JP2000202301A - 有機物質分解体、およびその製造方法 - Google Patents

有機物質分解体、およびその製造方法

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JP2000202301A
JP2000202301A JP11011838A JP1183899A JP2000202301A JP 2000202301 A JP2000202301 A JP 2000202301A JP 11011838 A JP11011838 A JP 11011838A JP 1183899 A JP1183899 A JP 1183899A JP 2000202301 A JP2000202301 A JP 2000202301A
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photocatalyst
organic substance
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producing
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JP11011838A
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Shinichi Ohori
進一 大堀
Norihiro Matsuoka
憲弘 松岡
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光触媒活性の維持と、皮膜強度の向上を図る。 【解決手段】光触媒体を含有する光触媒膜2を基材1に
設けてなる有機物質分解体において、光触媒膜2に板
状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末と、塩基材料とを
含有させることで、光触媒活性の維持と、膜強度の向上
を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射により有
機物や臭気成分の分解を行う有機物質分解体およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、汚臭成分を分解するものとし
て、特開平1−234729号等に示されるように、酸
化チタン等の酸化物からなる光触媒体の光触媒作用を利
用して、これら光触媒体に対して紫外線等の光を照射す
ることで、各種雰囲気中の汚臭成分(汚臭を放つ有機物
質等)を分解したものや、さらに吸着剤を併用して光触
媒体の光触媒活性を向上させたものが提案されている。
これらの構成においては、次のような作用により汚臭成
分の分解を行っている。すなわち、上述した光触媒体に
対して紫外線等の光を照射すると、光触媒体表面部位に
おいて励起が生じ、価電子帯に存在している電子がバン
ドギャップを飛び越えて伝導帯へ移動する。これにより
電子の無くなった価電子帯には正孔(h+)ができて酸
化反応が起こり、一方の伝導帯には電子(e-)が入っ
て還元反応を起こす。このような反応を光触媒反応と呼
び、光触媒体に接した汚臭成分は、光触媒反応により分
解される。
【0003】また、従来から、特開平9−168722
号、特開平8−117606号等で示されるように、C
u、Ag、Fe、Co,Pt、Ni、Pd、Au等の金属(以
下、これら金属を、上述した光触媒体とは異なる金属で
あるという意味で異種金属と称す)の単体またはその酸
化物を上述した光触媒体に担持させることで、光触媒体
の光触媒活性の向上および抗菌性を持たせたものも提案
されている。すなわち、Cu、Ag、Fe、Co、Pt、N
i、Pd、Au等の異種金属を光触媒体に担持させると、
これら異種金属の電子捕捉効果により、酸化チタンとい
ったような酸化力は強いが還元力は弱い光触媒体の還元
力を向上させるとともに、抗菌性を高めることが可能と
なる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな異種金属担持光触媒体といった光触媒体を利用した
光触媒膜の具体的な形成方法は現在のところ、まだ報告
されていない。そこで、本願発明者等は異種金属担持光
触媒体をバインダーと混合したうえで、製膜化する実験
を試みたが、単純にバインダーと混合して製膜しただけ
では、製膜した光触媒膜に対して十分な皮膜強度を付与
することができなかった。さらには、光触媒膜となった
状態での光触媒活性が、異種金属担持光触媒体粉末状態
での光触媒活性に比べて低下していることが明らかとな
った。
【0005】光触媒活性が低下する理由については、異
種金属担持光触媒体に紫外線等の光を照射した際、励起
される電子がバインダー中に含まれることで光触媒体中
に混入するAl23等の固体酸の表面に引き付けられる
ことにより、この電子による還元力が減少するためであ
ると考えられる。
【0006】したがって、本発明においては、光触媒活
性の維持と、膜強度の向上を図ることを課題としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、次のような手
段によって、上述した課題を解決している。
【0008】本発明の請求項1に記載の発明は、光触媒
体を含有する膜を基材に設けてなる有機物質分解体であ
って、前記膜は板状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末
を含むものであることに特徴を有しており、これにより
次のような作用を有する。すなわち、板状、鎖状の結晶
構造を有する無機粉末を含むことにより、膜は粒界強度
が増して膜強度が向上する。さらには、板状、鎖状の結
晶構造を有する無機粉末を含むことにより膜は多孔質と
なってその光触媒活性が向上する。
【0009】本発明の請求項2に記載した発明は、請求
項1に係る有機物質分解体であって、前記膜は塩基材料
をさらに含むものであることに特徴を有しており、これ
により次のような作用を有する。すなわち、板状、鎖状
の結晶構造を有する無機粉末のなかには固体酸物質を含
むものがあるが、そのような無機粉末を用いる場合に
は、固体酸物質の影響により、光触媒体の光触媒活性は
損なわれることになる。そこで、本発明では、膜中に塩
基材料を含有させることで、光触媒活性に悪影響を及ぼ
す固体酸物質を疑似中和させることができ、光触媒活性
の低下を防止することができる。
【0010】また、請求項3に記載したように、光触媒
体を構成する金属成分とは異なる異種金属を担持した光
触媒体とした場合には、その光触媒活性がさらに向上し
たものとなるので、このような光触媒体を含有する有機
物質分解体において、請求項1または2に記載した発明
を実施すれば、より一層有効なものとなる。
【0011】本発明の請求項4に記載の発明は、光触媒
体を含有する膜を基材に設けてなる有機物質分解体であ
って、前記膜は塩基材料を含むものであることに特徴を
有しており、これにより次のような作用を有する。すな
わち、前記膜を製膜する際に用いられるバインダー中に
は固体酸物質が含まれることがあるが、そのような場合
には、固体酸物質の影響により、光触媒体の光触媒活性
は損なわれることになる。そこで、本発明では、膜中に
塩基材料を含有させることで、光触媒活性に悪影響を及
ぼす固体酸物質を疑似中和させることができ、光触媒活
性の低下を防止することができる。
【0012】また、請求項5に記載したように、光触媒
体を、その光触媒膜を構成する金属成分とは異なる異種
金属を担持したものとした場合には、その光触媒活性が
さらに向上したものとなるので、このような光触媒体を
含有する有機物質分解体において、請求項4に記載した
発明を実施すれば、さらに有効なものとなる。
【0013】本発明の請求項6に記載した発明は、光触
媒体を含有する膜を基材に設けてなる有機物質分解体の
製造方法であって、前記光触媒体と、シリコーン樹脂な
いしフッ素樹脂を含有する有機系バインダーとを混合し
てなる膜材料を、前記基材に製膜したのち焼成すること
で、前記基材に前記膜を形成することに特徴を有してお
り、これにより次のような作用を有する。すなわち、シ
リコーン樹脂ないしフッ素樹脂を主成分とする有機系バ
インダーを用いて製膜した膜は粒界強度が高いため、十
分なる膜強度を得ることができる。さらには、これら有
機系バインダーには光触媒活性に悪影響を及ぼす固体酸
物質があまり含有されていないので、製膜される膜にお
ける光触媒活性の低下が少なくなる。
【0014】本発明の請求項7に記載の発明は、請求項
6に係る有機物質分解体の製造方法であって、前記膜材
料にさらに板状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末を添
加することに特徴を有しており、これにより次のような
作用を有する。すなわち、膜材料に板状、鎖状の結晶構
造を有する無機粉末を添加することにより、製膜される
膜は多孔質となってその光触媒活性が向上する。
【0015】本発明の請求項8に記載した発明は、請求
項6または7に係る有機物質分解体の製造方法であっ
て、前記膜材料にさらに塩基材料を添加することに特徴
を有しており、これにより次のような作用を有する。す
なわち、板状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末には、
光触媒活性に悪影響を及ぼす固体酸物質が含まれること
がある。さらには、有機系バインダーにも光触媒活性に
悪影響を及ぼす固体酸物質が微量であるが含まれること
がある。そこで、本発明では、膜材料中に塩基材料を混
合させることで、光触媒活性に悪影響を及ぼす固体酸物
質を疑似中和させることができ、光触媒活性の低下を防
止することができる。
【0016】本発明の請求項9に記載の発明は、光触媒
体を含有する膜を基材に設けてなる有機物質分解体の製
造方法であって、前記光触媒体と、コロイダルシリカな
いし酸化チタンを含有する無機系バインダーと、板状、
鎖状の結晶構造を有する無機粉末とを混合してなる膜材
料を、前記基材に製膜したのち焼成することで、前記基
材に前記膜を形成することに特徴を有しており、これに
より次のような作用を有する。すなわち、これら無機系
バインダーには光触媒活性に悪影響を及ぼす固体酸物質
があまり含有されていないので、製膜される膜は光触媒
活性がほとんど低下しない。しかしながら、無機系バイ
ンダーを用いて製膜された膜は膜の粒界強度が弱いため
に、十分なる膜強度が得にくい。そこで、膜材料に板
状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末を混合すること
で、膜の粒界強度を増強させることができ、膜強度は向
上する。さらには、板状、鎖状の結晶構造を有する無機
粉末を含有した膜は多孔質となってその光触媒活性が向
上する。
【0017】本発明の請求項10に記載した発明は、請
求項8に係る有機物質分解体の製造方法であって、前記
膜材料にさらに塩基材料を添加することに特徴を有して
おり、これにより次のような作用を有する。すなわち、
板状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末のなかには、光
触媒活性に悪影響を及ぼす固体酸物質を含むものがあ
る。そのような無機粉末を用いることを考えて本発明で
は、膜材料中に塩基材料を混合させることで、光触媒活
性に悪影響を及ぼす固体酸物質を疑似中和させることが
でき、光触媒活性の低下を防止することができる。
【0018】本発明の請求項11に記載の発明は、光触
媒体を含有する膜を基材に設けてなる有機物質分解体の
製造方法であって、前記光触媒体と、バインダーと、塩
基材料とを混合してなる膜材料を、前記基材に製膜した
のち焼成することで、前記基材に前記膜を形成すること
に特徴を有しており、これにより次のような作用を有す
る。すなわち、バインダー中には光触媒活性に悪影響を
及ぼす固体酸物質が含まれることがあるが、これら固体
酸物質は、塩基材料により疑似中和されるために、光触
媒活性は低下しにくくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に説明
する。
【0020】本発明の有機物質分解体の基本構造を図1
を参照して説明する。
【0021】この有機物質分解体は、ガラス、金属、セ
ラミック、プラスチック等からなる繊維製品や、同様の
材料からなる板状、線状、管状の成形品等からなる基材
1と、この基材1の表面に設けられた光触媒膜(請求項
における膜に相当する)2とを備えている。光触媒膜2
は、図示はしないが異種金属担持光触媒体を含有してい
る。
【0022】次に、このように構成された誘起物質分解
体の製造方法を説明する。
【0023】第1の製造方法 使用する光触媒体は光触媒反応を有する材料であれば何
れでも良い。例えば、Ti、W、Mo、Si、ln、Cd、
Ga、Cr、Pb、Sn等のいずれか、またはこれらの化合
物、または合金、または酸化物から光触媒膜体を構成す
る。また、光触媒体は、微粒子であるのが好ましく、さ
らにはその粒径は5〜100nmとするのが好ましい。
このような粒径に限定するのは次のような理由によって
いる。すなわち、100nm以上の粒径では、表面積が
大きすぎて、十分なる光触媒活性を発揮できない。一
方、5nm以下といった極微小の微粒子は製法的に作製
することが困難となる。
【0024】さらには光触媒体としては、上記物質(T
i、W、Mo、Si、ln、Cd、Ga、Cr、Pb、Sn等)
を単独で用いてもよいし、または複合して用いてもよ
い。上記物質のうち、コストおよび安全性の面から考え
ると酸化チタンが最も実用的であり、また酸化チタンの
結晶構造としては、アナターゼ型が適しているがルチル
型を使用しても良い。
【0025】次に、これら光触媒反応を有する材料の表
面に粒径0.1〜10nmの超微粒子Cu、Ag、Fe、
Co、Pt、Ni、Pd、Au等の異種金属(光触媒体を構
成する金属とは異なる金属)を1種以上、光析出法、混
合法、含浸法、化学析出法、同時沈着法等により固定化
し、異種金属担持光触媒体とする。異種金属は、このよ
うに、光触媒体より微小な粒としている。これは、担持
させる異種金属の粒が光触媒体より小さい方が、光触媒
体の光触媒活性を向上させるうえで適しているためであ
る。また、担持する異種金属として、Ag,Pt,Au等
を選択すれば、抗菌抗カビ性も期待することができる。
【0026】なお、本実施の形態では、異種金属担持光
触媒体において、本発明を実施しているが、異種金属を
担持しない光触媒体を用いたものにおいても本発明を実
施できるのはいうまでもない。
【0027】そして、このようにして作製した異種金属
担持光触媒体の粉末を、シリコーン樹脂、フッ素等の有
機系バインダーに混合させて膜材料を作製する。なお、
膜材料の作製に際しては、バインダーの固形分に対し異
種金属担持光触媒体粉末を約20〜80wt%混合する
のが好ましい。
【0028】作製した膜材料を、ガラス、金属、セラミ
ック、プラスチック等による繊維製品、板線状、管状の
成形品等の基材の表面に製膜したのち、400℃以下の
比較的低温の焼成温度で焼成して光触媒膜2を形成し、
これにより有機物質分解体を作製する。製膜は、例え
ば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロ
ールコーティング、スピンコーティング、刷毛塗り等に
より行う。
【0029】また、上記した膜材料を調合する際に、上
記した有機系バインダーに対して、板状、鎖状の結晶構
造を有するマイカ(含水硅酸アルミニウムカリウム),
ウェットタルク(天然含水硅酸マグネシウム)等を単独
または複合した無機粉末を約50wt%以下混合して膜
材料とする。このような膜材料を用いることにより、製
膜した光触媒膜2は多孔質となり、製膜後の触媒活性が
向上することになる。さらには、上記無機粉末を混合す
ることにより製膜した光触媒膜2の粒界強度が増して膜
強度が向上することになる。
【0030】しかしながら、このような無機粉末と異種
金属担持光触媒体粉末とを混合して作製した光触媒膜で
は、バインダー中や無機粉末中に固体酸物質が含まれる
ことがあるが、そうすると、その固体酸物質の影響によ
り光触媒活性が損なわれてしまう。そこで、膜材料中
に、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カリウム、
水酸化ナトリウム等の固体塩基粉末も同時に適量混合し
て膜材料とする。これにより、光触媒活性に悪影響を及
ぼすことが懸念される固体酸物質を固体塩基粉末により
疑似中和させることができ、固体酸物質の影響による光
触媒活性の低下を防止することができる。
【0031】なお、固体塩基の混合量は、使用するバイ
ンダー等の混合物質、固体塩基の種類によって異なり、
その混合物に含まれる固体酸物質の混合量等を考慮した
上で、適量の固体塩基を混合する。
【0032】さらには、上記膜材料からなる光触媒膜で
は、吸着性が十分でないため、光触媒膜の表面に接触し
た各種汚染ガスは分解することができるものの、汚染ガ
スの吸着が不十分であるために、全体として光触媒機能
が不十分となることが考えられる。そこで、上記膜材料
にさらにシリカゲル、シリカライト、活性炭、ゼオライ
ト等の吸着材を混合する。これにより、光触媒膜と接触
した汚染ガスと吸着材に吸着した汚染ガスと両方とも分
解することが可能とになり、光触媒作用による汚染ガス
の分解効率が向上する。
【0033】吸着材の混合量は活性炭、ゼオライト等の
種類、性能により異なり異種金属担持光触媒体に対して
約1.0〜70wt%程度が適当である。また、汚臭成
分の吸着性能を考えると疎水性ゼオライト(Si/Al=
50以上)が適している。ここで、ゼオライトはその水
素あるいはナトリウムの一部をCu,Ag,Fe,Co,P
t,Ni,Pd,Au等で置換したM交換ゼオライト(M=
Cu,Ag,Fe,Co,Pt,Ni,Pd,Au等)を用いる
と更に吸着性が向上するために高効率分解が得られる。
しかし、M交換ゼオライトを混合するとM交換ゼオライ
ト中のCu,Ag、Fe,Co,Pt,Ni,Pd,Au等の電
子捕捉効果により、固体酸物質と同様に光触媒の還元反
応を阻害して光触媒活性が損なわれることがある。その
ため、このような光触媒活性の低下を抑制するために
は、上述した固体塩基粉末を増量すればよい。
【0034】さらに、各種光触媒塗料の調合の際、触媒
材料の均一分散化、安定化を計るため分散剤、界面活性
剤等を混合しても良い。この時もまた、それぞれの添加
物中に固体酸物質の様な電子捕捉効果を有する物質が含
まれる場合、固体塩基粉未を適量増量して膜材料とす
る。
【0035】以上の様にして調製した膜材料による製膜
化の際、基材は使用目的に応じて材質、形状、構造は製
膜可能なものなら上記した物以外でも良く、製膜方法も
膜を形成しうる方法なら上記以外の方法でも良い。ま
た、バインダーはSiO2を主成分とし、不純物の少ない
バインダーを選択すると光活性を劣化させることなく製
膜化が可能となる。
【0036】第2の製造方法 第1の製造方法と同様の方法で作製した異種金属担持光
触媒体の粉末を、コロイダルシリカ、酸化チタンを主成
分とする無機系バインダーに混合させて膜材料を作製す
る。なお、膜材料の作製に際しては、第1の製造方法と
同様、バインダーの固形分に対し異種金属担持光触媒体
粉末を約20〜80wt%混合するのが好ましい。
【0037】作製した膜材料を、ガラス、金属、セラミ
ック、プラスチック等による繊維製品、板線状、管状の
成形品等の基材1の表面に製膜したのち、400℃以下
の比較的低温の焼成温度で光触媒膜2を焼成すること
で、有機物質分解体を作製する。製膜は、第1の製造方
法と同様、例えば、スプレーコーティング、ディップコ
ーティング、ロールコーティング、スピンコーティン
グ、刷毛塗り等により行う。
【0038】また、上記した膜材料の調合に際して、板
状、鎖状の結晶構造を有するマイカ(含水硅酸アルミニ
ウムカリウム),ウェットタルク(天然含水硅酸マグネ
シウム)等を単独または複合した無機粉末を無機系バイ
ンダーに対し約50wt%以下、混合して膜材料とす
る。これは次のような理由によっている。すなわち、無
機系バインダーだけでは、製膜した光触媒膜2の粒界強
度が弱く、そのために光触媒膜2の膜強度は不十分とな
る。そこで、膜材料中に上記無機粉末を混合することに
より製膜した光触媒膜2の粒界強度を増強して、膜強度
を高めている。さらには、上記無機粉末を混合すること
で、製膜した光触媒膜2は多孔質となり、触媒活性がよ
り向上する。
【0039】しかしながら、このような無機粉末と異種
金属担持光触媒体粉末とを混合して作製した光触媒膜2
では、無機系バインダー中や無機粉末中に含まれるいる
固体酸物質の影響により光触媒活性が損なわれるおそれ
がある。そこで、膜材料中に、酸化カルシウム、炭酸カ
ルシウム、酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の固体塩
基粉末も適量混合して膜材料とする。これにより、光触
媒活性に悪影響を及ぼすことが懸念される固体酸物質を
固体塩基粉末により疑似中和させることができ、固体酸
物質の影響によって起こる光触媒活性の低下を防止する
ことができる。
【0040】さらには、上記膜材料からなる光触媒膜に
対して、第1の製造方法と同様の吸着材、分散剤、界面
活性剤等を混合しても良い。
【0041】以下、本発明における上記複合光触媒体の
形成方法およびそれらを応用した製品の実施例を添付図
面を参照して更に詳しく説明するが、本発明はこれら実
施例によって何ら限定されるものではないのはいうまで
もない。
【0042】実施例 (1)有機物質分解体の製作例 日産化学工業(株)社製の無機バインダーであるスノー
テックスO(主成分:コロイダルシリカ20.5wt%
含有)100gと、大研化学工業(株)社製の光触媒体
の粉末(粒径70nmのルチル型酸化チタンの表面に粒
径1.5nmの白金を担持した)20.5gとを混合し
て膜材料Aを調製した。
【0043】次いで、上記膜材料Aの60.25g中に
脇田砿業(株)社製の#5500マイカ粉末(化学名:
含水硅酸アルミニウムカリウム、主成分:SiO2約4
3.3wt%,Al23約41.9wt%等)5.0g
を混合して調製することで膜材料Bを作製した。
【0044】さらに、上記膜材料Bの32.625g中
に炭酸カルシウム粉末を0.0125g混合して調製す
ることで膜材料Cを作製した。
【0045】そして、アセトンにて表面を脱脂したアル
ミニウム基板(60×160mm、表面はクロメート処
理済)に対して、上記膜材料A、B、Cをスプレーコー
ティングにて製膜処理を施したのち、200℃にて焼成
することで、有機物質分解体X、Y、Zを作製した。
【0046】これら有機物質分解体X、Y、Zの膜強度
をテープ剥離試験(10mm×10mmの膜表面に縦・
横1mm間隔で切込をいれセロテープ(商品名)をは
り、そののち、テープを剥がして剥離強度を評価(見て
評価)したところ、有機物質分解体Xは、無機バインダ
ーであるスノーテックOを含むことで粒界強度が低くな
り、光触媒膜2の膜強度は不十分(粒状にて約60%以
上剥離)となった。しかしながら、有機分解体Y,Z
は、無機粉末であるマイカ粉末をさらに混合すること
で、粒界強度が高くなり、光触媒膜2の膜強度は約10
%未満の剥離(固形状)といった十分なる値が得られて
いることがわかった。
【0047】(2)光触媒活性試験 送風ファンを配置した容量27Lのアクリル製容器内に
作製した有機物質分解体X、Y、Zをそれぞれ2試料づ
つ設置したうえで、前記容器内にアセトアルデヒドを1
00ppm注入した。その後、ブラックライトにて紫外
線を前記容器内に照射しつつ、10分毎に北川式検知管
にて容器内のアセトアルデヒド濃度の測定を行った。試
験結果を図2に示す。
【0048】図2より明らかなように、有機物質分解体
Yは、膜材料B(膜材料Aに対してさらにマイカ粉末を
混合している)を製膜して光触媒膜2を形成しているた
めに、光触媒活性が劣化していることがわかる。これに
対し、有機物質分解体Zは膜材料C(膜材料Bにさらに
炭酸カルシウムを混合している)を製膜して光触媒膜2
を形成しているために、有機物質分解体Xよりさらに優
れた光触媒活性が得られることが確認できた。
【0049】これにより、異種金属担持光触媒体といっ
た光触媒体を用いて製膜化する際、電子捕捉効果を有す
る固体酸物質等(無機粉末やバインダーに含まれてい
る)により、光触媒反応である還元反応が損なわれるこ
とが確認できた。さらには、固体塩基物質を混合した膜
材料Cを製膜することで、この固体塩基物質が上記固体
酸物質等を疑似中和して光触媒活性の劣化を抑制してい
ることが確認できた。
【0050】また、上述した実施例では、無機バインダ
ーを用いて光触媒膜2を形成した有機物質分解体におけ
る光触媒活性の測定結果を提示していたが、有機バイン
ダーを用いた光触媒漠2を形成した場合も同様の結果が
得られるのはいうまでもない。
【0051】(3)有機物質分解体を応用した装置の実
施例 図3は、本発明の有機物質分解体を応用した脱臭装置の
実施例を示す図である。なお、以下の説明において、循
環する雰囲気の流れる方向を基準にして上流および下流
ということにする。
【0052】この脱臭装置は、本体l1内に、各種空間
内の雰囲気を循環させるファン12と、吸気口13と、
排気口14と、本体11に各種運転を制御する操作パネ
ル部15とを備えている。吸気口13と排気口14と
は、ファン12を挟んで本体11に配置されている。こ
の脱臭装置では、各種空間内の雰囲気をファン12にて
吸気口13から排気口14ヘと循環させるようになって
いる。
【0053】本体11内には、吸気口13とファン12
との間に、雰囲気中の粉塵を集塵せしめる為の集塵手段
16を配している。また、ファン12と排気口4との間
には雰囲気の流れに沿って順に光照射手段17と、有機
物質分解体18とを設けている。ここで、集塵手段16
は電気集塵装置等の電気的手段、HEPAフィルター、
活性炭フィルター等を単体または複合したフィルターに
よるものでも良い。光照射手段17は、有機物質分解体
18に対して垂直にかつ有機物質分解体18に対して均
等に照射できるように配されている。光照射手段17
は、光冷陰極管、ブラックライト、白色灯等の光を照射
しうるものであればよく、さらには、それ以外でもので
も良いが、紫外線強度の強いものの方が光触媒作用を利
用する上で適している。
【0054】次いで、この脱臭装置の運転構成を説明す
る。各種空間の雰囲気は、まず雰囲気中の粉塵を集塵手
段16により捕捉し、ファン12を経由し、光照射手段
17により光を照射されている有機物質分解体18と接
触しながら通過したうえで、排気口14から排気され
る。
【0055】この時、有機物質分解体18に接触した汚
染ガスの一部が光触媒反応により分解され、有機物質分
解体18中に含有される吸着材(図示省略)に汚染ガス
の一部が吸着される。吸着材に吸着した汚染ガスは光触
媒反応により、続いて分解される。
【0056】上記した脱臭装置の変形例としては、図4
に示すものがある。すなわち、この脱臭装置では、本体
21の吸気口23に達した雰囲気は、ファン22によ
り、上流側から集塵手段26、光照射手段27、有機物
質分解体28を循環して、排気口24から排気されるよ
う構成されている。運転および汚染ガスの分解方法等は
図3の脱臭装置と同様である。
【0057】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、膜強度の
高い光触媒膜が得られるうえに、光触媒活性の高い光触
媒膜を得ることが可能となった。そのため、この有機物
質分解体を用いれば、汚染ガスの分解に要する時問を短
縮することが可能となり、消費電力の削減にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る有機物質分解体の
構成を示す要部断面図である。
【図2】本発明の有機物質分解体における光触媒活性の
測定データを示す線図である。
【図3】本発明の有機物質分解体を用いた脱臭装置の構
成を示す断面図である。
【図4】図3の脱臭装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 光触媒膜
フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02A BA02B BA04A BA04B BA16A BA16B BA17 BA22A BA48A BB16B BC09B BC75B CA10 CA17 EA08 EC22Y FA03 FB23 FB24 FB30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒体を含有する膜を基材に設けてな
    る有機物質分解体であって、 前記膜は板状、鎖状の結晶構造を有する無機粉末を含む
    ものであることを特徴とする有機物質分解体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の有機物質分解体であっ
    て、 前記膜は塩基材料をさらに含むものであることを特徴と
    する有機物質分解体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の有機物質分解体
    であって、 前記光触媒体は、この光触媒体を構成する金属成分とは
    異なる異種金属を担持したものであることを特徴とする
    有機物質分解体。
  4. 【請求項4】 光触媒体を含有する膜を基材に設けてな
    る有機物質分解体であって、 前記膜は塩基材料を含むものであることを特徴とする有
    機物質分解体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の有機物質分解体であっ
    て、 前記光触媒体は、この光触媒体を構成する金属成分とは
    異なる異種金属を担持したものであることを特徴とする
    有機物質分解体。
  6. 【請求項6】 光触媒体を含有する膜を基材に設けてな
    る有機物質分解体の製造方法であって、 前記光触媒体と、シリコーン樹脂ないしフッ素樹脂を含
    有する有機系バインダーとを混合してなる膜材料を、前
    記基材に製膜したのち焼成することで、前記基材に前記
    膜を形成することを特徴とする有機物質分解体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の有機物質分解体の製造方
    法であって、 前記膜材料にさらに板状、鎖状の結晶構造を有する無機
    粉末を添加することを特徴とする有機物質分解体の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の有機物質分解体
    の製造方法であって、 前記膜材料にさらに塩基材料を添加することを特徴とす
    る有機物質分解体の製造方法。
  9. 【請求項9】 光触媒体を含有する膜を基材に設けてな
    る有機物質分解体の製造方法であって、 前記光触媒体と、コロイダルシリカないし酸化チタンを
    含有する無機系バインダーと、板状、鎖状の結晶構造を
    有する無機粉末とを混合してなる膜材料を、前記基材に
    製膜したのち焼成することで、前記基材に前記膜を形成
    することを特徴とする有機物質分解体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の有機物質分解体の製造
    方法であって、 前記膜材料にさらに塩基材料を添加することを特徴とす
    る有機物質分解体の製造方法。
  11. 【請求項11】 光触媒体を含有する膜を基材に設けて
    なる有機物質分解体の製造方法であって、 前記光触媒体と、バインダーと、塩基材料とを混合して
    なる膜材料を、前記基材に製膜したのち焼成すること
    で、前記基材に前記膜を形成することを特徴とする有機
    物質分解体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014046255A (ja) * 2012-08-30 2014-03-17 Taiyo Kogyo Corp 光触媒膜の接合方法
JP2019089068A (ja) * 2019-01-07 2019-06-13 太陽工業株式会社 光触媒膜の接合方法

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