JP2000193993A - 液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】表示部の液晶層に気泡が発生することを防止
し、気泡の発生による画像欠陥等の表示不良を防ぐこと
ができる液晶表示素子を実現する。 【解決手段】本発明は、対向された一対の基板の間に閉
空間を形成し、該閉空間内に液晶組成物６を充填して形
成した液晶セルからなる液晶表示素子において、前記液
晶セルの閉空間の内部あるいは該閉空間に連通する部位
で表示部以外の場所（例えば液晶注入口５ａ）に圧縮性
の部位（気泡）３を有するので、外部からの衝撃等によ
る急激な圧力変化を圧縮性の部位が吸収するため、液晶
６の内部での圧力変化が緩和され、表示部位での気泡の
発生を防止することができ、表示部での気泡発生による
画像欠陥等の表示不良を防止することができる。また、
圧縮性の部位に気泡を有することにより、液晶中の気体
を、表示部以外の圧縮性の部位に設けた気泡が吸収し、
表示部での気泡の発生を抑止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子及び
その製造方法に係り、特に、表示部の液晶層に気泡が発
生することによる表示不良を防止した液晶表示素子及び
その製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示素子は薄型、軽量でかつ省電力
性に優れることから、数々の分野での利用が実現されて
おり、現在では特にノート型パーソナルコンピュータや
ワードプロセッサ、小型テレビ、ビデオカメラやデジタ
ルカメラのモニター、携帯電話、電子手帳等、種々の携
帯用電子機器の表示素子として利用されている。液晶表
示素子の液晶セルは、例えば図６に示すように、ＩＴＯ
（酸化インジウム・スズ）等の透明導電膜による配線パ
ターン２３，２４や配向膜２５，２６等が形成された一
対の透明基板２１，２２の間の閉空間内に液晶組成物２
８を封入したものである。そしてこのような構造の液晶
セルは、ガラス基板や、板状あるいはフィルム状のプラ
スチック基板からなる２枚の透明基板２１，２２に、透
明導電膜による配線パターン２３，２４や配向膜２５，
２６等を形成した後、その２枚の透明基板２１，２２を
スペーサー２７を介して所定間隙（セルギャップ）隔て
て対向配置し、基板間の周辺部をシール材２９で接着し
て該基板間に閉空間を形成し、シール部の一部に設けた
注入口（図示せず）から閉空間内に液晶組成物２８を注
入して充填した後、注入口を封止して形成したものであ
る。

【０００３】図６に示したようなセル構造でプラスチッ
クを基板として用いた液晶表示素子は、適当な特性（ガ
スバリア性）を持ったものを基板として使用しないと素
子外部から気体成分が侵入し液晶層の中に溶け込むこと
があり、この気体成分が飽和状態に達したときに液晶セ
ルに外部から衝撃が加えられると、この衝撃により液晶
層内に気泡が発生してしまうことがある。そして、この
気泡が表示部に発生すると、画像欠陥等の表示不良を起
こす原因となる。

【０００４】そこで従来は、液晶セルに外部から衝撃が
加えられても気泡が発生しにくくする手段を備えた液晶
表示素子として、液晶セルの２枚の基板間にスペーサー
と共にポリスチレン系多孔粒子等からなるガス吸着材を
散布し、液晶中の溶存ガスをガス吸着材に吸着させる構
成の液晶表示素子（特開平６−１１６９９号公報）や、
２枚の基板間に径の相違する２種類のスペーサーを介在
させ、径の大きいスペーサーは弾性変形が可能とし、液
晶セル外部からの衝撃を径の大きなスペーサーの弾性変
形により緩和する構成の液晶表示素子（特開平８−３０
４８３２号公報）、あるいは２枚の基板間に介在される
スペーサーとして弾性変形可能な中空のスペーサーを用
い、液晶セル外部からの衝撃を中空のスペーサーの弾性
変形により緩和する構成の液晶表示素子（特開平５−１
４２５４８号公報）等が提案されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液晶セ
ルの２枚の基板間にスペーサーと共に多孔粒子等からな
るガス吸着材を散布する方式では、基板間にスペーサー
とガス吸着材を均一に分散配置させることが難しく、セ
ルギャップが不均一になる恐れがあり、しかもスペーサ
ーとガス吸着材の２種類の材料を用いるため材料費が嵩
み、製造コストがかかるという問題もある。また、２枚
の基板間に径の相違する２種類のスペーサーを介在させ
る場合にも、径の相違する２種類のスペーサーを均一に
分散配置させることが難しく、セルギャップが不均一に
なる恐れがあり、しかも２種類のスペーサーを用いるた
め材料費が嵩み、製造コストがかかるという問題があ
る。また、中空のスペーサーを用いる方式では、微小で
均一な径の中空スペーサーを形成することが難しく、材
料費が嵩み製造コストがかかるという問題がある。

【０００６】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
り、ガス吸着材や特殊なスペーサー等を用いずに、新規
で且つ簡易な方式で、表示部の液晶層に気泡が発生する
ことを防止し、気泡の発生による画像欠陥等の表示不良
を防ぐことができる液晶表示素子及びその製造方法を提
供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、対向された一対の基板の間
に閉空間を形成し、該閉空間内に液晶組成物を充填して
形成した液晶セルからなる液晶表示素子において、前記
液晶セルの閉空間の内部あるいは該閉空間に連通する部
位で表示部以外の場所に圧縮性の部位を有することを特
徴とするものである。すなわち請求項１に係る液晶表示
素子では、表示部以外の場所に設けた圧縮性の部位で液
晶層内の圧力変化を吸収することにより、表示部での衝
撃などによる局部的な減圧で、液晶中に溶存している気
体が気泡化することを抑止するものである。

【０００８】請求項２に係る発明は、請求項１記載の液
晶表示素子において、前記圧縮性の部位に気泡を有する
ことを特徴とするものである。すなわち請求項２に係る
液晶表示素子では、表示部以外の場所に設けた圧縮性の
部位に気泡を有することにより、特別な部材を用いずに
圧縮性の部位の気泡により液晶層内の圧力変化を吸収す
ることができ、また、圧縮性の部位の気泡に液晶中の気
体が放出されるという作用も得られ、表示部に気泡が発
生することが防止される。

【０００９】請求項３に係る発明は、請求項１または２
記載の液晶表示素子を作製する際に、液晶セル内の表示
部以外の場所に圧縮性の部位を形成する工程を有する液
晶表示素子の製造方法であって、液晶セル内の表示部以
外の場所に圧縮性の部位を形成する工程として、一対の
基板間の閉空間内に液晶組成物を注入後、該閉空間の内
部あるいは該閉空間に連通する部位で表示部以外の場所
に気体を導入し、その後、封止したことを特徴とするも
のである。すなわち請求項３に係る液晶表示素子の製造
方法では、一対の基板間の閉空間の内部あるいは該閉空
間に連通する部位で表示部以外の場所に気体を導入し、
液晶中の気体を表示部以外の場所に集中することによ
り、液晶中の過飽和気体を無くし、表示部での衝撃など
による気泡発生を抑止するものである。

【００１０】請求項４に係る発明は、請求項１または２
記載の液晶表示素子を作製する際に、液晶セル内の表示
部以外の場所に圧縮性の部位を形成する工程を有する液
晶表示素子の製造方法であって、液晶セル内の表示部以
外の場所に圧縮性の部位を形成する工程として、一対の
基板間の閉空間の内部あるいは該閉空間に連通する部位
で表示部以外の場所に発泡剤を含む部位を設けておき、
液晶組成物の注入、封止後に、前記発泡剤から気泡を発
生させることを特徴とするものである。すなわち請求項
４に係る液晶表示素子の製造方法では、一対の基板間の
閉空間の内部あるいは該閉空間に連通する部位で表示部
以外の場所に発泡剤を含む部位を設けておき、簡便に位
置を制御して、表示部以外の場所に気泡を発生させるこ
とができるようにしたものである。

【００１１】請求項５に係る発明は、請求項４記載の液
晶表示素子の製造方法において、前記液晶組成物の注
入、封止後に、前記発泡剤を含む部位にレーザー光を照
射することにより該発泡剤から気泡を発生させることを
特徴とするものである。すなわち請求項５に係る液晶表
示素子の製造方法では、必要な時に、発泡剤を含む部位
にレーザー光を照射して加熱することにより該発泡剤か
ら気泡を発生させ、表示部以外の場所に容易に気泡を発
生させることができるようにしたものであり、特に、液
晶セルの連続生産に対応可能となる。

【００１２】請求項６に係る発明は、請求項４記載の液
晶表示素子の製造方法において、前記液晶組成物の注
入、封止後に、前記発泡剤を含む部位に超音波振動を印
加することにより該発泡剤から気泡を発生させることを
特徴とするものである。すなわち請求項６に係る液晶表
示素子の製造方法では、必要な時に、発泡剤を含む部位
に超音波振動を印加して加熱することにより該発泡剤か
ら気泡を発生させ、表示部以外の場所に容易に気泡を発
生させることができるようにしたものであり、特に、液
晶セルの連続生産に対応可能となる。

【００１３】請求項７に係る発明は、請求項４記載の液
晶表示素子の製造方法において、前記液晶組成物の注
入、封止後に、前記発泡剤を含む部位を発熱体で加熱す
ることにより該発泡剤から気泡を発生させることを特徴
とするものである。すなわち請求項７に係る液晶表示素
子の製造方法では、必要な時に、発泡剤を含む部位を発
熱体で加熱することにより該発泡剤から気泡を発生さ
せ、表示部以外の場所に容易に気泡を発生させることが
できるようにしたものであり、特に、液晶セルの連続生
産に対応可能となる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
るが、本発明は、液晶セル内の液晶中に気泡が発生する
可能性のある液晶表示素子に関するものであり、特にプ
ラスチック基板を用いた液晶表示素子での気泡発生が顕
在化しやすいので、ここではプラスチック基板を用いた
液晶表示素子について説明する。ただし、本発明は、プ
ラスチック基板を用いた液晶表示素子に限らず、ガラス
基板を用いた液晶表示素子に対しても適用可能であるこ
とは言うまでもない。

【００１５】プラスチック基板を用いた液晶表示素子で
は、基板がガスバリア等を持たないプラスチックのみの
場合、基板から水や空気を透過するために徐々に液晶内
にそれらの気体が溶け込む。通常の場合はプラスチック
基板にガスバリア性を持った材料のコーティングを施す
等により、十分なガスバリア性を持った基板を使用して
おり、これら気体の溶け込みは抑制されている。しか
し、基板の微小な欠陥やシール部の微小な欠陥による気
体の流入によるものや、長時間使用されてきたもので
は、気体が飽和レベルまで液晶中に溶け込み、液晶セル
に外部から衝撃等が加えられると、急激な圧力変動や局
所的な圧力変動により、液晶中に気泡が発生する。この
気泡発生の試験方法としては、液晶中に溶け込んだ気体
が可橈性のあるプラスチック基板への機械的な圧力変動
により、常圧中で押し圧をかけ、離す時の減圧で気泡を
発生させたりして評価している。具体的には、液晶セル
のプラスッチ基板に直径約１ｃｍの硬球で２ｋｇｆで３
秒の押し圧をかけ、気泡核を作り、その消滅時間を測定
する方法がある（特開平６−７５２０９号公報参照）。
このように、特にガラスと比較してプラスチック基板を
用いた液晶表示素子は、外力による局所的な大きい圧力
変化を受けやすく気泡が発生し易い。

【００１６】ところで、液晶中に気泡の存在のない場合
には、液晶中の過飽和の気体が気化し、気泡となるため
には、気液界面を作るエネルギーが必要なため、過剰な
飽和量や急激な減圧などが必要であるが、一旦気泡が存
在すると、液晶からの気体の拡散、気泡内への気化は容
易である。また、液晶表示素子の表示領域外であれば、
気泡の存在が大きく問題になることはない。ただし、気
泡が移動したり、その中の気体が活性である場合は除か
れる。

【００１７】本発明では、液晶を非圧縮性液体と考え
て、液晶セルの閉空間の内部あるいは該閉空間に連通す
る部位で表示部以外の場所に圧縮性の部位を有する構成
とし、液晶に圧縮性の部分が接触し、急激な圧力変化を
該圧縮性の部分が吸収し、液晶中の気体の気化を妨げる
ようにしたものであり、さらに、この圧縮性の部分に気
泡を有する構成とした場合には、液晶中の気体を圧縮性
の部位の気泡内に放出させるという作用を利用してお
り、これらの作用効果により、表示部への気泡発生が抑
えられるものである。以下、本発明の液晶表示素子及び
その製造方法の具体的な実施例について図面を参照して
詳細に説明する。

【００１８】（実施例１）図１は本発明の一実施例を示
す図であって、液晶表示素子の液晶セルの構造を示す概
略平面図であり、この液晶セルは、上下一対の基板をシ
ール材を介して貼り合わせた構造であるが、説明の都合
により、上基板の図示を省略して示している。図１に示
す液晶セルは、下基板２と図示しない上基板の間にスペ
ーサー（図示せず）を介在させて所定間隙隔てて対向配
置させると共に、上下の基板の間の周辺部をシール材１
で貼り合わせて内部に閉空間を形成した後、シール材１
の一部に設けた液晶注入口５ａから液晶組成物を注入し
て液晶注入路５ｂを経て表示部側の閉空間内に液晶組成
物を充填して液晶層６を設けたものである。尚、液晶組
成物の充填後、表示部側の閉空間内の液晶層６と表示部
外の液晶注入口５ａ側の液晶層とはシール材の仕切り１
ａで仕切られているが、液晶注入路５ｂにより連通され
ており、封止材４で開口部を封止した後の液晶注入口５
ａ内が圧縮性の部位３として機能しており、この圧縮性
部位３には気泡が設けられている（請求項１，２）。従
って、このような構成の液晶セルでは、上下の基板面に
外部から衝撃が加えられたりしてセル内に急激な圧力変
化を生じても、表示部外の液晶注入口５ａ内の圧縮性部
位（気泡）３がその圧力変化を吸収し、液晶中の気体の
気化を妨げるように作用している。また、この圧縮性部
位３は気泡なので、液晶中の気体が圧縮性の部位の気泡
内に放出されるという作用があり、表示部側の液晶層６
に気泡が発生することを抑制している。

【００１９】（実施例２）図１に示す構成の液晶表示素
子の製造方法の一例としては、配線パターンや配向膜等
が形成された上下一対の基板をシール材１で貼り合わせ
て内部に閉空間を有する液晶セルを形成した後、この液
晶セルを入れた容器を真空に引いた後に、ディスペンサ
ーで液晶組成物を液晶注入口５ａから注入して液晶注入
路５ｂを経て表示部側の閉空間内に液晶組成物を充填さ
せ液晶層６を形成する。この時、まだ封止材４による封
止は行わずに、次に、気体（例えば窒素ガス）を同様に
別のディスペンサーで液晶注入口５ａの液晶内に注入
後、封止材４をさらに別のディスペンサーで液晶注入口
５ａの開口部に注入する。この後、通常の封止材４には
紫外線硬化樹脂が用いられるため、封止材４に紫外線を
当てて硬化させ、液晶注入口５ａの開口部を封止する。
以上のようにして、表示部以外の部位である液晶注入口
５ａ内に圧縮性部位（気泡）３を有する液晶表示素子が
得られる（請求項３）。

【００２０】（実施例３）図１に示した構成の液晶表示
素子の製造方法の別の例としては、図２に示すように、
一対の基板間の表示部以外の場所、ここでは液晶注入路
５ｂを介して閉空間に連通する液晶注入口５ａ内に発泡
剤７（例えば、ＮａＨＣＯ₃ 等）を印刷等で配置して、
あらかじめ発泡剤を含む部位を設けておき、液晶組成物
を液晶注入口５ａから注入して基板間の閉空間に充填
し、封止材４で液晶注入口の開口部を封止した後に、発
泡剤７から気泡を発生させる方法がある（請求項４）。

【００２１】図３は図２の破線Ａで囲んだ部分を横から
見た断面に相当する図であり、発泡剤７から気泡を発生
させる手段の一例を示す図である。この例では、上下一
対の基板８，２内に液晶組成物を注入し、封止材４で液
晶注入口５ａの開口部を封止後に、レーザー装置１０か
ら発泡剤７にレーザー光９を照射し、レーザー光により
発泡剤７を加熱するものである（請求項５）。このよう
にレーザー光９で液晶中の発泡剤７を加熱すると、発泡
剤７が発泡し、発泡剤７がＮａＨＣＯ₃ の場合には、二
酸化炭素を発生し気泡となる。これにより、図１と同様
に、表示部以外の部位である液晶注入口５ａ内に圧縮性
部位（気泡）３を有する液晶表示素子が得られる。

【００２２】（実施例４）図４は図３と同様に図２の破
線Ａで囲んだ部分を横から見た断面に相当する図であ
り、発泡剤７から気泡を発生させる手段の別の例を示す
図である。この例では、上下一対の基板８，２内に液晶
組成物を注入し、封止材４で液晶注入口５ａの開口部を
封止後に、発泡剤７の直上の基板面に超音波振動子１１
を密着し、高周波電源１３により超音波振動子１１に高
周波を印加して超音波振動を発生させ、この超音波振動
の印加による基板と振動子の摩擦による熱で発泡剤７を
加熱し、発泡剤７を発泡させるものである（請求項
６）。ここで発泡剤７がＮａＨＣＯ₃ の場合には、二酸
化炭素を発生し気泡となる。これにより、図１と同様
に、表示部以外の部位である液晶注入口５ａ内に圧縮性
部位（気泡）３を有する液晶表示素子が得られる。

【００２３】（実施例５）図５は図３，４と同様に図２
の破線Ａで囲んだ部分を横から見た断面に相当する図で
あり、発泡剤７から気泡を発生させる手段のさらに別の
例を示す図である。この例では、上下一対の基板８，２
内に液晶組成物を注入し、封止材４で液晶注入口５ａの
開口部を封止後に、発泡剤７の直上の基板面に抵抗発熱
体１２を密着し、加熱用電源１４により抵抗発熱体１２
に電流を通電して発熱させ、この抵抗加熱体１２の熱に
より発泡剤７を加熱し、発泡剤７を発泡させるものであ
る（請求項７）。ここで発泡剤７がＮａＨＣＯ₃ の場合
には、二酸化炭素を発生し気泡となる。これにより、図
１と同様に、表示部以外の部位である液晶注入口５ａ内
に圧縮性部位（気泡）３を有する液晶表示素子が得られ
る。

【００２４】尚、以上に示した実施例では、液晶注入口
５ａ内に圧縮性部位（気泡）３を設けた例で説明した
が、圧縮性の部位を設ける場所は液晶注入口に限らず、
表示部以外の場所なら任意の場所に設けることができ
る。また、表示部以外の場所で、複数の個所に圧縮性部
位（気泡）を配置すれば、表示部での気泡発生をより防
止することができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１に係る液
晶表示素子においては、液晶セルの閉空間の内部あるい
は該閉空間に連通する部位で表示部以外の場所に圧縮性
の部位を有するので、外部からの衝撃等による急激な圧
力変化を圧縮性の部位が吸収するため、液晶内部での圧
力変化が緩和され、表示部位での気泡の発生を防止する
ことができ、表示部での気泡発生による画像欠陥等の表
示不良を防止することができる。

【００２６】請求項２に係る液晶表示素子においては、
請求項１の構成に加えて、圧縮性の部位に気泡を有する
ので、液晶中の気体を、表示部以外の圧縮性の部位に設
けた気泡が吸収し、表示部での気泡の発生を抑止するこ
とができ、表示部での気泡発生による画像欠陥等の表示
不良を防止することができる。

【００２７】請求項３に係る液晶表示素子の製造方法に
おいては、液晶セル内の表示部以外の場所に圧縮性の部
位を形成する工程として、一対の基板間の閉空間内に液
晶組成物を注入後、該閉空間の内部あるいは該閉空間に
連通する部位で表示部以外の場所に気体を導入し、その
後、封止したことにより、液晶中の気体を表示部以外の
場所に集中することができ、液晶中の過飽和気体を無く
し、表示部での衝撃などによる気泡発生を抑止すること
ができる。

【００２８】請求項４に係る液晶表示素子の製造方法に
おいては、液晶セル内の表示部以外の場所に圧縮性の部
位を形成する工程として、一対の基板間の閉空間の内部
あるいは該閉空間に連通する部位で表示部以外の場所に
発泡剤を含む部位を設けておき、液晶組成物の注入、封
止後に、前記発泡剤から気泡を発生させるので、あらか
じめ表示部以外の任意の場所に発泡剤を印刷等で配置し
ておくことができ、液晶注入口やそれ以外の必要なとこ
ろに、表示部での気泡発生を防止するための気泡を配置
することができる。

【００２９】請求項５に係る液晶表示素子の製造方法に
おいては、請求項４の方法に加え、前記液晶組成物の注
入、封止後に、前記発泡剤を含む部位にレーザー光を照
射することにより該発泡剤から気泡を発生させるので、
あらかじめ表示部以外の任意の場所に配置して置いた発
泡剤にレーザー光を照射して気泡を発生させることがで
き、液晶注入口やそれ以外の必要なところに、表示部で
の気泡発生を防止するための気泡を容易に配置すること
ができる。

【００３０】請求項６に係る液晶表示素子の製造方法に
おいては、請求項４の方法に加え、前記液晶組成物の注
入、封止後に、前記発泡剤を含む部位に超音波振動を印
加することにより該発泡剤から気泡を発生させるので、
あらかじめ表示部以外の任意の場所に配置して置いた発
泡剤に超音波振動を印加して気泡を発生させることがで
き、液晶注入口やそれ以外の必要なところに、表示部で
の気泡発生を防止するための気泡を容易に配置すること
ができる。

【００３１】請求項７に係る液晶表示素子の製造方法に
おいては、請求項４の方法に加え、前記液晶組成物の注
入、封止後に、前記発泡剤を含む部位を発熱体で加熱す
ることにより該発泡剤から気泡を発生させるので、あら
かじめ表示部以外の任意の場所に配置して置いた発泡剤
を発熱体で加熱して気泡を発生させることができ、液晶
注入口やそれ以外の必要なところに、表示部での気泡発
生を防止するための気泡を容易に配置することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す図であって、液晶表示
素子の液晶セルの構造を示す概略平面図である。

【図２】図１に示した構成の液晶表示素子の製造方法の
一例を示す図であり、液晶注入口内に発泡剤を配置した
液晶セルを示す概略平面図である。

【図３】図２の破線Ａで囲んだ部分を横から見た断面に
相当する図であり、発泡剤から気泡を発生させる手段の
一例を示す図である。

【図４】図２の破線Ａで囲んだ部分を横から見た断面に
相当する図であり、発泡剤から気泡を発生させる手段の
別の例を示す図である。

【図５】図２の破線Ａで囲んだ部分を横から見た断面に
相当する図であり、発泡剤から気泡を発生させる手段の
さらに別の例を示す図である。

【図６】液晶表示素子の液晶セルの構成例を示す要部断
面図である。

【符号の説明】

１ シール材 １ａ 仕切り ２ 下基板 ３ 圧縮性部位（気泡） ４ 封止材 ５ａ 液晶注入口 ５ｂ 液晶注入路 ６ 液晶層 ７ 発泡剤 ８ 上基板 ９ レーザー光 １０ レーザー装置 １１ 超音波振動子 １２ 抵抗発熱体 １３ 高周波電源 １４ 加熱用電源

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金本 明彦 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内 (72)発明者 梅村 和彦 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内 (72)発明者 佐藤 達哉 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内 Ｆターム(参考） 2H089 KA11 LA29 NA35 NA43 PA11 QA14 TA01

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】対向された一対の基板の間に閉空間を形成
   し、該閉空間内に液晶組成物を充填して形成した液晶セ
   ルからなる液晶表示素子において、 前記液晶セルの閉空間の内部あるいは該閉空間に連通す
   る部位で表示部以外の場所に圧縮性の部位を有すること
   を特徴とする液晶表示素子。
2. 【請求項２】請求項１記載の液晶表示素子において、前
   記圧縮性の部位に気泡を有することを特徴とする液晶表
   示素子。
3. 【請求項３】請求項１または２記載の液晶表示素子を作
   製する際に、液晶セル内の表示部以外の場所に圧縮性の
   部位を形成する工程を有する液晶表示素子の製造方法で
   あって、 液晶セル内の表示部以外の場所に圧縮性の部位を形成す
   る工程として、一対の基板間の閉空間内に液晶組成物を
   注入後、該閉空間の内部あるいは該閉空間に連通する部
   位で表示部以外の場所に気体を導入し、その後、封止し
   たことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
4. 【請求項４】請求項１または２記載の液晶表示素子を作
   製する際に、液晶セル内の表示部以外の場所に圧縮性の
   部位を形成する工程を有する液晶表示素子の製造方法で
   あって、 液晶セル内の表示部以外の場所に圧縮性の部位を形成す
   る工程として、一対の基板間の閉空間の内部あるいは該
   閉空間に連通する部位で表示部以外の場所に発泡剤を含
   む部位を設けておき、液晶組成物の注入、封止後に、前
   記発泡剤から気泡を発生させることを特徴とする液晶表
   示素子の製造方法。
5. 【請求項５】請求項４記載の液晶表示素子の製造方法に
   おいて、前記液晶組成物の注入、封止後に、前記発泡剤
   を含む部位にレーザー光を照射することにより該発泡剤
   から気泡を発生させることを特徴とする液晶表示素子の
   製造方法。
6. 【請求項６】請求項４記載の液晶表示素子の製造方法に
   おいて、前記液晶組成物の注入、封止後に、前記発泡剤
   を含む部位に超音波振動を印加することにより該発泡剤
   から気泡を発生させることを特徴とする液晶表示素子の
   製造方法。
7. 【請求項７】請求項４記載の液晶表示素子の製造方法に
   おいて、前記液晶組成物の注入、封止後に、前記発泡剤
   を含む部位を発熱体で加熱することにより該発泡剤から
   気泡を発生させることを特徴とする液晶表示素子の製造
   方法。