JP2000211624A - 缶及びその製造方法 - Google Patents

缶及びその製造方法

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JP2000211624A JP33204599A JP33204599A JP2000211624A JP 2000211624 A JP2000211624 A JP 2000211624A JP 33204599 A JP33204599 A JP 33204599A JP 33204599 A JP33204599 A JP 33204599A JP 2000211624 A JP2000211624 A JP 2000211624A
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正宏 細井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 缶底の薄肉化を図ることができるとともに、
缶底に変形を生じることなく十分な缶強度を確保するこ
とができる缶及びその製造方法を提供することを目的と
している。 【解決手段】 缶底3に形成されたドーム部4の周縁に
は、缶胴2の外部側へ缶軸方向へ突出した環状凸部(リ
ム)5が形成されている。環状凸部5の内周壁(インナ
ーウォール)5bには、円弧状の内側凹部7と各内側凹
部7の間に配置された縦リブ7aとが円周方向に交互に
設けられており、全体として花びら状に形成されてい
る。また、ドーム部4の中心4aとインナーウォール5
bとの間の部分には複数の成形加工部8が成形されると
ともに円環状に配置されている。このため、内周壁5b
の剛性は高められ、缶を薄肉にしても、十分な強度を有
した缶が成形される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、缶底に、缶胴の内
部側へ凹むドーム部と、該ドーム部の周縁に缶軸方向外
方に突出する環状凸部とを形成した構成の缶及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、飲料用に用いる缶としては、有底
円筒状に形成した缶胴の開口部に、缶蓋を固定して構成
するアルミ合金製の2ピース缶が知られている。この2
ピース缶の缶胴を製造するには、先ず、絞り装置を用い
てアルミ合金製の素板を打ち抜き・絞り加工してカップ
状部材を成形する。次いで、このカップを保持しつつ内
部にパンチスリーブを挿入して再絞り・しごき加工を施
すとともに、パンチスリーブと同軸上に対向配置した先
端が半球面状のドーム成形部との間にカップの底部を挟
みつつ底部の周縁部に絞って、図15に示す底部形状の
缶胴51を得る。
【0003】従って、缶胴51の缶底53には、缶胴5
1の内部側へ球面状に凹んだドーム部55と、このドー
ム部55の周縁に連なり缶胴51の外部側へ缶軸方向に
突出した環状凸部(リム)57とが形成される。この環
状凸部57は、缶胴51を直立させた際に接地する脚と
なり、缶胴51の直立安定性及び支持強度を向上させ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、省資
源化や低コスト化の観点から缶の薄肉化が図られてお
り、缶強度が低下することに起因して種々の不都合が生
じている。その一つとして、内容物封入後の内圧の作用
によって缶底53の環状凸部57が、図16の鎖線で示
すように下方へ突出しつつ半径方向外方へ変形する、い
わゆるボトムグロースのものがある。このボトムグロー
スを生じさせる要因の一つに、環状凸部57の内周壁で
あるインナーウォール57aの剛性不足がある。インナ
ーウォール57aは、一方の周縁が、凹曲面部であるカ
ウンターシンクR部59を介してドーム部55に連なる
とともに、他方の周縁が、環状凸部57の先端であるノ
ーズ部57bに連なっている。缶底53に内圧が作用す
ると、薄肉のインナーウォール57aの円周方向、及び
缶軸方向にひずみが生じ、特に缶軸方向のひずみ(伸
び)が大きくなると、環状凸部57を下方、及び半径方
向外方へ変形させることになる。
【0005】そして、ボトムグロースが生じれば、缶の
全高が高くなり、製品出荷前では、搬送コンベア上で引
っ掛かったり、梱包を困難としたりするなどの問題を発
生させた。また、缶の薄肉化に伴い缶底の落下強度が不
足するという問題がある。すなわち、缶が落下すると、
その衝撃により、落下時の衝撃に弱い部位である缶底5
3のドーム部55の周辺部が膨出して、最悪の場合破損
に至ることになる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、缶の薄肉化、特に缶底の薄肉化を図ることが
できるとともに、缶底に変形を生じることなく十分な缶
強度を確保することができる缶及びその製造方法を提供
することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、缶底に、缶胴の内部側に凹むドーム部
と、該ドーム部の周縁に缶軸方向外方に突出する環状凸
部とを形成した構成の缶であって、前記ドーム部に連な
る環状凸部の内周壁には、缶胴の内部側へ円周方向断面
円弧状に凹む複数の内側凹部と、各内側凹部の間に配置
される縦リブとが円周方向に交互に形成され、前記内側
凹部は一定の曲率で湾曲しており、該内側凹部の上端部
における接線と該内側凹部の下端部における接線とのな
す角度をθとしたとき、85° ≦ θ ≦ 103°
となるように、より望ましくは98° ≦ θ ≦ 1
03°となるようにθを設定していることを特徴とす
る。
【0008】本発明によれば、前記環状凸部の内周壁の
円周方向に、複数の円弧状に凹んだ内側凹部と、各内側
凹部の間に配置される縦リブとを交互に設け、内周壁の
円周方向の断面形状が花びら状になるように形成したこ
とにより、内周壁の剛性、特に缶軸方向の応力に対する
剛性が高められることになり、内圧の作用によっても内
周壁に缶軸方向のひずみ(伸び)が生じなくなり、環状
凸部の下方、及び半径方向外方への変形が阻止される。
このため、缶が薄肉に形成されても、十分な強度を有す
るため省資源化、低コスト化を実現することができる。
【0009】そして、前記内側凹部は一定の曲率で湾曲
しており、該内側凹部の上端部における接線と該内側凹
部の下端部における接線とのなす角度をθとしたとき、
85° ≦ θ ≦ 103°となるように、より望ま
しくは98° ≦ θ ≦103°となるようにθを設
定することによって、缶の耐圧強度や落下強度を向上さ
せて、十分な缶強度を確保することができる。
【0010】また、前記内周壁の最短径をD1とし、前
記ドーム部の最長径をD3としたとき、1.01 ≦
D3/D1 ≦ 1.15となるように前記内側凹部を
設けることによって、缶強度を更に高めることができ
る。
【0011】更に、内周壁における内側凹部が形成され
ている部分の断面視円周方向での、該内側凹部が形成さ
れた範囲は、内周壁の円周方向全体に対して、63%〜
99%とすることにより、前記環状凸部の内周壁部分は
十分な剛性を得ることができる。因みに、前記内側凹部
を前記内周壁の最短径を形成する半径方向内側に突出し
た部分よりドーム部側に設けるとともに、該突出部分か
ら缶軸方向に延ばした接線に対して缶胴の内部側に、2
0°〜50°の角度で形成させることにより、該内側凹
部は安定して形成されるとともにボトムグロースの発生
は防止され、缶の耐圧強度は向上される。
【0012】更に、前記ドーム部の該ドーム部中心と内
周壁との間の部分に、缶胴の内部側へ凹んだ成形加工部
を内側凹部と同じ数だけ形成するとともにドーム部中心
を基準に円環状に配置したことにより、該加工部分の強
度は増し、形成される缶のボトムグロースは低減され
る。因みに、この成形加工部は、前記内周壁の最短径を
D1とし、前記円環状に配置された成形加工部の円環径
をD2としたとき、0.65 ≦ D2/D1 ≦0.
9となるように設けることによって、ドーム部の強度を
高めることができるとともに、安定した加工を行うこと
ができる。
【0013】このような缶は、缶底に、缶胴の内部側に
凹むドーム部と、該ドーム部の周縁に缶軸方向外方に突
出する環状凸部とを形成した構成の缶を製造する製造方
法であって、缶胴の上端を、ベースに当接させて該缶胴
の缶軸方向の移動を規制させつつ、円周方向に複数設け
られ、半径方向外向き円弧状に形成された先端凸部と缶
軸線方向に突起した先端角部とを有する半径方向に移動
可能な複数の第1ポンチ爪の、該先端凸部を前記環状凸
部の内周壁に当接させるとともに前記先端角部をドーム
部中心と前記内周壁との間の部分に当接させ、一方、環
状凸部の外方には、その先端内側が環状凸部外周壁に沿
った形状を有する複数の第2ポンチ爪の該先端を当接さ
せて、前記第1ポンチ爪を半径方向外方に移動させるこ
とで、前記環状凸部の内周壁に、缶胴の内部側へ円周方
向断面円弧状に凹む複数の内側凹部と、各内側凹部の間
に配置される縦リブとを円周方向に交互に形成するとと
もに、前記ドーム部の、該ドーム部中心と前記内側凹部
との間の部分に、缶胴の内部側へ凹んだ複数の成形加工
部を円環状に配置させることを特徴とする缶の製造方法
により製造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による
缶蓋を図面を参照して説明する。図1は本発明の缶の底
部近傍の側方断面図であり、図2及び図15は図1のう
ち、環状凸部近傍の拡大断面図である。また、図3は図
1の缶を底部側から見た平面図である。
【0015】図1に示す缶1において、缶胴2の缶底3
には、缶胴2の内部側へ凹むドーム部4が形成されてい
る。また、ドーム部4の周縁には、缶胴2の外部側へ缶
軸方向に突出した環状凸部(リム)5が形成されてい
る。
【0016】環状凸部5は、先端のノーズ部5aと、ノ
ーズ部5aより半径方向内側の内周壁(インナーウォー
ル)5bと、ノーズ部5aより半径方向外方の外周壁
(アウターウォール)5cとからなる。インナーウォー
ル5bは、環状の凹曲面部(カウンターシンクR部)6
を介してドーム部4に連なり、ノーズ部5aはアウター
ウォール5cを介して缶胴2に連なる。また、インナー
ウォール5bの下方には半径方向内側に突出した内側突
出部5dが形成されており、該内側突出部5dにおいて
ドーム部の最短径(ドーム径)D1が形成されている。
【0017】インナーウォール5bには、缶胴2の内部
側へ凹む内側凹部7が円周方向に複数形成されている。
内側凹部7はそれぞれ円周方向断面円弧状に形成されて
おり、図2に示すように、内側突出部5dよりドーム部
側に位置するカウンターシンクR部6近傍に形成され、
下辺7aはノーズ部5aの先端に達しないようにインナ
ーウォール5bの中間部に設けられている。この内側凹
部7は、該内側凹部7が形成されていない状態である破
線で示した7’より半径方向外方に向かって缶胴2の内
部側に押し込まれるように形成されており、内側突出部
5dから缶軸線方向に延ばした接線である線Lに対して
角度αを有している。内側凹部7は、この角度αが、2
0°≦α≦50°になるように形成されている。
【0018】図3に示すように、内側凹部7は、それぞ
れが平面視円弧状に形成されており、缶胴2の内部側に
凹むように複数形成されている。これら内側凹部7の間
には縦リブ7aが形成されており、内側凹部7と縦リブ
7aとは円周方向に交互に形成されている。そして、内
側凹部7と縦リブ7aとはそれぞれ滑らかに連続するよ
うに設けられており、インナーウォール5bは、円周方
向断面視花びら状に形成されている。この内側凹部7
は、インナーウォール5bの内側凹部7が形成された部
分の断面視円周方向における、インナーウォール5bの
円周方向全体に対して、63%〜99%の範囲で加工さ
れている。
【0019】また、内側凹部7に連なるように、ドーム
部4の、該ドーム部4の中心4aと内側凹部7との間に
位置する部分には成形加工部8が形成されている。この
成形加工部8は内側凹部7に対応するように同じ数が形
成されており、図3に示すようにドーム部4の中心4a
を基準として円環状に配置されている。そして該成形加
工部8では、もとのドーム部4の形状から缶胴2の内部
側に折れ曲がるように変曲点Pが形成されており、変曲
点Pは直径D2を有している。つまり直径D2は円環状
に配置された成形加工部8の円環径である。このとき成
形加工部8は、前記ドーム径D1に対して、0.65
≦ D2/D1 ≦ 0.9となる位置に形成されてい
る。
【0020】ところで、十分な缶強度を確保するために
は、缶底3の寸法や角度が重要な要素となる。これにつ
いて、図15を用いて更に詳細に説明する。先ず、内側
凹部7の水平方向先端部である底部7bが形成されてお
り、この底部7bにおいてドーム部の最長径D3が形成
されている。このD3は、1.01≦D3/D1≦1.
15となるように設定されている。また、缶1の最大外
径、すなわち缶胴2の径をD(図示略)とすると、この
Dとドーム部の最長径D3とは、0.60≦D3/D≦
0.85となるように設定されている。最適値として
は、缶1の直立安定性等も考慮して、Dが66.3mm
のときにD1は45.0mm、D3は47.7mmとな
っている。
【0021】内側凹部7は、一定の曲率で、すなわち曲
率半径R2で湾曲している。この内側凹部7の上端部、
すなわち曲率半径が変化する部分には、変曲点P1が形
成されており、また内側凹部7の下端部、すなわち曲率
半径が変化する部分には、変曲点P2が形成されてい
る。内周凹部7は、変曲点P1を境として曲率半径がR
11をなすドーム部4の部分に連なっており、また、変
曲点P2を境としてインナーウォール5b(曲率半径R
1)に連なっている。なお、インナーウォール5bは、
ノーズ部5aを変曲点として、曲率半径R3をなすアウ
ターウォール5cの部分に連なっている。変曲点P1に
おける接線l1と変曲点P2における接線l2は、角度
θをなしており、このθは、85°≦θ≦103°、よ
り望ましくは、98°≦θ≦103°となるように設定
されている。また、変曲点P2における接線l2の傾き
β(=90°−α)は、40°≦β≦70°の範囲に設
定されており、最適値は57°となっている。
【0022】板厚tは、0.2mm≦t≦0.3mmの
範囲、最適には0.26mmに設定されており、R1、
R2、R3は各々、2t≦R1≦7t、2t≦R2≦1
2t、3t≦R3≦10tの範囲に設定されている。但
し、各々の範囲内における下限値近傍では、缶1を塗装
する際に塗装被膜の欠陥を生じ、また、各々の上限値近
傍では、耐圧不足を生じてしまうおそれがある。そのた
め、最適値は、tが0.26mmの場合に、R1は1.
0mm、R2は1.1mm、そしてR3は1.5mmと
なっている。
【0023】ノーズ部5aからドーム部4の中心4aま
での缶軸方向の距離、すなわちドーム部4の最大高さは
H1(図示略)、ノーズ部5aから変曲点P1までの缶
軸方向の距離はH2、そしてノーズ部5aから曲率半径
R2の中心までの缶軸方向の距離はH3である。これら
H1、H2及びH3は、次のような関係となるようにす
なわち、0.1≦H3/H1≦0.4、1.4≦H2/
H3≦2.0の範囲内に設定されている。最適値は、H
1は11.5mm、H3は2.9mmとなっている。H
2は、上記範囲内であればよい。上記のように各々の寸
法や角度を設定することが、十分な缶強度を確保しつ
つ、直立安定性や塗装性等の他の要件を満たす上で望ま
しい。
【0024】このような缶1は、図4に示すような装置
によって形成される。図4において、製造装置10は、
缶胴2の上端に当接して缶胴2の缶軸方向の移動を規制
するベース11と、ベース11に垂直な軸線方向で前後
移動可能となった成形機構12と、ベース11と成形機
構12との間に内側凹部7の未だ形成されていない缶
(ワーク)13を供給するターレット機構14とによっ
て概略構成されている。
【0025】缶胴2は、絞り加工により素板から有底円
筒状のカップを成形する絞り工程と、カップにパンチス
リーブを挿入して再絞り加工及びしごき加工を施すとと
もに、缶底3をパンチスリーブとドーム成形部とで挟ん
でドーム部4を成形する再絞り・しごき加工及び缶底成
形工程と、缶胴2の外面を印刷する印刷工程と、缶胴2
の開口上端部(ネック)を形成するネッキング工程とを
順次経て製造されて行く。本実施形態では、このうちネ
ッキング工程の中の一工程に製造装置10が設けられて
いる。
【0026】ベース11は、製造装置10の図示してい
ないフレームに固設されており、一側面がワーク13の
上端を当接する当接面11aとなっている。ワーク13
は、上端をベース11の当接面11aに当接すること
で、缶軸方向の上端側への移動が規制されることにな
る。
【0027】成形機構12は、第1ポンチ爪15と、該
第1ポンチ爪15の内方に前記缶胴2の缶軸方向に前後
移動可能に設けられ、前記第1ポンチ爪15の先端に当
接して該第1ポンチ爪15の先端を外方に移動させる拡
径部材16と、該拡径部材16の内方に前記缶胴2の缶
軸方向に前後移動可能に設けられ、前記ドーム部4に当
接して支持するドーム支持部材17と、第1ポンチ爪1
5の外方に配置された第2ポンチ爪18と、該第2ポン
チ爪18の先端に当接して該第2ポンチ爪18の先端を
内方に移動させる縮径部材19とにより概略構成されて
いる。
【0028】第1ポンチ爪15及び第2ポンチ爪18
は、バネ鋼、ダイス鋼等からなる円筒の先端側を複数本
に分割して形成したもので、第1ポンチ爪15のリング
状の基端15aを第2ポンチ爪18の内部に装着して、
該第2ポンチ爪18の環状の基端18aに取り付けてあ
る。
【0029】図4、図6に示すように、第1ポンチ爪1
5先端15bは、その中間部15cに比べて半径方向の
幅が大きく形成されており、中間部15cとともに弾性
変形することによって半径方向に移動可能になってい
る。第1ポンチ爪15の先端15bには、半径方向外側
に向かって先端凸部15dが形成されており、該先端凸
部15dから半径方向内側に向かうほど先端側に平面状
に傾斜する傾斜面15eが形成されている。また、該傾
斜面15eの先端側には、缶胴2のドーム部4側に向か
って先端角部15gが突設されている。また、先端面1
5fと内面15jとは平面状に形成されており、内面1
5jの基端15a側に位置する部分には中間部15cと
内面15jとを結ぶように、先端側にいくほど半径方向
内側に向くように曲面状に傾斜する内側傾斜面15hが
形成されている。
【0030】この第1ポンチ爪15は、図8に示すよう
に円環状に複数個(図8では16個)設置されており、
それぞれが離間して設けられている。第1ポンチ爪15
の先端15bの外側の先端凸部15dの断面輪郭形状
は、それぞれが円弧状に形成されており、インナーウォ
ール5bより小さい曲率を有している。また、隣接する
第1ポンチ爪15どうしの面は平面状に形成されてい
る。そして第1ポンチ爪15は、破線で示した15’と
の間を半径方向に弾性変形するようになっている。
【0031】図4、図7に示すように、第2ポンチ爪1
8の先端18bは、その中間部18cに比べて半径方向
の幅を大きく形成してあり、中間部18cとともに弾性
変形して半径方向に移動可能になっている。第2ポンチ
爪18の先端18bには先にいくほど半径方向外側に向
かって傾斜されている傾斜曲面18dが形成されてい
る。第2ポンチ爪18の先端外側には、先にいくほど半
径方向外側に向かって曲面状に傾斜する外側傾斜面18
eが形成されている。
【0032】この第2ポンチ爪18は、図9に示すよう
に円環状に複数個(図9では16個)設置されており、
破線で示した18’との間を弾性変形されるようになっ
ている。このとき、各第2ポンチ爪18は、破線で示し
た18’のように拡がった状態ではそれぞれは離間する
ようになっており、実線18で示した状態では隣接する
各第2ポンチ爪18どうしは当接されている。この隣接
する第2ポンチ爪18どうしの当接面は平面状に形成さ
れているととともに、第2ポンチ爪18の先端18bの
外面及び内面18fの断面輪郭形状はそれぞれが円弧状
に形成されており、特に内面18fは缶胴のアウターウ
ォール5cの輪郭形状に沿った曲率を有している。
【0033】拡径部材16の内部には小径孔部16bが
形成されており、この小径孔部16bにはリング状のブ
ッシュ20が装着されている。ブッシュ20の内部には
ボルト21が摺動可能に装着されており、ボルト21に
は前記ドーム支持部材17がねじ込まれている。ドーム
支持部材17はT字状の断面形状を有するもので、この
ドーム支持部材17の先端面17aは凸曲面状に形成さ
れている。拡径部材16の小径孔部16bに装着された
ブッシュ20は、その先端にフランジ20aが形成され
ており、このフランジ20aが前記小径孔部16bに係
止することにより、ブッシュ20の基端15a(18
a)側への移動が規制されている。拡径部材16、ドー
ム支持部材17、ブッシュ20及びボルト21で構成さ
れる空間内にはリング22とスプリング23とが装着さ
れており、このスプリング23によってドーム支持部材
17とボルト22とが先端15b(18b)側へ付勢さ
れるようになっている。
【0034】図10に示すように、ターレット機構14
には、成形機構12の軸線と平行な回転軸30により回
転自在となった把持板31が設けられている。把持板3
1の円周方向には、缶胴2を保持可能としたポケット部
32が等間隔で複数設けられている。ポケット部32
は、例えばバキュームにより缶胴2を吸着保持するよう
になっている。上述した成形機構12は、任意のポケッ
ト部32の位置に、このポケット部32に把持された缶
胴2と同軸上で配置されている。
【0035】ターレット機構14は、把持板31を回転
させることで、ポケット部32に把持されたワーク13
を成形機構12へ供給するとともに、成形機構12にて
成形の施された缶1を、成形機構12から移動して、次
の工程へ受渡しするようになっている。
【0036】このように構成された製造装置10を用い
ての缶1の製造方法を説明する。先ず、缶底3を成形し
たワーク13を、ターレット機構14により、ベース1
1と成形機構12との間に供給し、上端部をベース11
の当接面11aに当接して、成形機構12と同軸上に位
置決めする。
【0037】次いで、成形機構12を不図示の円周カム
によりベース11側へ移動させ、第1ポンチ爪15の先
端15bが、缶底3の環状凸部5のインナーウォール5
bからドーム部4にかけた部位に当接する位置で停止さ
せるとともに、第2ポンチ爪18の先端18bが、アウ
ターウォール5cに当接する位置で停止させる。この
際、ドーム支持部材17は、スプリング23によって、
第1、第2ポンチ爪15、18の先端15b、18bよ
り前方に付勢されているため、第1、第2ポンチ爪1
5、18の先端15b、18bより先に缶底3のドーム
部4に、先端面17aが当接し、その反力により、スプ
リング23を圧縮して基端15a(18a)側へ後退す
る。
【0038】従って、この状態で、ワーク13は、スプ
リング23で付勢されたドーム支持部材17によって、
ベース11側へ押し付けられて、ベース11とドーム支
持部材17とで挟持される。また、この状態で、ドーム
支持部材17の先端面17aが、ドーム部4に当接する
ことで、成形工程におけるドーム部4の変形が規制され
ることになる。これにより、所望の形状のドーム部4が
得られ、内容物封入後の内圧に十分に対抗できる耐圧強
度が確保される。
【0039】次に、不図示の円周カムにより、拡径部材
16と縮径部材19とを、ベース11側にさらに移動さ
せる。これにより、拡径部材16の外周傾斜面16aは
第1ポンチ爪15の内側傾斜面15hに沿って押し付け
るように摺動され、除々に第1ポンチ爪15を拡径させ
ながら内面15jに当接し、先端15bは半径方向外方
に拡径され、例えば図8に示すように15’から15に
移動される。
【0040】同様に、縮径部材19の先端内面の傾斜面
19aは第2ポンチ爪18の外側傾斜面18eに沿って
押し付けるように摺動され、除々に第2ポンチ爪18を
縮径させながら外周面18gに当接し、先端18bは半
径方向内方に縮径され、例えば図9に示すように18’
から18に移動される。
【0041】そして、図5に示すように、第1ポンチ爪
15の先割れ状の先端15bを拡径させるとともに、第
2ポンチ爪18の先端18bを縮径させることによっ
て、第2ポンチ爪18の傾斜曲面18dはアウターウォ
ール5cに当接して環状凸部5を外側から支持し、第1
ポンチ爪15の先端凸部15dは環状凸部5のインナー
ウォール5bからドーム部4にかけての領域を缶胴2の
内側に凹ませるように押圧し、この領域に円周方向に複
数の断面円弧状の内側凹部7を成形させる。このとき押
圧されていない部分は縦リブ7aとなる。そして、それ
と同時に、第1ポンチ爪15の先端角部15gはドーム
部4の周辺部に当接されてそこを押圧し、その部分に円
環状の成形加工部8を形成させる。
【0042】このとき、隣接する各第2ポンチ爪18は
当接しあって、その円環状の形状を安定させたまま環状
凸部5のアウターウォール5cを外側から支持するた
め、第1ポンチ爪15によるインナーウォール5bの押
圧は安定して行われるとともに、環状凸部5に作用す
る、外方に拡がろうとする力と内方に縮まろうとする力
とが相殺して環状凸部5が内外何れかの方向に無理に変
形する(逃げる)ことがなくなる。
【0043】内側凹部7が成形された後、拡径部材16
及び縮径部材19を後退させることにより、第1、第2
ポンチ爪15、18は弾性力により半径方向内側及び外
側に移動される。次いで、成形機構12を缶底3から離
れる方向へ後退させる。このとき、ドーム支持部材17
は、スプリング23の付勢力により、前方に移動し缶底
3を押圧し続けるから、万一、缶底3から第1、第2ポ
ンチ爪15、18が円滑に離れていない場合にも、缶底
3から各ポンチ爪15、18を確実に引き離すことがで
きる。次いで、前記ドーム支持部材17は、次の缶底3
の押圧に備えて待機位置に戻される。以上により、缶底
3への内側凹部7の成形は終了される。
【0044】内側凹部7の成形が終了した缶1は、ター
レット機構14の把持板31を回転させることにより、
ベース11と成形機構12との間から移動し、次工程へ
と受け渡される。このようにして、缶底3に内側凹部7
を容易に形成することができる。ここで、第1、第2ポ
ンチ爪15、18は、鋼製の円筒の一体物の先端側にス
リット加工を施すだけで容易に製作される。従って、機
構が簡単で、メンテナンスが容易な上に、第1、第2ポ
ンチ爪15、18の半径方向への移動が、その弾性変形
によっているから、作動が確実で長期間にわたって安定
して使用することができる。
【0045】このように、環状凸部5のインナーウォー
ル5bの円周方向に、断面円弧状に凹んだ複数の内側凹
部7と、各内側凹部7の間に配置される縦リブ7aとを
交互に設け、インナーウォール5bの円周方向の断面形
状が花びら状になるように形成したことにより、インナ
ーウォール5bの剛性、特に缶軸方向の応力に対する剛
性が高められることになり、内圧の作用によってもイン
ナーウォール5bに缶軸方向のひずみ(伸び)が生じな
くなり、環状凸部5の下方、及び半径方向外方への変形
が阻止される。
【0046】また、内側凹部7は、内側突出部5dから
缶軸線方向に延ばした接線である線Lに対して缶胴2の
内部側に20°〜50°の角度で凹ませることが好まし
い。20°以下ではボトムグロースを低減させるといっ
た所望の効果が得られず、50°以上では環状凸部5の
インナーウォール5bとアウターウォール5cとの距離
が近くなり、直立安定性が低下するとともに加工時に該
環状凸部5が破断したりするためである。
【0047】また、内側凹部7が加工される部分、つま
り、インナーウォール5bが第1ポンチ爪15によって
押圧される部分は、インナーウォール5bの内側凹部7
が形成された部分の断面視円周方向における、インナー
ウォール5bの円周方向の全周に対して、63%〜99
%の範囲に形成させることが望ましい。このことを図1
2を用いて説明する。
【0048】図12のグラフにおいて、縦軸は、缶1に
内容物を封入し内圧を変化させて落下試験を行った場合
の破損した時の内圧を示す耐圧強度を、横軸は、インナ
ーウォール5bの円周方向範囲に対する第1ポンチ爪1
8によってインナーウォール5bが押圧された範囲の割
合であるインナーウォール加工量を表す。図12のよう
に、インナーウォール加工量を63%以上にした場合、
耐圧強度は約675kPa以上の高い数値を示すが、6
3%以下にした場合、インナーウォール5bは十分な剛
性が得られず、所望の効果を得ることができない。そし
て、加工量を大きくすればするほど、耐圧強度は増加す
る。また、本実施形態の製造方法においては、複数の第
1ポンチ爪15によって缶底3を拡げるように加工する
ため、実際に加工可能なインナーウォール加工量の上限
は99%である。(言い換えると、縦リブ7aは少なく
とも1%形成される。)このため、インナーウォール5
bの加工量を63%〜99%と設定することにより、缶
1は十分な耐圧強度を得ることができる。
【0049】なお内側凹部7が形成される数、つまり第
1、第2ポンチ爪15、18の数は12箇所〜48箇所
とすることが好ましい。12箇所以下では、所望の効果
を得るためのインナーウォール加工量を得るためには、
1つのポンチ爪がインナーウォール5bを押圧すべき領
域が大きすぎ、内側凹部7は安定して形成されず、缶底
3は十分な強度を得ることができない。一方、48箇所
以上では設置される各ポンチ爪15、18の数が多すぎ
るため、該ポンチ爪15、18をスリット加工によって
加工する際、安定して形成されない。
【0050】次に、第1ポンチ爪15の先端角部15g
を、ドーム部4の周辺部に当接させてそこを押圧し、円
環状に複数の成形加工部8を形成させることにより、缶
1のボトムグロースは大幅に低減されることを図11、
図13を用いて説明する。
【0051】図13は、インナーウォール5bに内側凹
部7を形成させるとともにドーム部4の周辺部を押圧し
た場合と、インナーウォール5bのみを押圧した場合と
のボトムグロースを比較した結果である。縦軸は缶1に
作用させる内圧を示しており、横軸はそのときに生じた
ボトムグロースを示している。
【0052】図13において、線(サンプル)Aはイン
ナーウォール5bに内側凹部7及び縦リブ7aを花びら
状に設けるとともに第1ポンチ爪15の先端角部15g
によってドーム部4周辺部を押圧し成形加工部8を形成
した場合である。線(サンプル)Bは、図11のように
傾斜面40eの距離が短い第1ポンチ爪40を用いてド
ーム部4を押圧せず(成形加工部8を設けず)インナー
ウォール5bのみを先端凸部40gによって押圧して内
側凹部7を形成した場合である。線(サンプル)Cは内
側凹部7、成形加工部8ともに形成していないものであ
る。
【0053】缶1に作用させる内圧が0〜4kg/cm
2 程度までの範囲では、サンプルA、B、Cの各サンプ
ルに生じるボトムグロースには大きな違いは見られな
い。内圧が4kg/cm2 以上になると、ボトムグロー
スは缶底3に加工を施したサンプルAとサンプルBとに
大きな改善が見られる。特に、成形加工部8が形成され
ているサンプルAに関しては、ボトムグロースは大幅に
低減されている。
【0054】例えば作用させる内圧が6.3kg/cm
2 である場合、缶底3に加工を施していないサンプルC
に関しては、ボトムグロースは約1.35mmであった
のに対し、サンプルBは約1.05mmであり、サンプ
ルAは約0.75mmであった。
【0055】このように、環状凸部5のインナーウォー
ル5bの円周方向に、複数の内側凹部7と縦リブ7aと
を設け、インナーウォール5bの円周方向の断面形状が
花びら状になるように形成したことにより、インナーウ
ォール5bの剛性、特に缶軸方向の応力に対する剛性が
高められることになり、内圧の作用によってもインナー
ウォール5bに缶軸方向のひずみ(伸び)であるボトム
グロースが生じなくなり、環状凸部5の下方、及び半径
方向外方への変形が阻止される。このため、缶1が薄肉
に形成されても、十分な強度を有する。
【0056】さらに、環状凸部5のインナーウォール5
bに連なるドーム部4の、該ドーム部4の中心4aとイ
ンナーウォール5bとの間の部分に、缶胴2の内部側へ
凹んだ複数の成形加工部8を形成するとともに、該成形
加工部8は中心4aを基準に円環状に配置されたことに
より、加工部分の強度が増されるため、形成される缶1
のボトムグロースは、図13に示したように、同じ内圧
を作用させたとき、加工を施さない場合に比べて約1/
2程度まで低減される。
【0057】なお、このときの耐圧強度はサンプルBが
7.02kg/cm2 であったのに対し、サンプルAは
6.85kg/cm2 であった。つまり、成形加工部8
を形成していないサンプルBのほうが、耐圧強度に関し
ては強度が高いという結果を得た。
【0058】次に、成形加工部8を形成する位置を検証
した実験について説明する。図14は、成形加工部8を
形成した位置と耐圧強度との関係を示した図である。図
14において、横軸はドーム径D1に対する成形加工部
8の直径D2の割合であるD2/D1を示しており、縦
軸は耐圧強度を示している。また、線B’は、図11に
示したような第1ポンチ爪40を用いて加工させた、成
形加工部8が形成されていないサンプルB’についての
耐圧強度を示しており、点A’は内側凹部とともに成形
加工部8を形成させたサンプルA’についての耐圧強度
を示している。
【0059】D2/D1が0.65より小さい場合、つ
まり形成される成形加工部8がドーム部4の中心近傍に
形成された場合、耐圧強度に関してサンプルA’とB’
との間には顕著な違いが見られない。D2/D1を0.
65以上にした場合、つまり成形加工部8を環状凸部5
側に形成させる場合、図14に示すように耐圧強度は徐
々に増し、成形加工部8が形成される位置がドーム部4
の半径方向外方に位置させるにつれて耐圧強度は高くな
る。しかしながら領域MのようにD2/D1が大きすぎ
る場合、加工時にドーム部4は破断し加工不可能とな
る。
【0060】このように、D2/D1が0.65〜0.
9となるように成形加工部8を形成させることにより、
耐圧強度は高くなる。
【0061】更に、内側凹部7は、変曲点P1における
接線と変曲点P2における接線のなす角度θが、85°
≦θ≦103°に設定されていることが望ましく、この
範囲内でも、98°≦θ≦103°となるように設定さ
れていればより望ましい。このことを、表1及び図16
を用いて説明する。
【0062】
【表1】
【0063】表1、及び図16のグラフに示すように、
θが85°より小さい場合、例えば80°の場合では、
耐圧強度には特に問題なくとも落下強度が低く、缶強度
として良好な結果が得られない。逆に、θが103°よ
り大きい場合、例えば105°の場合では、落下強度は
高値であるが耐圧強度が極端に下がってしまい、こちら
も缶強度として良好な結果が得られない。この図から明
らかなように、耐圧強度が930〜950kPaで落下
強度が20cm以上といった、比較的良好な缶強度を得
ることができるのは、85°≦θ≦103°に設定した
場合である。その中でも、98°≦θ≦103°に設定
した場合には、耐圧強度が930〜950kPaで落下
強度が25〜30cmといった、非常に良好な缶強度が
得られる。
【0064】なお、落下強度とは、内圧を4kg/cm
2に設定した缶を、約5cm毎に高さを変えてその位置
から鉄板の上に落とし、ドーム部が完全に反転するまで
の到達高さとしている。また、耐圧強度は、缶内に加圧
エアーを送り込む方法で測定した。すなわち、缶内に加
圧エアーを送り込むと、缶の内圧が上昇して、ある時点
でドーム部が外方へ反転するように瞬間的に飛び移り変
形を起こし、この飛び移り変形と同時に缶の内圧が急激
に低下する。この低下する寸前の缶内圧値、すなわち缶
内圧値の最高値を、耐圧強度とするものである。
【0065】そして、上述した製造方法では、環状凸部
5を成形した後の缶底3に、拡径部材16及び縮径部材
19を当接させ、環状凸部5との成形とは別途に内側凹
部7を成形するので、平面方向の応力と厚み方向の応力
とはインナーウォール5bに同時に作用されず、環状凸
部5と同時に内側凹部7を成形した場合に生じやすい過
酷な塑性変形による内側凹部7での亀裂は生じない。ま
た、第1ポンチ爪15を拡径させるとともに、環状凸部
5のアウターウォール5cに、該アウターウォール5c
の形状に沿った第2ポンチ爪18を当接させて環状凸部
5が外方から支持されることにより、環状凸部5の外方
への変形が防止される。
【0066】さらに、ネッキング工程の一部で加工が行
えるため、新たな製造ラインを増設することなく、内側
凹部7を形成することができる。
【0067】また、上述のような製造方法では、第1、
第2ポンチ爪15、18は、鋼製の円筒の一体物の先端
側にスリット加工を施すだけで容易に製作される。従っ
て、機構が簡単で、メンテナンスが容易な上に、第1、
第2ポンチ爪15、18の半径方向への移動が、その弾
性変形によっているから、作動が確実で長期間にわたっ
て安定して使用することができる。
【0068】
【発明の効果】本発明の缶及びその製造方法は、以下の
ような効果を有するものである。 (1) 前記環状凸部の内周壁の円周方向に、複数の円
弧状に凹んだ内側凹部と、各内側凹部の間に配置される
縦リブとを交互に設け、内周壁の円周方向の断面形状が
花びら状になるように形成したことにより、内周壁の剛
性、特に缶軸方向の応力に対する剛性が高められること
になり、内圧の作用によっても内周壁に缶軸方向のひず
み(伸び)が生じなくなり、環状凸部の下方、及び半径
方向外方への変形が阻止される。このため、缶が薄肉に
形成されても、十分な強度を有するため省資源化、低コ
スト化を実現することができる。 (2) 前記内側凹部を前記内周壁の最短径を形成する
半径方向内側に突出した部分よりドーム部側に設けると
ともに、該突出部分から缶軸方向に延ばした接線に対し
て缶胴の内部側に、20°〜50°の角度で形成させる
ことにより、該内側凹部は安定して形成されるとともに
ボトムグロースの発生は防止され、缶の耐圧強度は向上
される。 (3) 内周壁における内側凹部が形成されている部分
の断面視円周方向での、該内側凹部が形成された範囲
は、内周壁の円周方向全体に対して、63%〜99%と
することにより、前記環状凸部の内周壁部分は十分な剛
性を得ることができる。 (4) 前記ドーム部の該ドーム部中心と内周壁との間
の部分に、缶胴の内部側へ凹んだ成形加工部を内側凹部
と同じ数だけ形成するとともにドーム部中心を基準に円
環状に配置したことにより、該加工部分の強度は増し、
形成される缶のボトムグロースは低減される。 (5) 成形加工部は、前記内周壁の最短径をD1と
し、前記円環状に配置された成形加工部の円環径をD2
としたとき、0.65 ≦ D2/D1 ≦ 0.9と
なるように設けることによって、ドーム部の強度を高め
ることができるとともに、安定した加工を行うことがで
きる。 (6) 内側凹部は一定の曲率で湾曲し、該内側凹部の
上端部における接線と該内側凹部の下端部における接線
とのなす角度をθとしたとき、85° ≦ θ≦ 10
3°となるように、より望ましくは98° ≦ θ ≦
103°となるようにθを設定することによって、缶
の耐圧強度や落下強度を向上させて、十分な缶強度を確
保することができる。 (7) 内周壁の最短径をD1とし、ドーム部の最長径
をD3としたとき、1.01 ≦ D3/D1 ≦
1.15となるように内側凹部を設けることによって、
缶強度を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 缶の底部を断面にした要部側面図である。
【図2】 図1における環状凸部近傍の拡大図である。
【図3】 缶を缶底側から見た図である。
【図4】 缶が製造される様子を説明する図である。
【図5】 缶が製造される様子を説明する図である。
【図6】 第1ポンチ爪を説明する図である。
【図7】 第2ポンチ爪を説明する図である。
【図8】 第1ポンチ爪が拡径及び縮径される様子を説
明する図である。
【図9】 第2ポンチ爪が拡径及び縮径される様子を説
明する図である。
【図10】 ターレット機構を回転軸方向から見た図で
ある。
【図11】 内周壁部分が押圧される様子を説明する図
である。
【図12】 耐圧強度とインナーウォール加工量との関
係を説明する図である。
【図13】 缶内圧とボトムグロースとの関係を説明す
る図である。
【図14】 耐圧強度と成形加工部の形成位置との関係
を説明する図である。
【図15】 図1における環状凸部近傍の拡大図であ
る。
【図16】 耐圧強度及び落下強度と角度θとの関係を
説明する図である。
【図17】 従来の缶を説明する図である。
【図18】 ボトムグロースを説明する図である。
【符号の説明】
1 缶 2 缶胴 3 缶底 4 ドーム部 4a ドーム部中心 5 環状凸部(リム) 5a ノーズ部 5b 内周壁(インナーウォール) 5c 外周壁(アウターウォール) 5d 内側突出部 6 凹曲面部(カウンターシンクR部) 7 内側凹部 7a 縦リブ 8 成形加工部 10 製造装置 11 ベース 12 成形機構 13 ワーク(缶) 14 ターレット機構 15 第1ポンチ爪 15b 第1ポンチ爪先端 15d 先端凸部 15g 先端角部 16 拡径機構 17 ドーム支持部材 18 第2ポンチ爪 18b 第2ポンチ爪先端 19 縮径部材 P、P1、P2 変曲点 R1、R2、R3 曲率半径 D1 ドーム径 D2 成形加工部直径 D3 ドーム部の最長径 l1、l2 接線 α 角度 θ 角度

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶底に、缶胴の内部側に凹むドーム部
    と、該ドーム部の周縁に缶軸方向外方に突出する環状凸
    部とを形成した構成の缶であって、 前記ドーム部に連なる環状凸部の内周壁には、缶胴の内
    部側へ円周方向断面円弧状に凹む複数の内側凹部と、各
    内側凹部の間に配置される縦リブとが円周方向に交互に
    形成され、 前記内側凹部は一定の曲率で湾曲しており、該内側凹部
    の上端部における接線と該内側凹部の下端部における接
    線とのなす角度をθとしたとき、 85° ≦ θ ≦ 103° であることを特徴とする缶。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の缶であって、 前記θは、 98° ≦ θ ≦ 103° であることを特徴とする缶。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の缶であって、 前記内周壁の最短径をD1とし、前記ドーム部の最長径
    をD3としたとき、 1.01 ≦ D3/D1 ≦ 1.15 であることを特徴とする缶。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の缶で
    あって、 前記内周壁の内側凹部が形成された部分の断面視円周方
    向において、前記内側凹部が形成された範囲は、内周壁
    の円周方向全体に対して、 63%〜99% であることを特徴とする缶。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の缶で
    あって、 前記ドーム部の、該ドーム部中心と内周壁との間の部分
    には、缶胴の内部側へ凹んだ成形加工部が内側凹部と同
    じ数だけ形成されるとともにドーム部中心を基準に円環
    状に配置されていることを特徴とする缶。
  6. 【請求項6】 缶底に、缶胴の内部側に凹むドーム部
    と、該ドーム部の周縁に缶軸方向外方に突出する環状凸
    部とを形成した構成の缶を製造する製造方法であって、 缶胴の上端を、ベースに当接させて該缶胴の缶軸方向の
    移動を規制させつつ、 円周方向に複数設けられ、半径方向外向き円弧状に形成
    された先端凸部と缶軸線方向に突起した先端角部とを有
    する半径方向に移動可能な複数の第1ポンチ爪の、該先
    端凸部を前記環状凸部の内周壁に当接させるとともに前
    記先端角部をドーム部中心と前記内周壁との間の部分に
    当接させ、 一方、環状凸部の外方には、その先端内側が環状凸部外
    周壁に沿った形状を有する複数の第2ポンチ爪の該先端
    を当接させて、 前記第1ポンチ爪を半径方向外方に移動させることで、
    前記環状凸部の内周壁に、缶胴の内部側へ円周方向断面
    円弧状に凹む複数の内側凹部と、各内側凹部の間に配置
    される縦リブとを円周方向に交互に形成するとともに、 前記ドーム部の、該ドーム部中心と前記内側凹部との間
    の部分に、缶胴の内部側へ凹んだ複数の成形加工部を円
    環状に配置させることを特徴とする缶の製造方法。
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