JP2001262335A - 被膜の被覆方法 - Google Patents

被膜の被覆方法

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JP2001262335A
JP2001262335A JP2000077379A JP2000077379A JP2001262335A JP 2001262335 A JP2001262335 A JP 2001262335A JP 2000077379 A JP2000077379 A JP 2000077379A JP 2000077379 A JP2000077379 A JP 2000077379A JP 2001262335 A JP2001262335 A JP 2001262335A
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sputtering
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JP2000077379A
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Toshiaki Anzaki
利明 安崎
Daisuke Arai
大介 新井
Takayuki Toyoshima
隆之 豊島
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低温の基体に、原子配列が規則的にある程度配
列したいわゆる結晶性の被膜を被覆することは困難であ
った。このため光触媒活性を有する光触媒膜は基体を加
熱する必要があった。 【解決手段】減圧した雰囲気が調整できる成膜装置内
で、スパッタリングカソードに貼りつけたターゲット材
料をスパッタして基体にターゲット材料の成分を含む被
膜を被覆する方法であって、スパッタした粒子を、基体
に到達させる前に基体表面に略平行なシート形状に形成
したアーク放電プラズマ中を通過させて活性化させる。
チタン金属をターゲットに用いて、基体を加熱すること
なく酸化チタンの光触媒膜を被覆することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
により基体に被膜を被覆する方法に関し、とりわけアナ
ターゼ結晶を含有する酸化チタンの光触媒膜を低い基体
温度で被覆するのに適した方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基体に光触媒膜をスパッタリング法によ
り被覆する方法は、特開平10−278165号公報に
開示されている。この方法は、チタン金属を酸素を含む
雰囲気で反応的に直流スパッタリングして光触媒活性を
有する被膜とする方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術ではスパッタされたチタン金属は、雰囲気中の
酸素と反応的に行われるが、外部から導入される酸素分
子はスパッタされたチタン原子との反応活性が低いた
め、触媒活性を有する酸化チタン膜とするには基体を2
00〜650℃に加熱する必要があった。
【0004】そのため、強力な加熱機構を有する高価な
スパッタ成膜装置を必要とし、光触媒膜の被覆加工を低
コストで行うことが困難であるという課題があった。ま
た、樹脂などの熱的に弱い基体上には、光触媒活性を有
する被膜を被覆することが実用上困難であるという課題
があった。
【0005】本発明は、上記の従来技術が有する課題を
解決するためになされたものである。すなわち、本発明
の目的は、低温の基体上に結晶性薄膜を被覆する方法を
提供することであり、とりわけアナターゼ型結晶を含有
し良好な光触媒活性を有する酸化チタン膜を基体に被覆
する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、減圧
した雰囲気が調整できる成膜装置内で、スパッタリング
カソードに貼りつけたターゲット材料をスパッタして基
体にターゲット材料の成分を含む被膜を被覆する方法で
あって、前記スパッタし粒子を、基体に到達させる前に
前記基体表面に略平行なシート形状のアーク放電プラズ
マ中を通過させて活性化することを特徴とする被膜の被
覆方法である。
【0007】本発明においては、基体に被覆される被膜
成分はマグネトロンスパッタリング法によりスパッタさ
れる。スパッタリングカソードは、公知の長方形のカソ
ードや円状のカソードを用いることができる。ターゲッ
トからスパッタされた粒子は、ターゲットの表面全体に
亘って、そのシート面がターゲット表面に略平行になる
ように形成されたアーク放電プラズマ中を通過して基体
表面に到達する。
【0008】本発明に用いられるアーク放電プラズマ
は、たとえば公知の圧力勾配型プラズマ発生装置により
成膜室内に発生させたプラズマビームを制御磁界により
シート形状に、すなわち平板状に広げたアーク放電プラ
ズマを用いる。
【0009】スパッタされた粒子は、アーク放電プラズ
マを通過するときに酸素との反応がより活発に行われ、
基体上に原子配列がより規則的に整った状態で堆積被覆
される。本発明によれば、基体を低温の加熱によりある
いは加熱することなしに、結晶を含む被膜を基体に被覆
することができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1において、ス
パッタリングカソードに単極性の負電圧を間欠的に印加
あるいは両極性の電圧を周期的に印加して生起させたグ
ロー放電により行うことを特徴とする。
【0011】請求項2の発明によれば、ターゲット表面
にグロー放電により電荷が帯電することが抑制され、す
なわちターゲット表面は除電されながらスパッタリング
される。これにより大電力を印加することが可能にな
り、高速にスパッタリングすることができる。ターゲッ
トに導電性が小さい金属酸化物たとえば酸化チタンの焼
結体を用いても、放電の安定性が持続し長時間の連続ス
パッタリングが可能となる。これにより結晶性の良好な
金属酸化物の被膜を加熱することなく基体に被覆するこ
とができる。負電圧を間欠的にあるいは両極性の電圧を
周期的に印加する周期としては、1kHz〜1MHzが
好ましい。
【0012】請求項3の発明は、請求項1において、ス
パッタリングターゲットを2個1組として配置し、一方
のスパッタリングカソードを陰極とするときには他方の
スパッタリングカソードを陽極になるように、他方のス
パッタリングカソードを陰極とするときには一方のスパ
ッタリングカソードを陽極になるように、電圧を交互反
転させて印加することを特徴とする。1対のターゲット
の間に印加する電圧の波形は、正弦波や正負パルス波な
どを用いることができる。これにより酸化チタンのよう
な導電性が小さいターゲットであっても、安定したグロ
ー放電により連続的に成膜することができる。
【0013】請求項3の発明によれば、両ターゲットの
表面の除電が一層確実に行うことができるので、より一
層安定してグロー放電を持続させることができる。金属
たとえばチタンをターゲットとして酸素含有雰囲気で反
応的にスパッタリングして酸化チタンの被膜を被覆する
ときに、とりわけ大きなスパッタ速度を確保できるとと
もに、アーク放電プラズマ中での酸化活性化により、緻
密で光触媒活性を有する酸化チタンの被膜を、安定かつ
高速に低温の基体に被覆することができる。
【0014】本発明において、基体とターゲットの間の
空間に形成するシート形状のアーク放電プラズマは、そ
の外縁を、そのプラズマ密度が最も高い部分から外側へ
向かってプラズマ密度が最も高いプラズマ密度の50%
になる位置と定義したとき、シート形状アーク放電プラ
ズマの最大厚みDと最大幅Wについて、0.001≦D
/W≦1とするのがよい。
【0015】本発明においては、面蒸発源であるスパッ
タリングカソードを用いるので、ターゲットの表面全体
をほぼ覆うようにアーク放電プラズマをシート形状に形
成するのが好ましい。本発明のシート形状アーク放電プ
ラズマのシート面の方向は、ほぼターゲット面方向と平
行に形成される。そして、シートプラズマの厚みDは通
常10〜20cmに、最大幅Wはスパッタリングカソー
ドの幅以上、たとえば20cm以上に制御磁場により定
められる。D/Wの比は0.001以上に設定するのが
好ましい。D/Wの比が0.001未満であると、活性
化に有効なプラズマが得られないからである。また、D
/Wの比は1より小さくするのが好ましい。D/Wの比
を1より大きくすることは、均一に有効なプラズマを生
起させるのに多大の電力nプラズマを発生させる必要が
あるからである。
【0016】また、シート形状のアーク放電プラズマの
プラズマ密度が最大となる面(中心面)をアーク放電プ
ラズマ基準面としたとき、基準面と基体表面との距離を
Laとしたとき、La≧5cmとするのがよい。Laが
5cm未満では、基体表面に堆積成長する被膜にプラズ
マが照射されて、被膜の結晶成長がダメージを受けるか
らである。
【0017】さらに、シート形状のアーク放電プラズマ
の基準面と基板面の距離LaはLa≦50cmとするの
がよい。アーク放電プラズマの基準面と基体表面の距離
Laが50cmを越えると、基体表面に堆積成長する膜
には実質的に及ばなくなる。基体表面に飛来中のスパッ
タ粒子および堆積成長中の被膜の両者に対して活性作用
を呈するようにするために、Laは50cm以下とする
のが好ましい。
【0018】ターゲットをチタン金属あるいは酸化チタ
ンを用いることにより、被覆中の基体を加熱することな
く、光触媒活性を有する酸化チタン膜を基体に被覆する
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に説明
する。図1は、本発明の結晶性の薄膜を基体上に被覆す
るのに用いることができるスパッタリング成膜装置の一
実施例の概略断面図である。真空容器1内は、右下の真
空排気ポンプ(図示されない)に連なる排気口から真空
排気される。ターゲット9の近傍には、ターゲット9を
スパッタリングするためのスパッタリングガスを真空容
器1内に導入するためのガス導入パイプ(この図には示
されない)が設けられており、真空容器1内の空間4
は、減圧した雰囲気が調整可能とされる。スパッタリン
グカソード10の表面に貼り付けられたチタン金属ター
ゲット9には、スパッタリング電源12からオシレータ
ー20を介して間欠的に負の電圧が印加され、それによ
りスパッタされた粒子は、アーク放電プラズマ7の中を
通過して基体ホルダー14に取り付けられた基体11の
表面に到達し、酸化チタン膜が被覆される。基体11
は、紙面とは垂直方向に搬送可能(搬送機構は図示され
ない)であり、ターゲット9の前面を横切るときに被膜
の被覆が行われる。必要により基体11はヒータ18に
より加熱される。
【0020】真空容器1の壁にプラズマビーム発生ガン
5とタンタル製の陽極6が電気絶縁体15を介して対向
するように配置されるとともに、両電極は大電流の直流
電源16に接続されている。プラズマビーム発生陰極2
は、タンタル(Ta)製のパイプ21および六硼化ラン
タン製のディスク状電極13から構成されたホローカソ
ード型放電電極であり、タンタル製のパイプ21からア
ルゴンのような不活性ガスまたは不活性ガスと水素とか
らなる放電ガスを導入する。プラズマビーム発生ガン5
に直流電力を供給して発生する電子をプラズマビーム発
生ガン5と電子加速用電極3との間に印加された電位差
によって真空容器1内の空間4に引き出す。これにより
プラズマビーム発生ガン5と陽極6の間に低電圧で大電
流のアーク放電プラズマを生起させる。プラズマビーム
発生ガン5の放電電圧は通常120V以下、放電電流は
50A以上とするのが好ましい。不活性ガスとしてはア
ルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンのいずれでもよ
く、微量の水素を適時添加する。
【0021】空間4に引き出されたアーク放電プラズマ
7は、プラズマ誘導用コイル8aによる磁場と互いにN
極が対向するように配置された一対のプラズマ圧縮用永
久磁石8bの磁場によって、空間4内で基体とターゲッ
トの方向で厚みが薄く、ターゲットの表面と平行な方向
(紙面と垂直な方向)で広がったシート形状のアーク放
電プラズマ7になる。シート形状のアーク放電プラズマ
7の基体11からの距離を被膜の被覆中に変えられるよ
うに、プラズマビーム発生ガン5及び陽極6の真空容器
1への取り付け位置を移動可能となるように取り付けて
もよい。また、シート形状のアーク放電プラズマ7の形
状は、プラズマ誘導用コイル8aおよびプラズマ圧縮用
磁石8bの形成磁場を被膜の被覆中に変化させてもよ
い。
【0022】基体表面に到達した粒子は、その弱いプラ
ズマ中で、成長・再蒸発・マイグレーション運動をより
活発に行う。表面に被着した粒子は、基体表面でプラズ
マ中をランダムな方向に活発に動き、被膜の堆積過程で
結晶構造が形成されやすくなる。
【0023】シート形状のアーク放電プラズマ7は、そ
の中心部で最もプラズマ密度が高く、プラズマの外縁に
近くなるに従い、プラズマ密度は低下する。アーク放電
プラズマの最大厚みD(ターゲットから基体に向かう方
向)は通常10〜20cmの範囲となるように選ばれ、
アーク放電プラズマの最大幅W(ターゲットから基体に
向かう方向およびプラズマビーム発生ガンから陽極に向
かう方向の両方向に対して直交する方向)はターゲット
のスパッタリング面積とも考え併せて20cm以上に選
ばれる。 0.001≦D/W≦1となるように、プラ
ズマ誘導用コイル8aおよびプラズマ圧縮用磁石8bの
形成磁場を調整してシート形状にするのがよい。
【0024】上記の調整により面蒸発源であるターゲッ
トからスパッタされた粒子の大部分を効果的に活性化す
ることができる。シート形状のアーク放電プラズマを2
個隣り合うように形成してもよい。
【0025】本発明に好ましく用いられるスパッタリン
グ方法を図2により説明する。真空容器1内にプレーナ
ー型スパッタリングカソード10A、10Bが近接配置
して設けられており、その表面にターゲット9A、9B
が貼り付けられている。カソード10Aおよび10Bに
はスパッタリング電源12からオシレータ20を介して
負の電圧が印加され、ターゲット近傍に配置したガス導
入パイプ17からスパッタリング圧力を調整するために
通常アルゴンガスあるいはアルゴンと酸素の混合ガスが
導入され、スパッタリングは0.1〜1.0Paで行わ
れる。ターゲット9A、9Bは同時にスパッタリングさ
れる。オシレータ20により二つのカソードに印加され
る電圧(P−P電圧値)は800〜1200Vに設定さ
れ、交互反転プラズマ19の交互反転周波数は、1〜1
00Hzとされる。基体の温度はヒーター18により適
時加熱される。
【0026】スパッタリングカソードをマグネトロンス
パッタリングカソードとし、これに単極あるいは両極性
の間欠的な電圧を印加してターゲットの表面を除電しな
がら放電させる場合の電圧波形は、負(あるいは正負)
の極性を持ったパルス波や正弦波など、ターゲット表面
が除電できる波形を用いる。ターゲット表面を除電する
ことにより、ターゲット表面に酸化膜や窒化膜など絶縁
性の膜や粒子が生成、堆積しても、電荷の帯電によるス
パーク放電やアーキング放電などの異常放電が発生する
のが防止される。これにより、安定したグロー放電が持
続でき、被膜にピンホールや異物が生じない。
【0027】この除電を行うためのターゲット(スパッ
タリングカソード)に印加する間欠電位あるいは反転電
位の周波数は、1KHzから1MHz程度が好ましい。周
波数が低すぎると除電機能が弱くなり、高すぎると電圧
変化に対しアルゴンなどのプラスイオンが追従出来なく
なり電流の位相が遅れだし、電流−電圧特性のシフトが
起き、スパッタリングカソードに効率よく電力を印加す
ることができなくなるからである。
【0028】ターゲット表面と基体表面の距離Lsは、
5〜100cmの範囲内で通常決められる。図2におい
て、シート形状のアーク放電プラズマ7の最もプラズマ
密度が高い部分は、基体からターゲットに向かう方向
で、シートプラズマのほぼ中央(点線で示された基準
面)であり、基準面と基体11の表面との距離Laは5
cm以上50cm以下とするのが、基体に被覆された被
膜がプラズマによりダメージを受けることなく、かつ、
スパッタ粒子の活性を高めるとともに基体上に堆積した
被膜の活性を高めるのが、被膜の結晶性を高める上でよ
い。
【0029】2個1組のスパッタリングカソードを用
い、それらに電圧を交互反転させて印加する場合、1組
のカソードとしてプレーナ型カソードを近接配置する方
法や、円盤形カソードと環状形カソードを同軸中心に配
置して1組とする方法を採用することができる。
【0030】除電を行うことにより、金属ターゲットを
酸素あるいは窒素ガスとの反応性スパッタリングはもち
ろん、導電性が小さい金属酸化物や金属窒化物をターゲ
ットに用い安定して持続するグロー放電により、ピンホ
ールや異物付着のない被膜を基体に被覆することができ
る。
【0031】本発明に用いることができるターゲット材
料としては、金属や金属酸化物などでありとくに限定さ
れない。
【0032】たとえばシリコンをターゲットとして二酸
化珪素や窒化珪素の絶縁膜を、インジウム錫あるいは錫
をターゲットとしてITO膜や酸化錫の透明導電膜を、
大きな面積の基体に反応的に高速に低温の基体に被覆す
ることができる。
【0033】本発明によれば、とりわけ結晶性の酸化チ
タンの光触媒膜を低い基体温度で基体上に被覆すること
ができる。必要に応じて基体の加熱を行うとよい。
【0034】図3は、本発明により得られる物品22の
一実施例で、基体11の上に酸化チタンの光触媒膜23
が被覆されている。$以下に、本発明を実施例および比
較例により説明する。シート形状のアーク放電プラズマ
の形成、スパッタリングによる酸化チタン光触媒膜の被
覆の条件および得られた光触媒膜の評価方法を下記に示
す。
【0035】(シート形状のアーク放電プラズマの形
成) 1)プラズマビーム発生ガン:ホローカソード型ガン 2)ホローカソード:筒型硼化ランタン製 3)陽極:タングステン製円板 4)放電電圧:120V 5)放電電流:50A 6)導入放電ガス:アルゴンまたはアルゴンと微量の水
素の混合ガス 7)シート状のアーク放電プラズマと基体との距離L
a:10cm
【0036】(スパッタリングによる被覆) 1)2対1組のカソードにチタンを含むターゲット材料
を貼り付け、それぞれのターゲットに交互に極性が反転
する電圧を印加して、ターゲット表面に帯電する電荷を
除電しながら行う直流スパッタリング。 2)ターゲット チタン金属または酸化チタン粉末の焼結成型体を熱処理
による酸素欠陥の生成により直流スパッタッタリングが
できるように通電性にしたもの。 3)2つのカソードの最短間隔:1mm 4)カソードへの電圧印加 (1)波形:正弦波 (2)P−P電圧:1200V (3)交互反転周波数:40KHz 5)スパッタリングガス (1)ガス組成:アルゴンと酸素の混合ガス (2)全圧:0.4Pa 6)シート状のアーク放電プラズマとターゲット表面と
の距離Ls:20cm 7)基体:ソーダライムシリケート組成のフロートガラ
ス板 8)被覆時の基体の加熱:しない。
【0037】(光触媒膜の評価方法)ガラス板上に被覆
した酸化チタン膜の表面に0.1mg/cm2のトリオ
レインを塗布し、3mW/cm2の紫外線を24時間照
射した。照射により分解したトリオレインは蒸発逸散す
るので、照射前後のガラス板の重量測定からトリオレイ
ン分解率を算出した。分解率と照射時間とから光触媒活
性を下記のように評価した。 ○:40時間以内にトリオレンが100%分解 △:80時間以内にトリオレインが100%分解 ×:80時間の照射ではトリオレインが100%分解し
ない。
【0038】実施例1 図1および図2に示したスパッタリング装置を用いた。
二つのカソードに金属チタンのターゲットを貼り付け、
ガラス板を一定速度で移動させながら、厚みがnmの二
酸化チタンの光触媒膜をガラス板上に被覆した。被膜の
被覆条件と得られ酸化チタンの光触媒膜の評価結果を表
1に示した。酸化チタン膜は透明であり、X線回折分析
によりアナターゼ結晶を含有していることが回折ピーク
から認められた。ガラス板を加熱することなく光触媒活
性を有する膜を被覆することができた。
【0039】
【表1】 =================================== 例 ターケ゛ット スハ゜ッタリンク゛カ゛ス アーク放電 タ゛イナミック 膜の結晶性 光触媒活性 の酸素割合 フ゜ラス゛マ 被覆速度 (容量%) (nm・m/分) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (実施例) 1 Ti 50 形成する 50 アナターセ゛結晶含有 ○ 2 TiOx 2 形成する 30 アナターセ゛結晶含有 △ 3 Ti 30 形成する 50 アナターセ゛結晶含有 ○ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (比較例) 1 Ti 30 形成しない 50 非晶質 × 2 TiOx 2 形成しない 30 非晶質 × ===================================
【0040】実施例2 ターゲットを、二酸化チタンの焼結体とし、またスパッ
タリングガスの酸素割合を2容量%とした以外は実施例
1と同じようにして、酸化チタン膜を得た。得られた酸
化チタン膜の評価結果を表1に示した。この酸化チタン
膜も光触媒活性が認められた。
【0041】実施例3 スパッタリングガスの組成を変更した以外は実施例1と
同じようにして、二酸化チタン膜をガラス板上に被覆し
た。得られた膜は、表1に示すようにアナターゼ結晶を
含み光触媒活性が認められた。
【0042】比較例1 アーク放電プラズマを形成させなかったことの他は実施
例3と同じようにして、酸化チタン膜をガラス板上に被
覆した。得られた膜は非晶質であり、光触媒活性が小さ
いものであった。
【0043】比較例2 アーク放電プラズマを形成させなかったことの他は実施
例2と同じようにして、酸化チタン膜をガラス板上に被
覆した。得られた膜は非晶質であり、光触媒活性が小さ
いものであった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、スパッタされたターゲ
ット物質はアーク放電プラズマ中を通過して活性化され
て基体に被着する。このため加熱しない基体表面にも原
子配列の規則性があるいわゆる結晶性の被膜を被覆する
ことができる。
【0045】本発明によれば、チタンまたは酸化チタン
のターゲットを用いて二酸化チタンの被膜をとくに加熱
しない基体に被覆しても、酸化チタン膜はアナターゼ結
晶含有の膜となり、光触媒活性を有する膜が得られる。
【0046】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いたスパッタリング装置の概
略断面図である。
【図2】本発明の実施に用いた2つのカソードを1組と
する交互反転プラズマによるスパッタリングを説明する
図である。
【図3】本発明の実施により得られる物品の断面図であ
る。
【符号の説明】
1:真空容器、2:プラズマビーム発生陰極、3:電子
加速用電極 4:空間、5:プラズマビーム発生ガン、6:陽極 7:シート形状のアーク放電プラズマ、8a:プラズマ
誘導用コイル、8b:プラズマ圧縮用永久磁石、9、9
A、9B:ターゲット 10、10A、10B:スパッタリングカソード、1
1:基体 12:スパッタリング電源、13:ディスク状電極、1
4:基体ホルダー 15:電気絶縁体、16:直流電源、17:ガス導入パ
イプ、18:ヒーター 19:交互反転プラズマ、20:オシレーター、21:
パイプ 22:本発明により得られる物品、23:光触媒膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊島 隆之 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11号 日本板硝子株式会社内 Fターム(参考) 4G069 AA03 BA04A BA04B BA48A DA06 EA11 EC22X EC22Y FA02 FB02 FC06 4K029 BA48 BD00 CA05 CA06 DC03 DC05 DC09 DC16 DC27 EA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】減圧した雰囲気が調整できる成膜装置内
    で、スパッタリングカソードに貼りつけたターゲット材
    料をスパッタして基体にターゲット材料の成分を含む被
    膜を被覆する方法であって、前記スパッタした粒子を、
    基体に到達させる前に前記基体表面に略平行なシート形
    状に形成したアーク放電プラズマ中を通過させて活性化
    することを特徴とする被膜の被覆方法。
  2. 【請求項2】前記スパッタを前記スパッタリングカソー
    ドに単極性の負電圧を間欠的に印加あるいは両極性の電
    圧を周期的に印加して生起させたグロー放電により行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の被膜の被覆方法。
  3. 【請求項3】前記スパッタリングターゲットを2個1組
    として配置し、一方のスパッタリングカソードを陰極と
    するときには他方のスパッタリングカソードを陽極に、
    前記他方のスパッタリングカソードを陰極とするときに
    は前記一方のスパッタリングカソードを陽極になるよう
    に、電圧を交互反転させて印加することを特徴とする請
    求項1に記載の被膜を被覆する方法。
  4. 【請求項4】前記ターゲット材料として、チタン金属ま
    たは酸化チタンの焼結体を用い、前記基体上に結晶性の
    酸化チタン膜を被覆することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の光触媒膜の被覆方法。
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