JP2000211253A - 熱可逆性記録媒体 - Google Patents

熱可逆性記録媒体

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JP2000211253A
JP2000211253A JP11015740A JP1574099A JP2000211253A JP 2000211253 A JP2000211253 A JP 2000211253A JP 11015740 A JP11015740 A JP 11015740A JP 1574099 A JP1574099 A JP 1574099A JP 2000211253 A JP2000211253 A JP 2000211253A
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JP
Japan
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layer
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ultraviolet absorbing
ultraviolet
thermoreversible recording
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JP11015740A
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English (en)
Inventor
Yukihisa Okada
幸久 岡田
Yoichi Nishioka
洋一 西岡
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発色剤および顕減色剤を含む記録層13を支
持体11上に具える熱可逆性記録媒体10の、紫外線耐
性を向上させる。 【解決手段】 記録層13への紫外線の入射を遮断また
は該紫外線の強度を減衰する紫外線吸収層15を具え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱印加条件を制
御することで記録と消去とを繰り返し行うことのできる
媒体(熱可逆性記録媒体)に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可逆性記録媒体に関する研究が盛んに
行われている。その理由は、該媒体が繰り返し使用が可
能なため、地球環境保護の観点等で好ましいからであ
る。
【0003】熱可逆性記録媒体の一例として、マトリク
スポリマとこのポリマ中に分散された直鎖飽和カルボン
酸を主とする有機低分子とを含む記録層を、支持体上に
具えた構成の媒体がある。また、他の例として、発色剤
および顕減色剤を含む記録層を支持体上に具えた構成の
媒体がある。前者は、光散乱型と称され、後者は発色型
と称されている。光散乱型の媒体は、ポイントカードや
プリペイドカードなどとして実用化されている。一方、
発色型の媒体は、光散乱型の媒体に比べて、記録部と無
記録部(地肌)とのコントラストを高くできる等の特徴
を有する。
【0004】発色型の媒体は、特開昭63−17368
4号公報、特開平2−188294号公報、特開平4−
247985公報、特開平5−92661号公報等をは
じめとして、種々の文献に開示されている。
【0005】発色型の媒体での記録・消去原理は、例え
ば特開平2−188294号の第2頁左下欄に記載され
ている。簡単に述べると、媒体に対する熱印加条件次第
で、顕減色剤が、発色剤に対して顕色剤となったり減色
剤となったりする現象を利用している。また、発色剤と
して、専ら、ロイコ染料が用いられている。その主たる
理由は、ロイコ染料が、顕減色剤の上記作用に対して、
可逆的な構造変化をすること、および、現在のところ消
色状態で白色を呈する実用的な材料として最適なものだ
からである
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ロイコ
染料を発色剤として用いた熱可逆性記録媒体では、光、
特に紫外線によって、発色部が退色若しくは変色する現
象、および、無記録部(地肌自体)が変色する現象(い
わゆる地肌かぶり)が生じ易いという問題点がある。す
なわち、耐光性が劣るという問題点がある。これは、紫
外線によってロイコ染料が分解されるためと考えられて
いる。
【0007】特に、熱可逆性記録媒体は、繰り返して何
度も使用するものであるため、例えばファクシミリ用の
感熱紙等に比べて、耐光性が特に必要になる。
【0008】熱可逆性記録媒体の耐光性は、記録層の構
成成分である発色剤、顕減色剤、場合によって添加され
る添加剤それぞれの種類、量およびそれらの組み合わせ
に大きく依存する。従って、これらを考慮することで、
媒体の耐光性をある程度改善することは可能である。し
かし、そうしたとしても、総じて、黒用のロイコ染料を
用いた熱可逆性記録媒体の場合、他の色、例えば、赤用
または青用の媒体に比べて、耐光性が劣る。通常のハー
ドコピーと同様の黒色記録を、熱可逆性記録媒体におい
ても安定に得るためには、黒発色型の熱可逆性記録媒体
の耐光性の改善は重要である。
【0009】従って、熱可逆性記録媒体の耐光性を従来
より向上できる技術が望まれる。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明によれ
ば、発色剤および顕減色剤を含む記録層を支持体上に具
える熱可逆性記録媒体において、前記記録層への紫外線
の入射を遮断または該紫外線の強度を減衰する紫外線吸
収層を具えることを特徴とする。
【0011】紫外線吸収層は、記録層に光が入射する側
に設ける。従って、熱可逆性記録媒体の構造に応じて、
記録層に対して、支持体側および支持体とは反対側の双
方又は一方に設けることができる。
【0012】この発明によれば、記録層外部から記録層
に入射する紫外線は、紫外線吸収層によって遮断または
強度減衰される。従って、熱可逆性記録媒体の記録層の
耐光性、特に紫外線耐性を、従来に比べて向上させるこ
とができる。
【0013】また、記録層の構成成分である発色剤、顕
減色剤、場合によって添加される添加剤それぞれの種
類、量およびそれらの組み合わせを検討して耐光性を向
上させる場合は、媒体に要求される他の特性とのトレー
ドオフ等も配慮する必要が生じるが、この発明では、紫
外線吸収層を別途に設けるだけで済むので、耐光性の向
上を比較的簡易に実現できるという効果も期待できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
熱可逆性記録媒体の実施の形態について説明する。な
お、説明に用いる各図はこの発明を理解出来る程度に概
略的に示してあるにすぎない。また、各図において、同
様な構成成分については、同一の番号を付して示し、そ
の重複する説明を省略することもある。
【0015】先ず、この発明を適用したいくつかの構造
例を説明する。図1(A)〜(D)はその説明図であ
る。
【0016】図1(A)は、第1の構造例の熱可逆性記
録媒体10を示した断面図である。この第1の構造例の
媒体10は、支持体11と、この支持体11上に順に設
けた記録層13および紫外線吸収層15とを具える。
【0017】支持体11は、熱可逆性記録媒体10の用
途に応じた種々の材料とすることができる。該媒体によ
り熱可逆性のカードを実現する場合であれば、支持体1
1の材料は、任意好適な材料からなるフィルム、例えば
樹脂製フィルムとすることができる。また、支持体11
の色も該媒体の用途に応じて、白色をはじめ任意の色と
することができる。また、後に説明するが、透過型の媒
体を構成する場合は、支持体11は、透明のものとす
る。
【0018】記録層13は、少なくとも発色剤および顕
減色剤を含む層である。また、この記録層13は、媒体
の特性を向上させるための1又は複数の添加剤をさらに
含む場合があっても良い。この記録層13の具体的な構
成例の説明、および、発色剤および顕減色剤の具体的な
説明は、後にそれぞれ行う。
【0019】紫外線吸収層15は、記録層13への紫外
線の入射を遮断または該紫外線の強度を減衰する層であ
る。この紫外線吸収層15の具体的な構成例の説明は後
に行う。
【0020】この第1の構造例の媒体10は、記録層1
3に支持体11側とは反対側から紫外線が及ぶ恐れがあ
る場合に有効な構造である。
【0021】なお、支持体11側から光を入射するいわ
ゆる透過型の熱可逆性記録媒体の場合は、図示は省略す
るが、支持体11と、記録層13との間に、紫外線吸収
層15を設け、記録層13の支持体11とは反対側を遮
光層で覆う構造とする。または、場合によっては、支持
体11の裏面に紫外線吸収層を具える構成としても良
い。
【0022】また、図1(B)は、第2の構造例の熱可
逆性記録媒体20を示した断面図である。この媒体20
は、記録層13の上下双方に紫外線吸収層を具えた例で
ある。図示例の場合では、支持体11と、この支持体1
1上に順に設けた第1の紫外線吸収層15a、記録層1
3および第2の紫外線吸収層15bとを具える。
【0023】この第2の構造例の媒体20は、記録層1
3に対して支持体11側および支持体11とは反対側の
双方から紫外線が及ぶ恐れがある場合に有効な構造であ
る。
【0024】また、図1(C)は、第3の構造例の熱可
逆性記録媒体30を示した断面図である。この第3の構
造例の媒体30は、記録層13と紫外線吸収層15との
間にバリア層17を具えることを特徴とする。図示例の
場合では、支持体11と、この支持体11上に順に設け
た紫外線吸収層15、バリア層17および記録層13と
を具える。
【0025】バリア層17は、紫外線吸収層15中の材
料(典型的には紫外線吸収能を有する材料)が記録層1
3に拡散するのを防止する層である。紫外線吸収層15
中の材料が記録層13に拡散すると、記録層13の消発
色特性に悪影響を及ぶすことが多い。この第3の構造例
の媒体30では、それを防止することができる、このバ
リア層17の具体的な構成例の説明は、後に行う。
【0026】なお、媒体が第2の構造例の媒体20のよ
うな場合は、第1の紫外線吸収層15aと記録層13と
の間、および、第2の紫外線吸収層15bと記録層13
との間それぞれに、バリア層を設ける。また、第1の構
造例の媒体10の変形例として説明した、透過型の媒体
の場合は、バリア層が記録層13に支持体11側で接す
るようにバリア層を設ける。
【0027】また、図1(D)は、第4の構造例の熱可
逆性記録媒体40を示した断面図である。この第4の構
造例の媒体40は、最表層として保護層19を具えたこ
とを特徴とする。熱可逆性記録媒体は、サーマルヘッド
を用いて記録することが多いので、媒体の耐久性を高め
るためには、サーマルヘッドの接触による損傷を防止又
は軽減するのが好ましい。そこで、この第4の構造例の
媒体40では、耐摩耗性の層を、最表層に、保護層19
として設けている。この保護層19の構成例の説明は後
に行うが、この保護層19自体で紫外線吸収層を兼ねる
ようにしても良い。こうすれば、媒体の構造を簡単にで
きる等の利点が得られるからである。
【0028】なお、保護層19を設ける思想は、図1
(A)を参照して説明した媒体10、図1(B)を参照
して説明した媒体20それぞれに対しても適用すること
ができる。また、さらには、図1(A)を参照して説明
した媒体10、図1(B)を参照して説明した媒体20
において、紫外線吸収層15または15b自体で、保護
層を兼ねる構成としても良い。
【0029】上述した各構造例の熱可逆性記録媒体に記
録を行う場合、典型的には、サーマルヘッドのような選
択的な熱印加手段で所望部位を短時間加熱する。サーマ
ルヘッドを用いてパルス的熱印加を行うと、熱印加を終
えた部位は急速に冷える。この結果、所望の部位に記録
が形成される。媒体に形成された記録を消去する場合、
媒体全体を十分に加熱した後、放置冷却する。この場
合、サーマルヘッドを用いた場合に比べて媒体は徐々に
冷却される。その結果、記録を消去できる。
【0030】次に、記録層13、紫外線吸収層15(1
5a、15bも同様)、バリア層17および保護層19
それぞれの、具体的な構成例について説明する。
【0031】記録層13は、典型的には、発色剤、顕減
色剤および場合によって添加される添加剤を、バインダ
ーにそれぞれ分散させた層とすることができる。
【0032】発色剤として、分子構造中にラクトン環を
有するフルオラン系やフタリド系のロイコ染料を用いる
ことができる。このようなロイコ染料であると、すでに
説明した様に、顕減色剤に対して可逆的な構造変化を起
こし、また、消色時に白色を呈するので白色地肌を持つ
熱可逆性記録媒体を構成できる、という利点がそれぞれ
得られる。
【0033】ロイコ染料は、媒体に何色の記録を形成し
たいかに応じて選択する。色別の詳細な区分けは省略す
るが、ロイコ染料の具体例として、クリスタルバイオレ
ットラクトン(CVL)、3,3−ビス(1−エチル−
2−メチルインドール−3−イル)、3−(4−ジエチ
ルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル
−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリ
ド、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジエチル
アミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−
ジブチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−
メチル−6−(N−エチルイソペンチルアミノ)フルオ
ラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、3−ベンジルエチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−メチ
ルプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノ
フルオラン等様々な染料を挙げることができる。CVL
は青色の発色剤として良く知られている。
【0034】また、顕減色剤としては、次のものに限ら
れないが、消色作用を司ると考えられている炭素数10
以上のアルキル基を有するフェノ−ル誘導体が好適であ
る。さらには、アスコルビン酸誘導体、有機ホスホン酸
化合物などは、用い得る顕減色剤として挙げることがで
きる。
【0035】また、添加剤としては、媒体の特性、例え
ば発色特性や消色特性を向上させるための1又は2以上
の添加剤を用いることができる。
【0036】上記の発色剤、顕減色剤、場合によって添
加される添加剤それぞれを分散させるためのバインダー
としては、多くの場合、水溶性のバインダーが用いられ
る。代表的なバインダーとして、ポリビニルアルコール
を挙げることができる。ポリビニルアルコールは、けん
か度と呼ばれる水酸基の存在度合の異なるタイプや、さ
らに側鎖にカルボキシル基等の官能基を有するものもあ
る。市販品では(株)クラレ製KL318(商品名)や
日本合成工業(株)製T−330H(商品名)等が挙げ
られる。
【0037】ポリビニルアルコール水溶液の濃度は熱可
逆性記録媒体の使用目的によっても異なるが、0.1〜
50重量%が好ましい。また、ポリビニルアルコール水
溶液の粘度は、記録層形成用塗布液の使用のし易さ等を
考慮して、数〜数百cpsに調製することが望ましい。
塗布液の粘度の調製剤としてセルロースを含有すること
もできる。
【0038】なお、用いる発色剤、顕減色剤、添加剤の
種類によっては、有機溶液系のバインダー、例えば塩化
ビニル酢酸ビニル共重合やポリビニルアセタール等の樹
脂も使用できる。
【0039】次に、紫外線吸収層15(15a,15b
も同様)のいくつかの構成例について説明する。
【0040】紫外線吸収層を形成する場合に使用される
紫外線吸収能を有する材料として、次のものに限定され
ないが、ベンゾフェノン系若しくは、ベンゾトリアゾー
ル系若しくは、ヒドロキシベンゾエート系の紫外線吸収
剤、または、酸化金属(例えば酸化チタン等)等を用い
ることができる。さらに、光安定化剤であるヒンダーア
ミン系の材料も、紫外線吸収能を有する材料として用い
ることができる。これら例示した各種材料は、単独で用
いても良いし、複数種を適量混合して用いても良い。こ
れら材料の多くは、それ自体で膜を形成できない(それ
自体が連続して膜になり得るものではない)ものであ
る。そのような場合は、適当なバインダーを用いること
によって、これら材料をバインダー中に分散させること
で、紫外線吸収層を形成することが望ましい。こうした
場合、紫外線吸収層として、バインダーと、該バインダ
ー中に分散している紫外線吸収能を有する材料とを含む
層が得られる。この場合、バインダーは、紫外線吸収能
を有する材料を比較的拘束するので、紫外線吸収能を有
する材料が記録層に拡散する程度を軽減できると期待で
きる。
【0041】また、紫外線吸収能を有する材料として、
それ自身で塗膜を形成できる材料も存在する。そして、
そのような材料も本発明の紫外線吸収層15の形成材料
として用いることができる。この様な材料としては、主
鎖に紫外線吸収能を有する官能基を持つポリマーを挙げ
ることができる。より具体例でいえば、メタクリル酸メ
チル共重合体であって主鎖にベンゾフェノンを有するポ
リマ、例えば、ポリ(2−ヒドロキシ−4−(メタクリ
ロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)を挙げること
ができる。特に、ポリ(2−ヒドロキシ−4−(メタク
リロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)は、この出
願の発明者の実験によれば、実用的な紫外線吸収層を実
現でき、しかも、それ自体の記録層への拡散も生じにく
い等の利点を有する。ポリ(2−ヒドロキシ−4−(メ
タクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)の具体
例として、市販品である、BASF社製のUVA−63
5Lがある。自身が塗膜形成可能な、紫外線吸収能を有
する材料を用いる場合は、該材料を任意好適な溶媒に溶
解させて塗布液を調製し、これを下地例えば支持体上に
塗布して乾燥させればよい。従って、この場合、紫外線
吸収層15として、紫外線吸収能を有する材料自体の層
が形成される。
【0042】また、紫外線吸収層15を、紫外線を吸収
する官能基を主鎖に有するポリマーが架橋しているもの
の層としても良い。こうすると、こうしない場合に比べ
て、紫外線吸収層15自体の強度が高まるという利点が
得られる。このような架橋構造を有する紫外線吸収層を
形成するには、紫外線を吸収する官能基を主鎖に有する
ポリマーと架橋剤とを混合して、塗布液を調製し、この
塗布液を下地例えば支持体上に塗布して加熱乾燥すれば
良い。例えば、ポリ(2−ヒドロキシ−4−(メタクリ
ロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)と、架橋剤と
してのイソシアナート系架橋剤とを溶媒中に入れて塗布
液を調製し、この塗膜を加熱乾燥することで、架橋構造
を有する紫外線吸収層を得ることができる。
【0043】また、バリア層17は、紫外線吸収層から
紫外線吸収能を有する材料が記録層に拡散するのを防止
できる材料で、然も、下層との密着性が得られる材料で
あれば、任意好適な材料で構成出来る。例えば、記録層
や紫外線吸収層用のバインダー、例えばポリビニルアル
コールは、バリア層の構成材料の一例として挙げること
ができる。
【0044】保護層19は、任意好適な材料で構成でき
る。紫外線硬化型樹脂はその一例である。保護層19
を、紫外線硬化型樹脂で構成する場合、保護層を形成す
る時に、光開始剤となる紫外線吸収性の材料を過剰に添
加した樹脂を用い、硬化後に該保護層中に残存する紫外
線吸収性の材料(残留物)によって紫外線吸収層として
の機能を保護層19に生じさせても良い。このときの最
表層は保護層としての機能だけでなく、紫外線吸収層と
しての機能も兼ね備えることになる。
【0045】なお、紫外線吸収層15、バリア層17お
よび保護層19それぞれの厚さは、各層の目的が得られ
る範囲でなるべく薄い方が好ましい。その理由は、熱可
逆性記録媒体を構成する場合、一般には、紫外線吸収層
15、バリア層17および保護層19は、媒体への熱印
加手段(図示せず)と記録層13との間に位置すること
になる。従って、これら層15,17,19の各層の厚
さが厚すぎては、熱印加手段から記録層への熱伝導の点
で好ましくないからである。
【0046】
【実施例】次に、この発明の理解を深めるために、いく
つかの実施例を比較例と共に説明する。なお、以下の説
明中で用いる使用材料および数値的条件はこの発明の範
囲内の単なる一例にすぎない。従って、この発明がこれ
ら使用材料および数値的条件にのみ限定されるものでな
いことは理解されたい。なお、以下の実施例および比較
例では図1(D)を参照して説明した第4の構造例の熱
可逆性記録媒体40を製造して実験をする。
【0047】1.第1の実施例 先ず、記録層形成用塗布液を以下のように調製する。バ
インダーとしてポリビニルアルコールを用意する。ポリ
ビニルアルコールとして、市販品である(株)クラレ製
のKL−318(商品名)を用いる。このポリビニルア
ルコール15重量部を、純水985重量部に、3時間か
けて溶解させる。なお、この溶解作業は、試料を80℃
に加熱しながら行う。溶解させた後、室温に冷却してポ
リビニルアルコール水溶液を得る。
【0048】一方、黒色の発色剤としての、ロイコ染料
の1種である3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン(3-Diethylamino-6-methyl-7-anilin
ofluoran) 7重量部と、顕減色剤としての、フェノール
系顕減色剤であるパラヒドロキシ−n−ノナデカンアニ
リド(下記(1)式参照)30重量部とを、同一容器に
入れる。そして、これらを150℃の温度で5時間加熱
溶融させて、これらの共融物を得る。この共融物を室温
に冷却する。こうして得られる固体を、粉砕機に投入す
るのに適した大きさに粉砕する。この粉砕物と上記調製
したポリビニルアルコール水溶液とをボールミル中に入
れ、10時間粉砕することで、記録層形成用の塗布液を
得る。
【0049】
【化1】
【0050】次に、支持体11としての、厚さが100
μmの白色のPET(ポリエチレンテレフタレート)フ
ィルム上に、上記塗布液を、バーコーターによって、乾
燥後の膜厚が約5μmとなるように、塗布する。この塗
膜を循環熱風乾燥機で60℃の温度で30分の加熱乾燥
をして、記録層13を得る。
【0051】次に、この記録層13上にバリア層17を
形成する。そのため、上記用意したポリビニルアルコー
ル水溶液を、バーコーターによって、乾燥後の膜厚が約
1μmになるように塗布する。この塗膜を循環熱風乾燥
機で80℃の温度で5分の加熱乾燥をして、バリア層1
7を得る。
【0052】次に、このバリア層17上に紫外線吸収層
15を形成する。そのため、この第1の実施例では、紫
外線吸収能を示す材料として、ベンゾトリアゾール系紫
外線吸収剤の1種であるチヌビン400(チバガイギー
社製)と、ヒンダードアミン系の光安定化剤の1種であ
るチヌビン123(チバガイギー社製)を用いる。そし
て、上記用意したポリビニルアルコール水溶液100重
量部と、チヌビン400を5重量部と、チヌビン123
を5重量部とを、ボールミルに入れて、混合処理するこ
とで、紫外線吸収層形成用の塗布液を調製する。
【0053】次に、バリア層17上に、紫外線吸収層形
成用の塗布液を、バーコーターによって、乾燥後の膜厚
が約1μmになるように塗布する。この塗膜を循環熱風
乾燥機で80℃の温度で5分の加熱乾燥をして、紫外線
吸収層15を得る。
【0054】次に、この紫外線吸収層15上に、ウレタ
ンアクリレートで構成した保護層19を形成して、第1
の実施例の熱可逆性記録媒体を得る。
【0055】2.第2の実施例 紫外線吸収能を有する材料として、ポリ(2−ヒドロキ
シ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェ
ノン)を用いる。ここでは、市販品であるBASF社製
のUVA−635Lを用いる。20重量部のUVA−6
35Lを、酢酸エチルとトルエンとを1:1(重量比)
で混合した混合溶媒80重量部に溶解させて、第2の実
施例での、紫外線吸収層形成用の塗布液を調製する。
【0056】第1の実施例と同様な手順でバリア層17
まで形成した後、このバリア層17上に、この塗布液
を、バーコーターによって、乾燥後の膜厚が約1μmに
なるように塗布する。この塗膜を循環熱風乾燥機で70
℃の温度で5分の加熱乾燥をして、第2の実施例の紫外
線吸収層15を得る。
【0057】この紫外線吸収層15上に第1の実施例と
同様な手順で保護層19を形成する。このようにして、
第2の実施例の熱可逆性記録媒体を得る。
【0058】3.比較例 上記の実施例において、紫外線吸収層を設けないこと以
外は実施例と同様な手順で熱可逆性記録媒体を製造す
る。これを比較例の熱可逆性記録媒体とする。
【0059】4.評価試験 第1の実施例、第2の実施例および比較例それぞれの熱
可逆性記録媒体の、記録・消去特性を次のように調べる
ことで、本発明の効果を確認する。
【0060】先ず、記録・消去特性を実施例および比較
例で比べる。そのため、製造直後の第1の実施例、第2
の実施例および比較例それぞれの熱可逆性記録媒体に、
サーマルヘッドを用いて所定の記録をする。そして、こ
の記録部の反射濃度を測定する。ただし、所定の記録と
は、発色(この場合は黒発色)濃度が飽和する条件を予
め求めておいて、この条件で行う記録とする。サーマル
ヘッドとして、200DPI(ドットパーインチ)のも
のを用いる。次に、記録を消去して、この媒体の反射濃
度を測定する。記録の消去は、150℃に加熱したヒー
トローラー対間に熱可逆性記録媒体を通した後、放置冷
却することで行う。
【0061】第1の実施例、第2の実施例および比較例
何れの媒体も、記録部の反射濃度は1.6〜1.9であ
り、消去後の反射濃度は0.09〜0.12であり、反
射濃度に関する比較では、実施例と比較例とで差は認め
られなかった。ただし、実施例の媒体の方が、発色を生
じさせるためのエネルギー(記録立ち上がりエネルギ
ー)および記録を飽和させるエネルギーいずれも、比較
例より、0.04mJ程多く必要なことが分かった。
【0062】また、第1の実施例、第2の実施例および
比較例の各媒体に対して、上記の記録/消去を繰り返し
実施したところ、100回以上の繰り返しに対しても、
実施例および比較例とも、良好な特性を示すことが分か
った。
【0063】次に、耐光性試験として、第1の実施例、
第2の実施例および比較例の各媒体を、蛍光灯下に放置
する。放置位置は、照度が約3000ルクスの位置とす
る。蛍光灯下に放置する前(これを初期値とする)、蛍
光灯下に放置してから3日後、7日後、20日後それぞ
れでの、各媒体における無記録部での反射濃度をそれぞ
れ測定する。その結果を以下の表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1から明らかなように、比較例の媒体
は、蛍光灯下に放置すると、放置時間が長くなるに従
い、無記録部で発色が生じることが分かる。然もこの発
色は、可逆的な発色ではなく不可逆的な発色(茶色の発
色)であることが分かった。一方、第1の実施例および
第2の実施例いずれの媒体も、少なくとも蛍光灯下に2
0日放置した程度では、無記録部での反射濃度の変化は
観察されず、目視においても媒体は白色のままであるこ
とが分かった。このことから、紫外線吸収層を設けるこ
とで、熱可逆性記録媒体の耐光性を改善できることが分
かる。
【0066】また、上記の表1では無記録部のみの反射
濃度測定結果を示したが、記録部に対する反射濃度測定
も同様に行っている。しかし、実施例および比較例いず
れも、上記放置日毎の反射濃度値間に計測できる変化は
認められなかった。
【0067】また、蛍光灯下に放置する試験を終えた試
料に対して、上述したと同様の記録/消去実験を行った
ところ、比較例および実施例とも、記録/消去は耐光試
験前と同様に行うことができた。
【0068】
【発明の効果】上述した説明から明らかなようにこの発
明の熱可逆性記録媒体によれば、記録層への紫外線の入
射を遮断または該紫外線の強度を減衰する紫外線吸収層
を具えたので、熱可逆性記録媒体の基本特性を損なうこ
となく、該媒体の耐光性を向上させることができる。熱
可逆性記録媒体は、例えば1〜3年というように比較的
長期にわたって使用される。従って、耐光性が改良され
た媒体は、媒体の信頼性の向上など、種々の波及効果を
発現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した熱可逆性記録媒体のいくつ
かの構造例を説明する図である。
【符号の説明】
10:第1の構造例の熱可逆性記録媒体 11:支持体 13:記録層 15:紫外線吸収層 15a:第1の紫外線吸収層 15b:第2の紫外線吸収層 17:バリア層 19:保護層 20:第2の構造例の熱可逆性記録媒体 30:第3の構造例の熱可逆性記録媒体 40:第4の構造例の熱可逆性記録媒体

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発色剤および顕減色剤を含む記録層を支
    持体上に具える熱可逆性記録媒体において、 前記記録層への紫外線の入射を遮断または該紫外線の強
    度を減衰する紫外線吸収層を具えることを特徴とする熱
    可逆性記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の熱可逆性記録媒体にお
    いて、 前記紫外線吸収層が、バインダーと該バインダー中に分
    散している紫外線吸収能を有する材料とを含む層である
    ことを特徴とする熱可逆性記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の熱可逆性記録媒体にお
    いて、 前記紫外線吸収層が、紫外線吸収能を有する材料の層で
    あることを特徴とする熱可逆性記録媒体。
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の熱可逆性記録
    媒体において、 前記紫外線吸収能を有する材料が、紫外線を吸収する官
    能基を主鎖に有するポリマーであることを特徴とする熱
    可逆性記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の熱可逆性記録媒体にお
    いて、 前記紫外線吸収層が、紫外線を吸収する官能基を主鎖に
    有するポリマーが架橋しているものの層であることを特
    徴とする熱可逆性記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の熱可逆性記録
    媒体において、 前記ポリマーが、ポリ(2−ヒドロキシ−4−(メタク
    リロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)であること
    を特徴とする熱可逆性記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱
    可逆性記録媒体において、 前記紫外線吸収層を、前記記録層に対して前記支持体側
    とは反対側に具えることを特徴とする熱可逆性記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱
    可逆性記録媒体おいて、 前記紫外線吸収層を、前記記録層に対して前記支持体側
    に具えることを特徴とする熱可逆性記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱
    可逆性記録媒体において、 前記紫外線吸収層を、前記記録層に対して前記支持体側
    および前記支持体とは反対側双方に具えることを特徴と
    する熱可逆性記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    熱可逆性記録媒体において、 前記紫外線吸収層と前記記録層との間に前記紫外線吸収
    層中の材料が前記記録層に拡散するのを防止するバリア
    層を具えることを特徴とする熱可逆性記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載
    の熱可逆性記録媒体において、 前記発色剤がロイコ染料であることを特徴とする熱可逆
    性記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003103681A (ja) * 2001-07-27 2003-04-09 Pilot Ink Co Ltd 耐光性熱変色体

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