JP2007327112A - 機械部材および転がり軸受 - Google Patents

機械部材および転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストの上昇を抑制しつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材および転がり軸受を提供する。
【解決手段】機械部材である内輪12は、0.65質量%以上1.2質量%以下の範囲であって、かつ全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなり、全体が焼入硬化されている。そして、圧縮応力が付与されるべき部位である応力付与部としての内輪転走領域12Dにおける固溶炭素濃度は、内輪本体部12Eにおける固溶炭素濃度よりも高い。
【選択図】図2

Description

本発明は機械部材および転がり軸受に関し、より特定的には、耐久性に優れた機械部材および転がり軸受に関するものである。
近年、転がり軸受やハブ、等速ジョイントなどの転動部品やシャフト(軸)などを含む機械部品が使用される産業機械、輸送機械などの高性能化に伴い、機械部品が使用される環境は一層過酷になっている。そのため、機械部品を構成する軌道輪、転動体などの転動部材や軸などを含む機械部材に対しては、さらなる高強度化や長寿命化、特に過酷な環境下における高強度化や長寿命化が求められている。
機械部品が使用される環境は多岐にわたり、たとえば高温環境下で使用される場合には潤滑不良による表面損傷の発生が問題となる。また、高速で運転される機械部品においては、クリープへの対策として、高い嵌め合いで部材同士が嵌合されて使用される場合が多く、表面に引張応力が作用した状態で使用されることに起因した強度低下が問題となる。
これに対し、機械部材を構成する素材の改良や、機械部材の表面に圧縮応力を生じさせること等を目的として浸炭焼入や高周波焼入による表面硬化処理などを実施することにより、機械部材の高強度化や長寿命化を達成する対策が提案されている。(たとえば特許文献1〜5参照)。
特開2005−291340号公報 特開2000−80446号公報 特開2002−102927号公報 特開2005−299854号公報 特開平6−57324号公報
しかし、浸炭焼入や高周波焼入による表面硬化処理では、機械部材の内部が十分に硬化されていないため、剛性や強度の面で必ずしも十分とはいえない。たとえば、転動部材である転がり軸受の軌道輪や転動体においては、内部の強度が不十分であることに起因したケースクラックの発生や、大きな荷重が作用した場合の割れ強度の不足等の問題がある。また、シャフトにおいては、内部の強度が不十分であることに起因して、ねじり強度が不十分となる等の問題がある。一方、素材の改良による対策は、素材コストの上昇を招来する。また、処理時間の長い浸炭焼入やその他の複雑な熱処理工程を採用することは、製造コストの上昇を招来する。これらは、近年のコスト低減の要求に反するものであり、採用することは必ずしも容易ではない。
そこで、本発明の目的は、製造コストの上昇を抑制しつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材および転がり軸受を提供することである。
本発明に従った機械部材は、0.65質量%以上1.2質量%以下の範囲であって、かつ全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなっており、全体が焼入硬化されている。そして、当該機械部材では、圧縮応力が付与されるべき部位である応力付与部における固溶炭素濃度は、応力付与部以外の部位である本体部における固溶炭素濃度よりも高い。
上述のように、近年の過酷な使用環境を考慮すると、機械部材において、特に高い耐久性が要求される部位が十分に硬化され、かつ圧縮応力が付与されているとともに、機械部材全体が十分に硬化されていることが好ましい。そして、従来の高周波焼入処理による表面硬化では、機械部材の一部のみが硬化されているため、機械部材全体としての強度が必ずしも十分とはいえない。また、炭素の分布に濃淡をもたせる浸炭処理では、炭素を機械部材の表面から内部に向けて拡散させる必要があるため、熱処理に長時間を要し、機械部材の製造コストが上昇するという問題がある。
これに対し、本発明者は、機械部材の一部に圧縮応力を残存させることによる当該部分の疲労強度の向上と、その他の部分の硬度向上による全体の強度の確保とを両立することが可能な機械部材に関して鋭意検討し、以下の知見を得た。
すなわち、機械部材において、圧縮応力が付与されるべき部位である応力付与部における固溶炭素濃度が、応力付与部以外の部位である本体部における固溶炭素濃度よりも高く、かつ全体が焼入硬化されていることにより、応力付与部の焼入による膨張率が本体部に比べて大きくなる。その結果、応力付与部に圧縮応力を残留させることができる。また、機械部材が全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなることにより、炭素を機械部材に導入、拡散させる浸炭などの熱処理が必要なく、製造コストの上昇を回避することができる。さらに、機械部材が0.65質量%以上の炭素を含有する鋼からなることにより、応力付与部の炭素含有量を上昇させることなく応力付与部での固溶炭素濃度を本体部での固溶炭素濃度よりも高くして、応力付与部に十分な圧縮応力を付与するとともに、本体部を含む全体を十分に硬化することが可能となる。一方、機械部材が1.2質量%を超える炭素を含有すると、機械部材が全体として脆くなるため、機械部材の炭素含有量は1.2質量%以下に抑制することが好ましい。
以上より、本発明の機械部材によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材を提供することができる。
ここで、0.65質量%以上1.2質量%以下の炭素を含有する鋼としては、たとえばJIS規格SUJ2、SUJ3などの軸受鋼(JIS G4805)、SKH4などの高速度工具鋼(JIS G4403)のほか、JIS SUP3、SUS440C、SAE1070、AISI M50などが挙げられる。
より具体的には、当該鋼は、焼入硬化が可能な鋼であって、たとえば0.65質量%以上1.2質量%以下の炭素と、0.1質量%以上1.0質量%以下の珪素と、0.1質量%以上1.2質量%以下のマンガンとを含有し、残部鉄および不可避的不純物からなる鋼とすることができる。また、当該鋼は、0.1質量%以上18質量%以下のクロム、0.1質量%以上4.5質量%以下のモリブデン、0.1質量%以上0.6質量%以下のニッケル、11.5質量%以上19質量%以下のタングステン、0.8質量%以上5.2質量%以下のバナジウム、4.2質量%以上11質量%以下のコバルトから選択される1種以上の元素をさらに含有していてもよい。
また、本発明の機械部材は、全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなることを構成要件としている。これは浸炭、浸炭窒化などの処理により機械部材の部位によって炭素濃度が異なっていないことを意味するものである。すなわち、たとえば鉄、その他の合金元素の炭化物が鋼の素地中に存在していてもよく、微視的に見て炭素濃度が均一であることまでを要求するものではない。全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有するか否かは、たとえば次のように判定することができる。
すなわち、まず、機械部材を表面に垂直な面で切断し、当該断面の一方の表面から反対側の表面に向けてEPMA(Electron Probe Micro Analysis)により炭素の濃度分布を調査する。このとき、機械部材を構成する鋼の組織中に鉄、その他合金元素の炭化物が存在する場合、当該炭化物の1つあたりの平均面積の100倍〜200倍の面積における炭素濃度の平均値を測定する。炭素の濃度は、一方の表面から反対側の表面に向けて所定間隔、たとえば100μmおきに順次算出する。そして、得られた炭素濃度の分布が一様である場合、たとえば炭素濃度が最も高い領域と最も低い領域とで0.1質量%以上の差がない場合、全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有していると判断することができる。
また、固溶炭素濃度の測定は、上述と同様に機械部材を切断し、EPMAにより鋼の素地における炭素濃度を測定することで実施することができる。
さらに、焼入硬化とは、被処理物をA点以上の温度からM点以下に冷却することにより硬化することをいう。ここで、A点とは鋼を加熱した場合に、鋼の組織がフェライトからオーステナイトに変態を開始する温度に相当する点をいう。また、M点とはオーステナイト化した鋼が冷却される際に、マルテンサイト化を開始する温度に相当する点をいう。また、固溶炭層濃度とは、鋼に含有される炭素であって、当該鋼の素地中に固溶している炭素の濃度をいう。また、応力付与部は、機械部材において破壊の起点となるおそれの大きい部位とすることができ、たとえば転動部材の転走面を含む領域とすることができる。
上記機械部材において好ましくは、固溶炭素濃度は、応力付与部から離れるに従って徐々に低くなる。これにより、特に高い耐久性が要求される部位に対応させることが可能な応力付与部に近いほど、圧縮応力を大きくすることができる。その結果、機械部材の耐久性を一層向上させることが可能となる。
上記機械部材において好ましくは、機械部材において最も硬度の低い部位である低硬度部における硬度は、500HV以上である。これにより、機械部材に対して十分な強度および剛性を付与することができる。また、一層高い強度および剛性が必要な用途に機械部材が使用される場合、低硬度部における硬度は、550HV以上であることが好ましい。一方、低硬度部が750HVを超えると、機械部材全体が脆くなるため、低硬度部における硬度は、750HV以下であることが好ましい。
上記機械部材において好ましくは、上記鋼の素地は、マルテンサイト組織と、残留オーステナイトとを含み、パーライト組織を含んでいない。全体が焼入硬化されている上記機械部材においては、焼入の際の加熱温度が低い、焼入の際の冷却速度(単位時間あたりの温度降下)が小さい等の理由により、強度の低いパーライト組織が形成された場合、機械部品の使用中に当該パーライト組織が破壊の起点となるおそれがある。したがって、機械部材を構成する鋼の素地が、焼入硬化処理により生成するマルテンサイト組織と残留オーステナイトとを含み、パーライト組織を含んでいないことにより、機械部材の耐久性を一層向上させることができる。
なお、パーライト組織を含んでいないとの判断は、たとえば以下のように実施することができる。すなわち、機械部材を切断して当該切断面を研磨し、ナイタル(硝酸アルコール溶液)により当該研磨された面を腐食する。そして、腐食された面のうち硬度変化の大きい領域を光学顕微鏡によりランダムに10視野(倍率400倍、視野面積0.6mm)観察する。そして、パーライト組織が観察されない場合、パーライト組織を含んでいないと判断する。
上記機械部材は、転動部材として使用されてもよい。製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材は、転動部材として好適である。この場合、機械部材の応力付与部は、転動部材の転走面とすることができる。これにより、転動部材において、特に耐久性が要求される転走面に圧縮応力が付与される。その結果、転走面付近における亀裂の発生や伝播が抑制され、転動部材を長寿命化することができる。
ここで、転動部材とは、互いに接触して配置される部材であって、一方の部材が他方の部材の表面を転がるように使用される部材である。また、転走面とは、転動部材において、他の転動部材と接触する表面をいう。
本発明に従った転がり軸受は、軌道部材と、当該軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備えている。そして、軌道部材および転動体の少なくともいずれか一方は、上述の機械部材である。本発明の転がり軸受によれば、軌道部材および転動体の少なくともいずれか一方が、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な上述の機械部材である。その結果、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な転がり軸受を提供することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の機械部材および転がり軸受によれば、製造コストの上昇を抑制しつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材および転がり軸受を提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における機械部材を備えた転がり軸受としての深溝玉軸受の構成を示す概略断面図である。また、図2は、図1の深溝玉軸受における内輪の詳細を示す概略断面図である。また、図3は、図1の深溝玉軸受における外輪の詳細を示す概略断面図である。図1〜図3を参照して、本発明の実施の形態1における転がり軸受としての深溝玉軸受および当該深溝玉軸受が備える機械部材としての軌道輪(外輪および内輪)について説明する。
図1を参照して、深溝玉軸受1は、環状の外輪11と、外輪11の内側に配置された環状の内輪12と、外輪11と内輪12との間に配置され、円環状の保持器14に保持された転動体としての複数の玉13とを備えている。外輪11の内周面には外輪転走面11Aが形成されており、内輪12の外周面には内輪転走面12Aが形成されている。そして、内輪転走面12Aと外輪転走面11Aとが互いに対向するように、外輪11と内輪12とは配置されている。さらに、複数の玉13は、内輪転走面12Aおよび外輪転走面11Aに接触し、かつ保持器14により周方向に所定のピッチで配置されることにより、円環状の軌道上に転動自在に保持されている。以上の構成により、深溝玉軸受1の外輪11および内輪12は、互いに相対的に回転可能となっている。
図2を参照して、内輪12には、上述のように、外周面12Cに転動体としての玉13が接触しつつ転走するための内輪転走面12Aが形成されている。さらに、内輪12は、内輪12の内周部を貫通する軸などが接触し、当該軸と内輪12とが一体に回転可能となるように、当該軸などに対して内輪12を固定する内輪内周面12Bを有している。
そして、内輪12は、0.65質量%以上1.2質量%以下の範囲であって、かつ全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなり、全体が焼入硬化されている。さらに、内輪転走面12Aと内輪転走面12Aに隣接する領域とを含む内輪転走領域12Dにおける固溶炭素濃度は、内輪転走領域12D以外の部位である本体部としての内輪本体部12Eにおける固溶炭素濃度よりも高い。そのため、内輪転走領域12Dの焼入による膨張率が内輪本体部12Eに比べて大きくなり、内輪転走領域12Dには、圧縮応力が付与されている。
ここで、内輪転走領域12Dは、内輪転走面12Aに接触して転動する玉13による転動疲労の影響を受ける領域であり、内輪12において最も高い耐久性、特に転動疲労寿命が要求される。すなわち、内輪転走領域12Dは、圧縮応力が付与されるべき部位である応力付与部である。そして、上述のように、応力付与部としての内輪転走領域12Dには圧縮応力が付与されているため、亀裂の発生および伝播が抑制され、耐久性、特に転動疲労寿命が向上している。
さらに、全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなっていることにより、内輪12においては、炭素を導入、拡散させる浸炭などの熱処理が必要なく、製造コストの上昇を回避することができる。さらに、内輪12が0.65質量%以上の炭素を含有する鋼からなることにより、内輪転走領域12Dの炭素含有量を上昇させることなく、内輪転走領域12Dでの固溶炭素濃度を内輪本体部12Eでの固溶炭素濃度よりも高くすることにより、内輪転走領域12Dに十分な圧縮応力を付与することができる。また、同時に、内輪本体部12Eを含む内輪12全体を十分に硬化し、内輪12全体としての剛性や強度などを確保することが可能となっている。一方、内輪12の炭素含有量が1.2質量%以下に抑制されているため、内輪12が全体として脆くことが回避されている。
以上より、実施の形態1における内輪12は、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材となっている。
図3を参照して、外輪11は、図2に基づいて説明した内輪12と基本的には同様の構成および効果を有している。すなわち、外輪11には、上述のように、内周面11Cに、転動体としての玉13が接触しつつ転走するための外輪転走面11Aが形成されている。さらに、外輪11は、外輪11に接触して配置される他の部材が接触し、当該他の部材に対して外輪11を固定する外輪外周面11Bを有している。
そして、外輪11は、0.65質量%以上1.2質量%以下の範囲であって、かつ全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなり、全体が焼入硬化されている。さらに、外輪転走面11Aと外輪転走面11Aに隣接する領域とを含む外輪転走領域11Dにおける固溶炭素濃度は、外輪転走領域11D以外の部位である本体部としての外輪本体部11Eにおける固溶炭素濃度よりも高い。
そのため、上述の内輪12と同様に、実施の形態1における外輪11は、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材となっている。そして、転動部材である外輪11および内輪12を備えた転がり軸受としての深溝玉軸受1は、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命となっている。
さらに、上記外輪11および内輪12においては、固溶炭素濃度が、外輪転走領域11Dおよび内輪転走領域12Dから離れるに従って徐々に低くなることが好ましい。これにより、特に高い耐久性が要求される外輪転走領域11Dおよび内輪転走領域12Dに近いほど、圧縮応力を大きくすることができる。そのため、外輪11および内輪12の耐久性を一層向上させることができる。
また、上記外輪11および内輪12において最も硬度の低い部位である低硬度部としての外輪外周面11Bおよび内輪内周面12Bにおける硬度は、500HV以上であることが好ましい。これにより、外輪11および内輪12に対して十分な強度および剛性を付与することができるとともに、外輪11および内輪12の耐フレッティング摩耗性や耐割れ強度が向上する。
さらに、上記外輪11および内輪12においては、外輪11および内輪12を構成する鋼の素地は、マルテンサイト組織と、残留オーステナイトとを含み、パーライト組織を含んでいないことが好ましい。これにより、外輪11および内輪12の耐久性を一層向上させることができる。
なお、外輪11および内輪12をさらに高強度、長寿命とするためには、圧縮応力が付与される領域は表面だけでなく、ある程度の深さを有する領域であることが好ましい。具体的には、外輪転走領域11Dおよび内輪転走領域12Dの外輪転走面11Aおよび内輪転走面12Aからの深さは肉厚(外輪転走面11Aおよび内輪転走面12Aに対して垂直な面において最も薄い部分の厚み)の1/20以上であることが好ましい。一方、外輪転走領域11Dおよび内輪転走領域12Dの深さが肉厚の1/3を超える場合、外輪転走領域11Dおよび内輪転走領域12Dに生じた圧縮応力に釣り合うように外輪外周面11Bおよび内輪内周面12Bに生じる引張応力が大きくなり、外輪外周面11Bおよび内輪内周面12Bの強度が許容範囲を超えて低下するおそれがある。そのため、外輪転走領域11Dおよび内輪転走領域12Dの深さは、肉厚の1/3以下であることが好ましい。
図4は、実施の形態1の変形例における機械部材を備えた等速ジョイントの構成を示す概略断面図である。また、図5は、図4の線分V−Vに沿う概略断面図である。また、図6は、図4の等速ジョイントが角度をなした状態を示す概略断面図である。なお、図4は、図5の線分IV−IVに沿う概略断面図に対応する。図4〜図6を参照して、実施の形態1の変形例における等速ジョイントについて説明する。
図4〜図6を参照して、等速ジョイント9は、軸95に連結されたインナーレース91と、インナーレース91の外周側を囲むように配置され、軸96に連結されたアウターレース92と、インナーレース91とアウターレース92との間に配置されたトルク伝達用のボール93と、ボール93を保持するケージ94とを備えている。ボール93は、インナーレース91の外周面に形成されたインナーレースボール溝91Aと、アウターレース92の内周面に形成されたアウターレースボール溝92Aとに接触して配置され、脱落しないようにケージ94によって保持されている。
インナーレース91の外周面およびアウターレース92の内周面のそれぞれに形成された、インナーレースボール溝91Aとアウターレースボール溝92Aとは、図4に示すように、軸95および軸96の中央を通る軸が一直線上にある状態において、それぞれ当該軸上のジョイント中心Oから当該軸上の左右に等距離離れた点Aおよび点Bをそれぞれ曲率中心とする曲線(円弧)状に形成されている。すなわち、インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aに接触して転動するボール93の中心Pの軌跡が、点A(インナーレース中心A)および点B(アウターレース中心B)に曲率中心を有する曲線(円弧)となるように、インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aのそれぞれは形成されている。これにより、等速ジョイントが角度をなした場合(軸95および軸96の中央を通る軸が交差するように等速ジョイントが動作した場合)においても、ボール93は、常に軸95および軸96の中央を通る軸のなす角(∠AOB)の2等分線上に位置する。
次に、等速ジョイント9の動作について説明する。図4および図5を参照して、等速ジョイント9においては、軸95、96の一方に軸まわりの回転が伝達されると、インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aに嵌め込まれたボール93を介して、軸95、96の他方の軸に当該回転が伝達される。ここで、図6に示すように軸95、96が角度θをなした場合、ボール93は、前述のインナーレース中心Aおよびアウターレース中心Bに曲率中心を有するインナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aに案内されて、中心Pが∠AOBの二等分線上となる位置に保持される。ここで、ジョイント中心Oからインナーレース中心Aまでの距離と、アウターレース中心Bまでの距離とが等しくなるように、インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aが形成されているため、ボール93の中心Pからインナーレース中心Aおよびアウターレース中心Bまでの距離はそれぞれ等しく、△OAPと△OBPとは合同である。その結果、ボール93の中心Pから軸95、96までの距離Lは互いに等しくなり、軸95、96の一方が軸まわりに回転した場合、他方も等速で回転する。このように、等速ジョイント9は、軸95、96が角度をなした場合でも、等速性を確保することができる。なお、ケージ94は、軸95、96が回転した場合に、インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aからボール93が飛び出すことをインナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aとともに防止すると同時に、等速ジョイント9のジョイント中心Oを決定する機能を果たしている。
図7は、実施の形態1の変形例の等速ジョイントにおけるインナーレースの詳細を示す概略断面図である。また、図8は、実施の形態1の変形例の等速ジョイントにおけるアウターレースの詳細を示す概略断面図である。図7および図8を参照して、本発明の実施の形態1の変形例における機械部品としての等速ジョイントおよび当該等速ジョイントが備える機械部材としてのジョイントレース(アウターレースおよびインナーレース)について説明する。
図7および図8を参照して、インナーレース91およびアウターレース92は、図2および図3に基づいて説明した内輪12および外輪11と基本的には同様の構成および効果を有している。すなわち、インナーレース91およびアウターレース92には、上述のように、転動体としてのボール93が接触しつつ転走するためのインナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aがそれぞれ形成されている。
そして、インナーレース91およびアウターレース92は、0.65質量%以上1.2質量%以下の範囲であって、かつ全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなり、全体が焼入硬化されている。さらに、インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aとインナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aに隣接する領域とを含む、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dのそれぞれにおける固溶炭素濃度は、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92D以外の部位である本体部としてのインナーレース本体部91Eおよびアウターレース本体部92Eにおける固溶炭素濃度よりも高い。そのため、上述の内輪12および外輪11と同様に、実施の形態1の変形例におけるインナーレース91およびアウターレース92は、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材となっている。そして、転動部材であるインナーレース91およびアウターレース92を備えた機械部品としての等速ジョイント9は、製造コストの上昇が抑制されつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命となっている。
さらに、上記インナーレース91およびアウターレース92においては、固溶炭素濃度が、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dから離れるに従って徐々に低くなることが好ましい。これにより、特に高い耐久性が要求されるインナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dに近いほど、圧縮応力を大きくすることができる。そのため、インナーレース91およびアウターレース92の耐久性を一層向上させることができる。
また、上記インナーレース91およびアウターレース92において最も硬度の低い部位である低硬度部としてのインナーレース内周面91Bおよびアウターレース外周面92Bおける硬度は、500HV以上であることが好ましい。これにより、インナーレース91およびアウターレース92に対して十分な強度および剛性を付与することができる。
さらに、上記インナーレース91およびアウターレース92においては、インナーレース91およびアウターレース92を構成する鋼の素地は、マルテンサイト組織と、残留オーステナイトとを含み、パーライト組織を含んでいないことが好ましい。これにより、インナーレース91およびアウターレース92の耐久性を一層向上させることができる。
なお、インナーレース91およびアウターレース92をさらに高強度、長寿命とするためには、圧縮応力が付与される領域は表面だけでなく、ある程度の深さを有する領域であることが好ましい。具体的には、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dのインナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aからの深さは、肉厚(インナーレースボール溝91Aおよびアウターレースボール溝92Aに対して垂直な面における厚みのうち最も薄い部分)の1/20以上であることが好ましい。一方、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dの深さが肉厚の1/3を超える場合、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dに生じた圧縮応力に釣り合うようにインナーレース内周面91Bおよびアウターレース外周面92Bに生じる引張応力が大きくなる。そして、その結果、インナーレース内周面91Bおよびアウターレース外周面92Bの強度が許容範囲を超えて低下するおそれがある。そのため、インナーレースボール転走領域91Dおよびアウターレースボール転走領域92Dの深さは、肉厚の1/3以下であることが好ましい。
次に、本発明の一実施の形態である実施の形態1における機械部材および当該機械部材を備えた機械部品(転がり軸受を含む)の製造方法について説明する。図9は、本発明の一実施の形態である実施の形態1における機械部材および当該機械部材を備えた機械部品の製造方法の概略を示す図である。
図9を参照して、まず、0.65質量%以上1.2質量%以下の炭素を含有する鋼からなり、機械部材の概略形状に成形された鋼製部材を準備する鋼製部材準備工程が実施される。具体的には、たとえば、0.65質量%以上1.2質量%以下の炭素を含有する棒鋼、鋼線などを素材とし、当該棒鋼、鋼線などに対して切断、鍛造、旋削などの加工が実施されることにより、機械部材としての外輪11、インナーレース91などの機械部材の概略形状に成形された鋼製部材が準備される。
次に、鋼製部材準備工程において準備された上述の鋼製部材に対して、応力付与部における固溶炭素濃度が本体部における固溶炭素濃度よりも高い状態で、A点以上の温度からM点以下の温度へ冷却することにより、鋼製部材を焼入硬化する焼入硬化工程が実施される。この焼入硬化工程の詳細については後述する。
次に、焼入硬化工程が実施された鋼製部材に対して、A点以下の温度に加熱することにより鋼製部材の靭性等を向上させる焼戻工程が実施される。具体的には、焼入硬化された鋼製部材がA点以下の温度である150℃以上350℃以下の温度、たとえば180℃に加熱され、30分間以上240分間以下の時間、たとえば120分間保持されて、その後室温の空気中で冷却される(空冷)。
さらに、焼戻工程が実施された鋼製部材に対して、仕上げ加工などが施される仕上げ工程が実施される。具体的には、たとえば、焼戻工程が実施された鋼製部材の内輪転走面12A、アウターレースボール溝92Aなどに対する研削加工が実施される。これにより、実施の形態1における機械部材は完成し、本実施の形態における機械部材の製造方法は完了する。
さらに、完成した機械部材が組合わされて機械部品が組立てられる組立て工程が実施される。具体的には、たとえば、上述の工程により製造された本発明の機械部材である外輪11、内輪12、玉13と保持器14とが組合わされて、深溝玉軸受1が組立てられる。これにより、本発明の機械部材を備えた機械部品が製造される。
次に、上述の焼入硬化工程の詳細について説明する。上記焼入硬化工程は、たとえば以下の高周波焼入方法を用いて実施することができる。なお、以下、内輪12を例として説明するが、外輪11、インナーレース91、アウターレース92を含めて、本発明の機械部品は、同様の方法で焼入硬化して製造することができる。
まず、実施の形態1における高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備について説明する。図10は、実施の形態1における高周波焼入設備の構成を示す概略図である。図10を参照して、本発明の実施の形態1における高周波焼入設備の構成を説明する。
図10を参照して、実施の形態1における高周波焼入設備90は、高周波加熱により被処理物としての内輪12を加熱して焼入硬化する高周波焼入方法に使用される高周波焼入設備である。当該高周波焼入設備90は、内輪12の温度を調節するための温度制御装置50と、加熱された内輪12が冷却されるべきタイミングを調節するための焼入制御装置60とを備えている。
温度制御装置50は、内輪12の温度データを取得し、内輪12の温度データに基づく温度の情報を出力する温度制御用測温装置としての第1放射温度計3と、第1放射温度計3に接続され、第1放射温度計3からの温度の情報に基づき内輪12の加熱状態を制御するための温度制御信号を出力する温度調節装置4と、温度調節装置4に接続され、温度調節装置4からの温度制御信号に基づき、高周波加熱により内輪12を加熱する加熱装置2とを含んでいる。加熱装置2に含まれる誘導コイルは、内輪12の外周側を取り囲むように配置されている。
焼入制御装置60は、焼入用測温装置としての第1放射温度計3および第2放射温度計5と、冷却タイミング調節装置6と、冷却装置7とを含んでいる。焼入用測温装置としての第1放射温度計3および第2放射温度計5は、内輪12の応力付与部である内輪転走面12A(誘導コイルに対向する面)および焼入制御部である内輪内周面12B(誘導コイルに対向する面の裏側の面)のそれぞれの温度データを取得し、内輪12の温度データに基づく温度の情報を出力する機能を有している。冷却タイミング調節装置6は、第1放射温度計3および第2放射温度計5に接続され、第1放射温度計3および第2放射温度計5からの温度の情報に基づき、内輪転走面12AがA点以上の温度である高温焼入温度に加熱され、かつ内輪内周面12BがA点以上の温度であって、高温焼入温度よりも低い低温焼入温度に加熱されるように加熱時間を調節し、内輪12が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する機能を有している。冷却装置7は、冷却タイミング調節装置6に接続され、冷却開始信号に基づいて、内輪12を冷却することにより内輪12を焼入硬化する機能を有している。冷却装置7は、たとえば冷却液を内輪12に噴射することにより冷却する焼入液噴出装置である。
ここで、第1放射温度計3は、温度制御用測温装置と焼入制御用測温装置とを兼ねて設置されている。また、温度調節装置4および冷却タイミング調節装置6は、たとえばそれぞれパーソナルコンピュータであり、1台のパーソナルコンピュータで温度調節装置4と冷却タイミング調節装置6とを兼ねる構成であってもよい。
なお、温度制御用測温装置および焼入用測温装置に用いる測温装置の種類は、上述のように放射温度計でもよいが、装置のレイアウト上可能であるならば熱電対などの接触式温度計でもよい。
次に、上述の高周波焼入設備を用いた高周波焼入方法について説明する。図11は、実施の形態1における高周波焼入方法の概略を示す図である。
図10および図11を参照して、本実施の形態における高周波焼入方法10は、高周波加熱により被処理物(内輪12)を加熱してA点以上の温度からM点以下の温度に冷却することにより、内輪12を焼入硬化する高周波焼入方法である。高周波焼入方法10は、内輪12の温度が調節される温度制御工程20と、内輪12において、圧縮応力を付与すべき部位である応力付与部としての内輪転走面12AがA点以上の温度である高温焼入温度に加熱されており、かつ内輪転走面12A以外の部位である内輪本体部12Eに含まれる焼入制御部としての内輪内周面12BがA点以上の温度であって、高温焼入温度よりも低い温度である低温焼入温度に加熱されている状態から、内輪12をM点以下の温度に冷却する焼入制御工程30とを備えている。
そして、温度制御工程20は、内輪12の温度が測定される温度制御用測温工程23と、温度制御用測温工程23において測定された温度の情報に基づき、内輪12の加熱状態を制御するための温度制御信号が出力される温度調節工程24と、温度制御信号に基づいて、高周波加熱により内輪12が加熱される加熱工程22とを含んでいる。
焼入制御工程30は、焼入用測温工程35と、冷却タイミング調節工程36と、冷却工程37とを含んでいる。焼入用測温工程35では、内輪転走面12Aおよび内輪内周面12Bの温度が測定される。冷却タイミング調節工程36では、焼入用測温工程35において測定された温度の情報に基づき、内輪転走面12Aが高温焼入温度に加熱され、かつ内輪内周面12Bが低温焼入温度に加熱されるように加熱時間が調節され、内輪12が冷却されるべきタイミングが決定されて冷却開始信号が出力される。冷却工程37では、冷却開始信号に基づいて、内輪12が冷却されることにより内輪12が焼入硬化される。
実施の形態1における高周波焼入設備90を用いて実施の形態1における高周波焼入方法10によって被処理物としての内輪12を焼入硬化することにより、内輪転走面12Aを含む内輪転走領域12Dにおける固溶炭素濃度が相対的に内輪本体部12Eに比べて高くなる。そのため、内輪転走面12Aを含む内輪転走領域12Dには圧縮応力が付与され、疲労強度が向上する。同時に、内輪本体部12Eも、A点以上の温度からM点以下の温度に冷却されて焼入硬化されるため、強度が十分に確保される。その結果、内輪12を高強度化、長寿命化することができる。
さらに、実施の形態1における高周波焼入方法は、処理時間の長い浸炭焼入やその他の複雑な熱処理工程を含む熱処理方法を採用するものではないため、製造コストを抑制しつつ、上記優れた特性を内輪12に付与することができる。また、内輪12の加熱に高周波加熱を利用することで、内輪12のうち誘導コイルに近い部位(内輪転走面12A)と遠い部位(内輪内周面12B)とで、容易に内輪12の加熱温度に差をつけることができる。そして、誘導コイルに近い部位(誘導コイルに対向する面および当該面から0.1mm程度の領域)が応力付与部、誘導コイルから遠い部位(誘導コイルに対向する面の反対側の面)が本体部に含まれる低硬度部となる。
さらに、温度制御工程20において、内輪12の温度のデータがリアルタイムでフィードバックされて内輪12が所望の温度に加熱されるとともに、焼入制御工程30において、内輪転走面12Aおよび内輪内周面12Bの両方の温度の情報がリアルタイムで取得され、これに基づいて冷却のタイミングを決定して、内輪12を焼入硬化することができる。そのため、内輪転走面12Aが高温焼入温度に加熱され、かつ内輪内周面12Bが低温焼入温度に加熱されるように加熱時間を調節することが容易となる。
以上より、実施の形態1における高周波焼入方法を用いて焼入硬化工程を実施することにより、製造コストの上昇を抑制しつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材としての内輪12を製造することができる。
なお、応力付与部である内輪転走領域12Dに明確な圧縮応力を付与するためには、高温焼入温度は、低温焼入温度よりも20℃以上高い温度であることが好ましい。さらに、応力付与部に十分な圧縮応力を付与するためには、高温焼入温度は、低温焼入温度よりも50℃以上高い温度であることが、より好ましい。
(実施の形態2)
本発明の機械部材および機械部品(転がり軸受を含む)は、上述の実施の形態1とは異なった実施の形態2における製造方法により製造することができる。以下、実施の形態2における機械部材および機械部品の製造方法について、内輪12を例に説明する。
実施の形態2における機械部材および機械部品の製造方法は、基本的には、実施の形態1における機械部材および機械部品の製造方法と同様である。しかし、図9を参照して、焼入硬化工程において採用される焼入方法において、実施の形態2における機械部材および機械部品の製造方法は、実施の形態1における機械部材および機械部品の製造方法と異なっている。また、これに伴い、焼入方法を実施するために用いられる焼入設備においても、実施の形態2と実施の形態1とでは異なっている。
すなわち、図10を参照して、実施の形態2における高周波焼入設備90においては、焼入制御装置60の冷却タイミング調節装置6は、第1放射温度計3および第2放射温度計5に接続され、第1放射温度計3および第2放射温度計5からの温度の情報に基づき、内輪転走面12AがA点以上の温度である焼入温度に加熱され、かつ内輪内周面12Bが当該焼入温度に内輪転走面12Aよりも短い時間加熱されるように加熱時間を調節し、内輪12が冷却されるべきタイミングを決定して冷却開始信号を出力する機能を有している。また、図11を参照して、実施の形態2における高周波焼入方法10においては、焼入制御工程30の冷却タイミング調節工程36では、焼入用測温工程35において測定された温度の情報に基づき、内輪転走面12Aが焼入温度に加熱され、かつ内輪内周面12Bが当該焼入温度に内輪転走面12Aよりも短い時間加熱されるように、加熱時間が調節され、内輪12が冷却されるべきタイミングが決定されて冷却開始信号が出力される。
実施の形態2における高周波焼入設備90を用いて実施の形態2における高周波焼入方法10によって被処理物としての内輪12を焼入硬化することにより、内輪転走面12Aにおける固溶炭素濃度が内輪本体部12Eに比べて相対的に高くなる。そのため、内輪転走面12Aには圧縮応力が付与され、疲労強度が向上する。同時に、内輪本体部12EもA点以上の温度からM点以下の温度に冷却されて焼入硬化されるため、強度が十分に確保される。その結果、内輪12を高強度化、長寿命化することができる。
さらに、実施の形態2における高周波焼入方法は、処理時間の長い浸炭焼入やその他の複雑な熱処理工程を含む熱処理方法を採用するものではないため、製造コストを抑制しつつ、上記優れた特性を内輪12に付与することができる。また、内輪12の加熱に高周波加熱を利用することで、内輪12のうち誘導コイルに近い部位(内輪転走面12A)と遠い部位(内輪内周面12B)とで、焼入温度に保持される時間を変化させること容易となる。
さらに、温度制御工程20において、内輪12の温度のデータがリアルタイムでフィードバックされて内輪12が所望の温度に加熱されるとともに、焼入制御工程30において、内輪転走面12Aおよび内輪内周面12Bの両方の温度の情報がリアルタイムで取得され、これに基づいて冷却のタイミングを決定して、内輪12を焼入硬化することができる。そのため、内輪転走面12Aが所望の時間、焼入温度に加熱され、かつ内輪内周面12Bが内輪転走面12Aよりも短い時間、当該焼入温度に加熱されるように加熱時間を調節することが容易となる。
以上より、実施の形態2における高周波焼入方法を用いて焼入硬化工程を実施することにより、製造コストの上昇を抑制しつつ、過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材としての内輪12を製造することができる。
なお、応力付与部としての内輪転走領域12Dに明確な圧縮応力を付与するためには、内輪内周面12Bが焼入温度またはそれ以上の温度に保持される時間は、内輪転走領域12Dが焼入温度に保持される時間の1/3以下であることが好ましい。さらに、内輪転走領域12Dに十分な圧縮応力を付与するためには、内輪内周面12Bが焼入温度またはそれ以上の温度に保持される時間は、内輪転走領域12Dが焼入温度に保持される時間の1/5以下であることが、より好ましい。
また、本発明の機械部材は、たとえば、ギア、シャフトの他、転がり軸受の軌道輪および転動体、等速ジョイントのアウターレース、インナーレースおよび転動体などの転動部材など、鋼からなる機械部材に適用することができる。
以下、本発明の実施例1について説明する。本発明の機械部材に付与される硬度および圧縮応力などの特性を確認する試験を実施した。以下、実験の方法について説明する。
JIS規格SUJ2(炭素含有量1.0質量%)製の鋼材を準備し、これを加工することによりJIS規格6206型番玉軸受の内輪の概略形状を有する鋼製部材を作製した。その後、図10および図11に基づいて説明した実施の形態2の焼入方法(高周波制御焼入)により、当該鋼製部材を焼入硬化した。ここで、焼入温度(保持温度)は900℃とし、保持時間を変化させて焼入硬化を実施した(実施例A〜C)。一方、同様にSUJ2製の鋼材を加工することにより作製した鋼製部材を、通常の雰囲気炉で加熱して焼入硬化した(炉焼入;比較例A)。
そして、上述のように焼入硬化されて作製された内輪の形状を有する鋼製部材の転走面および内周面に該当する部位の硬度を測定するとともに、鋼製部材を転走面に該当する面に垂直な面で切断し、当該断面の径方向の硬度分布を測定した。さらに、当該鋼製部材の転走面に該当する部位における圧縮応力の値を測定した。ここで、硬度の測定はロックウェル硬度計およびビッカース硬度計、圧縮応力の測定はX線応力測定装置により実施した。表1に焼入の際の加熱条件および上記測定の結果を示す。
Figure 2007327112
表1を参照して、実施例A〜Cの転走面に該当する部位においては、保持時間が短くなっても硬度はほとんど低下せず、十分な転動疲労寿命を確保可能な61.5HRC以上の硬度が確保されている。一方、内周面に該当する部位においては、保持時間が短くなるにつれて硬度が低下しているが、部材全体としての強度および剛性を確保可能な53HRC以上の硬度が確保されている。そして、内周面に該当する部位の保持時間に対する転走面に該当する部位の保持時間の比が大きくなるに従って転走面に該当する部位における圧縮応力は大きくなっている。具体的には、上記比が2.00である場合80MPa、2.78である場合110MPaとなり、6.67である場合180MPaにまで向上している。
一方、通常の雰囲気炉を用いて鋼製部材が一様に加熱されて焼入が実施された比較例Aにおいては、転走面に該当する部位と内周面に該当する部位との保持温度および保持時間は同一となり、転走面に該当する部位には圧縮応力は付与されていなかった。
図12は、焼入温度(保持温度)を900℃、保持時間を転走面に該当する部位で22秒、内周面に該当する部位で5秒とした場合の、鋼製部材の転走面に該当する面に垂直な面の径方向における硬度分布を示す図である。また、図13は、図12の硬度分布から算出された固溶炭素濃度の分布を示す図である。図12および図13において、横軸は表面からの深さを示しており、0mmの位置が転走面、3.5mmの位置が内周面に該当する。また、縦軸はそれぞれビッカース硬度および固溶炭素濃度を示している。図12および図13を参照して、鋼製部材の硬度分布および固溶炭素濃度の分布を説明する。
図12を参照して、本発明の実施例に係る鋼製部材内部の硬度は、転走面直下から内周面に向けてなだらかに低下する分布を有している。これは、表面層のみが硬化され、内部において急激に硬度の低下する一般的な高周波焼入の硬度分布とは異なり、むしろ浸炭焼入を実施した場合に近い硬度分布である。そして、図13を参照して、図12の硬度分布から算出される固溶炭素濃度は、転走面直下の0.88質量%から内周面直下の0.46質量%に向けてなだらかに減少する分布を有している。
以上の結果より、応力付与部としての転走面付近の固溶炭素濃度を他の部位に対して高くすることにより、本実施例の範囲で80〜180MPaの圧縮応力を転走面に付与可能であることが分かった。また、180MPaの圧縮応力を転走面に付与した場合でも、硬度が最も低くなる内周面において53HRC以上の硬度が確保可能であることが分かった。
以下、本発明の実施例2について説明する。本発明の機械部材の転動疲労寿命を確認する試験を実施した。以下、実験の方法について説明する。
実施例1において焼入硬化して作製した鋼製部材に対して、図9と同様の方法で仕上げ工程までを実施し、JIS6206型番の軸受内輪を作製した。そして、別途準備した外輪、玉などと組み合わせることにより、JIS6206型番の深溝玉軸受を完成させ、これを試験軸受として、本発明の機械部材としての軸受内輪の転動疲労寿命を調査した。
図14は、実施例2における転動疲労寿命の調査に使用された転動疲労寿命試験機の構成を示す概略図である。図14を参照して、転動疲労寿命の調査に使用された転動疲労寿命試験機について説明する。
図14を参照して、転動疲労寿命試験機8は、円盤状の形状を有する駆動プーリ81と、駆動プーリ81の中心軸(回転軸)を含む位置に駆動プーリ81と一体に回転可能に接続され、駆動プーリ81の回転軸に沿って延びる駆動シャフト82と、駆動シャフト82にカップリング83を介して接続された従動シャフト88とを備えている。さらに、転動疲労寿命試験機8は、従動シャフト88の外周面に内輪の内周面が接触するように嵌めこまれた負荷用玉軸受84(JIS6312型番)と、負荷用玉軸受84の外輪の外周面に接触し、負荷用玉軸受84の径方向に延びる負荷棒86と、ばね押え87を介し、負荷棒86に対して軸方向に荷重を負荷可能に配置された負荷用コイルばね85とを備えている。
以下、試験の具体的手順について説明する。まず、上述のように作製された試験軸受89が、内輪の内周面において従動シャフト88の外周面に接触するように、負荷用玉軸受84を挟んだ両側に圧入される。そして、駆動プーリ81の外周面に掛けられた図示しない駆動ベルトが回転することにより駆動プーリ81が周方向に回転する。この回転が駆動シャフト82、カップリング83を介して従動シャフト88に伝達される。これにより、外輪が転動疲労寿命試験機8のフレームに対して固定された試験軸受89は、従動シャフト88と一体に内輪が周方向に回転する。
このとき、負荷用コイルばね85は、ばね押え87により圧縮され、その反発力がばね押え87、負荷棒86を介して負荷用玉軸受84を径方向に押すように作用する。その結果、従動シャフト88は、負荷用玉軸受84の径方向に荷重を受け、この荷重が試験軸受89の径方向に負荷される。
ここで、試験軸受89をセットする場合の嵌め合いは、80、100、140μmの3水準とされ、その結果、嵌め合い応力は250、315、450MPaの3水準となった。また、試験軸受89に負荷される荷重は、1つあたり6.86kN、回転速度は3000rpm、潤滑はタービン油VG56とした。そして、試験軸受に剥離または割れが発生するまでの時間を寿命とした。なお、剥離および割れは、いずれの場合も内輪に発生した。
Figure 2007327112
表2は、実施例2の試験結果を示す表である。表2において、寿命の欄の「>1000」との記載は、試験開始から1000時間経過後においても剥離が発生せず、試験を停止したことを示している。また、損傷形態の欄には、内輪に発生した損傷の形態が示されている。
表2を参照して、いずれの嵌め合い応力の場合においても、実施例A〜Cは比較例Aよりも長寿命となっている。そして、転走面の圧縮応力が大きいほど、より長寿命となっていることが分かる。また、嵌め合い応力が大きくなると、比較例Aの寿命は著しく低下するのに対し、実施例A〜Cの寿命の低下は、比較例Aよりも小さい。その結果、嵌め合い応力が大きくなると、比較例Aと実施例A〜Cの寿命差は、より大きくなっている。これは、比較例Aにおいては、嵌め合いにより発生した内輪転走面における引張応力に起因して、内輪転走面付近における亀裂の発生および伝播が助長されて寿命が低下したのに対し、本発明の実施例A〜Cにおいては、内輪転走面に付与された圧縮応力により、嵌め合いにより発生した引張応力が相殺され、転走面における亀裂の発生および伝播が抑制されるためであると考えられる。
さらに、損傷形態においても、比較例では割れが発生するような大きな嵌め合い応力が付与されている場合でも、実施例では剥離となる場合が多く、軸受にとって致命的な損傷である割れを防ぐ効果が確認される。
なお、上述の実施例A〜Cおよび比較例Aのほかに、上記実施例A〜Cおよび比較例Aと同様に成形した鋼製部材に、転走面付近のみを焼入硬化する一般的な高周波焼入を施した軸受内輪を作製し、同様の試験を試みた。しかし、当該軸受内輪は、内周面の硬度が低く、試験中にクリープを起こした(徐々に塑性変形した)ため、転動疲労寿命試験を完了することができなかった。
以下、本発明の実施例3について説明する。本発明の機械部材の割れ強度を確認する試験を実施した。以下、実験の方法について説明する。
実施例2において作製した軸受内輪を試験片として採用した。なお、実施例2において、転動疲労寿命試験が実施できなかった、転走面付近のみを焼入硬化する一般的な高周波焼入が施された軸受内輪についても試験に供した(比較例B)。
割れ強度は、アムスラ試験機を使用し、軸受内輪に対して径方向に圧縮する荷重を負荷し、割れが発生した際の荷重を測定することにより調査した。割れの起点は内周面である。
Figure 2007327112
表3に焼入時の加熱条件、転走面および内周面の硬度、転走面における圧縮応力、および測定された割れ強度を示す。表3を参照して、実施例A〜Cの割れ強度は、炉焼入(ずぶ焼入)により焼入硬化された比較例Aの割れ強度と遜色ないレベルとなっており、内周面が焼入硬化されていない通常の高周波焼入により焼入硬化された比較例Bの割れ強度を大幅に上回っている。
ここで、実施例A〜Cの軸受内輪においては、転走面に付与された圧縮応力に釣り合う引張応力が内周面付近に発生する。しかし、実施例A〜Cでは内周面が十分に硬化されており、かつ当該圧縮応力が内周面から比較的深い部位までの範囲に分散されているため、内周面に発生する引張応力は小さい。そのため、当該引張応力による割れ強度への悪影響は小さく、上述のように比較例Aと遜色ない割れ強度が得られたものと考えられる。
以上の実施例1〜3の結果から、本発明の機械部材は、嵌め合いによる引張応力が作用するような過酷な環境下においても高強度、長寿命な機械部材となっていることが確認された。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の機械部材および転がり軸受は、嵌め合いによる引張応力が作用するような過酷な環境下において使用される機械部材および転がり軸受に、特に有利に適用され得る。
実施の形態1における機械部材を備えた転がり軸受としての深溝玉軸受の構成を示す概略断面図である。 図1の深溝玉軸受における内輪の詳細を示す概略断面図である。 図1の深溝玉軸受における外輪の詳細を示す概略断面図である。 実施の形態1の変形例における機械部材を備えた等速ジョイントの構成を示す概略断面図である。 図4の線分V−Vに沿う概略断面図である。 図4の等速ジョイントが角度をなした状態を示す概略断面図である。 実施の形態1の変形例の等速ジョイントにおけるインナーレースの詳細を示す概略断面図である。 実施の形態1の変形例の等速ジョイントにおけるアウターレースの詳細を示す概略断面図である。 実施の形態1における機械部材および当該機械部材を備えた機械部品の製造方法の概略を示す図である。 実施の形態1における高周波焼入設備の構成を示す概略図である。 実施の形態1における高周波焼入方法の概略を示す図である。 焼入温度(保持温度)を900℃、保持時間を転走面に該当する部位で22秒、内周面に該当する部位で5秒とした場合の、鋼製部材の転走面に該当する面に垂直な面の径方向における硬度分布を示す図である。 図12の硬度分布から算出された固溶炭素濃度の分布を示す図である。 実施例2における転動疲労寿命の調査に使用された転動疲労寿命試験機の構成を示す概略図である。
符号の説明
1 深溝玉軸受、2 加熱装置、3 第1放射温度計、4 温度調節装置、5 第2放射温度計、6 冷却タイミング調節装置、7 冷却装置、8 転動疲労寿命試験機、9 等速ジョイント、10 高周波焼入方法、11 外輪、11A 外輪転走面、11B 外輪外周面、11C 内周面、11D 外輪転走領域、11E 外輪本体部、12 内輪、12A 内輪転走面、12B 内輪内周面、12C 外周面、12D 内輪転走領域、12E 内輪本体部、13 玉、14 保持器、20 温度制御工程、22 加熱工程、23 温度制御用測温工程、24 温度調節工程、30 焼入制御工程、35 焼入用測温工程、36 冷却タイミング調節工程、37 冷却工程、50 温度制御装置、60 焼入制御装置、81 駆動プーリ、82 駆動シャフト、83 カップリング、84 負荷用玉軸受、85 負荷用コイルばね、86 負荷棒、87 ばね押え、88 従動シャフト、89 試験軸受、90 高周波焼入設備、91 インナーレース、91A インナーレースボール溝、91B インナーレース内周面、91C 外周面、91D インナーレースボール転走領域、91E インナーレー本体部、92 アウターレース、92A アウターレースボール溝、92B アウターレース外周面、92C 内周面、92D アウターレースボール転走領域、92E アウターレース本体部、93 ボール、94 ケージ、95,96 軸。

Claims (5)

  1. 0.65質量%以上1.2質量%以下の範囲であって、かつ全体にわたって均一な分布状態で炭素を含有する鋼からなり、
    全体が焼入硬化されており、
    圧縮応力が付与されるべき部位である応力付与部における固溶炭素濃度は、前記応力付与部以外の部位である本体部における固溶炭素濃度よりも高い、機械部材。
  2. 前記機械部材において最も硬度の低い部位である低硬度部における硬度は、500HV以上である、請求項1に記載の機械部材。
  3. 前記鋼の素地は、マルテンサイト組織と、残留オーステナイトとを含み、パーライト組織を含んでいない、請求項1または2に記載の機械部材。
  4. 転動部材として使用される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機械部材。
  5. 軌道部材と、
    前記軌道部材に接触し、円環状の軌道上に配置される複数の転動体とを備え、
    前記軌道部材および前記転動体の少なくともいずれか一方は、請求項4に記載の機械部材である、転がり軸受。
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