JP2000208872A - 半導体素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体素子及びその製造方法

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JP2000208872A
JP2000208872A JP11005604A JP560499A JP2000208872A JP 2000208872 A JP2000208872 A JP 2000208872A JP 11005604 A JP11005604 A JP 11005604A JP 560499 A JP560499 A JP 560499A JP 2000208872 A JP2000208872 A JP 2000208872A
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semiconductor
semiconductor device
disordered
waveguide
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Junichi Kinoshita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流狭窄構造や回折格子を正確且つ容易に形
成することができる半導体素子及びその製造方法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 MQW構造の一部を無秩序化することに
よって残りの部分のみを正確且つ容易に選択酸化するこ
とができる。その結果として、電流狭窄構造を極めて正
確且つ容易に形成することができる。また、所定のマス
クを介してMQW構造を無秩序化させることにより、再
成長工程を経ることなく、基板面に対して垂直な回折格
子も水平な回折格子も正確且つ容易に形成することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子及びそ
の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、所定
の通電領域にのみ電流を狭窄する構造や、回折格子など
の光学的手段を備えた半導体レーザなどの半導体素子及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子は、機能させるべきpn接合
に効率良く少数キャリアを注入する必要がある場合が多
い。例えば、半導体レーザにおいては、小さい体積の共
振器にのみ電流を狭窄する必要がある。通常は、逆方向
にバイアスが印加されるpn接合を非通電領域に形成し
て電流をブロックする。この構成は極めて一般的なので
図示しないが、電流ブロック層を結晶成長で形成するた
め成長回数が多くなるという欠点があった。
【0003】また、この逆バイアスpn接合の接合容量
によって、CR(容量・抵抗)のロールオフが増加し、
1Gbps以上の高速駆動が難しくなるという欠点もあ
った。
【0004】最近は、VCSEL(垂直共振器型レー
ザ:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)で用い
られている、AlAsの選択酸化による電流狭窄方式が
注目されている。この選択酸化による電流狭窄構造を以
下に図面を参照して説明する。
【0005】図11は、GaAlAs/GaAs系端面
発光型レーザを表す説明図である。すなわち、同図
(a)は、その製造工程途中の断面概念図であり、同図
(b)は、その完成状態の断面概念図である。
【0006】このレーザの製造にあたっては、まず、G
aAs基板101上に、n型GaAlAs(Al組成
比:0.3)クラッド層102、GaAsとGaAlA
sからなるMQW(多重量子井戸:multi-quantum wel
l)構造の活性層103(付随する導波路層も含む)、
薄い(約0.1μm厚)p型GaAlAs(Al組成
比:0.3)クラッド層104、続いて、p型AlAs
層105(0.1μm厚)、p型p型GaAlAs(A
l組成比:0.3)第2クラッド層106、p型GaA
sコンタクト層107を成長する。
【0007】次に、同図(b)のように、p型AlAs
層105まで達するメサストライプ110をパターニン
グとエッチングにより形成する。ストライプの幅は約1
0μmである。次に、水蒸気酸化によりp型AlAs層
105を外側から酸化して、最後に、2μm以下の幅の
p型AlAs層105が残り、それ以外p型AlAs層
105の部分を酸化膜115に変成させる。
【0008】最後に、図11(b)に表したように、電
極120、121を形成して端面発光型レーザが完成す
る。このようにして形成された端面発光型レーザにおい
ては、電極121を介して注入された電流は、酸化膜1
15によりブロックされ、2μm以下の幅のp型AlA
s層105の通電領域のみを通って、活性層103に狭
窄される。このように、活性層103に対して、電流を
狭窄して注入することにより、高い効率のレーザ発振を
得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この選択酸化
法では、10μmもの広い幅のメサストライプ110か
ら、最後は2μm以下の狭い幅のp型AlAs層5を残
すために、メサストライプ110の両脇から4μm以上
の選択酸化をする必要がある。最終的なp型AlAs層
105の幅を再現性良く得るのは、選択酸化の制御性の
点から極めて困難である。これは、半導体素子の製造上
の大きな問題点である。
【0010】また、AlAsを酸化して酸化膜を形成す
る際に体積変化が起こり、メサストライプ110の両端
が反って結晶全体に大きなダメージを与え、素子の信頼
性を劣化させるという問題もあった。
【0011】一方、以上説明した電流狭窄構造とは別
に、半導体レーザや光変調器などの半導体素子において
は、導波路に沿って光学的な作用を与える光学的手段を
設ける場合が多い。このような光学的手段としては、例
えば、回折格子などの周期的構造を挙げることができ
る。このような光学手段を形成する場合において、以下
に詳述するような種々の問題があった。
【0012】例えば、ホログラムの一種である回折格子
を設けた導波路を有する光半導体素子がある。このよう
な光半導体素子としては、分布帰還型レーザ(DFB: Dis
tributed Feedback Laser)が有名である。これを作製
するためには、下地の半導体材料に光学的手段として回
折格子を刻印し、その上に結晶成長を行う必要があっ
た。
【0013】基板が導波路光に対して透明な場合は、基
板に回折格子を刻んで、その上に活性層を含めた導波路
の層構造を結晶成長する。しかし、この場合は下地が回
折格子であるために凹凸ができ、基板主面と異なる面方
位の斜面が現れる。この面方位と凹凸のため、その上の
活性層等の層構造が平坦になりにくいという問題があっ
た。
【0014】図12は、従来の分布帰還型レーザの製造
工程の要部を説明する工程断面図である。すなわち、同
図に例示したレーザは、InGaAsP/InP系DF
Bレーザである。
【0015】このDFBレーザの製造にあたっては、ま
ず、n型InP基板201上に回折格子210を形成す
る。その上に、n型InGaAsP導波路層202と組
成の異なるInGaAsPのウエル・バリア多層構造か
らなるMQW活性層203、p型InP層204、p型
InGaAsコンタクト層205を順次結晶成長する。
しかし、この場合には、活性層203は、基板上の回折
格子210の影響を受けて凹凸が回復されず結晶性も悪
くなる。その結果として、発光効率が低下し、信頼性も
劣化しやすいなどの問題があった。
【0016】一方、図13は、より一般的に広く行われ
ている方法を表す工程断面図である。すなわち、活性層
を成長した後に導波路構造の一部に回折格子を形成し、
その上に結晶成長する。この場合、これに関する結晶成
長の回数だけでも2回になる。
【0017】同図の工程を具体的に説明すると、まず、
平坦なn型InP基板201上にMQW活性層203、
p型InGaAsP導波路層202を成長する。
【0018】次に、ウェーハを成長炉から一旦取り出し
て、この上に回折格子210を形成する。次に、p型I
nP層204、p型InGaAsコンタクト層205を
結晶成長する。この場合、p型InGaAsコンタクト
層205の表面は回折格子210から距離があるため比
較的平坦に回復する。活性層203は、すでに平坦な基
板201の上に平坦に成長されている。つまり、半導体
素子の重要な層構造には、回折格子の凹凸の影響は少な
い。
【0019】しかし、この場合においても、回折格子上
へのオーバグロース(overgrowth:再成長)が必要であ
った。すなわち、ウェーハを結晶成長炉から一旦取り出
して回折格子を形成し、再び結晶成長炉に導入して結晶
成長を行う。このオーバグロースの成長界面には、不純
物や結晶欠陥が高い密度で導入されやすく、素子の初期
特性や信頼性を低下させる要因のひとつとなっていた。
【0020】回折格子をもたないFP(Fabry-Perot)
型の半導体レーザの場合は、リッジ導波路型(Ridge Wa
veguide:RWG)構造を採用すると、結晶成長は1回
で済み、上記した問題を回避できる。しかし、DFBレ
ーザの場合には、前述した回折格子上の結晶成長、すな
わちオーバグロースのために、一回の結晶成長のみでデ
バイスを実現するのが困難であった。
【0021】一方、結晶成長後に無理に回折格子をRW
Gの側面に形成したり、メサの上面に回折格子を形成す
る構成も考えられる。しかし、これらの場合は、回折格
子が導波路のコア部から離れすぎたり、電極にじゃまさ
れたりして、回折効果を十分に得にくいという問題があ
る。
【0022】本発明は、以上詳述した種々の課題の認識
に基づいてなされたものである。すなわち、その目的
は、従来の半導体素子の電流狭窄構造が有する欠点を克
服し、狭いストライプ幅を容易に精度良く得られ、酸化
にともなう結晶へのダメージを減らすことができる半導
体素子及びその製造方法を提供することにある。本発明
は、同時に、半導体レーザに適用した場合、良好な導波
路機能も付与するものである。
【0023】また、本発明の目的は、1回の結晶成長工
程により回折格子などの光学的手段を有する構造を製造
することができる半導体素子及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の半導体素子は、互いに異なる組成の半導体
からなる少なくとも2種類の層を周期的に積層した半導
体積層体を備え、前記半導体積層体の一部は、無秩序化
された通電領域とされ、前記通電領域に隣接した前記半
導体積層体の他の一部は、前記2種類の層のうちの少な
くともいずれかが酸化された高抵抗領域とされ、注入さ
れた電流が前記高抵抗領域によって阻止されて前記通電
領域に集中することを特徴とし、電流狭窄構造を極めて
正確且つ容易に形成することができる。
【0025】また、本発明の望ましい実施の形態として
は、n型の半導体からなる第1のクラッド層と、活性層
と、p型の半導体からなる第2のクラッド層と、をさら
に備え、前記通電領域に集中した電流が前記活性層の一
部に流入して発光を生ずるようにすることが望ましい。
【0026】さらに、前記通電領域は、前記高抵抗領域
よりも高い屈折率を有し、導波路を構成するものとすれ
ば、実屈折率型の典型的な導波路構造を正確且つ容易に
形成することができる。
【0027】また、前記半導体積層体は、前記通電領域
の他にも不純物が導入されて無秩序化された橋脚領域を
有し、前記橋脚領域は、前記高抵抗領域における前記酸
化に伴う体積の変化による変形を防ぐものとして作用す
るものとすれば、酸化による体積変化に起因する「反
り」を防ぐことができる。
【0028】一方、本発明の別の半導体素子は、光を導
波する導波路を備えた半導体素子であって、互いに異な
る組成の半導体からなる少なくとも2種類の層を周期的
に積層した半導体積層体を備え、前記半導体積層体は、
無秩序化された第1の領域と、前記第1の領域に隣接し
無秩序化されていない第2の領域とを有し、前記第1の
領域と前記第2の領域との境界面は、前記導波路におい
て導波される光に対して光学的な作用を及ぼす光学的手
段として作用することを特徴とし、再成長させることな
く回折格子などの各種の光学的手段を形成することがで
きる。
【0029】ここで、前記半導体積層体の前記第2の領
域において、前記少なくとも2種類の層の少なくともい
ずれかが酸化されてなることとすると、屈折率の差を拡
大することができ、回折格子などの光学的手段の性能を
さらに改善することができる。
【0030】また、前記光学的手段として、前記導波路
において導波される光についてブラッグ回折を生じさせ
る回折格子を形成すれば、高性能のDFBレーザなどの
各種の光半導体素子を正確且つ容易に形成できる。
【0031】ここで、選択酸化を容易に生じさせるため
には、前記半導体積層体の前記少なくとも2種類の層の
少なくともいずれかは、アルミニウム(Al)を含有し
てなるものとすることが望ましい。
【0032】また、無秩序化を確実に生じさせるために
は、不純物として、亜鉛(Zn)またはベリリウム(B
e)を導入し、または、原子空孔を移動させることが望
ましい。
【0033】一方、本発明の半導体素子の製造方法は、
注入された電流が高抵抗領域によって阻止されて通電領
域に集中するものとして構成された半導体素子の製造方
法であって、互いに異なる組成の半導体からなる少なく
とも2種類の層を周期的に積層した半導体積層体を形成
する工程と、前記半導体積層体の一部を無秩序化するこ
とにより通電領域を形成する工程と、前記半導体積層体
の他の一部において、前記2種類の層のうちの少なくと
もいずれかを酸化することにより前記通電領域に隣接す
るように高抵抗領域を形成する工程と、を備えたことを
特徴とし、電流狭窄構造を正確且つ容易に実現すること
ができる。
【0034】または、本発明の半導体素子の製造方法
は、光を導波する導波路を有し、前記導波路において導
波される光に対して光学的な作用を及ぼす光学的手段を
さらに有する半導体素子の製造方法であって、互いに異
なる組成の半導体からなる少なくとも2種類の層を周期
的に積層した半導体積層体を形成する工程と、前記半導
体積層体の上に、前記光学的手段の形状を反映したマス
クを形成する工程と、前記半導体積層体を前記マスクの
形状に対応して選択的に無秩序化することにより前記光
学的手段を形成する工程と、を備えたことを特徴とし、
回折格子などの光学的手段を有する半導体素子を正確且
つ容易に製造することができる。
【0035】ここで、前記光学的手段を形成する前記工
程の後に、前記半導体積層体の前記無秩序化されていな
い部分において、前記2種類の層のうちの少なくともい
ずれかを酸化する工程をさらに備えたものとすれば、屈
折率の差を拡大して光学的手段の性能をさらに改善する
ことができる。
【0036】また、前記光学的手段として、前記導波路
において導波される光についてブラッグ回折を生じさせ
る回折格子を形成すれば、高性能のDFBレーザなどの
各種の光半導体素子を正確且つ容易に製造することがで
きる。
【0037】ここで、前記無秩序化工程は、前記半導体
積層体に対して亜鉛(Zn)またはベリリウム(Be)
を選択的に導入し、または、前記半導体積層体の一部に
おいて原子空孔の移動を促進させることにより行うこと
により、無秩序化を確実に生じさせることができる。
【0038】本発明によれば、結晶成長の回数を減ら
し、一回の結晶成長だけで得られたウェーハを加工して
光導波路をつくることができる。すなわち、複雑な結晶
成長とその間の加工工程が少ないとコストが下がる。ま
た、工程を大幅に短縮できる。さらに、工程途中での失
敗の危険度も減る。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明は、超格子を無秩序化させ
ると酸化されにくくなる現象を積極的に利用して、所定
の電流狭窄構造や回折格子を正確且つ容易に形成するこ
とができる半導体素子及びその製造方法を提供するもの
である。
【0040】以下に本発明の実施例を図面を参照しなが
ら詳細に説明する。
【0041】図1は、本発明の第1の実施の形態にかか
る半導体素子を表す斜視概念図である。同図の半導体素
子は、電流狭窄構造を有する半導体レーザであり、略直
方体状の素子上面には、両側にトレンチ30がそれぞれ
設けられている。
【0042】その構造を説明すると、GaAs基板1の
上に、n型GaAlAsクラッド層2、MQW構造の活
性層3(付随する導波路層も含む)、p型GaAlAs
クラッド層4が順次積層され、その上に、電流狭窄構造
が設けられている。
【0043】電流狭窄構造は、素子の中央部にストライ
プ状の無秩序化領域18aが形成され、その両側には、
高抵抗領域15が形成されている。さらに、この電流狭
窄構造の上には、p型コンタクト層7が形成されてい
る。また、基板1の裏面側には、n側電極20が形成さ
れ、コンタクト層7の上には、p側電極21が形成され
ている。
【0044】ここで、ストライプ状の無秩序化領域は、
例えばAlAs/GaAlAsからなる超格子に亜鉛な
どの不純物を導入することにより層構造を消失させて形
成することができる。または、このような超格子におい
て原子空孔の移動を促進させることによっても形成する
ことができる。このように無秩序化させると、中間的な
組成を有するGaAlAs領域が得られる。従って、こ
の無秩序化領域は、導電率が高く、電極21を介して注
入された電流の経路となる。
【0045】一方、高抵抗領域15は、超格子構造を酸
化させることにより形成されたものである。つまり、ト
レンチ30に露出している端部から、超格子を酸化させ
ると、AlAs/GaAlAs超格子の場合には、Al
As層が優先的に酸化されて酸化層となる。その結果と
して、超格子は電気的に高抵抗化し、電流をブロックす
る。
【0046】次に、本実施形態の半導体レーザの製造方
法について具体例を参照しつつ説明する。
【0047】図2は、本実施形態の半導体レーザの製造
方法を表す概念工程断面図である。
【0048】まず、同図(a)に表したように、半導体
の積層構造を形成する。具体的には、GaAs基板1の
上に、n型GaAlAs(Al組成比:0.3)クラッ
ド層2、GaAsとGaAlAsからなるMQW構造の
活性層3(付随する導波路層を含めても良い)、約0.
1μm厚のp型GaAlAs(Al組成比:0.3)ク
ラッド層4、続いて、非常に薄いAlAs層16とGa
AlAs(Al組成比:0.5)17を交互に重ねた多
重量子井戸(MQW)構造18を成長する。さらに、p
型GaAsコンタクト層7を成長する。ここまでの積層
構造全体の厚さは、例えば1μm程度である。
【0049】次に、図2(b)に表したように、無秩序
化領域18aを形成する。具体的には、p型コンタクト
層7の上に図示しないマスクを設け、ストライプ状にp
型GaAlAs層4まで達するように亜鉛(Zn)など
の不純物を拡散する。ストライプの幅は、例えば2μm
程度とする。不純物の導入法としては、例えば、イオン
注入法や気相拡散法あるいは固相拡散法などをもちいる
ことができる。また、導入する不純物としては、ベリリ
ウム(Be)なども同様に用いることができる。
【0050】この工程により、多重量子井戸(MQW)
構造18は無秩序化し、微細なMQW構造が実質的に消
失する。つまり、AlAs層16とGaAlAs(A
l:0.5)17は混合して、中間的な組成を有するG
aAlAsからなる無秩序化領域18aが形成される。
例えば、AlAs層16とGaAlAs(Al組成比:
0.5)17の厚さがほぼ同じ場合には、丁度中間の組
成のGaAlAs(Al組成比:0.75)の層が形成
される。
【0051】次に、図2(c)に表したように、無秩序
化領域18aの両側にトレンチ30をそれぞれ設ける。
さらに、このトレンチ30の内壁面に露出している端面
からAlAs層16を選択的に酸化させて、高抵抗領域
15を形成する。このとき、AlAs層16の酸化は、
トレンチ30の内壁面から無秩序化領域18aに向かっ
て進行するが、中間的な組成を有する無秩序化領域18
aは、酸化されにくく選択酸化をくい止める。つまり、
無秩序化領域18aは酸化されないので、その幅によっ
て再現性良く通電領域を形成できる。このように、本発
明によれば、無秩序化領域18aのパターンに応じて選
択酸化された高抵抗領域15を自動的に規定できる。高
抵抗領域15を形成した後に、電極20及び21を形成
し、さらにウェーハを分割して半導体レーザ素子が完成
する。
【0052】本発明によれば、MQW構造の一部を無秩
序化することによって残りの部分のみを正確に選択酸化
することができる。その結果として、電流狭窄構造を極
めて正確且つ容易に形成することができる。
【0053】本発明のこの効果をより顕著にするために
は、MQW構造を構成する2種類の半導体層のうちのい
ずれかが特に酸化されやすく、無秩序化された場合には
酸化されにくくなるように、MQW構造を設計すれば良
い。具体的には、例えば、アルミニウム(Al)を高い
濃度で含有する層と、低い濃度で含有する(もしくは含
有しない)層とによりMQW構造を形成すると、高いア
ルミニウム濃度の層は非常に酸化されやすく、同時に無
秩序化した組成ではあまり酸化されないようにすること
ができる。
【0054】一方、電流通電部となる無秩序化領域18
aは、非通電領域となる両側の高抵抗化領域15より屈
折率が高いので、導波路機能を有する。したがって、実
屈折率型の典型的な導波路構造も実現できる。この場合
にも、導波路となる無秩序化領域18aの形状と寸法と
を不純物の導入により正確且つ容易に規定することがで
きるという効果が得られる。
【0055】図2においては、亜鉛やベリリウムなどの
不純物を導入することにより無秩序化する例を表した。
しかし、無秩序化領域18aを形成する方法としては、
この他にも、原子空孔の移動を促進せさる方法がある。
この方法を開示した文献としては、例えば、S.−F.
Yu and E.Herbert Li,らによりI
EEE Journal of Selected T
opics in Quantum Electron
ics誌(Vol.4,pp.723−735,199
8)に掲載された、「Semicinductor L
asers Using Diffused−Quan
tum Well Structures(Invit
ed Paper)」なる技術論文を挙げることができ
る。
【0056】この方法の一例について説明すると、例え
ば、GaAlAs/GaAs系の超格子において、その
表面にSiO2膜またはSi34膜を形成して熱処理を
施すと、超格子の内部における原子空孔の移動を促進さ
せ、無秩序化を生じさせることができる。これは、「S
iO2(あるいはSi34)−Induced Int
erdiffusion」と呼ばれる。このメカニズム
は、次のように説明されている。すなわち、III族原子
(ガリウム)が高温(900℃)において外部に抜け出
し(out−diffusion)、そこに原子空孔が
できて、この原子空孔が超格子の内部に拡散することに
より、超格子の周期性を破壊して、無秩序化する。ここ
で、ガリウム(Ga)が外部に抜け出す速度、すなわち
out−diffusion rate は、表面に形
成された酸化膜または窒化膜との界面でのストレス(i
nterface stress)に応じて加速され
る。このような界面でのストレスは、例えば、超格子と
酸化膜または窒化膜との膨張係数の差に起因する。この
ようにして、界面のストレスにより、ガリウム原子空孔
の生成が加速される結果として、原子空孔の移動も促進
され、さらにIII族原子自体の超格子構造での拡散も促
進される。その結果として、酸化膜または窒化膜の下の
超格子構造が無秩序化する。
【0057】本発明によれば、このような酸化膜または
窒化膜の形成による原子空孔の移動による無秩序化現象
を利用しても同様に半導体素子を形成することができ
る。
【0058】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。
【0059】図3は、本発明の第2の実施の形態にかか
る半導体素子を表す斜視概念図である。すなわち、同図
の半導体素子も、電流狭窄構造を有する半導体レーザで
あり、略直方体状の素子上面には、両側にトレンチ30
がそれぞれ設けられている。図3に関しては、図1に表
した半導体レーザと同様の部分には同一の符号を付して
詳細な説明は省略する。
【0060】本実施形態の半導体レーザは、ストライプ
状の無秩序化領域18aの他にも、高抵抗化領域15に
おいて部分的に無秩序化領域18bが設けられている点
に特徴を有する。すなわち、図3に表した具体例におい
ては、通電領域となる無秩序化領域18aの両側にスポ
ット状に無秩序化領域18bが設けられている。
【0061】このようにスポット状の無秩序化領域18
bを設けることによって、酸化にともなうメサストライ
プの「反り」を防ぐことができる。この効果を製造工程
を参照しつつ以下に説明する。
【0062】図4は、本実施形態の半導体レーザの要部
製造工程を表す概略工程断面図である。すなわち、同図
は、図3のA−A線断面図であり、図2に関して前述し
た部分と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明
は省略する。
【0063】本実施形態においては、図4(b)に表し
たように、通電領域となる無秩序化領域18aの形成と
同時にスポット状の無秩序化領域18bを形成する。こ
の後に、トレンチ30の内壁面からMQW構造18を選
択酸化させて図4(c)に表したように高抵抗化領域1
6を形成する。ここで、スポット状の無秩序化領域18
bの位置を中央の無秩序化領域18aからある程度離し
て形成すれば、両者の間の部分も確実に酸化させて高抵
抗化することができる。
【0064】ここで、MQW構造18が酸化すると体積
変化が生じ、図4(c)に想像線(矢印A)で表したよ
うに、メサストライプ部の両端に「反り」が生ずること
がある。これに対して、本実施形態によれば、スポット
状の無秩序化領域18bが、MQW構造の下の層と上の
層とをつなぎとめる「橋脚」の役割を果たす。つまり、
無秩序化領域18bを設けることによって、メサストラ
イプ部の「反り」を防ぐことができる。
【0065】本実施形態における無秩序化領域18b
は、高抵抗化領域15を形成するための選択酸化の進行
を妨げることがなく、且つメサストライプ部の「反り」
を防ぐために必要な面積を有するように形成すれば良
い。例えば、図3に表した具体例においては、メサスト
ライプ部の長さLが300〜800μm、幅Wが8〜1
0μmであり、また通電領域となる無秩序化領域18a
の幅Waが1〜2μmの場合に、スポット状の無秩序化
領域18bの幅Wbを例えば1μm程度とすることがで
きる。また、メサストライプ部の「反り」を効果的に防
ぐためには、「橋脚」となる無秩序化領域18bを中央
部の無秩序化領域18aに接近させて配置するよりもメ
サストライプ部の端に配置した方が良い。
【0066】無秩序化領域18bのパターン形状は、図
示したような正方形状には限定されず、その他にも例え
ば円形や楕円形あるいは長方形などの多角形状などとし
ても良い。また、その大きさや数あるいは位置について
も、個々の半導体素子の寸法パターンに応じて適宜決定
することができる。
【0067】また、無秩序化領域18bにおいて電流が
流れると、電流狭窄の効果が低下する。この問題を防ぐ
ためには、例えば、図3或いは図4に例示したように、
電極21を選択的に形成して、無秩序化領域18bへの
電流の流入を抑制すれば良い。
【0068】一方、本実施形態においても、前述したよ
うな酸化膜または窒化膜の形成による原子空孔の移動に
よる無秩序化現象を利用しても同様に半導体素子を形成
することができる。
【0069】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。本実施形態は、MQW構造を無秩序化して形
成した回折格子を有する半導体素子に関する。
【0070】以下、本実施形態の半導体素子について、
その製造方法を参照しつつ説明する。
【0071】図5は、本発明の第3の実施の形態にかか
る半導体素子の要部製造方法を表す斜視概念図である。
【0072】本実施形態においては、まず、図5(a)
に表したように、n型InP基板51の上に、MQW構
造からなる活性層(多層構造)53を成長し、続けて、
p型InPクラッド層54、p+型InGaAsコンタ
クト層55を成長する。
【0073】次に、コンタクト層55の上に、回折次数
が2次のブラッグ回折格子に対応するパターンを有する
SiO2マスク60を形成する。このパターン周期は、
波長1300nmの波長帯に対しては約400nmであ
り、1550nm帯に対しては約480nmである。回
折次数が1次の回折格子の周期は、これらの半分であり
微細なために加工が難しい。加工精度の点からも、2次
以上の周期とすることが望ましい。
【0074】次に、図5(b)に表したように、SiO
2マスク60を用いて、亜鉛(Zn)を拡散する。ある
いは、ベリリウム(Be)等をイオン注入してアニール
しても良い。前述したように、拡散あるいはイオン注入
された不純物は、温度によって活性層53のMQW構造
を無秩序化し、無秩序化領域80を形成する。これによ
って、SiO2マスクのパターンが活性層53に転写さ
れる。つまり、MQW構造を有する活性層53は、スト
ライプ状でその側面に周期的凹凸を有するものとなる。
活性層53の側面の周期的凹凸は、回折格子として作用
する。
【0075】本具体例の場合は、活性層53と無秩序化
領域80との屈折率の差はあまり大きくないので、いわ
ゆるゲイン・ロス(gain/loss)型の周期構造としての
利得結合(gain coupling)型のDFBレーザが得られ
る。なお、図5においては省略したが、コンタクト層5
5の上面にはp側電極が形成され、n型InP基板51
の裏面にはn側電極が形成される。
【0076】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、再成長を必要とせずに回折格子を備えたDFBレー
ザを製造することができる。
【0077】また、本実施形態においても、前述したよ
うな酸化膜または窒化膜の形成による原子空孔の移動に
よる無秩序化現象を利用しても同様に半導体素子を形成
することができる。但し、この場合には、無秩序化させ
る部分の表面に酸化膜または窒化膜を形成する必要があ
るので、図5に表したマスク60のパターンが反転す
る。
【0078】次に、本発明の第4の実施の形態について
説明する。本実施形態は、基板面に対して平行な回折格
子を有する半導体素子に関するものである。以下、製造
工程の具体例を参照しつつ本実施形態の半導体素子につ
いて説明する。
【0079】図6及び図7は、本実施形態にかかる半導
体レーザの要部製造工程を表す斜視概念図である。
【0080】本実施形態においても、まず、図6(a)
に表したように、n型InP基板51の上に、MQW構
造からなる活性層(多層構造)53を成長し、続けて、
活性層53よりバンドギャップの大きく光学的に透明な
MQW導波路構造52、p型InPクラッド層54、p
+型InGaAsコンタクト層55、InPダミー層5
6を成長する。
【0081】次に、回折格子60をInPダミー層56
の上に全面に形成する。本実施形態においては、側面の
回折格子ではなく上面に凹凸を形成することになる。こ
の回折格子60も、後に詳述するように拡散深さの精度
に合わせて深く(概ね100nm以上)形成する必要が
ある。従って、加工の容易さの点からも回折次数が2次
以上の回折格子とすることが望ましい。
【0082】次に、図6(b)に表したように、回折格
子60を介して、亜鉛(Zn)を拡散する。あるいは、
ベリリウム(Be)等をイオン注入してアニールしても
良い。これらの不純物を導入する深さは、深い部分が導
波路層2に達して、さらに進行する深さとする。この工
程により拡散領域70が形成される。導入された不純物
は、導波路層52のMQW構造を回折格子の深さに応じ
て部分的に無秩序化する。すなわち、MQW構造が実質
的に消失して平均的な組成を有する無秩序化領域80が
形成される。このようにして、導波路層52には表面の
回折格子60が転写される。
【0083】本具体例の場合も、屈折率の差はあまり大
きくないので、無秩序化のために導入する亜鉛やベリリ
ウムなどの不純物あるいは、原子空孔が活性層53の上
側にも一部到達するようにして、活性層そのもののゲイ
ン・ロス特性を制御するようにしても良い。
【0084】次に、図7(a)に表したように、最上層
のInPダミー層56を塩酸(HCl)などによって選
択的に除去する。すると平坦なコンタクト層55が現れ
る。
【0085】次に、図7(b)に表したように、コンタ
クト層55とクラッド層54をストライプ状にパターニ
ングしてリッジ状のメサストライプ58を形成する。さ
らに、ストライプ58の上に図示しないp側電極を形成
し、InP基板の裏面に図示しないn側電極を形成し
て、ウェーハを分割することにより、リッジ導波路( R
idge Waveguide:RWG)型の半導体レーザ素子が完成
する。
【0086】本実施形態においても、再成長させること
なく、基板面に対して水平な回折格子を有する半導体素
子を正確且つ容易に得ることができる。
【0087】また、本実施形態においても、前述したよ
うな酸化膜または窒化膜の形成による原子空孔の移動に
よる無秩序化現象を利用しても同様に半導体素子を形成
することができる。
【0088】次に、本発明の第5の実施の形態について
説明する。本実施形態は、MQW構造を無秩序化させた
領域を残して選択酸化をすることにより回折格子を形成
した半導体素子に関する。
【0089】以下、製造方法の具体例を参照しつつ、本
実施形態の半導体素子について説明する。図8は、本実
施形態にかかる半導体素子の要部製造工程を表す斜視概
念図である。
【0090】本実施形態においても、まず、同図(a)
に表したように、n型InP基板51の上に、MQW構
造からなる活性層(多層構造)53を成長する。続け
て、MQW導波路構造2を成長する。このMQW構造
は、平均的バンドギャップが活性層53よりも大きいこ
とが必要とされ、例えば、InAlAsバリア層とIn
GaAsPウエル層とを交互に積層した構造とすること
ができる。
【0091】この後は、前述した実施形態と同様に、p
型InPクラッド層54、p+型InGaAsコンタク
ト層55を成長する。
【0092】次に、回折次数が2次の回折格子に対応し
たパターンを有するSiO2マスク60を形成する。こ
のマスク60も、加工精度の点からは2次以上の周期を
有するものとすることが望ましい。但し、第3実施形態
に関する図5とは異なり、本実施形態においては、マス
ク60のパターンは反転して、ストライプの部分が抜け
ている。
【0093】次に、図8(b)に表したように、このマ
スク60を用いて、亜鉛(Zn)を拡散する。あるい
は、ベリリウム(Be)等の不純物をイオン注入してア
ニールしても良い。導入された不純物は、温度によって
活性層のMQW構造53を部分的に無秩序化する。これ
により微細なMQWの層構造が崩れて、ウエル層とバリ
ア層の中間的な組成を有する無秩序化領域80が形成さ
れる。このストライプ状の無秩序化領域80の側面に
は、マスク60の回折格子パターンが転写される。
【0094】ここで、無秩序化領域80においては、酸
化されやすいInAlAsバリア層が消失して中間的な
組成のInAlGaAsPからなる5元混晶に変質し、
酸化されにくくなる。
【0095】次に、無秩序化領域80から離れた外側の
側面から導波路層52中のInAlAs層を水蒸気雰囲
気中でアニールして酸化させ、Al(アルミニウム)の
酸化物に変化させていく。この酸化を行うためには、図
1乃至図4に例示したように、トレンチを形成しても良
い。この酸化は、無秩序化領域80で停止する。こうし
て、側面に回折格子が形成された無秩序化領域80と、
その外側の酸化物を含む酸化領域70が形成される。
【0096】この後に、コンタクト層55の上に図示し
ないp側電極を形成し、基板51の裏面に図示しないn
側電極を形成して、ウェーハを分割することにより、半
導体レーザ素子が得られる。
【0097】本実施形態においても、再成長工程を経る
ことなく、回折格子を有する半導体素子を得ることがで
きる。
【0098】さらに、本実施形態においては、前述した
第3実施形態とは異なり、回折格子の内側と外側で大き
な屈折率差が得られる。無秩序化された半導体層の屈折
率が3.3程度と大きいのに対し、酸化膜は1.5程度
と約半分になるからである。ゆえに、回折格子の効率
が、格段に高くなるという効果も得られる。
【0099】また、本実施形態においては、酸化領域は
電流も流さないため電流ブロック層としても作用し、ス
トライプ状の無秩序化領域80に電流を狭窄できる。す
なわち、電流狭窄効果も併せて得られ、まさに一石二鳥
である。
【0100】また、本実施形態においても、前述したよ
うな酸化膜または窒化膜の形成による原子空孔の移動に
よる無秩序化現象を利用しても同様に半導体素子を形成
することができる。但し、この場合には、無秩序化させ
る部分の表面に酸化膜または窒化膜を形成する必要があ
るので、図8に表したマスク60のパターンが反転す
る。
【0101】次に、本発明の第6の実施の形態について
説明する。本実施形態は、基板面に対して平行な回折格
子を形成し、且つ選択酸化することにより屈折率差を大
きくした半導体素子に関する。
【0102】以下、製造方法の具体例を参照しつつ、本
実施形態の半導体素子について説明する。図9及び図1
0は、本実施形態にかかる半導体素子の要部製造工程を
表す斜視概念図である。
【0103】本実施形態においても、図9(a)に表し
たように、n型InP基板51上に、MQW構造からな
る活性層(多層構造)53を成長、続けて、活性層3よ
り平均的なバンドギャップの大きい透明なMQW導波路
構造52、p型InPクラッド層54、p+型InGa
Asコンタクト層55、InPダミー層56を成長す
る。ここで、本実施形態においては、導波路層52のM
QW構造を、InAlAsバリア層とInGaAsPウ
エル層との積層構造とする。
【0104】さらに、InPダミー層56の上に、2次
の回折格子60を形成する。
【0105】次に、図9(b)に表したように、回折格
子60の上から亜鉛(Zn)を拡散する。あるいは、ベ
リリウム(Be)等の不純物をイオン注入してアニール
しても良い。不純物を導入する深さは、深い部分が導波
路層52に達して、さらに進行する深さとする。このよ
うして拡散領域70が形成される。導入された不純物
は、導波路層52のMQW構造を無秩序化する。この無
秩序化領域を80とする。これによって、導波路層52
にはInPダミー層56表面の回折格子60が転写され
る。
【0106】次に、図10(a)に表したように、最上
層のInPダミー層56を塩酸(HCl)などによって
選択的に除去する。すると平坦なコンタクト層55が現
れる。 次に、図10(b)に表したように、コンタク
ト層55とクラッド層54とをストライプ状にパターニ
ングしてリッジ状のメサストライプ58を形成する。
【0107】次に、導波路層52のうちで無秩序化を免
れたMQW構造のInAlAsバリア層を側面からすべ
て水蒸気雰囲気中でアニールして酸化させて酸化領域5
2bを形成する。そうすると、導波路層52の回折格子
は、Al(アルミニウム)の酸化物を有する酸化領域5
2bと無秩序化領域80との間で大きな屈折率差を有す
るようになる。なお、ここで、InAlAsバリア層の
選択酸化を容易に行うためには、図1乃至図4に例示し
たようなトレンチを形成しても良い。または、リッジ5
8を形成する際に、導波路層52も同時にリッジ58に
含めるように加工しても良い。
【0108】また、酸化により生じた酸化層をふっ酸系
エッチャントなどにより選択的に除去すると、いわゆる
空洞(air gap)型の回折格子とすることができる。
【0109】この後に、リッジ58の上に図示しないp
側電極を形成し、基板51の裏面に図示しないn側電極
を形成して、ウェーハを分割すれば、リッジ導波路(Ri
dgeWaveguide:RWG)型の高性能DFBレーザ素子が
完成する。
【0110】本実施形態においても、再成長させること
なく回折格子を備えた半導体素子を得ることができる。
【0111】さらに、本実施形態においては、導波路層
52の一部を選択的に酸化することにより、回折格子の
効率が格段に高くなるという効果も得られる。
【0112】また、本実施形態においても、前述したよ
うな酸化膜または窒化膜の形成による原子空孔の移動に
よる無秩序化現象を利用しても同様に半導体素子を形成
することができる。
【0113】以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の
形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具
体例に限定されるものではない。たとえば、半導体素子
を構成する材料としては、InGaAlP/GaAs
系、GaAlAs/GaAs系、InGaAs/InG
aP/GaAs系等、本発明の主旨を逸脱しない限りい
かなる材料を用いた場合についても同様に適用して同様
の効果を得ることができる。
【0114】また、無秩序化や選択酸化を生じさせるM
QW構造は、2種類の層を交互に積層させたものに限定
されず、3種類以上の組成の層を周期的に積層させたも
のであったも良い。
【0115】また、半導体素子の構造としては、DFB
レーザの他にもDBR(Distributed Bragg Reflecto
r:分布ブラッグ反射型)レーザや、回折格子結合型(G
ratingCoupler)レーザなどの各種のレーザについても
同様に適用することができる。
【0116】電流狭窄構造についても、半導体素子の構
造に応じて適宜変更することができ、端面型半導体レー
ザに限らず、VCSELやLED(発光ダイオード)な
どの各種の発光素子、さらにトランジスタやダイオード
あるいは集積回路素子などの半導体素子についても同様
に適用可能である。
【0117】さらに、本発明は、半導体レーザ以外に
も、光変調器や受光素子など、回折格子などの所定のパ
ターンを形成する必要があるすべての半導体素子につい
て同様に適用できる。また、光半導体素子を一部とする
各種の集積デバイスにももちろん適用できる。
【0118】また、本発明によれば、光学的手段とし
て、単純な周期的構造である回折格子の他にも、位相シ
フトや、導波路の幅や厚さを変化させる実効的な位相シ
フト構造を形成することもできる。つまり、本発明は、
ホログラフィック(holographic)な微細パターンに限
らず、それより寸法の大きな導波路形状の変化のような
光学的手段についても同様に適用可能である。
【0119】
【発明の効果】本発明は、以上説明した形態で実施さ
れ、以下に説明する効果を奏する。
【0120】まず、本発明によれば、MQW構造の一部
を無秩序化することによって残りの部分のみを正確且つ
容易に選択酸化することができる。その結果として、電
流狭窄構造を極めて正確且つ容易に形成することができ
る。
【0121】また、本発明によれば、電流通電部となる
無秩序化領域は、非通電領域となる両側の高抵抗化領域
より屈折率が高いので、導波路機能を有する。したがっ
て、実屈折率型の典型的な導波路構造も実現できる。こ
の場合にも、導波路となる無秩序化領域の形状と寸法と
を不純物の導入により正確且つ容易に規定することがで
きるという効果が得られる。
【0122】また、本発明によれば、酸化領域のなかに
スポット状の無秩序化領域を設けることにより、MQW
構造の下の層と上の層とをつなぎとめる「橋脚」の作用
が得られる。つまり、無秩序化領域を設けることによっ
て、メサストライプ部の「反り」を防ぎ、結晶の劣化を
解消することができる。
【0123】一方、本発明によれば、所定のマスクを介
してMQW構造を無秩序化させることにより、再成長工
程を経ることなく、基板面に対して垂直な回折格子も水
平な回折格子も正確且つ容易に形成することができる。
【0124】さらに、本発明によれば、このようにして
形成した回折格子の一部を選択的に酸化することによっ
て、屈折率の差を大きくすることができ、回折格子の効
率を大幅に高くして実屈折率型の導波路構造を容易に形
成することができる。
【0125】さらに、本発明によれば、選択的に酸化す
ることによって電流狭窄構造と回折格子効果とを同時に
実現することもできる。
【0126】以上説明したように、本発明によれば、高
性能の半導体レーザなどの半導体素子を正確且つ容易に
提供することができ、産業上のメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる半導体素子
を表す斜視概念図である。
【図2】第1実施形態の半導体レーザの製造方法を表す
概念工程断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる半導体素子
を表す斜視概念図である。
【図4】第2実施形態の半導体レーザの要部製造工程を
表す概略工程断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる半導体素子
の要部製造方法を表す斜視概念図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる半導体レーザの
要部製造工程を表す斜視概念図である。
【図7】本発明の第4実施形態にかかる半導体レーザの
要部製造工程を表す斜視概念図である。
【図8】本発明の第5実施形態にかかる半導体素子の要
部製造工程を表す斜視概念図である。
【図9】本発明の第6の実施形態にかかる半導体素子の
要部製造工程を表す斜視概念図である。
【図10】本発明の第6の実施形態にかかる半導体素子
の要部製造工程を表す斜視概念図である。
【図11】従来のGaAlAs/GaAs系端面発光型
レーザを表す説明図である。
【図12】従来の分布帰還型レーザの製造工程の要部を
説明する工程断面図である。
【図13】より一般的に広く行われている従来の方法を
表す工程断面図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板 2 n型GaAlAsクラッド層 3 MQW構造の活性層(付随する導波路層も含む) 4 p型GaAlAsクラッド層 5 p型AlAs層 6 p型GaAlAsクラッド層 7 p型GaAsコンタクト層 10 メサストライプ 15 酸化膜(酸化領域) 16 AlAs薄層 17 GaAlAs薄層 18 17+16によるMQW構造 18a 18のMQW構造が無秩序化された領域 18b 外側の無秩序化されたスポット領域 20 n側電極 21 p側電極 51 InP基板 52 InGaAsP導波路層 53 MQW構造の活性層 54 InPクラッド層 55 InGaAsコンタクト層 56 InPダミー層 58 リッジ状メサストライプ 60 マスク 70 拡散もしくはインプラ領域 80 MQW構造の無秩序化された領域 101 GaAs基板 102 n型GaAlAsクラッド層 103 MQW構造の活性層(付随する導波路層も含
む) 104 p型GaAlAsクラッド層 105 p型AlAs層 106 p型GaAlAsクラッド層 107 p型GaAsコンタクト層 110 メサストライプ 115 酸化膜(酸化領域)

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに異なる組成の半導体からなる少なく
    とも2種類の層を周期的に積層した半導体積層体を備
    え、 前記半導体積層体の一部は、無秩序化された通電領域と
    され、 前記通電領域に隣接した前記半導体積層体の他の一部
    は、前記2種類の層のうちの少なくともいずれかが酸化
    された高抵抗領域とされ、 注入された電流が前記高抵抗領域によって阻止されて前
    記通電領域に集中することを特徴とする半導体素子。
  2. 【請求項2】n型の半導体からなる第1のクラッド層
    と、 活性層と、 p型の半導体からなる第2のクラッド層と、 をさらに備え、 前記通電領域に集中した電流が前記活性層の一部に流入
    して発光を生ずることを特徴とする請求項1記載の半導
    体素子。
  3. 【請求項3】前記通電領域は、前記高抵抗領域よりも高
    い屈折率を有し、導波路を構成することを特徴とする請
    求項1または2に記載の半導体素子。
  4. 【請求項4】前記半導体積層体は、前記通電領域の他に
    も無秩序化された橋脚領域を有し、 前記橋脚領域は、前記高抵抗領域における前記酸化に伴
    う体積の変化による変形を防ぐものとして作用すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導
    体素子。
  5. 【請求項5】光を導波する導波路を備えた半導体素子で
    あって、 互いに異なる組成の半導体からなる少なくとも2種類の
    層を周期的に積層した半導体積層体を備え、 前記半導体積層体は、無秩序化された第1の領域と、前
    記第1の領域に隣接し無秩序化されていない第2の領域
    とを有し、 前記第1の領域と前記第2の領域との境界面は、前記導
    波路において導波される光に対して光学的な作用を及ぼ
    す光学的手段として作用することを特徴とする半導体素
    子。
  6. 【請求項6】前記半導体積層体の前記第2の領域におい
    て、前記少なくとも2種類の層の少なくともいずれかが
    酸化されてなることを特徴とする請求項5記載の半導体
    素子。
  7. 【請求項7】前記光学的手段は、前記導波路において導
    波される光についてブラッグ回折を生じさせる回折格子
    であることを特徴とする5または6に記載の半導体素
    子。
  8. 【請求項8】前記半導体積層体の前記少なくとも2種類
    の層の少なくともいずれかは、アルミニウム(Al)を
    含有してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    1つに記載の半導体素子。
  9. 【請求項9】前記半導体積層体における前記無秩序化さ
    れた前記領域は、亜鉛(Zn)またはベリリウム(B
    e)の導入により形成されてなることを特徴とする請求
    項1〜8のいずれか1つに記載の半導体素子。
  10. 【請求項10】前記半導体積層体における前記無秩序化
    された前記領域は、原子空孔の移動により形成されてな
    ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載
    の半導体素子。
  11. 【請求項11】注入された電流が高抵抗領域によって阻
    止されて通電領域に集中するものとして構成された半導
    体素子の製造方法であって、 互いに異なる組成の半導体からなる少なくとも2種類の
    層を周期的に積層した半導体積層体を形成する積層工程
    と、 前記半導体積層体の一部を無秩序化して通電領域とする
    無秩序化工程と、 前記半導体積層体の他の一部において、前記通電領域に
    隣接するように前記2種類の層のうちの少なくともいず
    れかを酸化して高抵抗領域を形成する酸化工程と、 を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  12. 【請求項12】光を導波する導波路を有し、前記導波路
    において導波される光に対して光学的な作用を及ぼす光
    学的手段をさらに有する半導体素子の製造方法であっ
    て、 互いに異なる組成の半導体からなる少なくとも2種類の
    層を周期的に積層した半導体積層体を形成する積層工程
    と、 前記半導体積層体の上に、前記光学的手段の形状を反映
    したマスクを形成するマスク形成工程と、 前記半導体積層体を前記マスクの形状に対応して選択的
    に無秩序化して前記光学的手段とする無秩序化工程と、 を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  13. 【請求項13】前記無秩序化工程の後に、 前記半導体積層体の前記無秩序化されていない部分にお
    いて、前記2種類の層のうちの少なくともいずれかを酸
    化する酸化工程をさらに備えたことを特徴とする請求項
    12記載の半導体素子の製造方法。
  14. 【請求項14】前記光学的手段は、前記導波路において
    導波される光についてブラッグ回折を生じさせる回折格
    子であることを特徴とする請求項12または13に記載
    の半導体素子の製造方法。
  15. 【請求項15】前記無秩序化工程は、前記半導体積層体
    に対して亜鉛(Zn)またはベリリウム(Be)を選択
    的に導入することにより行うことを特徴とする請求項1
    1〜14のいずれか1つに記載の半導体素子の製造方
    法。
  16. 【請求項16】前記無秩序化工程は、前記半導体積層体
    の一部において原子空孔の移動を促進させることにより
    行うことを特徴とする請求項11〜14のいずれか1つ
    に記載の半導体素子の製造方法。
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