JP2000194065A - 投射レンズ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レンズ形状等に制約が生じることなく不要な
光を効果的に遮断できるようにする。 【解決手段】 フロント投射型プロジェクタ用の投射レ
ンズにおいて、投射される画像の形状に適合した形状の
開口部１１により不要な光路を遮断するマスク７，８を
設ける。また、マスクの開口部の形状をズーミング動作
に合わせて変化させる手段１ａ、２ａ、７ａ、７ｂ、８
ａを設ける。マスクは前玉レンズの近傍に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はフロント投射型プロ
ジェクタ用投射レンズに関し、特に、投射画像にゴース
トおよびフレアが発生するのを防止するようにしたもの
に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、フロント投射型プロジェクタ用
投射レンズでは、投射レンズのイメージサークルに対
し、投射される液晶パネルの像は矩形形状であるため、
投射レンズ内での内面反射による不要光がスクリーン上
に投射され易く、その場合には投射画像のコントラスト
が低下する。その対策として、従来、鏡筒内部に反射防
止用の遮光線を設けたり、遮光用の塗料を塗布する等の
工夫をして反射対策を施している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、それら
の遮光部材は鏡筒の内壁に取り付けられるので、光線に
対して入射角度が浅く、不要光を遮断するには不完全な
場合がある。また、充分な遮光効果を得るためには、遮
光部材の表面の凹凸段差を大きくする必要があるが、そ
うすることは加工上困難であったり不可能な場合があ
る。また、鏡筒の内面反射およびレンズのコバ等での反
射を防止するためには、レンズ形状および鏡筒形状に制
約が生じている。

【０００４】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点に鑑み、投射レンズにおいて、レンズ形状等に制約
が生じることなく不要な光を効果的に遮断できるように
することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の投射レンズは、フロント投射型プロジェクタ用
の投射レンズであって、投射される画像の形状に適合し
た形状の開口部により不要な光路を遮断するマスクを具
備することを特徴とし、これにより、レンズ形状等に制
約が生じることなく不要な光を効果的に遮断できるよう
にしている。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態におい
ては、マスクは光軸よりシフトした位置に回転しないよ
うに保持して設けられ、マスクの開口部形状をズーミン
グ動作に合わせて変化させる手段を有する。マスクは前
玉レンズの近傍たとえばスクリーン側の外側もしくはそ
の近辺に位置し、前玉レンズと一体的に移動する。ま
た、マスクは液晶等の物性素子によって構成してもよ
い。

【０００７】より具体的な形態においては、ズーミング
動作時に回転する回転部と、回転しない非回転部を有
し、前記画像の形状は矩形であり、マスクは前記矩形の
１つの対角線で分けられる一方および他方の形状にそれ
ぞれ適合し得る２つのマスク部材を有し、前記非回転部
に固定された部材により２つのマスク部材がそれぞれ前
記矩形のもう１つの対角線の方向に案内され、前記回転
部と２つのマスク部材との間に設けられたカムおよびカ
ムフォロワにより前記回転部の回転に応じて２つのマス
ク部材が前記もう１つの対角線の方向に移動することに
より、ズーミング動作に応じて画像の形状に適合した形
状の開口部を形成し、それにより不要な光路の遮断を行
なう。このように、投射レンズのスクリーン側の外側に
パネルの矩形形状に合わせたマスク機能を設けることに
より、画角外の光線を全て遮断することが可能となる。

【０００８】

【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図１は本
発明の一実施例に係る投射レンズと、液晶プロジェクタ
のエンジン側で合成された液晶表示パネル像９と、その
投射画像１３との位置関係を示す断面図である。この投
射レンズは、プロジェクタのエンジン部（図示せず）に
よってランプ等の光源により照明光を形成し、この照明
光を赤、緑、青色に分解した後、各色に対応した液晶表
示パネルの透過光を合成したカラー像を拡大投射するも
のである。

【０００９】図１に示す通り、液晶パネルの中心位置に
対して投射レンズは光軸が上もしくは下方向（この図で
は上方）にシフトした位置に取り付けられている。この
とき図２に示すように、スクリーン上では液晶表示パネ
ルの投射画像１３はイメージサークル１４に対してシフ
トしている。これは液晶プロジェクタ本体の後方からス
クリーンを見た時に液晶表示パネルの投射画像が液晶プ
ロジェクタ本体の影にならないようにするためである。

【００１０】図３は投射レンズの断面図、図４は斜視図
である。これらの図において、１は固定筒、２は固定筒
１の周りで回転可能に取り付けられたカム環である。３
は第１レンズ群（フォーカスレンズ群）、４は第２レン
ズ群、５は第３レンズ群、６は第４レンズ群であり、こ
れらはズームレンズ群を構成している。７は第１絞り羽
根、８は第２絞り羽根であり、これらはマスク機構を構
成している。９は液晶プロジェクタエンジン部により、
赤、緑、青の各色が液晶表示パネルを通過した後に合成
されたカラー画像である。

【００１１】第１レンズ群３は固定筒１にヘリコイドネ
ジで結合されており、モータまたはマニュアルリング
（図示せず）により回転が伝達されることによってヘリ
コイドネジのリードに従って光軸方向に沿って前後動す
ることによりフォーカシングを行なう。第２レンズ群
４、第３レンズ群５および第４レンズ群６は固定筒１に
設けられた光軸方向に平行な直進キー溝およびカム環２
に設けられたカム溝にコロ１０等でそれぞれ嵌入されて
いる。カム環２は、固定筒１とバヨネット結合してお
り、カム環２がモータまたはマニュアルリングの駆動に
より固定筒１の周囲を回転することによって、各レンズ
群は直進キー溝に案内されて光軸方向に沿って移動し、
ズーミングを行なう。

【００１２】図５はマスク機構の正面図であり、同図
（ａ）は開口部が最大の場合の様子を示し、同図（ｂ）
は開口部が最小の場合の様子を示す。以下に図３、図
４、図５を用いてマスクの動作を説明する。第１絞り羽
根７および第２絞り羽根８は、それらをラジアル方向に
移動させ、かつ回転方向の移動を規制する形状の長穴７
ｂを有し、穴７ｂに固定筒１に設けられたピン１ａが嵌
入され、光軸に垂直に取り付けられている。さらに第１
絞り羽根７および第２絞り羽根８それぞれに設けたカム
溝７ａおよび８ａにカム環２に設けたカムフォロワ２ａ
が嵌入しており、これにより、第１絞り羽根７および第
２絞り羽根８はカム環２の回転すなわちズーミング動作
に連動してラジアル方向に移動し、開口部１１の形状が
変化するようになっている。このとき、それぞれの絞り
羽根のスラスト位置での液晶表示パネル像はズーミング
によって矩形の中心を移動しながら大きさが変化するの
で、開口部１１の形状が像の形状および位置に一致する
ようにカム溝７ａおよび８ａの形状が設定されている。
また、第１絞り羽根７および第２絞り羽根８は第１レン
ズ群３の動きを妨げない程度の強さのバネで第１レンズ
群側に付勢されており、第１レンズ群３の前後移動に追
従して移動する。さらに、再反射防止のために、絞り羽
根７および８の入射側の面に遮光処理を施すことによ
り、さらに遮光性は向上する。

【００１３】図６は図１の投射レンズの光学断面図、図
７はスクリーンの正面図である。鏡筒の内面反射光１２
は、絞り羽根７，８がない場合は、図５に示すように、
スクリーン上にリング状のゴースト１３を発生させる。
しかし、絞り羽根７，８でマスクすることによって不必
要な光線を遮光し、投射画像周りの不要な光線の発生を
防ぐことができる。

【００１４】図８は本発明の別の実施例に係る絞り羽根
の開閉機構を有する投射レンズの正面図である。同図
（ａ）はワイド時、（ｂ）はテレ時、（ｃ）はキャップ
時の状態を示す。同図に示すように、絞り羽根１５，１
６の移動機構を、絞り羽根１５，１６の外径部をカム形
状とし、絞り羽根１５，１６をバネなどで外側へ付勢
し、カム環のカムフォロワ１７に突き当てるような構成
としても良い。この構成において、カム環のさらに外側
にカム部１８を備えた開閉リング１９を設け、それをマ
ニュアルリングやモータなどにより回転させてカム１８
を絞り羽根１５，１６に作用させることによって、絞り
羽根１５，１６で形成する開口部１１を、図８（ｃ）の
ように完全に閉じることができるように構成し、これに
より絞り羽根１５，１６を液晶プロジェクタ不使用時に
はレンズキャップに兼用できる構成とすることもでき
る。これによれば、フォーカスおよびズーム位置にある
レンズ群を移動させることなくキャップ機構を働かせる
ことができるため、再度装置を使用する時には設定をや
り直す必要がなくなる。

【００１５】図９および１０はさらに別の実施例に係る
投射レンズを示す。図９は投射レンズの断面図、図１０
はこの投射レンズの物性絞りの正面図である。これらの
図に示すように、メカ的な絞り羽根を用いる以外に液晶
表示パネルなどの物性素子を用いた物性絞り２０を用い
ても良い。その場合は、カム環２もしくは任意のレンズ
群の位置などをセンサで検知することにより、ズーミン
グ状態に応じた絞りの開口部形状２１を決定し、不要部
分をマスクして遮光効果を得ることができる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、投
射される画像の形状に適合した形状の開口部により不要
な光路を遮断するマスクを具備するため、不要な光を効
果的に遮断することができる。

【００１７】また、マスクを投射レンズのできるだけ前
玉付近位置に設け、液晶表示パネル等の投射領域以外の
不要部分をマスクして不要光を遮断することによって、
投射品位を著しく低下させるゴーストやフレアの発生を
防止することができる。

【００１８】さらに、投射レンズの出口付近で不要光を
一括してカットすることにより、鏡筒の内面反射に対す
るレンズや鏡筒形状の制約を緩和し、設計の自由度を増
大させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例に係る投射レンズ等を示す
断面図である。

【図２】 図１の投射レンズによるスクリーン上の投射
画像を示す正面図である。

【図３】 図１の投射レンズの断面図である。

【図４】 図１の投射レンズの斜視図である。

【図５】 図１の投射レンズのマスク機構の正面図であ
る。

【図６】 図１の投射レンズの光学断面図である。

【図７】 マスクがない場合におけるスクリーン上の投
射画像を示す正面図である。

【図８】 本発明による別の実施例に係るマスクを示す
正面図である。

【図９】 本発明によるさらに別の実施例に係る投射レ
ンズを示す断面図である。

【図１０】 図９の投射レンズにおけるマスクを示す正
面図である。

【符号の説明】

１：固定筒、１ａ：ピン、２：カム環、２ａ：カムフォ
ロワ、３：第１レンズ群、４：第２レンズ群、５：第３
レンズ群、６：第４レンズ群、７：第１の絞り羽根、７
ａ，８ａ：カム溝、７ｂ：長穴、８：第２の絞り羽根、
９：カラー画像、１０：コロ、１１：開口部、１２：内
面反射光、１３：ゴースト、１５，１６：絞り羽根、１
７：カムフォロワ、１８：カム部、１９：開閉リング、
２０：物性絞り、２１：開口部形状。

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロント投射型プロジェクタ用の投射レ
   ンズであって、投射される画像の形状に適合した形状の
   開口部により不要な光路を遮断するマスクを具備するこ
   とを特徴とする投射レンズ。
2. 【請求項２】 前記マスクを光軸よりシフトした位置に
   設けたことを特徴とする請求項１に記載の投射レンズ。
3. 【請求項３】 前記マスクの開口部形状をズーミング動
   作に合わせて変化させる手段を有することを特徴とする
   請求項１または２に記載の投射レンズ。
4. 【請求項４】 前記マスクを回転しないように保持する
   手段を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか
   １項に記載の投射レンズ。
5. 【請求項５】 前記マスクがレンズの保護キャップと兼
   用となっていることを特徴とする請求項１〜４のいずれ
   か１項に記載の投射レンズ。
6. 【請求項６】 前記マスクは物性素子によって構成され
   たものであることを特徴とする請求項１〜４のいずれか
   １項に記載の投射レンズ。
7. 【請求項７】 ズーミング動作時に回転する回転部と、
   回転しない非回転部を有し、前記画像の形状は矩形であ
   り、前記マスクは前記矩形の１つの対角線で分けられる
   一方および他方の形状にそれぞれ適合し得る２つのマス
   ク部材を有し、前記非回転部に固定された部材により前
   記２つのマスク部材がそれぞれ前記矩形のもう１つの対
   角線の方向に案内され、前記回転部と前記２つのマスク
   部材との間に設けられたカムおよびカムフォロワにより
   前記回転部の回転に応じて前記２つのマスク部材が前記
   もう１つの対角線の方向に移動することにより、前記ズ
   ーミング動作に応じて前記画像の形状に適合した形状の
   開口部を形成し、それにより前記不要な光路の遮断を行
   なうものであることを特徴とする請求項２〜５のいずれ
   か１項に記載の投射レンズ。
8. 【請求項８】 前記マスクは前玉レンズの近傍に位置す
   ることを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項に記載
   の投射レンズ。
9. 【請求項９】 前記マスクは前玉レンズと一体的に移動
   するものであることを特徴とする請求項１〜８のいずれ
   か１項に記載の投射レンズ。