硬化処理を行ったとしても、過酷な条件(高熱雰囲気下で高速回転)で使用されると、転動面が徐々に摩耗が進行する。そして、一定量以上の摩耗に至ると転動面のエッジ部(肩部)にボールが乗り上げ、この肩部にエッジロードが作用する。これによって、この肩部にチッピングやフレーキング等の損傷に至る場合がある。これが、小型化の障害の要因となっている。
本発明は、上記課題に鑑みて、ボール転動面の摩耗低減と耐久性の向上を図ることが可能な固定式およびしゅう動式等速自在継手を提供する。
本発明の等速自在継手は、内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、内方部材、外方部材、およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたものである。
本発明の他の等速自在継手は、内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、内方部材およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とするとともに、外方部材の少なくともボール接触部位を軟窒化後の高周波焼入れによる硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としものである。
本発明の別の等速自在継手は、内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、内方部材、外方部材、およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とするとともに、ボールの表面を窒化処理による硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたものである。
本発明のさらに別の等速自在継手は、内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、内方部材およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とするとともに、外方部材の少なくともボール接触部位を軟窒化後の高周波焼入れによる硬化部とし、さらにボールの表面を窒化処理による硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたものである。
ここで、本発明における等速自在継手には、駆動側と従動側の二軸間で角度変位のみを許容する固定式等速自在継手およびニ軸間で角度変位と共に軸方向変位を許容するしゅう動式等速自在継手を含みものとする。
このように、本発明では、内方部材や外方部材のボール転動面(ボール接触部位)が浸炭窒化処理による硬化部とされる。この硬化部は、単に浸炭焼入れを施したものと比べて、ミクロ組織で表層の残留オーステナイトが多く、表層硬度が高く、硬化深さも深い。このため、窒化層の高温焼き戻し抵抗性の付与及び残留オーステナイトの応力マルテンサイト変態により、このボール接触部位の耐摩耗性や耐久寿命が向上する。また、硬化部の深さを0.2mm以上とすることができる。
ボール接触部位は耐摩耗性や耐久寿命が向上し、長寿命化が期待できる。このため、等速自在継手の小型化を図ることができ、軽量化及びコンパクト化を期待することができる。各硬化部の硬度をHRC58以上としたことによって、硬化部は強度的に優れ、安定したトルク伝達が可能となる。なお、各硬化部の硬度をHRC58未満では強度不足となるおそれがある。また、硬化部の深さを0.2mm以上とすることによって、硬化部を深くすることができ、接触面下のせん断による内部起点型のフレーキングやスポーリングなどの損傷に対して有効である。なお、硬化部の深さを0.2mm未満では、浅すぎてフレーキングやスポーリングなどの損傷が生じるおそれがある。
本発明に係る実施形態を固定式等速自在継手を例に図1〜図5に基づいて説明する。
この固定式等速自在継手は、図1に示すように内周面(内球面)21に複数のトラック溝22が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された外方部材としての外輪23と、外周面(外球面)24に外輪23のトラック溝22と対をなす複数のトラック溝25が円周方向等間隔に軸方向に沿って形成された内方部材としての内輪26と、外輪23のトラック溝22と内輪26のトラック溝25との間に介在してトルクを伝達する複数のボール27と、外輪23の内球面21と内輪26の外球面24との間に介在してボール27を保持するケージ28とを備えている。
前記外輪23のトラック溝22は、その曲率中心O1を継手中心Oから軸方向に外輪23の開口側にずらし、内輪26のトラック溝25は、その曲率中心O2を継手中心Oから軸方向に外輪23のトラック溝22の曲率中心O1と反対側の奥側に等距離fだけ離して設けている。
ところで、外輪23と内輪26の各トラック溝22、25の横断面形状は図2に示すように、ボール27に半径Rbよりも大きく曲率半径Rt1となるゴシックアーチ状であり、このゴシックアーチ状としたことにより、トラック溝22、25とボール27との接触は、ボール接触角およびボール接触率を有するアンギュラ接触となっている。つまり、ボール27は、トラック溝22,25に対する接触角αをなすボール接触中心Pにて楕円形状の接触面(接触楕円M1、M2)および接触率でもってトラック溝22,25と接触している。
ここで、ボール接触角αとは、ボール27の中心Obを基準としてボール27とトラック溝22,25とが接触するボール接触中心Pとトラック溝22,25の溝底中心Qとのなす角度を意味する。
また、ボール接触中心Pとは、トラック溝22,25とボール27との接触により形成される楕円形状の接触面(接触楕円M1、M2)における長軸2ao1、2ai1と短軸2bo1、2bi1とが交わる点を意味する。この長軸2ao1、2ai1は、接触楕円M1、M2の長手方向における最も長い部分となる軸をいい、短軸2bo1、2bi1は、前述の長軸2ao1、2ai1と直交する短手方向における最も長い部分となる軸をいう。
さらに、ボール接触率とは、ボール27の半径Rbに対するゴシックアーチ状の円弧面を形成する曲率半径Rt1の比(Rt1/Rb)であり、このボール接触率が大きくなれば、前述の接触楕円M1、M2が小さくなり、逆に、ボール接触率が小さくなれば、接触楕円M1、M2が大きくなる。なお、図2において、2θは継手角度を示ししている。
第1実施形態の等速自在継手では、外輪23、内輪26、及びボール27の各表面に浸炭窒化処理を行う。ここで、浸炭窒化処理とは、鉄鋼を変態点以上に加熱して、ガス雰囲気から炭素と窒素とを浸透させて表面硬化する処理である。この浸炭窒化法にて構成した硬化層(浸炭窒化層)は、硬く耐摩耗性に優れる。また、浸炭窒化層は浸炭層よりも焼入れ性がよい。このため、浸炭窒化焼入れすると、所要の硬度を得ることができる。なお、浸炭とは、加工材料の表面全体又は部分の表面硬化を目的とするもので、浸炭剤の中で、加工材料をAc3変態以上の適当な温度で適当な時間加熱して、表面層の炭素濃度を高めた後、焼入焼戻しを行う処理である。また、この浸炭の方法には、固体浸炭、液体浸炭、ガス浸炭、真空浸炭等がある。
次に図3は耐久試験によって摩耗した状態のトラック溝22、25を示している。図2(摩耗する前の初期状態のトラック溝22、25を示している)と図3において、Tはトルク、Foは外輪のトラック溝22に負荷される荷重、Fiは内輪のトラック溝に負荷される荷重、po1maxは外輪のトラック溝22の最大面圧、pi1maxは内輪のトラック溝25の最大面圧、peomaxは外輪のトラック溝22のエッジ部(肩部)30の最大面圧、peimaxは内輪のトラック溝25の最大面圧を示している。なお、図3で分かるように、摩耗により接触楕円M1a、M2aは図2における初期段階での接触楕円M1、M2より、長軸2ao2、2ai2も短軸2bo2、2bi2も大きくなっている。
そして、図3に示すように、各トラック溝22、25の摩耗が進行すると、トラック肩部(エッジ部)30にボール27の接触楕円M1a、M2aが乗り上がって、肩部にエッジロードが作用する。このエッジロードは局部的に大きな面圧が作用する。
そこで、本発明では、外輪23、内輪26、及びケージ28に浸炭窒化処理を行って、少なくともボール転動面(ボール接触部位)、すなわち、外輪23であれば、トラック溝22の内面、内輪26であれば、トラック溝25の内面、ケージ28であれば、ポケット29の周縁部を硬化部とする。そして、このように成形される硬化部の硬度をHRC58以上とする。また、硬化部の深さを0.2mm以上とすることができる。この硬化部は、単に浸炭焼入れを施したものと比べて、ミクロ組織で表層の残留オーステナイトが多く、表層硬度が高く、硬化深さも深い。このため、窒化層の高温焼き戻し抵抗性の付与及び残留オーステナイトの応力マルテンサイト変態により、このボール接触部位の耐摩耗性や耐久寿命が向上する。浸炭窒化処理による硬化部としては、外輪23や内輪26において、全体を設けてもよい。
また、ボール27の表面を窒化処理による硬化部とする。なお、ボール27の表面の硬化部としては、浸炭窒化処理にて生成してもよい。窒化処理とは、NHガス中で所定温度(例えば500℃)に加熱して鋼の表面に窒素を浸透させて窒化鉄の硬化層を生成させるものであり、その後焼入れなどの操作を必要としない。従って、窒化の処理温度は他の表面硬化法と異なり、500〜600℃の低温であって、α−Fe域の処理であるための窒化処理を施しても窒化による直接的な寸法変形の少ないこと、また窒化層の最表面層には安定した圧縮応力が存在するため耐摩耗性と耐疲労性を有し、約600℃近くまで温度が上昇しても軟化が起こらず、熱的にも安定であり、耐食性も良好である。
このように、第1実施形態の等速自在継手では、ボール接触部位を浸炭窒化処理に硬化部とすることにより、耐摩耗性や耐久寿命が向上し、長寿命化が期待できる。このため、等速自在継手の小型化を図ることができ、軽量化及びコンパクト化を期待することができる。また、硬化部を深くすること(0.2mm以上とすること)によって、接触面下のせん断による内部起点型のフレーキングやスポーリングなどの損傷に対して有効である。各硬化部の硬度をHRC58以上としたことによって、硬化部は強度的に優れ、安定したトルク伝達が可能となる。なお、各硬化部の硬度をHRC58未満では強度不足となるおそれがある。また、硬化部の深さを0.2mm未満では、浅すぎてフレーキングやスポーリングなどの損傷が生じるおそれがある。
また、ボール27の表面を窒化処理による硬化部としたことにより、焼入れ等を必要とせず、生産時間の短縮を図って、コスト低減を達成できる。しかも、ボール27の表面の硬化部は、耐摩耗性と耐疲労性等に優れ、この等速自在継手の長寿命化を図ることができる。
第2実施形態として、内輪26とケージ28との各ボール接触部位に浸炭窒化処理を行い、外輪23のボール接触部位に軟窒化後の高周波焼入れによる硬化部を設けてもよい。鋼の表面に窒素を浸み込ませるプロセスを窒化といい、窒化後は焼入れを必要がなく、そのまま硬化する。このため、硬さは高いが硬化層は浅い。これに対して、軟窒化にて構成した硬化層の硬さは窒化にて構成した硬化層の硬さの約半分である。軟窒化には、ガス軟窒化と塩浴軟窒化(タフトライド法)とがある。ガス軟窒化は、主として浸炭性ガスとNHの混合雰囲気で処理することにより窒素と炭素を供給して硬化層を形成する方法であり、この場合、塩浴軟窒化(タフトライド法)は、シアン酸塩を主成分とする塩浴を用い、窒素と炭素を同時に拡散浸透させて硬化層を形成する方法である。また、高周波焼入れとは、高周波を流すことによって、誘導体(被加工体)の表面部分に誘導電流を生じさせて発熱させ、この熱により被加工体の表面を急速に加熱して焼入れを行う方法である。なお、この他の実施形態において、ボール27の表面を窒化処理による硬化部としても、浸炭窒化処理による硬化部としてもよい。
第3実施形態として、内輪26、外輪23、及びケージ28のボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とすると共に、ボール27の表面を窒化処理による硬化部とするようにしてもよい。さらに第4実施形態として、内輪26とケージ28のボール接触部に浸炭窒化処理による硬化部を設けると共に、外輪23のボール接触部に軟窒化後の高周波焼入れによる硬化部を設け、さらにボール27の表面を窒化処理による硬化部とするようにしてもよい。
前記第2実施形態〜第4実施形態において、形成される硬化部としては、ボール接触部位のみであっても、外輪23や内輪26において、全体に設けるようにしてもよい。また、これらの実施形態においても、各硬化部の硬さをHRC58以上とし、硬化部の深さを0.2mm以上とする。
前記第2実施形態〜第4実施形態においても、外輪23や内輪26等のボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部に形成しているので、耐摩耗性や耐久寿命が向上し、長寿命化が期待できる。すなわち、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。特に、外輪23において、ボール接触部を軟窒化後の高周波焼入れによる硬化部とするものでは、軟窒化することによって、耐摩耗性、耐疲労性等が向上する利点があり、また、高周波焼入れを行うことにより、表面硬さを高くでき、しかも残留圧縮応力が生じて疲労強度が増すことになる。
なお、前記実施形態では、バーフィールド型等速自在継手であるがアンダーカットフリー型等の他の固定式等速自在継手やボールをトルク伝達部材にしているダブルオフセット型やクロスグルーブ型の他のしゅう動式等速自在継手であってもよい。
外輪、内輪、及びケージの各表面に浸炭窒化処理を施したものと、外輪、内輪、及びケージの各表面に従来の浸炭焼入れを施したものとで耐久試験を行った。その結果(内輪のトラック溝摩耗深さ)を図4に示す。各等速自在継手として、図1に示す固定式等速自在継手(BJ)を使用し、外輪の外径寸法が90.4mmであるものを使用した。また、負荷されるトルクは70Nmであり、回転数は2000rpmであり、角度2θは16度(一定)である。また、潤滑材(グリース)にNTG2218Mを使用した。
外輪と内輪とは図5に示す浸炭窒化熱処理を行った。この場合、外輪にSCR420H(クロム鋼)を使用し、内輪にSCM420H(クロム・モリブデン鋼)を使用した。ガス浸炭性ガス雰囲気中に外輪と内輪とをそれぞれ置いて、940℃で550分間浸炭窒化を行い、その後860℃で20分間浸炭窒化を行う。次に170度で焼戻しを30分間行う。
ケージは図6に示す浸炭窒化熱処理を行った。この場合、SCr415を使用する。まず、ガス浸炭性ガス雰囲気中にケージを置いて、940℃で250分間浸炭窒化を行い、その後860℃で20分間浸炭窒化を行う。次に170度で焼戻しを30分間行う。
前記図4から分かるように、浸炭窒化処理を行ったものは摩耗の進行が少なく、耐久時間100時間後の摩耗量は浸炭処理のみしたもと比べてほぼ半減した。
次に、外輪、内輪、及びケージの各表面に浸炭窒化処理を施したものと、外輪、内輪、及びケージの各表面に従来の浸炭焼入れを施したものとで硬さを調べた。その結果を図7に示す。図7において、グラフ50は浸炭窒化焼入焼戻後の硬さ分布を示し、グラフ51は浸炭窒化後の500度高温焼戻後の硬さ分布を示し、グラフ52は浸炭焼入焼戻後の硬さ分布を示している。また、図7の横軸は表面からの深さを示している。
浸炭窒化品は従来の浸炭品に比べ、ミクロ組織で表層の残留オーステナイトが多く、表層硬度が高く、深いところでも硬度が高い。さらに窒化状態を調べるために行った500度高温焼戻後のHV513硬さを示す深さが0.6mmであった。すなわち、浸炭窒化品は従来の浸炭品に比べ、十分な窒化層を得ることができる。
このように、窒化層の高温焼戻抵抗性の付与及び残留オーステナイトの応力マルテンサイト変態により、このボール接触部位の耐摩耗性や耐久寿命が向上したと考えられる。また、硬化部を深くすることによって、接触面下のせん断による内部起点型のフレーキングやスポーリングなどの損傷に対して有効であるといえる。
本発明の実施形態を示す固定式等速自在継手の要部断面図である。 前記固定式等速自在継手にトルクを負荷した状態の説明図である。 前記固定式等速自在継手のトラック溝が摩耗した状態の説明図である。 耐久試験による内輪トラック溝の摩耗深さを示すグラフ図である。 外輪と内輪との浸炭窒化熱処理時間を示すグラフ図である。 ケージの浸炭窒化熱処理時間を示すグラフ図である。 内輪のボール転動面の断面硬さを示すグラフ図である。 従来の固定式等速自在継手の外方部材の要部断面図である。
符号の説明
21 内球面
22 トラック溝
24 外球面
25 トラック溝
27 ボール
28 ケージ

Claims (5)

  1. 内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、
    内方部材、外方部材、およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたことを特徴とする等速自在継手。
  2. 内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、
    内方部材およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とするとともに、外方部材の少なくともボール接触部位を軟窒化後の高周波焼入れによる硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたことを特徴とする等速自在継手。
  3. 内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、
    内方部材、外方部材、およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とするとともに、ボールの表面を窒化処理による硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたことを特徴とする等速自在継手。
  4. 内周面に複数のトラック溝が形成された外方部材と、外周面に複数のトラック溝が形成された内方部材と、前記外方部材のトラック溝と内方部材のトラック溝との間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、前記外方部材の内球面と内方部材の外球面との間に介在してボールを保持するケージとを備えた等速自在継手において、
    内方部材およびケージの少なくともボール接触部位を浸炭窒化処理による硬化部とするとともに、外方部材の少なくともボール接触部位を軟窒化処理後の焼入れによる硬化部とし、さらにボールの表面を窒化処理による硬化部とし、各硬化部の硬度をHRC58以上としたことを特徴とする等速自在継手。
  5. 前記硬化部の深さを0.2mm以上としたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの等速自在継手。
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