JP2000195021A - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents

磁気抵抗効果素子

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JP2000195021A
JP2000195021A JP37331398A JP37331398A JP2000195021A JP 2000195021 A JP2000195021 A JP 2000195021A JP 37331398 A JP37331398 A JP 37331398A JP 37331398 A JP37331398 A JP 37331398A JP 2000195021 A JP2000195021 A JP 2000195021A
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magnetoresistive
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JP37331398A
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Shuji Yanagi
修二 柳
Atsushi Okitsu
淳 興津
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ni−Fe−Nb合金は比抵抗が小さく、こ
のNi−Fe−Nb合金で軟磁性層を形成すると、前記
軟磁性層へのセンス電流の分流比が大きくなり、磁気抵
抗効果層に流れるセンス電流が少なくなり、そのために
再生出力が低くなっていた。 【解決手段】 軟磁性層23を、組成がFe−Oあるい
はM−Fe−O(ただし元素Mは、Mn、Co、Ni、
Ba、Sr、Y、Gd、Cu、Znのうち少なくとも1
種類以上)で構成される高透磁率フェライトで形成す
る。高透磁率フェライトは比抵抗が1Ω・cm以上とき
わめて大きく、従って前記高透磁率フェライトで軟磁性
層23を形成することにより、前記軟磁性層23の電気
抵抗を大きくできる。このため、前記軟磁性層23への
センス電流の分流比を抑制でき、よって磁気抵抗効果層
25へのセンス電流の分流比を大きくでき、再生出力を
向上させることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性層/非磁性
層/磁気抵抗効果層の3層を有する磁気抵抗効果素子
(AMR素子)に係り、特に磁気抵抗効果層へのセンス
電流の分流比を大きくして再生出力を向上させることが
可能な磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】図2は、従来における磁気抵抗効果素子
を用いたMRヘッドの構造を記録媒体との対向面から見
た部分断面図である。図2に示すMRヘッドは、異方性
磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素子(AMR素
子)1を有し、このMRヘッドによって、ハードディス
クなどの記録媒体からの記録磁界が検出される。
【0003】図2に示す最も下側に形成されている層
は、例えばNi−Fe合金やNi−Fe−Nb合金など
の磁性材料で形成された下部シールド層2であり、この
下部シールド層2の上に、Al23やSiO2などの非
磁性材料で形成された下部ギャップ層3が形成されてい
る。そしてこの下部ギャップ層3の上に、積層体4とそ
の両側に形成されたハードバイアス層5及び電極層6と
で構成された磁気抵抗効果素子(AMR素子)1が形成
されている。
【0004】図2に示すように、下部ギャップ層3の上
には、軟磁性層(SAL層)7、非磁性層(SHUNT
層)8、及び磁気抵抗効果層(MR層)9が積層されて
構成された積層体4が形成されている。一般的に、軟磁
性層7は、Ni−Fe−Nb(ニッケル−鉄−ニオブ)
合金、非磁性層8はTa(タンタル)などの非磁性材
料、また磁気抵抗効果層9は、Ni−Fe(ニッケル−
鉄)合金で形成される。なお前記積層体4上面の幅寸法
にてトラック幅Twが決定される。
【0005】図2に示すように、前記積層体4の両側に
は、Co−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−
Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成された
一対のハードバイアス層5,5が形成されている。前記
ハードバイアス層5,5は、図示X方向(トラック幅方
向)に磁化されており、前記ハードバイアス層5から磁
気抵抗効果層9にX方向のバイアス磁界が与えられる。
さらに前記ハードバイアス層5,5の上にはCu、Au
あるいはTaなどの非磁性導電材料で形成された電極層
6,6が形成されている。
【0006】前述のように、磁気抵抗効果層9には、ハ
ードバイアス層5からの縦バイアス磁界が与えられてお
り、これにより、前記磁気抵抗効果層9の磁化は図示X
方向に揃えられる。前記電極層6からのセンス電流は、
主に磁気抵抗効果層9に図示X方向で流れる。
【0007】前記センス電流が磁気抵抗効果層9に流れ
ることにより、前記磁気抵抗効果層9からX軸回りの自
発磁化が発生し、この自発磁化の影響を受けて軟磁性層
7は図示Z方向(ハイト方向)に磁化される。
【0008】そして、ハードバイアス層5,5からの縦
バイアス磁界によって図示X方向に揃えられた磁気抵抗
効果層9の磁化は、図示Z方向に磁化された軟磁性層7
からの静磁結合エネルギーによる横バイアス磁界によっ
て図示X方向から図示Z方向へ45度の角度で傾けられ
る。
【0009】記録媒体からの洩れ磁界が図示Z方向に侵
入してくると、前記磁気抵抗効果層9の磁化は変動し、
この磁化の変動による電気抵抗の変化により記録媒体か
らの漏れ磁界が検出される。
【0010】図2に示すように、前記積層体4及び電極
層6の上には、Al23やSiO2などの非磁性材料で
形成された上部ギャップ層10が形成され、さらに前記
上部ギャップ層10の上には、Ni−Fe合金などの磁
性材料で形成された上部シールド層11が形成される。
なお図2に示すように、下部ギャップ層3から上部ギャ
ップ層10までの総合膜膜厚で、磁気ギャップ長Gl1
が決定される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記MRヘッドは、磁
気抵抗効果層9の電気抵抗の変化を検知し、これにより
記録媒体からの洩れ磁界を検出するものとなっている。
そして磁気抵抗効果層9の電気抵抗は、磁気抵抗効果層
9を含む電気回路にセンス電流を与えたときの電圧変化
から検出される。従って、磁気抵抗効果層9へのセンス
電流の分流比が大きいほど、MRヘッドの検出出力は高
くなる。
【0012】磁気抵抗効果層9へのセンス電流の分流比
を大きくするには、磁気抵抗効果層9の電気抵抗を低下
させればよいが、磁気抵抗効果層9の材質は、磁気抵抗
効果を発揮できるNi−Fe合金などに限定され、また
磁気抵抗効果層9の膜厚t3は、MRヘッドとして要求
されるギャップ長Gl1などにより決定される。すなわ
ち、磁気抵抗効果層9の比抵抗ρはその材質により決め
られ、また膜厚t3も決定されているので磁気抵抗効果
層9の電気抵抗を下げることには限界がある。一方、磁
気抵抗効果素子1における積層体4のうち、中間層とな
る非磁性層8は、他の2層に比べて膜厚t2が小さく、
その値は60オングストローム程度である。電気抵抗は
膜厚に反比例するため、非磁性層8の電気抵抗が大き
く、非磁性層8へのセンス電流の分流比は約3%程度で
ある。
【0013】以上から、磁気抵抗効果層9へのセンス電
流の分流比を大きくするためには、軟磁性層7の電気抵
抗を大きくする必要がある。しかしながら、前記軟磁性
層7は、比抵抗ρの小さいNi−Fe−Nb(ニッケル
−鉄−ニオブ)合金で形成されているので、前記軟磁性
層7の電気抵抗を大きくするには、前記軟磁性層7の膜
厚t1を小さくする必要性があるが、磁気抵抗効果層9
の磁化を、図示X方向から図示Y方向へ45度に傾ける
ためには、磁気抵抗効果層9に、静磁結合エネルギーに
よる横バイアス磁界を与える軟磁性層7の飽和磁束密度
Ms×膜厚t1を、磁気抵抗効果層9の飽和磁束密度M
s×膜厚t3の約0.6倍程度にしなければならないこ
とが知られている。
【0014】ここで、飽和磁束密度Msは、材質そのも
ので決定され、磁気抵抗効果層9がNi−Fe合金、軟
磁性層7がNi−Fe−Nb合金で形成されている場
合、軟磁性層7のMs×t1を、磁気抵抗効果層9のM
s×t3の約0.6倍程度にするには、軟磁性層7の膜
厚t1を、前記磁気抵抗効果層9の膜厚t3とほぼ同程
度で形成しなければならず、前記軟磁性層7の膜厚t1
を、非磁性層8の膜厚t2のように薄く形成することは
できない。
【0015】従って従来では、電極層6からのセンス電
流は、比抵抗ρの小さい軟磁性層7にも分流しやすく、
磁気抵抗効果層9へのセンス電流の分流比は小さくな
り、再生出力が低下するといった問題があった。
【0016】本発明は、上記従来の課題を解決するため
のものであり、軟磁性層の比抵抗ρを大きくすることに
より、磁気抵抗効果層へのセンス電流の分流比を大きく
し、再生出力を上げることが可能な磁気抵抗効果素子を
提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性層を介
して重ねられた磁気抵抗効果層と軟磁性層とを有し、前
記磁気抵抗効果層の磁化の変動によって、記録媒体から
の洩れ磁界が検出される磁気抵抗効果素子において、前
記軟磁性層は、フェライトで形成されていることを特徴
とするものである。
【0018】本発明では、前記フェライトの組成は、F
e−Oで構成され、あるいはM−Fe−O(ただし元素
Mは、Mn、Co、Ni、Ba、Sr、Y、Gd、C
u、Znのうち少なくとも1種類以上)で構成されるこ
とが好ましい。なお、前記元素Mには、MnとZn、あ
るいはNiとZnが選択されることがより好ましい。
【0019】本発明では、前記フェライトの比抵抗ρ
は、1Ω・cm以上であり、しかも飽和磁束密度Msは
0.2T以上であることが好ましい。
【0020】ところで、AMR素子の積層体は、軟磁性
層、非磁性層、及び磁気抵抗効果層の3層で構成され、
磁気抵抗効果層への電極層からのセンス電流の分流比を
大きくするためには、磁気抵抗効果層に対し、横バイア
ス磁界を与える軟磁性層の比抵抗ρを大きくする必要が
ある。
【0021】本発明では、前記軟磁性層を、Mn−Zn
系フェライトやNi−Zn系フェライトに代表されるフ
ェライトで形成する。これらフェライトの比抵抗ρは1
Ω・cm以上であり、この比抵抗ρは、従来、軟磁性層
として使用されていたNi−Fe−Nb合金の比抵抗ρ
の10000倍以上である。
【0022】また、前記磁気抵抗効果層の電気抵抗の変
化量を大きくして再生感度を良好にするためには、前記
磁気抵抗効果層の磁化をトラック幅方向からハイト方向
へ約45度に傾けることが好ましい。このように磁気抵
抗効果層の磁化方向を制御するには、軟磁性層の飽和磁
束密度Ms×膜厚tを、磁気抵抗効果層の飽和磁束密度
Ms×膜厚tの約0.6倍程度にしなければならないこ
とが知られている。
【0023】ここで前記軟磁性層を形成するフェライト
の飽和磁束密度Msは、従来、軟磁性層として使用され
ていたNi−Fe−Nb合金の飽和磁束密度Msと同程
度か、あるいはそれよりも小さくなる。本発明では、前
記フェライトの飽和磁束密度Msは、具体的には0.2
T(テスラ)以上であることが好ましく、この値は、N
i−Fe−Nb合金の飽和磁束密度Msの約1/3以上
の値である。
【0024】よって、Ni−Fe−Nb合金で形成され
た軟磁性層のMs×tと、フェライトで形成された軟磁
性層のMs×tとをほぼ同じ値で形成するには、前記フ
ェライトで形成された軟磁性層の膜厚tを、Ni−Fe
−Nb合金で形成された軟磁性層の膜厚tの約3倍以下
で形成することが可能である。
【0025】以上のように本発明では、Mn−Zn系フ
ェライトやNi−Zn系フェライトに代表されるフェラ
イトで形成された軟磁性層の膜厚は、従来のようにNi
−Fe−Nb合金で形成された軟磁性層の膜厚に比べて
大きくなるものの、前記軟磁性層の比抵抗ρを極めて大
きくすることが可能になので、前記軟磁性層の電気抵抗
を従来に比べて大きくすることができる。従って、前記
軟磁性層へのセンス電流の分流を抑制できるので、磁気
抵抗効果層へのセンス電流の分流比を大きくでき、再生
出力を向上させることができる。
【0026】なおAMR素子の使用によって素子部温度
は上昇するが、この温度は約200度程度であり、この
温度でも軟磁性層は良好な磁気特性を維持する必要があ
る。一般的に軟磁性材料は、キュリー点Tcになると磁
気特性を失うことが知られているので、前記軟磁性層を
形成する酸化軟磁性材料のキュリー点は少なくとも20
0度以上であることが好ましく、より好ましくは300
度以上である。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明における磁気抵抗
効果素子を用いたMRヘッドの構造を記録媒体との対向
面から見た部分断面図である。図1に示すMRヘッド
は、異方性磁気抵抗効果を利用した磁気抵抗効果素子
(AMR素子)22を有している。前記MRヘッドは、
ハードディスク装置に設けられた浮上式スライダのトレ
ーリング側端部などに設けられて、ハードディスクなど
の記録磁界を検出するものである。
【0028】図1に示すように、Ni−Fe合金などの
磁性材料で形成された下部シールド層20の上には、S
iO2やAl23などで形成された下部ギャップ層21
が形成され、さらに前記下部ギャップ層21の上に、磁
気抵抗効果素子(AMR素子)22が形成されている。
前記磁気抵抗効果素子22は、積層体26とその両側に
形成されたハードバイアス層28及び電極層30とで構
成されている。
【0029】図1に示すように、前記下部ギャップ層2
1の上には、軟磁性層(SAL層)23、Taなどの非
磁性材料により形成された非磁性層(SHUNT層)2
4、及び例えばNi−Fe合金などで形成された磁気抵
抗効果層(MR層)25が積層されて積層体26が構成
されている。そして前記積層体26の上面の幅寸法にて
トラック幅Twが設定される。なお図1に示すように前
記積層体26の上にはTaなどの非磁性材料で形成され
た保護層27が形成されている。
【0030】本発明では前記軟磁性層23は、比抵抗ρ
が1Ω・cm以上で、しかも飽和磁束密度Msが0.2
T以上を有する高透磁率フェライトによって形成されて
いる。高透磁率フェライトの組成は、Fe−Oで構成さ
れ、あるいはM−Fe−O(ただし元素Mは、Mn、C
o、Ni、Ba、Sr、Y、Gd、Cu、Znのうち少
なくとも1種類以上)で構成されることが好ましい。こ
のように高透磁率フェライトは、組成の中に酸素(O)
を含有することで、比抵抗ρは、従来軟磁性層として使
用されていたNi−Fe−Nb合金の比抵抗ρ(=約7
5μΩ・cm)に比べ極めて大きくなる。なお高透磁率
フェライトの飽和磁束密度Msは、0.2T以上である
ことが好ましいが、この値は、Ni−Fe−Nb合金の
飽和磁束密度Msの約1/3以上である。
【0031】なお本発明では、前記元素Mには、Mnと
Zn、あるいはNiとZnが選択されることがより好ま
しい。Mn−Zn系フェライト、あるいはNi−Zn系
フェライトは、1Ω・cm以上の比抵抗ρを有し、さら
に飽和磁束密度Msも、Ni−Fe−Nb合金と同程度
かあるいはやや小さい程度である。なお前記高透磁率フ
ェライトは、スパッタによって成膜され、軟磁性層23
が形成される。
【0032】図1に示すように前記積層体26の両側に
は、例えばCo−Pt合金やCo−Cr−Pt合金など
で形成されたハードバイアス層28,28が形成されて
おり、前記ハードバイアス層28,28の上には、Ta
などの非磁性材料で形成された中間層29,29を介し
てAuなどで形成された電極層30,30が形成されて
いる。
【0033】図1に示すように積層体26及び電極層3
0の上には、SiO2やAl23などの非磁性材料で形
成された上部ギャップ層31が形成されている。そして
前記上部ギャップ層31の上には、例えばNi−Fe合
金などの磁性材料で形成された上部シールド層32が形
成されている。なお図1に示すように下部ギャップ層2
1から上部ギャップ層31までの総合膜厚によって磁気
ギャップ長Gl2が設定される。
【0034】前述したハードバイアス層28,28は図
示X方向(トラック幅方向)に磁化されており、磁気抵
抗効果層25の磁化は、このハードバイアス層28,2
8からの縦バイアス磁界によって、図示X方向に揃えら
れる。そして電極層30からは主に磁気抵抗効果層25
にセンス電流が流れることによりX軸回りの磁界が発生
し、この磁界の影響を受けて軟磁性層23は図示Z方向
(ハイト方向)に磁化される。Y方向に磁化された軟磁
性層23からもたらされる静磁結合エネルギーにより磁
気抵抗効果層25に図示Z方向への横バイアス磁界が与
えられ、前記磁気抵抗効果層25の磁化は、図示X方向
から図示Z方向へ所定の角度で傾けられる。特に記録媒
体からの洩れ磁界に対して、前記磁気抵抗効果層25の
電気抵抗の変化量を大きくし再生感度を良好にするに
は、前記磁気抵抗効果層25の磁化を図示X方向から図
示Z方向へ45度で傾ける必要があり、このように磁気
抵抗効果層25の磁化方向を制御するには、前記軟磁性
層23の飽和磁束密度Ms×膜厚t4を、磁気抵抗効果
層25の飽和磁束密度Ms×膜厚t6の約0.6倍程度
に設定しなけらばらないことが知られている。
【0035】高透磁率フェライトで形成された軟磁性層
23のMs×t4を、Ni−Fe−Nb合金で形成され
た軟磁性層7(図2参照)のMs×t1とほぼ同じ値に
するためには、前記高透磁率フェライトの飽和磁束密度
Msは、Ni−Fe−Nb合金の飽和磁束密度Msより
も小さくなるので、高透磁率フェライトで形成された軟
磁性層23の膜厚t4を、Ni−Fe−Nb合金で形成
された軟磁性層の膜厚よりも大きくしなければならばな
らない。本発明では、前記高透磁率フェライトの飽和磁
束密度Msは、0.2T以上であることが好ましく、
0.2T以上の飽和磁束密度Msは、Ni−Fe−Nb
合金の飽和磁束密度Msの1倍から1/3倍程度である
ので、高透磁率フェライトで形成された軟磁性層23の
膜厚t4を、Ni−Fe−Nb合金で形成された軟磁性
層の膜厚の1倍から3倍程度で形成しなければならな
い。
【0036】このように本発明では、軟磁性層23の膜
厚t4が従来に比べて大きくなるものの、前記軟磁性層
23を形成する高透磁率フェライトの比抵抗ρはNi−
Fe−Nb合金の比抵抗ρに比べ極めて大きいために、
前記軟磁性層23の電気抵抗を従来に比べ低減させるこ
とが可能である。
【0037】従って本発明では、軟磁性層23への電極
層30からのセンス電流の分流を極力抑制できるので、
磁気抵抗効果層25へのセンス電流の分流比を大きくで
き、再生出力を大きくすることが可能である。
【0038】ところで記録媒体からの洩れ磁界を磁気抵
抗効果層において再生感度良く検出するためには、図1
に示す磁気抵抗効果層25が、下部シールド層20と上
部シールド層32との中心に位置する必要があり、従っ
て前記下部シールド層20と磁気抵抗効果層25との間
に形成される下部ギャップ層21、軟磁性層23及び非
磁性層24の総合膜厚と、磁気抵抗効果層25と上部シ
ールド層32との間に形成される保護層27及び上部ギ
ャップ層31の総合膜厚とが、ほぼ同じ値に設定される
必要がある。下部シールド層20と上部シールド層32
の間隔、すなわち磁気ギャップ長Gl2は、記録媒体の
書込み幅によって決定され、特に今後の高記録密度化に
伴い、前記磁気ギャップ長Gl2は小さくなる傾向にあ
る。
【0039】ここで、非磁性層24の膜厚t5は、磁気
的な絶縁を得るために、少なくとも数十オングストロー
ム必要であり、さらに下部ギャップ層21は電気的・磁
気的絶縁を得るために数百オングストローム必要であ
る。そうすると、軟磁性層23の膜厚t4は、ある所定
値の範囲内で形成される必要がある。
【0040】すなわち前述したように前記軟磁性層23
は、そのMs×t4が、磁気抵抗効果層25のMs×t
6の約0.6倍程度を有し、且つ前記軟磁性層23の膜
厚t4は、ある所定値の範囲内で形成されなければなら
ない。
【0041】前記軟磁性層23の膜厚t4は、従来Ni
−Fe−Nb合金で形成されていた軟磁性層の膜厚t1
(図2参照)に比べ最大で約3倍程度の厚さで形成され
なければならないので、磁気ギャップ長Gl2を、従来
における磁気ギャップ長Gl1(図2参照)とほぼ同等
にするには、前記軟磁性層23の膜厚t4が厚くなった
分だけ、下部ギャップ層21の膜厚を小さくしなければ
ならないことになる。
【0042】ここで軟磁性層23を形成する高透磁率フ
ェライトは、比抵抗ρが1Ω・cm以上と非常に大き
く、従って前記軟磁性層23は、電気的に半導体あるい
は絶縁体に近い性質を有している。このため前記軟磁性
層23が電気的に半導体あるいは絶縁体となり電気的な
絶縁層として働くので、磁気的な絶縁が確保されれば、
前記下部ギャップ層21の膜厚を従来よりも小さくする
ことが可能であると考えられる。
【0043】なお実施例では、軟磁性層23を形成する
フェライトとして、高透磁率フェライトを使用したが、
比抵抗ρが1Ω・cm以上で、しかも飽和磁束密度Ms
が0.2T以上を有するフェライトであればどのような
フェライトであってもよい。例えば低損失フェライトや
高飽和磁気フェライトなどが挙げられる。
【0044】また図1に示すAMR素子22は、積層体
26の両側にハードバイアス層28,28が形成され
た、いわゆるハードバイアス方式として構成されるが、
反強磁性層を用い交換異方性結合により磁気抵抗効果層
25に対し図示X方向への縦バイアス磁界を与えるエク
スチェンジ方式のAMR素子22であってもよい。
【0045】
【実施例】本発明では、実施例としてAMR素子を構成
する軟磁性層をMn−Zn系低損失フェライト、あるい
はNi−Zn系フェライトで形成し、比較例として前記
軟磁性層をNi−Fe−Nb合金で形成し、各材質にお
ける飽和磁束密度Ms、比抵抗ρ、各軟磁性層の電気抵
抗、及び各軟磁性層へのセンス電流の分流比を測定し
た。
【0046】なお実験では、磁気抵抗効果層をNi−F
e合金によって膜厚250オングストロームで形成し
た。なお前記Ni−Fe合金の比抵抗は24μΩ・c
m、飽和磁束密度Msは、約0.954であった。その
実験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】 表1に示すように、実施例としてのMn−Zn系低損失
フェライトの飽和磁束密度Msは、0.435T、Ni
−Mn系フェライトの飽和磁束密度Msは、0.325
Tであり、比較例としてのNi−Fe−Nb合金の飽和
磁束密度(0.55T)に比べて小さくなっている。M
n−Zn系低損失フェライトの飽和磁束密度Msは、N
i−Fe−Nb合金の飽和磁束密度Msの約0.8倍、
Ni−Mn系フェライトの飽和磁束密度Msは、Ni−
Fe−Nb合金の飽和磁束密度Msの約0.65倍であ
る。
【0048】次に実施例としてのMn−Zn系低損失フ
ェライトの比抵抗ρは、7×107μΩ・cm(=70
Ω・cm)、Ni−Mn系フェライトの比抵抗ρは、1
×109μΩ・cm(=1kΩ・cm)であり、比較例
としてのNi−Fe−Nb合金の比抵抗ρ(75μΩ・
cm)に比べて極めて大きくなっていることがわかる。
Mn−Zn系低損失フェライト及びNi−Mn系フェラ
イトは、電気的には半導体に分類され、少なくともNi
−Fe−Nb合金の比抵抗ρの106倍以上の比抵抗を
有していることがわかる。
【0049】次に、各軟磁性材料における飽和磁束密度
Msと膜厚tとの乗数が、磁気抵抗効果層のMs×tの
0.62倍となるようにして、前記各軟磁性材料で形成
された軟磁性層の膜厚tを求めた。表1に示すように、
比較例としてのNi−Fe−Nb合金で形成された軟磁
性層の膜厚tは、270オングストロームであるのに対
し、実施例としてのMn−Zn系低損失フェライトで形
成された軟磁性層の膜厚tは、340オングストロー
ム、Ni−Mn系フェライトで形成された軟磁性層の膜
厚tは455オングストロームとなる。このようにMn
−Zn系低損失フェライトあるいはNi−Mn系フェラ
イトで形成された軟磁性層の膜厚tが、Ni−Fe−N
b合金で形成された軟磁性層の膜厚tに比べて大きくな
るのは、Mn−Zn系低損失フェライトあるいはNi−
Mn系フェライトの飽和磁束密度Msが、Ni−Fe−
Nb合金の飽和磁束密度Msに比べて小さいからであ
る。
【0050】次にMn−Zn系低損失フェライト、Ni
−Mn系フェライトあるいはNi−Fe−Nb合金で形
成された各軟磁性層の電気抵抗Rを算出した。前記電気
抵抗Rは、各軟磁性層における膜厚t、比抵抗ρ及び各
軟磁性層を膜面に平行に切断した際における断面積(各
軟磁性層において同じ断面積となるようにした)から算
出した。表1に示すようように、Mn−Zn系低損失フ
ェライトで形成された軟磁性層の抵抗Rは、2×107
Ω、Ni−Znフェライトで形成された軟磁性層の抵抗
Rは、2×108Ωであり、これらの電気抵抗Rは、N
i−Fe−Nb合金で形成された軟磁性層の抵抗R(=
27.8Ω)よりも非常に大きくなっていることがわか
る。これは、Mn−Zn系低損失フェライト及びNi−
Znフェライトで形成された軟磁性層の膜厚tが、Ni
−Fe−Nb合金で形成された軟磁性層の膜厚tよりも
大きくなるものの、Mn−Zn系低損失フェライト及び
Ni−Znフェライトの比抵抗ρが、Ni−Fe−Nb
合金の比抵抗ρよりも極めて大きいことによる。
【0051】次に、膜厚が250オングストローム、比
抵抗が24μΩ・cmの磁気抵抗効果層の電気抵抗Rを
算出し、前記磁気抵抗効果層の電気抵抗Rと、上記した
各軟磁性層の電気抵抗Rとを比較して、前記各軟磁性層
へのセンス電流の分流比(%)を算出した。なお非磁性
層へのセンス電流を3%とした。
【0052】表1に示すように、Mn−Zn系低損失フ
ェライト及びNi−Znフェライトで形成した軟磁性層
の分流比は0.01%以下であり、Ni−Fe−Nb合
金で形成した軟磁性層の分流比(=26%)よりもきわ
めて小さくなることがわかる。
【0053】以上のようにMn−Zn系低損失フェライ
ト及びNi−Znフェライトは、比抵抗ρがきわめて大
きいので、Mn−Zn系低損失フェライト及びNi−Z
nフェライトで軟磁性層を形成することによって、前記
軟磁性層の膜全体の電気抵抗Rをきわめて大きくするこ
とができ、従って前記軟磁性層へのセンス電流の分流比
を、従来Ni−Fe−Nb合金で形成されていた軟磁性
層の分流比に比べ非常に小さくできることがわかる。よ
って、Mn−Zn系低損失フェライト及びNi−Znフ
ェライトで形成した軟磁性層を使用することにより、磁
気抵抗効果層へのセンス電流の分流比を大きくでき、再
生出力を向上させることが可能となる。
【0054】なお上記実験では、Mn−Zn系低損失フ
ェライト及びNi−Znフェライトを実施例として挙げ
たが、他にMn−Zn系高透磁率フェライト(飽和磁束
密度Ms=0.38、比抵抗ρ=4×107)、Mn−
Zn系高飽和磁気フェライト(飽和磁束密度Ms=0.
49、比抵抗ρ=5×106)、Fe34(飽和磁束密
度Ms=0.6)、CoFe24(飽和磁束密度Ms=
0.53)、NiFe 34(飽和磁束密度Ms=0.3
4)、γ−Fe23(飽和磁束密度Ms=0.52)、
BaFe1219(飽和磁束密度Ms=0.48)、Sr
Fe1219(飽和磁束密度Ms=0.47)、Y3Fe5
12(飽和磁束密度Ms=0.2)など、比抵抗ρ、飽
和磁束密度に優れたフェライトを、軟磁性層として使用
しても、磁気抵抗効果層へのセンス電流の分流比を大き
くでき、再生出力を向上させることが可能である。
【0055】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、組成がF
e−O、あるいはM−Fe−O(ただし元素Mは、M
n、Co、Ni、Ba、Sr、Y、Gd、Cu、Znの
うち少なくとも1種類以上)で構成される高透磁率フェ
ライトは、比抵抗ρが1Ω・cm以上ときわめて大き
く、軟磁性層を前記高透磁率フェライトで形成すること
により、前記軟磁性層の電気抵抗を大きくすることがで
き、従って軟磁性層へのセンス電流の分流比を低減させ
ることが可能になる。よって磁気抵抗効果層へのセンス
電流の分流比を大きくでき、再生出力を向上させること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気抵抗効果素子(AMR素子)を用
いたMRヘッドの構造を記録媒体との対向面から見た断
面図、
【図2】従来の磁気抵抗効果素子(AMR素子)を用い
たMRヘッドの構造を記録媒体との対向面から見た断面
図、
【符号の説明】
20 下部シールド層 21 下部ギャップ層 22 磁気抵抗効果素子(AMR素子) 23 軟磁性層 24 非磁性層 25 磁気抵抗効果層 26 積層体 27 保護層 28 ハードバイアス層 29 中間層 30 電極層 31 上部ギャップ層 32 上部シールド層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗効
    果層と軟磁性層とを有し、前記磁気抵抗効果層の磁化の
    変動によって、記録媒体からの洩れ磁界が検出される磁
    気抵抗効果素子において、前記軟磁性層は、フェライト
    で形成されていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記フェライトの組成は、Fe−Oで構
    成され、あるいはM−Fe−O(ただし元素Mは、M
    n、Co、Ni、Ba、Sr、Y、Gd、Cu、Znの
    うち少なくとも1種類以上)で構成される請求項1記載
    の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 前記元素Mには、MnとZn、あるいは
    NiとZnが選択される請求項2記載の磁気抵抗効果素
    子。
  4. 【請求項4】 前記フェライトの比抵抗ρは、1Ω・c
    m以上である請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 【請求項5】 前記フェライトの飽和磁束密度Msは
    0.2T以上である請求項4記載の磁気抵抗効果素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7265948B2 (en) * 2001-07-17 2007-09-04 Hitachi Global Storage Technologies Japan, Ltd., Magnetoresistive element with oxide magnetic layers and metal magnetic films deposited thereon

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