JP2000198139A - 二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法

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JP2000198139A
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淳一 田中
Atsushi Tachikawa
淳 立川
Kenichi Yamagishi
健一 山岸
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法安定性が優れ、かつ、フィルムの厚みむ
らの小さい二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法を提
供する。 【解決手段】 延伸工程が、第1延伸ゾーンと第2延伸
ゾーンに2分割された同時二軸延伸機を用い、各延伸ゾ
ーンの延伸温度を下記式に示す温度範囲とし、かつ、第
1延伸ゾーンと第2延伸ゾーンの分割位置を延伸倍率
(面積比)300〜500%の位置に設ける。 第1延伸ゾーン温度(T1) 50≦T1(℃)≦70 第2延伸ゾーン温度(T2) 100≦T2(℃)≦120

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は二軸延伸ポリアミド
フィルムを製造する方法に関するものであり、特に、フ
ィルムの幅方向の物性の均一性に優れたポリアミドフィ
ルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリアミドフィルムは、耐ピン
ホール性等の機械的強度、寸法安定性、ガスバリヤー
性、印刷特性等において優れた性能を有しており、食品
等の包装用途に幅広く使用されている。
【0003】しかしながら、フラット法による同時二軸
延伸法や逐次二軸延伸法では延伸後に生じるボーイング
現象(延伸前のフィルムにフィルムの進行方向に対して
直角にマークした直線が延伸・熱処理終了後、中央部が
遅れた形の弓型に変形する現象)が問題となり、フィル
ムの巾方向の物性の均一性を損ねる原因となっている。
特に、ボイル殺菌、レトルト殺菌用包装材料として用い
る場合は大きな欠点となり、製袋時のカールを引き起こ
すため、使用可能なフィルムの巾に制限を受けるという
問題を有していた。
【0004】これまで、製造条件の工夫によりボーイン
グを改良する方法が試みられてきたが、一般にボーイン
グを小さくすると、ネックが出現しやすくなったり、厚
みムラが増大するという問題が生じ、これらの特性を両
立させることは困難であった。また延伸ゾーンを2分割
し、それぞれのゾーンの温度を調整してボーイングを改
良する試みがなされていたが、ネックの発生や厚みムラ
が増大するなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
問題を解決しようとするものであり、同時二軸延伸ポリ
アミドフィルムの優れた厚み均一性や操業性を損なうこ
となく、実用上重要なフィルム巾方向の寸法安定性が均
一化された二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法を提
供しようとするものである。
【0006】本発明者らは、このような課題を解決する
ために鋭意検討した結果、延伸ゾーンを2分割した同時
二軸延伸装置を用いて、特定の製造条件を採用すること
により、上記の課題が解決されることを見い出し、本発
明に到達した。
【0007】すなわち、本発明の要旨は次のとおりであ
る。延伸工程が、第1延伸ゾーンと第2延伸ゾーンに2
分割された同時二軸延伸機を用いて未延伸フィルムを延
伸することにより二軸延伸ポリアミドフィルムを製造す
る方法において、各延伸ゾーンの延伸温度を下記式に示
す温度範囲とし、かつ、第1延伸ゾーンと第2延伸ゾー
ンの分割位置を延伸倍率(面積比)300〜500%の
位置に設けることを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィ
ルムの製造方法。 第1延伸ゾーン温度(T1) 50≦T1(℃)≦70 第2延伸ゾーン温度(T2) 100≦T2(℃)≦120
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明を詳細に説明する。本
発明における二軸延伸ポリアミドフィルムを製造するた
めの主原料としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイ
ロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン
12、ポリメタキシリレンアジパミド等、あるいはこれ
らの共重合体やそれらの混合物が挙げられるが、最適に
はナイロン6である。また、フィルムの特性を損なわな
い範囲で、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃
剤、可塑剤、離型剤や強化剤などの改質剤を配合するこ
とができる。
【0009】次に、本発明におけるフラット法による同
時二軸延伸法による二軸延伸ポリアミドフィルムを製造
する方法について説明する。
【0010】Tダイより押し出された溶融ポリアミド樹
脂シートは、冷却ロールで冷却されて未延伸シートが製
膜される。得られた未延伸シートを温度50〜70℃で
予熱した後、同時二軸延伸法により縦、横方向ともに
2.5〜4.0倍の範囲で延伸する。予熱温度が50℃
未満の場合には、延伸時のフィルム破断が生じやすく、
また延伸機にかかる負荷も大きく、設備上のトラブルも
生じやすい。また、予熱温度が70℃を超える場合には
延伸時の破断が生じやすい。また、延伸倍率が2.5倍
未満の場合は、得られる延伸フィルムの力学的強度が低
く、4.0倍を超える場合にはフィルムの延伸破断が発
生しやすくなる。
【0011】本発明においては、延伸工程が、第1延伸
ゾーンと第2延伸ゾーンに2分割された同時二軸延伸機
を用い、かつ、延伸部前半の第1延伸ゾーンの温度を5
0〜70℃の範囲とし、延伸部後半の第2延伸ゾーンの
温度を100〜120℃の範囲とすることが必要であ
る。第1延伸ゾーンの温度が50℃未満あるいは70℃
を超えた場合には、フィルムの延伸破断が生じやすくな
り、また延伸後の厚みムラの増大につながる。また、第
2延伸ゾーンが100℃未満の場合には、フィルムの延
伸破断が生じやすく、またボーイングの改良効果が殆ど
ない。また、120℃を超えると延伸フィルムの厚みム
ラが大きくなり、ネックが発生して延伸時のフィルム破
断の原因となる。
【0012】また、本発明においては、第1延伸ゾーン
と第2延伸ゾーンの分割位置を延伸倍率(面積比)30
0〜500%の位置に設けることが必要がある。この分
割位置は実質的にフィルムのボーイング現象が未だ発現
していない位置である。すなわち、同時二軸延伸中のボ
ーイングの発生は、第1延伸ゾーンではボーイングの程
度は小さく、第2延伸ゾーンよりボーイング現象が発現
し、熱処理ゾーンにおいて成長する。
【0013】分割位置を延伸倍率300%未満の位置に
設けた場合には、ボーイングの改良効果は小さく、むし
ろ厚みムラが増大し、極端な場合には、ネック現象が発
生して延伸時におけるフィルム破断を引き起こす。同様
に、分割位置を延伸倍率500%を超えた位置にした場
合にもボーイングの改良効果が小さく、また延伸時のフ
ィルム破断が生じやすい。
【0014】延伸直前の未延伸フィルムの水分率は1.
0重量%以下とすることが好ましい。水分率が1.0重
量%よりも高いと延伸フィルムの厚みムラが増大し、ネ
ック現象が発現しやすくなる。
【0015】延伸されたフィルムは、温度140〜21
0℃の範囲で熱処理される。熱処理ゾーンは温度の異な
る複数のゾーンにより構成されるが、延伸直後の熱処理
温度は比較的低温とし、熱処理ゾーン後半にかけて高温
側に勾配をもたすことがボーイング低減の点で望まし
い。熱処理温度が低いとフィルムの熱収縮率が大きくな
り、また、熱処理温度が高すぎるとフィルムの強度が低
下するので注意が必要である。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明する。なお、実施例および比較例の評価に用いた
測定方法は次のとおりである。 (1)フィルム厚みむら WINZEN INTERNATION社製のthickness profiler MODEL1O
を使用し、連続的に60mm/minの速度でフィルムを走行さ
せ、各フィルムにつき10点の測定を行い、その平均値
を求めた。なお、ネックの発生したフィルムについては
測定しなかった。 (2)水分率 二軸延伸する直前の未延伸フィルムの水分率を測定し
た。 (3)熱水収縮率斜め差 ボーイングの度合いを示す指標として、フィルム幅方向
に対して斜め45度と135度の方向の熱水収縮率の差
を測定した。測定サンプルは、幅2300mmのフィル
ムの中央部から左右に各1000mmの位置のフィルム
を、斜め45度と135度の方向に沿って巾10mm×
長さ100mmの寸法にカットし、100℃熱水中で5
分間ボイル処理した後、20℃、65%相対湿度下で2
時間放置した後の寸法を測定し、処理前の寸法に対する
収縮率を求めた。なお、ネックの発生したフィルムにつ
いては測定しなかった。 (4)フィルム破断頻度 1日間の操業を行い、その間に生じたフィルム破断回数
を調べた。なお、未延伸フィルムの製膜不良や延伸機ク
リップの掴み不良に起因する破断については除外した。
なお、ネックが発生した場合は操業を中止した。
【0017】実施例1 95%濃硫酸中、25℃で測定した相対粘度3.0のナ
イロン6(ユニチカ社製A1030BRF)を用いて、
温度260℃でTダイより溶融押出しし、15℃のドラ
ム上で冷却して厚さ150μmの実質的に無配向の未延
伸フィルムを得た。続いて、この未延伸フィルムを水分
率0.5重量%で延伸機に導き、60℃で予熱後、表1
に示した延伸条件(温度、延伸ゾーンの分割位置)で、
縦方向3.3倍、横方向3.0倍に同時二軸延伸し、次
に、温度が順に140℃、160℃、190℃、208
℃、208℃の段階的に温度設定された熱処理ゾーンで
熱処理し、フィルムの幅方向に5.0%の弛緩処理を施
し、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムを得た。
フィルムの厚みむら、熱水収縮率斜め差、1日間の操業
の間に生じたフィルムの破断回数を表1に示した。フィ
ルムの幅方向の寸法安定性、厚み均一性に優れた二軸延
伸フィルムが安定して得られた。
【0018】実施例2〜3 延伸ゾーンの分割位置を表1に示した位置に設けた以外
は、実施例1と同様の条件で厚さ15μmの二軸延伸ナ
イロンフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
【0019】比較例1〜2 延伸ゾーンの分割位置を表1に示した位置に設けた以外
は、実施例1と同様の条件で厚さ15μmの二軸延伸ナ
イロンフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
【0020】比較例3〜7 延伸ゾーンの温度を表1に示した温度に設定した以外
は、実施例1と同様の条件で厚さ15μmの二軸延伸ナ
イロンフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、優れた厚み均一性や操
業性を損なうことなく、実用上重要なフィルム巾方向の
寸法安定性が均一化された二軸延伸ポリアミドフィルム
の製造方法が提供される。したがって、本発明により製
造されたポリアミドフィルムの産業上の利用価値は極め
て高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸工程が、第1延伸ゾーンと第2延伸
    ゾーンに2分割された同時二軸延伸機を用いて未延伸フ
    ィルムを延伸することにより二軸延伸ポリアミドフィル
    ムを製造する方法において、各延伸ゾーンの延伸温度を
    下記式に示す温度範囲とし、かつ、第1延伸ゾーンと第
    2延伸ゾーンの分割位置を延伸倍率(面積比)300〜
    500%の位置に設けることを特徴とする二軸延伸ポリ
    アミドフィルムの製造方法。 第1延伸ゾーン温度(T1) 50≦T1(℃)≦70 第2延伸ゾーン温度(T2) 100≦T2(℃)≦120
  2. 【請求項2】 ポリアミドがナイロン6である請求項1
    記載の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 未延伸フィルムの水分率を1.0重量%
    以下のものを同時二軸延伸することを特徴とする請求項
    1又は2記載の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015115580A1 (ja) * 2014-01-30 2015-08-06 ユニチカ株式会社 二軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法
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