JP2000202308A - 光触媒の製造方法および装置 - Google Patents

光触媒の製造方法および装置

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JP2000202308A
JP2000202308A JP11007373A JP737399A JP2000202308A JP 2000202308 A JP2000202308 A JP 2000202308A JP 11007373 A JP11007373 A JP 11007373A JP 737399 A JP737399 A JP 737399A JP 2000202308 A JP2000202308 A JP 2000202308A
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oxide film
titanium
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cathode
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JP11007373A
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English (en)
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Nobuki Yamashita
信樹 山下
Toshiya Watanabe
俊哉 渡辺
Yutaka Tonegawa
裕 利根川
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】可視領域においても安定して作用可能な光触媒
を低コストで簡単に製造することができる光触媒の製造
方法およびその装置を提供する。 【解決手段】蒸発装置6のアノード6aとTi含有のカ
ソード6bとの間でアーク放電を発生させてカソード6
bを気化させてTiイオン103をフィルタ5で選択し
て基材100へ照射すると共に酸素104をプラズマ化
して基材100へ照射することにより基材100の表面
に酸化チタン膜101を形成する酸化チタン膜形成工程
と、蒸発装置7のアノード7aとCrからなるカソード
7bとの間でアーク放電を発生させてカソード7aを気
化させる注入物質気化工程と、Crイオン107を選択
して基材100へ照射するイオン選択工程と、基材10
0に負極性のパルスバイアス電圧を印加して、Crイオ
ン107を基材100の表面の酸化チタン膜101に注
入するイオン注入工程とを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光の照射によ
っても触媒活性を発現し、可視光照射下での窒素酸化物
等の分解反応ができる光触媒の製造方法および装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンは、光エネルギを化学エネル
ギに常温でクリーンに変換させる光触媒機能を有するた
め、環境浄化等への応用が期待されている。酸化チタン
は、光活性を向上させるための超微粒子化や金属添加
や、可視領域の光を利用するための色素の吸着などが行
われる。
【0003】このような光触媒は、約380nmよりも
短い紫外光で高い活性を発現するものの、これよりも長
い波長の可視光領域で定常的に活性を発現することが困
難であった。例えば、酸化チタンを用いる光触媒反応の
例として、窒素酸化物の分解反応などは、紫外光照射下
のみで当該反応が効率的に進行するため、太陽光だけだ
と5%程度の紫外光しか利用できないことから、別の紫
外光源を必要としている。
【0004】そこで、直流高電圧(数10kV〜数10
0kV)をかけた引き出し加速電極を用いてCr、V、
Feなどのイオンを電界により加速し、イオンビーム化
して酸化チタンに注入して光吸収帯を可視領域にまでシ
フトさせることにより、酸化チタンを可視領域において
も安定して作用できるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たようにして酸化チタンを可視領域で安定化させる場合
には、次のような問題があった。
【0006】Cr、V、Feなどの金属イオンを酸化
チタンに注入するには、充分な圧力の金属蒸気を発生さ
せたり、金属プラズマを長時間安定に保たなければなら
ず、簡単に行うことができない。 塩化物や弗化物などの流体状の化合物から上記金属の
イオンを発生させる場合には、当該イオンの発生を容易
に行うことができるものの、装置内に金属の付着や腐食
を生じてしまい、装置の保守管理等を頻繁に行わなけれ
ばならず、長時間連続して運転することができない。 上記の場合、イオンビーム側をスキャンしたり酸化
チタン側を移動したりすることにより酸化チタンにイオ
ンをまんべんなく注入することができるが、酸化チタン
の処理面積が大きいと、装置が大型化してしまい、非常
に高価となってしまうだけでなく、処理に多大な時間を
要してしまう。 上記の場合、粉末等の形状にあらかじめ調製した酸
化チタンにイオンを注入するため、非常に手間がかかっ
てしまい、コストが高くなってしまう。
【0007】このようなことから、本発明は、可視領域
においても安定して作用可能な光触媒を低コストで簡単
に長期にわたって安定して製造することができる光触媒
の製造方法およびその装置を提供することを目的とし
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
ための、本発明による光触媒の製造方法は、基材の表面
に酸化チタン膜を形成する酸化チタン膜形成工程と、ア
ノードと注入物質からなるカソードとの間でアーク放電
を発生させて当該カソードを溶融気化させる注入物質気
化工程と、気化した前記注入物質のうち、当該注入物質
のイオンを選択して前記基材へ向けて照射するイオン選
択工程と、前記基材に負極性のパルスバイアス電圧を印
加して、前記注入物質のイオンを当該基材の表面の前記
酸化チタン膜に注入するイオン注入工程とを行うことを
特徴とする。
【0009】上述した光触媒の製造方法において、前記
酸化チタン膜形成工程がアノードとチタンを含有するカ
ソードとの間でアーク放電を発生させて当該カソードを
溶融気化させ、気化したチタンのうち、チタンイオンを
選択して前記基材へ向けて照射すると共に、酸素をプラ
ズマ化して前記基材へ向けて照射することにより、当該
基材の表面に酸化チタン膜を形成することを特徴とす
る。
【0010】上述した光触媒の製造方法において、前記
酸化チタン膜形成工程がチタンを含有するターゲットに
放電ガス雰囲気下で高周波電圧を印加して当該ターゲッ
トのスパッタ粒子を発生させ、当該スパッタ粒子を前記
基材へ向けて照射することにより、当該基材の表面に酸
化チタン膜を形成することを特徴とする。
【0011】前述した課題を解決するための、本発明に
よる光触媒の製造装置は、基材の表面に酸化チタン膜を
形成する酸化チタン膜形成手段と、アノードと注入物質
からなるカソードとの間でアーク放電を発生させて当該
カソードを溶融気化させる注入物質気化手段と、気化し
た前記注入物質のうち、当該注入物質のイオンを選択し
て前記基材へ向けて照射するイオン選択手段と、前記基
材に負極性のパルスバイアス電圧を印加して、前記注入
物質のイオンを当該基材の表面の前記酸化チタン膜に注
入するイオン注入手段とを備えてなることを特徴とす
る。
【0012】上述した光触媒の製造装置において、前記
酸化チタン膜形成手段がアノードとチタンを含有するカ
ソードとの間でアーク放電を発生させて当該カソードを
溶融気化させるチタン気化手段と、気化した前記チタン
のうち、当該チタンのイオンを選択して前記基材へ向け
て照射するチタンイオン選択手段と、酸素をプラズマ化
して前記基材へ向けて照射するプラズマ酸素生成手段と
を備えてなることを特徴とする。
【0013】上述した光触媒の製造装置において、前記
酸化チタン膜形成手段がチタンを含有するターゲットに
放電ガス雰囲気下で高周波電圧を印加して当該ターゲッ
トのスパッタ粒子を発生させ、当該スパッタ粒子を前記
基材へ向けて照射するスパッタ粒子生成手段を備えてな
ることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による光触媒の製造方法お
よびその装置の第一番目の実施の形態を図1に示す。な
お、図1は、その装置の概略構成図である。
【0015】図1に示すように、真空容器1の内部に
は、基材100を上面に保持するホルダ2が配設されて
いる。このホルダ2は、真空容器1を貫通する支柱3に
より支持されている。真空容器1と支柱3との間は、シ
ール4により密封および電気的に絶縁されている。真空
容器1の下方には、図示しない真空排気装置が連結され
ている。
【0016】真空容器1の上部には、90°に曲げられ
た管5aの周囲にコイル5bを巻き付けた一対のフィル
タ5が連結されている。これらフィルタ5のコイル5b
は、磁界発生用の図示しない直流電源にそれぞれ接続し
ている。
【0017】一方の前記フィルタ5には、アノード6a
および金属チタンからなるカソード6bを内蔵したアー
ク式の蒸発装置6が連結されている。この蒸発装置6の
アノード6aとカソード6bとは、これらアノード6a
とカソード6bとの間にアーク放電電圧を供給する直流
アーク電源6cに接続している。なお、アーク放電起動
用のトリガ電極などは、図示が省略されている。
【0018】また、他方の前記フィルタ5には、アノー
ド7aおよびCr、V、Fe、Niなどの注入物質(本
実施の形態ではCr)からなるカソード7bを内蔵した
アーク式の蒸発装置7が連結されている。この蒸発装置
7のアノード7aとカソード7bとは、これらアノード
7aとカソード7bとの間にパルスアーク放電電圧を供
給するパルスアーク電源7cに接続している。なお、ア
ーク放電起動用のトリガ電極などは、図示が省略されて
いる。
【0019】前記真空容器1には、送給された酸素ガス
104を高周波放電等でプラズマ化するプラズマ発生装
置8が取り付けられている。前記支柱3には、ホルダ2
に保持された基材100に負のパルスバイアス電圧(真
空容器1を基準)を印加するパルスバイアス電源9およ
び真空容器1との短絡を切り替えるスイッチ10が接続
されている。
【0020】なお、本実施の形態では、蒸発装置7など
により注入物質気化手段を構成し、他方のフィルタ5な
どによりイオン選択手段を構成し、ホルダ2、支柱3、
シール4、パルスバイアス電源9、スイッチ10などに
よりイオン注入手段を構成し、蒸発装置6などによりチ
タン気化手段を構成し、一方のフィルタ5などによりチ
タンイオン選択手段を構成し、プラズマ発生装置8など
によりプラズマ酸素生成手段を構成し、これらチタン気
化手段、チタンイオン選択手段、プラズマ酸素生成手段
などにより酸化チタン膜形成手段を構成している。
【0021】このような装置を使用した光触媒の製造方
法を次に説明する。まず、始めに、ホルダ2にステンレ
ス鋼からなる基材100を取り付けると共に、蒸発装置
6に金属チタンからなるカソード6bを取り付ける一
方、蒸発装置7に金属Crからなるカソード7bを取り
付けたら、前記真空排気装置を作動して、真空装置1内
を真空排気(1×10-5torr以下)する。
【0022】次に、基材100の表面に酸化チタン膜1
01を形成する酸化チタン膜形成工程を行う。具体的に
は、ホルダ2と真空容器1とを短絡させるようにスイッ
チ10を切り換えた後、蒸発装置6の直流アーク電源6
cを作動してアノード6aとカソード6bとにアーク放
電電圧を供給してアーク放電を発生させると、当該アー
ク放電によりカソード6bが局部的に溶融してカソード
6bを構成する物質が気化し、チタンを含む蒸気、パー
ティクル、イオンなどのチタンプラズマ102がカソー
ド6bの前方に生成する。
【0023】ここで、一方の前記フィルター5の前記直
流電源を作動してコイル5bにより管5a内に磁界を発
生させると、チタンプラズマ102のうち、蒸気やパー
ティクルの大部分がフィルタ5の管5aの内面に付着す
るものの、イオンのみが上記磁界に沿って低エネルギ
(10eV)で真空容器1内に引き出され、チタンイオ
ン103が基材100に照射される。
【0024】これと同時に、真空容器1内圧力を一定値
以下(1×10-3torr以下)に抑制するようにプラズマ
発生装置8に酸素ガス104を送給して高周波放電等で
プラズマ化して酸素ラジカルおよび酸素イオン105を
発生させ、基材2に照射することにより、基材100上
に上記チタンイオン103と共に酸化チタン膜101
(成膜速度:1μm/min.、膜厚:0.05〜10
μm)を形成する。
【0025】このようにして酸化チタン膜形成工程を終
えたら、蒸発装置6およびプラズマ発生装置8を停止す
る一方、蒸発装置7のパルスアーク電源7cを作動して
アノード7aとカソード7bとにパルスアーク放電電圧
を供給してパルスアーク放電を発生させると、当該パル
スアーク放電によりカソード7bが局部的に溶融してカ
ソード7bを構成する物質が蒸発し、Cr金属を含む蒸
気、パーティクル、イオンなどのCrプラズマ106が
カソード7bの前方に生成する(注入物質気化工程)。
【0026】ここで、他方の前記フィルター5の前記直
流電源を作動してコイル5bにより管5a内に磁界を発
生させると、Crプラズマ106のうち、蒸気やパーテ
ィクルの大部分が当該フィルタ5の管5aの内面に付着
するものの、イオンのみが上記磁界に沿って低エネルギ
(10eV)で真空容器1内に引き出され、Crイオン
107が基材100に照射される(イオン選択工程)。
【0027】この状態で、ホルダ2とパルスバイアス電
源9とを接続するようにスイッチ10を切り換えて、基
材100に負のパルスバイアス電圧(150kV)を印
加すると、当該電圧により、Crイオン107が基材1
00に引き込まれ、酸化チタン膜101に注入される
(イオン注入工程)。
【0028】なお、上記パルスバイアス電圧は、前記パ
ルスアーク放電電圧に同期させると共に、前記パルスア
ーク放電電圧よりもパルス幅の長い負の電圧とする。な
ぜなら、蒸発装置7の金属Crからなるカソード7bに
アーク放電電圧が印加されているときに基材100にバ
イアス電圧が印加されていないと、Crイオン107が
低いエネルギ(10eV以下)のまま酸化チタン膜10
1に到達してしまい、酸化チタン膜101上にCr膜を
生成してしまうからである。このため、パルスバイアス
電圧をパルスアーク放電電圧に同期させると共に、パル
スアーク放電電圧よりもパルス幅の長い負の電圧とする
ことにより、Crイオン107を酸化チタン膜101に
被着させることなく注入させることができる。
【0029】ここで、負のパルスバイアス電圧は、10
〜400kVとする。このパルスバイアス電圧が10k
V未満であると、Crイオン107のエネルギが低すぎ
て注入することがほとんどできず、パルスバイアス電圧
が400kVを越えると、装置規模や操作性などに問題
を生じてしまい実用的でない。また、このパルスバイア
ス電圧のパルス幅は、1μs〜1msとする。パルス幅
が1μs未満であると、Crイオン107の単位時間当
たりの注入量が非常に少なくて処理時間が長くなり、コ
スト高になってしまい、パルス幅が1msを越えると、
異常放電が頻発し、Crイオン107の注入が困難とな
ってしまう。
【0030】このようにして製造した光触媒の機能を確
認するため、当該光触媒の紫外光および可視光の吸収ス
ペクトルを測定した(Crイオンの注入量を1x1016
個/cm2 および3x1016個/cm2 の2種類とし
た。)。その結果を図2に示す。なお、比較のため、C
rイオンを注入しなかった場合の酸化チタン膜の光触媒
の紫外光および可視光の吸収スペクトルも測定した。
【0031】図2からわかるように、Crイオンを注入
しなかった酸化チタン膜の光触媒は、約400nm以下
の紫外光領域で光を吸収するものの、可視光領域で光を
まったく吸収しなかった。これに対し、Crイオンを注
入した酸化チタン膜の光触媒は、400nm以下の紫外
光領域で光を吸収するのはもちろんのこと、400nm
以上の可視光領域でも光を吸収する。なお、V、Fe、
Niなどの他のイオンを注入した場合でもCrと同等な
結果が得られた。
【0032】また、Crイオンを注入しなかった酸化チ
タン膜の光触媒に対して可視光(波長:450nm)を
一酸化窒素雰囲気(10torr)下で照射したところ、雰
囲気中の一酸化窒素の濃度に変化がみられなかった。こ
れに対し、Crイオンを注入した酸化チタンの光触媒に
対して可視光(波長:450nm)を一酸化窒素雰囲気
(10torr)下で照射したところ、雰囲気中の一酸化窒
素濃度が徐々に減少することが確認できた。なお、V、
Fe、Niなどの他のイオンを注入した場合でもCrと
同等な結果が得られた。
【0033】したがって、可視領域においても安定して
作用可能な光触媒を低コストで簡単に長期にわたって安
定して製造することができる。
【0034】本発明による光触媒の製造方法およびその
装置の第二番目の実施の形態を図3に示す。なお、図3
は、その装置の概略構成図である。ただし、前述した実
施の形態と同様な部材については、前述した実施の形態
の説明で用いた符号と同一の符号を用いることにより、
その説明を省略する。
【0035】図3に示すように、真空容器1の上部に
は、フィルタ5を介して蒸発装置7が連結されている。
真空容器1の内部上方には、膜材料となるターゲット1
08を保持するスパッタ装置11が連結されている。真
空容器1のスパッタ装置11近傍には、アルゴンと酸素
とを混合した放電ガス110を送給する放電ガス送給手
段に連結する放電ガス導入口1aが設けられている。ス
パッタ装置11と真空容器1とは、高周波電源12で接
続されている。
【0036】なお、本実施の形態では、スパッタ装置1
1、高周波電源12、前記放電ガス送給手段などにより
スパッタ粒子生成手段を構成し、このスパッタ粒子生成
手段などにより酸化チタン膜形成手段を構成している。
【0037】このような装置を使用した光触媒の製造方
法を次に説明する。前述した実施の形態の場合と同様
に、ホルダ2にステンレス鋼からなる基材100を取り
付けると共に、蒸発装置7に金属Crからなるカソード
7bを取り付ける一方、スパッタ装置11に酸化チタン
からなるターゲット108を取り付けたら、前記真空排
気装置を作動して、真空装置1内を真空排気(1×10
-5torr以下)する。
【0038】続いて、ホルダ2と真空容器1とを短絡さ
せるようにスイッチ10を切り換えた後、真空容器1内
圧力を一定値以下(1×10-3torr以下)に抑制するよ
うに前記放電ガス送給手段から放電ガス導入口1aを介
して放電ガス(アルゴン90vol.%と酸素10vol.%と
の混合ガス)110を導入すると共に、高周波電源12
を作動して、高周波電圧をターゲット108に印加して
高周波放電を発生させ、酸化チタンからなるターゲット
108の表面より酸化チタンからなるスパッタ粒子10
9を飛び出させて基材100上に照射し、酸化チタン膜
101(成膜速度:0.1μm/min.、膜厚:0.
05〜10μm)を形成する(酸化チタン膜形成工
程)。
【0039】このようにして基材100上に酸化チタン
膜101を成形したら、放電ガス110の導入および高
周波電源12の作動を停止する一方、前述した実施の形
態の場合と同様にして、蒸発装置7のパルスアーク電源
7cを作動してパルスアーク放電を発生させ、Crプラ
ズマ106を生成させる(注入物質気化工程)。
【0040】これと同時に、フィルター5の前記直流電
源を作動して管5a内に磁界を発生させて、Crプラズ
マ106のうち、蒸気やパーティクルの大部分を当該フ
ィルタ5の管5aの内面に付着させ、イオンのみを上記
磁界に沿って低エネルギ(10eV)で真空容器1内に
引き出して、基材100にCrイオン107を照射する
(イオン選択工程)。
【0041】この状態で、前述した実施の形態の場合と
同様に、ホルダ2とパルスバイアス電源9とを接続する
ようにスイッチ10を切り換えて、基材100に負のパ
ルスバイアス電圧(150kV)を印加して、Crイオ
ン107を基材100に引き込み、酸化チタン膜101
に注入した(イオン注入工程)。
【0042】このようにして製造した光触媒の機能を確
認するため、当該光触媒の紫外光および可視光の吸収ス
ペクトルを測定した(Crイオンの注入量を1x1016
個/cm2 および3x1016個/cm2 の2種類とし
た。)。その結果を図4に示す。なお、比較のため、C
rイオンを注入しなかった場合の酸化チタン膜の光触媒
の紫外光および可視光の吸収スペクトルも測定した。
【0043】図4からわかるように、Crイオンを注入
しなかった酸化チタン膜の光触媒は、前述した実施の形
態の場合と同様に、約400nm以下の紫外光領域で光
を吸収するものの、可視光領域で光をまったく吸収しな
かった。これに対し、Crイオンを注入した酸化チタン
膜の光触媒は、前述した実施の形態の場合と同様に、4
00nm以下の紫外光領域で光を吸収するのはもちろん
のこと、400nm以上の可視光領域でも光を吸収す
る。なお、V、Fe、Niなどの他のイオンを注入した
場合でもCrと同等な結果が得られた。
【0044】また、Crイオンを注入しなかった酸化チ
タン膜の光触媒に対して可視光(波長:450nm)を
一酸化窒素雰囲気(10torr)下で照射したところ、前
述した実施の形態の場合と同様に、雰囲気中の一酸化窒
素の濃度に変化がみられなかった。これに対し、Crイ
オンを注入した酸化チタンの光触媒に対して可視光(波
長:450nm)を一酸化窒素雰囲気(10torr)下で
照射したところ、前述した実施の形態の場合と同様に、
雰囲気中の一酸化窒素濃度が徐々に減少することが確認
できた。なお、V、Fe、Niなどの他のイオンを注入
した場合でもCrと同等な結果が得られた。
【0045】したがって、前述した実施の形態の場合と
同様に、可視領域においても安定して作用可能な光触媒
を低コストで簡単に長期にわたって安定して製造するこ
とができる。
【0046】なお、以上説明した各実施の形態では、ホ
ルダ2を真空容器1に対して固定式としたが、例えば、
支柱3を真空容器1に回転可能に支持することにより、
ホルダ2を真空容器1に対して回転できるようにして、
イオン注入の均一化をさらに図ることも可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明による光触媒の製造方法は、基材
の表面に酸化チタン膜を形成する酸化チタン膜形成工程
と、アノードと注入物質からなるカソードとの間でアー
ク放電を発生させて当該カソードを溶融気化させる注入
物質気化工程と、気化した前記注入物質のうち、当該注
入物質のイオンを選択して前記基材へ向けて照射するイ
オン選択工程と、前記基材に負極性のパルスバイアス電
圧を印加して、前記注入物質のイオンを当該基材の表面
の前記酸化チタン膜に注入するイオン注入工程とを行う
ので、可視領域においても安定して作用可能な光触媒を
低コストで簡単に長期にわたって安定して製造すること
ができる。
【0048】また、前記酸化チタン膜形成工程がアノー
ドとチタンを含有するカソードとの間でアーク放電を発
生させて当該カソードを溶融気化させ、気化したチタン
のうち、チタンイオンを選択して前記基材へ向けて照射
すると共に、酸素をプラズマ化して前記基材へ向けて照
射することにより、当該基材の表面に酸化チタン膜を形
成するので、基板の表面に酸化チタン膜を低コストで簡
単に長期にわたって安定して製造することができる。
【0049】また、前記酸化チタン膜形成工程がチタン
を含有するターゲットに放電ガス雰囲気下で高周波電圧
を印加して当該ターゲットのスパッタ粒子を発生させ、
当該スパッタ粒子を前記基材へ向けて照射することによ
り、当該基材の表面に酸化チタン膜を形成するので、基
板の表面に酸化チタン膜を低コストで簡単に長期にわた
って安定して製造することができる。
【0050】一方、本発明による光触媒の製造装置は、
基材の表面に酸化チタン膜を形成する酸化チタン膜形成
手段と、アノードと注入物質からなるカソードとの間で
アーク放電を発生させて当該カソードを溶融気化させる
注入物質気化手段と、気化した前記注入物質のうち、当
該注入物質のイオンを選択して前記基材へ向けて照射す
るイオン選択手段と、前記基材に負極性のパルスバイア
ス電圧を印加して、前記注入物質のイオンを当該基材の
表面の前記酸化チタン膜に注入するイオン注入手段とを
備えてなるので、可視領域においても安定して作用可能
な光触媒を低コストで簡単に長期にわたって安定して製
造することができる。
【0051】また、前記酸化チタン膜形成手段がアノー
ドとチタンを含有するカソードとの間でアーク放電を発
生させて当該カソードを溶融気化させるチタン気化手段
と、気化した前記チタンのうち、当該チタンのイオンを
選択して前記基材へ向けて照射するチタンイオン選択手
段と、酸素をプラズマ化して前記基材へ向けて照射する
プラズマ酸素生成手段とを備えてなるので、基板の表面
に酸化チタン膜を低コストで簡単に長期にわたって安定
して製造することができる。
【0052】また、前記酸化チタン膜形成手段がチタン
を含有するターゲットに放電ガス雰囲気下で高周波電圧
を印加して当該ターゲットのスパッタ粒子を発生させ、
当該スパッタ粒子を前記基材へ向けて照射するスパッタ
粒子生成手段を備えてなるので、基板の表面に酸化チタ
ン膜を低コストで簡単に長期にわたって安定して製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光触媒の製造装置の第一番目の実
施の形態の概略構成図である。
【図2】光触媒の紫外光−可視光吸収スペクトルのグラ
フである。
【図3】本発明による光触媒の製造装置の第二番目の実
施の形態の概略構成図である。
【図4】光触媒の紫外光−可視光吸収スペクトルのグラ
フである。
【符号の説明】
1 真空容器 1a 放電ガス導入口 2 ホルダ 3 支柱 4 シール 5 フィルタ 5a 管 5b コイル 6 蒸発装置 6a アノード 6b カソード 6c 直流アーク電源 7 蒸発装置 7a アノード 7b カソード 7c パルスアーク電源 8 プラズマ発生装置 9 パルスバイアス電源 10 スイッチ 11 スパッタ装置 12 高周波電源 100 基材 101 酸化チタン膜 102 チタンプラズマ 103 チタンイオン 104 酸素 105 酸素ラジカルおよび酸素イオン 106 Crプラズマ 107 Crイオン 108 ターゲット 109 スパッタ粒子 110 放電ガス
フロントページの続き (72)発明者 利根川 裕 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所内 Fターム(参考) 4G069 AA08 BA04A BA04B BA48A CA10 CA13 EA08 FB02 4K029 AA02 AA24 BA48 BB01 BC00 BD00 CA05 DC05 DC27 DD06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に酸化チタン膜を形成する酸
    化チタン膜形成工程と、 アノードと注入物質からなるカソードとの間でアーク放
    電を発生させて当該カソードを溶融気化させる注入物質
    気化工程と、 気化した前記注入物質のうち、当該注入物質のイオンを
    選択して前記基材へ向けて照射するイオン選択工程と、 前記基材に負極性のパルスバイアス電圧を印加して、前
    記注入物質のイオンを当該基材の表面の前記酸化チタン
    膜に注入するイオン注入工程とを行うことを特徴とする
    光触媒の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化チタン膜形成工程がアノードと
    チタンを含有するカソードとの間でアーク放電を発生さ
    せて当該カソードを溶融気化させ、気化したチタンのう
    ち、チタンイオンを選択して前記基材へ向けて照射する
    と共に、酸素をプラズマ化して前記基材へ向けて照射す
    ることにより、当該基材の表面に酸化チタン膜を形成す
    ることを特徴とする請求項1に記載の光触媒の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記酸化チタン膜形成工程がチタンを含
    有するターゲットに放電ガス雰囲気下で高周波電圧を印
    加して当該ターゲットのスパッタ粒子を発生させ、当該
    スパッタ粒子を前記基材へ向けて照射することにより、
    当該基材の表面に酸化チタン膜を形成することを特徴と
    する請求項1に記載の光触媒の製造方法。
  4. 【請求項4】 基材の表面に酸化チタン膜を形成する酸
    化チタン膜形成手段と、 アノードと注入物質からなるカソードとの間でアーク放
    電を発生させて当該カソードを溶融気化させる注入物質
    気化手段と、 気化した前記注入物質のうち、当該注入物質のイオンを
    選択して前記基材へ向けて照射するイオン選択手段と、 前記基材に負極性のパルスバイアス電圧を印加して、前
    記注入物質のイオンを当該基材の表面の前記酸化チタン
    膜に注入するイオン注入手段とを備えてなることを特徴
    とする光触媒の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記酸化チタン膜形成手段がアノードと
    チタンを含有するカソードとの間でアーク放電を発生さ
    せて当該カソードを溶融気化させるチタン気化手段と、 気化した前記チタンのうち、当該チタンのイオンを選択
    して前記基材へ向けて照射するチタンイオン選択手段
    と、 酸素をプラズマ化して前記基材へ向けて照射するプラズ
    マ酸素生成手段とを備えてなることを特徴とする請求項
    4に記載の光触媒の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記酸化チタン膜形成手段がチタンを含
    有するターゲットに放電ガス雰囲気下で高周波電圧を印
    加して当該ターゲットのスパッタ粒子を発生させ、当該
    スパッタ粒子を前記基材へ向けて照射するスパッタ粒子
    生成手段を備えてなることを特徴とする請求項4に記載
    の光触媒の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112567066A (zh) * 2018-06-12 2021-03-26 旭硝子欧洲玻璃公司 用于制备催化纳米颗粒、催化剂表面和/或催化剂的方法

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