JP2000196147A - 半導体発光素子及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及びその製造方法

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JP2000196147A
JP2000196147A JP37482198A JP37482198A JP2000196147A JP 2000196147 A JP2000196147 A JP 2000196147A JP 37482198 A JP37482198 A JP 37482198A JP 37482198 A JP37482198 A JP 37482198A JP 2000196147 A JP2000196147 A JP 2000196147A
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light emitting
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JP37482198A
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Toshio Hata
俊雄 幡
Yuzo Tsuda
有三 津田
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性層内で発生する発光に寄与しない無効電
流を低減することによって、低閾値電流を有して発光効
率に優れた半導体発光素子、及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 半導体発光素子が、半導体基板と、該半
導体基板の上に形成された第1の下地層と、該第1の下
地層の上に所定のパターンで形成された第2の下地層
と、該第2の下地層の上に形成された、活性層と少なく
とも一つのクラッド層とを少なくとも含む積層構造と、
を備えており、該第2の下地層は、該第1の下地層に比
べて、該活性層により大きなエネルギーバンドギャップ
値をもたらすものであり、該第2の下地層の該所定のパ
ターンは、該第1の下地層の一部を該積層構造に接触さ
せる形状を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体レーザ素子
や半導体発光ダイオード素子などの半導体発光素子及び
その製造方法に関し、特に、窒化ガリウム系などのIII
族窒化物系化合物半導体材料を使用して形成される半導
体発光素子及びその製造方法に関する。より具体的に
は、低い閾値電流で動作して優れた発光効率を有する半
導体発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来の電流阻止型窒化ガリウム
系化合物半導体発光素子1000の構成を模式的に示す
断面図である。
【0003】この従来の電流阻止型窒化ガリウム系化合
物半導体発光素子1000の製造方法を説明すると、ま
ず、基板1005の上に、n型GaNコンタクト層10
10、n型Al0.07Ga0.93N光閉じ込め層1020、
n型GaN光ガイド層1030、量子構造を有する活性
層(量子構造活性層)1040、及びn型或いはi型の
Al0.4Ga0.6N電流阻止層1050を順に積層する。
次に、Al0.4Ga0.6N電流阻止層1050の所定の箇
所に、量子構造活性層1040の表面に達するストライ
プ状の開口部をドライエッチングにて形成する。その後
に、Al0.4Ga0.6N電流阻止層1050の上を覆って
且つその開口部を埋めるp型GaN光ガイド層1060
を形成し、さらにその上に、p型Al0.07Ga0.93N光
閉じ込め層1070及びp型GaNコンタクト層108
0を順に積層する。次に、p型GaNコンタクト層10
80の上に、p側電極1090を形成する。また、上記
の積層構造の一部をその表面からn型GaNコンタクト
層1010に達するまでエッチングで除去して、それに
よって得られたn型GaNコンタクト層1010の露出
面に、n側電極1100を形成する。これによって、図
9に示されるような従来の電流阻止型窒化ガリウム系化
合物半導体発光素子1000が、形成される。
【0004】以上のような構成を有する従来の窒化ガリ
ウム系化合物半導体発光素子は、例えば、特開平9−2
60771号公報に開示されている。
【0005】上記のような従来の窒化ガリウム系化合物
半導体発光素子1000では、量子構造活性層1040
の上に電流阻止層1050を形成し、その後に電流阻止
層1050にストライプ状の開口部を形成することによ
って、外部から供給される電流を集中させる構造を実現
している。このような構造によって、集中された電流が
効率的に量子井戸活性層1040に注入されて、閾値電
流の低減が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来の
構造において、前記開口部を通って量子構造活性層10
40に注入された電流は、活性層1040の内部で横方
向に拡がって、発振に寄与しない無効電流が生じる。こ
のような無効電流の存在は、閾値電流の効果的な低減、
更には信頼性に優れた窒化ガリウム系化合物半導体発光
素子の実現を、妨げる。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、(1)活性層内で発生
する無効電流を低減して、低閾値電流を有して発光効率
に優れた半導体発光素子を提供すること、及び(2)上
記のような半導体発光素子の製造方法を提供すること、
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体発光素子
は、半導体基板と、該半導体基板の上に形成された第1
の下地層と、該第1の下地層の上に所定のパターンで形
成された第2の下地層と、該第2の下地層の上に形成さ
れた、活性層と少なくとも一つのクラッド層とを少なく
とも含む積層構造と、を備えており、該第2の下地層
は、該第1の下地層に比べて、該活性層により大きなエ
ネルギーバンドギャップ値をもたらすものであり、該第
2の下地層の該所定のパターンは、該第1の下地層の一
部を該積層構造に接触させる形状を有していて、そのこ
とによって上記の目的が達成される。
【0009】前記活性層は、量子井戸構造を有し得る。
具体的には、前記活性層は単一量子井戸活性層或いは多
重量子井戸活性層であり得る。
【0010】ある実施形態では、前記第2の下地層には
ストライプ状開口部が設けられており、該ストライプ状
開口部の底部にて、前記第1の下地層と前記積層構造と
が接触している。ある場合には、前記第1の下地層が前
記第2の下地層よりも厚く形成されている。
【0011】他の実施形態では、前記第2の下地層は島
状パターンをなすように形成されており、該島状パター
ンの周囲の領域で、前記第1の下地層と前記積層構造と
が接触している。この場合に、上記の半導体発光素子
は、前記積層構造の上に設けられた、前記第2の下地層
の前記島状パターンに対応する形状の絶縁層を更に備え
得る。
【0012】ある実施形態では、上記の半導体発光素子
は、発光ダイオード素子として機能する。
【0013】他の実施形態では、前記積層構造には一対
のクラッド層が含まれており、前記活性層は該一対のク
ラッド層の間に位置していて、それによって、上記の半
導体発光素子は半導体レーザ素子として機能する。
【0014】前記第1及び第2の下地層と前記積層構造
とは、III族窒化物系化合物半導体材料によって形成さ
れ得る。
【0015】例えば、前記基板がサファイア基板であ
り、前記第1の下地層がGaN層であり、前記第2の下
地層がAlN層であり、且つ前記活性層がInxGa1-x
N層(0≦x≦1)である。
【0016】或いは、前記第1及び第2の下地層は、お
互いに組成の異なるAlGaN混晶によって形成され得
る。
【0017】本発明の半導体発光素子の製造方法は、半
導体基板の上に第1の下地層及び第2の下地層を順に積
層する工程と、該第2の下地層を所定のパターンにパタ
ーニングする工程と、該パターニングされた第2の下地
層の上に、活性層と少なくとも一つのクラッド層とを少
なくとも含む積層構造を形成する工程と、を包含してお
り、該第2の下地層は、該第1の下地層に比べて、該活
性層により大きなエネルギーバンドギャップ値をもたら
すものであり、該第2の下地層の該所定のパターンは、
該第1の下地層の一部を該積層構造に接触させる形状を
有していて、そのことによって、前述の目的が達成され
る。
【0018】前記活性層は、量子井戸構造を有するよう
に形成され得る。具体的には、前記活性層は、単一量子
井戸活性層或いは多重量子井戸活性層として形成され得
る。
【0019】ある実施形態では、前記第2の下地層のパ
ターニング工程は、該第2の下地層にストライプ状開口
部を設ける工程を含んでおり、該ストライプ状開口部の
底部にて、前記第1の下地層と前記積層構造とを接触さ
せる。その場合に、前記第2の下地層を前記第1の下地
層よりも薄く形成してもよい。
【0020】他の実施形態では、前記第2の下地層のパ
ターニング工程は、該第2の下地層を島状パターンに形
成する工程を含んでおり、該島状パターンの周囲の領域
で、前記第1の下地層と前記積層構造とを接触させる。
この場合に、上記の製造方法は、前記積層構造の上に、
前記第2の下地層の前記島状パターンに対応する形状の
絶縁層を設ける工程を更に含み得る。
【0021】ある実施形態では、前記積層構造の内部に
一対のクラッド層を形成し、前記活性層を該一対のクラ
ッド層の間に位置させる。
【0022】前記第1及び第2の下地層と前記積層構造
とを、III族窒化物系化合物半導体材料によって形成し
てもよい。
【0023】例えば、前記基板がサファイア基板であ
り、前記第1の下地層がGaN層であり、前記第2の下
地層がAlN層であり、且つ前記活性層がInxGa1-x
N層(0≦x≦1)である。
【0024】或いは、前記第1及び第2の下地層は、お
互いに組成の異なるAlGaN混晶によって形成されて
もよい。
【0025】以上のような特徴を有する本発明の半導体
発光素子及びその製造方法によれば、所定のパターンに
形成された第1及び第2の下地層によって、活性層の横
方向(すなわち面内方向)に、エネルギーバンドギャッ
プ(Eg)の変化(ΔEg)が形成される。これによっ
て、活性層への注入電流のうちでその横方向に拡がる無
効電流が低減される。結果として、低閾値電流を有して
発光効率に優れた半導体発光素子が実現される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の幾つかの実施形
態を、添付の図面を参照しながら説明する。但し、本発
明の具体的な構成は、以下で示される特定の構成や材料
系などに限定されるものではない。
【0027】なお、以下の説明における「III族窒化物
化合物半導体」とは、具体的には、InsAltGa
1-s-tN(0≦s、0≦t、s+t≦1)や、この記載
におけるV族元素であるNの一部をAsやPなどの他の
V族元素と置換して得られるInAlGaNAs或いは
InAlGaNPなどとして表される化合物半導体材料
を、示している。
【0028】具体的な実施形態の説明に先立って、ま
ず、本願発明に至る過程で本願発明者らによって行われ
た実験結果を、図8(a)及び(b)を参照して説明す
る。
【0029】この実験では、図8(a)に模式的に示す
ように、サファイア基板の上に所定の材料及び所定の製
造プロセスによって下地層を形成し、更にその下地層の
上に、厚さ約50nmのGaN層を介して厚さ約3nm
のIn0.2Ga0.8N発光層が設けられている測定用の発
光素子サンプルを形成した(実際には、動作のための電
極なども形成するが、ここではその説明を省略する)。
下地層としては、ハイドライド気相成長法(HVPE
法)によって成長温度約1000℃で高温成長された厚
さ約10μmのGaN層(HVPE−GaN層)、有機
金属化合物気相成長法によって成長温度約600℃で低
温成長された厚さ約55nmのGaN層(GaN低温成
長層)、及び、同じく有機金属化合物気相成長法によっ
て成長温度約650℃で低温成長された厚さ約55nm
のAlN層(AlN低温成長層)、の3種類を用いた。
【0030】図8(b)は、上記のような3種類の下地
層を用いた各々の場合の測定用サンプルにおける、In
0.2Ga0.8N発光層のエネルギーバンドギャップEg
(eV)の値をプロットした図である。具体的には、上
記の各測定用サンプルを発光ダイオードに素子化して、
動作電流20mAでの発光波長より得られた測定値か
ら、各測定用サンプルにおけるIn0.2Ga0.8N発光層
のエネルギーバンドギャップEg(eV)の値を求め
た。
【0031】この図8(b)より、下地層の構成材料や
その形成プロセスに応じて、その上に形成されている発
光層におけるエネルギーバンドギャップEgの値に、差
が生じることが確認された。この原因としては、GaN
とAlN及びInGaNの格子不整合による歪みなどに
より、エネルギーバンドギャップEgに差が生じること
が考えられる。
【0032】従って、この実験結果に基づけば、活性層
(発光層)に異なる値のエネルギーバンドギャップをも
たらす少なくとも2種類の下地層を基板上に形成し、且
つそれらをお互いに異なる形状にパターニングすること
によって、そのような下地層の積層体の上方に形成され
る活性層(発光層)の内部に、その下地層の積層体のパ
ターン形状に応じた面内方向(横方向)のエネルギーバ
ンドギャップEgの差(ΔEg)を生じさせることが可
能になる。
【0033】本願発明は、上記のような本願発明者らの
実験を通じて新規に明確化された現象を利用したもので
ある。以下では、その具体的な幾つかの実施形態を説明
する。
【0034】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態における半導体発光素子として、半導体レー
ザ素子100の構成を模式的に示す断面図である。
【0035】この半導体レーザ素子100は、サファイ
ヤ基板1の上に、GaN第1下地層2、AlN第2下地
層3、n型GaNコンタクト層4、n型Al0.1Ga0.9
Nクラッド層5、In0.2Ga0.8N単一量子井戸活性層
6、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層7、及びp型Ga
Nコンタクト層9を、順に備えている。p型GaNコン
タクト層9の上には、p側電極10が形成されている。
また、上記の積層構造の一部は、その表面からn型Ga
Nコンタクト層4に達するまでエッチングで除去されて
いて、それによって得られたn型GaNコンタクト層4
の露出面に、n側電極11が形成されている。
【0036】上記の半導体レーザ素子100の構成にお
いて、GaN第1下地層2の上に形成されたAlN第2
下地層3には、ストライプ状の溝15が設けられてい
て、その底部にGaN第1下地層2の表面が露出してい
る。このようにストライプ状の溝15の底部に露出して
いるGaN第1下地層2の表面は、InGaN単一量子
井戸活性層6のエネルギーバンドギャップEgに面内方
向の変化(差)ΔEgを生じさせる機能を有する。
【0037】次に、半導体レーザ素子100の製造方法
を、図5A〜5Fを参照して以下に説明する。
【0038】基板1を例えばサファイヤ基板1とし、そ
の上へ、例えば有機金属化合物気相成長法(MOCVD
法)を使用して各層を積層する。MOCVD法で使用す
る構成材料としては、例えば、V族材料の原料としてア
ンモニア(NH3)、III族材料の原料としてトリメチル
ガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TM
A)、或いはトリメチルインジウム(TMI)、p型不
純物の原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウ
ム(Cp2Mg)、n型不純物の原料としてモノシラン
(SiH4)を使用し、更にキャリアガスとしては水素
ガス(H2)及び窒素ガス(N2)を使用する。
【0039】具体的には、まずサファイヤ基板1を基板
温度約1100℃で水素ガス(H2)及び窒素ガス
(N2)に曝し、基板1の表面を清浄化する。次に、基
板温度を約600℃として、基板1の上に、厚さ約55
0ÅのGaN第1下地層2及び厚さ約550ÅのAlN
第2下地層3を、順に積層する。次に、この状態のウェ
ハをMOCVD装置から一旦取り出して、AlN第2下
地層3の表面にレジスト層14を形成する。更に、レジ
スト層14の所定の箇所をストライプ状に例えば幅約3
μmに除去して、図5Aに示すように開口部144を形
成する。
【0040】次に、開口部144が形成されたレジスト
層14をエッチングマスクとして使用してAlN第2下
地層3をエッチングし、幅約3μmのストライプ状の溝
15を形成して、その底部にGaN第1下地層2の表面
を露出させる。その後に、レジスト層14を除去する
(図5Bを参照)。
【0041】次に、この状態のウェハを再びMOCVD
装置に導入し、基板温度を約1050℃として、厚さ約
4μmのn型GaNコンタクト層4、及び厚さ約0.3
μmのn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層5を、順に積層
する。続いて、基板温度を約800℃として、厚さ約3
0ÅのIn0.2Ga0.8N単一量子井戸活性層6を形成す
る。更に、基板温度を再び約1050℃として、厚さ約
0.3μmのp型Al 0.1Ga0.9Nクラッド層7、及び
厚さ約0.5μmのp型GaNコンタクト層9を、順に
積層する。
【0042】更に、このような積層構造が形成されたウ
ェハをMOCVD装置から取り出して、図5Cに示すよ
うに、p型GaNコンタクト層9の表面にレジスト層2
4を形成する。続いて、レジスト層24の所定の箇所を
除去して、図5Dに示すようにストライプ状の開口部2
44を形成する。このとき、隣接する開口部244の間
に、幅約300μmのレジスト層24を残存させる。
【0043】次に、開口部244が形成されたレジスト
層24をエッチングマスクとして使用してドライエッチ
ングを行って、n型GaNコンタクト層4に達する溝1
7を形成する。これによって、溝17を通じてn型Ga
Nコンタクト層4の表面を露出させる(図5Eを参
照)。
【0044】次に、レジスト層24を除去した上で、溝
17の底部に露出しているn型GaNコンタクト層4の
表面にn側電極11を形成し、一方、p型GaNコンタ
クト層9の表面にはp側電極10を形成する。これらの
電極10及び11の形成方法や構成材料としては、半導
体発光素子に関する技術分野で公知のプロセスや材料を
使用することができ、ここではそれらの説明を省略す
る。
【0045】続いて、上記のような構成が形成されたウ
ェハを、例えば幅約400μm及び長さ約600μmの
サイズの複数のチップに、スクライブ処理などによって
分割する。これによって、図5Fに示すように、図1を
参照して先に説明した本発明の第1の実施形態における
半導体発光素子(半導体レーザ素子)100が、形成さ
れる。
【0046】次に、図4A(a)及び(b)を参照し
て、上記のような本発明の半導体発光素子(半導体レー
ザ素子)100における第1及び第2下地層2及び3の
構成が、活性層6に横方向のエネルギーバンドギャップ
差(ΔEg)の差をもたらす点を、更に以下に説明す
る。
【0047】図4A(b)は、AlN第2下地層3にス
トライプ状の溝15が設けられている箇所の近傍におけ
る、第1及び第2下地層2及び3の構成を模式的に示す
図であり、図4A(a)は、図4A(b)の構成に対応
するようにして、活性層6における横方向でのエネルギ
ーバンドギャップ(Eg)の変化を描いた図である。
【0048】活性層6のうちで、AlN第2下地層3の
ストライプ状の溝15の上方に相当する領域62では、
ストライプ状の溝15を通じたGaN第1下地層2の影
響を受けて、図8からわかるように、そのエネルギーバ
ンドギャップ値は約2.95eVとなる。一方、その外
側の領域61、すなわち、AlN第2下地層3の上方に
相当する領域61では、AlN第2下地層3の影響を受
けて、図8からわかるように、そのエネルギーバンドギ
ャップ値は約3.02eVとなる。従って、図4A
(a)に模式的に描かれているように、活性層6の中の
領域62では、その周囲の領域62に比べて、エネルギ
ーバンドギャップが約0.07eVだけ減少する。言い
換えれば、活性層6の領域61と領域62との間には、
活性層6の横方向(面内方向)に約0.07eVのエネ
ルギーバンドギャップ差が存在する。
【0049】この活性層6の内部の横方向でのエネルギ
ーバンドギャップ差によって、活性層6に注入された電
流は、実質的に領域62(すなわち、第2下地層3のス
トライプ状の溝15の上方に相当する領域)に閉じ込め
られることになって、レーザ発振に寄与しない無効電流
が大幅に減少する。これにより、半導体レーザ素子の閾
値電流が大幅に低減され、結果として、発光効率が改善
された半導体レーザ素子が提供される。また、閾値電流
が低減されることによって、動作電流及び動作電圧が低
減されて素子の発熱が抑制されることにより、長時間に
渡って安定した発光動作を継続することが可能になる。
その結果として、信頼性に優れた半導体レーザ素子が提
供される。
【0050】なお、GaN第1下地層2は、上述のよう
なMOCVD法に代えて、他の製造プロセスによって基
板1の上に積層されても良い。
【0051】なお、上記の説明では、活性層を単一量子
井戸構造を有する活性層として説明しているが、これに
限られるものではなく、例えば多重量子井戸構造を有す
る活性層、或いは量子井戸構造を有さない活性層が形成
されている場合であっても、上記と同様の効果を得るこ
とができる。
【0052】(第2の実施形態)図2は、本発明の第2
の実施形態における半導体発光素子として、半導体レー
ザ素子200の構成を模式的に示す断面図である。
【0053】この半導体レーザ素子200は、サファイ
ヤ基板1の上に、厚膜のGaN第1下地層22、AlN
第1下地層3、n型GaNコンタクト層4、n型Al
0.1Ga0.9Nクラッド層5、In0.2Ga0.8N多重量子
井戸活性層6、第1のp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層
71、ストライプ状の開口部16が設けられているn型
Al0.1Ga0.9N電流狭窄層8、第2のp型Al0.1
0.9Nクラッド層72、及びp型GaNコンタクト層
9を、順に備えている。p型GaNコンタクト層9の上
には、p側電極10が形成されている。また、上記の積
層構造の一部は、その表面からn型GaNコンタクト層
4に達するまでエッチングで除去されていて、それによ
って得られたn型GaNコンタクト層4の露出面に、n
側電極11が形成されている。
【0054】上記の半導体レーザ素子200の構成にお
いて、厚膜GaN第1下地層22の上に形成されたAl
N第2下地層3には、ストライプ状の溝15が設けられ
ていて、その底部に厚膜GaN第1下地層22の表面が
露出している。このようにストライプ状の溝15の底部
に露出している厚膜GaN第1下地層22の表面は、I
nGaN多重量子井戸活性層6のエネルギーバンドギャ
ップEgに面内方向の変化(差)ΔEgを生じさせる機
能を有する。
【0055】次に、半導体レーザ素子200の製造方法
を、図6A〜6Gを参照して以下に説明する。
【0056】基板1を例えばサファイヤ基板1とし、そ
の上へ、例えば有機金属化合物気相成長法(MOCVD
法)を使用して、厚膜GaN第1下地層22を除く各層
を積層する。MOCVD法で使用する構成材料として
は、例えば、V族材料の原料としてアンモニア(N
3)、III族材料の原料としてトリメチルガリウム(T
MG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、或いはト
リメチルインジウム(TMI)、p型不純物の原料とし
てビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2
g)、n型不純物の原料としてモノシラン(SiH4
を使用し、更にキャリアガスとしては水素ガス(H2
及び窒素ガス(N2)を使用する。
【0057】具体的には、まずサファイヤ基板1の上
に、HVPE法にて厚膜GaN第1下地層22を、厚さ
約10μmに形成する。ここで、HVPE法のプロセス
条件としては、V族材料の原料としてV族水素化物であ
るNH3、III族材料の原料として金属Gaを使用し、金
属Gaを約850℃に加熱してHClと混合して、NH
3と共に、基板温度約1000℃に保たれているサファ
イヤ基板1の上に供給する。
【0058】次に、この状態のウェハをMOCVD装置
の内部に導入し、基板温度約600℃にて、厚膜GaN
第1下地層22の上に厚さ約550ÅのAlN第2下地
層3を形成する。次に、この状態のウェハをMOCVD
装置から一旦取り出して、AlN第2下地層3の表面に
レジスト層14を形成する。更に、レジスト層14の所
定の箇所をストライプ状に例えば幅約3μmに除去し
て、図6Aに示すように開口部144を形成する。
【0059】次に、開口部144が形成されたレジスト
層14をエッチングマスクとして使用してAlN第2下
地層3をエッチングし、幅約3μmのストライプ状の溝
15を形成して、その底部に厚膜GaN第1下地層22
の表面を露出させる。その後に、レジスト層14を除去
する(図6Bを参照)。
【0060】次に、この状態のウェハを再びMOCVD
装置に導入し、基板温度を約1050℃として、厚さ約
4μmのn型GaNコンタクト層4、及び厚さ約0.3
μmのn型Al0.1Ga0.9Nクラッド層5を、順に積層
する。続いて、基板温度を約800℃として、厚さ約3
0ÅのIn0.2Ga0.8N井戸層(2層)と厚さ約40Å
のIn0.05Ga0.95N障壁層(3層)とが交互に積層さ
れた多重量子井戸活性層6を形成する。更に、基板温度
を再び約1050℃として、厚さ約0.3μmの第1の
p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層71、及び厚さ約0.
3μmのn型Al0.1Ga0.9N電流狭窄層8を、順に積
層する(図6Cを参照)。
【0061】更に、このような積層構造が形成されたウ
ェハをMOCVD装置から取り出して、図6Dに示すよ
うに、n型Al0.1Ga0.9N電流狭窄層8の表面にレジ
スト層44を形成する。続いて、レジスト層44の所定
の箇所を除去して、ストライプ状の開口部を形成する。
このとき、隣接する開口部の間に、幅約400μmのレ
ジスト層44を残存させる。そして、開口部が形成され
たレジスト層44をエッチングマスクとして使用してド
ライエッチングを行って、第1のp型Al0.1Ga0.9
クラッド層71に達する溝16を形成する。これによっ
て、溝16を通じて第1のp型Al0.1Ga0.9Nクラッ
ド層71の表面を露出させる(図6Dを参照)。
【0062】次に、上記の状態のウェハを再びMOCV
D装置の中に導入し、基板温度を約1050℃として、
厚さ約0.2μmの第2のp型Al0.1Ga0.9Nクラッ
ド層72(層72の厚さに関する上記の値は、具体的に
は、電流狭窄層8の上部に相当する箇所での厚さであっ
て、クラッド層71の露出表面から形成される層72の
上面までの厚さを指す)、及び厚さ約0.3μmのp型
GaNコンタクト層9を、順に積層する(図6Eを参
照)。
【0063】続いて、このような積層構造が形成された
ウェハをMOCVD装置から取り出して、図6Fに示す
ように、p型GaNコンタクト層9の表面にレジスト層
54を形成する。続いて、レジスト層54の所定の箇所
を除去して、ストライプ状の開口部を形成する。このと
き、隣接する開口部の間に、幅約300μmのレジスト
層54を残存させる。そして、開口部が形成されたレジ
スト層54をエッチングマスクとして使用してドライエ
ッチングを行って、n型GaNコンタクト層4に達する
溝17を形成する。これによって、溝17を通じてn型
GaNコンタクト層4の表面を露出させる(図6Fを参
照)。
【0064】次に、レジスト層54を除去した上で、溝
17の底部に露出しているn型GaNコンタクト層4の
表面にn側電極11を形成し、一方、p型GaNコンタ
クト層9の表面にはp側電極10を形成する。これらの
電極10及び11の形成方法や構成材料としては、半導
体発光素子に関する技術分野で公知のプロセスや材料を
使用することができ、ここではそれらの説明を省略す
る。
【0065】続いて、上記のような構成が形成されたウ
ェハを、例えば幅約350μm及び長さ約600μmの
サイズの複数のチップに、スクライブ処理などによって
分割する。これによって、図6Gに示すように、図2を
参照して先に説明した本発明の第2の実施形態における
半導体発光素子(半導体レーザ素子)200が、形成さ
れる。
【0066】上記のような本発明の半導体発光素子(半
導体レーザ素子)200においても、第1の実施形態に
関連して図4A(a)及び(b)を参照して説明したよ
うに、活性層6のうちで、第2下地層3のストライプ状
の溝15の上方に相当する領域62は、その外側の領域
61(すなわち、第2下地層3の上方に相当する領域6
1)に比べてエネルギーバンドギャップが減少する。特
に、本実施形態では、GaN第1下地層22として、活
性層に約2.92eVのエネルギーバンドギャップ値
(図8参照)をもたらすHVPE法によって形成した厚
膜GaN層22を使用しているので、領域61と領域6
2との間には、第1の実施形態における値よりも大きい
約0.1eVのエネルギーバンドギャップ差が発生す
る。言い換えれば、活性層6の領域61と領域62との
間には、活性層6の横方向に約0.1eVのエネルギー
バンドギャップ差が存在する。この活性層6の内部の横
方向でのエネルギーバンドギャップ差によって、活性層
6に注入された電流は、実質的に領域62(すなわち、
第2下地層3のストライプ状の溝15の上方に相当する
領域62)に閉じ込められることになって、レーザ発振
に寄与しない無効電流が大幅に減少する。これにより、
窒化ガリウム系化合物半導体レーザ素子の閾値電流が大
幅に低減され、結果として、発光効率が改善された半導
体レーザ素子が提供される。また、閾値電流が低減され
ることによって、動作電流及び動作電圧が低減されて素
子の発熱が抑えられることにより、長時間に渡って安定
した発光動作を継続することが可能になる。その結果と
して、信頼性に優れた半導体レーザ素子が提供される。
【0067】なお、厚膜GaN第1下地層22は、上述
のようなHVPE法に代えて、他の製造プロセスによっ
て基板1の上に積層されても良い。
【0068】なお、上記の説明では、活性層を多重量子
井戸構造を有する活性層として説明しているが、これに
限られるものではなく、例えば単一量子井戸構造を有す
る活性層、或いは量子井戸構造を有さない活性層が形成
されている場合であっても、上記と同様の効果を得るこ
とができる。
【0069】(第3の実施形態)図3は、本発明の第3
の実施形態における半導体発光素子として、半導体発光
ダイオード素子300の構成を模式的に示す断面図であ
る。
【0070】この半導体発光ダイオード素子300は、
サファイヤ基板1の上に、GaN第1下地層2、AlN
第1下地層3、n型GaNコンタクト層4、In0.2
0.8N単一量子井戸活性層6、p型Al0.1Ga0.9
クラッド層7、及びp型GaNコンタクト層9を、順に
備えている。p型GaNコンタクト層9の上には、所定
の開口部を有する透光性電極12が形成されている。こ
の開口部は、後述するAlN第2下地層3のパターンに
整合する形状に、形成されている。更に、透光性電極1
2の開口部に相当する位置には絶縁層(例えばSiO2
膜)13が形成され、且つSiO2膜13を覆うように
p側電極10が形成されている。また、上記の積層構造
の一部は、その表面からn型GaNコンタクト層4に達
するまでエッチングで除去されていて、それによって得
られたn型GaNコンタクト層4の露出面に、n側電極
11が形成されている。なお、上記の絶縁層(SiO2
膜)13は、電流を、活性層6の内で電極10の直下に
位置しない領域に流すこと(すなわち、活性層6の内で
電極10の直下に位置する領域には電流を流さないこ
と)を意図している。
【0071】上記の半導体発光ダイオード素子300の
構成において、GaN第1下地層2の上に形成されたA
lN第2下地層3は、所定の島状パターン、例えば一辺
の長さが約100μmの四角形状に形成されており、I
nGaN単一量子井戸活性層6のエネルギーバンドギャ
ップEgに面内方向の変化(差)ΔEgを生じさせる機
能を有する。この活性層6の内部におけるエネルギーバ
ンドギャップの横方向変化によって、活性層6に注入さ
れた電流は、活性層6のうちで四角形状の第2下地層3
の上方に相当する領域61には流入されなくなり、この
領域61での発光が生じなくなる。もし、この領域61
で発光が生じても、発生した光は上方のSiO2膜13
やp側電極10で遮られて外部には取り出されないの
で、発光効率には寄与しない。これに対して、上記のよ
うな半導体発光ダイオード素子300の構成では、領域
61への電流の注入が妨げられるので、そのような発光
効率の改善に寄与しない発光が妨げられる。更に、活性
層6のうちで領域62で発生した光は、上記のようなエ
ネルギーバンドギャップの大小関係から、SiO2膜1
3の下に位置する領域61で吸収されることがない。
【0072】以上のような点によって、発光効率に優れ
た半導体発光素子(発光ダイオード素子)300が得ら
れる。
【0073】次に、半導体発光ダイオード素子300の
製造方法を、図7A〜7Fを参照して以下に説明する。
【0074】基板1を例えばサファイヤ基板1とし、そ
の上へ、例えば有機金属化合物気相成長法(MOCVD
法)を使用して各層を積層する。MOCVD法で使用す
る構成材料としては、例えば、V族材料の原料としてア
ンモニア(NH3)、III族材料の原料としてトリメチル
ガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TM
A)、或いはトリメチルインジウム(TMI)、p型不
純物の原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウ
ム(Cp2Mg)、n型不純物の原料としてモノシラン
(SiH4)を使用し、更にキャリアガスとしては水素
ガス(H2)及び窒素ガス(N2)を使用する。
【0075】具体的には、まずサファイヤ基板1を基板
温度約1100℃で水素ガス(H2)及び窒素ガス
(N2)に曝し、基板1の表面を清浄化する。次に、基
板温度を約600℃として、基板1の上に、図7Aに示
すように、厚さ約550ÅのGaN第1下地層2及び厚
さ約550ÅのAlN第2下地層3を、順に積層する。
【0076】次に、この状態のウェハをMOCVD装置
から一旦取り出して、図7Bに示すように、AlN第2
下地層3の表面にレジスト層64を、一辺が約100μ
mの四角形状のパターンに形成する。
【0077】次に、レジスト層64をエッチングマスク
として使用してAlN第2下地層3をエッチングし、図
7Cに示すようにGaN第1下地層2の表面25を露出
させる。その後に、レジスト層64を除去する。
【0078】次に、この状態のウェハを再びMOCVD
装置に導入し、基板温度を約1050℃として、厚さ約
4μmのn型GaNコンタクト層4を積層する。続い
て、基板温度を約800℃として、厚さ約20ÅのIn
0.2Ga0.8N単一量子井戸活性層6を形成する。更に、
基板温度を再び約1050℃として、厚さ約0.3μm
のp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層7、及び厚さ約0.
5μmのp型GaNコンタクト層9を、順に積層する。
【0079】更に、このような積層構造が形成されたウ
ェハをMOCVD装置から取り出して、p型GaNコン
タクト層9の表面に、厚さ約70ÅのNi膜12を一辺
が約350μmの四角形状に形成する。次に、Ni膜1
2の所定箇所を一辺が約100μmの四角形状に除去し
て、その内部に厚さ約0.2μmのSiO2膜13を形
成する。更に、このSiO2膜13を覆うように、Au
/Ni積層構造を有するp型電極10を、厚さ約0.8
μmで一辺の長さが約150μmの四角形状に形成し
て、図7Dに示す構成を得る。
【0080】続いて、上記の構成の最上面を覆うレジス
ト層74を、一辺の長さが約350μmの四角形状に形
成する。そして、このレジスト層74をエッチングマス
クとして使用してドライエッチングを行って、n型Ga
Nコンタクト層4に達する溝17を形成する。これによ
って、溝17を通じてn型GaNコンタクト層4の表面
を露出させる(図7Eを参照)。
【0081】次に、レジスト層74を除去した上で、溝
17の底部に露出しているn型GaNコンタクト層4の
表面にn側電極11を形成する。この電極11の形成方
法や構成材料としては、半導体発光素子に関する技術分
野で公知のプロセスや材料を使用することができ、ここ
ではそれらの説明を省略する。
【0082】続いて、上記のような構成が形成されたウ
ェハを、所定のサイズの複数のチップにスクライブ処理
などによって分割する。これによって、図7Fに示すよ
うに、図3を参照して先に説明した本発明の第3の実施
形態における半導体発光素子(半導体発光ダイオード素
子)300が、形成される。
【0083】次に、図4B(a)及び(b)を参照し
て、上記のような本発明の半導体発光素子(半導体発光
ダイオード素子)300における第1及び第2下地層2
及び3の構成が、活性層6に横方向のエネルギーバンド
ギャップ(Eg)の差をもたらす点を、更に以下に説明
する。
【0084】図4B(b)は、GaN第1下地層2の上
に四角形状のAlN第2下地層3が設けられている箇所
の近傍における、第1及び第2下地層2及び3の構成を
模式的に示す図であり、図4B(a)は、図4B(b)
の構成に対応するようにして、活性層6における横方向
でのエネルギーバンドギャップ(Eg)の変化を描いた
図である。
【0085】活性層6のうちで、AlN第2下地層3の
上方に相当する領域61では、図8からわかるように、
そのエネルギーバンドギャップ値は約3.02eVとな
る。一方、その外側の領域62、すなわち、AlN第2
下地層3が存在していない領域62では、GaN第1下
地層3の影響を受けて、図8からわかるように、そのエ
ネルギーバンドギャップ値は約2.95eVとなる。従
って、図4B(a)に模式的に描かれているように、活
性層6の中の領域61では、その周囲の領域62に比べ
て、エネルギーバンドギャップが約0.07eVだけ増
加する。言い換えれば、活性層6の領域61と領域62
との間には、活性層6の横方向(面内方向)に約0.0
7eVのエネルギーバンドギャップ差が存在する。
【0086】この活性層6の内部の横方向でのエネルギ
ーバンドギャップ差によって、活性層6に注入された電
流は、活性層6のうちで四角形状の第2下地層3の上方
に相当する領域61には流入されなくなり、SiO2
13の存在によって外部への発光には寄与できない領域
61での発光が、生じなくなる。また、活性層6の領域
62で発生した光は、SiO2膜13の下に位置する領
域61で吸収されることがなくなり、効率的に外部に取
り出されるようになる。これらの点によって、発光効率
に優れた半導体発光素子(発光ダイオード素子)300
が得られる。また、この場合にも、発光効率の改善によ
って、同レベルの光出力を得るために必要な動作電流レ
ベルが低減されることによって、長時間に渡って安定し
た発光動作を継続することが可能になるので、結果とし
て、信頼性に優れた半導体発光ダイオード素子が提供さ
れる。
【0087】なお、GaN第1下地層2は、上述のよう
なMOCVD法に代えて、他の製造プロセスによって基
板1の上に積層されても良い。
【0088】なお、上記の説明では、活性層を単一量子
井戸構造を有する活性層として説明しているが、これに
限られるものではなく、例えば多重量子井戸構造を有す
る活性層、或いは量子井戸構造を有さない活性層が形成
されている場合であっても、上記と同様の効果を得るこ
とができる。
【0089】また、上記の説明における第2下地層3の
パターンは、上記のような四角形状に限られるものでは
なく、その他の適切な島状パターンとすることができ
る。
【0090】以上に説明した各実施形態に従って形成さ
れる本発明の半導体発光素子に関して、具体的な動作特
性を測定したところ、以下のようなデータが得られてい
る。
【0091】第1の実施形態における半導体発光素子
(半導体レーザ素子)では、発振開始電流が約50mA
〜約60mAに低減され、その結果、60℃雰囲気中で
5mW条件下での寿命は、約15000時間であった。
【0092】また、第2の実施形態における半導体発光
素子(半導体レーザ素子)では、内部電流狭窄層を含む
ために発振開始電流が更に約40mA〜約50mAに低
減され、その結果、60℃雰囲気中で5mW条件下での
寿命は、約20000時間であった。
【0093】一方、第3の実施形態における半導体発光
素子(発光ダイオード素子)では、発光効率が、従来技
術において得られる値に比較して約15%増加した。
【0094】上記の各実施形態の説明では、活性層によ
り小さなバンドギャップエネルギーをもたらす第1の下
地層をGaN層で形成し、活性層により大きなバンドギ
ャップエネルギーをもたらす第2の下地層をAlN層で
形成しているが、本発明の適用はこれに限られるわけで
はなく、適切なバンドギャップエネルギー差を活性層内
に生じさせることができる限りは、その他の構成材料を
使用することが可能である。例えば、第1及び第2の下
地層を、お互いに組成の異なるAlGaN混晶によって
形成してもよい。
【0095】また、上記の各実施形態の説明では、In
GaN系材料で構成された活性層を使用しているが、活
性層の構成材料はこれに限られるわけではなく、他の適
切な材料を使用しても、同様の効果が得られる。
【0096】更に、上記の各実施形態の内で第1及び第
2の実施形態では、半導体レーザ素子への適用を例にと
って説明を行っているが、それぞれに開示されている構
成は、半導体発光ダイオード素子への適用も可能であ
る。
【0097】
【発明の効果】以上のように、本発明の半導体発光素子
(半導体レーザ素子或いは半導体発光ダイオード素子)
によれば、組成の異なった複数の下地層をお互いに異な
るパターンに形成し、その上方に活性層(発光層)を積
層することによって、活性層の面内方向(横方向)にエ
ネルギーバンドギャップの変化(差)を生じさせる。こ
の結果、活性層に注入された電流を所定の領域に効率的
に閉じ込める、或いは、活性層の内で外部への発光には
寄与しない領域への電流の流入を妨げることが可能にな
って、レーザ発振に寄与しない無効電流が大幅に減少す
る。
【0098】これにより、半導体発光素子の閾値電流が
大幅に低減され、結果として、発光効率が改善された半
導体発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における半導体発光素
子として、半導体レーザ素子の構成を模式的に示す断面
図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における半導体発光素
子として、他の半導体レーザ素子の構成を模式的に示す
断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における半導体発光素
子として、半導体発光ダイオード素子の構成を模式的に
示す断面図である。
【図4A】(a)及び(b)は、図1の半導体レーザ素
子において、第2下地層にストライプ状の溝が設けられ
ている箇所の近傍における第1及び第2下地層の構成を
模式的に示す図と、その構成に対応するようにして活性
層における横方向でのエネルギーバンドギャップ(E
g)の変化を描いた図である。
【図4B】(a)及び(b)は、図3の半導体発光ダイ
オード素子において、四角形状の第2下地層が設けられ
ている箇所の近傍における第1及び第2下地層の構成を
模式的に示す図と、その構成に対応するようにして活性
層における横方向でのエネルギーバンドギャップ(E
g)の変化を描いた図である。
【図5A】図1の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図5B】図1の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図5C】図1の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図5D】図1の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図5E】図1の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図5F】図1の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6A】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6B】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6C】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6D】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6E】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6F】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図6G】図2の半導体レーザ素子の製造方法における
あるステップを説明するための断面図である。
【図7A】図3の半導体発光ダイオード素子の製造方法
におけるあるステップを説明するための断面図である。
【図7B】図3の半導体発光ダイオード素子の製造方法
におけるあるステップを説明するための断面図である。
【図7C】図3の半導体発光ダイオード素子の製造方法
におけるあるステップを説明するための断面図である。
【図7D】図3の半導体発光ダイオード素子の製造方法
におけるあるステップを説明するための断面図である。
【図7E】図3の半導体発光ダイオード素子の製造方法
におけるあるステップを説明するための断面図である。
【図7F】図3の半導体発光ダイオード素子の製造方法
におけるあるステップを説明するための断面図である。
【図8】(a)は、測定用の半導体発光素子サンプルの
主要部の構成を模式的に示す断面図であり、(b)は、
(a)の構成における下地層の種類とIn0.2Ga0.8
発光層のエネルギーバンドギャップEg(eV)の値と
の関係をプロットした図である。
【図9】従来技術による半導体発光素子の構成の一例を
模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 サファイヤ基板 2 GaN第1下地層 3 AlN第2下地層 4 n型GaNコンタクト層 5 n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層 6 In0.2Ga0.8N単一量子井戸活性層 7 p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層 8 p型Al0.1Ga0.9N電流狭窄層 9 p型GaNコンタクト層 10 p側電極 11 n側電極 12 透光性電極 13 絶縁層(SiO2膜) 14 レジスト層 15 AlN第2下地層のストライプ状開口部 16 電流狭窄層のストライプ状開口部 22 GaN第1下地層 24 レジスト層 44 レジスト層 54 レジスト層 61 活性層中で大きいエネルギーバンドギャップを有
する領域 62 活性層中で小さいエネルギーバンドギャップを有
する領域 64 レジスト層 71 第1のp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層 72 第2のp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層 74 レジスト層 100 半導体レーザ素子 200 半導体レーザ素子 300 半導体発光ダイオード素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F041 AA03 AA21 CA05 CA34 CA40 CA46 CA65 CA74 5F073 AA55 AA73 AA74 CA07 CB05 CB07 DA05 DA21 EA23

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板と、 該半導体基板の上に形成された第1の下地層と、 該第1の下地層の上に所定のパターンで形成された第2
    の下地層と、 該第2の下地層の上に形成された、活性層と少なくとも
    一つのクラッド層とを少なくとも含む積層構造と、を備
    えており、 該第2の下地層は、該第1の下地層に比べて、該活性層
    により大きなエネルギーバンドギャップ値をもたらすも
    のであり、 該第2の下地層の該所定のパターンは、該第1の下地層
    の一部を該積層構造に接触させる形状を有している、半
    導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記活性層が量子井戸構造を有する、請
    求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記第2の下地層にはストライプ状開口
    部が設けられており、該ストライプ状開口部の底部に
    て、前記第1の下地層と前記積層構造とが接触してい
    る、請求項1或いは2に記載の半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の下地層が前記第2の下地層よ
    りも厚く形成されている、請求項3に記載の半導体発光
    素子。
  5. 【請求項5】 前記第2の下地層は島状パターンをなす
    ように形成されており、該島状パターンの周囲の領域
    で、前記第1の下地層と前記積層構造とが接触してい
    る、請求項1或いは2に記載の半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 前記積層構造の上に設けられた、前記第
    2の下地層の前記島状パターンに対応する形状の絶縁層
    を更に備えている、請求項5に記載の半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 前記積層構造には一対のクラッド層が含
    まれており、前記活性層は該一対のクラッド層の間に位
    置していて、それによって半導体レーザ素子として機能
    する、請求項1から6の何れか一つに記載の半導体発光
    素子。
  8. 【請求項8】 前記第1及び第2の下地層と前記積層構
    造とが、III族窒化物系化合物半導体材料によって形成
    されている、請求項1から7の何れか一つに記載の半導
    体発光素子。
  9. 【請求項9】 前記基板がサファイア基板であり、前記
    第1の下地層がGaN層であり、前記第2の下地層がA
    lN層であり、且つ前記活性層がInxGa1 -xN層(0
    ≦x≦1)である、請求項1から8の何れか一つに記載
    の半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 前記第1及び第2の下地層は、お互い
    に組成の異なるAlGaN混晶によって形成されてい
    る、請求項1から8の何れか一つに記載の半導体発光素
    子。
  11. 【請求項11】 半導体基板の上に第1の下地層及び第
    2の下地層を順に積層する工程と、 該第2の下地層を所定のパターンにパターニングする工
    程と、 該パターニングされた第2の下地層の上に、活性層と少
    なくとも一つのクラッド層とを少なくとも含む積層構造
    を形成する工程と、を包含しており、 該第2の下地層は、該第1の下地層に比べて、該活性層
    により大きなエネルギーバンドギャップ値をもたらすも
    のであり、 該第2の下地層の該所定のパターンは、該第1の下地層
    の一部を該積層構造に接触させる形状を有している、半
    導体発光素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記第2の下地層のパターニング工程
    は、該第2の下地層にストライプ状開口部を設ける工程
    を含んでおり、該ストライプ状開口部の底部にて、前記
    第1の下地層と前記積層構造とを接触させる、請求項1
    1に記載の半導体発光素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記第2の下地層のパターニング工程
    は、該第2の下地層を島状パターンに形成する工程を含
    んでおり、該島状パターンの周囲の領域で、前記第1の
    下地層と前記積層構造とを接触させる、請求項11に記
    載の半導体発光素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記積層構造の上に、前記第2の下地
    層の前記島状パターンに対応する形状の絶縁層を設ける
    工程を更に含む、請求項13に記載の半導体発光素子の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記積層構造の内部に一対のクラッド
    層を形成し、前記活性層を該一対のクラッド層の間に位
    置させる、請求項11から14の何れか一つに記載の半
    導体発光素子の製造方法。
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