JP2000212260A - ポリ乳酸系樹脂組成物及び製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物及び製造方法

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JP2000212260A JP11016832A JP1683299A JP2000212260A JP 2000212260 A JP2000212260 A JP 2000212260A JP 11016832 A JP11016832 A JP 11016832A JP 1683299 A JP1683299 A JP 1683299A JP 2000212260 A JP2000212260 A JP 2000212260A
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Hisashi Aihara
久 相原
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 重量平均分子量Mwが50,000〜5
00,000のポリ乳酸系成分100重量部に対して、
芳香族イソシアネート化合物0.01〜20重量部を押
出機内で溶融混練し、反応して得られるポリ乳酸系樹脂
組成物であって、GPCクロマトグラムにおいて、標準
ポリスチレンの重量平均分子量に換算して3,000,
000以上の成分の面積比が、全成分の面積に対して1
%以上10%以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹
脂組成物。 【効果】 本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、高い溶融
張力を有し、加工性の改良が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融張力が高く、
発泡成形に好適なポリ乳酸系樹脂及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術分野】通常、発泡材料はポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン等の樹脂から製造されてお
り、軽量、断熱性、防音性、クッション性などの性能を
生かした分野にわたり使用されている。しかしながら、
これらの発泡材料は、使用後の回収や再利用が困難であ
り、自然環境下でほとんど分解されないために、半永久
的に地中に残留する。また投棄されたプラスチック類に
より、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊され
るなどの問題が起こっている。
【0003】これに対し、熱可塑性樹脂で生分解性を有
するポリマーとして、ポリ乳酸及び乳酸と他の脂肪族ヒ
ドロキシカルボン酸とのコポリマー等の乳酸系ポリマ
ー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から
誘導される脂肪族ポリエステル等が開発されている。こ
れらのポリマーの中には、動物の体内で数カ月から1年
以内に100%生分解し、又は、土壌や海水中に置かれ
た場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年
から数年で消滅するものもある。特にポリ乳酸は、その
分解生成物が、人体に無害な乳酸及び/又は二酸化炭素
と水になるという特性を有し、また、近年、原料のL−
乳酸が発酵法により大量且つ安価に製造されるようにな
ってきたことや、堆肥中での分解速度が速く、カビに対
する抵抗性、食品に対する耐着臭性や耐着色性等の優れ
た特徴を有することにより、その利用分野の拡大が期待
されている。
【0004】しかしながら、ポリ乳酸は一般に溶融張力
が低いため、発泡成形のような成形方法には不十分な点
が残されている。すなわち、溶融成形する際に十分な溶
融張力がないため、高倍率の発泡成形体を得るのが困難
であり、また、適切な発泡成形条件を見出すのが困難で
ある等の問題点がある。特開平4−304244号公
報、特開平5−140361号公報、特開平6−287
347号公報には、ポリ乳酸系樹脂組成物の発泡に関す
る成形技術が記載されているが、ポリ乳酸をはじめとす
る脂肪族ポリエステルの発泡成形を効果的に行う方法と
してはまだ不十分なものである。
【0005】溶融張力を向上させる方法として、結合剤
を用いてポリマーを微架橋させるということが考えられ
る。特開平9−158021号公報、特開平10−17
756号公報、特開平10−77395号公報等には押
出機内でポリ乳酸系化合物とイソシアネート化合物を反
応させた例が記載されているが、いずれもポリ乳酸以外
の成分を必須としたものである。これはポリ乳酸の末端
の水酸基が第3級であり、反応性が低いために他なら
ず、本発明の目的であるポリ乳酸の溶融張力を上げると
いう目的を達成するのにはまだ不十分なものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、高い溶融張力を有し、発泡成形等に際し、
優れた成形加工性を有するポリ乳酸系樹脂組成物、及び
ポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリ乳酸
について鋭意検討した結果、ポリ乳酸に芳香族多価イソ
シアネート化合物を特定の割合で添加、水分量を規定
し、押出機内で反応させることにより溶融張力が向上
し、上記の課題を満足するポリ乳酸系樹脂が得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は以下の[1]〜[5]
に記載した事項により特定される。 [1]重量平均分子量Mwが50,000〜500,0
00のポリ乳酸系成分100重量部に対して、芳香族多
価イソシアネート化合物0.01〜20重量部を押出機
内で溶融混練し、反応して得られるポリ乳酸系樹脂組成
物であって、GPCクロマトグラムにおいて、標準ポリ
スチレンの重量平均分子量に換算して3,000,00
0以上の成分の面積比が、全成分の面積に対して1%以
上10%以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組
成物。 [2]メルトフローインデックスが10g/10分にお
いて、溶融張力が0.7〜20gの範囲である[1]記
載のポリ乳酸系樹脂組成物。 [3]芳香族多価イソシアネート化合物が、ジフェニル
メタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート、又はこれらの2〜5核体の
混合物である[1]又は[2]記載のポリ乳酸系樹脂組
成物。
【0009】[4]重量平均分子量Mwが50,000
〜500,000であり、1,000ppm以下の水分
量を有するポリ乳酸系成分100重量部に対して、芳香
族多価イソシアネート化合物0.01〜20重量部を押
出機内で溶融混練し、反応することを特徴とする、ポリ
乳酸系樹脂組成物の製造方法。 [5]芳香族多価イソシアネート化合物が、ジフェニル
メタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート、又はこれらの2〜5核体の
混合物である、[4]記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製
造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [ポリ乳酸系成分]本発明におけるポリ乳酸系成分と
は、ポリ乳酸、ポリ乳酸と他の脂肪族ポリエステルとの
コポリマー(ランダムコポリマーを含む)、ポリ乳酸と
他の脂肪族ポリエステルとのブレンド又はアロイをい
う。ポリ乳酸系成分がコポリマー、ブレンド或いはアロ
イである場合、含まれる乳酸成分の量は50重量%以
上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重
量%以上である。
【0011】[ポリ乳酸及びポリ乳酸と他の脂肪族ポリ
エステルとのコポリマー]本発明において用いられるポ
リ乳酸系成分として、ポリ乳酸、又はポリ乳酸と他の脂
肪族ポリエステルとのコポリマーが好ましく、ポリ乳酸
がより好ましい。ポリ乳酸系成分として、乳酸ユニット
の含有量が多いコポリマーやポリ乳酸を用いた場合、透
明で高い溶融張力を有するポリ乳酸系樹脂組成物が得ら
れる。乳酸系成分を構成する乳酸は、L−乳酸、D−乳
酸、DL−乳酸又はそれらの混合物、又は、乳酸の環状
2量体であるラクタイドを挙げることができる。本発明
において使用されるポリ乳酸、ポリ乳酸と他の脂肪族ポ
リエステルとのコポリマーの製造方法は、例えば、
【0012】(1)乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカ
ルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方
法(例えば、USP 5,310,865号に示されて
いる製造方法)、(2)乳酸の環状二量体(ラクタイ
ド)を溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許2,
758,987号に開示されている製造方法)、(3)
乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状2量体、例え
ば、ラクタイドやグリコライドとε一カプロラクトン
を、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば、
米国特許4,057,537号に開示されている製造方
法)、(4)乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩
基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば、米
国特許5,428,126号に開示されている製造方
法)、
【0013】(5)ポリ乳酸と、脂肪族二価アルコール
と脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮
合する方法(例えば、欧州特許公報0712880 A
2号に開示されている製造方法)、(6)乳酸を触媒の
存在下、脱水重縮合反応を行うことによりポリエステル
重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で、固
相重合を行う方法、等を挙げることができるが、その製
造方法には、特に限定されない。また、少量のグリセリ
ンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボ
ン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価ア
ルコール類を共存させて、共重合させても良く、又ジイ
ソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長
剤)を用いて分子量を上げてもよい。
【0014】[脂肪族ポリエステル]本発明におけるポ
リ乳酸系成分は、必要に応じてポリ乳酸と脂肪族ポリエ
ステルのブレンドやアロイであっても差し支えない。脂
肪族ポリエステルは、乳酸以外の脂肪族ヒドロキシカル
ボン酸、脂肪族二価アルコール及び脂肪族二塩基酸を種
々組み合わせて製造できる生分解性を有するポリマーで
ある。脂肪族ポリエステルの製造方法としては、ポリ乳
酸やポリ乳酸と脂肪族ポリエステルのコポリマーの製造
方法と同様な方法を用いることもできるが、その方法に
限定されない。
【0015】[脂肪族ヒドロキシカルボン酸]本発明の
ポリ乳酸系成分を構成する脂肪族ヒドロキシカルボン酸
の具体例としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪
酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−
ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等を挙げ
ることができ、さらに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の
環状エステル、例えば、グリコール酸の2量体であるグ
リコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステル
であるε−カプロラクトンを挙げることができる。これ
らは、単独で又は二種以上組合せて使用することができ
る。
【0016】[脂肪族二価アルコール]本発明のポリ乳
酸系成分を構成する脂肪族二価アルコールの具体例とし
ては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3
−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−へキサ
ンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグ
リコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、
単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
【0017】[脂肪族二塩基酸]本発明のポリ乳酸系成
分を構成する脂肪族二塩基酸の具体例としては、例え
ば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等が挙げられ
る。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用する
ことができる。
【0018】本発明において、脂肪族ポリエステルは、
前記した脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族二価アル
コール及び脂肪族二塩基酸を種々組み合わせて製造でき
る40℃〜250℃の融点を有する、生分解性を有する
脂肪族ポリエステルであれば何ら制限はない。特に、結
晶性を有し、軟質の脂肪族ポリエステルが好ましい。脂
肪族ポリエステルの融点が40℃より低くなると、得ら
れるポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性が低下し、逆に25
0℃より高くなるとペレット化時の溶融温度が高くなる
ためポリ乳酸成分が劣化したり、着色する傾向に有るの
で好ましくない。好ましい脂肪族ポリエステルとして
は、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレ
ート、ポリカプロラクトン、ポリネオペンチルグリコー
ルオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチ
レンサクシネート、ポリヒドロキシ酪酸及びβ−ヒドロ
キシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコポリマー等が挙
げられ、特にポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸
及びβ−ヒドロキシ酪酸とβ−ヒドロキシ吉草酸とのコ
ポリマー、ポリエチレンサクシネート及びポリブチレン
サクシネートが好ましい。また、これらの脂肪族ポリエ
ステルは、ジイソシアネート等の結合剤によってポリマ
ー鎖が延長されたものであってもよく、また、少量のグ
リセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラ
カルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような
多価アルコール類を共存させて、共重合させても良い。
【0019】[ポリ乳酸系成分の分子量]本発明における
ポリ乳酸系成分の重量平均分子量Mwは50,000〜
500,000の範囲である。好ましくは80,000
〜300,000、より好ましくは100,000〜2
00,000の範囲である。50,000未満では分子
量が低く、イソシアネート化合物と反応しても、分子量
が上がらず、十分な機械的強度が得られない場合があ
る。500,000を超えると、芳香族イソシアネート
化合物と反応した時、分子量が高くなりすぎて成形加工
が困難になる場合がある。
【0020】[芳香族多価イソシアネート化合物の種類]
本発明で使用される芳香族多価イソシアネート化合物と
しては、特に限定されるものではないが、ジフェニルメ
タンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キ
シレンジイソシアネート等の芳香族二価イソシアネー
ト、及びこれらの2〜5核体の混合物等の芳香族多価イ
ソシアネートが挙げられる。これらは単独で用いても、
2種類以上混合して用いてもよい。ヘキサメチレンジイ
ソシアネートのような脂肪族多価イソシアネートは、ポ
リ乳酸系成分、特にポリ乳酸との反応性が低く、本発明
のポリ乳酸系樹脂組成物は得られない。
【0021】[芳香族多価イソシアネート化合物の添加
量]芳香族多価イソシアネート化合物の添加量は、ポリ
乳酸系成分100重量部に対して0.01〜20重量部
の範囲である。好ましくは、0.1〜10重量部、より
好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。0.01重
量部未満では、架橋剤としての効果が十分でない。20
重量部を超えると、芳香族多価イソシアネート化合物の
種類によっては粘度が高くなりすぎて溶融成形できない
場合がある。また、添加量が多いとポリ乳酸系樹脂が分
解した時、芳香族多価イソシアネート化合物が環境中に
多く放出されることになり、好ましくない。
【0022】[製造方法]本発明の製造方法は、ポリ乳
酸系成分、芳香族多価イソシアネート化合物、その他添
加物を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー、
タンブラーブレンダー、ボールミル、リボンブレンダー
等を利用して予備混合し、次いで通常公知の一軸押出
機、二軸押出機、溶融混合機、バンバリーミキサー、ブ
ラベンダー、プラストグラフ、熱ロール、ニーダー等で
溶融混練する。また、芳香族イソシアネート化合物、そ
の他添加物は押出機のサイドフィーダー等を用いて供給
する方法も好ましい方法である。
【0023】[溶融混練温度]本発明における溶融混練温
度は、用いるポリ乳酸系成分の種類や分子量にもよる
が、通常、150〜250℃の範囲である。より好まし
くは160〜230℃の範囲、最も好ましくは170〜
200℃の範囲である。150℃未満では、樹脂が溶融
せず、成形ができない場合がある。250℃を超えると
樹脂が分解し、分子量が大きく低下したりする場合があ
る。
【0024】[溶融混練時間]本発明における溶融混練時
間は用いる溶融混練機や溶融混練温度にもよるが、通
常、3〜15分程度である。
【0025】[水分量]本発明において、溶融混練する
際用いるポリ乳酸系成分の含有水分は0〜1,000p
pmの範囲であることが重要である。好ましくは0〜5
00ppm、より好ましくは0〜100ppmの範囲で
ある。1,000ppmを超えると、芳香族多価イソシ
アネート化合物が水分と溶融混練時に反応し、ポリ乳酸
系成分との反応が十分に進行せず、効果が十分に現れな
い場合がある。
【0026】[水分量の管理方法]ポリ乳酸系成分の含
有水分を0〜1,000ppmにする方法としては、乾
燥機等で予め60〜150℃の範囲で1時間〜24時間
程度乾燥させればよい。また、押出機のベントから脱揮
した後、芳香族イソシアネート化合物を添加する方法を
用いてもよい。
【0027】[その他添加剤]本発明においては、目的
を損なわなければ滑剤、フィラー、着色剤、可塑剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0028】[本発明で得られる樹脂組成物の分子量分
布]本発明で得られるポリ乳酸系樹脂組成物のGPC分
析における分子量分布は通常、二山であり、重量平均分
子量Mwが50,000〜500,000の範囲である
主ピーク(A)と、ポリスチレン換算で重量平均分子量
3,000,000以上の超高分子量成分の副ピーク
(B)からなる。副ピーク(B)の全体に占める面積比
は1%〜10%の範囲である。このましくは3%〜6%
の範囲である。この範囲において、溶融張力の高いポリ
乳酸系樹脂組成物が得られ、溶融成形が容易である。1
%未満だと、溶融張力向上の効果が十分でない。10%
を超えると、場合によっては溶融成形が困難になること
がある。
【0029】[主ピーク(A)の分子量]本発明における
主ピーク(A)の重量平均分子量Mwは50,000〜
500,000の範囲である。50,000未満では樹
脂の機械強度が十分でない場合がある。500,000
を超えると副ピーク(B)超高分子成分の量にもよる
が、溶融成形が困難になったりする場合がある。
【0030】[副ピーク(B)の分子量]本発明における
副ピーク(B)の重量平均分子量は、標準ポリスチレン
の重量平均分子量Mwに換算すると通常、3,000,
000以上である。
【0031】[重量平均分子量・面積比]本発明における
重量平均分子量Mwはポリスチレンを標準としたゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて
算出した値である。用いられる装置は、一般に市販され
ているものであれば差し支えない。展開溶媒はポリ乳酸
系樹脂組成物が溶解するものであれば特に限定されるも
のではないが、一般的にクロロホルム溶媒を用いて測定
する。使用するカラムとしては、検量線がリニアタイプ
のカラム(例えば、昭和電工製のShodex K-505Lが好ま
しい)を用いて測定する。GPC分析においては、分子
量測定のために分子量の異なる標準ポリスチレンを数点
用いて、検量線を作成しておく。標準ポリスチレンの分
子量は通常、数平均分子量、重量平均分子量ともほぼ同
じであり、500〜300万のものを用いる。作成した
検量線を用いることにより、リテンションタイムから相
当する分子量を導くことができる。超高分子量成分の面
積比は、GPCクロマトグラムの結果を解析し、各分子
量の範囲における積分値から算出するものである。
【0032】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、本発明の技術範囲を越えない限り、これに限
定されるものではない。ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子
量(Mw)、実施例中の溶融張力(MT値)を以下に示
す方法により測定した。 (1)重量平均分子量(Mw) ポリスチレンを標準としてゲルバーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)により測定した。測定条件を以
下に記す。 GPC:Shodex System 11(昭和電工
製) 使用カラム:K−805L×2、K−800P(プレカ
ラム) カラム温度:40℃ 溶媒:クロロホルム 流速:1.0ml/min 試料濃度:3mg/1ml 検出器:RI検出器 標準ポリスチレン:昭和電工製、Shodex ポリス
チレン
【0033】(2)溶融張力(MT値) 荷重2160gを用いて、適当な2つの温度でメルトフ
ローインデックスを測定した後、温度−メルトフローイ
ンデックス−プロットより、メルトフローインデックス
が10g/10分となる温度を求め、その温度において
溶融張力を測定した。 (3)水分量 ポリマー中の水分量は、カールフィッシャー水分計(M
KC−210、京都電子工業製)を用いて測定した。
【0034】製造例1(ポリ乳酸Aの製造) L−ラクタイド400gおよびオクタン酸第一スズ0.
04gと、ラウリルアルコール0.12gを、撹拌機を
備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真
空で2時間脱気した。窒素ガスで置換した後、200℃
/10mmHgで2時間加熱撹拌した。反応終了後、下
部取り出し口からポリ乳酸の溶融物を抜き出し、空冷
し、ペレタイザーにてカットした。得られたポリ乳酸
(ポリ乳酸A)は、収量340g、収率85%、重量平
均分子量(Mw)13.8万であった。溶融張力は0.
6gであった。
【0035】製造例2(ポリ乳酸Bの製造) Dean−Starkトラップを設置した反応器に、9
0%L−乳酸10kg、錫末45gを装入し、150℃
/50mmHgで3時間撹拌しながら水を留出させた
後、150℃/30mmHgでさらに2時間撹拌してオ
リゴマー化した。このオリゴマーにジフェニルエーテル
21.1kgを加え、150℃/35mmHg共沸脱水
反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶
媒のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機
溶媒を4.6kgのモレキュラシーブ3Aを充填したカ
ラムに通してから反応機に戻るようにして、130℃/
17mmHgで20時間反応を行い、重量平均分子量
(Mw)15.0万のポリ乳酸溶液を得た。この溶液に
脱水したジフェニルエーテル44kgをを加え希釈した
後、40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過した。こ
の結晶に0.5N−HCl12kgとエタノール12k
gを加え、35℃で1時間攪拌した後瀘過し、60℃/
50mmHgで乾燥して、ポリ乳酸粉末6.1kg(収
率85%)を得た。この粉末を押出機で溶融しペレット
化し、ポリ乳酸(ポリ乳酸B)を得た。このポリマーの
重量平均分子量(Mw)は14.7万であった。溶融張
力は0.6gであった。
【0036】実施例1〜10、比較例1〜4 表−1(表1、2)、表−2(表3)に示す製造例1又
は2で得られたポリ乳酸系樹脂、芳香族イソシアネート
化合物を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、シリン
ダー温度が170〜180℃の単軸押出機を用いて溶融
混練した。実験にあたり、ポリ乳酸系樹脂を乾燥機で乾
燥し、水分量を測定した。得られたペレットのメルトフ
ローインデックス、溶融張力、GPC測定をした。結果
は表−1(表1,2)、表−2(表3)にまとめた。な
お、ここで用いた芳香族多価アルコール等の略称は以下
のとおりである。 MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート TDI:トリレンジイソシアネート XDI:キシレンジイソシアネート MDImixture:MDIの2〜5核体混合物 HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】比較例5 Dean−Starkトラップを設置した反応器に、9
0%L−乳酸10kg、錫末45gを装入し、150℃
/50mmHgで3時間撹拌しながら水を留出させた
後、150℃/30mmHgでさらに2時間撹拌してオ
リゴマー化した。このオリゴマーにジフェニルエーテル
21.1kgを加え、150℃/35mmHg共沸脱水
反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶
媒のみを反応機に戻した。2時間後、反応機に戻す有機
溶媒を4.6kgのモレキュラシーブ3Aを充填したカ
ラムに通してから反応機に戻るようにして、130℃/
17mmHgで反応を行った。10時間経過後サンプリ
ングし、重量平均分子量(Mw)を測定したところ8万
であった。反応マスにMDI100gを添加し、さらに
10時間反応を続け、ポリ乳酸溶液を得た。この溶液に
脱水したジフェニルエーテル44kgをを加え希釈した
後、40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過した。こ
の結晶に0.5N−HCl12kgとエタノール12k
gを加え、35℃で1時間攪拌した後瀘過し、60℃/
50mmHgで乾燥して、ポリ乳酸粉末6.2kg(収
率85%)を得た。この粉末を押出機で溶融しペレット
化し、ポリ乳酸を得た。このポリマーの重量平均分子量
(Mw)は18.7万であった。溶融張力は0.6gで
あった。なお、GPCチャートでは超高分子成分は観測
されなかった。
【0041】
【発明の効果】本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は高い溶
融張力を有し、加工性の改良が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北原 泰広 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 渡辺 孝行 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 相原 久 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 (72)発明者 中田 智之 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 Fターム(参考) 4J029 AA02 AA05 AB01 AB04 AC01 AC02 AC03 AD01 AD10 AE01 AE17 BA02 BA03 BA04 BA05 BA07 BA08 BA09 BA10 BD07A CA01 CA02 CA03 CA04 CA05 CA06 EA03 EA05 EG09 EH02 HA01 HB01 JC152 KB16 KH01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量Mwが50,000〜5
    00,000のポリ乳酸系成分100重量部に対して、
    芳香族多価イソシアネート化合物0.01〜20重量部
    を押出機内で溶融混練し、反応して得られるポリ乳酸系
    樹脂組成物であって、GPCクロマトグラムにおいて、
    標準ポリスチレンの重量平均分子量に換算して3,00
    0,000以上の成分の面積比が、全成分の面積に対し
    て1%以上10%以下であることを特徴とするポリ乳酸
    系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 メルトフローインデックスが10g/1
    0分において、溶融張力が0.7〜20gの範囲である
    請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族多価イソシアネート化合物が、ジ
    フェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシア
    ネート、キシレンジイソシアネート、又はこれらの2〜
    5核体の混合物である請求項1又は2記載のポリ乳酸系
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 重量平均分子量Mwが50,000〜5
    00,000であり、1,000ppm以下の水分量を
    有するポリ乳酸系成分100重量部に対して、芳香族多
    価イソシアネート化合物0.01〜20重量部を押出機
    内で溶融混練し、反応することを特徴とする、ポリ乳酸
    系樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 芳香族多価イソシアネート化合物が、ジ
    フェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシア
    ネート、キシレンジイソシアネート、又はこれらの2〜
    5核体の混合物である、請求項4記載のポリ乳酸系樹脂
    組成物の製造方法。
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