JP2000210558A - 吸着剤及びそれを用いた酸素ガスの製造方法 - Google Patents

吸着剤及びそれを用いた酸素ガスの製造方法

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JP2000210558A
JP2000210558A JP11015317A JP1531799A JP2000210558A JP 2000210558 A JP2000210558 A JP 2000210558A JP 11015317 A JP11015317 A JP 11015317A JP 1531799 A JP1531799 A JP 1531799A JP 2000210558 A JP2000210558 A JP 2000210558A
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air
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zeolite
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Akinori Eshita
明徳 江下
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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸水しても充分に満足できる性能を持った吸着
剤、及びそれを用いた空気PSA法での酸素取出し能力
が低下しにくい酸素ガスの製造方法を提供する。 【解決手段】リチウムイオンでイオン交換されたSiO
2/Al23モル比が1.9〜2.4のX型ゼオライト
を、60℃〜100℃の温度範囲で通風乾燥し、その乾
燥温度での平衡含水率とし、続けて、室温から40℃の
温度範囲で通風冷却して、その冷却温度での平衡含水率
とした後に、活性化された吸着剤、及び該吸着剤を空気
に接触させ、圧力揺動吸着法により空気中の窒素ガスを
選択的に吸着させる空気分離方法により、空気から濃縮
酸素ガスを得る酸素ガスの製造方法を用いる

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオンで
イオン交換されたSiO2/Al23モル比が1.9〜
2.4のX型ゼオライトの吸着剤、及びそれを用いた圧
力揺動吸着法(Pressure Swing Ads
orption法、以降PSA法と略す)による酸素ガ
スの製造方法に関し、特に、吸着剤本来の性能を十分に
発揮できる吸着剤、及び空気PSA法での酸素取出し能
力が低下しにくい当該吸着剤を用いることを特徴とする
酸素ガスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素ガスは工業ガスの中でも特に重要な
ガスの一つであり、製鉄、パルプ漂白等を中心に広く用
いられている。特に最近では、空気中での燃焼では避け
られないNOx発生の低減を目的に、ゴミ焼却、ガラス
溶融等の分野で酸素富化燃焼が実用化されており、環境
問題の点からも濃縮酸素ガスの重要性は増大している。
【0003】酸素ガスの工業的製法としては、空気を原
料とし、PSA法、深冷分離法、膜分離法が知られてい
るが、近年は、酸素ガスの純度及びコストにおいて有利
なPSA法の比率が増大している。
【0004】PSA法による酸素ガスの製造は、空気中
の窒素ガスを吸着剤に吸着させ、残った濃縮酸素ガスを
製品として取出す方法であり、よって、この方法に用い
られる吸着剤としては窒素ガスを選択的に吸着できるこ
とが必須である。
【0005】このPSA法に用いられる吸着剤として
は、従来は、カルシウムイオン交換された結晶性ゼオラ
イトXまたはゼオライトAが用いられていた。近年は、
米国特許3140933号公報に示されるように、リチ
ウムイオン交換結晶性ゼオライトXは空気分離特性が優
れている吸着剤として提案されており、特公平5−25
527号公報においては、その性能が再確認されるに至
っている。
【0006】従来のPSA法に一般的に用いられてきた
カルシウム交換結晶性ゼオライトXまたはAの吸着剤
は、高価な原料を用いずに得られるため吸着剤コストが
安い反面、吸着性能は十分とは言えなかった。また、リ
チウム交換結晶性ゼオライトXの吸着剤は、優れた性能
を有する反面、リチウムが非常に高価な金属であり、か
つゼオライトとのイオン交換性が低いため、吸着剤コス
トが極めて高く、その結果、この様な吸着剤を用いて製
造した酸素ガスのコストも高価であった。
【0007】この様なリチウムイオンあるいはカルシウ
ムイオン交換結晶性ゼオライトXあるいはAを吸着剤と
して使用するには、通常、活性化と呼ばれる脱水工程が
必要であり、通常は、ガス流通下にて熱的に行われる。
充分な脱水のために、温度、時間および風量などの各種
条件が吟味され、最適な条件が選択されている。
【0008】しかしながら、活性化後の種々の工程や不
注意な取扱い方法によっては、充分に脱水され活性化さ
れた吸着剤への周囲雰囲気からの再吸水が懸念され、吸
水度合いが増大すると吸着剤性能が低下するという問題
があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、吸水しても
充分に満足できる性能を持った吸着剤、及びそれを用い
た空気PSA法での酸素取出し能力が低下しにくい酸素
ガスの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、周囲雰囲気か
ら簡単に吸水する、リチウムイオンでイオン交換された
SiO2/Al23モル比がX型ゼオライトについて鋭
意検討を行った結果、本発明の乾燥方法で乾燥された後
に活性化されたリチウムイオン交換X型ゼオライト吸着
剤は、たとえ吸水しても窒素の吸着量が著しく高いた
め、充分に満足できる吸着剤性能を持ち、また、該吸着
剤を空気分離のPSA法に用いた場合、酸素ガスの取出
し能力が低下しにくい方法であることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0011】すなわち、本発明は、リチウムイオンでイ
オン交換されたSiO2/Al23モル比が1.9〜
2.4のX型ゼオライトを、60℃〜100℃の温度範
囲で通風乾燥し、その乾燥温度での平衡含水率とし、続
けて、室温から40℃の温度範囲で通風冷却して、その
冷却温度での平衡含水率とした後に、活性化された吸着
剤を提供するものでり、更には、該吸着剤を空気に接触
させ、圧力揺動吸着法により空気中の窒素ガスを選択的
に吸着させる空気分離方法により、空気から濃縮酸素ガ
スを得ることを特徴とする酸素ガスの製造方法を提供す
るものである。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明のX型ゼオライトは、SiO2/A
23モル比が1.9〜2.4であることを必須とす
る。SiO2/Al23モル比が2.4を越えると通常
のX型ゼオライトとなり、本発明の範疇を越える。一
方、2.0未満では、理論的にゼオライト構造自体が形
成されないことが知られているが、化学組成分析の測定
上の誤差等を考慮した場合、ゼオライト結晶成分のSi
2/Al23モル比1.9〜2.0の範囲の組成が本
発明の範囲に入ることは明らかである。
【0014】本発明のSiO2/Al23モル比が1.
9〜2.4のX型ゼオライトは、リチウムイオンに交換
されていることを必須とする。交換方法としては、特に
限定するものではなく、一般的なリチウムイオンを含有
する水溶液に浸漬する方法などで達成される。但し、リ
チウムイオンは交換速度が遅いため、温度、水溶液濃
度、リチウム溶質仕込み量および繰返し回数などに工夫
が必要である。また、イオン交換率は、特公平7−57
300号公報にあるように、ゼオライト中のAlモル数
に対して80%以上であることが好ましい。80%以上
であれば、交換率の増加に比例して性能が向上するため
である。
【0015】本発明のリチウムイオンでイオン交換され
たSiO2/Al23モル比が1.9〜2.4のX型ゼ
オライトは、60℃〜100℃の温度範囲で通風乾燥
し、その乾燥温度での平衡含水率とし、続けて、室温か
ら40℃の温度範囲で通風冷却して、その冷却温度での
平衡含水率とすることを必須とする。平衡含水率とは、
通風ガスの温度及び湿度という外部条件と平衡する含水
率のことであり、温度が低いほど、湿度が高いほど、こ
の値は大となる材料特有の値である。すなわち、本発明
のX型ゼオライトは、含水率を小さくした後、大きくす
ることを必須とする。
【0016】通風ガスの種類は特には限定されないが、
通常、周囲大気を用いた場合が簡便である。周囲大気を
用いて60℃〜100℃の温度範囲で通風乾燥した場合
の平衡含水率は、湿度にも依るが、26%〜20%(無
水質量基準)である。一方、周囲大気を用いて室温から
40℃の温度範囲で通風冷却した場合は、30%〜33
%(無水質量基準)である。
【0017】また、通風ガスの通風方法についても特に
限定されず、イオン交換カラムをそのまま用いた1パス
通風(通風方向も限定されない)、箱型の乾燥器を用い
た循環通風、などの方法でよい。但し、1パス通風の場
合、風量によってはゼオライトの流動化の懸念があるた
め平衡含水率となるまでに長時間を要する傾向があり、
一方、循環通風の場合には平衡含水率が1パス通風と比
較して大きい傾向を示す。
【0018】本発明のX型ゼオライトは吸着剤として機
能するため、活性化されることを必須とする。活性化と
は、単純には脱水工程であり、通常は、ガス流通下にて
熱的に行われる。充分な脱水のために、機器、温度、時
間および風量などの各種条件が吟味され、最適な条件が
選択されている。
【0019】本発明でいう圧力揺動法は、圧力を変動さ
せながら空気中の窒素を選択的に吸着剤に吸着させ、製
品として酸素ガスを得る酸素PSA法であれば、その運
転条件には特に限定はなく、例えば3塔式PSA法や、
最近実用化が進んでいる2塔式PSA法などが挙げられ
る。
【0020】本発明の特徴である、リチウムイオンでイ
オン交換されたSiO2/Al23モル比が1.9〜
2.4のX型ゼオライトを、60℃〜100℃の温度範
囲で通風乾燥し、その乾燥温度での平衡含水率とし、続
けて、室温から40℃の温度範囲で通風冷却して、その
冷却温度での平衡含水率とした後に、活性化された吸着
剤であれば、吸水しても充分に満足できる性能を持った
吸着剤であり、更には、該吸着剤を用いた空気PSA法
による酸素ガスの製造方法であれば、酸素取出し能力が
低下しにくい方法とすることが出来る。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】まず、実施例および比較例における各種の
方法について述べる。
【0023】・化学組成の分析 試料を硝酸とフッ酸を用いて溶解した後、ICP発光分
析装置パーキンエルマー社製optima3000を用
いて測定した。
【0024】・残存水分量の測定 JIS−K−0068に記載の電量滴定法による試験方
法を参考とし、カールフィッシャー水分計(三菱化学
製,水分測定器:CA−06型,水分気化器:VA−2
1型)を用いた。活性化された試料300mgを手早く
精秤し、水分気化器内の空焼きされた試料ボートに投入
し、乾燥窒素300mL/分の流通下、400℃まで加
熱した。水分量は、試料量と水分測定器の表示値から、
下式に従って計算した。
【0025】水分量(W)=G/(S×106)×10
0 (単位:重量%) G=水分の表示値(μg) S=試料の質量(g) ・静的窒素吸着量測定方法 日本ベル社製BELSORP28SAを用いて、以下の
操作手順に従って測定した。尚、操作温度は25℃であ
る。約500mgの試料を、重量が既知の試料ホルダー
に投入し、装置に装着した。測定前処理として、0.0
01torr以下の圧力で2時間、脱気処理を行った。
脱気処理された試料を含むホルダーの重量から、試料の
正確な重量を算出した。再度、装置に装着し、窒素ガス
の導入を開始した。吸着圧力は約200torrとし、
十分平衡に達した時の吸着圧力から、予め測定しておい
た死容積にて補正し、窒素吸着容量(cc/g)を算出
した。その後、吸着圧力が約800torrに到達する
まで、同様の操作を8ポイントで行った。得られた吸着
圧力と窒素吸着容量の組合わせ結果をラングミュア近似
式に代入し、正確な760torrでの窒素吸着容量を
計算した。
【0026】・PSA評価方法(動的評価方法) 図1に示したPSA評価装置を用いて製品酸素ガス取出
し量および酸素濃度を、以下の操作手順にしたがって求
めた。なお、操作温度は25℃で行った。吸着塔(7)
にゼオライト吸着剤を約1300g充填する。吸着工程
時にはブロワー(1)で0.2kg/cm2Gに圧縮し
た空気を電磁弁(2,4,5)を開にして吸着塔内に流
通させる。その時の流量は流量計(9)で調整した。再
生工程時には電磁弁(2,4,5)は閉じ、電磁弁
(3)を開にして真空ポンプ(12)で減圧した。この
時の到達圧力180mmHgは一定にした。復圧工程時
には電磁弁(3)は閉じ、電磁弁(4)を開にした蓄圧
塔(8)内の製品酸素ガスで吸着塔内を復圧する。各工
程の時間は1分とし、電磁弁の動作はシーケンサーによ
り制御した。製品酸素ガスの酸素濃度は、その値が定常
になった後、酸素濃度計(10)で読取り、積算流量計
(11)の値から、0℃、1気圧での製品酸素ガスの取
出し量を算出した。圧力は圧力計(6)で読取った。
【0027】実施例1 リチウムイオンでイオン交換されたSiO2/Al23
モル比が2.0のX型ゼオライトの成形体の作製を行っ
た。合成,成形,焼成およびイオン交換の各工程を示
す。
【0028】合成:SiO2/Al23モル比が2.
0のX型ゼオライトの合成を、従来より知られている方
法により行った。
【0029】内容積20リットルのステンレス製反応容
器に、アルミン酸ナトリウム水溶液(Na2O=20.
0重量%,Al23=22.5重量%)3888g,水
7923g,水酸化ナトリウム(純度99%)および試
薬特級水酸化カリウム(純度85%)1845gを入
れ、60rpmで攪拌しながらで冷却した(a液:〜5
℃)。内容積10リットルのポリエチレン容器にケイ酸
ナトリウム水溶液(Na2O=3.8重量%,SiO2
12.6重量%)7150gおよび水1176gを入れ
冷却した(b液:〜10℃)。a液を攪拌しながらb液
を約5分かけて投入した。投入後の溶液は透明であっ
た。投入終了後20分間攪拌を継続した後、ウォーター
バスの温度を36℃に昇温した。液内部の温度が約20
℃に上昇したとき、溶液が白濁しゲル化が始まった。溶
液が白濁すると同時に攪拌を停止し攪拌羽根を取り出
し、ゲル内部に温度を調べるために熱電対を挿入し、3
6℃で48時間熟成を行った。その後、ウォーターバス
の温度を70℃に昇温し、20時間結晶化を行った。得
られた結晶を純水で十分に洗浄した後、100℃で1晩
乾燥した。得られた結晶粉末の構造は、X線回折の結果
フォージャサイト単相であり、また組成分析の結果、こ
のものの化学組成は0.72Na2O・0.28K2O・
Al23・2.0SiO2であり、SiO2/Al23
ル比が2.0のX型ゼオライトであることが確認され
た。
【0030】成形:次いで、SiO2/Al23モル
比が2.0のX型ゼオライトの成形体を作製した。
【0031】上述の方法で合成されたSiO2/Al2
3モル比が2.0のX型ゼオライトの粉末100重量
部、カオリン粘土系結合材20重量部を混合し(各ドラ
イ換算重量)、更に水を加えて混練し、転動造粒後、8
〜12メッシュに整粒した。このビーズ成形体を通風乾
燥器中110℃の温度で乾燥し、SiO2/Al23
ル比が2.0のX型ゼオライトのビーズ成形体を得た。
【0032】焼成:次いで、SiO2/Al23モル
比が2.0のX型ゼオライトのビーズ成形体の焼成を行
った。
【0033】炉は横型電気管状炉であり、発熱体が3分
割(各3kw)され、各発熱体は、PID式温度調整器
により各々独立して温度制御される。各発熱体は、流通
ガスの流入方向より、それぞれ、発熱体1,2,3と呼
ぶ。この炉に用いる炉心管は、SUS304製で内径1
08mm,長さ1300mmのものを使用した。炉心管
には熱交換用のスチールウールを充填し、その長さは、
流通ガス入口端の内側5cmから、炉心管を炉に装着し
た時に炉の発熱体2と発熱体3の境にちょうど収るよう
に充填した。
【0034】SiO2/Al23モル比が2.0のX型
ゼオライトのビーズ成形体約2.4リットルを、炉心管
の流通ガス出口側から炉心管に充填し(剤長:約27c
m)、充填層後端部から流通ガス出口端までをスチール
ウールで蓋をし、隙間なく形成されたビーズ成形体の充
填層がハンドリングやガスで崩れないようにした。この
X型ゼオライトのビーズ成形体が充填された炉心管を、
上述の様な位置関係となるように電気炉に装着した。
【0035】その後、温度計測用の熱電対を充填層の前
端部と後端部に挿入し、時間経過に伴う温度変化を記録
計で記録した。流通ガスの乾燥は、周囲大気をコンプレ
ッサーにより圧縮し、さらに、ゼオライト乾燥剤を充填
した塔にガスを流通させて行った。乾燥度は、露点で表
して−25℃であった。この乾燥大気を、120リット
ル/分の流量で炉心管に流通させた。その後、電気炉の
発熱体1,2を運転し、充填層の前端部が600℃とな
るように温度調整器を設定した。焼成時間は、前端部で
2時間保持した。焼成終了後、このビーズ成形体は、水
和による急激な発熱を抑制するため、大気中に3日間、
放置した。
【0036】イオン交換:前述のSiO2/Al23
モル比が2.0のX型ゼオライトのビーズ成形体の焼成
物を、内径7cm、長さ70cmのPVC製カラム(ジ
ャケット付き)に充填した。ゼオライト中のAlモル数
に対して6倍のリチウム(Li)イオンを含む塩化リチ
ウム水溶液、濃度1.5モル/リットルを調製し、ポン
プを用いてアップフローでカラムに循環流通させた。カ
ラムジャケットの温度を70℃に保ち、24時間行っ
た。その後、カラム内の残液を除去し、続けて、ゼオラ
イト中のAlモル数に対して3倍のリチウムイオンを含
む、濃度1.5モル/リットルの新たな塩化リチウム水
溶液を用いて、同様な操作を行った。カラム内の残液を
除去し、純水30リットルを流通させて洗浄した。イオ
ン交換率は化学組成の分析値から、Alモル数に対する
Liモル数を百分率(%)で表して86%であった。
【0037】乾燥:上述の方法で調製された、リチウ
ムイオンでイオン交換されたSiO2/Al23モル比
が2.0のX型ゼオライトのビーズ成形体の乾燥は、ビ
ーズ成形体が充填されたイオン交換カラムに、熱風を通
風させることで行った。
【0038】まず、イオン交換及び純水洗浄後、カラム
内の残液を除去した後、ブロワーを用いて周囲空気をス
チーム加熱間接熱交換器に通風して75℃に加熱し、イ
オン交換カラムに導いた。通風方向は、アップフローで
ある。充填層後端の温度が熱風によってほぼ75℃とな
ってから、2時間、この状態を保持した。その後、熱交
換器へのスチーム供給を調整し、熱風温度を40℃とし
た。充填層後端の温度がほぼ40℃となってから、2時
間後、ブロワーの運転を停止し、カラムからリチウムイ
オンでイオン交換されたSiO2/Al23モル比が
2.0のX型ゼオライトのビーズ成形体を取り出した。
このビーズ成形体の含水率は約30%であった。
【0039】活性化:乾燥されたリチウムイオンでイ
オン交換されたSiO2/Al23モル比が2.0のX
型ゼオライトのーズ成形体の活性化を図2を用いながら
説明する。以下の手順で実施した。
【0040】炉は縦型連続式移動床であるシャフトキル
ンであり(13,縦型中空円筒管,SUS316製,外
径114mm,内径108mm,全長2.7m)、架台
に固定してある。また、成形体温測定のため数本の熱電
対(14)がキルン中心部まで挿入してある。更に、ビ
ーズ成形体供給のため上部にホッパ(15)を連接して
いる。一方、下部にはビーズ成形体取出しのため回転速
度可変機構付モーター(16)に直結した水平円盤(1
7,直径250mm,SUS304製,名称:テーブル
フィーダー)を、15mmの距離をおいて円盤中心とキ
ルン中心が一致するように配置した。流通ガスの導入
は、キルン下端から20〜30cmの部分を2重管構造
(18)とし、キルン周囲6ヶ所に三角形の切込み(1
9)を入れることで管体の内部に導かれる。一方、流通
ガスの排出は(20)、キルン管体上部をノズルを付け
た穴なしフランジで蓋をし、真空ブロワ(21,日立製
作所,商品名:ボルテックスブロワ,型式:VB−00
2S−G)にて吸引排出した。ブロワの吸入管・排出管
をバルブ(22)で連結することにより、吸引圧力を調
整している。尚、成形体の供給ホッパは上述したフラン
ジを貫通している。一方、流通ガスの加熱は、金属製炉
心管に熱交換用のスチールウールを充填した横型電気管
状炉(23,出力10kw,全長1m)を流通させて行
い、発熱体はPID式温度調整器により温度制御され
る。加熱されたガスは、グラスウール断熱材を巻いた配
管を通し、上述の2重管構造部に導かれ、キルンに流通
される。上述の配置を図2に示す。
【0041】以下の手順で、実際の活性化を実施した。
リチウムイオンでイオン交換されたSiO2/Al23
モル比が2.0のX型ゼオライトのーズ成形体をホッパ
から投入し、キルン内およびホッパの空間を全て満たし
た。周囲大気をコンプレッサーで圧縮し、さらに、ゼオ
ライト乾燥剤を充填した塔にガスを流通させて得た乾燥
空気を、ガス加熱用電気炉から流通した。流量はシャフ
トキルンの水平断面積に対する線速度で表して0.1ノ
ルマルm/秒(ノルマル/秒とは、0℃,1気圧の状態
を示す;以降、Nで示す)となる様に設定し、約55N
L/分である。また、この空気の露点は−45℃であっ
た。次いで、真空ブロワの運転を開始し、ブロワの吸引
度はキルン下部から周囲空気を吸込まないようにバルブ
で調整した。ガス加熱用電気炉にて乾燥空気の加熱を開
始し、シャフトキルンのビーズ成形体の温度が500℃
となるガス温度を維持するようにPID式温度調整器を
設定した。
【0042】キルン内のビーズ成形体の温度は2重管構
造部から上昇を始め、次第にキルン上部へと500℃の
均熱帯が形成されていった。数時間後、熱電対の温度分
布から均熱帯の長さが約30cmとなった時、テーブル
フィーダーを起動した。その回転速度は、均熱帯長さが
変化しないように速度を随時調整した。フィーダー起動
直後は、未活性化のビーズ成形体が排出されていたが、
約4時間後には活性化されたビーズ成形体が排出され
た。ビーズ成形体の取出しに伴い、次第に上部ホッパか
らキルンへとビーズ成形体が自動的に供給されるが、ホ
ッパが空にならないように適宜、ビーズ成形体を補給し
た。ビーズ成形体の加熱時間は、均熱帯長さに存在する
成形体重量を単位時間当りの排出重量で除することによ
り求まるが、本実施例では約3時間と計算された。
【0043】フィーダー起動から5時間後、その間のキ
ルンの運転は安定しており、この時点から活性化された
ビーズ成形体の採取を開始し、鉄製3リットル缶に8分
目ほど採取したところで、直ぐ様、蓋で密閉して、放置
冷却した。この操作を、3回、繰返した。
【0044】この様にして活性化され、採取された都合
4ヶのビーズ成形体の残存水分量は、採取順に、0.5
4%,0.36%,0.46%,0.20%であり、こ
れらに対応するラングミュア式から計算される静的窒素
吸着量(25℃,760torr)は、13.5cc/
g,14.4cc/g,14.0cc/g,14.8c
c/gであった。また、PSA評価方法(動的評価方
法)による製品酸素ガス取出し量を、上記3点目の試料
について測定したところ、76.3Nリットル/kg・
Hであった。測定結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】比較例1 乾燥を下記の方法で行った以外は、実施例1と同様な操
作、評価を行った。
【0047】比較例での乾燥方法:実施例〜の方法
で調製された、リチウムイオンでイオン交換されたSi
2/Al23モル比が2.0のX型ゼオライトのビー
ズ成形体の乾燥は、イオン交換での純水洗浄後、カラム
よりビーズ成形体を抜き出し、JIS30メッシュの金
網で作られたバット皿にて、一晩、風乾し、その後、バ
ット皿ごと40℃の箱型循環乾燥器にて、3日間、乾燥
した。このビーズ成形体の含水率も、実施例1同様に、
約30%であった。尚、活性化されたビーズ成形体の採
取は、都合3ヶである。これらの試料の残存水分量は、
採取順に、0.35%,0.19%,0.29%であ
り、また、これらに対応する静的窒素吸着量は13.2
cc/g、14.3cc/g,13.8cc/gであっ
た。更に、PSA評価方法による製品酸素ガス取出し量
は70.0Nリットル/kg・Hであった。測定結果を
表1に示す。
【0048】以上の実施例と比較例を比較すると、残存
水分量の増加による窒素吸着量の低下が抑制されている
ことが判る。
【0049】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のリチウムイオンでイオン交換されたSiO2/Al2
3モル比が1.9〜2.4のX型ゼオライトを、イオン
交換後の乾燥で含水率を小さくした後、大きくすること
ことによって、活性化後の残存水分量が多くても、静的
窒素吸着量が多く、よって、吸水しても充分に満足でき
る性能を持った吸着剤とすることが出来、更には、吸水
による吸着剤性能の低下度合いを減少させるため、空気
PSA法における製品酸素ガス取出し量の低下を抑制す
ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゼオライト吸着剤のPSA評価装置の系統図で
ある。
【図2】シャフトキルンの系統図である。
【図3】残存水分量と静的窒素吸着量の関係図である
【符号の説明】
1:ブロワー 2〜5:電磁弁 6:圧力計 7:吸着塔 8:蓄圧塔 9:流量計 10:酸素濃度計 11:積算流量計 12:真空ポンプ 13:キルン本体 14:測温用熱電対 15:供給ホッパ 16:回転速度可変機構付モーター 17:水平円盤(テーブルフィーダー) 18:2重管部 19:三角形の切込み 20:流通ガスの排出口 21:真空ブロワ 22:排気圧制御バルブ 23:ガス加熱炉

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウムイオンでイオン交換されたSiO
    2/Al23モル比が1.9〜2.4のX型ゼオライト
    を、60℃〜100℃の温度範囲で通風乾燥し、その乾
    燥温度での平衡含水率とし、続けて、室温から40℃の
    温度範囲で通風冷却して、その冷却温度での平衡含水率
    とした後に、活性化されることを特徴とする吸着剤。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の吸着剤を空気に接触さ
    せ、圧力揺動吸着法により空気中の窒素ガスを選択的に
    吸着させる空気分離方法により、空気から濃縮酸素ガス
    を得ることを特徴とする酸素ガスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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